JPH08211076A - 表面観察方法とその装置および微細加工装置 - Google Patents

表面観察方法とその装置および微細加工装置

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JPH08211076A
JPH08211076A JP1668495A JP1668495A JPH08211076A JP H08211076 A JPH08211076 A JP H08211076A JP 1668495 A JP1668495 A JP 1668495A JP 1668495 A JP1668495 A JP 1668495A JP H08211076 A JPH08211076 A JP H08211076A
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JP
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probe
sample
electrons
substrate
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JP1668495A
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Toshiyuki Yoshimura
俊之 吉村
Shigeyuki Hosoki
茂行 細木
Akiyoshi Shigeniwa
明美 茂庭
Shinji Okazaki
信次 岡崎
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来観察困難であった段差が含まれる試料の表
面構造を高精度に観察すること。 【構成】MIS構造をとる探針105に電位を印加する
ことにより、先端から電子を放出させる。この状態で試
料101表面の極近傍を走査することで、原子間力顕微
鏡像と、電子線照射時に発生する二次電子像を検出す
る。二つの信号は演算処理装置111で、処理された上
で合成されて、表面構造の観察像を得る。 【効果】表面観察に電子線照射による二次電子信号の検
出、および探針と試料との原子間力を利用した表面走査
信号の検出の二つを用いるため、探針の先端形状の影響
を受けることが少ない、高精度な観察が可能となる。ま
た、被加工基板の性質に依存しない微細加工が可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体基板上における微
細パターンの表面観察方法およびその装置に関し、特に
凹凸の大きい表面構造を高精度に観察する表面観察方法
およびその装置に関する。更に同様の構造を有した微細
加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、試料表面の構造を観察する際に
は、走査型電子顕微鏡が用いられてきた。これは電子源
から発生した電子線を細く集束し、試料表面に走査しな
がら照射した際に、試料表面付近から発生する反射電子
または二次電子を検出器で検出することにより、表面を
観察する装置である。これにより、現在では1nm以下
の分解能が得られている。この方法は、反射電子または
二次電子のコントラストの大きい、特に段差や凹凸が含
まれている試料の観察に適しており、またレジストパタ
ーンの寸法測定に用いることもできる。ここで電子源と
しては、これまでタングステン等の金属の先端を先鋭化
したものが多く用いられてきた。これに対し、電子線を
発生させる方式として、例えば第41回応用物理学関係
連合講演会講演予稿集29p−ZN−6に記述されてい
るように、金属(M)、絶縁体(I)、半導体(S)の
MIS構造を取り、形状をコーン型として、電子線を先
端から放射させる方式が提案されている。
【0003】一方、試料表面の原子分子レベルでの状態
観察を行うために、近年「走査型プローブ顕微鏡」が注
目を集めている。これは図1に示すように、試料表面と
これに対して極近傍に設置した探針12(プローブ)、
および制御系(図示せず)からなっている。ここでは試
料の表面構成原子11と探針12間に働く相互作用13
を検出する手段を有し、試料または探針12を走査させ
る際に変化する探針の高さの変化等を検出し、この検出
信号を処理することにより試料表面の原子・分子レベル
の凹凸形状等の情報を表示する機構である。
