JPH0820674A - 大型タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

大型タイヤトレッド用ゴム組成物

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JPH0820674A
JPH0820674A JP6180719A JP18071994A JPH0820674A JP H0820674 A JPH0820674 A JP H0820674A JP 6180719 A JP6180719 A JP 6180719A JP 18071994 A JP18071994 A JP 18071994A JP H0820674 A JPH0820674 A JP H0820674A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トラック、バス等を対象とする低燃費タイヤ
に好適な高水準の耐摩耗性能と低発熱性(高反発弾性)
を兼備する大型タイヤトレッド用ゴム組成物。 【構成】 下記 (1)〜(5) の選択的特性を備えるファー
ネスカーボンブラックをゴム成分 100重量部に対し35〜
100 重量ぶの割合で配合した大型タイヤトレッド用ゴム
組成物。 (1)窒素吸着比表面積(N2SA):135〜150m2/g (2)CTAB吸着比表面積:130〜140m2/g (3)圧縮DBP吸油量:85〜95ml/100g (4)DstとΔDstの関係: 0.519×Dst+8.0 ≦ΔDst
≦0.519 ×Dst+32.6 (5)Dp とΔDp の関係: 0.776×Dp +1.5 ≦ΔDst
≦0.776 ×Dp +40.5

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トラック、バス等の大
型車に装着して優れた耐摩耗性ならびに低発熱性(高反
発弾性)を兼備する低燃費タイヤに有効な大型タイヤト
レッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム補強用のカーボンブラックには、具
備特性に応じた多様の品種があり、これらの品種特性が
配合したゴム組成物の諸性能を決定付ける主要な因子と
なる。このため、通常、ゴムへの配合に当たっては、部
材用途に適合する品種特性のカーボンブラックを選定使
用する手段が慣用されている。
【0003】近年、省資源、省エネルギーの社会的要求
に対応するため低燃費タイヤの開発が盛んにおこなわれ
てきたが、このような低燃費タイヤに対しては比較的粒
子径が大きな品種のカーボンブラックを相対的に少ない
量でゴム成分に配合した低発熱性で高反発弾性を備える
ゴム組成物が有効とされている。ところが、粒子径が大
きく比表面積の小さなカーボンブラックを配合したゴム
組成物は、低燃費性能を改善する目的には有効である
が、湿潤路面での制動性および耐摩耗性といった面の特
性減退が避けられない。したがって、粒子径が小さい
(高比面積)カーボンブラックを用いて配合ゴムに高耐
摩耗性と低発熱性(高反発弾性)とを同時に付与するこ
とができれば、低燃費化を対象とするタイヤトレッド用
ゴム部材として理想的なものとなる。
【0004】本出願人は、上記のような二律背反関係に
あるゴム性能を、配合するカーボンブラックの特性面、
とくに粒子径、比表面積、ストラクチャー等の基本特性
に加えてよりミクロな選択的特性を付加することによっ
て両立させる研究を系統的に継続しており、既に以下の
ような開発提案をおこなっている。 (1) BET比表面積(N2SA)が60m2/g以上のハード系領
域に属し、かつDstモード径≧4.35×〔電子顕微鏡粒子
径(dn)〕+26.8、ΔDst≧0.6118×Dstモード径+30.
