JPH08199425A - 高染着性ポリエステル系繊維および高染着性ポリエステル系繊維構造物ならびにその染色方法 - Google Patents

高染着性ポリエステル系繊維および高染着性ポリエステル系繊維構造物ならびにその染色方法

Info

Publication number
JPH08199425A
JPH08199425A JP7003460A JP346095A JPH08199425A JP H08199425 A JPH08199425 A JP H08199425A JP 7003460 A JP7003460 A JP 7003460A JP 346095 A JP346095 A JP 346095A JP H08199425 A JPH08199425 A JP H08199425A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester fiber
dyeing
polyester
highly dyeable
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7003460A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyoshi Handa
信義 半田
Yutaka Masuda
豊 増田
Michinori Higuchi
徹憲 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP7003460A priority Critical patent/JPH08199425A/ja
Publication of JPH08199425A publication Critical patent/JPH08199425A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Knitting Of Fabric (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Coloring (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】水または熱水に可溶性で分子量400〜300
0である化合物をポリエステル主鎖と実質的に化学結合
することなく含有するポリエステルからなることを特徴
とする高染着性ポリエステル系繊維。前記高染着性ポリ
エステル系繊維を含んでなることを特徴とするむ高染着
性ポリエステル系繊維構造物。前記高染着性ポリエステ
ル系繊維を含んでなる繊維構造物を熱水で処理し、ポリ
エステル系繊維から水または熱水に可溶性で分子量40
0〜3000である化合物をもとの含有量に対し50重
量%以上を除去した後、分散染料で染色するか、または
除去すると同時に分散染料で染色することを特徴とする
高染着性ポリエステル系繊維の染色方法。 【効果】耐光堅牢度を低下させることなく濃染化が可能
であり、しかも染料利用効率が高い。特に極細繊維で有
用なものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通常のポリエステル繊
維に比べ、特に濃色での染色において有用である高染着
性ポリエステル系繊維、高染着性ポリエステル系繊維構
造物およびポリエステル系繊維の染色方法に関する。よ
り詳しくは、従来と同じ染料を使用しながら繊維の染料
吸尽率が高くすることができ濃色に染めることができ、
かつ堅牢度低下のない高染着性ポリエステル系繊維、高
染着性ポリエステル系繊維構造物およびポリエステル系
繊維の染色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、衣料用途ほか多用
途に使用されている。ポリエステル系繊維は、通常、例
えばポリエチレンテレフタレート繊維の場合で130℃
の染色条件で十分な染色性があり、実用上十分な色を染
色できる。
【0003】しかし近年、ポリエステル系極細繊維が種
々の用途で使用されているが、極細繊維においては、通
常の太さの繊維にくらべ同じ染料吸尽量の場合、色濃度
が大幅に薄く見えるという問題を有する。このため極細
繊維においては、染料濃度を上げて染色する必要があ
り、例えば0.1デニールの極細繊維であれば、通常の
太さの繊維(2〜3デニール)と同じ色に染色するため
には、染料の使用量が通常太さの繊維の4〜6倍必要と
