JP3269151B2 - フィードバック式加工条件補正装置 - Google Patents

フィードバック式加工条件補正装置

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JP3269151B2 JP35823992A JP35823992A JP3269151B2 JP 3269151 B2 JP3269151 B2 JP 3269151B2 JP 35823992 A JP35823992 A JP 35823992A JP 35823992 A JP35823992 A JP 35823992A JP 3269151 B2 JP3269151 B2 JP 3269151B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工されたワークの寸
法誤差に関する情報をフィードバックすることにより次
に加工されるべきワークの加工条件を補正するフィード
バック式加工条件補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記フィードバック式加工条件補正装置
の一形式として次のようなものが既に存在する。それ
は、(a) 複数のワークの各々を順に加工する加工機と、
(b) 外部から供給される補正値に基づいて加工機の加工
条件を決定し、その決定した加工条件に従ってその加工
機を制御する加工機制御手段と、(c) 加工機により加工
された複数のワークの各々の寸法を順に測定する測定機
とを備え、かつ、それら加工機と測定機との間に測定機
による測定を待つワークが存在することを許容する加工
システムの、それら加工機制御手段と測定機とに接続さ
れて使用されるべきフィードバック式加工条件補正装置
であって、測定機による測定値に基づき、加工機により
次に加工されるべきワークの加工条件の補正値を自動補
正値として逐次決定して加工機制御手段に供給する自動
補正を行う自動補正手段を含むものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本出願人の研究によ
り、加工条件の補正を自動補正にのみ依存する場合に
は、ワークの寸法に関する品質を向上させるのに限度が
あり、部分的に手動補正に依存することが加工品質向上
にとって大切であることが判明した。
【0004】手動補正が必要となる場合には例えば、加
工機における加工具が交換されたために加工誤差が急変
する場合が挙げられる。自動補正は基本的には、加工誤
差はほぼ連続的に変化することを前提として実行される
ため、加工誤差が急変する場合にはそれほど高い精度で
加工条件を補正することができないからである。
【0005】加工機と測定機との間にその測定機による
測定を待つワークが存在することを許容する加工システ
ムにおいて測定を待つワークが存在する場合には、加工
機に何らかの異常が発生しても、その異常の影響を受け
たワークが測定機に到達するまではその異常を発見する
ことができず、その異常を解消するための自動補正を行
うこともできない。そこで、加工機によるワークの加工
直後にワークの加工誤差を定期的にチェックし、異常を
迅速に発見することが提案されており、この場合にも、
そのチェック結果に応じて、加工条件を迅速に補正する
ために、手動補正が必要となる。
【0006】このような知見に基づき、請求項1の発明
は、フィードバック式加工条件補正装置において、自動
補正のみならず手動補正も可能とすることを課題として
なされたものである。
【0007】ところで、本出願人は先に、前記形式のフ
ィードバック式加工条件の一態様として次のようなもの
を案出し、特願平4−61305号,特願平4−235
402号等の明細書に開示した。それは、前記自動補正
手段が、測定機による測定値を逐次蓄積し、最新の測定
値のみならずその蓄積された過去の測定値にも基づいて
自動補正値を逐次決定して加工機制御手段に供給する自
動補正を行うものであるフィードバック式加工条件補正
装置である。
【0008】なお、ここに「最新の測定値のみならずそ
の蓄積された過去の測定値にも基づいて自動補正値を逐
次決定する」とは例えば、 今回の測定値とワークの
目標寸法との差である今回の誤差値とそれの変化傾向と
に基づいて自動補正値を逐次決定する態様や、 今回
誤差値とそれの変化傾向とその変化傾向の変化傾向と
に基づいて自動補正値を逐次決定する態様や、 今回
の測定値の真の値を過去の測定値に基づいて推定し、そ
の推定した真の値を今回の測定値とみなして自動補正値
を逐次決定する態様などを意味する。なお、ここに「今
回の誤差値の変化傾向」とは、今回および前回以前に取
得された複数の誤差値に対する1次回帰線の勾配であ
り、以下便宜的に今回の微分値と称する。今回の誤差値
と前回の誤差値との差も今回の微分値の一種である。同
様に今回および前回以前に取得された複数の微分値(逐
次取得される誤差値の1次回帰線の複数の勾配)に対す
る1 次回帰線の勾配が今回の変化傾向の変化傾向であ
り、以下便宜的に2回微分値と称する。今回の微分値と
前回の微分値との差も今回の2回微分値の一種である。
【0009】以上の事情を背景とし、請求項1の発明
は、加工誤差はほぼ連続的に変化することを前提として
自動補正が実行されるフィードバック式加工条件補正装
であって、加工機と測定機との間において測定を待つ
ワークが存在し、しかもその数が変動することを許容す
るものにおいて、自動補正のみならず手動補正も可能と
することを課題としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、図1
に示すように、前記加工機1,加工機制御手段2および
測定機3を備え、加工機と測定機との間に測定機による
測定を待つワークが存在することを許容する加工システ
ムと共に使用されるべき形式のフィードバック式加工条
件補正装置を、(a)前記加工機と測定機との間において
測定機による測定を待つワークである待機ワークの数を
計数する待機ワーク数カウンタ6と、(b)作業者の指令
に基づき、前記加工機により次に加工されるべきワーク
の前記加工条件の補正値を手動補正値として前記加工機
制御手段に供給する手動補正を行う手動補正手段4と、
(c)前記測定機による測定値を逐次蓄積し、その逐次蓄
積した最新の測定値を含む複数の測定値の移動平均値を
取得し、その移動平均値の前記最新の測定値と同時点に
おける値と、前記ワークの目標寸法との差である寸法誤
差を、前記最新の測定値の各々に対応させて逐次取得
し、少なくともそれら寸法誤差と前記待機ワーク数カウ
ンタにより計数された待機ワーク数とに基づいて、前記
加工機により次に加工されるべきワークの前記加工条件
の補正値を自動補正値として逐次決定して前記加工機制
御手段に供給する自動補正を行い、前記手動補正手段に
より手動補正が行われたならばその自動補正を中断し、
その手動補正手段から前記加工機制御手段に供給された
手動補正値の影響を受けた前記加工条件に従って加工さ
れたワークが前記測定機により測定される時期以後に、
前記測定値の蓄積を無蓄積状態から再開して自動補正を
再開する自動補正手段5とを含むものとしたことを特徴
とする。
【0011】なお、ここにおける「手動補正手段4」は
例えば、手動補正値を直接に加工機制御手段2に供給す
る態様としたり、自動補正手段5を介して間接に加工機
制御手段2に供給する態様とすることができる。
【0012】また、ここにおいて「自動補正を中断す
る」とは、自動補正値の決定およびその自動補正値の加
工機制御手段2への供給のうちの少なくとも供給を中断
することを意味する。
【0013】また、ここにおいて「自動補正を再開す
る」とは、「自動補正を中断する」態様が自動補正値の
決定も供給も中断するものである場合には、決定と供給
とを再開することを意味し、一方、「自動補正を中断す
る」態様が自動補正値の供給のみを中断するものである
場合には、その供給のみを再開することを意味する。
【0014】また、ここにおいて「その手動補正値の影
響を受けた加工条件に従って加工されたワークが測定機
3により測定される時期」とは、前記加工システムが加
工機と測定機との間にその測定機による測定を待つワー
クが存在することを許容するものであって、このような
加工システムにおいてその測定を待つワークが実際に存
在する場合には、普通、「その手動補正値の影響を受け
た加工条件に従って加工された複数のワークのうち先頭
のものが測定機3により測定される時期」を意味する。
【0015】また、ここにおいて「その手動補正値の影
響を受けた加工条件に従って加工されたワークが測定機
3により測定された時期以後に」とは、「測定された時
期と同じ時期に」か、または「測定された時期より後の
時期に」を意味する。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の発明におけ
る自動補正手段5を、前記逐次取得される寸法誤差と、
それら逐次取得される複数の寸法誤差に対する1次回帰
線の勾配である寸法誤差の変化傾向とを含む寸法情報に
基づいて前記自動補正値を逐次決定する手段を含むもの
としたことを特徴とする。請求項3の発明は、請求項2
の発明における自動補正手段5を、(1)前記寸法情報を
取得する寸法情報取得手段と、(2)その寸法情報取得手
段により取得された寸法情報に基づいてファジィ演算に
よって前記自動補正値を決定する自動補正値決定手段と
を含むことを特徴とする。請求項4の発明は、請求項1
ないし3の発明における自動補正手段5を、前記移動平
均値として、前記蓄積した最新の測定値を含む複数の測
定値の、後に蓄積されたものほど大きい重みを与えた重
み付き移動平均値を取得するものとしたことを特徴とす
る。請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの
発明における自動補正手段5を、前記決定された自動補
正値が予め設定された不感帯内にない場合にはその自動
補正値に従って前記加工条件を補正するが、不感帯内に
ある場合には加工条件を補正しない手段を含むものとし
たことを特徴とする。請求項6の発明は、請求項1ない
し5のいずれかの発明における自動補正手段5を、前記
自動補正値に従って前記加工条件を補正した場合に、自
動補正を中断し、その補正した加工条件に従って加工さ
れたワークが前記測定機により測定される時期以後に、
前記測定値の蓄積を無蓄積状態から再開して自動補正を
再開する手段を含むものとしたことを特徴とする。
【0017】
【作用】請求項1ないし6の発明に係るフィードバック
式加工条件補正装置においてはいずれも、自動補正手段
5により、待機ワーク数カウンタ6によって、加工機と
測定機との間において測定機による測定を待つワークで
ある待機ワークの数が計数される。そして、自動補正手
段5により、測定機による測定値が逐次蓄積され、その
逐次蓄積された最新の測定値を含む複数の測定値の移動
平均値が取得され、その移動平均値の最新の測定値と同
時点における値と、ワークの目標寸法との差である寸法
誤差が逐次取得され、少なくともそれら寸法誤差と待機
ワーク数カウンタ6により計数された待機ワーク数と
基づいて前記自動補正値が決定され、また、手動補正手
段4により、作業者の指令に基づき、加工機1により次
に加工されるべきワークの加工条件の補正値が手動補正
値として決定され、両補正値が加工機制御手段2に供給
されます。このように、自動補正手段5により、自動補
正値が滑らかに変化するようにされるため、通常は連続
的に変化するものである加工誤差を良好に除去して寸法
精度の高いワークが得られる利点がある反面、加工機1
において加工具が交換される等、ワークの加工寸法が急
変する場合には、その急変に自動補正では十分に追従で
きない事態が発生する。このような場合に、本発明に
って手動補正が行われ、かつその手動補正から自動補正
への移行が適切に行われるようにしておけば、上記利点
は十分に生かしつつ、加工寸法の急変にも迅速に対処す
ることが可能となる。
【0018】さらに、手動補正手段4により手動補正が
行われた場合には、自動補正手段5により、それの自動
補正が中断され、手動補正手段4から加工機制御手段2
に供給された手動補正値の影響を受けた加工条件に従っ
て加工されたワークが測定機3により測定された時期以
後に、測定値の蓄積が無蓄積状態から再開されて自動補
正が再開される。
【0019】すなわち、手動補正が自動補正より優先し
て実行されるとともに、自動補正においては、その自動
補正に先行する手動補正の影響を受けたワークより前方
のワーク、すなわち手動補正の影響を受けていないワー
クについての測定値は蓄積されず、手動補正の影響を受
けたワークについての測定値が蓄積され、その蓄積され
た測定値に基づいて自動補正値が決定されるのである。
したがって、加工機1と測定機3との間にその測定機3
による測定を待つワークが実際に存在するか否かを問わ
ず、手動補正の直後であっても自動補正の精度が確保さ
れるのである。
【0020】請求項2の発明においては、寸法誤差のみ
ならずその寸法誤差の変化傾向をも含む寸法情報に基づ
いて前記自動補正値が決定される。そのため、滑らかに
変化する通常の加工誤差に一層良好に対処することが可
能となって、高い寸法精度を確保することが容易にな
る。 請求項3の発明においては、寸法情報に基づいてフ
ァジィ演算によって自動補正値が決定されるため、種々
