JPH08300367A - 加硫金型の清浄方法 - Google Patents

加硫金型の清浄方法

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JPH08300367A
JPH08300367A JP7108439A JP10843995A JPH08300367A JP H08300367 A JPH08300367 A JP H08300367A JP 7108439 A JP7108439 A JP 7108439A JP 10843995 A JP10843995 A JP 10843995A JP H08300367 A JPH08300367 A JP H08300367A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加硫残滓が付着した加硫金型の内側表面に向
けプラズマ流の中性活性種を一様にわたり噴き出させる
ことにより金型に悪影響を及ぼすことなく均一な残滓ア
ッシングを実現する清浄方法を提供する。 【構成】 反応ガスに対するマイクロ波放電により中性
活性種を主とするプラズマ流を発生させる炉を真空処理
槽と別個に設けて、このプラズマ流を処理槽内に導入
し、このプラズマ流を処理槽内に位置させた加硫金型の
残滓面全周に向け噴出させ、併せて残滓面側を全周にわ
たり一様に、かつ汚れ部分を集中的に加熱して所定の高
温度に保持し、噴出するプラズマガスにより加硫残滓を
アッッシングする加硫金型の清浄方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ゴムタイヤ、防振ゴ
ムなどのゴム製品及びその他のエラストマとしてのプラ
スチック製品の加硫成形に際し、繰返し用いる金型内側
の成形表面、分割金型の場合は合せ面も含めた表面及び
凹部や穴に不可避的に形成されるエラストマ残滓を有利
に除去するための加硫金型の清浄方法に関し、特に加硫
金型に対する不利な劣化、損傷を伴うことなく、またプ
ラズマ分布の不均一領域形成にわずらわされることな
く、均一、かつ高能率な残滓処理が可能な加硫金型の清
浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】既に本出願人による特開平6−2858
68号公報にて詳述したように、エラストマ製品、とり
わけゴムタイヤ製品(以降単にタイヤと記す)や防振ゴ
ム製品などは要求性能を満たすため、天然ゴム、合成ゴ
ム又はこれらのブレンドゴムに架橋剤としての硫黄と補
強材としてのカーボンブラックとを配合するほか、加硫
促進剤や各種耐久性保持のための各種薬品を配合する必
要がある。
【0003】このようにして調合した未加硫ゴム組成物
を加硫成形する際、一般的に200℃に近い高温度で架
橋反応などの化学反応を生じさせるので、ゴム組成物は
流動性を増すばかりでなく一部はガス化し、その結果加
硫金型の成形表面はもとより、金型の合せ面の極く狭い
隙間や空気抜きのいわゆるベントホールなどの穴などに
もゴム組成物及びその化学反応生成物が加硫成形の都
度、微量ながら残滓物として強固に付着するのは不可避
である。この加硫成形を多数回にわたり繰返すことによ
り残滓物は看過し得ないほどの厚さで堆積する。このこ
とはゴム組成物に限らず他のエラストマについても大同
小異で同様に生じる。
【0004】加硫金型に強固に付着堆積した厚い加硫残
滓はタイヤの外観を損ねるのみに止まらず、タイヤ全体
の優れた品質保持に対し悪影響を及ぼす。よって加硫成
形を所定回数だけ実施した加硫金型を新品同様に清浄す
る作業が必要であり、この作業法としてプラスチックビ
ーズやグラスビーズなどの粒体を高圧ガスにより吹き当
てるショットブラスト清浄法、又は酸、アルカリ、アミ
ン系などの溶液中に浸す液体清浄法が主流を占めていた
ところ、これらの清浄法による各種の不利な点を大幅に
改善するため、本出願人は上記特開平6−285868
号公報に記載したプラズマによる加硫金型清浄方法を提
案し、顕著に優れた成果を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしこの成果を突き
詰めてみると、下記する諸点につきさらに改善を施す余
地があることを見出した。すなわちその第一点は、清浄
を必要とする加硫金型の型形成面に、特殊なタイヤ種は
