JPH08207056A - 加硫金型を清浄するプラズマ生成装置及びその電極 - Google Patents

加硫金型を清浄するプラズマ生成装置及びその電極

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JPH08207056A
JPH08207056A JP1907295A JP1907295A JPH08207056A JP H08207056 A JPH08207056 A JP H08207056A JP 1907295 A JP1907295 A JP 1907295A JP 1907295 A JP1907295 A JP 1907295A JP H08207056 A JPH08207056 A JP H08207056A
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electrode
mold
peripheral wall
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inner peripheral
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Koji Hirose
煌司 弘瀬
Yoshio Nohara
義夫 野原
Yukihiro Kusano
行弘 草野
Masahito Yoshikawa
雅人 吉川
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Bridgestone Corp
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D30/00Producing pneumatic or solid tyres or parts thereof
    • B29D30/06Pneumatic tyres or parts thereof (e.g. produced by casting, moulding, compression moulding, injection moulding, centrifugal casting)
    • B29D30/0601Vulcanising tyres; Vulcanising presses for tyres
    • B29D30/0662Accessories, details or auxiliary operations
    • B29D2030/0663Mould maintenance, e.g. cleaning, washing, repairing

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金型に対する電極位置及び電極形状の適正化
等を図ったプラズマ生成装置及びその電極を提供するこ
とにあり、これにより、金型の内周面に付着したエラス
トマーの加硫残滓を短時間でむらなく灰化除去すること
を目指したものである。 【構成】 この発明の電極1は、金型31内径よりも小
さい外径の環状外周壁2を有し、この外周壁高さhを、
金型内周面高さHと対応させて形成してなることを特徴
とし、この発明のプラズマ生成装置は、前記電極1を、
金型31の内側に、その軸心とのずれ範囲が0〜10m
mの範囲で配置し、電極1の外周壁外面2aと金型31
の内周面31aとを対向させて配置してなることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エラストマーを加硫
成形するための金型、特にタイヤ加硫成形用金型を清浄
するプラズマ生成装置及びその電極に関するものであ
り、金型を傷めることなく付着したエラストマーの加硫
残滓を短時間でむらなく灰化除去することができる。な
お、エラストマーとは、金型による加硫成形前のゴム又
はゴム状弾性材料配合組成物を意味し、また、加硫残滓
とは、エラストマーとこれに配合したカーボンブラッ
ク、亜鉛華などの配合剤が加硫工程の反復によって金型
のキャビティ−表面などに堆積してこびりついた汚損物
を意味する。
【0002】
【従来の技術】タイヤ加硫成形用金型は、加硫残滓が金
型のキャビティ─表面、エア─ベント、及びスリット内
部等に付着したまま残留する場合が多く、この加硫残滓
の残留量は加硫工程の反復とともに増加する傾向にあ
る。この金型に付着した加硫残滓は、製品としてのエラ
ストマーの品質に悪影響を及ぼすため除去することが肝
要であり、そのため、通常は、定期的に前記加硫残滓を
除去する清浄作業を行っている。
