JPH08208319A - 熱電対保護管用アルミナ焼結体とその製造方法 - Google Patents

熱電対保護管用アルミナ焼結体とその製造方法

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JPH08208319A
JPH08208319A JP7038966A JP3896695A JPH08208319A JP H08208319 A JPH08208319 A JP H08208319A JP 7038966 A JP7038966 A JP 7038966A JP 3896695 A JP3896695 A JP 3896695A JP H08208319 A JPH08208319 A JP H08208319A
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alumina
sintered body
sintering
temperature
fine
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JP7038966A
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Masaaki Takeshita
昌章 竹下
Yukimi Ogawa
幸美 小川
Sumihiko Kurita
澄彦 栗田
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Koransha Co Ltd
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Koransha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1600℃以下での耐熱性、耐蝕性、耐高温
クリープ特性に優れる熱電対保護管用アルミナ焼結体を
得る。 【構成】 99.5重量%以上の酸化アルミニウムから
成り、5μm以上の粗大結晶粒子と3μm以下の微細結
晶粒子の複合組成から成るアルミナ焼結体を得る。この
ために微細アルミナ原料に2から20重量%の粗大アル
ミナ原料を添加し、焼結助剤を添加したものを成形し、
これを1500℃未満の低温で焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱電対保護管用アルミ
ナ焼結体とその製造方法に係わり、更に詳しくは、16
00℃以下の使用温度域において耐高温クリープ特性に
優れた熱電対保護管用アルミナ焼結体と、その製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】耐熱性、耐蝕性が要求される分野におい
ては、セラミックス材料が多用されている。代表的な材
料としては、アルミナ、ジルコニア、ムライトなどの酸
化物セラミックス、窒化珪素、炭化珪素などの非酸化物
セラミックスが挙げられる。これらのセラミックス材料
の中で酸化物セラミックスは、比較的原料コストが安く
焼結が大気中で行えるため、非酸化物セラミックスに比
べ製造コストが安価になる利点がある。とくにアルミナ
セラミックスは、化学的安定性に優れ、融点も2050
℃と高いため、現在も耐熱性、耐蝕性が要求される分野
において重要な材料となっている。しかし耐熱性、耐蝕
性に優れるアルミナセラミックスは、酸化物セラミック
スであるために耐高温クリープ特性に劣る欠陥を有して
いる。クリープとは材料を高温下に曝した場合、その材
料の融点より低い温度で材料が外力によって塑性変形を
起こす現象である。多結晶アルミナセラミックスを12
00℃以上の高温に曝すと、アルミナ結晶粒子間で粒界
すべりが生じやすい。この現象が生じると、製品の変形
とこれに伴うクラック発生および材料強度の低下、気密
性の低下を起こし高温部材として使用困難となる。とく
に測温センサーの一種である熱電対温度センサーに使用
される熱電対保護管では、使用温度での高い耐高温クリ
ープ特性が要求される。
【0003】一般にアルミナをはじめとする酸化物セラ
ミックスを構成する各原子は、イオン結合と共有結合が
混在した形であり、炭化珪素などの非酸化物セラミック
スは共有結合から成る。この化学結合様式では、共有結