別としても一般にはタイヤに対する要求特性の十分な発
揮に必要不可欠な太溝、細溝、スリットなどをトレッド
部に形成するための多数個のリブやサイプ(細条片)な
どの突起物を設けていて、プラズマがこれらの突起物に
遮られて清浄面対象全領域にわたる加硫残滓の均一なア
ッシング(灰化)が損なわれ勝ちであることである。
【0006】また本出願人は、特願平7−19072号
に係わる明細書、特願平7−29158号に係わる明細
書及び特願平7−52480号に係わる明細書にて、高
周波電力を印加する一方の電極を円筒状に構成し、又は
その外周に多数個のフィンを備える構成として、他方の
電極としての加硫金型の内周面との間で放電によるプラ
ズマを生起させて残滓部を均一に灰化する装置及び方法
を提案している。
【0007】しかし、以下に述べる諸点は放電領域内に
加硫金型を位置させるために生じる不利な点であり、す
なわちその第二点は、しばしば不均一放電領域が形成さ
れて、均一なアッシング処理が阻害され勝ちであるこ
と、第三点は、時に上記不均一放電に基づき加硫金型の
温度が、例えば200℃を超える現象が生じ、これが金
型の精度を損ねる他、金型の劣化、損傷をもたらすこ
と、第四点は、第三点との関連もあり、加硫金型の温度
制御が困難であり、それ故アッシング処理に長時間を要
し、処理能率の著しい低下が余儀なくされること、そし
て第五点は、清浄対象外の表面まで放電領域にさらす結
果となるため、この表面部分に劣化を生じさせ、また損
傷を与えるうれいがあることである。
【0008】従ってこの発明の目的は上述した不利な諸
点全ての改善を目指し、加硫金型の型形成面の形状や大
きさに制約を加えることなく、また加硫金型に不利な影
響を及ぼすことなく、高能率、かつ均一な残滓アッシン
グを有利に実現することが可能な加硫金型の清浄方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の加硫金型の清浄方法は、真空処理槽内に
加硫金型を位置させ、エラストマの繰返し加硫成形によ
り該金型の内側表面に形成されたエラストマ残滓に低圧
反応ガスのプラズマを作用させ、該残滓をアッシングし
て除去するにあたり、上記処理槽にプラズマ流を供給す
るプラズマ発生炉と、該炉に流入する反応ガスをマイク
ロ波放電により中性活性種を主成分にもつプラズマ流と
するマイクロ波発生装置とをそれぞれ設け、プラズマ発
生炉にて発生させたプラズマ流を導管にて上記処理槽内
に導入し、導入したプラズマ流を加硫金型の残滓面全周
に向け一様に噴出させ、併せて該残滓面側を全周にわた
り一様に加熱して所定の高温度に保持し、噴出するプラ
ズマ流の中性活性種ガスによりエラストマ残滓をアッシ
ングすることを特徴とする。
【0010】この発明を実施するにあたり、加硫金型の
残滓面側に加熱源を設け、この加熱源の輻射熱により昇
温した残滓面の温度を検出し、検出した温度に基づき加
熱源の輻射熱量を制御すること、上記反応ガスが、酸素
ガス単体又は酸素ガスを主成分とするハロゲン化物ガス
との混合ガスのいずれか一方のガスからなることが望ま
しい。
【0011】なお反応ガスとして酸素ガスはO、O2
3 の何れもが適合し、またハロゲン化物ガスとしては
F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)、I(ヨウ
素)などを含有するあらゆるガスを使用することができ
る。また真空処理槽にガスとして供給できればよいため
標準状態(25℃、1atm)で必ずしもガスである必
要ななく、例えば液体状態であってもよい。特にフロン
やNF3 、SF6 が好適に用いられ、とりわけCF
4 (四フッ化炭素)が効果的である。
【0012】
【作用】真空処理槽とプラズマ発生炉とを別個に設け、
該炉にて発生させた反応ガスのプラズマ流を処理槽に導
入して加硫金型の残滓面全周にわたり一様に噴出させる
ことにより、加硫金型を放電領域に曝すことなくプラズ
マ中の中性活性種(ラジカル)による残滓のアッシング
作用が可能となるので、加硫金型に対する放電の悪影響
の一切が排除されて、不均一放電領域形成に伴う不均一
プラズマ領域の形成及びこれに伴う不均一アッシングの
うれいがなくなり、かつ金型の異常高温度による金型の
精度劣化及び金型全表面にわたる材質劣化、損傷などの
