JPH08196900A - NOx吸着剤およびその製造法 - Google Patents

NOx吸着剤およびその製造法

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JPH08196900A
JPH08196900A JP7007182A JP718295A JPH08196900A JP H08196900 A JPH08196900 A JP H08196900A JP 7007182 A JP7007182 A JP 7007182A JP 718295 A JP718295 A JP 718295A JP H08196900 A JPH08196900 A JP H08196900A
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Masayoshi Ichiki
正義 市来
Tomonori Saira
友紀 西良
Kazuhiro Kondo
一博 近藤
Atsushi Fukuju
厚 福寿
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非晶質チタニアにMn化合物を添加し焼成し
て得られたMn添加チタニア担体である。 【効果】 このMn添加チタニア担体は、使用中に担体
結晶構造が変化し酸性点が失われることがなく、したが
って高い触媒性能を保持することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は道路トンネル換気ガスな
ど、多量の湿分と数ppm の低濃度窒素酸化物(NOx)
を含有するガスよりNOxを効率的に吸着除去するNO
x吸着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術と問題点】アナターゼ型のチタニアにR
u、Ceなどの金属の酸化物を担持し焼成して得られた
NOx吸着剤、或いは担体としてゼオライト、シリカア
ルミナを用いこれに同じくRu、Ceなどの金属の酸化
物を担持し焼成して得られたNOx吸着剤などが知られ
ている。
【0003】チタニアを担体として用いた吸着剤は耐熱
性に難点があり、たとえば空気中400℃の加熱でNO
x吸着性能は急激に低下する。また300℃の加熱でも
徐々にではあるがNOx吸着性能は低下し、吸着剤の再
生に250℃前後の加熱が必要であることを考えると実
用上問題となる。
【0004】一方、シリカアルミナ、ゼオライトなどの
Al−Si系複合酸化物を担体として用いた吸着剤は、
十分な耐熱性を有し400℃程度の加熱でもNOx吸着
性能の低下は認められない。しかし、これは耐酸性に劣
り、NOxの吸着・脱着を繰り返し行うことにより吸着
性能が低下する。
【0005】また、耐酸性が高いとされている高シリカ
ゼオライトは、担体細孔径が5遙以下と非常に小さく、
Ruおよび/またはCeの化合物を含浸担持する際に細
孔が閉塞され、充分なNOx吸着性能が得られないとい
う問題を有する。
【0006】さらに、初期性能においてもNOx吸着性
能は吸着剤重量当たりのガスとして2〜3ml/g程度
が限度であり、そのため吸着剤の再生を頻繁に行う必要
がある。
【0007】本発明は、上記の点に鑑み、耐熱性に優
れ、かつ耐酸性に問題がなく、もって高い吸着性能を発
揮できるNOx吸着剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によるNOx吸着
剤は、チタニア担体に吸着成分が担持されているNOx
吸着剤において、該担体が、非晶質チタニアを保持した
TiにMn化合物を添加し焼成して得られたMn−Ti
系表面改質チタニア担体であり、該吸着成分がRuおよ
びCeの酸化物と、Ag、CuおよびMnのうち少なく
とも一種の酸化物であることを特徴とするものである。
【0009】上記NOx吸着剤において、非晶質チタニ
アは、例えば、硝酸塩加水分解法で得られたチタニアコ
ロイド溶液を乾燥することにより得られる。非晶質チタ
ニアは、例えば、不燃性繊維プレフォーム体にチタニア
コロイド溶液を含浸させ、これを乾燥して得られた板状
物であり得る。
【0010】また、該担体は、非晶質チタニアにMn化
合物、および/または、Cu、Fe、NiおよびSnよ
り選ばれた少なくとも1種の第2金属化合物を添加し焼
成して得られた金属−Ti系表面改質チタニア担体であ
ってもよい。
【0011】本発明によるNOx吸着剤を製造するに
は、例えば、硝酸マンガン水溶液を非晶質チタニアに含
浸させ焼成して、Mn酸化物−Ti系表面改質チタニア
担体を得、この担体にRuおよびCeの酸化物と、A
g、CuおよびMnのうち少なくとも一種の酸化物を担
持する方法が好ましい。この方法で用いる非晶質チタニ
アは、やはり、不燃性繊維プレフォーム体にチタニアコ
ロイド溶液を含浸させ、これを乾燥して得られた板状物
であり得る。
【0012】上記方法において、硝酸マンガン水溶液を
非晶質チタニアに含浸させるには、例えば、硝酸マンガ
ンの0.2〜5.0mol /l 水溶液、より好ましくは
0.5〜1.5mol /l 水溶液に非晶質チタニアを浸漬
し、ついで好ましくは250〜480℃、より好ましく
は400〜450℃で焼成する。
【0013】Ceの酸化物の担持は、例えば、該担体に
硝酸セリュームを含浸させ焼成することによって行うこ
とができる。
【0014】硝酸セリュームを上記担体に担持させるに
は、例えば、硝酸セリュームの2.0mol /l 以上の水