【0003】この清浄作業を行う方法としては、ショッ
トブラスト法と液体清浄法が一般に広く知られている。
ショットブラスト法は、プラスチックビーズやガラスビ
ーズ等の粒状物を高圧ガスを用いて金型に直接吹き付け
て加硫残滓を物理的にこさぎ落とす清浄法であり、ま
た、液体清浄法は、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の溶液、
苛性ソーダ等の強アルカリの溶液、又は有機アルカリの
アミン系の溶液等を用い、化学的に加硫残滓を溶かして
清浄する方法であり、超音波等を併用することもある。
【0004】しかし、ショットブラスト法は、加硫残滓
を物理的にこさぎ落とすため、通常アルミニウムを主体
とした材質からなる金型は、粒状物の衝突による摩滅や
エッジ部変形のような物理的な損傷を生じやすく、ま
た、インサーター金型の場合には、各分割金型間にビー
ズが詰まりやすく、このような金型状態でエラストマー
を加硫成形することは、タイヤ性能及び商品価値上好ま
しくない。
【0005】一方、液体清浄法は、液体で加硫残滓を化
学的に溶かすため、物理的損傷や各分割金型間にビーズ
が詰まることがない点で、ショットブラスト法よりも優
れているが、酸・アルカリ溶液を用いた場合は、アルミ
ニウム基材料からなる金型が大きく腐食するため、金型
形状が変化したり金型寿命が短くなるという欠点を有
し、また、有機アルカリのアミン系溶液を用いた場合
は、第4類第3石油類の危険物に該当するものもあるた
め、その場合には、安全上の対策が必要な他、コストが
高いなどの欠点を有していた。加えて、これらの廃液処
理は、地球環境上好ましくなかった。そのため、金型に
付着したエラストマーの加硫残滓を有効に除去するため
の新たな清浄方法を開発する必要性があった。
【0006】新たに開発された清浄方法の一例が、特開
平6−285868号公報に開示されている。この清浄
方法は、いわゆるプラズマアッシングを利用する方法で
あり、具体的には、真空処理槽内を所定ガス雰囲気にし
て、処理槽内に載置した金型とこれに対向して設けた電
極との間に、電圧を印加することによってプラズマを生
成し、反応ガスが変化して生じたイオンやラジカル粒子
などとの化学反応によって加硫残滓を灰化及びエッチン
グして、金型を清浄する方法である(図9)。この方法
は、金型の内周面と電極との間に、均一で高密度なプラ
ズマを生成することが、短時間で加硫残滓をむらなく灰
化除去する上で極めて重要である。
【0007】しかし、前掲公報に記載の清浄方法は、電
極を金型の上方又は下方に配置したにすぎず、発明者ら
がその後鋭意検討した結果、電極と金型の内周面との間
に均一なプラズマを生成するには、この電極の配置では
十分でないことがわかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、金
型に対する電極位置及び電極形状の適正化等を図ったプ
ラズマ生成装置及びその電極を提供することにあり、こ
れにより、金型の内周面に付着したエラストマーの加硫
残滓を短時間でむらなく灰化除去することを目指したも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の電極は、真空処理槽内に載置した環状の
加硫金型と対向配置し、真空処理槽内を所定ガス雰囲気
にして、加硫金型との間に電力を供給することにより、
加硫金型を清浄するプラズマ生成装置の電極であって、
前記金型の内径よりも小さい外径をもつ環状外周壁を有
し、この外周壁高さを、前記金型の内周面高さと対応さ
せて形成する。
【0010】また、電極の外周壁外面上に多数の凹凸を
有すること、電極の外周壁外面の高さ方向輪郭を、金型
内周面の高さ方向輪郭に対応させて形成すること、該電
極を複数のセグメントで構成し、これらセグメントを径
方向内外に移動可能とし、電極外径を金型内径に応じて
拡縮可能にすること、電極の材質は、導電性を有する物
であれば良いが、アルミニウム基材料、又は、Ni,Au,P
t,若しくはこれらの合金で被覆したアルミニウム基材
料からなることが好ましい。電極の内部に、例えばウォ
ータージャケットのような温度調節手段を設けること、
そして、電極の内部に、ガスを導入するガス管と、ガス
管を通じてガスが供給され電極外周壁を区画壁の一部と
するドーナツ状のガス室とを有し、電極外周壁に複数の
ガス噴射孔を設けるか、又は、電極の外周壁の周りにガ
ス噴射パイプを設けることが好ましく、加えて、電極の
外周壁のみを容易に取替可能にすることがより好まし
い。
【0011】さらに、この発明のプラズマ生成装置は、
上記電極を具え、この電極を、加硫金型の内側に配置