合がイオン結合よりも結合強度が強い。そのため120
0℃以上の高温では、イオン結合をもつ酸化物セラミッ
クスは、原子間の結合強度が低下し塑性変形を起こしや
すい。一方、非酸化物セラミックスは、共有結合によっ
て1200℃以上の高温でも塑性変形を生じにくい特性
を有する。しかし非酸化物セラミックスは、1300℃
以上の高温における酸化と、原料コストが高価なこと、
焼結工程で非酸化雰囲気での特殊な焼結炉が必要であ
り、さらに焼結体の加工性が悪いなどの多くの問題を抱
えており、これらの結果として製品コストが高い。
【0004】これを解決するには、製品コストが安価な
酸化物セラミックスを使用可能にすることが考えられ
る。酸化物セラミックスの中でも原料材種が豊富で、化
学的安定性に優れるアルミナセラミックスは、耐高温ク
リープ特性を改善すれば、低コスト性でかつ高温特性に
優れた材料となる。このアルミナセラミックスの耐高温
クリープ特性を改善した例として特開平5−14801
3号には、アルミナ含有量99.8重量%で焼結体の平
均結晶粒径を2μm以上とし、焼結温度を1500℃以
上とするようなアルミナセラミックスおよびその製造方
法が記載されている。この例では、アルミナ焼結体の結
晶粒径を2μm以上にすることによって、アルミナ結晶
粒子の粒界すべりを防止している。つまりアルミナ結晶
粒を大きくするために焼結温度を1500℃以上の高温
で行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この例においては、ア
ルミナセラミックスの結晶粒子を機械的強度が落ちない
範囲で大きくするために焼結温度を1500℃から17
00℃の高い温度範囲で製造している。焼結温度が高く
なれば当然アルミナの結晶粒子は粒成長を生じる。一般
にセラミックスの焼結工程は、焼結温度が高いほど焼結
費用が高くなる。すなわち焼結温度の上昇は、炉部材の
消耗、高級耐火物の使用、焼成エネルギーの増大を招
き、その結果として製品コストが高くなる。製品のコス
ト高は、材料の用途開発を妨げる一因である。また焼結
温度の上昇に伴い、製品の変形による寸法精度の低下が
起きやすい。焼結炉の操業条件にもよるが、一般的に製
造コストを考慮した炉の操業温度は、1500℃未満、
好ましくは1400℃以下が望ましい。とくに高温で使
用される測温センサーの一種である熱電対型測温センサ
ーの保護管は低コスト化が極めて重要であって、そのた
めに出来るだけ低温焼結可能でかつ焼結温度以上の高
温、実用的には1600℃までの高温での耐高温クリー
プ特性に優れるアルミナ焼結体が必要となる。しかし低
温焼結が可能で製造コストが安価でかつ焼結温度以上の
高温での耐高温クリープ特性に優れるアルミナセラミッ
クスは未だ開発されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上に鑑み、本発明者は
上記問題に関して鋭意研究を行った結果、次の知見を得
た。すなわち、
【0007】1. 99.5%以上の酸化アルミニウム
と焼結助剤を必須成分とするアルミナ焼結体であって、
該焼結体の結晶組織が主として結晶粒径5μm以上の粗
粒と3μm以下の細粒の混合組織からなることを特徴と
する熱電対保護管用アルミナ焼結体は、低温焼結可能で
耐高温クリープに関して顕著な特性を示すこと。 2. 実質アルミナ成分と焼結助剤からなるアルミナ焼
結体の該アルミナ成分の出発原料として、平均粒径1μ
m以下の細粒酸化アルミニウム粉末に平均粒径3μm以
上の粗粒酸化アルミニウム粉末が2〜20重量%混合さ
れたものに焼結助剤を添加したものを用い、該原料を成
形後、焼成後の結晶組織を主として結晶粒径5μm以上
の粗粒と3μm以下の細粒の混合組織にしてなるように
焼結すると良いことを見いだした。本発明は、上記知見
に基づいてなされたものである。
【0008】
【作用】本発明のアルミナ焼結体の純度は、高ければそ
れだけ耐熱性、耐蝕性が向上する。1600℃までの使
用温度で熱電対保護管として必要な耐熱性、耐蝕性、電
気絶縁性を有するアルミナ焼結体の純度は、99.5%
以上必要である。また本発明のアルミナ焼結体には焼結
助剤が必要である。この焼結助剤としてはアルカリ土類
金属酸化物がその代表であって、酸化マグネシウム、酸
