JPH08200894A - 冷凍・空調装置とその油交換方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はミスト潤滑式圧縮機を備えていても
何らの不具合なく、かつ、大気中へガス冷媒を流出させ
ることなく潤滑油を抜き取り、新たな潤滑油と交換でき
る冷凍・空調装置とその油交換方法を提供することを目
的とする。 【構成】 本発明はミスト潤滑式の圧縮機を備えた冷凍
・空調装置において、前記圧縮機の吸入管に開閉弁を介
して油回収器を設けたことを特徴とする冷凍・空調装
置、を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両用空調装置等の冷凍
・空調装置及びその油回収方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３は従来の車両用空調装置の構成を示
す系統図で、図中符号１は図示しない内燃機関のプーリ
を示す。このプーリ１により圧縮機プーリ２および電磁
クラッチ３を介して圧縮機４が駆動され冷媒を圧縮す
る。圧縮された高圧高温のガス状冷媒および圧縮機４の
潤滑に使用された高温でミスト状の潤滑油は吐出配管５
を介してコンデンサ６に流入する。

【０００３】コンデンサ６に流入したガス状冷媒および
ミスト状潤滑油はファンモータ７により駆動されるファ
ン８の送風空気と熱交換して放熱し冷媒は凝縮、潤滑油
は冷媒に溶解する形で高温液状となる。

【０００４】高温液状となった冷媒と潤滑油はレシーバ
９およびドライヤストレーナ１０を介して膨張弁１１に
流入し、冷媒は膨張弁１１にて絞られ、断熱膨張して低
圧低温となり、潤滑油は冷媒で冷却され低温となる。低
圧低温となった冷媒はエバポレータ１２にてエバポレー
タファン１３からの室内空気と熱交換して吸熱蒸発し、
その際、室内を冷房する。そして吸熱蒸発した冷媒は吸
入管１４を介して前記圧縮機４に戻る。また、潤滑油は
冷媒の熱影響を受けてほぼ同温度であるが液状（一部ミ
スト）のまま圧縮機４に戻る。

【０００５】上記のように構成された空調装置におい
て、圧縮機４がミスト油潤滑式の場合、圧縮機４に潤滑
油は少量しか残留せず、潤滑油の多くはコンデンサ６、
エバポレータ１２、吐出配管５、吸入管１４等の装置側
に溜っているため、潤滑油が劣化しても交換は難しい。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の車両用空調
装置には解決すべき次の課題があった。

【０００７】即ち、従来の装置では上述したように圧縮
機の潤滑油を交換しようとしても圧縮機には少量の潤滑
油しか残っていないので交換できないという問題があっ
た。どうしても潤滑油を交換したい場合は熱交換器及び
冷媒配管を洗浄剤で洗浄する必要があるが、洗浄及び洗
浄剤乾燥に長時間必要であり、洗浄剤のコストも高くま
た大気汚染を生じる等の欠点がある。

【０００８】本発明はこのような問題点を解決しようと
するもので、冷房運転中は、吸入管内にはエバポレータ
で蒸発したガス状冷媒と液状潤滑油（一部ミスト状）が
圧縮機に向って流れているので吸入管に潤滑油回収器を
設置して潤滑油のみを回収、抜き取り、潤滑油の交換可
能な主として車両用の冷凍・空調装置及びその油交換方
法を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題の解決
手段として、次の（１）〜（４）に記載の冷凍・空調装
置とその油交換方法を提供しようとするものである。

【００１０】（１）ミスト潤滑式の圧縮機を備えた冷凍
・空調装置において、前記圧縮機の吸入管に開閉弁を介
して油回収器を設けたことを特徴とする冷凍・空調装
置。

【００１１】（２）上記（１）記載の冷凍・空調装置に
おいて、油回収器を着脱自在に設けたことを特徴とする
冷凍・空調装置。

【００１２】（３）上記（１）記載の冷凍・空調装置に
おいて、油回収器を、同油回収器より圧縮機側の吸入管
と開閉弁を有する圧力抜き管を介して接続してなること
を特徴とする冷凍・空調装置。

