JPH08197193A - Ni含有鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
Ni含有鋼の連続鋳造方法Info
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- JPH08197193A JPH08197193A JP1043995A JP1043995A JPH08197193A JP H08197193 A JPH08197193 A JP H08197193A JP 1043995 A JP1043995 A JP 1043995A JP 1043995 A JP1043995 A JP 1043995A JP H08197193 A JPH08197193 A JP H08197193A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 内部割れなど欠陥のないNi含有鋼スラブを連
続鋳造する。 【構成】 Ni:5〜10%含有鋼の連続鋳造にあたり、鋼
に混入するPおよびSをそれぞれP:0.01%以下、S:
0.005 %以下とすること、連続鋳造機内にて、スラブ表
裏面片側での凝固シェル厚がスラブ厚の 1/4 以上とな
る領域での内部凝固界面ひずみ率を 0.7×10-2以下とす
ることとからなる。
続鋳造する。 【構成】 Ni:5〜10%含有鋼の連続鋳造にあたり、鋼
に混入するPおよびSをそれぞれP:0.01%以下、S:
0.005 %以下とすること、連続鋳造機内にて、スラブ表
裏面片側での凝固シェル厚がスラブ厚の 1/4 以上とな
る領域での内部凝固界面ひずみ率を 0.7×10-2以下とす
ることとからなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面・表層下の割れ
はもちろんのこと内部割れなど割れ欠陥のない5〜10%
Ni含有鋼(主として9%Ni含有鋼)鋳片の連続鋳造方法
に関するものである。
はもちろんのこと内部割れなど割れ欠陥のない5〜10%
Ni含有鋼(主として9%Ni含有鋼)鋳片の連続鋳造方法
に関するものである。
【0002】これまで、5〜10%Ni含有鋼はひずみ感受
性が強く、小さなひずみでも内部割れが発生し、連続鋳
造化が困難であった。特に9%Ni鋼は連続鋳造化が極め
て困難で、そのため、実際には連続鋳造法では鋳造され
ていず、造塊法でのみ鋳造されているのが現状である。
性が強く、小さなひずみでも内部割れが発生し、連続鋳
造化が困難であった。特に9%Ni鋼は連続鋳造化が極め
て困難で、そのため、実際には連続鋳造法では鋳造され
ていず、造塊法でのみ鋳造されているのが現状である。
【0003】しかしながら、最近のエネルギークリーン
化要請に伴い、LNG(液化天然ガス)の使用量が増加
し、そのためLNG用のタンク材としてのNi含有鋼の需
要が増加し、これまで困難であった技術、すなわち安価
で大量生産できる連続鋳造法によるNi含有鋼の安定した
製造技術の確立が重要になってきている。
化要請に伴い、LNG(液化天然ガス)の使用量が増加
し、そのためLNG用のタンク材としてのNi含有鋼の需
要が増加し、これまで困難であった技術、すなわち安価
で大量生産できる連続鋳造法によるNi含有鋼の安定した
製造技術の確立が重要になってきている。
【0004】
【従来の技術】これまで、Ni含有鋼の連続鋳造にあたっ
て、具体的に鋳造を行うために最も問題視されている鋳
片の内部割れに関し、そのデーターや防止手段について
の開示は皆無であった。
て、具体的に鋳造を行うために最も問題視されている鋳
片の内部割れに関し、そのデーターや防止手段について
の開示は皆無であった。
【0005】その鋳造に関してこれまでに開示されてい
る技術は、主として表層欠陥(表面割れ、表層下割れ)