6、圧縮DBP吸油量≧112ml/100g の選択的特性を
有し、配合ゴムに高補強性能と高反発弾性を同時に付与
することができる高弾性ゴム用カーボンブラック(特開
昭59−184231号公報) 。 (2) 窒素吸着比表面積(N2SA)60m2/g以上でDBP吸油
量が108ml/100g 以上のハード系領域に属し、かつ真
比重≦−0.0006(N2SA )+1.8379、着色力(%) ≧0.6979
(N2SA)−0.4278(DBP) +203.3 、凝集体分布巾(ΔDst)
≧0.6118(Dstモード径) +30.6の選択的特性を備える
ファーネスカーボンブラックをゴム成分100重量部に
対し25〜250重量部の割合で配合した高耐摩耗性と
高反発弾性を兼備するゴム組成物(特開昭59−140241号
公報) 。 (3) 窒素吸着比表面積(N2SA)が100〜200m2/gのハ
ード系領域に属し、かつ〔T=ΔDst50×ΔDst75×
R〕式で定義されるアグリゲートサイズ分布指数(T)
の値が〔4100−18.1(N2SA)<T<7700−25.5(N2SA)〕式
の関係(ΔDst50は遠心沈降法による凝集体ストークス
モード径分布の半値巾(nm)、ΔDst75は前記凝集体スト
ークスモード径分布の3/4 値巾(nm)、Rは前記凝集体ス
トークスモード径分布の最大吸光度を示す。)を満たす
カーボンブラックをゴム成分100重量部に対し35〜
100重量部の割合で配合した大型タイヤトレッド用に
好適なゴム組成物(特開昭63−112638号公報) 。 (4) 窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜185m2/gの範囲
にあり、かつ2点の極大値をもつ凝集体ストークスモー
ド径分布であって〔L(nm)=Dstモード径2 −Dstモー
ド径1 〕式(Dstモード径1 は遠心沈降法による凝集体
ストークスモード径分布における第1極大点のモード径
(nm)、Dstモード径2 は前記凝集体ストークスモード径
における第2極大点のモード径(nm)を指す。) で算出さ
れる距離差(L)が〔20≦L≦110 −0.3(N2SA) 〕式を
満足するアグリゲート特性範囲のカーボンブラックをゴ
ム成分100重量部に対し35〜100重量部の割合で
配合してなる大型タイヤトレッド用として好適なゴム組
成物(特開昭63−179941号公報) 。 (5) 窒素吸着比表面積(N2SA)が110〜155m2/gのハ
ード領域に属し、かつ〔D=[DBP(ml/100g)]−[24M4DBP
(ml/100g)]〕式で定義されるD値及び〔K=[ΔDst/
Dstストークスモード径(nm)] ×[N2SA(m2/g) /IA(mg/
g)]2×[ B(%)]〕式で定義されるK値が、1<D<20、
80<K<165 、[0.667(N2SA)−13.37 <K−1.96D<(N
2SA)+10] (但し、Bはブラックス、Dstストークスモ
ード径は遠心沈降法による凝集体ストークス相当径分布
における最大頻度のストークス相当径、ΔDstは前記分
布における最大頻度の50%の頻度が得られる大小2点の
ストークス相当径の差を指す。)を満足するカーボンブ
ラックをゴム成分100重量部に対し35〜100重量
部の割合で配合した大型タイヤトレッドに好適なゴム組
成物(特開昭63−297439号公報) 。 (6) 窒素吸着比表面積(N2SA)が60〜160m2/g、DB
P吸油量90〜150ml/100g のハード系領域に属し、
かつ凝集体空隙容積Vp(ml/g) が[0.00976×DBP吸油
量−0.0358] 式の算出値以上の選択的特性を有するタイ
ヤトレッド用カーボンブラック(特開平2−32136 号公
報) 。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低燃費
タイヤに対する材質要求はますます厳しくなっており、
前記の先願発明によるカーボンブラックやゴム組成物で
も最近の要求性能に応えることが難しくなっているのが
現状である。
【0006】本発明者は、このような背景下での引き続
く開発研究において、窒素吸着比表面積(N2SA)が135
〜150m2/gの範囲にあり、CTAB吸着比表面積およ
び圧縮DBP吸油量が一定範囲にあるハード系領域のフ
ァーネスカーボンブラックであって、アグリゲートのス
トークス径の半値幅(ΔDst) がストークスモード径
(Dst) との関係で一定関係式値の範囲にあり、さらに
アグリゲート粒間のポア径分布の半値幅 (ΔDp)がポア
径分布のモード径(Dp)との関係で一定関係式値の範囲
内にあるカーボンブラックを配合したゴム組成物は、バ
スやトラック等の大型タイヤのトレッド部材として好適
なゴム物性が得られる事実を解明した。
【0007】本発明は、上記の解明事実に基づいて開発
されたもので、その目的とするところは、バスやトラッ
ク等の大型車を対象とする低燃費タイヤに好適な高水準
の耐摩耗性とならびに低発熱性(高反発弾性)を兼備す
る大型タイヤトレッド用ゴム組成物を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による大型タイヤトレッド用ゴム組成物は、