【0004】例えば、初めに開発された「走査型トンネ
ル顕微鏡」では、導電性試料と極微細金属探針の間に流
れるトンネル電流が常に一定となるように、極微細金属
の走査時に圧電素子によって探針の高さが高精度に制御
される機構を有している。ここで各点において圧電素子
に印加された電圧を画像処理することにより、試料表面
の凹凸情報を表示する方式である。これによって、シリ
コン表面の原子配列状態を初めて明らかにすることや、
最近では金属中の電子状態を直接観察することも可能と
なっている。
【0005】また、トンネル電流の代わりに試料と探針
間に働く原子間力(ファンデァワールス力)を用いる
「原子間力顕微鏡」も開発された。上記の走査型トンネ
ル顕微鏡では基本的に試料としてトンネル電流が流れる
導電性物質に限られていたが、原子間力顕微鏡では相互
作用として電流ではなく力(原子間力)を用いているた
め試料に制限はなく、絶縁体試料表面の凹凸を観察する
ことも可能である。ここでは、主に探針に作用する原子
間力が一定となるように、探針の高さの変化を支持棒の
位置の変化で検出し、試料を載せる試料台の高さが制御
されている。支持棒の位置の変化情報の取得には、主に
レーザ光を支持棒に設置された鏡に照射し、その反射光
の位置変化を検出器で検出することにより実行してい
る。この原子間力顕微鏡を用いることで、これまで明確
にはわからなかった高分子等の絶縁体物質の分子レベル
の微細構造が明らかにされるようになってきた。
【0006】一方、走査型プローブ顕微鏡、特に走査型
トンネル顕微鏡を基板加工に応用する試みも行われてお
り、例えば公開特許公報昭61−251133号、公開
特許公報昭63−92025号、公開特許公報昭63−
232333号に開示された方法があげられる。ここで
は、探針先端から放射する電子線を被加工基板上に照射
して、レジスト材料を改質、あるいはエッチングにより
被加工基板自体を直接加工することが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の原理からわかる
ように、走査型電子顕微鏡は特に段差や凹凸がある試料
の観察に適しており、一方走査型プローブ顕微鏡は平坦
な試料の観察に適している。しかし、走査型電子顕微鏡
では平坦部分を原子・分子レベルで高精度に観察するこ
とは困難であり、一方走査型プローブ顕微鏡では試料に
段差や凹凸がある場合、高精度に観察を行なうことは困
難である。走査型プローブ顕微鏡は有限な太さの探針を
用いているために、試料に段差や凹凸があると探針の形
状を反映して、誤りの信号が検出される。例えば、先端
の曲率半径よりも小さな段差や凹凸が試料に含まれる
と、その段差や凹凸の底部分に探針の先端が到達しなく
なる。また、先端の曲率半径よりも大きな段差や凹凸が
試料に含まれると、その段差や凹凸の角部分に探針の先
端以外の場所が近接する。このため、何れの場合も先端
が試料表面から離れてしまい、正確な表面構造を検知で
きなくなる。
【0008】特に後者について図2に示した試料断面図
を用いて説明する。例えば、基板上のパターンの観察を
想定する。基板21上に、ここに示すようなパターン2
2を考える。これに垂直方向から集束電子線を照射した
際、電子は弾性散乱または非弾性散乱により、基板21
から比較的に高エネルギーで反射する。一般に、これら
の電子は「反射電子」と呼ばれている。あるいは、電子
線は試料内で非弾性散乱によりエネルギーを損失し、試
料構成原子から低エネルギーの電子を発生する。一般
に、これらの電子は「二次電子」と呼ばれている。以下
では、反射電子と二次電子をまとめて、二次電子と称す
ることとする。
【0009】発生した二次電子を、二次電子検出器によ
り捕捉した際に得られる二次電子検出信号23は、図に
示すようになる。また試料と探針間の相互作用を原子間
力とした場合、例えば原子間力が一定となるように探針
を走査した時に得られる探針検出信号24は、図に示す
ようになる。
【0010】このように、二次電子検出信号23はパタ
ーン22の上角部分において極大値を示す。ところが、
パターン22の上部表面の平坦部においては、信号強度
は低下しコントラストも低下し、微細構造の観察を行な
うことは困難となる。そして、パターン22の側面部に
おいては、その形状とほぼ同等の信号強度変化を示す。
【0011】一方、探針検出信号24はパターン22の
側面部およびパターンの間の領域においては、探針の太