【００１３】（４）ミスト潤滑式の圧縮機を備えた冷凍
・空調装置において、圧縮機の吸入管に開閉弁を介して
油回収器を設け、冷房運転しながら、前記開閉弁を開
け、潤滑油を油回収器に回収、抜き取り、潤滑油を交換
することを特徴とする冷凍・空調装置の潤滑油交換方
法。

【００１４】

【作用】本発明は上記のように構成されるので次の作用
を有する。

【００１５】（１）．上記（１）の構成にあっては圧縮
機の吸入管に開閉弁を介して油回収器を設けるため、冷
房運転中、吸入管内を流れるガス状冷媒と液状潤滑油の
うち、液状の潤滑油のみが油回収器に溜るのを選択的に
回収することができる。次いで新しい潤滑油を給油すれ
ば潤滑油交換が果たされる。

【００１６】（２）．上記（２）の構成にあっては上記
（１）の構成の油回収器を着脱自在に設けるため、１つ
の油回収器によって複数の冷凍・空調装置の潤滑油交換
を果たせる。

【００１７】（３）．上記（３）の構成にあっては上記
（１）の構成の油回収器を、同油回収器より圧縮機側の
吸入管と開閉弁を有する圧力抜き管を介して接続するた
め、圧力抜き管がより低圧となって、油回収器内の圧力
が下り、同回収器内への潤滑油の流入能率が高まり、従
って潤滑油交換能率が高まる。

【００１８】（４）．上記（４）の構成にあっては上記
（１）〜（３）の油回収器を、冷房運転しながら用い、
潤滑油抜き取り、交換を行なうので潤滑油交換を能率的
に行なうことができる。

【００１９】

【実施例】本発明の一実施例を図１及び図２により説明
する。なお、従来例と同一部材には同一符号を付してそ
の説明は省略する。

【００２０】図１は本実施例に係る車両用の冷凍・空調
装置の構成を示す系統図、図２は図１の潤滑油回収器１
５周辺の拡大図である。図において、１５は潤滑油回収
器であり、該回収器１５内を真空引きするためのバルブ
２０と潤滑油を放出するためのバルブ２１を付属する。
吸入管１４の内部はエバポレータ１２で蒸発したガス状
冷媒と液状の潤滑油（一部ミスト状）が圧縮機４へ向っ
て流れており、ガス状冷媒に比較して潤滑油は重いので
吸入管１４の比較的水平部ではその内周底部を流れてい
るため、吸入管１４の底部に設けた潤滑油回収管１６に
バルブ１７を介して潤滑油回収器１５を接続して潤滑油
を回収するが潤滑油回収器１５内の圧力を下げないと潤
滑油の入りが悪い。そこで圧縮機４に近い方の吸入管１
４の内周上部（または横）に潤滑油回収器１５内の圧力
を抜く圧力抜き管１８を設け、バルブ１９を介して潤滑
油回収器１５に接続する。その他の構成は従来例と同様
である。

【００２１】次に上記構成の作用について説明する。

【００２２】潤滑油を回収する時はバルブ１７，１９を
開けると（バルブ２０，２１は閉）、吸入管１４の潤滑
油回収管１６部と圧力抜き管１８部の間には冷媒が流れ
ていることにより圧力損失があるため、潤滑油回収器１
５内の圧力は低下（潤滑油回収管１６と比較して）する
ので潤滑油およびガス状冷媒は潤滑油回収管１６とバル
ブ１７を介して潤滑油回収器１５へ流れ込む。

【００２３】流れ込んだ潤滑油は重いため潤滑油回収器
１５内の底部より順次溜り、軽いガス状冷媒はバルブ１
９と潤滑油回収器１５の圧力抜き管１８を介して吸入管
１４へ戻っていくので冷媒を大気に放出することなく潤
滑油を回収、抜き取ることができる。