の複雑なあるいは曖昧な条件が適度に考慮されることと
なり、加工誤差の変化に一層適切に対処することが可能
となって、高い寸法精度を確保することが一層容易にな
る。請求項4の発明においては、自動補正手段5が、重
み付き移動平均値を真の寸法測定値と見なし、その真の
寸法測定値と寸法の目標値との差である寸法誤差に基づ
いて自動補正値を逐次決定する。それにより、最新測定
値付近、すなわち現在の影響が強く現れた移動平均値が
得られ、補正が早期に行われることとなる。
【0021】また、請求項5の発明においては、決定さ
れた自動補正値が予め設定された不感帯内にない場合に
はその自動補正値に従って加工条件が補正されるが、不
感帯内にある場合には補正されない。測定誤差を含まな
い真の加工誤差がごく緩やかに変化する場合に請求項5
に記載の構成を採用すれば、特に高い寸法精度の確保が
容易になるのであるが、それと同時に、請求項1に記載
の構成によってワークの加工寸法の急変にも迅速に対処
することが可能となる。請求項6の発明においては、自
動補正手段5が、自動補正値に従って加工条件を補正し
た場合に自動補正を中断し、その補正した加工条件に従
って加工されたワークが前記測定機により測定される時
期以後に、測定値の蓄積を無蓄積状態から再開して自動
補正を再開する手段を含むため、自動補正の影響を受け
ていないワークについての測定値は蓄積されず、自動補
正の影響を受けたワークについての測定値が蓄積され、
その蓄積された測定値に基づいて自動補正値が決定され
る。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1の発明によれば、加工誤差は通常は滑らかに変化する
ことを前提として、蓄積した過去の測定値にも基づいて
滑らかな自動補正が行われる。そして、加工機において
加工具が交換される等、ワークの加工寸法が急変する事
態が発生した場合には、手動補正によりその急変に対し
て迅速な対応が行われる。しかも、手動補正の直後であ
っても自動補正の精度が確保されるため、フィードバッ
ク式加工条件補正装置の信頼性が向上するという効果が
得られる。さらに、加工機と測定機との間に測定機によ
る測定を待つワークである待機ワークの数が待機ワーク
数カウンタによって計数され、その待機ワーク数と寸法
誤差とに基づいて自動補正値が決定されるので、加工機
と測定機との間の待機ワーク数が多くても、またその数
が変化しても支障なく適切な自動補正が行われる効果が
得られる。
【0023】請求項2ないし6の発明によれば、通常の
滑らかに変化する通常の加工誤差には一層良好に対処す
ることが可能となって、高い寸法精度を確保することが
容易になると同時に、ワークの加工寸法の急変には手動
補正により対応することができる。
【0024】
【実施例】以下、請求項1ないし6の発明に共通の一実
施例であるフィードバック式の定寸点補正装置を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0025】この定寸点補正装置は、自動車のエンジン
のクランクシャフトを加工すべきワークとし、それに予
め形成されている複数のジャーナル面の各々を加工部位
として円筒研削する加工システムと共に使用される。こ
こにクランクシャフトとは、図2に示すように、互いに
同軸的に並んだ7個の外周円筒面(以下、単に「円筒
面」という)であるジャーナル面を有するワークであ
る。
【0026】加工システムは、具体的には、図3に示す
ように、加工ライン,加工機10,2個のインプロセス
測定機12(図には1個として示す),定寸装置14,
モータコントローラ15,全数測定機16,ワーク数カ
ウンタ18,制御装置20,補助記憶装置22等から構
成されており、以下、それら要素について個々に説明す
る。
【0027】加工ラインは、図において矢印付きの太い
実線で表されており、複数のワークが一列に並んで上流
側から下流側に向かって(図において左側から右側に向
かって)搬送されるものである。
【0028】加工機10は、クランクシャフトの7個の
ジャーナル面の各々に対し、加工具としての円形状の砥
石により、円筒研削を行うものである。具体的には、図
4に示すように、複数の砥石が同軸的に並んだ砥石群3
0とクランクシャフトとを接触回転させることにより、
7個のジャーナル面すべてに対して同時に円筒研削を行
うマルチ研削盤である。以下、その構成を簡単に説明す
る。
【0029】加工機10は、ワークのためのワークテー
ブル32を備えている。このワークテーブル32は加工
機10の図示しない主フレームに取り付けられている。
ワークテーブル32には、ワークをそれの軸線回りに回
転可能に保持する保持装置(図示しない)とその保持さ
れたワークを回転させるワークモータ34とが設けられ
ている。
【0030】加工機10はさらに、砥石群30のための
前進・後退テーブル36とスイングテーブル38とを備
えている。前進・後退テーブル36は前記主フレーム
に、前記ワークテーブル32に保持されているワークに
対する直角な方向における往復運動が可能な状態で取り
付けられている。一方、スイングテーブル38は、その
前進・後退テーブル36に、砥石軸線(図において一点
鎖線で示す)上にそれに直交する状態で設定されたスイ
ング軸線(図において紙面に直角な方向に延びる直線)
を中心としたスイングが可能(右回転も左回転も可能)
な状態で取り付けられている。前進・後退テーブル36
の前進・後退は主フレームに固定の前進・後退モータ4
0により、スイングテーブル38のスイングは前進・後
退テーブル36に固定のスイングモータ42によりそれ
ぞれ実現される。
【0031】すなわち、この加工機10においては、砥
石軸線とワークの回転軸線との成す角度(以下、「切込
み角」という)がスイングモータ42により調整可能な
のである。
【0032】前記2個のインプロセス測定機12はこの
加工機10に取り付けられている。それらインプロセス
測定機12はそれぞれ、図2に示すように、1個の円筒
面を外周両側から挟む一対の測定子を有し、電気マイク
ロメータ方式によりその円筒面の直径を測定するもので
ある。それらインプロセス測定機12は、7個のジャー
ナル面について個々に用意されているわけではなく、同
図に示すように、両端のジャーナル面、すなわち第1ジ
ャーナル面と第7ジャーナル面(以下、「2個の端円筒
面」ともいう)についてのみ用意されている。
【0033】前記定寸装置14は、図4に示すように、
それらインプロセス測定機12にそれぞれ接続されてい
る。定寸装置14は、CPU,ROM,RAMおよびバ
スを含むコンピュータを主体として構成されていて、加
工機10による研削中、2個の端円筒面のそれぞれの直
径を各インプロセス測定機12を介して監視し、それら
各端円筒面における残存切込み量(最終寸法に到達する
までに切り込むことが必要な量)が各設定量(各端円筒
面ごとに存在する)に到達したときにはその旨の信号
(以下、「設定量到達信号」という)を、各最終寸法す
なわち各定寸点(各端円筒面ごとに存在する)に到達し
たときにはその旨の信号(以下、「定寸点到達信号」と
いう)を前記モータコントローラ15に各端円筒面に関
連付けてそれぞれ出力する。
【0034】定寸装置14はまた、各定寸点の補正が可
能に設計されている。具体的には、前記制御装置20か
ら各補正値U(各端円筒面ごとに存在する)が供給され
れば、現在の各定寸点にその各補正値Uを加算すること
によって現在の各定寸点を更新し、供給されなければ現
在の各定寸点をそのままに維持するように設計されてい
る。すなわち、定寸装置14は、制御装置20により定
寸点が自動補正されるようになっているのである。
【0035】定寸装置14には図3に示すように、キー
ボード50が接続されており、そのキーボード50が作
業者により操作されると、定寸装置14は、その操作に
応じた手動補正値だけ現在の定寸点を変更する手動補正
を行うようにも設計されている。定寸装置14はまた、
最新の手動補正値と定寸点とをそれぞれ自身のRAMに
記憶するとともに、自発的に制御装置20に送信する。
ただし、制御装置20は定寸装置14からそれら最新の
手動補正値と現在の定寸点とを常に受信するわけではな
いため、定寸装置14は制御装置20が受信を許すとき
に限って送信を行うことになる。
【0036】前記モータコントローラ15は図4に示す
ように、それら定寸装置14,前進・後退モータ40等
に接続されている。モータコントローラ15は、作業者
からの指令や定寸装置14からの信号等に基づき、前進
・後退モータ40等を制御する。
【0037】ところで、加工機10は、粗研,精研,ス
パークアウト等のいくつかの段階を順に経て一回の円筒
研削を終了する。粗研は、前記残存切込み量が前記設定
量に達するまで実行され、精研は、直径が前記定寸点に
達するまで実行される。定寸装置14から各端円筒面ご
とに供給されるべき2個の設定量到達信号はその供給時
期が一致しないのが普通であり、モータコントローラ1
5は、粗研段階では、信号供給時期の不一致量に応じて
前進・後退モータ40およびスイングモータ42を制御
し、これにより、前記切込み角を適正に制御する。ま
た、精研においては、それに先立つ粗研において切込み
角が適正となっているはずであるから、モータコントロ
ーラ15は、前進・後退モータ40のみを作動させるこ
とにより、砥石群30のワークへの切込みを続行し、2
個の端円筒面のいずれかについてでも定寸点到達信号が
供給されれば、前進・後退モータ40を停止させ、スパ
ークアウトを行った後に、前進・後退モータ40を逆回
転させることにより砥石群30をワークから後退させ
る。なお、精研段階でも切込み角を制御するようにする
こともできる。
【0038】前記全数測定機16は、図3に示すよう
に、加工ラインの、加工機10の下流側に配置されてい
る。全数測定機16は、1個のワークにおける円筒面の
数と同数のポストプロセス測定機44を有し、前記イン
プロセス測定機12と同じ方式により、加工機10から
搬出されたワークすべてについて順に、円筒面すべてに
ついて個々に直径を測定する。この全数測定機16が前
記制御装置20の入力側に接続されている。
【0039】前記ワーク数カウンタ18は、同図に示す
ように、加工ライン上において加工機10と全数測定機
16との間にその全数測定機16による測定を待つ待機
ワークの数を測定するものである。ワーク数カウンタ1
8は、加工機10からのワークの搬出を検出する第1セ
ンサ(例えば、リミットスイッチ等)46と、全数測定
機16へのワークの搬入を検出する第2センサ(例え
ば、リミットスイッチ等)48とに接続されていて、第
1センサ46によりワーク搬出が検出されるごとに待機
ワーク数のカウント値を1ずつ加算し、一方、第2セン
サ48によりワーク搬入が検出されるごとにそのカウン
ト値を1ずつ減算し、これにより、待機ワーク数の現在
値を測定する。
【0040】前記制御装置20は、CPU,ROM,R
AMおよびバスを含むコンピュータを主体として構成さ
れており、そのROMにおいて定寸点補正ルーチンを予
め記憶させられている。また、この制御装置20は、前
記補助記憶装置22にも接続されていて、全数測定機1
6から入力された測定値X,それに基づいて決定した補
正値U等をすべて保存するように設計されている。一連
の加工の終了後に作業者がその加工状況を診断する際な
どに使用するためである。
【0041】上記定寸点補正ルーチンの主要部が図5〜
10にフローチャートで表されており、それら図に基づ
いて制御装置20の構成を説明するが、まず、概略的に
説明する。
【0042】この制御装置20は、全数測定機16によ
り測定された寸法に基づく寸法情報を全数測定機16か
ら受け取り、加工機10により次に加工されるべきワー
クについての定寸点の補正値Uを決定して、定寸装置1
4に供給するものである。この加工システムは、加工機
10と全数測定機16との間に寸法測定を待つワークが
存在することを許容するように設計されている。そのた
め、この制御装置20は、入力信号が補正値U、出力信
号が寸法情報であるとともにそれら入力信号と出力信号
との間にむだ時間MSが存在する制御システムを想定
し、フィードバック式で定寸点を補正する。すなわち、
本実施例においては、定寸点が各請求項の発明における
「加工条件」の一態様なのである。
【0043】この制御装置20における処理の流れを、
簡単に説明すれば、図11に示すようになる。
【0044】まず、第1ステップとして、全数測定機1
6から測定値Xが入力され、続いて、第2ステップとし
て、その測定値Xから短周期変動を除去するために、今
回までに取得された測定値Xに対して移動平均値Pが算
出される。コンピュータのRAMには、測定値X等が蓄
積される演算データメモリ(図示しない)が設けられて
おり、それに蓄積されている測定値Xに基づいて移動平
均値Pが算出される。
【0045】次に、第3ステップとして、その移動平均
値Pに対して両端直径補正(後に詳述する)が行われ、
さらに、第4ステップとして、その両端直径補正が行わ
れた複数の移動平均値P(これも演算データメモリに蓄
積される)に基づき、今回の誤差値R,微分値Tおよび
2回微分値Dがそれぞれ寸法情報として算出される。
回誤差値Rは今回の移動平均値Pと目標寸法との差とし
て取得され、今回の微分値Tは、後に詳述するように、
今回の誤差値Rを含む複数の誤差値Rから誤差値Rの変