される。このような高濃度の染色条件においては多くの
染料の場合、ポリエステル系繊維に対する染着性が低く
なり、高濃度の染色液を使用しても繊維に実際に吸尽さ
れる染料はあまり増加せず、結果として十分な濃色が得
られないという大きな問題がある。
【0004】従来、ポリエステル系繊維の染色性を改善
する方法としては、繊維形成性ポリマーとして共重合ポ
リマーを用いることなどによりガラス転移温度を低下さ
せ、共重合してないホモポリマーより低温で染色できる
低温染着性や常圧可染性を付与する方法が知られてい
る。しかしながら、ポリエステル系繊維を濃色に染着す
ることは必ずしも十分ではなく、さらに共重合すること
によりポリエステル系繊維の繊維構造が乱される結果、
染色後に染料が落ちやすくなり堅牢度が悪化するため実
用的ではなかった。
【0005】一方、特開平5−321027号公報に
は、特定構造の添加剤により染着性を高めることが提案
されているが、必ずしも効果が十分ではなく、染色後も
添加剤が繊維に残るので、堅牢度が低下する問題があ
る。
【0006】本発明者らは、さきにポリエステル系繊維
を特定の薬剤で染色前に処理することにより染着性を高
め、特に極細繊維において濃色が得られることを提案し
ている(特開平5−195447号公報など)。しか
し、このような染色前の布帛などへの処理は特種な薬剤
や装置が必要となったり、また、極細繊維と通常繊維と
が混用されている布帛では、処理により両者が濃染化さ
れるため、極細繊維と通常太さの繊維との色の差が現れ
ることがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に
極細繊維の濃色領域での染色において、従来と同じ染料
使用量で大幅に染料吸尽率が従来より高く濃色に染色す
ることができ、かつ堅牢度低下のない高染着性ポリエス
テル系繊維およびポリエステル系繊維の染色方法を提供
することにある。
【0008】また、従来のポリエステル系繊維、特に極
細繊維では出せなかった極濃色の染色を可能とし、さら
に従来に比べ同じ色濃度にするための染料使用量が少な
くできる高染着性でかつ堅牢度低下のない高染着性ポリ
エステル系繊維およびポリエステル系繊維の染色方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の高染着性ポリエステル系繊維は、次の構成からな
る。
【0010】すなわち、水または熱水に可溶性で分子量
400〜3000である化合物をポリエステル主鎖と実
質的に化学結合することなく含有するポリエステルから
なることを特徴とする高染着性ポリエステル系繊維であ
る。
【0011】また、本発明の高染着性ポリエステル系繊
維構造物は、次の構成からなる。
【0012】すなわち、水または熱水に可溶性で分子量
400〜3000である化合物をポリエステル主鎖と実
質的に化学結合することなく含有するポリエステルから
なる高染着性ポリエステル系繊維を含んでなることを特
徴とするポリエステル系繊維構造物である。
【0013】さらに、本発明の高染着性ポリエステル系
繊維の染色方法は、次の構成からなる。
【0014】すなわち、水または熱水に可溶性で分子量
400〜3000である化合物をポリエステル主鎖と実
質的に化学結合することなく含有するポリエステルから
なる高染着性ポリエステル系繊維を含んでなる繊維構造
物を熱水で処理し、該ポリエステル系繊維から前記水ま
たは熱水に可溶性で分子量400〜3000である化合
物をもとの含有量に対し50重量%以上を除去した後、
分散染料で染色することを特徴とする高染着性ポリエス
テル系繊維の染色方法である。
【0015】さらに、本発明の他の高染着性ポリエステ
ル系繊維の染色方法は、次の構成からなる。
【0016】すなわち、水または熱水に可溶性で分子量
400〜3000である化合物をポリエステル主鎖と実
質的に化学結合することなく含有するポリエステルから
なる高染着性ポリエステル系繊維を含んでなる繊維構造
物を熱水で処理し、該ポリエステル系繊維から前記水ま
たは熱水に可溶性で分子量400〜3000である化合
物をもとの含有量に対し50重量%以上を除去すると同
時に分散染料で染色することを特徴とする高染着性ポリ
エステル系繊維の染色方法である。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明者らは、前述の問題を解決するため
に、ポリエステルと実質的に反応せずポリエステル主鎖