さが有限であるため、探針の先端部以外の部分がパター
ン22の角部に近接することを反映して、実際の形状と
は異なる変化を示す。そして、パターン22の上部表面
の平坦部においては、その原子・分子レベルの微細構造
を反映した信号強度変化を示す。
【0012】このように、走査型電子顕微鏡では平坦部
分の高精度観察、走査型プローブ顕微鏡では段差や凹凸
が含まれる試料部分の高精度観察は困難であった。
【0013】また、走査型プローブ顕微鏡の探針から放
射する電子線を微細加工に用いる方法においては、被加
工基板が導体あるいは半導体であるか、導体あるいは半
導体上に形成された非常に薄い絶縁物に限られていた。
すなわち、探針と被加工基板の間にトンネル電流が流れ
ることが必要な要件となり、被加工基板の材料選択に制
限があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決のため、
本発明は、試料表面と試料に近接させた探針間に生じる
相互作用を検出する機構を有し、試料または探針を走査
させる際に変化する該探針の高さを検出し、この検出信
号を処理することにより該試料表面の凹凸情報を表示す
る表面観察方法および装置において、探針の先端から電
子を放射させて試料に照射して、その際に試料表面から
発生する二次電子を検出する手段を備え、上記の凹凸情
報と二次電子検出により得られた情報の二つを用いるこ
とにより、試料表面を観察することを行なうものであ
る。ここで探針は金属、絶縁体、半導体のMIS構造を
取り、半導体と金属間に電位差を付加することにより、
先端から電子を放射する機構を取る。そして、これらの
構造を有する装置において探針の先端から電子を放射さ
せて、被加工基板または探針を走査しながら、電子を被
加工基板に選択的に照射して、被加工基板を改質、また
は加工を行うものである。
【0015】
【作用】図3は、図2と同様にパターン断面図を示す。
基板31上に、レジストパターン32があると想定す
る。これに垂直方向から集束電子線を照射した際、発生
した二次電子を二次電子検出器により捕捉し得られた二
次電子検出信号33は、図に示すようになる。このよう
に、二次電子検出信号33はレジストパターン32の上
角部分において極大値を示す。ところが、レジストパタ
ーン32の上部表面の平坦部においては、信号強度は低
下しコントラストも低下し、微細構造の観察を行なうこ
とは困難となる。そして、レジストパターン32の側面
部においては、その形状とほぼ同等の信号強度変化を示
す。この結果は、例えば「表面化学」第11巻 第53
5頁から第541頁(1990年)に記載されているよ
うに、エネルギー損失モデルを考慮した計算結果とほぼ
一致する。
【0016】一方、レジストと探針間の相互作用として
原子間力を想定した場合、例えば原子間力が一定となる
ように探針を走査した時に得られる探針検出信号34
は、図に示すようになる。探針検出信号34はレジスト
パターン32の側面部およびパターンの間の領域におい
ては、探針の太さが有限であることを反映して、レジス
トパターン32の実際の形状とは異なる変化を示す。し
かし、レジストパターン32の上部表面の平坦部におい
ては、その微細構造を反映した信号強度変化を示し、高
精度な表面構造の情報である。
【0017】そこで、レジストパターン32の表面構造
を観察するに際して、領域を分けて表面情報とすればよ
い。即ち、レジストパターン32の側面部分およびパタ
ーンの間の領域の信号として二次電子検出信号33を用
い、レジストパターン32の上部表面平坦部分の信号と
して探針検出信号34を用いるようにすればよい。これ
らのことは、公知の信号処理装置により実現可能であ
る。これにより表面形状信号35が得られる。これは紙
面に平行な一回の走査で得られた信号であるため、紙面
に垂直な方向に少しずつ走査場所を移動することで得ら
れた表面形状信号を合成して、一定領域内のレジストパ
ターン32の立体形状を得ることができる。従って、従
来の方法に比べて凹凸が大きな試料の表面形状を高精度
に観測することが可能となる。
【0018】探針として、通常の原子間力顕微鏡では窒
化シリコン(Si34)や二酸化シリコン(SiO2
等の絶縁体が用いられることが多い。ここでは上述した
ように、金属、絶縁体、半導体のMIS構造を取り、半
導体と金属間に電位差を付加することにより、先端から
電子を放射する機構を有する探針を用いる。シリコンを
探針とする方法については、例えばアプライド フィズ