不利は完全に回避することができる。
【0013】さらに同じく加硫金型に対する異常放電の
悪影響のうれいがないため、所望する高密度のプラズマ
を発生させることができ、それもエラストマ残滓に対す
るアッシング作用を担うプラズマ中の中性活性種の密度
を、プラズマ発生炉から残滓面に至る間の失活分を補っ
て余りある密度まで高めることが可能となるので、残滓
面全周に向けた高密度中性活性種の一様な噴射により、
均一かつ高能率なアッシング作用が可能となる。
【0014】またさらに、加硫金型の残滓面側を全周に
わたり一様に加熱して高温度に保持することにより中性
活性種のアッシング反応速度を顕著に高めることが可能
となり、その結果処理能率を大幅に向上させることがで
きる。加えて金型の外側表面はより低温側に位置するた
め温度勾配が付され、従来なら加硫金型に不都合が生じ
る相当な高温、例えば200℃前後まで高めても、この
高温度位置は残滓面側に限られるので何ら不都合は生じ
ない利点を備える。
【0015】また残滓灰化処理終了後に実施する灰分水
洗の際、水冷による金型10の微妙な変形を防止するた
め、金型10を例えば50℃程度まで冷却することを要
するが、上記のような温度勾配を付した金型10では冷
却時間を大幅に短縮することが可能となり、灰化処理開
始から灰分水洗までの工程を高能率化することが可能と
なる。
【0016】また反応ガスが酸素ガス単体又は酸素ガス
を主成分とするハロンゲン化ガスとの混合ガスとすれ
ば、特に酸素(O、O2 、O3 )ラジカルがこの種のエ
ラストマ残滓のアッシングに有効であるため、やはりア
ッシング処理効率の向上に寄与させることができる。
【0017】
【実施例】以下、この発明を図1、図2(a)、(b)
に示す一実施例に基づきさらに詳細に説明する。図1
は、真空処理槽1側面の要部断面と、加硫金型(以下金
型という)10の断面と、簡略図解したマイクロ波放電
部及びマイクロ波発生源とを合せ示す説明図であり、図
2(a)は図1に示すプラズマ流のシャワ管14の平面
図であり、図2(b)は図2(a)のII−II線に沿う一
部側面図である。
【0018】図1において、真空処理槽1は下方位置に
て相互に上下に分離可能でかつシール可能な容器上部2
−1と容器下部2−2とを有する容器2を備え、容器上
部2−1側を容器下部2−2に対し上方に向け着脱自在
とし、容器下部2−2に図示を省略した真空ポンプに接
続させる吸引部3を具備する。加硫金型10の清浄作業
を開始するに先立ちこの真空ポンプを稼働させ、容器2
内部の空気を図の矢印Aの向きに排気して、容器2内部
の空気圧を例えば10-1〜10-5Torrのいわゆる中
真空〜高真空とする。なお図示例の真空処理槽1は容器
下部2−2側を、例えば複数本の支柱4(図では2本の
みを示す)により床面Fsなどに固定する。ホイールコ
ンベヤ5が定盤11上に据えた金型10を保持する。
【0019】図1及び図2(a)、(b)に示すよう
に、円筒状外周面の多数箇所にその中心軸線Z1 方向に
延びる凹部を形成したプラズマ流のシャワ管14を該ガ
スの導管16及び円板状プラズマ流誘導部材16−1を
介し加硫金型10の内周面と向き合う位置に配置する。
シャワ管14は周囲面の内部に空間部S14を有する円筒
に形成すると同時に、この円筒の内周面に導管16の下
端部に設けた円板状プラズマ流誘導部材16−1を連結
し、誘導部材16−1の内部空間部S16-1とシャワ管1
4の空間部S14とを相互に連結する。なお図1に示すシ
ャワ管14は図2(a)のI −I 線に沿う断面図であ
る。
【0020】図2(a)、(b)に示すように、シャワ
管14の多数箇所の凹部に加熱源、例えば赤外線ランプ
15を配置し、好適には赤外線を反射するミラ15mを
ランプ15の内方に配設する。ランプ15の動作(点
灯)により放射される単位時間当りの輻射熱量は金型1
0内周面温度との兼ね合いで処理槽1の外部で制御可能
とする(図示省略)。このため上記内周面に温度検出手
段(図示省略)を設ける。
【0021】さらにランプ15に挟まれるシャワ管14
の外周側に、空間部S14に貫通する縦並び(中心軸線Z
1 方向)配列の多数個の噴出し穴14hを設ける。これ
らの噴出し穴14hは図示の一列の縦並びの整列配置の
他、縦方向又は横方向に千鳥配列とすること、また複数