の発生を防止するためのみの手段であり、それらは以下
のようなものであった。
る技術は、主として表層欠陥(表面割れ、表層下割れ)
の発生を防止するためのみの手段であり、それらは以下
のようなものであった。
【0006】例えば、特公昭60-8134 号公報(含Ni低温
用鋼の連続鋳造における表面疵防止方法)には、鋼の
S,NおよびCa含有量をそれぞれ、S:0.0020%以下、
N:0.045 %以下およびCa:0.0020〜0.0070%として連
続鋳造する方法が提案開示されている。
用鋼の連続鋳造における表面疵防止方法)には、鋼の
S,NおよびCa含有量をそれぞれ、S:0.0020%以下、
N:0.045 %以下およびCa:0.0020〜0.0070%として連
続鋳造する方法が提案開示されている。
【0007】また、特開昭58-77756号公報(含ニッケル
鋼無欠陥スラブの連続鋳造法)には、鋼中に混入するP
を 0.007%以下、またSを 0.003%以下とし、かつ連鋳
モールド直下からスラブ矯正点開始位置に至る間にわた
りモールドより引抜いたスラブにつき、2次冷却水比が
0.4〜1.0 l/kgの範囲で冷却する方法が提案開示され
ている。ここで、2次冷却水比(l/分)とは〔スラブ
受水2次冷却水量(l/分)〕/〔スラブ厚(m)×ス
ラブ幅(m)×スラブ密度(kg/m3)×鋳造速度(m/
分)〕である。
鋼無欠陥スラブの連続鋳造法)には、鋼中に混入するP
を 0.007%以下、またSを 0.003%以下とし、かつ連鋳
モールド直下からスラブ矯正点開始位置に至る間にわた
りモールドより引抜いたスラブにつき、2次冷却水比が
0.4〜1.0 l/kgの範囲で冷却する方法が提案開示され
ている。ここで、2次冷却水比(l/分)とは〔スラブ
受水2次冷却水量(l/分)〕/〔スラブ厚(m)×ス
ラブ幅(m)×スラブ密度(kg/m3)×鋳造速度(m/
分)〕である。
【0008】さらに、特公平5-4169号公報(含Ni鋼の連
続鋳造における表面割れ防止方法)には、鋳片温度が11
50℃から 950℃の領域での鋳片表面の冷却速度を20℃/
分以下とする方法が提案開示されている。
続鋳造における表面割れ防止方法)には、鋳片温度が11
50℃から 950℃の領域での鋳片表面の冷却速度を20℃/
分以下とする方法が提案開示されている。
【0009】しかるに、これらの開示例は、上記したよ
うにいずれの方法も鋳片の表面割れや表層下割れなど表
層欠陥を防止する手段のみの記載であり、Ni含有鋼の連
続鋳造にあたって最も重要な鋳片の内部割れを防止する
手段については何ら示唆するものがなかった。
うにいずれの方法も鋳片の表面割れや表層下割れなど表
層欠陥を防止する手段のみの記載であり、Ni含有鋼の連
続鋳造にあたって最も重要な鋳片の内部割れを防止する
手段については何ら示唆するものがなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記した
問題を有利に解決しようとするものであり、内部割れの
発生のない良好な鋳片が安定して得られるNi含有鋼の連
続鋳造方法を提案するものである。
問題を有利に解決しようとするものであり、内部割れの
発生のない良好な鋳片が安定して得られるNi含有鋼の連
続鋳造方法を提案するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨とすると
ころは以下の通りである。 Niを5〜10mass%の範囲で含有する鋼の連続鋳造に
あたり、鋼に混入するPおよびSの含有量がそれぞれ、
P:0.01mass%以下およびS:0.005 mass%以下とする
溶鋼を溶製して連続鋳造機に鋳込むこと、該連続鋳造機
内にて、スラブ表裏面片側での凝固シェル厚dがスラブ
厚Dの 1/4 以上となる領域での、下記式(1), (2)およ