に化学結合を実質的に形成していない熱水可溶性の特定
の化合物を含有するポリエステル系繊維が染着効果が高
く有効であることを見い出し本発明に至った。本発明の
高染着性ポリエステル系繊維に含有されるそのような化
合物としては、例えばポリオキシアルキレングリコール
化合物がある。
【0019】ところで、ポリオキシアルキレングリコー
ル化合物をポリエステル系繊維に適用することは、従
来、制電性、吸水・吸汗、SR性、低温染着性などの目
的で種々提案されている。
【0020】例えば、特開昭63−35824号公報、
特開昭63−42927号公報において、一方の末端を
封鎖したポリオキシアルキレングリコール化合物を共重
合した防汚性ポリエステルが開示されている。また、ポ
リエチレングリコールを共重合して親水性付与や低温染
着性にすることは公知であり、例えば特開平4−417
16号公報では常圧可染性の太細糸が開示されている。
一方、ポリエステルと反応しない例として特開昭53−
149245号公報では、両末端封鎖したポリオキシア
ルキレングリコール化合物を含有する制電性ポリエステ
ル組成物が開示されている。
【0021】しかしながら、これらはいずれも、ポリオ
キシアルキレングリコール化合物は最終的にポリエステ
ル内部に保持され含有されることによりポリエステル製
品としてその機能を発揮するものである。また、特開平
6−184927号公報においては、両末端が封鎖され
たポリオキシアルキレン誘導体(水不溶性)を含有する
ポリエステルをアルカリ減量して表面上に微細孔を形成
し深色性を付与することが提案されているが、これは繊
維表面に形成された凹凸による深色効果であり、染色後
においても大部分の添加剤は残存しているものである。
【0022】こうした公知例に対し、本発明は、染着量
すなわち平衡染着量を増大させることを目的とする点、
および熱水可溶性でポリエステル主鎖とは化学結合を形
成していないポリオキシアルキレングリコール化合物を
用い、それをポリエステル系繊維を染色する前、あるい
は染色と同時に実質的に除去する点に大きな特徴があ
る。
【0023】本発明のポリエステル系繊維は、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ま
たはエチレンテレフタレートを主たる繰り返し成分とす
るもの(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)、
ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し成分とするも
の(具体的には繰り返し単位の90モル%以上)などの
ポリエステルからなるポリエステル系繊維である。なか
でも、エチレンテレフタレートが90モル%以上繰り返
し成分とするポリエステルからなるポリエステル系繊維
が好ましく、エチレンテレフタレートが95モル%以上
繰り返し成分とするポリエステルからなることがより好
ましい。エチレンテレフタレートが100モル%繰り返
し成分とするポリエステル(すなわち、ポリエチレンテ
レフタレート)であることはさらに好ましい。
【0024】なお、ポリエステルに10モル%以下の範
囲で共重合されてもよい成分として例示すると、イソフ
タル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テトラメチ
レングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪
族ジオール、1、4シクロヘキサンジメタノール、ビス
フェノールAなどの脂環族または芳香族ジオールがあげ
られる。
【0025】また、本発明において最も効果が顕著に表
れるのは1デニール以下の極細ポリエステルの場合であ
り、極細繊維を含有する繊維、織物、編み物、不織布に
好ましく用いることができる。
【0026】次に、本発明の高染着性ポリエステル系繊
維は、水または熱水に可溶性で分子量400〜3000
である化合物を含有することが重要である。好ましくは
分子量が600〜2000である化合物、より好ましく
は分子量が800〜1500のものである。分子量が4
00に満たない場合には、沸点が低いため重合や製糸の
工程で蒸発しやすい問題があり、分子量が3000を超
える場合はポリエステルに溶解せず相分離するためポリ
エステル系繊維中においてすじ状分散するためか染着性
向上の効果が小さく、これを染色する時あるいは染色す
る前に除去するのが困難になる。