列の配列とすることができる。シャワ管14の材質は石
英又はアルミナなどが適合する。
【0022】導管16の上端部はコネクタ17を介しプ
ラズマ流発生炉18内を通るパイプ19に連結する。周
波数300MHz〜30GHz、望ましくは1GHz〜
10GHzのマイクロ波電源部20からの出力電力をプ
ラズマ発生炉18に送電し、このマイクロ波電力の放電
により、矢印Bの向きに流入させる反応ガスをプラズマ
流化する。そのときプラズマ流中の中性活性種の密度が
所望の値となるように、周波数、供給電力量及び反応ガ
スの流入量(SCCM)を選定する。反応ガスとしては
酸素ガスのみ、又は主成分の酸素ガスと従成分のハロゲ
ン化物ガス、好適にはCF4 ガスとの混合ガスのいずれ
かのガスとし、酸素(O、O2 、O3 )ラジカル、CF
4 ラジカルを得る。プラズマ流発生炉18は単一とは限
らず、好適にはコネクタ17に対する複数炉又は多数炉
の並列接続とし、各炉に対してマイクロ波を送電する。
【0023】プラズマ流発生炉18内で生起されたプラ
ズマ流は、導管部19、コネクタ17、導管16及び誘
導部材16−1内部を導かれてシャワ管14の空間部S
14に達し、ここで多数個の噴出し穴14hを通じて金型
10の全内周表面に向け一様に矢印Pの向きに噴出す。
それは上記一連の動作中も真空ポンプを動作させて常時
吸引部3から真空処理槽1内のガス排気を継続させ、常
に処理槽1内部の圧力を0.01〜10Torrの範囲
内で一定圧力に保持させるからである。
【0024】上記のプラズマ処理に先立ち、又は処理開
始と同時に赤外線ランプを動作させ、アッシング対象面
である金型10内周面を好適には100〜200℃の範
囲内で所望の温度に達するまで加温する。この高温度を
保持しながらプラズマアッシング処理を行うことにより
処理時間を大幅に短縮することが可能となる。なお図示
は省略したが金型10の内周面に温度測定用センサを配
備し、処理槽1の外部で金型10の内周面の温度制御を
実施する。
【0025】金型10は一体として図示しているが、こ
の例ではいわゆる割りモールドのうち外周側を分割形成
する多数個、例えば3〜20個のセグメントを、金属
製、例えばスチール製の支持搬送用定盤11上面に、実
際の使用時と同じ状態に仮組みしたところを示してい
る。
【0026】またタイヤのトレッド部に踏面及び各種溝
やスリットを形成する部分には一般にアルミニウム合金
を適用し、実際に使用する際はこの合金部分をスチール
製保持部材に取付けて上述のセグメントとするものであ
り、この発明では上記合金部分のみの場合とセグメント
の場合との両方を含めて金型10と呼ぶ。
【0027】金型10が割りモールドである場合は図示
のセグメントモールドの上下に一対のサイドモールドを
組み合わせてモールド本体とする。このモールド本体を
加硫金型10としてプラズマ清浄を施すこともでき、さ
らに円周上に分割面を有する、いわゆる2つ割りモール
ド及び多数個のうちの一個分セグメントモールドの何れ
にもこの発明を適用することができる。
【0028】図示を省略したが定盤11は、多数個のセ
グメントを仮組みする際又は割りモールド本体や2つ割
りモールドを据え置く際、セグメントの集合体又はこれ
らモールドを所定位置に据えるための機構を備え、さら
に定盤11は、集合体としての金型10又はこれらモー
ルドとしての金型10を導管16に対し心出しをする機
構を備える。後者の機構は金型10及び定盤11を支持
するホイールコンベヤ5に設けた心出し装置と心出し係
合する。
【0029】金型10の処理槽1内への導入は、容器上
部2−1を上方に移動させた状態で、予め処理槽1の外
部で定盤11上に仮組み乃至据え置いた金型10を定盤
11と共に、図示を省略した別の同様ホイールコンベヤ
上で図示位置まで搬送し、同時に心出しをする。この心
出しはシャワ管15の中心軸線Z1 と金型10の内周面
の中心軸線Zを成るべく揃えるように金型10を位置さ
せることであり、軸線Z1 と軸線Zとの間の心ずれ量は
望ましくは3cm以下、より望ましくは5mm以下であ
る。
【0030】シャワ管及び赤外線ランプの他の実施例を
図3(a)、(b)に示す。図3(a)は平面図であ
り、図3(b)は図3(a)のシャワ管及び赤外線ラン
プの斜視図である。この例のシャワ管24は、両端に蓋
を有する筒状に形成した噴出し管を導管16の周囲に縦