化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムをそ
れぞれ単独または二種類以上アルミナ焼結体中に0.5
重量%以下含まれるように添加する。アルカリ土類金属
酸化物などの焼結助剤を添加しない場合、約1400℃
以下の保護管使用温度では、結晶粒成長がさほど進行し
ないが、使用温度が1450℃を越えるあたりから結晶
粒成長が進行し材料強度が低下する。焼結助剤を添加し
ない組成では、焼結温度よりも使用温度が高い場合、例
えば焼結温度1400℃、使用温度1600℃の場合で
は、使用中にアルミナ結晶粒の成長が急激に進み、焼結
後の曲げ強度300MPa以上の値が200MPa以下
に低下する。したがってアルカリ土類金属酸化物をはじ
めとする焼結助剤の添加は不可欠である。本発明ではア
ルミナに対してアルカリ土類金属酸化物をはじめとする
焼結助剤をアルミナ原料に対して酸化物換算で0.5重
量%以下になるように外部添加するが、これを越える焼
結助剤の添加は、アルミナ自体の純度が低下するために
耐熱性、耐蝕性が低下し好ましくない。これら焼結助剤
は、アルミナ焼結体の特性に悪影響を及ぼさないもので
あれば適時使用できるが、その中でも酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウ
ムなどのアルカリ土類金属酸化物が好ましい。
【0009】本発明のアルミナ焼結体においては、これ
を構成するアルミナ結晶粒径が重要である。焼結体は主
として5μm以上の粗大結晶粒子と3μm以下の微粒結
晶粒子から成る。本発明では、焼結温度を低くすること
で製造コストを下げ、かつ耐熱性、耐蝕性、耐高温クリ
ープ特性に優れるアルミナ焼結体を得ようとするもので
ある。一般に低温焼結性アルミナ焼結体は、1μm以
下、とくに0.5μm以下の平均粒径をもつ微細な原料
粉末を成形して1500℃未満の低温、好ましくは14
00℃以下で焼結する。しかし、このような低温焼結性
アルミナ焼結体は、焼結体を構成するアルミナ結晶粒子
径が3μm以下と極めて小さい特徴がある。耐熱性、耐
蝕性だけを考慮する場合は、この微細な原料粉末自体の
純度が99.5%以上であるために問題ない。耐高温ク
リープ特性がとくに必要となる熱電対保護管では、高温
での塑性変形が致命的な問題となる。つまりアルミナ焼
結体中の結晶粒径が小さすぎると、高温でアルミナの粒
界すべりによる塑性変形が約1400℃付近の低温度域
から生じる。例えば微細アルミナ原料に焼結助剤、例え
ば酸化マグネシウムを数100ppm添加して成形した
後、1400℃以下で焼結したアルミナ焼結体は、14
00℃以上の使用温度で著しい塑性変形を生じ、強度低
下を起こすので熱電対保護管には不向きである。
【0010】本発明では、1500℃未満、好ましくは
1400℃以下の低温焼結が可能であり、かつ1600
℃以下で耐熱性、耐蝕性、耐高温クリープ特性を高める
ために、アルミナ焼結体を構成する結晶粒子を粗大粒子
と微細粒子の二種類を混在させる必要がある。この焼結
体の製造方法としては、低温焼結性に優れる平均粒径1
μm以下、好ましくは0.5μm以下の平均粒径をもつ
微細アルミナ原料に対して平均粒径3μm以上の粗大ア
ルミナ原料を2から20重量%添加して1500℃未
満、好ましくは1400℃以下の低温で焼結する。使用
する粗大粒子原料は3μm以上の平均粒径を有すること
が望ましい。これ以下の平均粒径を有する原料では、焼
結後に5μm以上の粗大な結晶粒子に成長させることが
困難である。微細アルミナ原料は出来るだけ平均粒径が
小さいものが望ましく、微細原料単独で焼結した場合に
1500℃未満の温度で吸水率が0.1%以下に焼結可
能な原料ならば適時使用できる。この微細原料の平均粒
径はおおむね1μm以下、好ましくは0.5μm以下で
あることが望ましい。なお、粗大原料、微細原料両者と
もに出来るだけ純度が高いものが耐熱性、耐蝕性が高く
なるので、それぞれの純度は99.5%以上であること
が必要である。
【0011】微細原料に対する粗大原料の配合率は、耐
高温クリープ特性を高くするために粗大粒子の配合率が
高いほうが良い。しかし粗大粒子の配合率が高くなりす
ぎると1500℃未満、とくに1400℃以下での焼結
が困難となり吸水率が0.5%以上となり、熱電対保護
管に必要な気密性が保たれなくなる。これを吸水率0.