化勾配として取得され、今回の2回微分値Dは今回の微
分値Tを含む複数の微分値Tから微分値Tの変化勾配と
して取得される。その後、第5ステップとして、その寸
法情報と、ワーク数カウンタ18により測定された待機
ワーク数(前記むだ時間MSに相当する)とに基づき、
ファジィ演算によって補正値Uが算出される。続いて、
第6ステップとして、その補正値Uが、それの連続性が
考慮されることによって補正され、さらに、第7ステッ
プとして、その補正値Uが、定寸装置14との関係にお
いて設定された不感帯内にあるか否かが判定され、不感
帯内になければ、第8ステップとして、その補正値Uが
定寸装置14に送信される。
【0046】また、この制御装置20においては、全数
測定機16によりワークが測定されるごとに今回の補正
値Uを決定する連続的補正ではなく、間欠的に決定する
間欠的補正が採用されている。また、補正値Uが間欠的
に補正されるに伴って、演算データメモリも間欠的にク
リアされる。
【0047】なお、この制御装置20には、ワークの7
個のジャーナル面すべてについて個々に測定値Xが入力
されるが、基本的には、第1ジャーナル面および第7ジ
ャーナル面のそれぞれの測定値X、すなわち、各端円筒
面の測定値Xに基づいて、前記定寸装置14における各
端円筒面に対応する補正値Uがそれぞれ決定される。
【0048】以上、この制御装置20の全体の流れを簡
単に説明したが、以下、この流れにおける各概念につい
て個々に詳しく説明する。
【0049】まず、移動平均値Pの算出について説明す
る。
【0050】測定値Xは全数測定機16により時系列デ
ータとして取得され、多くの短周期変動を含んでいる。
そこで、本実施例においては、短周期変動を除去してワ
ークの真の寸法を推定するために、今回の測定値Xおよ
び前回までに取得された最新の少なくとも1個の測定値
Xにつき、図12にグラフで概念的に示すように、重み
付きの移動平均値Pが算出され、それが測定値Xの真の
値として使用される。なお、このグラフにおいて「i」
は、全数測定機16により測定されたワークの数(以
下、「測定ワーク数」という)を表している。他のグラ
フにおいても同様である。
【0051】この移動平均値Pは原則として、次のよう
にして算出される。すなわち、今回までに取得された最
新のK(2以上の固定値)個の測定値Xに基づき、次式
(K=5の場合)で表される如き計算式を用いて今回の
移動平均値Pi が算出されるのである。
【0052】
【数1】
【0053】しかし、この原則を貫くときは、演算デー
タメモリに蓄積されている測定値Xの数がK個に達しな
い間は、移動平均値Pを算出することができず、図13
に示すように、これを用いて算出されるべき誤差値Rも
微分値Tも算出することができないこととなり、ひいて
は、新たな補正値Uを決定することができない時間が長
くなってしまう。なお、この図は、左側から右側に向か
うにつれて測定ワーク数iが増加することとして表され
ている。後述の図14および図15についても同様であ
る。
【0054】そこで、本実施例においては、演算データ
メモリに蓄積されている測定値Xの数がK個に達しない
場合には、達する場合とは異なる特別の規則に従って、
移動平均値Pが算出される。
【0055】その特別の規則には代替型移動平均値算出
規則と可変型移動平均値算出規則とがある。以下、詳し
く説明する。
【0056】まず、代替型移動平均値算出規則は、図1
4に示すように、必要なK個の移動平均値Pのうち実際
には未だ取得されていないものの各々を、各移動平均値
Pが取得されるべき回と同じ回に取得された測定値Xそ
のものに代替させるという規則である。これは、同じ回
に取得される測定値Xと移動平均値Pとは本来互いに近
似するという性質に基づくものであって、この規則に従
って移動平均値Pを算出することを代替型移動平均値算
出という。図14は、右端に示されている測定値Xが取
得された時点から微分値Tが取得されるようにする場合
を例として示すものであり、図13の例におけると同様
に、微分値TはL個(図示の例では5個)の誤差値Rに
基づいて取得されるものである一方、移動平均値PはK
個(図示の例では5個)の測定値Xに基づいて取得され
るものであるため、右端の時点には未だL個より少ない
個数(図示の例では2個)の移動平均値Pが取得されて
いるのみである。そこで、L個に満たないZ個分(図示
の例では3個分)は測定値Xそのものが移動平均値Pの
代わりに使用されることとなる。その結果、図示の例で
は、3個の測定値Xと2個の移動平均値Pとに基づいて
微分値Tが取得されることとなるのである。
【0057】この代替型移動平均値算出においては、
定値Xによる移動平均値Pの代替が開始される時期が、
その後においてはじめて原則通りに移動平均値Pが算出
される時期より少し前であるか、かなり前であるかを問
わず、測定値Xに移動平均値Pを代替させることによっ
て仮想的に移動平均値Pを取得することは可能である。
しかし、この場合には、次のような問題がある。すなわ
ち、1個の微分値Tを算出するのに使用されるL個の移
動平均値Pにおいて仮想的に取得された移動平均値Pが
占める割合が多いほど、その微分値Tの精度が低下し、
ひいては補正値Uの精度も低下するおそれがあるという
問題があるのである。
【0058】この問題を解決するためには、1個の微分
値Tを算出するのに使用される仮想的な移動平均値Pの
数を制限すればよい。同図の例は、そのような制限が付
された例であって、この場合には、最新の正規の移動平
均値Pより過去に3回の間に限り(すなわち、代替制限
数Zが3個)、仮想的な移動平均値Pの算出が許容され
ている。このように制限を付された場合には、たとえ
型移動平均値算出をしても、演算データメモリに蓄積
されている測定値Xの数が少ない間は、移動平均値Pを
算出することができない。
【0059】一方、可変型移動平均値算出規則は、測定
値Xの数(Kより小さい数)の各々について個別に重み
付き移動平均値計算式を用意し、演算データメモリに蓄
積されている測定値Xの数に合致する計算式を選択し、
それを用いて移動平均値Pを取得するという規則である
(図15参照)。この規則に従って移動平均値Pを算出
することを可変型移動平均値算出という。ここに個別に
用意される重み付き移動平均値計算式には例えば次のよ
うなものを選ぶことができる。
【0060】
【数2】
【0061】この例においては、演算データメモリに蓄
積されている測定値Xの数が1個であっても、移動平均
値Pの算出が可能である。したがって、この例において
は、演算データメモリに蓄積されている測定値Xの数が
少ないから移動平均値Pを算出することはできないとい
う事態は起こらない。
【0062】なお、本実施例においては、以上のような
移動平均値Pの特別な手法による算出(以下、特別移動
平均値算出という)の実行の許否が作業者によって指令
され、さらに、その特別移動平均値算出が指令される場
合には、その種類の選択も作業者からの指令に応じて行
われるようになっている。すなわち、特別移動平均値算
出指令が出されている場合には必ず、代替型移動平均値
算出指令と可変型移動平均値算出指令とのいずれかが出
されるようになっているのである。
【0063】ここで、上記重み付き移動平均値算出式に
おける重み係数bの決定手法について説明する。
【0064】各重み係数bの値は、原変動である測定値
Xの中から除去すべき成分波の周波数との関係において
決定されるが、例えば、各重み係数bの値を、それが乗
じられるべき測定値Xが最新の測定値Xに対して新しい
ものであるほど、ほぼ比例的に増加するように決定する
ことができる(図12参照)。例えば、前述の、
i-4 ,bi-3 ,bi-2 ,bi-1 およびbi をそれぞ
れ、1,2,3,4および5とすることができるのであ
る。このようにすれば、最新測定値付近、すなわち現在
の影響が強く現れた移動平均値が得られ、補正が早期に
行われることとなる。
【0065】また、加工機10と全数測定機16との間
に存在する待機ワークの数が0であるか、または0でな
くてもそれがほとんど変化しない場合のように、移動平
均によって測定値Xの中から除去すべき成分波の周波数
がほとんど変化しない場合には、各重み係数bの値を例
えば次のようにして決定することができる。ここで利用
する手法は、移動平均値算出式を使用するものであり、
その移動平均値算出式の重み係数が上記重み係数bなの
であるが、この重み係数bの決定方法は、例えば、矢野
宏著、コロナ社発行、「統計手法と計測(下)」の第1
53頁ないし第173頁、「17.規則性の存在するデ
ータの解析」の章に記載されているように、よく知られ
た方法であるため、簡単に説明する。
【0066】まず、原変動である測定値Xの中から除去
すべきs個の成分波の各々の角振動数をω1 ,ω2 ,・
・・,ωj ,・・・,ωs とし、次式を作る。
【0067】
【数3】
【0068】そして、この式の係数1,as-1 ,・・
・,a0 ,・・・,as-1 ,1のうちの1〜a0 をそれ
ぞれ、重み係数bi-s ,bi-(s-1),・・・,bi に決定
するのである。
【0069】この制御装置20が接続される加工システ
ムにおいては、前述のように、ワークの全円筒面のうち
の2個の端円筒面の直径にのみ基づいて砥石群30が作
動させられる。そのため、2個の端円筒面の測定値Xの
みを考慮し、それ以外の円筒面の測定値Xを考慮しない
で定寸点を補正する場合には、各円筒面の加工精度がそ
れの全体において十分に均一にならない場合がある。
【0070】そこで、本実施例においては、この問題を
解決するために次のような技術が採用されている。すな
わち、図16にグラフで概念的に示すように、ワークに
おける各円筒面の軸方向位置(図に「1J」〜「7J」
で表す)と各円筒面の直径(すなわち、移動平均値P)
とが比例関係にあると仮定し、2個の端円筒面の測定値
Xをそれぞれ補正するという両端直径補正という技術が
採用されているのである。
【0071】この両端直径補正の一具体例は、次のよう
である。すなわち、両端直径補正計算式として、
【0072】
【数4】
【0073】なる式が採用され、これを用いることによ
り、各端円筒面の移動平均値Pの修正値が算出されるの
である。ただし、 x:ジャーナル面の番号(第1ジャーナル面から第7ジ
ャーナル面に向かって1から7まで付されている) x′:7個のxの値の平均値 y:xの各値における移動平均値Pの修正値 P:xの各値における移動平均値Pの計算値 P′:7個の移動平均値Pの計算値の平均値
【0074】具体的には、第1ジャーナル面について
は、上記式の「x」に1を代入することによって、移動
平均値Pの修正値y1 が取得され、また、第7ジャーナ
ル面については、「x」に7を代入することによって、
移動平均値Pの修正値y7 が取得される。
【0075】なお、本実施例においては、この両端直径
補正の実行の許否も作業者によって指令されるようにな
っている。
【0076】また、本実施例においては、移動平均値P
に対して両端直径補正が行われるようになっているが、
移動平均値Pの基礎となる測定値Xそのものに対して両
端直径補正を行うこともできる。
【0077】ワークについて取得する寸法情報には、前
述のように、誤差値Rのみならず、それの微分値Tとそ
の微分値Tの微分値である2回微分値Dとがある。誤差
値Rは「寸法誤差」の一態様であり、微分値Tは「寸法
誤差の変化傾向」の略称であり、2回微分値Dは「変化
傾向の変化傾向」の略称である。
【0078】このように、誤差値R以外のパラメータに
も基づいて補正値Uを決定することとしたのは、誤差値
Rのみに基づいて補正値Uを決定する場合より、それの
微分値Tまたは2回微分値Dにも基づいて補正値Uを決
定する場合の方が、加工機10の実際の状態をより正確
に推定することができ、定寸点の補正精度が向上するか
らである。なお、誤差値Rのみならず微分値Tにも基づ
いて補正値Uを決定する技術は、本出願人の特願平4−
61305号として出願されており、また、さらに2回
微分値Dにも基づいて補正値Uを決定する技術は、本出
願人の特願平4−235402号として出願されてい
る。
【0079】微分値Tは、図17にグラフで概念的に示
すように、原則として、今回取得された誤差値Rおよび
前回までに取得された最新の少なくとも1個の誤差値R
を含むL(2以上の固定値)個の誤差値Rが測定ワーク
数iの増加に対してほぼ比例すると仮定し、それらL個
の誤差値Rが適合する1次回帰線を特定し、それの勾配
を微分値T(1次回帰線の傾きをθラジアンとした場合
のtan θに一致する)として取得される。
【0080】具体的には、1次回帰線の式として、例え
ば、
【0081】
【数5】
【0082】なる式が採用される。ただし、 x:測定ワーク数iの値 x′:L個のxの値の平均値 y:xの各値における誤差値Rの真の値 R:xの各値における誤差値Rの計算値 R′:L個の誤差値Rの計算値の平均値 そして、
【0083】
【数6】
【0084】の値が、微分値Tとなる。しかし、この原
則を貫くと、移動平均値Pの算出の場合と同様に、演算
データメモリに蓄積されている誤差値Rの数がL個に達
しない場合には、微分値Tを算出することができない。
【0085】そこで、本実施例においては、移動平均値
Pの算出の場合に準じて、移動平均値Pの数(Lより小
さい数)の各々について個別に1次回帰線の式を用意
し、演算データメモリに蓄積されている誤差値Rの数に