下記 (1)〜(5) の選択的特性を備えるファーネスカーボ
ンブラックを、ゴム成分100重量部に対し35〜10
0重量部の割合で配合してなることを構成上の特徴とす
るものである。 (1) 窒素吸着比表面積(N2SA);135〜150m2/g (2) CTAB吸着比表面積;130〜140m2/g (3) 圧縮DBP吸油量;85〜95ml/100g (4) Dstモード径とΔDstの関係; 0.519 ×Dst+8.0 ≦ΔDst≦0.519 ×Dst+32.6 (5) Dp モード径とΔDp の関係; 0.776 ×Dp +1.5 ≦ΔDp ≦0.776 ×Dp +40.5
【0009】上記構成によるカーボンブラックの各特性
には、以下の測定方法によって得られる値が用いられ
る。 窒素吸着比表面積(以下「N2 SA」という);AST
M D3037−88“Standard Test Method for Car
bon Black-Surf-ace Area by Nitrogen Absorption”Me
thodBによる。この方法によるIRB#6の測定値は、7
6m2/gである。 CTAB吸着比表面積(以下「CTAB」という);A
STM D3765−89“Standard Test Method for
Carbon Black-CTAB(Cetyltrimethyl ammonium bromid
e)Surface Area ”による。 圧縮DBP吸油量(以下「24M4DBP」という);AS
TM D3493−91“Standard Test Method for C
arbon Black- DibutylPhthalate Absorption Number of
Compressed Sample”による。
【0010】Dstモード径(以下「Dst」という) およ
びΔDst;JIS K6221(1982)5「乾燥試料の作
り方」に基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量
の界面活性剤を含む20容量%エタノール水溶液と混合
してカーボンブラック濃度50mg/lの分散液を作製し、
これを超音波で十分に分散させて試料とする。ディスク
・セントリフュージ装置(英国Joyes Lobel 社製)を8
000rpm の回転数に設定し、スピン液(温度25℃の2
重量%グリセリン水溶液)を10ml加えたのち、1mlの
バッファー液(温度25℃の20容量%エタノール水溶液)
を注入する。ついで温度25℃のカーボンブラック分散
液0.5mlを注射器で加えた後、遠心沈降を開始し、同
時に記録計を作動させて図1に示す分布曲線(横軸はカ
ーボンブラック分散液を注射器で加えてからの経過時
間、縦軸はカーボンブラックの遠心沈降に伴い変化した
特定点での吸光度)を作成する。この分布曲線より各時
間Tを読み取り、次式(数1)に代入して各時間に対応
するストークス相当径を算出する。
【0011】
【数1】
【0012】数1において、ηはスピン液の粘度(0.935
cp) 、Nはディスク回転スピード(8000rpm) 、r1 はカ
ーボンブラック分散液注入点の半径(4.56cm)、r2 は吸
光度測定点までの半径(4.82cm)、ρCBはカーボンブラッ
クの密度(g/cm3) 、ρ1 はスピン液の密度(1.00178g/cm
3)である。
【0013】このようにして得られたストークス相当径
と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストー
クス相当径をDst(nm)とし、最大頻度に対し50%の頻
度が得られる大小2点のストークス相当径の差(半値
巾)をΔDstとする。この測定方法によるASTM D
−24 Standard Reference Black C-3(N234) のDstは
80nm、ΔDstは60nmである。
【0014】Dp モード径(以下「Dp 」という)およ
びΔDp ;JIS K6221(1982)5「乾燥試料の作
り方」に基づいて乾燥したのち、精秤採取したカーボン
ブラック試料を蒸留水と混合してカーボンブラック濃度
が0.250g/cm3 のペーストを作成し、超音波で十分
に分散させる。超音波分散後10分以内に示差走査熱量
計(DSC Mettler 社製 DSC30) でアグリゲート粒間
ポアの分布測定を開始する。この場合のペースト採取量
は約3〜5mgの範囲内とし、アルミ製のサンプル容器に
入れてシールしたのち、ペーストの質量を確認して前記
DSC装置にセットする。ついで、次のステップで測定
する。 室温から−80℃まで急冷する。 −80℃から−5℃まで10℃/min. の速度で加熱す
る。 −5℃から−0.1℃まで1℃/min. の速度で加熱し
たのち、−0.1℃ (蒸留水の凝固点より0.1 ℃低い温
度) に10分間保持する。 −0.1℃から−8℃まで0.1℃/min. の速度で徐
々に冷却し、補償エネルギーを記録する。 そして、の段階で得られた補償エネルギーのチャート
から各温度(0.1℃刻み) の山の高さ(y) を読み取り、下
記(1) 、(2) 式からアグリゲート粒間のポア径(Dp)お