1%以下にできる焼結温度は、1500℃以上必要とな
り製造コストが著しく高くなる。本発明では低コスト化
が重要であるため、1500℃未満で焼結可能とするた
めに微細アルミナ粒子に対する粗大アルミナ粒子の配合
率は、2から20重量%の範囲が適当である。粗大アル
ミナ原料の配合率が2重量%未満になると焼結後のアル
ミナ焼結体中の粗大アルミナ結晶粒子数が減少して、も
はや1600℃までのアルミナ焼結体中の粒界すべりを
阻止できなくなる。
【0012】本発明のアルミナ焼結体を得るためには、
上述した微細アルミナ原料に所定の粗大アルミナ原料を
配合し、さらに焼結助剤として例えばアルカリ土類金属
酸化物をアルミナ焼結体中に0.5重量%以下含まれる
ような範囲で加え、通常のセラミックスの成形プロセ
ス、例えばラバープレス、スリップキャスティング、射
出成形、押し出し法などの管状セラミックスの成形法を
駆使して、目的の熱電対保護管形状に成形する。スリッ
プキャスト法では、保護管の端面封止は石膏型の形状で
簡単に行える。押し出し成形では、押し出した後に押し
出し用練り土で封止しても良い。ここでアルミナ原料に
添加する焼結助剤は、焼結後に酸化物の形になれば良い
ため、酸化マグネシウムの例では、炭酸マグネシウム、
水酸化マグネシウムなどが適時使用可能である。所定の
寸法の熱電対保護管形状に成形した後、必要に応じて生
加工、脱脂、脱脂体加工を経て焼結する。焼結は通常セ
ラミックスの焼結で使用される電気炉、ガス炉が使用で
き、製品の形状によって異なるが昇温速度300℃/時
間以下で1500℃未満、好ましくは1400℃以下の
焼結温度まで加熱し、同温度で1時間から4時間程度温
度保持を行い、炉冷することで耐熱性、耐蝕性、耐高温
クリープ特性に優れる熱電対保護管用アルミナ焼結体が
得られる。
【0013】本発明のアルミナ焼結体の耐熱、耐蝕性の
評価は、目的用途に併せて製造したアルミナ焼結体製保
護管を1400℃以上の使用環境下に曝露し、溶融、腐
食などの発生の有無を確認することにより行う。耐高温
クリープ特性は、実施例に示すように保護管または保護
管に近い形状のアルミナ焼結体を作製し、1600℃、
5時間保持条件下で曝露試験をした場合の保護管または
保護管に近い形状物の自重変形度から判断する。判断法
としては、耐火物に試験体を挿入し、耐火物端面より少
なくとも120mm以上突出させて耐火物共に炉内に設
置し、100℃/時間以上の昇温速度で1600℃まで
昇温し、同温度で5時間保持後、炉冷する。試験前後の
試験体と炉床までの高さを測定し、試験前後の高さ変化
(mm)を自重変形度とする。この自重変形度が15m
m以下であれば実用上問題は生じない。15mm以上に
なると粒界すべりによる製品の塑性変形が大きいことを
意味し、製品の変形部の引っ張り応力が負荷された部
分、すなわち粒界すべりにより伸びた部位は、結晶粒子
間に微細なクラックが生じ保護管の気密性の低下、強度
低下を生じる。さらに変形による保護管の耐火物からの
引き抜きの困難さの問題が生じる。なお、炉壁に試験体
を直接挿入し、炉内に突出させる方法でも同じ結果が得
られる。使用分野によってアルミナ焼結体の形状や使用
方法が異なるが、本発明のアルミナ焼結体は、1600
℃までの温度域で耐熱、耐蝕、耐高温クリープ特性と低
コスト性が要求される熱電対保護管に最適な焼結体であ
る。
【0014】本発明のアルミナ焼結体の結晶粒径は、耐
高温クリープ特性を左右する重要な因子である。この結
晶粒径の測定は、保護管形状のアルミナ焼結体を切断
し、平面研磨後、ラッピングを行い焼結体表面を鏡面仕
上げし、焼結温度以下で熱腐食を行う。この試料を電子
顕微鏡で観察したとき、5μm以上の粗大粒子の占める
面積率が20%以上でかつ3μm以下の微細粒子の占め
る面積率が80%以下であれば、耐熱、耐蝕、耐高温ク
リープ特性に優れる熱電対保護管として使用可能であ
る。この顕微鏡観察の視野は、粗大粒子と微細粒子が混
在した状態で少なくとも20個以上含まれるようにす
る。また各粒子の最大径を結晶径とする。各結晶の占有