合致する式を選択し、それを用いて微分値Tを取得する
という技術が採用されている。
【0086】なお、本実施例においては、可変型微分値
算出の実行の許否も作業者によって指令されるようにな
っている。本実施例においては、段落0059および0
060において、移動平均値Pの算出に関して説明した
のと同様の演算が微分値Tについても実行可能とされて
いるのである。
【0087】2回微分値Dは微分値Tと同様にして算出
される。すなわち、今回までに取得された最新のQ(2
以上の固定値)個の微分値Tが測定ワーク数iの増加に
対してほぼ比例すると仮定し、それらQ個の微分値Tが
適合する1次回帰線を特定し、それの勾配を2回微分値
D(1次回帰線の傾きをθラジアンとした場合のtanθ
に一致する)として取得する。
【0088】なお、本実施例においては、2回微分値D
の使用の許否も作業者によって指令されるようになって
いる。
【0089】また、本実施例においては、この2回微分
値Dについては、微分値Tに係る可変型微分値算出に相
当する技術は採用されていないが、採用することはもち
ろん可能である。段落0059および0060におい
て、移動平均値Pの算出に関して説明したのと同様の演
算を2回微分値Tについても実行できるようにしてもよ
いのである。
【0090】この制御装置20においては、補正値Uの
決定のために、間欠的補正,むだ時間考慮型補正,ファ
ジィ演算,連続性考慮および不感帯考慮なる技術が採用
されている。以下、それらについて個々に詳しく説明す
る。
【0091】(1) 間欠的補正 定寸点補正に際し、全数測定機16によりワークの寸法
が測定されるごとに、加工機10により次に加工される
べきワークの定寸点の補正値Uを決定する連続的補正な
る補正手法を採用することができる。しかし、この連続
的補正を採用する場合には次のような問題がある。すな
わち、全数測定機16により測定されるワークすべてに
ついて個々に補正値Uを決定しなければならないため、
制御装置20に大きな負担がかかってしまうという問題
があるのである。
【0092】この問題を解決するため、本実施例におい
ては、間欠的補正なる補正手法が採用されている。
【0093】この間欠的補正を図18にグラフで概念的
に示す。このグラフは、加工機10と全数測定機16と
の間に複数の待機ワークが存在する場合に取得されるも
のであり、このグラフにおいて「測定おくれ」とは、加
工機10と全数測定機16との間の待機ワークの数に相
当する。また、「Ui 」は今回の補正値を、「Ui+1
は次回の補正値をそれぞれ表している。したがって、今
回の補正値Ui の影響は測定おくれの後にはじめて寸法
誤差に現れ、また、同様に、次回の補正値Ui+1 の影響
も測定おくれの後にはじめて寸法誤差に現れることとな
る。また、このグラフは、複数のワークを順に、互いに
同じ定寸点の下で加工した場合にはそれら各ワークの寸
法誤差が測定ワーク数iの増加に対してほぼ比例的に増
加すると仮定した場合に取得されるものでもある。な
お、それらの事情は以下のグラフにおいても同様であ
る。
【0094】この間欠的補正を実施する方式として本出
願人は2つの態様を案出した。以下、それら各方式につ
いて詳しく説明する。
【0095】 間欠的補正の第1の方式 この定寸点補正装置は、前述のように、加工機10と全
数測定機16との間にワークが存在することを許容する
加工システムと共に使用されるべきものであるから、前
回の補正値Uの影響を受けた定寸点の下で加工されたワ
ークがその直後に全数測定機16により測定されるとは
限らず、いくつか別のワークの測定を経た後にはじめて
測定される場合もある。したがって、前回の補正値Uの
影響を直接に今回の補正値Uに反映させることが必要で
ある場合には、前回の補正値Uの影響を受けた定寸点の
下で加工された少なくとも1個のワークが全数測定機1
6により測定されるごとに、今回の補正値Uを決定する
ことが望ましい。
【0096】このような事情を背景として、第1の方式
は、図19にグラフで概念的に示すように、全数測定機
16による測定値Xを逐次蓄積し、蓄積された測定値X
の数が設定複数個以上となったときに、それら蓄積され
た最新の設定複数個の測定値Xに基づいて今回の補正値
i を決定し、その今回の補正値Ui の影響を受けた定
寸点の下で加工された少なくとも1個のワークうち最初
に全数測定機16により測定されることとなる先頭補正
対象ワークがその測定を終了する時期以後に(例えば、
その測定の終了直後に)、それの測定値Xの蓄積を無蓄
積状態から再開するものとされている。
【0097】この方式は例えば、今回の補正値Ui を決
定して定寸装置14に送信してから、次回の補正値U
i+1 を決定して定寸装置14に送信するまでの補正間隔
期間は、補正値Uを決定せず、定寸装置14における定
寸点が同じ値に維持されるような態様として実施するこ
とができる。そして、この場合には普通、測定ワーク数
iと寸法誤差との間に比例関係が成立するとの前提の下
に、今回の補正値Uの大きさが、その今回の補正値Ui
の影響を受けた複数のワークの寸法誤差の平均値が0と
なるであろうように決定される。
【0098】しかし、この実施態様では次のような問題
が生ずる。すなわち、各回の補正の実行時期が、測定値
Xの実際の変動とは無関係に、測定値Xの蓄積数によっ
て一義的に決まってしまい、各回の補正が本当に必要な
時期に実行されないという問題が生ずるのである。
【0099】この問題を解決するためには、補正値Uの
送信につき、定寸装置14との関係において不感帯を設
定し、決定された補正値Uが実質的に0である場合に
は、その補正値Uの定寸装置14への送信を行わず、演
算データメモリをクリアすることなく、新たな測定値X
の取得を待って、補正値Uの決定をやり直せばよい。こ
のようにすれば、各回の補正が本当に必要な時期にタイ
ムリーに実行されることになる。なお、補正値Uに不感
帯を設定するという技術は、本出願人の特願平4−27
8146号として出願されている。
【0100】しかし、このようにしても、その各回の補
正の終了後に測定値Xに予定外の変化が生じた場合に
は、その変化に迅速に対応して定寸点を補正することは
できない。各回の補正の終了後に測定値Xに予定外の変
化が発生した場合には、その予定外の変化は演算データ
メモリに蓄積されて次回の補正値Ui+1 に反映されるの
であって、このように次回の補正まで待たなければその
予定外の変化に対応して定寸点を補正することができな
いのである。そのため、各回の補正の終了後に測定値X
に予定外の変化が生じた場合には、ワークの寸法誤差が
十分には0に近づかないという問題がある。
【0101】この問題を解決するためには前記第1の方
式を次のような態様で実施すればよい。すなわち、図2
0にグラフで概念的に示すように、一回の間欠的補正
を、前記態様における間欠的補正(例えば、図19にお
いて「Ui 」を決定すること)である主補正に後続して
補助補正を行うものとすることにより、主補正の終了後
に測定値Xに発生する予定外の変化に、補助補正により
迅速に対応して定寸点を補正する態様で実施すればよい
のである。
【0102】ここに「主補正」とは、全数測定機16に
よる測定値Xを逐次蓄積し、蓄積された測定値Xの数が
設定複数個以上となったときに、それら蓄積された最新
の設定複数個の測定値Xに基づいて今回の補正値Uを決
定し、それを最終補正値UFとするものである。
【0103】また、「補助補正」とは、その主補正の終
了後にも測定値Xの蓄積を続行し、その主補正の終了後
から(例えば、その主補正の終了直後から)、その主補
正の最終補正値UF の影響を受けた定寸点の下で加工さ
れた少なくとも1個のワークのうち最初に全数測定機1
6により測定されることとなる先頭補正対象ワークより
1回だけ先に加工されたワークについてその測定が終了
する時期以前まで(例えば、その測定の終了時期ま
で)、その全数測定機16によりワークが測定されるご
とに、蓄積された最新の設定複数個の測定値Xに基づ
き、主補正の最終補正値UF と同じ規則に従って各回の
暫定補正値 P (図示の例ではU P1 ,U P2 を決定し、
その決定した各回の暫定補正値 P から前回の補正値U
(すなわち、前回が主補正である場合には、主補正の最
終補正値UF であり、前回が補助補正におけるある回で
ある場合には、補助補正のその回の暫定補正値UP )を
引いたもの、すなわち図示の例では(U F −U P1 )や
(U P2 −U P1 を各回の最終補正値UF に決定するもの
である。
【0104】この補助補正においては、本来であれば、
それに先立って行われる主補正の最終補正値UF の影響
を受けたワークの測定値Xに基づいて最終補正値UF
決定されるべきである。しかし、主補正の最終補正値U
F の影響を受けたワークが、加工直後には全数測定機1
6により測定されず、いくつか別のワークの測定を経た
後にはじめて測定される場合もある。そこで、本実施例
においては、主補正の最終補正値UF の影響が重複し
て、次に加工されるべきワークに対応する定寸点に反映
されないように、主補正の最終補正値UF に係る先頭補
正対象ワークより1回だけ先に加工されたワークについ
て測定が終了する時期以前まで、各回の測定値Xに基づ
いて主補正におけると同じ規則に従って決定した補正値
が暫定補正値 P1 とされ、それから主補正の最終補正値
F の影響が除去されたものが補助補正の最終補正値U
F とされる。以上、主補正と補助補正の初回との関係に
ついて説明したが、補助補正におけるある回とその次の
回との関係についても同様である。
【0105】しかし、これら主補正と補助補正とを行う
態様においては、補助補正をそれの属するある回の間欠
的補正の終了時期まで必ず実行することとした場合に
は、制御装置20自身にやや大きな負担がかかるという
問題が生ずる。
【0106】この問題を解決するためには、補助補正の
実行回数を制限すればよい。すなわち、一連の補助補正
における最終補正値UF の決定回数を計数し、その計数
した決定回数が設定値に達したときにその一連の補助補
正を終了すればよいのである。しかし、この対策では、
補助補正の終了時期が主補正の終了時期との関係におい
て固定されてしまい、補助補正の実行時期が、主補正の
終了後における測定値Xの予定外の変化に対応するのに
最適になるとは限らないという問題がある。
【0107】この問題を解決するためには、補助補正を
次のような態様で実施すればよい。すなわち、補助補正
における最終補正値UF にも、主補正における最終補正
値UF と同様に、定寸装置14との関係における不感帯
を設け、一連の補助補正の当初において決定した最終補
正値UF がその不感帯内にある場合には、その最終補正
値UF を定寸装置14に送信しないことにより、事実上
その一連の補助補正の実行を開始せず、その後決定され
た最終補正値UF が不感帯から外れた場合に初めて、そ
の最終補正値UF を送信し、その一連の補助補正の実行
を開始する態様で実施すればよいのである。
【0108】しかし、以上のようにしただけでは、主補
正および補助補正の実行時期が測定値Xの変動時期に十
分には合致せず、主補正および補助補正が本当に必要な
時期に実行されないことがある。このような事態を回避
するためには、補助補正を次のような態様で実施すれば
よい。すなわち、一連の補助補正における最終補正値U
F の決定回数が設定値に達したときに、主補正およびそ
の一連の補助補正のうち少なくともその一連の補助補正
において決定された複数の最終補正値UF の和が実質的
に0でない場合には、その一連の補助補正を終了する
が、実質的に0である場合には、少なくとも補助補正の
実行時期が適当ではなかったと推定されるから、補助補
正を続行し、新たに最終補正値UF の決定回数の測定を
0から開始する態様で実施すればよいのである。
【0109】そして、本実施例においては、補正値決定
の方式として、主補正のみで補助補正を行わない方式
と、主補正のみならず補助補正をも行う方式とのいずれ
かが作業者の指令に応じて選択されるようになってい
る。すなわち、補助補正指令が出されれば後者の方式が
選択され、出されなければ前者の方式が選択されるよう
になっているのである。
【0110】また、本実施例においては、その補助補正
の方式として、補助補正の続行を行う方式と、行わない
方式とのいずれかが作業者の指令に応じて選択されるよ
うにもなっている。
【0111】さらにまた、本実施例においては、その補
助補正の続行方式として、続行されるべき補助補正の初
回の最終補正値UF について不感帯を考慮して補助補正
を続行する方式(以下、「補助補正再開方式」という)
と、不感帯を考慮しないで続行する方式(以下、「補助
補正延長方式」という)とのいずれかが作業者の指令に
応じて選択されるようにもなっている。前者の方式を選
択するための指令を補助補正再開指令といい、後者の方
式を選択するための指令を補助補正延長指令といい、そ
れら指令のいずれも出されていない場合には、補助補正
の続行許可指令が出されていないと判断されるようにな
っている。
【0112】 間欠的補正の第2の方式 間欠的補正を上述の第1の方式で実施する場合には、加
工機10と全数測定機16との間に待機ワークが存在す
るときには、今回の補正値Uの決定直後から測定値Xの
蓄積を開始することができない。そのため、今回の補正
値Uの決定時期から次回の補正値Uの決定時期までにか