し、かつ、電極の外周壁外面を、加硫金型の内周面と所
定間隔で、好ましくは、電極の軸心と加硫金型の軸心と
のずれが0〜10mmの範囲になるような間隔で対向配
置する。また、電極の外周壁外面と金型の内周面の間
に、金網やパンチングメタル等の網状の金属部材を配置
することが好ましい。
【0012】次に、この発明に従う電極の代表的な実施
例を図1及び図2に示し、図1がその平面図、図2が図
1のA−A線で切断したときの断面図であり、図中1は
電極、2は外周壁、3は電極を構成するセグメント、4
は凹凸、6はガス管、7はガス室、8はガス噴射孔、1
1はウォータージャケットである。
【0013】この電極1は、金型内径よりも小さい外径
をもつ環状外周壁2を有し、この外周壁高さhは、金型
内周面高さH(図6参照)と対応させて形成してある。
この外周壁2は、図1からわかるように、分割して複数
個のセグメント3で構成し、外周壁2を取替可能にして
あるが、一体的に形成することもできる。また、電極1
の外周壁外面2aには、多数の凹凸4(図ではフィン)
を所定ピッチで設けてある。これらの凹凸4の寸法、配
設ピッチ、及び配設個数等は、電極1の外周壁外面2a
の表面積が、金型31の内周面31aの表面積と同等以
上になるように設定することが好ましい。
【0014】電極1の材質は、母材が導電性を有するも
のであれば良く、アルミニウム基材料、又は、Ni,Au,P
t,若しくはこれらの合金で被覆したアルミニウム基材
料からなることが好ましいが、他の導電性材料でも代用
できる。
【0015】また、電極1の内部には、図2に示すよう
に、金型内周面に均一に反応ガス5を噴射する構成にし
てあり、すなわち、反応ガスを導入するガス管6と、ガ
ス管6を通じて反応ガスが供給され、電極外周壁2を区
画壁の一部とするドーナツ状のガス室7とを有し、電極
外周壁2に、その高さ方向を区分する複数本の円周上に
間隔をおいてそれぞれ複数個のガス噴射孔8を配置して
ある。これらは、必要に応じて適宜設けることができ
る。なお、隣接する円周上に位置するガス噴射孔8の位
置関係は、均一性をより高めるために相互にずらすこと
が好ましい。また、金型内周面に均一に反応ガスを噴射
する他の方法として、図3に示すように、電極の外周壁
2の周りにガス噴射パイプ9を設けてもよい。この場合
は、ガス噴射パイプ9は、複数段配置することが好まし
い。隣接するガス噴射パイプ9に設けたガス噴射孔10
の位置関係は、相互にずらすことが好ましい。上記ガス
噴射孔8及び10の穴径は、ともに0.1〜1.5mm
の範囲にすることが好ましい。
【0016】図2の実施例では、電極の内部に温度調節
手段として、ウォータージャケット11を設けてあり、
この中を、図示しないが、銅製の二重管を配置し、好ま
しくは室温に応じて10〜90℃の水又は温水を循環さ
せることによって、電極の温度を制御する場合が示して
あるが、温度調節手段は、無論、空冷や油冷によるもの
であってもよく、必要に応じて適宜設けることができ
る。
【0017】また、タイヤ成形用金型は、図4に示すよ
うに、その内周面31aの高さ方向の断面輪郭が、直線
状ではなく、窪んだ曲線状であるのが一般的であるた
め、この場合には、電極の外周壁外面2aの高さ方向輪
郭を、金型内周面31aの高さ方向輪郭に対応させて形
成することが好ましい。
【0018】さらに、電極を、異なるサイズの金型にも
適用する場合には、電極を複数のセグメントで構成し、
これらセグメントを、例えば、図5(a),(b) に示すよう
に、パンタグラフ運動できる外周壁可動部材12と連結
して、径方向内外に移動可能にし、電極外径を金型内径
に応じて拡縮可能にし、金型内周面31aと電極の外周
壁外面2aの間の距離を一定にすることが好ましい。な
お、この電極を、図5(a) に示すように、大きな金型に
対応して電極外径を拡大した場合には、隣接するセグメ
ントの外周壁間に隙間が生じるため、セグメント内部に
備えたスライド式スペーサを拡大時に拡径方向にスライ
ドさせるような構造にして、隙間を埋めることが好まし
い。
【0019】さらに、電極の底部より下方にプラズマが
放電するのを抑制するため、テフロンやアルミナなどの
セラミックス等の絶縁材からなる板をテフロンやアルミ
ナなどのセラミックス等の絶縁材からなるボルトで取り
付けることが好ましい。
【0020】次に、この発明に従う代表的なプラズマ生
成装置について説明する。図6は、図1に示す電極1を
具えたプラズマ生成装置の、真空処理槽内に載置した金
型31と電極1との配置関係を示すための図である。こ
のプラズマ生成装置は、形状等の適正化を図った上記電