【0027】そして、本発明の高染着性ポリエステル系
繊維に含有される化合物は、水または熱水に可溶性であ
ることが必要である。水または熱水に可溶性であること
により、通常のポリエステル系繊維の染色条件によっ
て、その化合物が効率よく除去されることとなり、また
ポリエステル系繊維が本来有する特性を阻害することが
なくなる。ここでいう熱水可溶性とは、100〜140
℃×60分の染色条件下での熱水処理によってポリエス
テル系繊維に含有された化合物の少なくとも50重量%
以上が溶出するものをいう。水に可溶性とは、熱水では
なく常温の水を用いた処理で少なくとも50重量%以上
が溶出するものをいう。水または熱水に可溶性であるこ
とは、好ましくは70重量%以上が溶出可能のものであ
る。また、染色後の水または熱水に可溶性で分子量40
0〜3000である化合物の残存量としては、ポリエス
テル系繊維中に2重量%以下であることが好ましく、1
重量%以下であることがより好ましい。
【0028】本発明の高染着性ポリエステル系繊維に含
まれる水または熱水に可溶性で分子量400〜3000
である化合物の例として、ポリオキシアルキレングリコ
ール化合物が挙げられる。具体的には、熱水可溶性で、
末端が封鎖されており、実質的にポリエステル主鎖と化
学結合を形成していないもので、好ましい化合物として
例示すれば、下記(I) 式で表されるエチレングリコール
単位を主成分とし両末端がエステル形成官能基を有しな
い基で封鎖されたものである。
【0029】
【化1】 そのなかでも代表的には、両末端がメトキシ化されたポ
リエチレングリコールが挙げられ、例示すれば次の(II)
式、(III) 式のとおりである。なお、熱水可溶性を満た
す範囲でより疎水性の高い末端基(エトキシ基やフェノ
キシ基)や骨格中の疎水基としてプロピレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル単位やビスフェノールAなどの芳香族ジオール単位を
含んでいてもよい。
【0030】
【化2】
【化3】 ここでR1 ,R2 は炭素数が1〜4の低級アルキルまた
はフェニル(R1 ,R2 は同じでも異なっていても良
い)。mは(II)式では6〜110、(III) 式ではm+n
が6〜110、Xは2価の置換基である。
【0031】本発明の高染着性ポリエステル系繊維にお
いて、染着性を向上させかつ繊維物性の低下を防ぎ、ま
た染色工程の通過性を保持する観点から、上記した水ま
たは熱水に可溶性で分子量400〜3000である化合
物をポリエステル系繊維中に1〜20重量%含有させる
ことが好ましい。より好ましくは2〜15重量%含有す
るものである。上記化合物の添加方法については限定が
なくポリエステルの重合完了前の任意の時点での添加や
ポリエステルに溶融混練する方法、チップブレンドなど
により添加することができる。
【0032】なお、本発明のポリエステルには、上記化
合物のほか、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、触
媒、艶消し剤などを含有しても差支えない。
【0033】本発明の高染着性ポリエステル系繊維にお
いて、上記化合物はポリエステルに実質的に溶解してい
ることが好ましい。ここでいう実質的に溶解していると
は、光学顕微鏡で繊維断面を観察した時に含有された化
合物が筋状に観察されない状態のことをいう。
【0034】本発明の高染着性ポリエステル系繊維は、
それ単独で、あるいは他のポリエステル系繊維ととも
に、織物または編物に織成または編成されて繊維構造物
とすることができる。
【0035】次に、本発明の高染着性ポリエステル系繊
維は、次に述べるような染色条件を採用することでその
高染着性を発揮することができる。
【0036】本発明の高染着性ポリエステル系繊維を含
有する繊維構造物を染色する前に、高染着性ポリエステ
ル系繊維に含有された化合物を熱水処理で除去し、次い
で常法により分散染料で染色する方法か、あるいは、本
発明の高染着性ポリエステル系繊維を含有する繊維構造
物を染色すると同時にその染色条件で上記化合物を除去
する方法により高染着効果が得られる。
【0037】なお、ポリエステル系繊維で多用されるア
ルカリ減量処理を利用して上記化合物を除去することも
可能であるが、染色前に上記化合物を除去する工程を行
った場合は、上記化合物を除去後−染色前において強い
熱処理を行なうと本発明の染着効果が低下する傾向にな