かる時間(以下、「補正間隔時間」という)は、図19
に示すように、その今回の補正値Uに係る先頭補正対象
ワークが全数測定機16に到達する時間(加工機10と
全数測定機16との間に存在する待機ワークの数の関連
する)と、その後測定値Xの蓄積が開始されて設定複数
個の測定値Xが蓄積されるまでの時間との和となる。そ
のため、加工機10と全数測定機16との間に多くの待
機ワークが存在することを避け得ないような場合には、
補正間隔時間が長くなることを避け得ない。
【0113】この第2の方式はこの問題を解決するため
に案出されたものであって、図21にグラフで概念的に
示すように、全数測定機16による測定値Xを逐次蓄積
し、蓄積された測定値Xの数が設定複数個以上となった
ときに、それら蓄積された最新の設定複数個の測定値X
に基づいて今回の補正値Uを決定し、その今回の補正値
Uの決定時期以後に(例えば、今回の補正値Uの決定時
期直後に)、測定値Xの蓄積を無蓄積状態から再開し、
その再開時期から、その今回の補正値Uに係る先頭補正
対象ワークより1回だけ先に加工されたワークについて
その測定が終了する時期近傍(その時期ちょうど、少し
前、または少し後)までの中間期間は、その全数測定機
16によりワークが測定されるごとに、各回の実際の測
定値Xと今回の補正値Uとに基づき、それら各ワークが
その今回の補正値Uの影響を受けた定寸点の下で加工さ
れたと仮定した場合にそれら各ワークについて測定され
る値を予測し、その予測した測定値Xを実際の測定値X
とみなして蓄積するものである。本実施例においては、
その予測の一例として、上記中間期間における実際の測
定値Xにその今回の補正値Uを加算することにより、実
際の測定値Xを今回の補正値Uだけシフトするデータシ
フト処理が採用されている。
【0114】この第2の方式もまた、前記第1の方式の
場合と同様に、一回の間欠的補正が主補正と回数制限付
きかつ続行可能な補助補正とを含み(これを図22にグ
ラフで概念的に示す)、かつ、主補正および補助補正に
ついて不感帯なる概念が採用され、かつ、補助補正の続
行方式の選択が可能な態様として実施されている。そし
て、本実施例においては、作業者の指令に応じて第1の
方式と第2の方式との択一も可能とされている。具体的
には、作業者がデータシフト処理を許可するか否かを指
令し、許可した場合にはデータシフト処理が、許可しな
い場合に第1の方式が選択されるようになっている。
【0115】なお付言すれば、この第2の方式は、測定
値予測技術、すなわち、前回の補正値Uの影響を受けた
定寸点の下で加工された少なくとも1個のワークのうち
今回の補正値Uが決定された後に全数測定機16により
測定されるものの各々につき、それの各回の実際の測定
値Xと今回の補正値Uとに基づき、それら各ワークが今
回の補正値Uの影響を受けた定寸点の下で加工されたと
仮定した場合にそれら各ワークについて取得されるべき
測定値を予測するという技術を、間欠的補正に応用する
ことによって取得されたものであるが、この測定値予測
技術は、前記連続的補正に応用することもできる。
【0116】加工機10と全数測定機16との間に待機
ワークが存在する場合には、連続的補正を実行する際に
おいても、前回の補正値Uの影響を受けたワークを直ち
に全数測定機16により測定することができないという
事情は同じである。そのため、この場合には、実験結
果,シミュレーション結果等に基づく統計的手法によ
り、今回の補正値Uを決定することになる。そして、そ
の統計的手法に代えてこの測定値予測技術を利用するこ
とができるのである。
【0117】(2) むだ時間考慮型補正 全数測定機16による測定を待つ待機ワークの数が変動
する場合には、複数のワークを同じ定寸点の下で加工し
た場合であっても、ワークの寸法誤差が変動する。そこ
で、本実施例においては、その待機ワークの数をむだ時
間MSとして測定し、それに応じて補正値Uの決定規則
を変更することにより、各回の補正値Uを決定するむだ
時間考慮型補正も採用されている。なお、この技術は、
本出願人の特願平4−158787号として出願されて
いる。
【0118】なお、本実施例においては、このむだ時間
考慮型補正の実行の許否も作業者によって指令されるよ
うになっている。
【0119】 (3) ファジィ演算を用いた補正値Uの決定 補正値Uは、寸法情報を入力変数としてファジィ演算を
行うことによって決定される。
【0120】本実施例においては、補正値Uの決定方式
として3種類存在する。すなわち、 誤差値Rおよび
微分値Tのみをそれぞれ入力変数としたファジィ演算に
よる第1の決定方式と、 誤差値R,微分値Tおよび
2回微分値Dをそれぞれ入力変数としたファジィ演算に
よる第2の決定方式と、 誤差値R,微分値Tおよび
むだ時間MSをそれぞれ入力変数としたファジィ演算に
よる第3の決定方式とが存在するのである。そして、本
実施例においては、前記2回微分値使用指令が出された
場合には第2の決定方式、前記むだ時間考慮型補正指令
が出された場合には第3の決定方式、それら指令がいず
れも出されなかった場合には第1の決定方式がそれぞれ
選択される。
【0121】なお、第1の決定方式の一具体例は本出願
人の特願平4−61305号明細書に既に開示され、第
2の決定方式の一具体例は本出願人の特願平4−235
402号明細書に既に開示され、第3の決定方式の一具
体例は本出願人の特願平4−158787号明細書に既
に開示されている。
【0122】(4) 連続性考慮 前述のように、測定ワーク数iの増加につれてワークの
寸法誤差がほぼ比例的に増加するのが一般的であるた
め、定寸点の補正値Uに連続性を持たせること、すなわ
ち、加工の進行につれて滑らかに変化させることがワー
クの寸法ばらつきを抑制するのに望ましい。そこで、本
実施例においては、その事実に着目し、図23にグラフ
で概念的に示すように、まず、連続性を無視して補正値
Uが決定され、それが暫定値(以下、「暫定補正値U」
という。なお、前述の暫定補正値UP とは異なる)とさ
れ、今回までに取得された最新のM(2以上の固定値)
個の暫定補正値Uが測定ワーク数iの増加に対してほぼ
比例すると仮定され、それらM個の暫定補正値Uについ
て前記の場合と同様な1次回帰線の式が特定される。そ
して、その式を用いて現在の補正値Uの真の値が推定さ
れ、それが補正値Uの最終値(以下、「最終補正値
* 」という。なお、前述の最終補正値UF とは異な
る)とされる。なお、この技術は、本出願人の特願平4
−61306号として出願されている。
【0123】具体的には、1次回帰線の式として、例え
ば、
【0124】
【数7】
【0125】なる式が採用される。ただし、 x:測定ワーク数iの値 x′:M個のxの値の平均値 y:xの各値における暫定補正値Uの真の値 U:xの各値における暫定補正値Uの計算値 U′:M個の暫定補正値Uの計算値の平均値
【0126】そして、上記式の「x」に今回の測定ワー
ク数iの値を代入すれば、今回の最終補正値U* が取得
されることになる。
【0127】なお、本実施例においては、この連続性考
慮型補正の実行の許否も作業者によって指令されるよう
になっている。
【0128】また、作業者からその連続性考慮型補正指
令が出された場合(ただし、前記2回微分値使用指令は
出されていない場合)に測定値Xから最終補正値U*
取得されるまでの過程を代表的に、図24に概念的に図
示する。この図は、それの左側から右側に向かうにつれ
て、測定ワーク数iの値が増加することとして表されて
いる。図から明らかなように、演算データメモリへの測
定値Xの蓄積を無蓄積状態から開始する場合には、(K
+L+M−2)個の測定値Xが蓄積されたときに初めて
1個の最終補正値U* が取得されることになるであり、
これが前述の、測定値Xの蓄積に係る「設定複数個」の
一態様なのである。
【0129】(5) 不感帯考慮 前述のように、主補正および補助補正に係る最終補正値
* の送信については、定寸装置14との関係における
不感帯が設定され、各回に決定した最終補正値U* がそ
の不感帯内にある場合には、その最終補正値U* の定寸
装置14への送信が省略される。この様子を図25にグ
ラフで概念的に示す。
【0130】(6) その他 制御装置20は、定寸装置14による手動補正が行われ
た場合には、手動補正を自動補正より優先させるととも
に、手動補正の直後であっても自動補正の精度が確保さ
れるように設計されている。具体的には、制御装置20
は、定寸装置14において手動補正が行われたか否かを
逐次監視し、行われない場合には自動補正を行うが、行
われた場合には自動補正を中断し、その手動補正の影響
を受けた定寸点の下で加工された先頭補正対象ワークが
全数測定機16により測定される時期以後に、測定値X
の演算データメモリへの蓄積を無蓄積状態から再開して
自動補正を再開するようにも設計されている。制御装置
20は、自動補正値を決定するために過去の測定値Xを
も使用するように設計されており、しかも、この制御装
置20が使用される加工システムにおいては加工機10
と全数測定機16との間に待機ワークが存在することが
許容されることから、手動補正の影響を受けていないワ
ークの測定値Xをその影響を受けたワークの測定値Xと
区別することなく蓄積し、その蓄積された測定値Xに基
づいて自動補正値を決定することとした場合には、手動
補正の影響を受けていないワークの測定値Xにより自動
補正値の精度が低下するおそれがあるからである。
【0131】また、本実施例においては、定寸装置14
における手動補正の有無の監視が、制御装置20の起動
当初と、制御装置20が各回の自動補正値を送信しよう
とするごとにそれに先立って行われるようになってい
る。制御装置20の起動当初にも定寸装置14における
手動補正の有無を監視するのは、制御装置20の停止中
に定寸装置14において手動補正が行われることがある
からである。
【0132】以上、制御装置20による定寸点補正の内
容を概略的に説明したが、以下、定寸点補正ルーチンを
表す図5〜10のフローチャートに基づき、具体的に説
明する。
【0133】図5のフローは、図11の第1ステップ
「入力」の処理を行うものであり、まず、ステップS1
(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても
同じとする)において、補助記憶装置22から数値や指
令がパラメータとして入力される。ここに「数値」と
は、前述の、移動平均値Pに係る重み係数bの値,代替
制限数Z,補助補正制限数S等を意味し、また、「指
令」とは、前述の、特別移動平均値算出指令等を意味す
る。
【0134】続いて、S2において、定寸装置14が最
新の手動補正値および定寸点を制御装置20に送信する
機能(以下、「手動補正値送信機能」という)を有して
いるか否かが判定される。ここに、手動補正値送信機能
を有する場合とは、定寸装置14が、作業者によりキー
ボード50を介して定寸装置14に入力された手動補正
値およびそれを反映した定寸点を自身のRAMに記憶す
るのみならず、制御装置20に自発的に送信するように
設計されている場合をいい、一方、手動補正値送信機能
を有しない場合とは、定寸装置14は、入力された手動
補正値およびそれを反映した定寸点を自身のRAMに記
憶するのみで、制御装置20に自発的に送信するように
は設計されていない場合をいう。
【0135】定寸装置14は前述のように、この手動補
正値送信機能を有しているため、このS2の判定はYE
S(図において「Y」で表す。他のステップについても
同じとする。)となる。したがって、S3に移行し、こ
こにおいて、制御装置20が、定寸装置14からの最新
の定寸点を表す信号の受信を許可する受信許可状態とな
り、最新の定寸点が受信される。受信された最新の定寸
点は制御装置20のRAMに記憶されるとともに、補助
記憶装置22に保存される。
【0136】その後、S4において、定寸装置14のR
AMのフラグの状態から手動補正があったか否かが判定
される。手動補正がなかったと仮定すれば、判定がNO
となり、直ちにS8に移行するが、あったと仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S5において、制御装置20
が、定寸装置14からの最新の手動補正値を表す信号の
受信を許可する受信許可状態となり、その最新の手動補
正値が受信される。受信された最新の手動補正値は、制
御装置20のRAMに記憶され、さらに補助記憶装置2
2に保存される。その後、S6において、演算データメ
モリがクリアされる。手動補正と共に演算データメモリ
に蓄積されているデータがすべて消去されるのである。
その後、S8に移行する。
【0137】以上、S2の判定がYESとなる場合につ
いて説明したが、仮に定寸装置14が手動補正値送信機
能を有していないと仮定すれば、判定がNO(図におい
て「N」で表す。他のステップについても同じとする)
となり、S7において、制御装置20が、定寸装置14
のRAMから最新の定寸点を読み込んで制御装置20の
RAMに記憶する状態となり、さらに、その最新の定寸
点が補助記憶装置22に保存される。
【0138】ここで、制御装置20が定寸装置14にお
ける最新の手動補正値と定寸点とをそれぞれ監視する目
的について説明する。
【0139】まず、制御装置20が最新の定寸点を監視
する目的について説明する。制御装置20、定寸装置
14の定寸点の補正値(現在の定寸点を変動させる量)