ィックス レターズ第57巻 第316頁から第318
頁(1990年)(Appl. Phys. Lett. 57, p316-p318
(1990).)に記載されている。この探針を公知の酸化方法
で表面酸化し、更に公知の方法で金属膜を形成すると、
所望の構造が得られる。これにより、上記の二つの観測
信号を同時に得ることができる。
【0019】即ち、まず図4(a)に示すように例えば
p型シリコン41を公知の方法である異方性エッチング
等で先鋭化したものを形成する。これに熱酸化等で表面
に酸化膜42を成長させ、その表面にタングステン等の
金属膜43を形成して探針とする。ここでp型シリコン
41が負電位となるように、p型シリコン41と金属膜
43の間に電位差を与える。(例えば、p型シリコン4
1を接地し、金属膜43に正電位を与える。)これによ
り図4(b)に示すように、バンド構造が変化する。こ
こでは右側から、p型シリコン41、酸化膜42、金属
膜43の各領域に対応する。そして、p型シリコン41
の伝導帯とフェルミ準位が近接するため、p型シリコン
41と酸化膜42の界面に電子の反転層が形成される。
ここで酸化膜42および金属膜43が十分に薄い場合、
印加された電位差により加速され、金属の真空準位以上
のエネルギーを有する電子は、トンネル効果により探針
の外側に放射される。
【0020】探針の形状は先鋭化されているために、電
界は先端部分に集中する。従って、先端部分においてバ
ンド構造の変化は最も顕著で、電子放射が主に探針先端
部から生じることになる。放射した電子線の径は探針先
端の曲率に依存し、先端が先鋭化されているほど電子線
の径は細くなる。この電子線を試料に照射して、試料表
面から二次電子を発生させる。そして探針を試料表面に
近接させることで電子線の広がりを抑え、探針と試料間
に原子間力を作用させて原子間力顕微鏡としても用いる
ことが可能となる。ここで、電子は大気中の分子により
散乱、吸収されるために、探針、試料、二次電子検出器
は真空中に保持していることが望ましい。 簡単のため
に、試料が導体であるとしてこれを接地(0V)する。
そして、上記の電位差を例えば5Vとする。ここでp型
シリコン41を接地(0V)する。この場合、探針の先
端から概ね5eVのエネルギーを有する電子線が放射さ
れる。探針の先端と試料間の距離を例えば5nmとする
と、探針先端と試料間の電界強度は10の7乗V/cm
と大きな値となる。通常の二次電子検出器は、10kV
程度の電位差により電子を誘引する構造を取る。ここ
で、二次電子検出器は試料から概ね10cm程度の距離
に設置されているため、この場合の電界強度は10の3
乗V/cm程度となる。従って、探針先端と試料間の電
界は、二次電子検出器等の外部電界に影響を受けないと
考えることができる。ここでは試料が導体であると仮定
して議論したが、試料が絶縁体の場合であっても同様の
議論をすることができる。その際、先端付近の電位が降
下する部分で電子が加速されるが、上記の値とほぼ同一
の大きさを有すると考えることができる。
【0021】電子線は探針先端と試料間の距離程度の広
がりを有するため、距離を短くすることにより広がりを
抑え、照射領域を局在化することができる。試料表面か
らは二次電子が発生するが、探針先端直下を除く領域で
は電界強度が弱いために、二次電子検出器の電界に誘引
されて捕獲され、二次電子信号として検出されることに
なる。従って、探針先端と試料間の距離を例えば10n
m以下とすると、10nm以下の高分解の二次電子信号
検出が可能となる。
【0022】また加工装置として見た場合、上記のよう
に探針自体から電子線が照射される構造であるため、被
加工基板の導電性に関わらず、電子線照射を行うことが
可能である。従って、被加工基板の材料に制限がないこ
ととなる。ここで加工方法としては、通常のレジストへ
の電子線照射、反応性ガス中での電子線照射によるエッ
チング、探針による機械的加工、あるいは強電界印加に
よる試料構成分子(原子)の除去・付加が含まれる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明について説明す
る。
【0024】(実施例1)本実施例では、探針の構成要
素としてp型シリコンを含む場合について説明する。公
知の方法で先端が先鋭化されたp型シリコンに、公知の
酸化方法で表面酸化膜を形成する。ここでは、酸素雰囲
気中に例えば900℃に15分間放置することにより、
