JP2799514B2 - 密閉型ターボ冷凍機の油回収装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は密閉型ターボ冷凍機において、冷媒中に漏洩
した潤滑油を冷凍負荷が小さいときにも効果的に回収す
る密閉型ターボ冷凍機の油回収装置に関するものであ
る。

〔従来技術〕

密閉型ターボ冷凍機の冷凍サイクルを第２図により説
明する。

蒸発器１において、蒸発した冷媒ガスＡは圧縮機２に
吸入される。この吸入ガス量は冷凍負荷に応じて、例え
ばサンクショーンベーンなどの吸込容量制御弁３により
調節される。圧縮機２で圧縮された冷媒ガスは、凝縮器
４に吐出され冷却凝縮により冷媒液になる。この冷媒液
はオリフィス等の膨張機構５を経て前記蒸発器１に戻
る。ここで圧縮機２の羽根車６の軸受や増速歯車７等は
別系統の潤滑装置（図示せず）により潤滑される。

密閉型ターボ冷凍機においては、冷媒系統と潤滑系統
は全体として外部とは遮断されており、両者はシール装
置により分離されているものの、僅かながら両者間に往
来がある。一般には圧縮機２の軸貫通部からＢに示すよ
うに、油が冷媒側に漏洩侵入する。この油は冷媒ガスと
共に凝縮器４を経て蒸発器１に至る。該蒸発器１におい
ては冷媒が油を残して蒸発するため、油はここに溜る。

しかしながら、通常は蒸発器１で蒸発した冷媒ガスに
随伴して、冷媒ミストが圧縮機２に吸入されるため、油
は結果的にこのミストに溶解して蒸発器１から搬出され
る。圧縮機２の吸込側には第３図に示すように、油溜り
８があり、該油溜り８に溜った油はエジェクタフィルタ
12を通してエジェクタ11等により吸引され油タンク13へ
回収される。

なお、第２図において、９は圧縮機２がら凝縮器４に
流入した冷媒ガスの一部を蒸発器１へバイパスするバイ
パス路であり、該バイパス路９にはホットガスバイパス
弁10が設けられている。また、14,15はそれぞれ蒸発器
１の冷水入口，冷水出口、16,17はそれぞれ凝縮器４の
冷却水入口，冷却水出口である。また、18はオイルクー
ラ、19はバージコンデンサ、20は冷媒ポンプ、21はスト
レーナ、22は冷媒クーラである。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来の密閉型ターボ冷凍機においては、全負荷又
はそれに準じる負荷状態においては、冷媒ガスの流速が
速いため所要量の冷媒ミストが随伴され、十分な油の回
収が行なわれる。

しかしながら、部分負荷状態では冷媒ガスに随伴する
冷媒ミスト量が少ないため、油回収量が漏洩量より少な
くなり、冷媒に溶解し蒸発器１に残る油の量が増える。

そのため潤滑装置の油が減少し、油圧低下トリップが
作動して冷凍機が停止することになる。そのため、冷凍
機の運転を継続するためには、潤滑装置に油を補給しな
ければならなく、無駄に油を要するばかりでなく、次に
全員負荷運転が可能となったときには、油が多く回収さ
れるため、油タンクの油面が高くなり、逆に油を油タン
クから抜き取る作業が必要となり運転者にとて大変煩わ
しいものであった。

また、蒸発器１においても部分負荷状態の運転が続く
と冷媒液に溶解した油の濃度が高くなるのでチューブの
汚れが促進され、伝熱が阻害されるという問題もあっ
た。

本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記問題
点を除去し冷媒中に漏洩した潤滑油を冷凍負荷が小さい
ときにも効果的に回収する密閉型ターボ冷凍機の油回収
装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するため本発明は、圧縮機２が吸込容
量制御弁３を備え、該圧縮機２の吸込側に油溜り室８が
あり、該油溜り室に溜った油を吸込装置により油タンク
に回収機構を備え、負荷の大小に応じて圧縮機２を自動
発停する機構を有する密閉型ターボ冷凍機において、圧
縮機２の自動発停の単位時間当りの回数が所定の設定回
数以上になったとき、圧縮機２の吸込容量制御弁３の一
定時間以上強制的に一定の開度以上に維持する手段を設
けたことを特徴とする。

また、前記圧縮機２の吸込容量制御弁３を一定時間以
上強制的に一定の開度以上に維持するに際して、圧縮機
２から凝縮器４に流入した冷媒ガスの一部を蒸発器１へ
バイパスするバイパス路９に設けられたホットガスバイ
パス弁10を開くことを特徴とする。

〔作用〕

ターボ冷凍機では、冷凍負荷が減少するサクションベ
ーン等の吸込容量制御弁３の制御機構のみでは調節が不
十分となるので、冷水入口14に設置した自動発停サーモ
スタット等により圧縮機２がON,OFFされる。冷凍負荷が
少ないと、冷水は冷却されやすく、また低いまま戻るた
め、短時間の圧縮機２の運転で冷水入口温度も下がる。
そのため圧縮機２のON,OFF頻度が高くなる。