を自動的に決定し、その決定した補正値に従って定寸装
置14自身の定寸点を補正する。しかし、定寸点が取
り得る範囲には制限があり、それを超える定寸点が決定
された場合には、定寸装置14の作動が停止させられ
る。始業時等に、精度よく目標寸法に加工されたマスタ
ワークが加工機10にセットされ、インプロセス測定機
12が、それのセンサの直線性が保証される範囲のほぼ
中央の値がマスタワークの寸法を表すように調整され、
その状態のインプロセス測定機12の出力値が定寸装置
14の定寸点として設定される。したがって、実際のワ
ークのインプロセス測定機12による測定値が定寸点に
達した時点で加工を停止すれば、ワークの寸法はほぼマ
スタワークの寸法、すなわち目標寸法に等しい寸法にな
るはずである。しかし、実際には、マスタワークの測定
は回転停止状態で行われるのに対し、実際のワークの測
定は回転中に行われ、また、ワークの加工による温度上
昇やインプロセス測定機12の使用に伴う零点変動等も
発生するため、定寸装置14に設定された定寸点におい
て加工を終了したワークの寸法が全数測定機16によっ
て測定された場合に、目標寸法にほぼ等しい寸法になっ
ているとは限らない。そこで、定寸点の自動補正が行わ
れるのであるが、マスタワークの測定に基づいて設定さ
れた定寸点からの累積補正量が大きくなると、インプロ
セス測定機12のセンサの直線性が保証される範囲から
外れる等の問題が発生する。また、上記累積補正量が通
常予測される範囲を超える場合には、何らかの異 常が発
生した可能性もある。そのために、定寸点の取り得る範
囲、すなわち上記累積補正量には制限が設けられている
のであり、累積補正量がこの制限を越えた場合には、再
びマスタワークの測定等必要な措置がとられる必要があ
る。そこで、本実施例においては、定寸装置14の最新
の定寸点を逐次監視し、自動的に決定した補正値でその
定寸点が補正されるとそれの許容範囲を超えてしまう場
合には、その自動補正値の定寸装置14への送信が禁止
されるようになっているのである。このように、定寸装
置14の事情を考慮しない一方的な自動補正によって定
寸装置14の定寸点が許容範囲を超えることを防止する
ために、制御装置20は定寸装置14における最新の定
寸点を監視するのである。なお、定寸装置14において
定寸点が許容範囲を超えることとなる場合に自動補正値
の送信を禁止する処理は、図示しない別のルーチンの実
行によって実現される。
【0140】次に、制御装置20が最新の手動補正値を
監視する目的について説明する。制御装置20は、前述
のように、作業者により前記データシフト処理の使用を
許可するデータシフト処理指令が出された場合には、全
数測定機16による最新の測定値Xに基づき、加工機1
0により加工されたが未だ全数測定機16により測定さ
れてはいない各ワークが最新の補正値Uの影響を受けた
定寸点の下で加工されたと仮定した場合にそれら各ワー
クについて測定される値を予測する。この際、定寸装置
14の定寸点が制御装置20により自動補正されている
場合には、全数測定機16による最新の測定値Xに最新
の自動補正値を加算することによって上記予測が行われ
る。それに対して、定寸装置14において定寸点が手動
補正された場合には、制御装置20において、最新の測
定値Xに最新の手動補正値を加算することによって上記
予測が行われる。したがって、定寸装置14において定
寸点が手動補正されたにもかかわらず、制御装置20に
おいてその手動補正値を取得することができなければ、
手動補正値の影響を考慮して測定値Xの予測を行うこと
ができない。そのため、定寸装置14における最新の手
動補正値を制御装置20において監視する必要があるの
である。
【0141】定寸装置14が手動補正値送信機能を有し
ている場合も有していない場合もその後、S8におい
て、全数測定機16により測定された測定値Xであって
未だ全数測定機16から制御装置20に送信されていな
いものの有無が判定される。今回はそのような測定値X
がないと仮定すれば、判定がNOとなり、S9に移行す
る。
【0142】このS9においては、前記S2と同様にし
て、定寸装置14が手動補正値送信機能を有しているか
否かが判定される。定寸装置14は手動補正値送信機能
を有しているから、判定がYESとなり、S10におい
て、前記S4と同様にして、定寸装置14において手動
補正があったか否かが判定される。
【0143】今回手動補正がなかった場合には、判定
がNOとなり、S11ないしS14において、S1で入
力されたパラメータの、作業者によるキー入力に応じた
変更処理が行われる。すなわち、S8において全数測定
機16の測定値Xがなく、S10において定寸装置14
における手動補正もないことが判明し、かつ、S11に
おいてキー入力が行なわれたことが判明した場合に、移
動平均値Pに係る重み係数bの値,代替制限数Z,補助
補正制限数S等の数値や、特別移動平均値算出指令等の
指令の変更が行われるのである。まず、S11におい
て、制御装置20に接続されているキーボード(図示し
ない)が作業者により操作されたか否か、すなわち、作
業者によるキー入力の有無が判定される。無ければ判定
がNOとなって直ちにS8に戻るが、作業者によるキー
入力が有ればS11の判定がYESとなり、S12にお
いて、そのキーボードからデータが入力され、S13に
おいて、そのデータに応じて前記パラメータが変更さ
れ、さらに、その変更されたパラメータが補助記憶装置
22に保存され、その後、S14において、演算データ
メモリがクリアされ、その後、S8に戻る。
【0144】これに対して、今回手動補正があった
合には、S10の判定がYESとなり、S15におい
て、前記S5と同様にして定寸装置14から最新の手動
補正値が受信されて記憶され、続いて、S16におい
て、後述のワーク待ちフラグがONされ、S17におい
て、演算データメモリがクリアされる。その後、S8に
戻る。
【0145】これに対して、定寸装置14が手動補正値
送信機能を有していない場合には、S9の判定がNOと
なり、S18において、定寸装置14から最新の定寸点
が読み込まれ、それがRAMに記憶されるとともに、補
助記憶装置22に保存され、その後、S19において、
補助記憶装置22から前回の定寸点が入力される。その
後、S20において、今回の定寸点が前回の定寸点から
変更されているか否かが判定される。すなわち、手動補
正値送信機能のない定寸装置において手動補正が行われ
たか否かが、定寸点の変化状況から判定されるのであ
る。今回定寸点の変更はない場合には、判定がNOと
なり、直ちにS11に移行するが、定寸点の変更があっ
場合には、S20の判定がYESとなり、S21にお
いて、ワーク待ちフラグがONされ、S22において、
演算データメモリがクリアされ、その後、S11に移行
する。
【0146】以上、全数測定機16において送信すべき
測定値Xがない場合について説明したが、あった場合に
は、S8の判定がYESとなり、S23において、その
測定値Xが全数測定機16から入力される。測定値X
は、7個のジャーナル面すべてについて個々に入力され
る。その測定値Xは演算データメモリに蓄積されるとと
もに補助記憶装置22に保存され、その後、図のS2
4に移行する。
【0147】図6のフローのうちS24からS36まで
は、図11における第2ステップ「短周期変動除去」と
して、移動平均値Pを取得する処理を行うものである。
まず、S24において、前記パラメータの値に基づき、
作業者によりデータシフト処理指令が出されているか否
かが判定される。以下、まず、データシフト処理指令が
出されていない場合について説明する。
【0148】この場合、S24の判定がNOとなり、S
25において、ワーク待ちフラグがONであるか否かが
判定される。
【0149】このワーク待ちフラグは、定寸装置14に
おける定寸点であって最新の手動補正値または自動補正
値の影響を受けたものの下で加工された少なくとも1個
のワークのうち先頭のものである先頭補正対象ワークが
全数測定機16により測定されたか、それともその測定
を待っているのかを監視するためのものである。このワ
ーク待ちフラグは、OFFでその先頭補正対象ワークが
測定を終了したこと、すなわちワーク待ち状態にないこ
とを示し、一方、ONで先頭補正対象ワークが測定を終
了しないこと、すなわちワーク待ち状態にあることを示
す。このワーク待ちフラグはRAMに設けられており、
コンピュータの電源の投入に伴ってONされ、図示しな
い別のプログラムの実行により、その先頭補正対象ワー
クが全数測定機16による測定を終了するごとに、OF
Fされる。また、本ルーチンの実行により、手動補正が
行われるごとに、および各回の間欠的補正が終了するご
とに、ONされる。今回ワーク待ちフラグがONでは
ない場合には、S25の判定がNOとなり、S26に移
行する。
【0150】このS26においては、演算データメモリ
から過去の測定値Xが入力される。その後、S27にお
いて、今回の移動平均値Pの算出の可否が判定される。
演算データメモリに蓄積されている測定値Xの数がK個
以上であるか否かが判定されるのである。今回蓄積さ
れている測定値Xの数がK個以上ではない場合には、判
定がNOとなり、S28において、特別移動平均値算出
指令の有無が判定される。無ければ判定がNOとなり、
直ちにS8に戻る。したがって、本ルーチンの今回の実
行においては、結局、自動補正値すなわち最終補正値U
* が0とされることになる。
【0151】これに対して、特別移動平均値算出指令が
有れば、S28の判定がYESとなり、S29におい
て、可変型移動平均値算出指令の有無が判定される。無
ければ判定がNOとなり、S30に移行する。なお、可
変型移動平均値算出指令と代替型移動平均値算出指令と
は択一される指令であるから、可変型移動平均値算出指
令が無ければ必ず代替型移動平均値算出指令が有ること
になる。
【0152】このS30においては、代替型移動平均値
算出の可否が判定される。具体的には、演算データメモ
リに蓄積されている測定値Xの数がK(原則通り移動平
均値Pを算出するのに必要な測定値Xの数)−Z(代替
制限数)より小さいか否かが判定され、そうであれば、
代替型移動平均値算出が不可能である(正確には、禁止
されている)と判定され、そうでなければ可能である
(正確には、許可されている)と判定される。不可能で
あればS8に戻るが、本ルーチンの実行(S8以下のス
テップの実行)が何回も繰り返されるうちに可能となれ
ば、判定がYESとなり、S31において、今回の測定
値Xがそのまま今回の移動平均値Pとされ、S32にお
いて、それが演算データメモリに蓄積されるとともに、
補助記憶装置22に保存される。その後、S37に移行
する。
【0153】これに対して、可変型移動平均値算出指令
が有れば、S29の判定がYESとなり、S33におい
て、前記可変型移動平均値算出手法により移動平均値P
が算出され、S34において、それが演算データメモリ
に蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S37に移行する。
【0154】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、演算データメモリに蓄積されている測定
値Xの数がK個以上となった場合には、S27の判定が
YESとなり、S35において、移動平均値Pが原則通
り算出され、S36において、それが演算データメモリ
に蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S37に移行する。
【0155】図6の最下部に示されているS37および
S38は、図11における第3ステップ「両端直径補
正」を行う部分であり、S37においては、両端直径補
正指令の有無が判定され、無ければ判定がNOとなり、
直ちに図7のS39に移行するが、有れば判定がYES
となり、S38において、前記2個の端円筒面の移動平
均値Pについて前記両端直径補正が行われ、その結果に
応じて、演算データメモリの内容が変更される。その
後、図7のS39に移行する。
【0156】図7のS39からS54までのフローは、
図11における第4ステップ「寸法情報取得」に当たる
処理を行うものであり、S39においては、今回の移動
平均値Pから、ワークの寸法の目標値A0 を引いた値が
今回の誤差値Rとされ、続いて、S40において、それ
が演算データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装
置22に保存される。
【0157】その後、S41において、微分値Tの算出
の可否が判定される。演算データメモリに蓄積されてい
る移動平均値Pの数がL個以上であるか否かが判定され
るのである。今回移動平均値Pの数が不足している
合には、判定がNOとなり、S42に移行する。このS
42においては、可変型微分値算出指令の有無が判定さ
れ、無ければ判定がNOとなり、直ちにS8に戻って、
本ルーチンの今回の実行が終了するが、有れば判定がY
ESとなり、S43において、演算データメモリに蓄積
されている移動平均値Pが2個以上であるか否か、すな
わち、前記可変型微分値算出が可能であるか否かが判定
され、可能でなければ判定がNOとなり、直ちにS8に
戻るが、可能であれば判定がYESとなり、S44にお
いて、可変型微分値算出手法により今回の微分値Tが算