8nmの表面酸化膜を形成する。そして、これに公知の
スパッタ法等で金属膜を被着させる。ここでは、例えば
タングステン(W)を5nmの膜厚で形成した。先端の
極率半径は、約10nmである。そして、公知の方法で
p型シリコンおよびタングステンに各々電極を接続し
て、電位を印加可能となるようにした。このようにして
形成されたものを探針として用い、以下に適用した。
【0025】試料101はXYZ駆動系102上に設置
されており、XYZ駆動系102の移動により、位置を
変化させる機構となっている。XYZ駆動系102に
は、水平(XY)方向の走査を制御するXY走査信号源
103と、鉛直(Z)方向の微小変位を制御するZ制御
信号源104が接続されている。上記の探針105に
は、微小移動を制御する圧電素子106と、電位を印加
するための電源107が接続されている。原子間力顕微
鏡として動作をさせるには、探針105を試料101に
接近させて、試料101−探針105間の原子間力が一
定となるようにXYZ駆動系102を駆動させるか、ま
たは鉛直方向の試料101の位置を一定にして走査させ
る。一般には前者が主に用いられている。ここでは探針
105の微小変位を検出する変位測定系108に入った
信号を、変位検出回路109に転送し、探針105の微
小変位を元に戻すようにZ制御信号源104を制御し、
Z方向の微小駆動を行なう。ここで変位測定系108と
しては、例えば公知のレーザ検出機構(光てこ法)を用
いる。
【0026】ここで、電源107により探針105のp
型シリコンに0V(接地)、タングステンに例えば10
Vを印加する。これにより、探針105の先端から電子
を放射させる。放射された電子は試料101表面に照射
される。これにより試料101表面から発生した二次電
子は、公知の半導体検出器等を備えた二次電子検出器1
10において検知される。Z制御信号源104からのZ
制御信号は原子間力顕微鏡像を得るために用いられ、二
次電子検出器110での検出信号は走査型電子顕微鏡像
を得るために用いられる。XY走査信号源103からの
走査信号は、上記二つの信号の試料面上での位置を規定
することに用いられる。(実際には、一回の走査で例え
ばX方向に探針105が走査され、図3に示すような信
号が得られる。そして、Y方向に微小変位させて、再び
X方向の走査が行なわれる。)各々の信号は演算処理装
置111に転送され、ここで信号処理がなされ、表示装
置112に観察結果が表示される。
【0027】電子は大気中の分子により散乱、吸収され
るために、探針、試料、二次電子検出器は真空中に保持
していることが望ましい。そこで、例えば図に示すよう
に、真空容器113に検出部分等が保持されている。真
空容器113にはターボ分子ポンプ等の真空ポンプ11
4が接続されており、高真空に達する構造となってい
る。ここで観察時の振動を低減するために、真空ポンプ
114の振動を真空容器113に伝えないための空気バ
ネ等の機構(図示していない)を有していることが望ま
しい。
【0028】上記の演算処理装置111における信号処
理方法としては、図6に示した方法を取る。まず、試料
101上を探針105で走査して得られたZ制御信号
(以下、原子間力顕微鏡像用走査信号とする)と、二次
電子検出信号(以下、走査型電子顕微鏡像用走査信号と
する)を比較する。ここで原子間力顕微鏡像用走査信号
に、分子サイズよりも遥かに大きい、例えば50nm以
上の段差があるかを判断する。この50nmという値は
これに限定されることなく、探針105先端の形状に依
存し、先端曲率半径と同等の値とする。原子間力顕微鏡
像用走査信号に段差が含まれない場合、この走査の際の
走査信号として原子間力顕微鏡像用走査信号を選択す
る。
【0029】段差が含まれる場合、走査型電子顕微鏡像
用走査信号を見て、図3に示したような信号強度の極大
値があるかを判断する。ここで顕著な極大値が認められ
ない場合、原子間力顕微鏡像用走査信号の段差信号は探
針105先端の形状に依存せずに、試料101表面の凹
凸を反映したものと判断でき、この走査の際の走査信号
として原子間力顕微鏡像用走査信号を選択する。ここで
極大値が認められたとしても、その半値幅が探針105
の極率半径よりも大きければ、正しい表面情報であると
みなす。
【0030】走査型電子顕微鏡像用走査信号に極大値が
認められる場合、原子間力顕微鏡像用走査信号の段差信
号は探針105先端の形状に依存しており、実際の形状