本発明によれば一定時間におけるON,OFF回数を検知
し、これが設定値以上になると、圧縮機２の吸込容量制
御弁３の開度が一定時間以上強制的に一定値以上に維持
される。ここで、一定値とは、冷媒ガス流量が冷媒液随
伴に十分な値になるような開度であり、試運転により決
定することが可能である。こうすることにより、一時的
に冷凍容量が必要以上に大きくなるので、圧縮機２の運
転時間は短くなるが、冷媒ガスの流量が冷媒液の随伴す
るに充分な値になるため、蒸発器１に溜った油が回収さ
れる。圧縮機２の運転時間は、圧縮機２の吸込圧力低下
または冷媒低温トリップ又は冷水低温トリップの手前ま
で運転するようにすれば運転時間も油回収に十分な長さ
となる。

また、凝縮器４から蒸発器１への冷媒ガスのバイパス
を行うためのホットガスバイパス弁10を一定開度開くこ
とにより、圧縮機２の負荷が通常の部分負荷以上に大と
なるので、圧縮機２の省エネ運転には反するが、安定し
て吸込容量制御弁３を一定値に強制的に開けて運転維持
することもできる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本発明の密閉型ターボ冷凍機の油回収装置の
動作を示すフローチャートである。なお、本実施例の油
回収装置の密閉型ターボ冷凍機の構成は第２図と同一で
ある。

第１図において、先ず、密閉型ターボ冷凍機を運転
し、圧縮機２の運転回数ｎ、即ち自動運転中の圧縮機２
の単位時間当りのON回数ｎをカウントする（ステップ10
1）。次に、単位時間当りのON関数ｎと基準とする圧縮
機２の単位時間当りのON回数Ｎと比較し（ステップ10
2）、続いてｎ＞Ｎであるか否かを判断し（ステップ10
3）、YESであったら、吸込容量制御弁３を一定値まで開
ける（ステップ104）。この状態を一定時間Ｔ、即ち油
回収機能維持のための必要最少時間Ｔを保持する（ステ
ップ105）。次に時間Ｔが経過したか否かを判断し（ス
テップ106）、YESであったら吸込容量制御弁３を閉じ
（ステップ107）、前記ステップ101に戻る。なお、前記
ステップ103でNO、即ちｎ＞Ｎでなかったならばステッ
プ101に戻る。

また、前記ステップ103でYESであった場合、ホットガ
スバイパス弁10を一定開度であける（ステップ108）方
法もあるが、この場合はステップ107の後、ホットガス
バイパス弁10を閉じる（ステップ109）。

上気動作は例えばマイクロコンピュータを用いた制御
手段で実現することも可能である。

〔発明の効果〕 以上説明したように本発明によれば下記のような優れ
た効果が得られる。

（１）油回収量の少ない部分負荷運転が続いても、油不
足による油圧低下トリップを起こすことなく、密閉型タ
ーボ冷凍機の連続運転が可能となる。

（２）運転継続のために、油を補給し、また油を油タン
クか抜き出すという煩わしい操作を要しない。

（３）蒸発器の冷媒液中に溶解している油の濃度が高く
なるのを抑制できるので、伝熱チューブの汚れを防ぎ良
好な伝熱を維持でき、省エネルギーとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の密閉型ターボ冷凍機の油回収装置の動
作を示すフローチャート、第２図は密閉型ターボ冷凍機
の構成を示す図、第３図は圧縮機の油回収装置の構成を
示す図である。 図中、１……蒸発器、２……圧縮機、３……吸込容量制
御弁、４……凝縮器、５……膨張機構、６……羽根車、
７……増速歯車、８……油溜り、９……バイパス路、10
……ホットガスバイパス弁。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧縮機が吸込容量制御弁を備え、該圧縮機
   吸込側に油溜り室があり、該油溜り室に溜った油を吸込
   装置により油タンクに回収する回収機構を備え、負荷の
   大小に応じて圧縮機を自動発停する機構を有する密閉型
   ターボ冷凍機において、 前記圧縮機の自動発停の単位時間当りの回数が所定の設
   定回数以上になったとき、前記圧縮機の吸込容量制御弁
   を一定時間以上強制的に一定の開度以上に維持する手段
   を具備することを特徴とする密閉型ターボ冷凍機の油回
   収装置。
2. 【請求項２】前記圧縮機の吸込容量制御弁を一定時間以
   上強制的に一定の開度以上に維持するに際して、前記圧
   縮機から凝縮器に流入した冷媒ガスの一部を蒸発器へバ
   イパスするバイパス路に設けられたホットガスバイパス
   弁を開くことを特徴とする請求項（１）記載の密閉型タ
   ーボ冷凍機の油回収装置。