よびポア径分布(δV/δDp)を得る。なお、これらの
式はBrunらによって導かれたもので、Thermochimica Ac
ta,21(1977) 59〜88“A NEW METHOD FORTHE SIMULTANEO
US DETERMINATION OF THE SIZE AND THE SHAPE OF PORE
S : THETHERMOPOROMETRY ”に詳説されている。 Dp = (135.34/ΔT)+1.14 ……(1) δV/δDp =K・(ΔT)2/(Wa ×y)…(2) (1) 及び(2) 式において、ΔTは蒸留水の凝固点降下
幅、Wa は蒸留水の凝固熱、KはDSC装置の感度やサ
ンプルの質量を考慮に入れたファクターである。以上の
方法で得られた分布曲線における最大頻度のポア径をD
p とし、最大頻度の50%が得られる大小2点のポア径
の差をΔDp とする。
【0015】本発明に用いるファーネスカーボンブラッ
クは、炉頭部に燃焼バーナーおよび原料油噴射ノズルを
装着した燃焼室とこれに連続する熱分解導管とから構成
された発生部を2系列設け、各発生部の熱分解導管を円
筒状の主反応ゾーンに収斂会合したY字型構造のオイル
ファーネス炉を用い、別発生系列で生成したカーボンブ
ラック中間生成ガス流を主反応ゾーンに同時に高速導入
して相互衝突させる方法(特開昭59−49267 号公報) に
よって製造され、この際、各発生系列における原料油、
燃料油、空気等の供給量、酸素ガスの添加量などの条件
を制御することによって本発明で特定した特性範囲のカ
ーボンブラックを得ることができる。
【0016】上記のフアーネスカーボンブラックを配合
して高水準の耐摩耗性ならびに低発熱性(高反発弾性)
をバランス良く同時付与することができるゴム成分とし
ては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジ
エンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレン
ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレンプ
ロピレンゴム、その他カーボンブラックにより補強可能
な各種ゴム、混合ゴムなどを挙げることができる。カー
ボンブラックの配合比率は、ゴム成分100重量部に対
し35〜100重量部とし、加硫剤、加硫促進剤、老化
防止剤、加硫助剤、軟化剤、可塑剤など常用の配合成分
とともに混練して本発明の大型タイヤトレッド用ゴム組
成物を得る。
【0017】
【作用】本発明で特定したファーネスカーボンブラック
の特性項目のうち、N2 SAが135〜150m2/g、C
TABが130〜140m2/gおよび24M4DBPが85〜
95ml/100g の範囲は、配合ゴムに高度の耐摩耗性と適
度の低発熱性を保有させると共に優れた加工性を付与す
るための前提条件となる。窒素吸着比表面積およびCT
ABが前記下限値を下回ると十分な耐摩耗性が得られ
ず、他方、前記範囲の上限を越えると発熱性が増大し、
低燃費タイヤ用のトレッド部材を得ることができなくな
る。また、24M4DBPも同様に前記範囲を下方に外れる
と配合ゴムの耐摩耗性が不十分となり、前記範囲を越え
るとゴム配合混練物の粘度が高くなって加工性が減退す
る。
【0018】DstおよびΔDstは、カーボンブラックア
グリゲートの大きさとその分布に関係するコロイダル特
性である。このうち、ΔDstはアグリゲートのストーク
ス相当径の分布を示す指標となるもので、分布巾が広い
と配合ゴムの耐摩耗性など補強性が低下し、分布巾が狭
いと反発弾性が低くなって低発熱性のものが得られな
い。発明者の検討によると、ΔDstとDstには一定の相
関性があり、上市されているハード系カーボンブラック
は、概ね〔ΔDst=0.519 ×Dst+16.6〕の関係にある
ことが確認されている。本発明のファーネスカーボンブ
ラックは、ΔDstがDstとの関係において〔0.519 ×D
st+8.0 ≦ΔDst≦0.519 ×Dst+32.6〕式の範囲を満
たすことが重要な特性項目で、ΔDstが〔0.519 ×Dst
+32.6〕値を越えて相対的に分布巾が広くなると配合ゴ
ムの耐摩耗性が後退し、また〔0.519 ×Dst+8.0 〕値
を下回るような狭い分布巾になると反発弾性が低下し、
発熱性が増大する。
【0019】Dp およびΔDp は、カーボンブラックア
グリゲートの形態に関連するコロイダル特性であり、カ
ーボンブラック粒子の凝集体であるアグリゲートの凝集
体構造において凝集体粒子間の空隙および細孔、すなわ
ちアグリゲート粒間のポアの大きさ、ならびにその分布
を示す指標となるものである。発明者の検討によるとア
グリゲート粒間ポアにおけるDp とΔDp との間には一
定の相関があり、上市されているハード系カーボンブラ
ックのΔDp は概ね〔0.776 ×Dp −16.4] ±14の関係
にある。
【0020】本発明で特定した〔0.776 ×Dp +1.5 ≦
ΔDp ≦0.776 ×Dp +40.5〕式を満たすΔDp の範囲
は、粒間ポアの分布巾がDp との関係において広いこと
により特徴付けられるが、ΔDp が〔0.776 ×Dp +1.