を反映していないと判断する。そこで図3に示したよう
に、走査型電子顕微鏡像用走査信号の極大値に挾まれた
平坦なパターン領域では、走査信号として原子間力顕微
鏡像用走査信号を選択する。そして、原子間力顕微鏡像
用走査信号の段差部分に対応した領域では、走査信号と
して走査型電子顕微鏡像用走査信号を選択する。これに
より、一回の走査で得られる走査信号として、両者を合
成した、より試料形状に近い検出信号が得られる。この
合成の際には、両者の強度変化とパターン寸法が合致す
るように自動補正される機構が含まれる。
【0031】以上のようにして、試料101表面の構造
を高精度に反映した検出信号を得ることが可能となる。
そして次の探針105の走査を行なって同様の処理をす
る。これを繰り返すことにより、観察領域の走査を終了
する。
【0032】試料101として、ここでは例えばシリコ
ン基板上に形成された、膜厚0.2μmの高分子レジス
トパターンを用いた。パターンには最小寸法0.1μm
のラインアンドスペースパターンが含まれており、従来
方法では表面構造を高精度に観察することが困難なもの
である。
【0033】試料101、および探針105位置の確認
後に、探針105を試料101に3nm程度にまで接近
させ、力を例えば2.0x10の−9乗N(ニュート
ン)と設定する。そして電源107から探針105の金
属膜(タングステン)側に例えば10Vを印加すること
により、探針105先端から集束電子線を放出させる。
この際、電子線により試料101が帯電しないように、
二次電子発生効率が大きな電位を与えることが望まし
い。ただし、電位は探針105先端部分が絶縁破壊しな
い程度の大きさであることが条件である。走査領域とし
ては、公知の走査型プローブ顕微鏡と同様に数nmか
ら、探針と試料間の距離は数Å(オングストローム)か
ら任意に選択できる。探針105を公知の原子間力顕微
鏡と同様に走査して、走査信号を得る。そして上記の手
順に従い、試料101表面の走査信号を選択する。これ
により、段差が含まれる試料に対しても、高精度な表面
観察を行なうことが可能となった。
【0034】上記の実施例では、探針の構成要素として
p型シリコンを含む場合について説明したが、n型シリ
コンを用いてもよい。その場合には、電位の極性を上記
とは逆にすればよい。また、材料としてはシリコンには
限らず、ヒ化ガリウム(GaAs)等のMIS構造が形
成可能な半導体材料であればよい。
【0035】また、試料表面に付着した表面吸着水は、
探針と試料との間に作用する原子間力を変化させ、観察
像を歪める原因の一つとなる。このため、赤外線ラン
プ、熱風循環器、ホットプレート等の加熱装置や、酸素
プラズマによる灰化処理、アルゴン等によるスパッタ処
理、エッチング処理等の表面処理装置(図示していな
い)により、表面吸着水を除去する機構を付加してもよ
い。また表面処理のために窒素ガスや塩素ガス等のガス
を導入するための、ガス導入口があってもよい。これに
より、観察像の分解能の向上が可能となる。
【0036】また、上記の実施例では走査型プローブ顕
微鏡として原子間力顕微鏡の場合を説明したが、試料と
探針との相互作用として、その他に磁気力、摩擦力の場
合であっても同様の結果が得られる。
【0037】上記は電子線照射による二次電子検出につ
いて述べたものであるが、印加電圧を100V程度以上
として、探針先端からの電子線のエネルギーを高めるこ
とも可能である。この際には、先端の絶縁破壊が起こら
ない程度の曲率半径、および探針と試料間の距離を選択
する。これにより試料表面に照射された電子線によっ
て、試料表面を構成する元素の内殻電子が励起されて、
オージェ電子が発生する。従って、公知のオージェ電子
検出器により検出することによって、試料表面付近の元
素分析を行うことが可能となる。
【0038】(実施例2)上記の実施例では、試料表面
の観察方法とその装置について述べた。ここでは同様の
構成を有する微細加工装置について述べる。既に述べた
ように、本発明の装置構成によれば、被加工基板の性質
に依存せずに低エネルギーの電子線を照射することが可
能である。
【0039】従って、通常の半導体基板上のレジスト材
料に、公知の電子線直接描画装置と同様に電子線を照射
することにより、レジスト材料を改質して、電子線照射
後の現像処理によりレジストパターンを形成することが
可能となる。ここで一般に照射電子エネルギーが低いほ