出され、S45において、それが演算データメモリに蓄
積されるとともに、補助記憶装置22に保存される。そ
の後、S48に移行する。
【0158】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、演算データメモリに蓄積されている移動
平均値Pの数がL個以上となった場合には、S41の判
定がYESとなり、S46において、微分値Tが原則通
り算出され、S47において、それが演算データメモリ
に蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存され
る。その後、S48に移行する。
【0159】このS48においては、2回微分値使用指
令の有無が判定され、有れば判定がYESとなり、S4
9において、2回微分値Dの算出の可否が判定される。
演算データメモリに蓄積されている微分値Tの数がQ個
以上であるか否かが判定されるのである。今回蓄積さ
れている微分値Tの数がQ個以上ではない場合には、判
定がNOとなり、直ちにS8に戻って、本ルーチンの今
回の実行が終了する。本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、演算データメモリに蓄積されている微分
値Tの数がQ個以上となった場合には、S49の判定が
YESとなり、S50において、前述のようにして2回
微分値Dが算出され、S51において、それが演算デー
タメモリに蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保
存される。その後、S55に移行する。
【0160】これに対して、2回微分値使用指令が無け
れば、S48の判定がNOとなり、S52において、む
だ時間考慮型補正指令の有無が判定される。無ければ判
定がNOとなり、直ちにS55に移行するが、有れば判
定がYESとなり、S53において、ワーク数カウンタ
18からむだ時間MSが入力され、S54において、そ
れが演算データメモリに蓄積されるとともに、補助記憶
装置22に保存される。その後、S55に移行する。
【0161】図7の最下部に示されているS55および
S56は、図11における第5ステップ「ファジィ演
算」に相当する処理を行う部分であり、S55において
は、ファジィ演算により暫定補正値Uが算出される。こ
のファジィ演算のためのファジィルールは3種類ある。
すなわち、 2回微分値Dを使用することもむだ時間
MSを考慮することもなく、誤差値Rと微分値Tとに基
づいて暫定補正値Uを算出するためのファジィルール
と、 2回微分値Dを使用することなく、誤差値Rと
微分値Tとむだ時間MSとに基づいて暫定補正値Uを算
出するためのファジィルールと、 むだ時間MSを考
慮することなく、誤差値Rと微分値Tと2回微分値Dと
に基づいて暫定補正値Uを算出するためのファジィルー
ルとがあるのである。そして、このステップにおいて
は、作業者からの指令に応じてファジィルールが選択さ
れ、それを用いてファジィ演算が行われ、誤差値R,微
分値T,2回微分値Dおよびむだ時間MSのうち必要な
ものに基づいて暫定補正値Uが算出されることになる。
その後、S56において、それが演算データメモリに蓄
積されるとともに、補助記憶装置22に保存される。そ
の後、図8のS57に移行する。
【0162】図8のフローは、図11における第6ステ
ップ「連続性考慮」に相当する処理を行うものであり、
S57においては、連続性考慮型補正指令の有無が判定
され、無ければ判定がNOとなり、S58において、暫
定暫定値Uがそのまま最終補正値U* とされ、S59に
おいて、それが補助記憶装置22に保存される。これに
対して、連続性考慮型補正指令が有れば、S57の判定
がYESとなり、S60において、連続性考慮型補正の
可否が判定される。演算データメモリに蓄積されている
暫定補正値Uの数がM個以上であるか否かが判定される
のである。今回蓄積されている暫定補正値Uの数がM
個以上ではない場合には、判定がNOとなり、直ちにS
8に戻り、本ルーチンの今回の実行が終了する。その
後、本ルーチンの実行が何回も繰り返されるうちに、演
算データメモリに蓄積されている暫定補正値Uの数がM
個以上となった場合には、S60の判定がYESとな
り、S61において、演算データメモリに蓄積されてい
る最新のM個の暫定補正値Uに基づき、前述のようにし
て最終補正値U* が算出される。その後、S62におい
て、それが演算データメモリに蓄積されるとともに、補
助記憶装置22に保存される。
【0163】S59または62の実行が終了すれば、
9のフローへ移行する。図9のフローは図11における
第7ステップ「不感帯考慮」および第8ステップ「送
信」に相当する処理、ならびに補助補正の処理を行うも
のであり、S63において、補助補正指令の有無が判定
される。今回、無ければ判定がNOとなり、S64にお
いて、今回の最終補正値U* を定寸装置14に送信すべ
きか否か、すなわち、その最終補正値U* が不感帯から
外れているか否かが判定される。S64が特に不感帯考
慮ステップとなっているのである。今回、不感帯内にあ
れば、判定がNOとなり、S65において、前記ファジ
ィ演算において適合したファジィルールが補助記憶装置
22に保存される。その後、直ちにS8に戻って、本ル
ーチンの今回の実行が終了する。
【0164】これに対して、最終補正値U* が不感帯か
ら外れている場合には、S64の判定がYESとなり、
S66において、定寸装置14が手動補正値送信機能を
有しているか否かが判定される。有しているから判定が
YESとなり、S67においてその定寸装置14におけ
る手動補正の有無が判定され、なければ判定がNOとな
り、S68において、最終補正値U* が定寸装置14に
送信され、それが補助記憶装置22に保存される。段落
0131において説明したように、本実施例において
は、定寸装置14における手動補正の有無の監視が、制
御装置20が各回の自動補正値を送信しようとするごと
にそれに先立って行われるのである。最終補正値U*
定寸装置14に送信された後、S69において、補助補
正指令が有るか否かが判定される。今回は無い場合であ
るから、判定がNOとなり、S70において、前記S6
5と同様に、適合したファジィルールが補助記憶装置2
2に保存される。
【0165】これに対して、定寸装置14において手動
補正があった場合には、S67の判定がYESとなり、
S71において、定寸装置14からの最新の手動補正値
および定寸点が受信されて記憶され、S72において、
ワーク待ちフラグがONされ、S73において、演算デ
ータメモリがクリアされ、その後、S8に戻る。
【0166】また、定寸装置14が手動補正値送信機能
を有してはいない場合には、S66の判定がNOとな
り、S74において、定寸装置14から最新の定寸点が
読み込まれ、それがRAMに記憶されるとともに、補助
記憶装置22に保存され、S75において、RAMから
前回の定寸点が読み込まれる。その後、S76におい
て、その前回の定寸点と最新の定寸点とから、定寸点の
変更があったか否かが判定され、すなわち、手動補正値
送信機能を有していない定寸装置において手動補正があ
ったか否かが判定され、変更がなければ判定がNOとな
り、前記S68に移行するが、あれば判定がYESとな
り、S77において、ワーク待ちフラグがONされ、S
78において、演算データメモリがクリアされ、その
後、S8に戻る。
【0167】これに対して、補助補正指令がある場合に
は、S63の判定がYESとなり、S79において、補
助補正の実行中であるか否かが判定される。補助補正の
実行回数を表す補助補正カウンタの値が1以上であるか
否かが判定されるのである。今回、0であれば、判定が
NOとなり、前記S64以下のステップ群に移行して前
記主補正が行われる。このステップ群のうちS69にお
いては、補助補正指令があるか否かが判定され、今回は
ある場合であるから、判定がYESとなり、S80にお
いて、補助補正カウンタの値が1だけインクリメントさ
れることになる。
【0168】これに対して、現在補助補正の実行中であ
って、補助補正カウンタの値が0ではない場合には、
79の判定がYESとなり、S81以下のステップ群に
移行して補助補正が行われる。S81においては、今回
の最終補正値U* (前記今回の暫定補正値UP に相当す
る)から前回の最終補正値U* を引いた値が今回の送信
値(前記今回の最終補正値UF に相当する)とされ、S
82においては、定寸装置14が手動補正値送信機能を
有しているか否かが判定される。有しているから判定が
YESとなり、S83において、その定寸装置14にお
ける手動補正の有無が判定され、なかった場合には、
定がNOとなり、S84において、その送信値が定寸装
置14に送信される。補助補正が行われるのである。そ
の後、S85において、その送信値が補助記憶装置22
に保存され、S86において、補助補正カウンタがイン
クリメントされ、その後、前記S80に移行する。一
方、手動補正があった場合には、S83の判定がYES
となり、S87において定寸装置14からの手動補正値
が受信され、S88において、ワーク待ちフラグがON
され、S89において、演算データメモリがクリアさ
れ、その後、S8に戻る。
【0169】これに対して、定寸装置14が手動補正値
送信機能を有してはいない場合には、S82の判定がN
Oとなり、前記S74以下のステップ群に移行して、自
動補正の許否が判定され、許可されればその自動補正値
が定寸装置14に送信されることになる。また、この場
合、S69の判定がYESとなり、S80において、補
助補正カウンタがインクリメントされる。
【0170】S70の実行が終了すると、図10のS9
0において、補助補正指令の有無が判定される。今回
無い場合には、判定がNOとなり、S91において、ワ
ーク待ちフラグがONされ、S92において、演算デー
タメモリがクリアされ、その後、S93において、デー
タシフト処理指令の有無が判定される。今回はない場合
であるから、判定がNOとなり、直ちにS8に戻る。
【0171】これに対して、今回補助補正指令がある
場合には、S90の判定がYESとなり、S94におい
て、今回の補助補正を終了させるべきであるか否かが判
定される。具体的には、補助補正カウンタの現在値が設
定値(図5のS1において補助記憶装置22から入力さ
れたもの)以上となったか否かが判定される。今回
うではない場合には、判定がNOとなり、直ちにS8に
戻る。
【0172】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、補助補正カウンタの現在値が設定値以上
となった場合には、S94の判定がYESとなり、S9
5において、今回の補助補正およびそれに先行する主補
正のうち少なくとも今回の補助補正において定寸装置1
4に送信された補正値すべての和(以下、「合計補正
値」という)が算出される。その後、S96において、
その合計補正値が0であるか否か、すなわち、少なくと
も今回の補助補正が本当に必要な時期に行われなかった
と推定されるから今回の補助補正を続行する必要がある
か否かが判定される。今回その必要がない場合には、
判定がNOとなり、S97において、ワーク待ちフラグ
がONされ、S98において、演算データメモリがクリ
アされ、S99において、データシフト処理指令の有無
が判定される。今回はない場合であるから、判定がNO
となり、直ちにS8に戻る。
【0173】これに対して、今回の補助補正を続行する
必要がある場合には、S96の判定がYESとなり、S
100において、補助補正再開指令の有無が判定され
る。今回は補助補正再開指令ではなく、補助補正延長指
令がある場合には、判定がNOとなり、S101におい
て、補助補正カウンタの値が1とされ、その後、S8に
戻る。したがって、本ルーチンの次回の実行時には、補
助補正カウンタの現在値が0ではないため、図9のS7
9の判定がNOとなり、S64に移行することになる。
【0174】これに対し、今回は補助補正延長指令では
なく、補助補正再開指令が有る場合には、図10のS1
00の判定がYESとなり、S102において、補助補
正カウンタの値が0とされ、その後、S8に戻る。した
がって、本ルーチンの次回の実行時には、補助補正カウ
ンタの現在値が0であるから、図9のS79の判定がY
ESとなり、S81に移行することになる。
【0175】ワーク待ちフラグがONされている状態で
図6のS25が実行される場合には、それの判定がYE
Sとなり、S103において、演算データメモリがクリ
アされ、その後、S8に戻ることになる。すなわち、定
寸点の手動補正または自動補正の直後からは、図5のS
23の存在にもかかわらず、演算データメモリへの測定
値X等の蓄積は事実上行われず、その最新の手動補正ま
たは自動補正の影響を受けた定寸点の下で加工されたワ
ークが最初に全数計測機16により測定されたときにワ
ーク待ちフラグがOFFされ、図6のS25の判定がN
Oとなり、演算データメモリへの測定値X等の蓄積が再
開されることになるのである。
【0176】以上、データシフト処理指令が出されてい
ない場合について説明したが、次に、出されている場合
について説明する。
【0177】この場合には、図6のS24の判定がYE
Sとなり、S104以下のステップ群に移行する。S1
04においては、データシフト処理を禁止するべきであ
るか否かが判定される。最新の手動補正値または自動補