び(4) からまたは(1), (3)および(4) から算出される内
部凝固界面ひずみ率εを 0.7×10-2以下とすることとか
らなるNi含有鋼の連続鋳造方法(第1発明)。 〔記〕 ε=εN +εB ------(1) 連続鋳造機が1点曲げを採用している場合のεN : εN = (D/2−d)/R ------(2) 連続鋳造機が多点曲げを採用している場合のεN : εN = (D/2−dn ) /(1/Rn-1 −1/Rn )--(3) εB =(Pl2 )/(Ed2 ) ------(4) ここで ε:内部凝固面ひずみ(−) εN :曲げ矯正ひずみ(−) εB :バルジングひずみ(−) D:スラブ厚 (cm) d, dn :凝固シェル厚 (cm) R, Rn-1,Rn :曲げ半径 (cm) P:溶湯静圧 (kg/cm2) l:ロール間距離 (cm) E:0.3 × 106 (kg/cm2) 第1発明の方法において、鋼にCaを0.0010〜0.0090
mass%の範囲で含有させ、Sを固定させるものである
(第2発明)。
ころは以下の通りである。 Niを5〜10mass%の範囲で含有する鋼の連続鋳造に
あたり、鋼に混入するPおよびSの含有量がそれぞれ、
P:0.01mass%以下およびS:0.005 mass%以下とする
溶鋼を溶製して連続鋳造機に鋳込むこと、該連続鋳造機
内にて、スラブ表裏面片側での凝固シェル厚dがスラブ
厚Dの 1/4 以上となる領域での、下記式(1), (2)およ
び(4) からまたは(1), (3)および(4) から算出される内
部凝固界面ひずみ率εを 0.7×10-2以下とすることとか
らなるNi含有鋼の連続鋳造方法(第1発明)。 〔記〕 ε=εN +εB ------(1) 連続鋳造機が1点曲げを採用している場合のεN : εN = (D/2−d)/R ------(2) 連続鋳造機が多点曲げを採用している場合のεN : εN = (D/2−dn ) /(1/Rn-1 −1/Rn )--(3) εB =(Pl2 )/(Ed2 ) ------(4) ここで ε:内部凝固面ひずみ(−) εN :曲げ矯正ひずみ(−) εB :バルジングひずみ(−) D:スラブ厚 (cm) d, dn :凝固シェル厚 (cm) R, Rn-1,Rn :曲げ半径 (cm) P:溶湯静圧 (kg/cm2) l:ロール間距離 (cm) E:0.3 × 106 (kg/cm2) 第1発明の方法において、鋼にCaを0.0010〜0.0090
mass%の範囲で含有させ、Sを固定させるものである
(第2発明)。
【0012】
【作用】この発明の作用を実験例を基にして以下に述べ
る。 C:0.052 mass%、Si:0.23mass%、Mn:0.62mass%、
Ni:9.2 mass%、P:0.0050mass%、S:0.0013mass%
およびN:0.0030mass%を目標成分として小型溶解炉で
溶製した溶鋼を用いて、試験連続鋳造機で種々の条件で
鋳造実験を行った。その結果スラブの内部割れとその凝
固過程におけるスラブの表裏面での凝固シェル厚および
スラブ表裏面での内部凝固界面ひずみ率(以下、単に凝
固シェル厚、内部凝固界面ひずみ率という)との間に相
関があることを見出した。
る。 C:0.052 mass%、Si:0.23mass%、Mn:0.62mass%、
Ni:9.2 mass%、P:0.0050mass%、S:0.0013mass%
およびN:0.0030mass%を目標成分として小型溶解炉で
溶製した溶鋼を用いて、試験連続鋳造機で種々の条件で
鋳造実験を行った。その結果スラブの内部割れとその凝
固過程におけるスラブの表裏面での凝固シェル厚および
スラブ表裏面での内部凝固界面ひずみ率(以下、単に凝
固シェル厚、内部凝固界面ひずみ率という)との間に相