どレジスト感度は上昇するために、従来の電子線直接描
画方法に比べて、高感度なレジストプロセスが可能とな
る。ここでは、試料101、および探針105位置の確
認後に、探針105を試料101に5nm程度にまで接
近させる。そして電源107から探針105の金属膜
(タングステン)側に例えば5Vを印加することによ
り、探針105先端から集束電子線を放出させる。例え
ば、膜厚10nmの公知のネガ型高分子レジストに集束
電子線を照射した。電子線照射量は、例えば1μC/
(cmの2乗)とした。公知の現像処理を行うことによ
り、20nmのラインアンドスペースレジストパターン
を形成できた。
【0040】また、塩素ガス等の反応性ガスを流した雰
囲気中での低エネルギーの電子線照射により、エッチン
グによる被加工基板の直接加工が可能となる。その他に
探針による機械的加工、あるいは強電界印加による試料
構成分子(原子)の除去・付加が可能となる。この際に
は、上記のように被加工基板の性質によらず加工が可能
となることが、従来方法に比較して優れた点である。
【0041】その上、本装置によれば表面形状の観察が
可能であるために、電子線照射時に同時に表面観察がで
き、表面形状の変化をモニタしながら加工を行うことが
可能となり、高精度な微細加工を実現することができ
る。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、原
子間力顕微鏡で従来観測が困難であった段差を含む試料
についても、高精度に表面観察することが可能となり、
観察対象を広げることに大きな効果がある。また、被加
工基板の性質によらない微細加工を実現することに大き
な効果がある。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】走査型プローブ顕微鏡の説明図。
【図2】従来方法の問題点の説明図。
【図3】本発明の原理の説明図。
【図4】本発明で用いる探針の説明図。
【図5】本発明の装置の構成図。
【図6】本発明における信号処理の説明図。
【符号の説明】
11・・・表面構成原子、 12、105・・・探針、 13・・・相互作用、 21、31・・・基板、 22・・・パターン、 23、33・・・二次電子検出信号、 24、34・・・探針検出信号 32・・・レジストパターン、 35・・・表面形状信号、 41・・・p型シリコン、 42・・・酸化膜、 43・・・金属膜、 101・・・試料、 102・・・XYZ駆動系、 103・・・XY走査信号源、 104・・・Z制御信号源、 106・・・圧電素子、 107・・・電源、 108・・・変位測定系、 109・・・変位検出回路、 110・・・二次電子検出器、 111・・・演算処理装置、 112・・・表示装置、 113・・・真空容器、 114・・・真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 信次 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料表面と該試料に近接させた探針間に生
    じる相互作用を検出する機構を有し、該試料または該探
    針を走査させる際に変化する該探針の高さを検出し、該
    検出信号を処理することにより該試料表面の凹凸情報を
    表示する表面観察方法において、該探針の先端から電子
    を放射させて該試料に照射して、その際に該試料表面か
    ら発生する反射電子または二次電子を検出する手段を備
    え、該凹凸情報と該反射電子または該二次電子検出によ
    り得られた情報の少なくとも二つの情報を組み合わせて
    用いることにより、該試料表面を観察することを特徴と
    する表面観察方法。
  2. 【請求項2】該相互作用に基づく該凹凸情報は該試料表
    面の主に平坦部分、該反射電子または該二次電子による
    該情報は、該試料表面の主に側面部分の観察に用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載の表面観察方法。
  3. 【請求項3】該相互作用が原子間力であることを特徴と
    する請求項1および2記載の表面観察方法。
  4. 【請求項4】該探針は金属、絶縁体、半導体のMIS構
    造を取り、半導体と金属間に電位差を付加することによ
    り、先端から電子を放射することを特徴とする請求項1
    乃至3記載の表面観察方法。