極1を、加硫金型の内側に配置し、かつ、電極の外周壁
外面2aを、加硫金型31の内周面31aと所定間隔で
対向配置してある。
【0021】他の実施例として、プラズマ密度の均一性
を更に増したり、過度に大きいプラズマ密度を適度に調
整して金型表面へのプラズマによる過度の損傷を抑制す
る必要がある場合には、図6に示すように、電極1の外
周壁外面2aと金型31の内周面31aの間に、金網や
パンチングメタル等の網状の金属部材13を配置するこ
とが好ましい。
【0022】なお、上述したところは、本発明の実施例
を示したにすぎず、請求の範囲内において、種々の変更
を加えることができる。
【0023】
【作用】前掲公報に記載のプラズマアッシングによる清
浄方法は、図10に示すように、電極を金型の上方又は
下方に配置したにすぎず、電極と金型の内周面との間に
生成するプラズマの均一化が十分に図れず、金型の内周
面に付着した加硫残滓を短時間でむらなく灰化除去する
ことが難しいことは前述した。
【0024】このため、発明者らは、プラズマ生成装置
内に配置した電極と金型内周面との間に、均一なプラズ
マを生成するための検討を行った。その結果、電極と金
型の内周面との間に均一なプラズマを生成するには、電
極を、その外周壁外面と金型内周面との間隔が一定であ
り、かつ、対向して配置すればよいことがわかった。
【0025】そこで、この発明の電極は、金型内径より
も小さい外径の環状外周壁を有し、この外周壁高さを、
金型内周面高さと対応させて形成した電極を、プラズマ
生成装置の真空処理槽内に載置した金型の内側に配置し
かつ電極の外周壁外面を金型の内周面と所定間隔で対向
配置することによって、電極と金型の内周面との間に、
均一なプラズマを生成することができ、金型の内周面に
付着した加硫残滓を短時間でむらなく灰化除去すること
ができる。
【0026】なお、この電極は、金型内径よりも小さい
外径の環状外周壁を有するため、必然的に、その外周壁
外面の表面積が、金型内周面の表面積に比べて小さくな
り、特に、タイヤ成形用金型の場合には、金型内周面に
多数の凹凸があるため、電極外周壁外面の表面積の、金
型内周面の表面積に対する割合が非常に小さくなる。前
記割合が小さすぎると、プラズマ生成するための印加電
圧が高くなり、その結果、電極(+)から金型(−)の
方向にスパークが発生しやすくなり、これによって、金
型内周面が損傷するおそれがあり、この補修は非常に手
間とコストがかかった。
【0027】そこで、電極の外周壁外面に多数の凹凸を
設けることで、電極外周壁外面の表面積を有効に増加さ
せることができ、これによって、プラズマ生成するため
の印加電圧を低くすることができ、電極から金型の方向
に発生しがちなスパークが抑制される。なお、印加電圧
が低くできるということは、供給電力を高めることがで
き、これは、短時間で灰化除去するのに有利に作用す
る。
【0028】また、タイヤ成形用金型は、通常、金型内
周面の高さ方向輪郭がタイヤ形状に対応して窪んだ形状
をなしているため、この場合には、電極の外周壁外面の
高さ方向輪郭を、金型内周面の高さ方向輪郭に対応させ
て形成することによって、電極外周壁外面と金型内周面
との、周方向間隔のみならず、高さ方向間隔も一定にす
ることができ、これによって、電極と金型の内周面との
間に、より均一なプラズマを生成することができる。
【0029】加えて、電極を、複数のセグメントで構成
し、これらセグメントを、径方向内外に移動可能にし、
電極外径を金型内径に応じて拡縮可能にすることによっ
て、種々のサイズの金型ごとに適合した電極を製造する
必要がなく、一本の電極で、種々のサイズの金型に使用
することができるので、コスト性の点で有利である。
【0030】さらに、電極の内部に、温度調節手段を設
けることによって、プラズマ処理時のジュール熱による
凹凸表面及び電極温度上昇を抑え、電極表面に絶縁性の
酸化皮膜を生成(Al基材質からなる電極の場合は、Al2O
3 酸化皮膜を生成)するのを阻止することができる。ま
た、未処理金型をセットしたり、処理後金型を取り出し
たり、長時間、処理槽を開放状態にしておくと、大気中
の水分が凹凸表面に付着結露し、この水分は、再度プラ
ズマ処理中に反応ガス中のCF4 が分解してフッ素と結合
してHFとなりやすく、その結果、排気系の真空ポンプを
損傷させたり、排気ガス処理装置の負荷を大きくし、取
替頻度が増し、金型清浄コストに占める割合が高くなっ
ていたが、温度調節手段を設けることで、大気中の水分
の凹凸表面への付着結露についても防止することもでき
る。
【0031】また、電極と金型内周面との間に均一なプ
ラズマを生成して、金型内周面に付着した加硫残滓をむ