並びで多数個(図示例は8個)配置し、これらの噴出し
管それぞれは、導管16の下端部から延び、各噴出し管
に開口する誘導部材16−1により固着し、この固着状
態で各噴出し管は金型10に向かう側に多数個の噴出し
穴24hを備えて成る。赤外線ランプ25は互いに隣合
う噴出し管の間に配置する。なお噴出し穴24hは縦一
列の配列とは限らず、千鳥配列又は複数列の配列とする
ことができる。なお図3(a)のI −I 線に沿う断面は
図2(a)同様、図1に示す断面に相当する。
【0031】[実施例1]図1、2に従い、定盤11上
に8個のセグメントよりなる最大内径が550mmの金
型10を組み立て、これらを真空処理槽1内に据え置い
た後、容器2−1、2−2を密封固着してから真空ポン
プを動作させ、処理槽1内部の圧力を2×10-3Tor
rまで減圧した。シャワ管14は外径が400mmの石
英製である。反応ガスとしてO2 ガス単体を1000S
CCMの割合で流入させ、コネクタ17を介した4基の
並列接続になるプラズマ発生炉18のそれぞれに周波数
2.45GHzのマイクロ波を印加して酸素ラジカルを
主体とするプラズマ流を発生させ、このプラズマ流をシ
ャワ管14の噴出し穴14hを通じて金型10の内周面
(残滓面)に作用させた。その後、赤外線ランプ15を
点灯させて該内周面の温度を上昇させた。マイクロ波の
出力は1.5kW×4であり、処理時間は120分とし
た。
【0032】実施例1の効果を確かめるため、実施例1
に最も近い方法として、外径が480mm、高さが22
0mmの円筒形をなし、円筒の中心軸線を金型7の中心
軸線に揃えた一個の電極を金型10の内部に配置し、電
極及び金型10の両者に周波数13.56MHzの高周
波電力6kWを印加してプラズマを生起させた比較例
1、2にもプラズマによるアッシング処理を施した。赤
外線ランプ15による加熱を除く他の反応ガス及びその
流量、ガス圧力及び処理時間などの諸条件は全て実施例
1に合せた。比較例1、2の相違点は処理終了後にフア
ン冷却を施したか否かの点のみである。
【0033】実施例1及び比較例1、2につき、処理終
了直後の金型10の内周面及び外周面それぞれの温度を
別個に測定すると共に灰化性及び水洗による洗浄度を目
視により評価した。灰化性及び洗浄度はいずれも5点満
点による評点付けを行い、点数は高いほど良い。また洗
浄時の金型10の外周面の温度も合せ測定した。これら
の測定結果及び評点を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1の洗浄度の項目から明らかなように、
比較例は必ず冷却工程を経ることが必要となり、冷却工
程を経ずに高温度のまま水洗を実施すると、洗浄度の評
点1を付さざるを得ないように金型10の表面にシミ状
の亜鉛化合物が形成され、このシミ状亜鉛化合物を残し
た金型で未加硫タイヤを加硫成形すると、タイヤ製品の
表面に凹凸が転写され、この凹凸が製品外観を損ねて商
品価値を著しく低下させる。これに対し実施例1では加
硫成形面である金型10内周表面のみに加熱を施すた
め、著しく大きな熱容量をもつ金型10全体の温度上昇
が遅く、先に述べた処理条件で外側面で僅か50℃まで
の上昇に止まり、よって障害を何ら伴うことなく、灰化
終了から洗浄までの待ち時間ゼロで水洗洗浄工程に金型
10を流すことができる。
【0036】[実施例2]実施例1と同じ条件下で処理
終了時間を4通りとし、各処理時間終了時における金型
10の内外周面の温度と灰化性及び灰化終了後すぐに洗
浄した場合の洗浄度とを実施例2A、2Bにつき評価し
た。比較例3は実施例2A、2Bのランプ15を非点灯
状態としたものである。灰化性及び洗浄度の点数は実施
例1にて述べた方法に従った。評価結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2からわかることは、処理時間中に赤外
線ランプ15の照射を行わない比較例3は洗浄度の合格
レベルである評点4に達していないのに対し、実施例2
A、2Bでは60分の処理時間で両性能とも合格レベル
を達成している。しかも赤外線ランプ15の輻射熱を用
いることにより金型10全体としての温度上昇はいかな
る不都合も生じない程度に止めることができ、加えて実
施例1と同様に灰化後の待ち時間ゼロで洗浄工程へ金型
