JPH08198622A - 水酸化アルミニウムおよびアルミナの製造方法 - Google Patents

水酸化アルミニウムおよびアルミナの製造方法

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JPH08198622A
JPH08198622A JP554595A JP554595A JPH08198622A JP H08198622 A JPH08198622 A JP H08198622A JP 554595 A JP554595 A JP 554595A JP 554595 A JP554595 A JP 554595A JP H08198622 A JPH08198622 A JP H08198622A
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JP
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aluminum
aluminum hydroxide
alcohol
aprotic solvent
dipolar aprotic
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JP554595A
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Takashi Ogiwara
隆 荻原
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルコールと双極性非プロトン溶媒の比が8
0:20容量%〜65:35容量%よりなる水とアルコ
ール及び双極性非プロトン溶媒の存在下にアルミニウム
アルコキシドを接触せしめ、アルミニウムアルコキシド
を加水分解することにより水酸化アルミニウムを製造す
る。 【効果】 加水分解時に溶液中でアルミニウムアルコキ
シドのエマルジョンを形成することなく、微粒で凝集粒
のない、単分散の粒度分布のシャープな水酸化アルミニ
ウムを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水酸化アルミニウムおよ
びアルミナの製造方法に関する。更に詳細には、水とア
ルコール及び双極性非プロトン溶媒の存在下にアルミニ
ウムアルコキシドを接触せしめ、エマルジョンを生成さ
せずに加水分解することを特徴とする球状の単分散の水
酸化アルミニウムの製造方法およびこれを焼成してなる
球状単分散のアルミナの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属酸化物粉末を得る方法に於いて、金
属アルコキシドの加水分解反応は、 (1)常温で容易に加水分解して水酸化物を生成する。 (2)不純物陰イオンが生成物に混入する恐れがない。 等の利点から、セラミック前駆体としてのゾル、ゲル、
微粒子を合成する技術として注目されており多くの研究
が発表されている〔例えばアメリカン セラミック ソ
サエティ ブリテン(Amer.Ceram.Soc.Bull.)54巻、
第286頁(1975年)〕。
【0003】このうち、シリコンアルコキシドやチタン
アルコキシドを原料とした場合には加水分解反応により
粗大粒子のない、粒子径の揃った単分散球状粒子が得ら
れ易いが〔例えばジャーナル オブ コロイド アンド
インターフェイス サイエンス(J.Colloid Interfac
e Sci.,)26 62(1968)、或いはジャーナルオ
ブ ザ アメリカン セラミック ソサエティ(J.Am.C
eramic.Soc.,)65C199(1982)〕、アルミニ
ウムアルコキシドを原料とした場合には加水分解反応速
度が速いためにコロイド状ゲルやゲル状沈澱が生成し易
く、粗大粒子のない粒子径の揃った単分散粒子は得難い
とされている。
【0004】水酸化アルミニウムを仮焼して得られる酸
化アルミニウムは、焼結用原料、各種充填剤として広く
用いられている材料であるが、高機能化、ファイン化の
為には粒径分布がシャープなアルミナが要望されてい
る。アルミニウムアルコキシドの加水分解による水酸化
アルミニウムの合成においても、特定の加水分解条件下
に単分散微粒子を得ようとの発明や研究がある〔日本セ
ラミックス協会学術論文誌 99巻(2) 183−1
86(1991)、或いはジャーナル オブ ザアメリ
カン セラミック ソサエティ(J.Am.Ceramic.Soc.,)
76(1) 97−104 (1993)〕。
【0005】これらはいずれもアルミニウムアルコキシ
ド、高級アルコール、および親水性溶媒を用いるもので
あり、疎水性である高級アルコールと親水性溶媒の混合
有機溶媒中でアルミニウムアルコキシドを分散させ、該