5 〕値を下回ると発熱性の抑制が不十分となり、一方、
〔0.776 ×Dp +40.5〕値を越えると耐摩耗性が後退す
る。
【0021】本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分に配
合するファーネスカーボンブラックの上記特性が総合的
に作用して、低燃費性の大型タイヤトレッドに要求され
る高度の耐摩耗性ならびに低発熱性(高反発弾性)を同
時にバランスよく付与することが可能となる。したがっ
て、特定した全ての特性項目を備えるファーネスカーボ
ンブラックをゴム成分に配合することが必須の要件とな
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0023】実施例1〜5、比較例1〜5、参考例1〜
3 頭部にウインドボックスを介して燃焼バーナーおよび原
料油噴射ノズルを同軸的に装着した燃焼室(内径450mm
、長さ800mm 、このうち円錐部分200mm)と熱分解導管
(内径65mm、長さ500mm)とを備えた2系列の発生部を、
内径150mm、長さ2000mmの後段広径部位と内径9
5mm、長さ700mmの前段狭径部位を連設した主反応ゾ
ーンの前面に交角60°の角度で収斂結合させ、収斂結
合点の50mm下流位置に当たる主反応ゾーンに絞り比
0.65のリング部材を介設したY字型構造のオイルフ
ァーネス炉を設置した。原料油には、比重(15/4 ℃)
1.073、粘度(エングラー40/20 ℃) 2.10、ト
ルエン不溶分0.03%、相関係数(BMCI)140の芳香
族炭化水素油を、また燃料油としては、比重(15/4 ℃)
0.903、粘度(Cst/50 ℃) 16.1、残炭分5.4
%、引火点96℃の炭化水素油を用いた。
【0024】上記の反応炉、原料油および燃料油を用
い、各発生系列における原料油供給量、燃料油量、空気
供給量、酸素ガスの添加量等の生成条件を変動させて1
0種類(実施例1〜5、比較例1〜5)のファーネスカ
ーボンブラックを製造した。表1〜3にカーボンブラッ
クの生成条件と得られたカーボンブラックの特性を対応
させて示した。また、表4には参考例1〜3として大型
タイヤトレッド用として好適な市販のハード系カーボン
ブラック品種の特性を示した。なお、参考例1は東海カ
ーボン(株)製、“シースト6”(N220)、参考例2は東
海カーボン(株)製、“シースト9”(N110)、参考例3
は東海カーボン(株)製、“シースト9H”である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】次に、これらのカーボンブラック試料を表
5に示す配合比により天然ゴムに配合した。
【0030】
【表5】
【0031】表5の配合物を145℃の温度で40分間
加硫して得られた各ゴム組成物につき各種ゴム試験をお
こない、測定された結果を表8〜9(参考例は表11)
に示した。なお、各測定試験のうち耐摩耗量および損失
係数(tanδ) は下記の方法で行い、その他は全てJIS
K6301「加硫ゴム物理試験法」によった。 耐摩耗量;ランボーン摩耗試験機(機械式スリップ機
構)を用い、次の条件で測定した。耐摩耗量の表示数値
は参考例2を100とした場合の指数であり、指数値が
大きいほど高い耐摩耗性を示す。 試験片:厚さ10mm、外径44mm エメリーホイール:GCタイプ、粒度 #80、硬度H 添加カーボランダム粉:粒度 #80、添加量 約9g/mi
n. エメリーホイール面と試験片の相対スリップ率:24
%、60% 試験片回転数:535rpm 試験荷重:4kg 損失係数(tanδ) ;Visco Elastic Spectrometer(岩本
製作所製)を用い、次の条件で測定した。表示の数値が
小さいほど発熱性が低いことを示す。 試験片:厚さ2mm、長さ30mm、幅5mm 周波数:50Hz 動的歪率:1.2% 温 度:60℃
【0032】比較例6〜16 炉頭部に接線方向空気供給口と炉軸方向に装着した燃焼
バーナーを有する燃焼室(直径800mm 、長さ800mm)、該
燃焼室と同軸的に連結し炉壁を貫通する原料油噴射ノズ
ルを備える第1段狭径反応域(直径200mm 、長さ500m
m)、第2段狭径反応域(直径160mm 、長さ700mm)および
広径反応室(直径400mm)を順次に連設したオイルファー
ネス炉を設置した。原料油の供給は、第1段狭径反応域
と第2段狭径反応域の炉壁を貫通して設置した原料噴射
ノズルから分割導入した。原料油および燃料油の組成
は、実施例と同一とし、第一段目と第2段目の原料供給