10を受け渡すことが可能である。
【0039】[実施例3]図3(a)、(b)に示す噴
出し穴24hを設けたシャワ管24を適用し、反応ガス
をO2 ガス及びCF4 ガスの混合ガスとし、O2 ガスは
1000SCCM、CF4 ガスは500SCCMそれぞ
れの割合でプラズマ発生炉18内に流入させ、発生炉1
8内でのマイクロ波放電によりプラズマガス流を生起さ
せ、これを噴出し口24hから噴出させてアッシング処
理を行った。なおCF4 ガスのハロゲン分解ガスによる
アッタクを回避するため、シャワ管24の材質を石英か
らアルミナに変えている。上記を除く他の処理条件など
は全て実施例1、2に合せた。比較例4は、赤外線ラン
プ25の照射を全面的に停止させた他は実施例3に合せ
た。さらにこの実施例3も先の実施例2と同様に実施例
3A、3Bに分けた。実施例2と同様な測定及び評価を
行い、それらの結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表3から、ランプ25を非動作とした比較
例4は、上記処理条件下では洗浄度は合格レベルの評点
4に達しなかったのに対し、実施例3Aは処理時間60
分程度で、そして実施例3Bでは30分程度の処理時間
でそれぞれ灰化性及び洗浄性共に合格レベルを満たすこ
とがわかる。また実施例3Bですら金型10の外周面温
度がそれほど高くないため、灰化処理終了の金型10の
洗浄工程への待ち時間をゼロとすることがげきた。
【0042】
【発明の効果】この発明によれば、エラストマの繰返し
加硫成形により金型表面に形成されたエラストマ残滓面
に対し、加硫金型を放電領域に曝すことなくプラズマ流
中の中性活性種を一様に噴き当て、かつ輻射熱のより一
様に加熱するので、加硫金型に損傷を与えるなどの不利
を伴うことなく、また加硫金型の型形成面に制約を加え
ることなく、短い処理時間で均一に有効にアッシングす
ることが可能であり、かつアッシング処理終了後と灰分
の水洗工程との間に待ち時間を必要としない、高能率な
加硫金型の清浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による一実施例の真空処理槽側面と加
硫金型側面との要部断面図及びプラズマ発生炉の概要図
である。
【図2】図1に示すシャワ管の一実施例の平面図及び一
部側面図である。
【図3】図1に示すシャワ管の他の実施例の平面図及び
斜視図である。
【符号の説明】
1 真空処理槽 2 容器 3 吸引部 4 支柱 5 ホイールコンベヤ 10 加硫金型 11 定盤 14、24 シャワ管 14h、24h 噴出し口 15、25 赤外線ランプ 16 導管 17 コネクタ 18 プラズマ流発生炉 19 導管部 20 マイクロ波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空処理槽内に加硫金型を位置させ、エ
    ラストマの繰返し加硫成形により該金型の内側表面に形
    成されたエラストマ残滓に低圧反応ガスのプラズマを作
    用させ、該残滓をアッシングして除去するにあたり、 上記処理槽にプラズマ流を供給するプラズマ発生炉と、
    該炉に流入する反応ガスをマイクロ波放電により中性活
    性種を主成分にもつプラズマ流とするマイクロ波発生装
    置とをそれぞれ設け、 プラズマ発生炉にて発生させたプラズマ流を導管にて上
    記処理槽内に導入し、導入したプラズマ流を加硫金型の
    残滓面全周に向け一様に噴出させ、併せて該残滓面側を
    全周にわたり一様に加熱して所定の高温度に保持し、噴
    出するプラズマ流の中性活性種ガスによりエラストマ残
    滓をアッシングすることを特徴とする加硫金型の清浄方
    法。
  2. 【請求項2】 加硫金型の残滓面側に加熱源を設け、こ
    の加熱源の輻射熱により昇温した残滓面の温度を検出
    し、検出した温度に基づき加熱源の輻射熱量を制御する
    請求項1に記載した清浄方法。
  3. 【請求項3】 上記反応ガスが、酸素ガス単体又は酸素
    ガスを主成分とするハロゲン化物ガスとの混合ガスのい
    ずれか一方のガスからなる請求項1又は2に記載した清
    浄方法。
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