面積は、画像解析装置を使用するか、各粒子について最
大径を直径とする円と見なして計算する。これらの結晶
粒径および結晶の占有面積は、異なる5視野について行
い平均値を採用する。
【0015】
【実施例】実施例によって本発明を説明する。 純度99.95%、平均粒径0.23μmの微細ア
ルミナ原料粉末に純度99.95%、平均粒径5μmの
粗大アルミナ原料を0から30重量%配合したアルミナ
原料に対して0から1%のアルカリ土類金属酸化物の一
種である酸化マグネシウムを加え、これに水および有機
系結合剤、潤滑剤、湿潤剤を添加して、十分混練して押
し出し用練り土を作製した。これを押し出し機に投入し
た。押し出し機の口金は外径3.5mmとし、熱電対素
線2本が通るように約0.4mm直径の中子を2本平行
に設置した。押し出し圧力は1平方センチメートル当た
り30kgfとし、全長約200mmの長さに押し出し
て切断した。成形体の端面を同組成の押し出し用練り土
で封止したのち、700℃、1時間保持の条件下で脱脂
を行い、さらに脱脂体を電気炉に入れ大気中で焼結可能
な温度で2時間焼結させた。焼結体に変形、割れは認め
なかった。得られた焼結体の鏡面研磨面のサーマルエッ
チィング処理面を電子顕微鏡で観察し5μm以上の粗大
アルミナ結晶粒径および3μm以下のアルミナ結晶粒径
の占有面積率を算出した。
【0016】得られた熱電対保護管形状を有するアルミ
ナ焼結体は、直径約3.2mm、長さ約165mmの管
状で一端が封止され、断面に約0.3mmの孔が2個並
列したものであった。次に100×100×70mmサ
イズのアルミナ質耐火物にドリルで直径約3.5mm、
長さ約30mmの穴をあけ、これに各アルミナ焼結体を
挿入し、耐火物面端より120mm突出させた。このア
ルミナ焼結体の一端が挿入されたアルミナ質耐火物を電
気炉に設置した。なお設置は、保護管が炉床に対して水
平でかつ80mm以上炉床と間が空くようにした。この
状態で昇温速度200℃/h,最高温度1600℃、保
持時間5hの条件下で曝露試験(クリープ試験)を行っ
た。アルミナ試験体は、耐火物面端より水平に120m
m突出しているため自重による外部応力を受けることに
なる。クリープ特性は、アルミナ試験体の炉床からの高
さh(mm)の試験前後の変化量(mm)を求め自重変
形度で評価した。変形度が小さいほど耐高温クリープ特
性が高いことを意味する。比較材料としては、純度9
9.95%のアルミナに酸化マグネシウムを0.05重
量%添加し、1800℃、1時間で高温焼結したアルミ
ナ焼結体を用いた。
【0017】表1に微細原料に対する粗大原料の配合率
と、酸化マグネシウムの添加率および焼結温度を示す。
また表2には、表1の番号に対応する各組成の焼曲度、
試験前後の曲げ強度値、焼結後の焼結体を構成するアル
ミナ結晶粒径の占有率を示す。ここで表中の番号10が
比較試料として用いた高温焼結タイプのアルミナ焼結体
である。微細アルミナ原料単独から成る試験体(試験体
番号1)は、クリープ(焼曲度試験)後の曲げ強度値の
低下が著しく、微細アルミナ原料に焼結助剤として酸化
マグネシウムを0.05重量%外部添加した組成(試験
体番号2)では、著しい塑性変形を示した。微細アルミ
ナ原料70重量%−粗大アルミナ原料30重量%ではク
リープ特性は優れるものの、1400℃焼結では完全に
焼結できず吸水性が0.5%以上残った。これらの完全
焼結には1500℃以上の高温が必要なことが表1から
明らかである。これに対して本発明の範囲である微細ア
ルミナ原料に粗大アルミナ原料を2から20重量%の範
囲で添加し、かつ酸化マグネシウムを0.5重量%以下
になるように外部添加した組成の焼結体は、焼曲度が1
5mm以下と小さく、1800℃高温焼結タイプのアル
ミナ焼結体(試験体番号11)と比較しても試験後の焼
曲度が遜色ない値であることが明らかである。ちなみ
に、焼結助剤として酸化マグネシウムを添加しない微細
粒子/粗大粒子配合によるアルミナ焼結体(番号9)
は、クリープ試験温度である1600℃の高温保持にお
いてゆっくりとした粒成長が起こり、試験後の曲げ強度