溶媒中に微細な金属アルコキシドのエマルジョンを形成
させ、そのエマルジョンをマイクロリアクターとして水
を接触せしめて加水分解することにより水酸化アルミニ
ウムを得るものである。この方法によると、粗大凝集粒
子を含まない単分散粒子の水酸化アルミニウムが得られ
るものの、経由するエマルジョンの液滴径と分布に、生
成する水酸化アルミニウムの粒径と分布が依存してしま
うために、実施に際しては、所望とするエマルジョンを
得る為の装置選定や操作条件に種々のノウハウを必要と
する等、所望とする水酸化アルミニウムの粒径及び粒度
分布の制御が難しい等の問題を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情下に鑑み、
本発明者等はアルミニウムアルコキシドを水で加水分解
し、水酸化アルミニウムを製造する方法において、粒径
及び粒度分布の制御が容易な球状で単分散された水酸化
アルミアルミニウムの製造方法を提供することを目的と
して鋭意検討した結果、特定の親水性溶媒と疎水性アル
コールを特定量比で用いる場合には、アルミニウムアル
コキシドが加水分解時、エマルジョンを形成していなく
とも、上記目的を全て満足する水酸化アルミニウムが得
られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明はアルミ
ニウムアルコキシドを水で加水分解して水酸化アルミニ
ウムを製造する方法に於いて、水とアルコール及び双極
性非プロトン溶媒の存在下にアルミニウムアルコキシド
を接触せしめ、エマルジョンを生成させずに加水分解す
ることを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法を提
供するにある。
【0008】さらに本発明はアルミニウムアルコキシド
を水で加水分解し、得られた水酸化アルミニウムを焼成
しアルミナを製造する方法に於いて、アルミニウムアル
コキシドとアルコールの混合溶液と、水とアルコールの
混合溶媒と双極性非プロトン溶媒との混合溶液を、エマ
ルジョンを生成させずに加水分解して水酸化アルミニウ
ムを得、これを焼成することを特徴とするアルミナの製
造方法を提供するにある。
【0009】以下本発明方法を更に詳細に説明する。本
発明における最大の特徴は、水とアルコール及び双極性
非プロトン溶媒の存在下にアルミニウムアルコキシドを
接触せしめ、エマルジョンを生成させずに加水分解させ
ることにある。アルミニウムアルコキシドの加水分解は
水とアルコール及び双極性非プロトン溶媒の存在下に実
施されればよく、特に制限されないが、例えば、アルミ
ニウムアルコキシドとアルコールの混合溶液を作製し、
これと水とアルコール及び/又は双極性非プロトン溶媒
との混合溶液を接触せしめて加水分解させればよい。
【0010】本発明において双極性非プロトン溶媒は、 (1)溶媒の溶解パラメーター(δ)が19〜27MP
1/2 の範囲である。 (2)アルミニウムアルコキシドとの反応性が低い。 (2)水素結合特性が強いものから中程度のもの。 等の性質を有するものを用いる。これら双極性非プロト
ン溶媒としては、例えば、硫黄化合物、アミド化合物、
ニトリル化合物、エステル化合物、ケトン化合物等であ
り、より具体的には、ジメチルスルフォキシド等の硫黄
化合物、ジメチルホルムアミド等のアミド化合物、アセ
トニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、炭
酸プロピレン等のエステル化合物、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン化合物が挙げられ、就中、アセト
ンの使用が推奨される。
【0011】アルコールとしては炭素数が1〜8個、好
ましくは2〜4個の1価のアルコール、より具体的には
エチルアルコール、プロピルアルコール(n−プロピル
アルコール、iso−プロピルアルコール)、ブチルア
ルコール(n−ブチルアルコール、sec−ブチルアル
コール、t−ブチルアルコール)等が挙げられ、就中、
ブチルアルコールの使用が推奨される。
【0012】また、アルミニウムアルコキシドとして
は、炭素数が1〜8、好ましくは2〜4、より好ましく
は4個のアルコキシ基からなる化合物が使用される。具
体的にはアルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−
プロポキサイド、アルミニウムイソプロポキシド、アル
ミニウムn−ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキ
シド、アルミニウムt−ブトキシド等が挙げられ、就
中、アルミニウムsec−ブトキシドの使用が推奨され
る。