関があることを見出した。
【0013】それらの結果を図1にまとめて示す。図1
は、スラブの内部割れにおよぼす凝固シェル厚(片側)
のスラブ厚に対する比と内部凝固界面ひずみ率との関係
を示すグラフである。
は、スラブの内部割れにおよぼす凝固シェル厚(片側)
のスラブ厚に対する比と内部凝固界面ひずみ率との関係
を示すグラフである。
【0014】この図1より明らかなように、凝固シェル
厚dがスラブ厚Dの 1/4 以上で内部凝固界面歪率が
0.7×10-2以下であれば、内部凝固界面で割れが発生し
ない、すなわちスラブ内部に割れが発生しないことが分
かる。
厚dがスラブ厚Dの 1/4 以上で内部凝固界面歪率が
0.7×10-2以下であれば、内部凝固界面で割れが発生し
ない、すなわちスラブ内部に割れが発生しないことが分
かる。
【0015】ここで、内部凝固界面ひずみ率の計算方法
について述べる内部凝固界面ひずみ率εは、バルジング
ひずみ率εN 、曲げ矯正ひずみ率εBおよびロールアラ
イメントひずみ率εR の和、すなわち ε=εN +εB +εR ------(5) であらわすことができる。
について述べる内部凝固界面ひずみ率εは、バルジング
ひずみ率εN 、曲げ矯正ひずみ率εBおよびロールアラ
イメントひずみ率εR の和、すなわち ε=εN +εB +εR ------(5) であらわすことができる。
【0016】以下これら個々のひずみ率の計算式の導出
について記す。 曲げ矯正ひずみ率εN 曲げ矯正ひずみ率εN は1点曲げの場合(ε0 )と多点
曲げの場合(εn )とにわかれるが、それぞれ図2にも
とづく以下の基礎式を用いた。 ・1点曲げ矯正ひずみ率:ε0 ε0 =(D/2−d0 )/R ------(6) ・多点曲げ矯正ひずみ率:εn εn =(D/2−dn )/(1/Rn-1 −1/Rn )--(7) ただし D:スラブ厚 d0 , dn :凝固シェル厚 R, Rn-1 , Rn :曲げ半径 図2は曲げ矯正および曲げのモデルを示す説明図で、
(a) は1点曲げ矯正モデル、(b) は多点曲げ矯正モデル
および(c) は多点曲げモデルである。
について記す。 曲げ矯正ひずみ率εN 曲げ矯正ひずみ率εN は1点曲げの場合(ε0 )と多点
曲げの場合(εn )とにわかれるが、それぞれ図2にも
とづく以下の基礎式を用いた。 ・1点曲げ矯正ひずみ率:ε0 ε0 =(D/2−d0 )/R ------(6) ・多点曲げ矯正ひずみ率:εn εn =(D/2−dn )/(1/Rn-1 −1/Rn )--(7) ただし D:スラブ厚 d0 , dn :凝固シェル厚 R, Rn-1 , Rn :曲げ半径 図2は曲げ矯正および曲げのモデルを示す説明図で、
(a) は1点曲げ矯正モデル、(b) は多点曲げ矯正モデル
および(c) は多点曲げモデルである。
【0017】バルジングひずみ率εB 図3のロール直上位置を固定位置とする両端固定梁の曲
げモデルを示す説明図にしたがい計算式を導出した。た
だし図3および以下の計算で用いる符号は以下のとおり
である。 l:隣り合う2つのロール間距離 d:ロール間の平均凝固厚 P:溶湯静圧 E:凝固シェルの弾性係数 Iy :断面2次モーメント 両端固定梁の長さ方向で最大の曲げ応力Mとなる部分は
ロール直上部であり、その値は M= Pl2/12 ------(8) となり、このとき梁の曲げ応力σは σ=M・d/Iy ------(9) となる。断面2次モーメントを矩形断面の単位幅で考え
ると Iy =d3 / 12 ------(10) となり、よって曲げ応力σは σ= Pl2/12・d/d3/12= Pl2/d2 ------(11) となる。また、σ=EεB より εB = Pl2/Ed2 ------(12) が得られる。したがってεB の計算には、この(12)を