  5. 【請求項5】試料表面と該試料に近接させた探針間に生
    じる相互作用を検出する機構を有し、該試料または該探
    針を走査させる際に変化する該探針の高さを検出し、該
    検出信号を処理することにより該試料表面の凹凸情報を
    表示する表面観察装置において、該探針の先端から電子
    を放射させて該試料に照射して、その際に該試料表面か
    ら発生する反射電子または二次電子を検出する手段を備
    え、該凹凸情報と該反射電子または該二次電子検出によ
    り得られた情報の少なくとも二つの情報を組み合わせて
    用いることにより、該試料表面を観察することを特徴と
    する表面観察装置。
  6. 【請求項6】該相互作用に基づく該凹凸情報は該試料表
    面の主に平坦部分、該反射電子または該二次電子による
    該情報は、該試料表面の主に側面部分の観察に用いるこ
    とを特徴とする請求項5記載の表面観察装置。
  7. 【請求項7】該相互作用が原子間力であることを特徴と
    する請求項5および6記載の表面観察装置。
  8. 【請求項8】該探針は金属、絶縁体、半導体のMIS構
    造を取り、半導体と金属間に電位差を付加することによ
    り、先端から電子を放射することを特徴とする請求項5
    乃至7記載の表面観察装置。
  9. 【請求項9】該表面観察装置の内、少なくとも該探針、
    該試料、および該二次電子検出手段が真空中に保持され
    ていることを特徴とする請求項5乃至8記載の表面観察
    装置。
  10. 【請求項10】被加工基板と、該被加工基板に近接させ
    た探針の先端から電子を放射させて、該被加工基板また
    は該探針を走査しながら、該電子を該被加工基板に選択
    的に照射して、該電子により被加工基板を改質、または
    加工する微細加工装置において、該被加工基板と、該探
    針の間に生じる相互作用を検出する機構を有し、そして
    該被加工基板または該探針を走査させる際に変化する該
    探針の高さを検出して、該被加工基板と該探針の距離を
    制御する機構を有し、更に該探針は金属、絶縁体、半導
    体のMIS構造を取り、半導体と金属間に電位差を付加
    することにより、先端から電子を放射する機構であるこ
    とを特徴とする微細加工装置。
  11. 【請求項11】被加工基板と、該被加工基板に近接させ
    た探針の先端から電子を放射させて、該被加工基板また
    は該探針を走査しながら、該電子を該被加工基板に選択
    的に照射して、該電子により被加工基板を改質、または
    加工する微細加工装置において、該被加工基板表面と該
    探針間に生じる相互作用を検出する機構を有し、該被加
    工基板または該探針を走査させる際に変化する該探針の
    高さを検出し、該検出信号を処理することにより該被加
    工基板表面の凹凸情報を検出する手段と、該電子を該被
    加工基板に照射した際に、該被加工基板表面から発生す
    る反射電子または二次電子を検出する手段を備え、該凹
    凸情報と該反射電子または該二次電子検出により得られ
    た情報の少なくとも二つの情報を組み合わせて用いるこ
    とにより、該電子線照射による微細加工中における該被
    加工基板表面の構造の観察が可能であることを特徴とす
    る請求項10記載の微細加工装置。
  12. 【請求項12】該相互作用が原子間力であることを特徴
    とする請求項10および11記載の微細加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106199078A (zh) * 2016-06-27 2016-12-07 上海交通大学 一种活体细胞表面形貌原子力显微镜快速精确表征方法

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106199078A (zh) * 2016-06-27 2016-12-07 上海交通大学 一种活体细胞表面形貌原子力显微镜快速精确表征方法
CN106199078B (zh) * 2016-06-27 2019-01-18 上海交通大学 一种活体细胞表面形貌原子力显微镜快速精确表征方法

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