正値に係る先頭補正対象ワークについて全数測定機16
による測定が終了した場合には、もはやデータシフト処
理を行う必要がなく、行うとかえって測定値Xの誤差が
増加してしまうから、このような場合にはデータシフト
処理を禁止するのである。
【0178】先頭補正対象ワークの測定が終了したか否
かの判定は、具体的には、RAMに記憶されているデー
タシフト処理の目標回数(これの記憶については後述す
る)、すなわち、最新の手動補正値または自動補正値が
定寸装置14に送信されたときに加工機10と全数測定
機16との間に存在していたワークの数を、全数測定機
16により測定が終了するごとに1ずつ減算し、その結
果、0となったときに、先頭補正対象ワークの測定が終
了したと判定されるものである。
【0179】今回は未だ先頭補正対象ワークの測定が終
了していない場合には、判定がNOとなり、S105に
おいて、最新の手動補正値または自動補正値が今回のシ
フト量に決定され、その後、S106において、今回の
測定値Xにその今回のシフト量を加算することによって
今回の測定値Xが変更され、それが演算データメモリに
蓄積されるとともに、補助記憶装置22に保存される。
その後、S107において、演算データメモリから過去
の測定値Xが入力され、S27以下の、移動平均値Pの
算出に備える。
【0180】その後、図10のS93において、データ
シフト処理指令の有無が判定されれば、今回はある場合
であるから、判定がYESとなり、S108において、
ワーク数カウンタ18からむだ時間MSが入力され、次
回のデータシフト処理の目標回数としてRAMに記憶さ
れ、さらに、補助記憶装置22に保存される。その後、
S8に戻る。
【0181】また、同図のS99の判定も、上記の場合
と同様に、YESとなり、S109において、ワーク数
カウンタ18からむだ時間MSが入力され、次回のデー
タシフト処理の目標回数としてRAMに記憶され、さら
に、補助記憶装置22に保存される。その後、S8に戻
る。
【0182】このように、データシフト処理の目標回数
は、間欠的補正の終了に伴って行われることになるが、
図示はしないが、手動補正の終了に伴っても行われ、ま
た、本ルーチンの初回の実行に備えてそれの標準値が予
めROMに記憶させられている。
【0183】その後、本ルーチンの実行が何回も繰り返
されるうちに、最新の手動補正値または自動補正値に係
る先頭補正対象ワークについて全数測定機16による測
定が終了した場合には、図6のS104の判定がYES
となり、S110において、今回のシフト量が0とさ
れ、その後、S106に移行する。すなわち、今回は、
実際の測定値Xがそのまま演算データメモリに蓄積され
ることになるのである。
【0184】このように、データシフト処理が許可され
る場合には、ワーク待ちフラグのON・OFFとは無関
係に測定値Xの演算データメモリへの蓄積が行われ、そ
の結果、自動補正の間隔時間が短くなる。
【0185】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、加工機10が請求項1ないし6の各発明に
おける「加工機1」の一態様を構成し、定寸装置14お
よびモータコントローラ15が「加工機制御手段2」の
一態様を構成し、全数測定機16が「測定機3」の一態
様を構成し、ワーク数カウンタ18が「待機ワーク数カ
ウンタ6」を構成している。また、キーボード50と定
寸装置14のうちそのキーボード50の操作に応じて定
寸点を変更する部分とが互いに共同して「手動補正手段
4」の一態様を構成し、制御装置20のうち図5〜10
の定寸点補正ルーチンを実行する部分が「自動補正手段
5」の一態様を構成しているのである。
【0186】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、この他の態様で本発明を実施するこ
とができる。
【0187】例えば、上記実施例においては、演算デー
タメモリに蓄積されている測定値Xの数が前記設定複数
個に達しない段階でも、移動平均値P,誤差値R,微分
値T等が逐次算出されて演算データメモリに蓄積され、
蓄積されている測定値Xの数が設定複数個に達したとき
に1個の最終補正値U* が決定されるようになってい
た。しかし、蓄積されている測定値Xの数が設定複数個
に達しない段階では、それら移動平均値P等を全く算出
せず、蓄積されている測定値Xの数が設定複数個に達し
たときに初めて、それら移動平均値P等をまとめて算出
して1個の最終補正値U* を決定するようにして本発明
を実施することができる。
【0188】また、前記実施例は、クランクシャフトを
ワークとし、それの複数のジャーナル面(外周円筒面)
をそれぞれ加工部位として円筒研削する加工システムと
共に使用される定寸点補正装置に本発明を適用した場合
の一例であったが、他の加工システムと共に使用される
定寸点補正装置に本発明を適用することができるのはも
ちろんである。他の加工システムには例えば、自動車の
エンジンのシリンダブロックを加工すべきワークとし、
それに予め形成された複数のシリンダボア(内周円筒
面)をそれぞれ加工部位としてホーニングする加工シス
テムを選ぶことができる。
【0189】また、前記実施例は、複数の加工部位が設
定されているワークを加工する加工システムに本発明を
適用した場合の一例でもあったが、1個の加工部位しか
設定されていない加工システムにも適用することができ
るのはもちろんである。
【0190】また、前記実施例は、複数の加工部位が設
定されているワークを加工する加工システムであり、か
つ、それら加工部位すべてについてはインプロセス測定
機を備えていないものに本発明を適用した場合の一例で
もあったが、それら加工部位すべてについてインプロセ
ス測定機を備えている加工システムにも本発明を適用す
ることができるのはもちろんである。
【0191】これらの他にも特許請求の範囲を逸脱する
ことなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を
施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1ないし6の各発明の構成を概念的に示
す図である。
【図2】請求項1ないし6の発明に共通の一実施例であ
るフィードバック式の定寸点補正装置と共に使用される
加工システムにおいてクランクシャフトが砥石により研
削される状態を示す斜視図である。
【図3】上記加工システム全体を示すシステム図であ
る。
【図4】上記加工システムにおける加工機の構成を示す
図である。
【図5】図4における制御装置20のコンピュータによ
り実行される定寸点補正ルーチンの一部を示すフローチ
ャートである。
【図6】その定寸点補正ルーチンの別の一部を示すフロ
ーチャートである。
【図7】その定寸点補正ルーチンのさらに別の一部を示
すフローチャートである。
【図8】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一部
を示すフローチャートである。
【図9】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一部
を示すフローチャートである。
【図10】その定寸点補正ルーチンのさらにまた別の一
部を示すフローチャートである。
【図11】その定寸点補正ルーチンの処理全体の流れを
概念的に示す図である。
【図12】図11における短周期変動除去の内容を概念
的に示すグラフである。
【図13】その短周期変動除去の一例を説明するための
図である。
【図14】図13における短周期変動除去の一例を改良
した一例を説明するための図である。
【図15】図14における短周期変動除去の一改良例を
さらに改良した一例を説明するための図である。
【図16】図11における両端直径補正の内容を概念的
に示すグラフである。
【図17】図11における寸法情報取得において、誤差
値Rから微分値Tが算出される手法を概念的に示すグラ
フである。
【図18】定寸点補正の一方式である間欠的補正を概念
的に示すグラフである。
【図19】その間欠的補正の第1の方式を概念的に示す
グラフである。
【図20】その第1の方式の一実施態様を概念的に示す
グラフである。
【図21】図18の間欠的補正の第2の方式を概念的に
示すグラフである。
【図22】その第2の方式の一実施態様を概念的に示す
グラフである。
【図23】図11における連続性考慮の内容を概念的に
示すグラフである。
【図24】図5〜10の定寸点補正ルーチンにおいて測
定値Xから最終補正値U* が誘導される過程の一例を説
明するための図である。
【図25】図11における不感帯考慮の内容を概念的に
示すグラフである。
【符号の説明】
10 加工機 12 インプロセス測定機 14 定寸装置 15 モータコントローラ 16 全数測定機 20 制御装置 44 ポストプロセス測定機 50 キーボード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 15/04 G05B 19/404

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 複数のワークの各々を順に加工する
    加工機と、(b) 外部から供給される補正値に基づいて前
    記加工機の加工条件を決定し、その決定した加工条件に
    従ってその加工機を制御する加工機制御手段と、(c) 前
    記加工機により加工された複数のワークの各々の寸法を
    順に測定する測定機とを備え、かつ、それら加工機と測
    定機との間に測定機による測定を待つワークが存在する
    ことを許容する加工システムの、それら加工機制御手段
    と測定機とに接続されて使用されるべきフィードバック
    式加工条件補正装置であって、前記加工機と測定機との間において測定機による測定を
    待つワークである待機ワークの数を計数する待機ワーク
    数カウンタと、 作業者の指令に基づき、前記加工機により次に加工され
    るべきワークの前記加工条件の補正値を手動補正値とし
    て前記加工機制御手段に供給する手動補正を行う手動補
    正手段と、 前記測定機による測定値を逐次蓄積し、その逐次蓄積し
    た最新の測定値を含む複数の測定値の移動平均値を取得
    し、その移動平均値の前記最新の測定値と同時点におけ
    る値と、前記ワークの目標寸法との差である寸法誤差
    を、前記最新の測定値の各々に対応させて逐次取得し、
    少なくともそれら寸法誤差を含む寸法情報と前記待機ワ
    ーク数カウンタにより計数された待機ワーク数とに基づ
    いて、前記加工機により次に加工されるべきワークの前
    記加工条件の補正値を自動補正値として逐次決定して前
    記加工機制御手段に供給する自動補正を行い、前記手動
    補正手段により手動補正が行われたならばその自動補正
    を中断し、その手動補正手段から前記加工機制御手段に
    供給された手動補正値の影響を受けた前記加工条件に従
    って加工されたワークが前記測定機により測定される時
    期以後に、前記測定値の蓄積を無蓄積状態から再開して
    自動補正を再開する自動補正手段とを含むことを特徴と
    するフィードバック式加工条件補正装置。
  2. 【請求項2】 前記自動補正手段が、前記逐次取得され
    る寸法誤差と、それら逐次取得される複数の寸法誤差に
    対する1次回帰線の勾配である寸法誤差の変化傾向とを
    含む寸法情報に基づいて前記自動補正値を逐次決定する
    手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィード
    バック式加工条件補正装置。
  3. 【請求項3】 前記自動補正手段が、前記寸法情報を取得する 寸法情報取得手段と、 その寸法情報取得手段により取得された寸法情報に基づ
    いてファジィ演算によって前記自動補正値を決定する自
    動補正値決定手段とを含むことを特徴とする請求項2に
    記載のフィードバック式加工条件補正装置。
  4. 【請求項4】 前記自動補正手段が、前記移動平均値と
    して、前記蓄積した最新の測定値を含む複数の測定値
    の、後に蓄積されたものほど大きい重みを与えた重み付
    き移動平均値を取得するものである請求項1ないし3の
    いずれかに記載のフィードバック式加工条件補正装置。
  5. 【請求項5】 前記自動補正手段が、前記決定された自
    動補正値が予め設定された不感帯内にない場合にはその
    自動補正値に従って前記加工条件を補正するが、不感帯
    内にある場合には加工条件を補正しない手段を含む請求
    項1ないし4のいずれかに記載のフィードバック式加工
    条件補正装置。
  6. 【請求項6】 前記自動補正手段が、前記自動補正値に
    従って前記加工条件を補正した場合に、自動補正を中断
    し、その補正した加工条件に従って加工されたワークが
    前記測定機により測定される時期以後に、前記測定値の
    蓄積を無蓄積状態から再開して自動補正を再開する手段
    を含む請求項1ないし5のいずれかに記載のフィードバ
    ック式加工条件補正装置。
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