用い、Eの値には 0.3×106 kg/cm2 を採用した。
げモデルを示す説明図にしたがい計算式を導出した。た
だし図3および以下の計算で用いる符号は以下のとおり
である。 l:隣り合う2つのロール間距離 d:ロール間の平均凝固厚 P:溶湯静圧 E:凝固シェルの弾性係数 Iy :断面2次モーメント 両端固定梁の長さ方向で最大の曲げ応力Mとなる部分は
ロール直上部であり、その値は M= Pl2/12 ------(8) となり、このとき梁の曲げ応力σは σ=M・d/Iy ------(9) となる。断面2次モーメントを矩形断面の単位幅で考え
ると Iy =d3 / 12 ------(10) となり、よって曲げ応力σは σ= Pl2/12・d/d3/12= Pl2/d2 ------(11) となる。また、σ=EεB より εB = Pl2/Ed2 ------(12) が得られる。したがってεB の計算には、この(12)を
用い、Eの値には 0.3×106 kg/cm2 を採用した。
【0018】ロールアライメントひずみ率εR バルジングひずみ率の計算と同様に両端固定梁としてそ
の中央にロールによる作用点があるとの考えにもとづく
計算結果によれば、ロールアライメントδを0.1mm とす
るとロールアライメントひずみ率εR は 0.017×10-2程
度であり、ロールアライメントδを 0.5mmとしてもεR
は0.05×10-2以下であり無視してもよい値となる。した
がって、ロールアライメントひずみ率εR は計算に入れ
てもよいが、この発明では簡便化のため計算から除外し
た。
の中央にロールによる作用点があるとの考えにもとづく
計算結果によれば、ロールアライメントδを0.1mm とす
るとロールアライメントひずみ率εR は 0.017×10-2程
度であり、ロールアライメントδを 0.5mmとしてもεR
は0.05×10-2以下であり無視してもよい値となる。した
がって、ロールアライメントひずみ率εR は計算に入れ
てもよいが、この発明では簡便化のため計算から除外し
た。
【0019】つぎに、工程生産用連続鋳造機を用いて9
%Ni鋼について試験操業した時のスラブの内部割れ発生
状況とP,Sの含有量ならびにCa添加の有無との関係に
ついて調査した。なお上記試験操業においては、連続鋳
造機内にて、凝固シェル厚dがスラブ厚Dの 1/4 以上
となる領域での内部凝固界面ひずみ率εを 0.7×10-2以
下としたものである。
%Ni鋼について試験操業した時のスラブの内部割れ発生
状況とP,Sの含有量ならびにCa添加の有無との関係に
ついて調査した。なお上記試験操業においては、連続鋳
造機内にて、凝固シェル厚dがスラブ厚Dの 1/4 以上
となる領域での内部凝固界面ひずみ率εを 0.7×10-2以
下としたものである。
【0020】これらの調査結果を図4にまとめて示す。
図4はスラブ内部割れ発生状況とP,Sの含有量ならび
にCa添加の有無との関係を示すグラフである。
図4はスラブ内部割れ発生状況とP,Sの含有量ならび
にCa添加の有無との関係を示すグラフである。
【0021】図4から明らかなように、Ca無添加材では
PとSの含有量が、それぞれP≦0.006 mass%、S≦0.
0045mass%の領域で内部割れの発生は全く見られなく、
P単独で見た場合Pが0.009 mass%%でも内部割れの発
生のないものが得られている。さらにCa添加材ではP≦
0.010 mass%、S≦0.005 mass%の領域まで内部割れの
発生はなく、Ca添加によりSを固定することおよびSや
Pの局部的濃化を抑制することなどがスラブの内部割れ
防止に有効であることを示している。なお、そのときの
Caの含有量としては0.0010〜0.0090mass%の範囲で効果
のあることを確認した。
PとSの含有量が、それぞれP≦0.006 mass%、S≦0.