【0013】アルミニウムアルコキシドの加水分解に際
し、水とアルコール及び双極性非プロトン溶媒と接触せ
しめるアルミニウムアルコキシド量は、特に制限される
ものではないが、通常、該反応域に於いてアルミニウム
アルコキシドの濃度が(アルミニウムアルコキシド/ア
ルミニウムアルコキシド+水+アルコール+双極性非プ
ロトン溶媒)0.05〜0.15mol/lとなるよう
に行う。また該加水分解時に存在させる水は、該反応域
に於いて水の濃度が(水/アルミニウムアルコキシド+
水+アルコール+双極性非プロトン溶媒)0.05〜
0.2mol/lとなるように行う。各々の濃度がこれ
らの範囲から外れると、生成する水酸化アルミニウム粒
子の形状は球形ではあるが、凝集し易くなる。また、混
合後の水濃度が0.05mol/l未満の場合には、未
反応のアルミニウムアルコキシドの存在量が多くなりア
ルミナの収率が大きく低下する問題がある。
【0014】本発明の実施に於いて、双極性非プロトン
溶媒とアルコールの使用比率はエマルジョンを形成させ
ない条件として重要である。該条件としては、アルコー
ルと双極性非プロトン溶媒の比が80:20容量%〜6
5:35容量%、好ましくは80:20容量%〜70:
30容量%、より好ましくは80:20容量%〜75:
25容量%の範囲で使用される。アルコールと双極性非
プロトン溶媒の総量に占める双極性非プロトン溶媒の量
が35容量%を越える場合にはエマルジョンが形成され
るので好ましくない。
【0015】本発明に於いて、加水分解反応温度は、使
用するアルミニウムアルコキシドおよびアルコールの種
類によりアルミニウムアルコキシドのアルコールへの溶
解度等が異なるために一概に限定されないが、通常、常
温〜アルコールの沸点温度、好ましくは40〜60℃の
範囲で実施される。
【0016】又、加水分解反応に際しては析出粒子の分
散を高め、凝集を防止する目的で、反応域内に界面活性
剤を添加することもできる。該界面活性剤としてはヒド
ロキシプロピルセルロース等のセルロース系界面活性剤
等が挙げられ、これらは加水分解反応時、その反応域内
に存在すればよいが、通常予めアルコールに溶解し使用
される。界面活性剤の添加量はその種類により一義的で
はないが、通常約0.1〜0.5g/lの範囲で使用さ
れる。
【0017】加水分解反応終了後の水酸化アルミニウム
を含有するスラリー溶液は、熟成処理を行う。該熟成処
理は加水分解温度、或いは常温で、30分以上、通常1
時間〜1日静置、保持すればよい。次いで、該スラリー
は濾過、乾燥等の常法により水酸化アルミニウムを粉体
として得ることができる。得られた水酸化アルミニウム
は微粒で凝集が実質的になく、粒度分布もシャープであ
り、各種樹脂や紙の充填剤等の用途に好適である。
【0018】また、必要に応じ上記方法で得られた水酸
化アルミニウムを通常公知の焼成装置、例えばロータリ
ーキルン、瞬間仮焼炉、充填式焼成炉、流動式焼成炉、
トンネル炉、真空焼成炉、シャトル炉等により約700
℃〜約1100℃で焼成することにより、γ、δ、θ型
の遷移アルミナが得られる。これら遷移アルミナは微粒
で凝集が実質的になく、粒度分布もシャープであり、P
ETフイルム、エポキシ等の各種樹脂の充填剤やインク
ジェットプリンター等の紙のコート用フィラー、触媒担
体や単結晶用原料として好適である。更にこの水酸化ア
ルミニウムを約1100℃〜約1400℃で焼成する場
合には微粒で凝集が実質的になく、粒度分布もシャープ
なα−アルミナが得られる。これらα−アルミナは研磨
剤や焼結用原料として好適である。
【0019】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、従来のエ
マルジョンを経由する方法では、エマルジョンの径及び
粒度分布に生成水酸化アルミニウム、及びアルミナの粒
径及び粒度分布が依存し、その制御が容易ではないとの
問題を有していたが、本発明では水とアルコール及び双
極性非プロトン溶媒の存在下にアルミニウムアルコキシ
ドを接触せしめ、エマルジョンを生成させずに加水分解
することにより、アルミニウムアルコキシドの濃度制御
により、粒径及び粒度分布を制御することが可能で、か
つ微粒で凝集が実質的になく、粒度分布もシャープな水
酸化アルミニウム及びアルミナを得ることを可能ならし
めたものであり、その産業上の価値は頗る大である。
【0020】
【実施例】以下、本発明方法を実施例により更に詳細に
説明する。尚、実施例に於いて粒径の測定は以下の方法
でおこなった。 粒 度;SEM(日立製作所製S−800)を用い、試
料のSEM写真を得た後、該SEM写真中より200個
の粒子を無作為に抽出して、粒径を測定し、その平均値
を算出した。
【0021】実施例1 界面活性剤としてヒドロキシプロピルセルロースを0.