らなく灰化除去するには、電極と金型の内周面との間の
プラズマ流れ14が、電極から金型の方向であるので、
反応ガスの流れ15もこれと同一方向にすることが望ま
しいが、窪んだ形状を有するタイヤ成形用金型の場合、
反応ガスは、図8に示すように、電極と金型間を通りす
ぎる方向に流れるため、金型内周面に十分供給されず、
これは、灰化むらの原因になる。よって、その場合は、
図9に示すように、電極の内部に、ガス管とガス室とを
有し、電極外周壁に、複数のガス噴射孔を設けること、
又は、電極の外周壁の周りにガス噴射パイプを設けて、
反応ガスを金型内周面に向かって噴射すること(図3)
によって、金型内周面全体に反応ガスを均一に供給する
ことができ、これによって、このような形状の金型につ
いても、金型内周面に付着した加硫残滓21をむらなく
灰化することができる。
【0032】加えて、電極は、その外周壁を取替可能に
することによって、プラズマ雰囲気中の反応ガス等によ
って外周壁が損傷した場合でも、その損傷箇所を交換す
るだけで、その電極を再使用することができ、これは、
コスト的に有利になる。
【0033】加えて、プラズマ生成装置において、電極
の外周壁外面と金型の内周面とを対向させて配置するこ
とによって、電極の外周壁外面と金型の内周面の間に、
金網やパンチングメタル等の網状の金属部材を配置する
ことによって、プラズマ密度の均一性を更に増やした
り、過度に大きいプラズマ密度を適度に調整して、金型
表面へのプラズマによる過度の損傷を抑制することがで
きる。
【0034】
【実施例】この発明に従って電極を試作し、この電極を
適正配置したプラズマ生成装置を用いて、乗用車用タイ
ヤの加硫成形を所定回数行った後の金型の清浄を行い、
清浄後の金型内周面の表面状態を調べ、灰化むらを評価
した。なお、参考のため、図10に示すように、電極を
金型の上方に配置した、プラズマ生成装置を用いて金型
を清浄した従来例も併せて評価した。
【0035】(試験評価)評価は、図11に示すよう
に、金型内周面の5か所(〜)の位置で灰化むらを
測定し、評価した。この測定結果を表1に示す。なお、
表1中の数値は、5点評価であり大きいほど優れてい
て、4点以上を合格レベルとした。
【0036】
【表1】
【0037】表1の結果から、従来例は、処理時間が3
hと長いにもかかわらず、金型内周面のの位置のみだ
けが合格レベルであったのに対して、実施例は、従来例
の3分の1の処理時間(1h)であるにもかかわらず、
金型内周面の5か所(〜)のいずれの位置において
も、4.5以上の合格レベルであり、金型内周面に付着
した加硫残滓は、ほぼ均一に灰化除去することができ
た。実施例の場合、高出力で処理しているため、プラズ
マの電子密度が高く、金型の被処理面の温度が早期に上
昇して反応ガスの活性を高めるため、短時間処理が可能
である。なお、処理時間が1hを超えると、金型の熱容
量が小さい場合には、金型温度が200℃を超えるよう
な場合があり、アルミニウム基金型の表面が荒れるよう
なことがあるので、長時間処理は却ってよくないことが
ある。
【0038】
【発明の効果】この発明によれば、エラストマーを加硫
成形するための金型、特にタイヤ加硫成形用金型を傷め
ることなく、金型の内周面に付着した加硫残滓を短時間
でむらなく灰化除去することができる。従って、この灰
化除去を行った金型を用いて加硫成形を行えば、常に安
定した品質の製品を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う代表的な電極の平面図である。
【図2】図1に示すA−A線上の断面図である。
【図3】この発明に従う電極の他の実施例である。
【図4】この発明に従う電極の他の実施例であり、プラ
ズマ生成装置内に載置した金型とともに示した図であ
る。
【図5】この発明に従う電極の他の実施例であり、
(a)がプラズマ生成装置内に載置した大きな金型の場
合において、電極の外周壁が拡径した状態を示した図で
あり、(b)がプラズマ生成装置内に載置した小さな金
型の場合において、電極の外周壁が縮径した状態を示し
た図である。
【図6】この発明に従うプラズマ生成装置において、金
型と電極の配置を示した図である。
【図7】この発明に従うプラズマ生成装置において、金
型と電極の間に網状の金属部材を配置した図である。
【図8】従来のプラズマ生成装置において、電極と金型
との間のプラズマ流れと反応ガス流れとを示す図であ
る。
【図9】この発明のプラズマ生成装置において、電極と
金型との間のプラズマ流れと反応ガス流れとを示す図で
ある。
【図10】従来のプラズマ生成装置を線図的に示した図