0045mass%の領域で内部割れの発生は全く見られなく、
P単独で見た場合Pが0.009 mass%%でも内部割れの発
生のないものが得られている。さらにCa添加材ではP≦
0.010 mass%、S≦0.005 mass%の領域まで内部割れの
発生はなく、Ca添加によりSを固定することおよびSや
Pの局部的濃化を抑制することなどがスラブの内部割れ
防止に有効であることを示している。なお、そのときの
Caの含有量としては0.0010〜0.0090mass%の範囲で効果
のあることを確認した。
【0022】この工程生産用連続鋳造機を用いてスラブ
を鋳造する場合、その凝固シェル厚dは実績と合致する
ようにパラメータフィッティングさせたシミュレーショ
ンモデルでの計算値を用いることができる。
を鋳造する場合、その凝固シェル厚dは実績と合致する
ようにパラメータフィッティングさせたシミュレーショ
ンモデルでの計算値を用いることができる。
【0023】また簡便法では、例えば、「日本鉄鋼協会
偏、鉄鋼便覧I基礎、第3版、4・2・1(b) 、(P 20
9) 」に示されているように、冷却面から固液界面まで
の距離をXとして、時間をtをとれば
偏、鉄鋼便覧I基礎、第3版、4・2・1(b) 、(P 20
9) 」に示されているように、冷却面から固液界面まで
の距離をXとして、時間をtをとれば
【数1】 で表わすことができ、これを連続鋳造に当てはめると、
以下のようになる。
以下のようになる。
【数2】 を用い、使用する連続鋳造機で実績と合うようにKの値
をあらかじめ定めておくことによってdを求めることが
できる。
をあらかじめ定めておくことによってdを求めることが
できる。
【0024】なお、以上の知見はおもに9%Ni鋼で得ら
れたものであるが、Ni含有量が5〜10mass%の範囲であ
れば本質的な現象は変化しないことを確かめた。また、
上記において内部割れの発生しなかったスラブはその表
面および表層下に割れ欠陥が全くないことも確認した。
れたものであるが、Ni含有量が5〜10mass%の範囲であ
れば本質的な現象は変化しないことを確かめた。また、
上記において内部割れの発生しなかったスラブはその表
面および表層下に割れ欠陥が全くないことも確認した。
【0025】
実施例1 Pを低減した溶銑を予備処理で溶銑脱硫を行い、Sを10
0 mass ppm以下としたのち、転炉で吹練してPおよびS
をさらに低減させるとともに復リン、復硫を抑えてP≦
50mass ppm、S≦70mass ppmとし、つづいて脱ガス装置
で脱ガスしたのちその装置内にプリメルトフラックスを
装入して復硫を防止した。かくして得られた溶鋼を、工
程生産用連続鋳造機に供給してスラブの連続鋳造を行っ
た。
0 mass ppm以下としたのち、転炉で吹練してPおよびS
をさらに低減させるとともに復リン、復硫を抑えてP≦
50mass ppm、S≦70mass ppmとし、つづいて脱ガス装置
で脱ガスしたのちその装置内にプリメルトフラックスを
装入して復硫を防止した。かくして得られた溶鋼を、工
程生産用連続鋳造機に供給してスラブの連続鋳造を行っ
た。
【0026】その溶鋼の成分組成および鋳造条件などを
以下に示す。 ・溶鋼の成分組成 C:0.053 mass%、Si:0.22mass%、Mn:0.60mass%、
Ni:9.1 mass%、P:0.0060mass%、S:0.0020mass%
およびN:0.0028mass% ・連続鋳造機の型式:垂直曲げ式、多点曲げ式 ・鋳造速度:90cm/min ・比水量:1.2 l/kg ・スラブ厚: 22 cm ・スラブ幅:160 cm ・連続鋳造機内で凝固シェル厚がスラブ厚の 1/4 以上
となる領域での内部凝固界面ひずみ率ε:0.7 %以下
以下に示す。 ・溶鋼の成分組成 C:0.053 mass%、Si:0.22mass%、Mn:0.60mass%、
Ni:9.1 mass%、P:0.0060mass%、S:0.0020mass%
およびN:0.0028mass% ・連続鋳造機の型式:垂直曲げ式、多点曲げ式 ・鋳造速度:90cm/min ・比水量:1.2 l/kg ・スラブ厚: 22 cm ・スラブ幅:160 cm ・連続鋳造機内で凝固シェル厚がスラブ厚の 1/4 以上
となる領域での内部凝固界面ひずみ率ε:0.7 %以下
【0027】なお、上記以外に下記の条件で鋳造を行っ
た。 a.凝固シェル界面ひずみを増加させないようにロール
アライメント歪は 0.1%以下(0.5 mm以下)に設定し直
した。 b.表層欠陥(表面割れおよび表層下割れ)防止対策と