量、燃料油量、空気供給量、酸素ガス添加量等を変動さ
せてファーネスカーボンブラックを製造した。得られた
カーボンブラックの特性を生成条件と対比して表6〜7
に示し、これらカーボンブラックを実施例と同一条件で
天然ゴムに配合したゴム組成物のゴム物性を表9〜11
に併載した。
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】
【表9】
【0037】
【表10】
【0038】
【表11】
【0039】表9〜11の測定結果を基に作成した耐摩
耗量(24%slip) と損失係数(tanδ)の関係グラフを図3
に、また耐摩耗量(24%slip) と反発弾性の関係グラフを
図4に示した。これら散布図から、図3では実施例のゴ
ム組成物が比較例や参考例に比べて右下方向(矢印)に
分散し、相対的に耐摩耗性と低発熱性がバランスよく付
与されていることが判る。同様に、図4では実施例が右
上方向(矢印)に分散しており、耐摩耗性と高反発弾性
を同時に具備していることが認められる。
【0040】個別的には、表8〜11を考察して明らか
なとおり本発明で特定したカーボンブラック特性要件を
満足する実施例のゴム組成物は、同一水準の比表面積を
備える比較例に比べて耐摩耗性が向上し、同時に損失係
数(tanδ) の低下と反発弾性の増大が認められる。これ
に対し、N2 SAおよびCTABが特定範囲より低い比
較例1では十分な耐摩耗性が得られず、他方、これら比
表面積が特定範囲より高い比較例5では損失係数が高
く、発熱性が増大している。24M4DBPが特定範囲より
低い比較例2は60%slipの耐摩耗性が大きく後退し、
逆に特定範囲を上回る比較例3は加工性が低下し、発熱
性が同水準の比表面積をもつ実施例3に比べて高くな
る。ΔDstが関係式を高い方に外れる比較例6、7、1
4は同水準の粒子径を有する実施例3に比べて耐摩耗性
が劣り、逆に低位に外れる比較例8、9、15は同等N
2 SA水準の実施例4より発熱性および反発弾性が低下
する。ΔDp が関係式を低く外れる比較例10、11、
15は同水準の比表面積をもつ実施例3や4に比べて発
熱性、反発弾性が共に劣り、逆に高位に外れる比較例1
2、13、14は耐摩耗性が低下する。
【0041】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば従来技術
とは異なるファーネスカーボンブラックのミクロなコロ
イダル特性を選択規制することにより、相対的に優れた
耐摩耗性能と低発熱性および高反発弾性を同時にバラン
スよく併有するゴム組成物を提供することが可能にな
る。したがって、トラック、バスなどの大型タイヤトレ
ッド部材に適用して効果的な低燃費化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液
を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降
による吸光度の変化を示した分布曲線である。
【図2】Dstの測定時に得られるDstと吸光度の関係を
示した分布曲線である。
【図3】実施例、比較例、参考例における耐摩耗量(24%
slip) と損失係数(tanδ) の関係を示した分散図であ
る。
【図4】実施例、比較例、参考例における耐摩耗量(24%
slip) と反発弾性の関係を示した分散図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記 (1)〜(5) の選択的特性を備えるフ
    ァーネスカーボンブラックを、ゴム成分100重量部に
    対し35〜100重量部の割合で配合してなることを特
    徴とする大型タイヤトレッド用ゴム組成物。 (1) 窒素吸着比表面積(N2SA);135〜150m2/g (2) CTAB吸着比表面積;130〜140m2/g (3) 圧縮DBP吸油量;85〜95ml/100g (4) Dstモード径とΔDstの関係; 0.519 ×Dst+8.0 ≦ΔDst≦0.519 ×Dst+32.6 (5) Dp モード径とΔDp の関係; 0.776 ×Dp +1.5 ≦ΔDp ≦0.776 ×Dp +40.5
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015162814A1 (ja) * 2014-04-22 2015-10-29 東海カーボン株式会社 カーボンブラックおよびゴム組成物

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