である。
【図11】プラズマ生成装置によって、金型内周面に付
着した加硫残滓を灰化した後に、金型の内周面の表面状
態を検査した5か所の位置(〜)を示す図である。
【符号の説明】
1 電極 2 外周壁 2a 外周壁外面 3 セグメント 4 凹凸 5 反応ガス 6 ガス管 7 ガス室 8 ガス噴射孔 9 ガス噴射パイプ 10 ガス噴射孔 11 温度調節手段 12 外周壁可動部材 13 網状の金属部材 14 プラズマ流れ 15 反応ガス流れ 19 電極の天板 20 電極の底板 21 加硫残滓 22 金型 23 ガスボンベ 24 電極 25 アース 26 真空ポンプ 27 高周波電源 28 碍子 29 RF導入管 29a RF導入管取付ネジ穴 31 金型 31a 金型の内周面 41,51 電極

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空処理槽内に載置した環状の加硫金型
    と対向配置し、真空処理槽内を所定ガス雰囲気にして、
    加硫金型との間に電力を供給することにより、加硫金型
    を清浄するプラズマ生成装置の電極であって、 前記金型の内径よりも小さい外径をもつ環状外周壁を有
    し、この外周壁高さを、前記金型の内周面高さと対応さ
    せて形成してなることを特徴とする電極。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電極であって、電極の
    外周壁外面に多数の凹凸を有する電極。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の電極であって、
    電極の外周壁外面の高さ方向輪郭を、前記金型の内周面
    の高さ方向輪郭に対応させて形成してなる電極。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、又は3に記載の電極であ
    って、該電極が、複数のセグメントで構成され、これら
    セグメントを、径方向内外に移動可能とし、電極外径を
    前記金型の内径に応じて拡縮可能にしてなる電極。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電
    極であって、電極の材質がアルミニウム基材料からなる
    電極。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電
    極であって、電極の材質が、Ni,Au,Pt, 又はこれらの合
    金で被覆したアルミニウム基材料からなる電極。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電
    極であって、電極の内部に温度調節手段を設けてなる電
    極。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電
    極であって、電極の内部に、ガスを導入するガス管と、
    ガス管を通じてガスが供給され、電極外周壁を区画壁の
    一部とするドーナツ状のガス室とを有し、電極外周壁
    に、複数のガス噴射孔を設けてなる電極。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電
    極であって、電極の外周壁の周りに、ガス噴射パイプを
    設けてなる電極。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    電極であって、電極の外周壁が取替可能である電極。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の電極を具えるプラズマ生成装置であって、 前記電極を加硫金型の内側に配置し、かつ、電極の外周
    壁外面を、加硫金型の内周面と所定間隔で対向配置して
    なることを特徴とするプラズマ生成装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のプラズマ生成装置
    であって、 電極の軸心と加硫金型の軸心とのずれが0〜10mmの
    範囲であるプラズマ生成装置。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12に記載のプラズマ
    生成装置であって、電極の外周壁外面と金型の内周面の
    間に、網状の金属部材を配置してなるプラズマ生成装
    置。
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