して、ひずみ速度を 2.3×10-4 (1/s)とし、曲げ戻し矯
正部における鋳片表面温度を 890℃以上とした。
た。 a.凝固シェル界面ひずみを増加させないようにロール
アライメント歪は 0.1%以下(0.5 mm以下)に設定し直
した。 b.表層欠陥(表面割れおよび表層下割れ)防止対策と
して、ひずみ速度を 2.3×10-4 (1/s)とし、曲げ戻し矯
正部における鋳片表面温度を 890℃以上とした。
【0028】かくして得られたスラブについて、C断面
のリンプリント(Sが少ないため)による内部割れの確
認、マッピングアナライザーによるPおよびSの濃化の
程度の調査、表裏面各2mm、合計4mmの研削手入れ後、
MT法(磁性流体を用いた探傷法)による欠陥の調査な
どを行った。
のリンプリント(Sが少ないため)による内部割れの確
認、マッピングアナライザーによるPおよびSの濃化の
程度の調査、表裏面各2mm、合計4mmの研削手入れ後、
MT法(磁性流体を用いた探傷法)による欠陥の調査な
どを行った。
【0029】それらの調査の結果、内部割れは全くみら
れないこと、PおよびSの濃化の程度はともにその最大
が、スラブ厚 1/2 部分で2〜3倍程度にしかなってい
ないこと、研削面は無欠陥であることなどが確認され
た。
れないこと、PおよびSの濃化の程度はともにその最大
が、スラブ厚 1/2 部分で2〜3倍程度にしかなってい
ないこと、研削面は無欠陥であることなどが確認され
た。
【0030】実施例2 脱ガス装置での脱ガス後ワイヤ法によりCaを添加した以
外は実施例1と同様の方法により溶製した溶鋼を、工程
生産用連続鋳造機に供給してスラブの連続鋳造を行っ
た。
外は実施例1と同様の方法により溶製した溶鋼を、工程
生産用連続鋳造機に供給してスラブの連続鋳造を行っ
た。
【0031】その溶鋼の成分組成および鋳造条件などを
以下に示す。 ・溶鋼の成分組成 C:0.055 mass%、Si:0.20mass%、Mn:0.62mass%、
Ni:9.0 mass%、P:0.0090mass%、S:0.0030mass
%、Ca:0.0030mass%(0.0120mass%添加、歩留り25
%)、およびN:0.0025mass% ・連続鋳造機の型式:湾曲型、一点曲げ式 ・ロールアライメント歪: 0.1%以下(0.5 mm以下) ・鋳造速度:85cm/min ・ひずみ速度: 2.6×10-4 (1/s) ・比水量:1.15 l/kg ・曲げ戻し矯正部における鋳片温度: 890℃以上 ・スラブ厚: 22 cm ・スラブ幅:140 cm ・連続鋳造機内で凝固シェル厚がスラブ厚の 1/4 以上
となる領域での内部凝固界面ひずみ率ε:0.7 %以下
以下に示す。 ・溶鋼の成分組成 C:0.055 mass%、Si:0.20mass%、Mn:0.62mass%、
Ni:9.0 mass%、P:0.0090mass%、S:0.0030mass
%、Ca:0.0030mass%(0.0120mass%添加、歩留り25
%)、およびN:0.0025mass% ・連続鋳造機の型式:湾曲型、一点曲げ式 ・ロールアライメント歪: 0.1%以下(0.5 mm以下) ・鋳造速度:85cm/min ・ひずみ速度: 2.6×10-4 (1/s) ・比水量:1.15 l/kg ・曲げ戻し矯正部における鋳片温度: 890℃以上 ・スラブ厚: 22 cm ・スラブ幅:140 cm ・連続鋳造機内で凝固シェル厚がスラブ厚の 1/4 以上
となる領域での内部凝固界面ひずみ率ε:0.7 %以下
【0032】かくして得られたフラブについて、実施例
1と同様の調査を行った結果、内部割れは全く見られな
いこと、PおよびSの濃化の程度は最大が、スラブ厚1
/2部分で2〜3倍程度にしかなっていなく、特にSの
濃化の程度は小さく2倍以下の部分が多いこと、研削面
は無欠陥であることなどが確認された。
1と同様の調査を行った結果、内部割れは全く見られな
いこと、PおよびSの濃化の程度は最大が、スラブ厚1
/2部分で2〜3倍程度にしかなっていなく、特にSの
濃化の程度は小さく2倍以下の部分が多いこと、研削面
は無欠陥であることなどが確認された。
【0033】
【発明の効果】この発明は、Ni含有鋼の連続鋳造にあた
り、曲げ矯正部での温度管理やPおよびSの含有量の規
制のみでの従来からの連続鋳造化技術とは異なり、内部
凝固界面ひずみ率を特定するものであって、この発明に
よれば、内部割れのないNi含有鋼スラブの連続鋳造が可
能となり、需要が急増している9%Ni鋼に対応して極め
て有利に供給できる。