02g溶解したn−ブチルアルコール10ccに、アル
ミニウムsec−ブトキシド1.23gを60℃で2時
間、還流しながら溶解し、この溶液に、n−ブチルアル
コール60ccとアセトン30cc及び水0.09cc
を混合してなる溶液を、25℃で1分間かけて添加、攪
拌混合して(該混合後の溶液中に於けるアルミニウムs
ec−ブトキシドの濃度が0.05mol/l、水濃度
が0.05mol/l、sec−ブチルアルコールとア
セトンの体積混合比が70:30、該溶液中でのヒドロ
キシプロピルセルロース濃度が0.2g/l)加水分解
反応を行った。次いでこの溶液を25℃で1時間静置し
て熟成を行い、熟成後、遠心分離機(コクサン社製)を
用い、4500rpmで5分間遠心分離を行い固液分離
した。分離した固形分をエタノールで超音波洗浄を施
し、100℃で24時間かけて乾燥して水酸化アルミニ
ウムを0.5g得た。得られた水酸化アルミニウムの平
均粒子径及び粒度分布並びに分散状態(凝集程度)をS
EM写真より測定した。その結果、得られた水酸化アル
ミニウムの平均粒子径は0.51μmであった。SEM
写真を図1、粒度分布を図2に示す。これらの結果よ
り、本発明方法で得られた水酸化アルミニウムは微粒
で、実質的に凝集がなく、かつ粒度分布がシャープであ
ることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で得た水酸化アルミニウムの粒子構
造を示す顕微鏡写真である。
【図2】本発明方法で得た水酸化アルミニウムの粒度分
布図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムアルコキシドを水で加水分解
    して水酸化アルミニウムを製造する方法に於いて、水と
    アルコール及び双極性非プロトン溶媒の存在下にアルミ
    ニウムアルコキシドを接触せしめ、エマルジョンを生成
    させずに加水分解することを特徴とする水酸化アルミニ
    ウムの製造方法。
  2. 【請求項2】双極性非プロトン溶媒がジメチルスルフォ
    キシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロ
    ピオニトリル、炭酸プロピレン、アセトンおよびメチル
    エチルケトンからなる群れより選ばれた少なくとも一種
    であることを特徴とする請求項1記載の水酸化アルミニ
    ウムの製造方法。
  3. 【請求項3】アルミニウムアルコキシドがアルミニウム
    sec−ブトキシドであり、アルコールがn−ブチルア
    ルコールであり、双極性非プロトン溶媒がアセトンであ
    ることを特徴とする請求項1記載の水酸化アルミニウム
    の製造方法。
  4. 【請求項4】加水分解時のアルコールと双極性非プロト
    ン溶媒の比が80:20容量%〜65:35容量%であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項3記載の水酸
    化アルミニウムの製造方法。
  5. 【請求項5】水とアルコール及び双極性非プロトン溶媒
    の存在下にアルミニウムアルコキシドを接触せしめ、エ
    マルジョンを生成させずに加水分解して水酸化アルミニ
    ウムを得、これを焼成することを特徴とするアルミナの
    製造方法。
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