【００２４】但し、この方法では潤滑油を全部回収する
と圧縮機４が焼付くので、潤滑油回収器１５の内容積を
最大潤滑油回収許容量以内にする必要がある。

【００２５】潤滑油回収許容量が少ない場合または潤滑
油の劣化度が大きい場合は、新潤滑油を規定量より多く
入れて（例：抜き取った油＋規定油量×１．５）冷房運
転し、新旧潤滑油を攪拌して（５〜１０分）再び前記の
要領で余剰潤滑油を回収、抜き取る。

【００２６】又、潤滑油回収器１５は必らずしも車両空
調装置に常備する必要はなく、潤滑油劣化等により交換
が必要な時だけバルブ１７，１９に取付けて使用しても
よい。従って、車両空調装置は複数台あっても潤滑油回
収器１５は１台あればよい。潤滑油回収器１５を取付け
た時はバルブ２０を開けて真空引きを行ない、空気、水
分を抜き取り（バルブ１７，１９，２１は閉）、その後
潤滑油回収作業に入る。

【００２７】以上の通り、本実施例によれば潤滑油回収
器１５を吸入管１４に潤滑油回収管１６を介して接続
し、かつ、圧縮機４に近い側を圧力抜き管１８を介して
接続するので潤滑油回収器１５に液状の潤滑油を能率よ
く回収、交換できるという利点がある。

【００２８】また、潤滑油回収器１５の接続される吸入
管１４の該位置より、冷媒流路より見て更に下流側とな
る位置、即ち、より圧縮機４の吸入口に近い位置に潤滑
油回収器１５と連通する圧力抜き管１８を設けるので潤
滑油回収器１５内のガス冷媒は同管１８を経て圧縮機４
側に吸入されるため、冷媒の無駄な系外排出が生じない
という利点がある。

【００２９】また、バルブ１７，１９を閉めさえすれば
潤滑油回収器１５は自由に着脱でき、他の冷凍・空調装
置等に使用できるという利点がある。

【００３０】

【発明の効果】本発明は上記のように構成されるので次
の効果を有する。

【００３１】即ち、本発明によれば、冷凍・空調装置の
吸入管に接続した潤滑油回収器により使用済みの潤滑油
を回収することにより、今まで潤滑油が交換できなかっ
た、または、洗浄が必要であったミスト油潤滑式圧縮機
等でも簡単に、冷媒を大気へ放出することなく、潤滑油
交換作業を行なうことができる。

【００３２】これにより、冷凍・空調装置の耐久性が高
まり、使用寿命が長くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る車両用の冷凍・空調装
置の系統図、

【図２】図１の潤滑油回収器周辺の拡大図、

【図３】従来の車両用空調装置の系統図である。

【符号の説明】

４ 圧縮機 １４ 吸入管 １５ 潤滑油回収器 １７ バルブ １８ 圧力抜き管 １９ バルブ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミスト潤滑式の圧縮機を備えた冷凍・空
   調装置において、前記圧縮機の吸入管に開閉弁を介して
   油回収器を設けたことを特徴とする冷凍・空調装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の冷凍・空調装置におい
   て、油回収器を着脱自在に設けたことを特徴とする冷凍
   ・空調装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載の冷凍・空調装置におい
   て、油回収器を、同油回収器より圧縮機側の吸入管と開
   閉弁を有する圧力抜き管を介して接続してなることを特
   徴とする冷凍・空調装置。
4. 【請求項４】 ミスト潤滑式の圧縮機を備えた冷凍・空
   調装置において、圧縮機の吸入管に開閉弁を介して油回
   収器を設け、冷房運転しながら、前記開閉弁を開け、潤
   滑油を油回収器に回収、抜き取り、潤滑油を交換するこ
   とを特徴とする冷凍・空調装置の潤滑油交換方法。