るので注意を要する。これは、上記化合物を除去した後
の繊維の構造は最も非晶部分が多く、本発明の高染着性
ポリエステル繊維として好ましい状態であるが、これに
強い熱処理を施すと繊維構造が変化して非晶部分が減少
し染着性が低下するためと考えられる。具体的には、上
記化合物を除去した後の繊維に160℃以上の熱処理を
加えないことが好ましい。
【0038】本発明の染色方法においては、染着性の向
上は分散染料の浸染において顕著であり好ましく用いら
れる。なお、本発明で染着量が向上する理由は明らかで
ないが、ポリエステル系繊維に存在した水または熱水に
可溶性で分子量400〜3000である化合物化合物が
除去されるとそこに空隙のようなものが形成され、そこ
に分散染料が染着することで染着性が向上するものと考
えられる。
【0039】本発明では、染色されたポリエステル系繊
維には水または熱水に可溶性で分子量400〜3000
である化合物は大部分が除去され(もとの含有量の50
重量%以上が除去され)、共重合あるいはポリマーブレ
ンドによる改質が施されてないポリエステルと実質的に
同じ性質を示すので、各種の堅牢度の低下、物性、特性
の低下がほとんどないという特徴を有する。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明さらに詳細に説明
する。
【0041】なお、表1〜3に記載の染料吸尽率、発色
性、耐光性、洗濯汚染は、次の方法により求めたもので
ある。
【0042】<染料吸尽率>残浴比色法で行なった。染
色浴の残浴を採取し、それをアセトン/水(1/1)に
溶解させ、625nm で測色し、比較サンプルに対する染料
吸尽率の比を示してある。比較サンプルとはポリオキシ
アルキレングリコールを含有しないサンプルであり、具
体的には、実施例1〜8の場合が比較例1、実施例9〜
15の場合が比較例3、実施例16〜19の場合が比較
例4、実施例26〜29の場合が比較例5である。
【0043】<発色性>多光源分光光度計で発色性(L
)を測定した。なお、Lは数字が小さいほど高発色
性を示すものである。
【0044】<耐光性>染色堅牢度として耐光性はJI
S L−0841に準じて測定した。
【0045】<洗濯汚染堅牢度>また、他の染色堅牢度
の評価として洗濯はJIS L−0821に準じて行っ
た。
【0046】[実施例1〜8、比較例1,2]100部
のテレフタル酸ジメチル、65部のエチレングリコー
ル、0.05部の酢酸マンガン、および0.03部の三
酸化アンチモンからなる混合物を140〜220℃で4
時間加熱してメタノールを留出した。これに亜燐酸0.
02部と表1に記載のポリオキシアルキレン化合物を表
1に示す割合で添加し、220〜290℃に徐々に昇温
しながら1mmHg以下に減圧して3時間かけて重合
し、チップ化した。得られたポリマを紡糸温度290
℃、常法にて溶融紡糸し、100℃で3.5倍に延伸し
75デニール36フィラメントの延伸糸を得た。この糸
を24ゲージの筒編機で編地を作製した。
【0047】次いで、下記の条件で染色し、染色後は通
常の還元洗浄を行なうことで染色された編地を得た。
【0048】<染色条件> 分散染料 サマロン ブルー GSL-400 (Sama
ron Blue GSL-400、ヘキスト社製分散染料) 染料濃度 5%o.w.f. pH調整剤 イオネット PH-500 pH調整剤濃度 0.5g/l 浴比 1:20 染色温度・時間 130℃×60分
【表1】 表1に示すように、本発明の高染着性ポリエステル系繊
維を用いてなる編地(実施例1〜8)は、染料吸尽率が
増大し、発色性も向上する。しかも、染色堅牢度の低下
がなく、理想的な高発色性ポリエステル系繊維であっ
た。分子量4000の両末端封鎖ポリエチレングリコー
ルを用いた場合(比較例2)は発色性が低下した。
【0049】[実施例9〜19、比較例3,4]下記の
染料を用い、濃度20%o.w.f で染色温度を120℃と
した(実施例16〜19、比較例3)以外は、実施例1
と同様な方法で染色および測色し、その結果を表2に示
した。
【0050】<染料> A:カヤロン ポリエステル ルビン BLS-200(Kayalo
n Polyester RubineBLS-200 ) B:カヤロン ポリエステル ブリルブルー F2BS (Ka
yalon Polyester Brill.Blue F2BS ) C:レゾリン ブリルブルー BGL-200(Resolin Brill.