り、曲げ矯正部での温度管理やPおよびSの含有量の規
制のみでの従来からの連続鋳造化技術とは異なり、内部
凝固界面ひずみ率を特定するものであって、この発明に
よれば、内部割れのないNi含有鋼スラブの連続鋳造が可
能となり、需要が急増している9%Ni鋼に対応して極め
て有利に供給できる。
【図1】スラブの内部割れにおよぼす凝固シェル厚(片
側)のスラブ厚に対する比と内部凝固界面ひずみ率との
関係を示すグラフである。
側)のスラブ厚に対する比と内部凝固界面ひずみ率との
関係を示すグラフである。
【図2】曲げ矯正および曲げモデルを示す説明図であ
る。
る。
【図3】ロール直上位置を固定位置とする両端固定梁の
曲げモデルを示す説明図である。
曲げモデルを示す説明図である。
【図4】スラブ内部割れ発生状況とP,Sの含有量なら
びにCa添加の有無との関係を示すグラフである。
びにCa添加の有無との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 302 Z 38/08
Claims (2)
- 【請求項1】 Niを5〜10mass%の範囲で含有する鋼の
連続鋳造にあたり、鋼に混入するPおよびSの含有量が
それぞれ、P:0.01mass%以下およびS:0.005 mass%
以下とする溶鋼を溶製して連続鋳造機に鋳込むこと、該
連続鋳造機内にて、スラブ表裏面片側での凝固シェル厚
dがスラブ厚Dの 1/4 以上となる領域での、下記式
(1), (2)および(4) からまたは(1), (3)および(4) から
算出される内部凝固界面ひずみ率εを 0.7×10-2以下と
することとからなるNi含有鋼の連続鋳造方法。 〔記〕 ε=εN +εB ------(1) 連続鋳造機が1点曲げを採用している場合のεN : εN = (D/2−d)/R ------(2) 連続鋳造機が多点曲げを採用している場合のεN : εN = (D/2−dn ) /(1/Rn-1 −1/Rn )--(3) εB =(Pl2 )/(Ed2 ) ------(4) ここで ε:内部凝固界面ひずみ(−) εN :曲げ矯正ひずみ(−) εB :バルジングひずみ(−) D:スラブ厚 (cm) d, dn :凝固シェル厚 (cm) R, Rn-1,Rn :曲げ半径 (cm) P:溶湯静圧 (kg/cm2) l:ロール間距離 (cm) E:0.3 × 106 (kg/cm2) - 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、鋼にCa
を0.0010〜0.0090mass%の範囲で含有させ、Sを固定さ
せることを特徴とするNi含有鋼の連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1043995A JP2966309B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | Ni含有鋼の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1043995A JP2966309B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | Ni含有鋼の連続鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08197193A true JPH08197193A (ja) | 1996-08-06 |
JP2966309B2 JP2966309B2 (ja) | 1999-10-25 |
Family
ID=11750196
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1043995A Expired - Lifetime JP2966309B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | Ni含有鋼の連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2966309B2 (ja) |
-
1995
- 1995-01-26 JP JP1043995A patent/JP2966309B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2966309B2 (ja) | 1999-10-25 |
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