が200MPa以下に低下した。保護管の形状と突出長
さにもよるが、実用的な保護管の曲げ強度が約300M
Pa必要なことから焼結助剤を添加しない組成は使用困
難である。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】 実施例と同様に、各アルミナ焼結体
を1500℃の溶鋼測温用の熱電対保護管(直径5mm
×2000L、内径0.5mm、2穴)になるように成
形し、同様の焼結条件で焼結体を作製した。白金−ロジ
ウム素線を通したアルミナ製熱電対保護管を溶鋼測温の
ため、炉壁より120mm突出させ約30分連続測温を
行った。本発明の範囲の組成であるアルミナ焼結体製熱
電対保護管は、30分の連続測温に耐え、外観とも溶
融、腐食は認めず良好であった。粗大粒30重量%を含
む焼結体は溶鋼およびスラグと激しく反応し、測温開始
後わずか3分で測温不能状態に陥った。これは焼結が不
完全なために溶鋼、スラグと反応しやすく、吸水性を有
するため腐食ガスが保護管内部に浸透し白金−ロジウム
素線と反応、素線が溶断したものと考えられる。また微
細アルミナ原料に酸化マグネシウムを添加した組成(番
号2)では、試験開始後18分で素線が断線した。また
同試験体は試験終了後の試験体抜き出しが困難なほど、
炉内への突出部が塑性変形により曲がっていた。素線の
断線は試験体の塑性変形が大きいために試験体の粒界滑
り部に微細なクラックが走り、保護管としての気密性が
失われ炉内ガスが保護管内へ浸透し素線と化学反応を起
こしたためと推察される。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、アルミナセラミックス
の含有量が99.5%以上、焼結助剤として例えばアル
カリ土類金属酸化物を0.5重量%以下含み、焼結体を
構成する結晶粒径が主として5μm以上の粗大結晶粒子
および3μm以下の微細結晶粒子の複合組織から成るア
ルミナ焼結体は、1600℃までのクリープ特性に優れ
る。またこのアルミナ焼結体は、平均粒径1μm以下の
微細アルミナ原料に対して平均粒径3μm以上の粗大ア
ルミナ原料を2から20重量%添加し、焼結助剤として
例えばアルカリ土類金属酸化物を添加した混合原料を押
し出し成形などで所定形状に成形した後、焼結温度15
00℃未満、好ましくは1400℃以下で緻密化し、こ
の焼結体を構成するアルミナ結晶粒径が主として5μm
以上の粗大粒子と3μm以下の微細粒子から成るように
焼成することによって得られる。
【0022】本発明によって得られるアルミナ焼結体
は、耐熱性、耐蝕性のみならず耐高温クリープ特性に優
れ、かつ焼結温度が低いために製造コストが安価とな
り、利用分野が大きく広がる。このように熱電対保護管
をはじめとする高温用部材に応用可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 99.5%以上の酸化アルミニウムと焼
    結助剤を必須成分とするアルミナ焼結体であって、該焼
    結体の結晶組織が主として結晶粒径5μm以上の粗大粒
    と3μm以下の微細粒の混合組織からなることを特徴と
    する熱電対保護管用アルミナ焼結体。
  2. 【請求項2】 実質アルミナ成分と焼結助剤からなるア
    ルミナ焼結体の該アルミナ成分の出発原料として、平均
    粒径1μm以下の微粒酸化アルミニウム粉末に平均粒径
    3μm以上の粗粒酸化アルミニウム粉末が0.5〜20
    重量%混合され、かつ焼結助剤が添加されたものを用
    い、該原料を成形後、焼成後の結晶組織を主として結晶
    粒径5μm以上の粗大粒と3μm以下の微細粒の混合組
    織にしてなることを特徴とする熱電対保護管用アルミナ
    焼結体の製造方法。
JP7038966A 1994-11-30 1995-02-03 熱電対保護管用アルミナ焼結体とその製造方法 Pending JPH08208319A (ja)

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