Blue BGL-200)
【表2】 表2に示すように、本発明の高染着性ポリエステル系繊
維を用いてなる編地(実施例9〜19)は、いずれの染
料においても、染料吸尽率が高かった。
【0051】極細繊維および特に極細繊維と普通糸との
混用品は、同色性を付与する観点より一般に120℃で
の染色条件が採用されている。本発明は130℃で染色
するより120℃で染色する場合の方が、比較品(ポリ
オキシアルキレングリコールを含有しないもの−比較例
3,4)に対する染料吸尽率の倍数が増大している。こ
れは、本発明の高染着性ポリエステル系繊維の極細繊維
と本発明の高染着性ポリエステル系繊維の普通糸との混
用品を染色すると、同色性が大きく改善されることを示
している。
【0052】[実施例20〜26、比較例5]ポリオキ
シアルキレングリコール(両末端がメトキシで封鎖)が
含有されたポリエステル系繊維を用い、熱水(130
℃)処理での脱落性を重量変化から測定した。その結果
を表3に示した。
【0053】
【表3】 表3に示したとおり、本発明のポリエステル系繊維は熱
水処理によって、ポリオキシアルキレングリコールがも
との含有量の約60重量%以上が脱落していることがわ
かる。このことは本発明の高染着性ポリエステル系繊維
の場合、染色後の繊維中にポリオキシアルキレングリコ
ールの含有量が低いことを意味し、そのため表1に示し
たように染色堅牢度の低下を引き起こさない原因ではな
いかと推定している。なお、熱水処理温度(130℃)
は、染色温度を想定したものであり、染色と同時に相当
量のポリオキシアルキレングリコール誘導体が脱落して
いることが推定される。
【0054】[実施例27〜30、比較例6]熱水処理
(130℃×60分)を行ない、その後染色性を調べた
以外は、実施例1と同様な方法で行い、染料吸尽率を表
4に示した。比較品(ポリオキシアルキレングリコール
を含有しないもの−比較例6)も熱水処理および乾熱処
理をした。
【0055】
【表4】 表4に示した通り、熱水処理を施しても、染料吸尽率が
大幅に変化することはなく、通常の染色加工工程が通過
できる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、特に濃色染めでの染料
吸尽率が大幅に増大し、しかも、染色堅牢度の低下がな
く、染料利用効率の高いポリエステル系繊維が提供でき
実用的価値が極めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04B 1/00 Z D06P 3/54 Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水または熱水に可溶性で分子量400〜3
    000である化合物をポリエステル主鎖と実質的に化学
    結合することなく含有するポリエステルからなることを
    特徴とする高染着性ポリエステル系繊維。
  2. 【請求項2】水または熱水に可溶性で分子量400〜3
    000である化合物が末端封鎖されたポリオキシアルキ
    レングリコール化合物であることを特徴とする請求項1
    に記載の高染着性ポリエステル系繊維。
  3. 【請求項3】水または熱水に可溶性で分子量400〜3
    000である化合物を1重量%〜20重量%含有するポ
    リエステルであることを特徴とする請求項1に記載の高
    染着性ポリエステル系繊維。
  4. 【請求項4】ポリエステルがエチレンテレフタレート単
    位を主たる成分とするポリエステルであることを特徴と
    する請求項1,2または3に記載の高染着性ポリエステ
    ル系繊維。
  5. 【請求項5】単繊維繊度が1デニール以下であることを
    特徴とする請求項1,2,3または4に記載の高染着性
    ポリエステル系繊維。
  6. 【請求項6】末端封鎖されたポリオキシアルキレングリ
    コール化合物がエチレングリコール単位を主成分とする
    ことを特徴とする請求項2に記載の高染着性ポリエステ
    ル系繊維。
  7. 【請求項7】請求項1,2,3,4,5または6に記載
    のポリエステル系繊維を含んでなることを特徴とする高
    染着性ポリエステル系繊維構造物。
  8. 【請求項8】請求項1に記載のポリエステル系繊維を含
    んでなる繊維構造物を熱水で処理し、該ポリエステル系
    繊維から水または熱水に可溶性で分子量400〜300
    0である化合物をもとの含有量に対し50重量%以上を
    除去した後、分散染料で染色することを特徴とする高染
    着性ポリエステル系繊維構造物の染色方法。
  9. 【請求項9】請求項1に記載のポリエステル系繊維を含
    んでなる繊維構造物を熱水で処理し、該ポリエステル系
    繊維から水または熱水に可溶性で分子量400〜300
    0である化合物をもとの含有量に対し50重量%以上を
    除去すると同時に分散染料で染色することを特徴とする
    高染着性ポリエステル系繊維構造物の染色方法。
JP7003460A 1995-01-12 1995-01-12 高染着性ポリエステル系繊維および高染着性ポリエステル系繊維構造物ならびにその染色方法 Pending JPH08199425A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7003460A JPH08199425A (ja) 1995-01-12 1995-01-12 高染着性ポリエステル系繊維および高染着性ポリエステル系繊維構造物ならびにその染色方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7003460A JPH08199425A (ja) 1995-01-12 1995-01-12 高染着性ポリエステル系繊維および高染着性ポリエステル系繊維構造物ならびにその染色方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08199425A true JPH08199425A (ja) 1996-08-06

Family

ID=11557946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7003460A Pending JPH08199425A (ja) 1995-01-12 1995-01-12 高染着性ポリエステル系繊維および高染着性ポリエステル系繊維構造物ならびにその染色方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08199425A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3616183A (en) Polyester sheath-core conjugate filaments
JP2003515000A (ja) ポリエチレングリコール改質ポリエステル繊維及び同じものを製造する方法
EP1334225B1 (en) Process for treating knits containing polyester biocomponent fibers
JP2002038333A (ja) 易染性ポリエステル繊維
JPH08199425A (ja) 高染着性ポリエステル系繊維および高染着性ポリエステル系繊維構造物ならびにその染色方法
JPH07316977A (ja) 多孔型中空繊維およびその製造方法
JPS6290312A (ja) 改質ポリエステル繊維
JPH05279917A (ja) 高温・高染色性ポリエステル系繊維とその繊維構造物の製造方法ならびに染色方法
JPS6335824A (ja) 防汚性ポリエステル繊維
KR20040078802A (ko) 고발색성 해도형 복합섬유 및 그의 스웨이드조 원단
JP2723786B2 (ja) 異色染色法
KR100458518B1 (ko) 고수축성 해도형 복합섬유 및 그의 직물
JPH07189031A (ja) 耐光性の良好なポリエステル系繊維
KR100426590B1 (ko) 탄성회복율이 우수한 해도형 복합섬유
KR100558688B1 (ko) 형태안정성이 우수한 폴리에스테르 공중합체 및 그의폴리에스테르 필라멘트
JPH10140489A (ja) ポリエステル系繊維および繊維製品およびその染色方法
JPH11172583A (ja) 吸湿性繊維構造物の製造方法
KR100426591B1 (ko) 염색성이 우수한 해도형 복합섬유
KR0174586B1 (ko) 염색성이 우수한 폴리에스테르 중합체의 제조방법
JPS6342927A (ja) 防汚性ポリエステル繊維の製造法
JP2774184B2 (ja) 高強度・高染色性ポリエステル繊維
CN116497511A (zh) 一种面料
JPH06299428A (ja) 混繊糸
JPH0441716A (ja) 常圧可染性ポリエステル太細糸およびそれからなる織編物
JPH08260367A (ja) 伸縮性布帛の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040316

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040817