溶液、より好ましくは硝酸セリュームの2.8mol /l
以上の水溶液に担体を浸漬し、ついで好ましくは250
〜380℃、より好ましくは300〜350℃で焼成す
る。
【0015】また、Ag、CuおよびMnのうち少なく
とも一種の酸化物の担持は、該担体にAg、Cuおよび
Mnのうち少なくとも一種の硝酸塩水溶液を含浸させ焼
成することによって行うことができる。Ag、Cuおよ
びMnのうち少なくとも一種の硝酸塩を上記担体に担持
させるには、例えば、該硝酸塩の0.3〜1.5mol/l
水溶液、より好ましくは0.5〜1.0mol /l 水溶
液に担体を浸漬し、ついで好ましくは250〜380
℃、より好ましくは300〜350℃で焼焼成する。
【0016】
【作用】吸着成分としてRuおよびCeの酸化物を用い
たNOx吸着剤の耐熱性は、 担体の固体酸酸性点にRuイオンまたはRu錯イオン
を吸着担持させ、 比較的低温の焼成を行い、 残存する酸性点をCeイオンまたはCe錯イオンで覆
い、および さらに過剰のCeをRu周辺に配置・焼成する ことで向上できる。この時、担体固体酸の酸強度が強い
と、より高い耐熱性が得られる。
【0017】強い固体酸担体として知られるAl−Si
系複合酸化物は前述のように高い耐熱性を有している。
しかしながら、これは耐酸性に劣り吸着剤使用時のNO
x吸着・脱着の繰り返しにより、固体酸性の発現要因で
あるSi骨格中のAl成分が硝酸塩化または亜硝酸塩化
と熱分解を繰り返して骨格から外れるので、酸性点が消
失し、その結果、吸着剤の耐熱性が失われ加熱再生時に
性能が低下する現象が顕著に現れる。
【0018】これを防止するには強い固体酸性を示し、
かつ耐酸性が高い担体を使用する必要がある。
【0019】そこで、非晶質チタニアにMn塩を添加し
焼成した表面改質チタニア担体を使用し、これに吸着成
分としてRuおよびCeの酸化物を担持させ、NOx吸
着剤を製造した。このNOx吸着剤は、高い耐熱性を示
し、かつNOx吸着・脱着によっても吸着性能が全く低
下しないものである。
【0020】また、NOx吸着性能に関しさらに詳細な
検討を行った結果、気相中のNOxは先ずRu酸化物上
に吸着され、次いでCe酸化物上ヘ固体表面を移動し、
そこで固定されることが見い出された。
【0021】Ceによる固定は以下のような反応を伴う
と推定される。
【0022】
【式1】 2NO +2CeO2 →Ce(NO2 2 ・CeO+1/2 O2 … 2NO2 +2CeO2 →Ce(NO3 2 ・CeO+1/2 O2
【0023】上記反応を円滑に進めるには4価Ceの酸
化物が存在する必要がある。Ceの原料として塩化セリ
ュームを使用すると、350℃以下の焼成ではCl根が
完全には除去できないため、NOx固定容量が低い。C
l根を完全に除去するにはより高温での焼成が必要とな
る。しかし、高温焼成を行うと、すでに担持してあるR
u酸化物の熱変化により吸着性能が大きく低下する。
【0024】そこでCe原料を硝酸塩とし、350℃以
下の焼成でCeをほぼ完全に4価Ceの酸化物とする。
【0025】吸着剤を加熱しNOxを脱離させ吸着剤を
再生する場合、前記、式の逆反応が進むことが想定
される。即ち、NOxを固定したCeは2価Ceの酸化
物であると考えられ、NOx脱離の際はこれが4価に再
酸化されると考えられる。この再酸化を円滑に進行させ
るためには、Ce酸化物の表面に200℃以上で強い酸
化触媒作用を示す物質を添加することが望ましい。
【0026】この目的に従って検討した結果、Ag、C
uおよび/またはMnの酸化物の添加が有効であること
が見い出された。
【0027】Ag、Cuおよび/またはMnの酸化物の
原料としては、既に担持してある4価Ceの酸化物の構
造を変化させないため、各金属の硝酸塩が望ましい。但
し、Ce硝酸塩とAg、Cuおよび/またはMnの硝酸
塩の混合水溶液を用いて同時担持を行うと、Ru酸化物
近辺にCe酸化物が存在する確立が低下し、RuからC
eへのNOxの吸着剤表面移動が阻害され、結果として
吸着性能が低下するので、Ag、Cuおよび/またはM
nの添加はCe担持・焼成後に行うのが好ましい。
【0028】
【実施例】以下、NOx吸着剤の製造法および得られた
吸着剤の特性について具体的に説明する。
【0029】実施例1 a) 硝酸塩加水分解法で得られたチタニアコロイド溶
液(固形分32重量%)を0.5mm厚さのセラミック
スペーパーに含浸保持させ、同ペーパーを110℃で乾
燥し、非晶質チタニアを165g/m2 保持した板状物
を得た。これを1.0mol /l の硝酸マンガン水溶液に
6分間浸漬し、ついで110℃で乾燥した。この操作に
より、1gのTiO2 当たり1.1mmolのMnが添加さ
れた。この板状物を300℃で1時間、さらに400℃
で3時間、空気流通下で焼成し、表面改質板状チタニア
担体を得た。
【0030】この担体は1gのTiO2 当たり95m2
の比表面積を有していた。
【0031】この板状担体をRuとして14g/l のR
uCl3 水溶液(pH=0.92)に6分間浸漬し、1
10℃で乾燥後、さらに230℃で1時間焼成した。
【0032】次にCeとして250g/l のCe(NO
3 3 水溶液に上記板状担体を12分間浸漬し、350
℃で3時間焼成した。以上の操作により1gのTiO2
当たり0.16mmolのRuならびに2.0mmolのCeが
担持されたNOx吸着剤が得られた。この吸着剤の比表
面積は1gのTiO2 当たり77m2 であった。
【0033】これを試料Aとする。
【0034】b) つぎに、試料Aを0.5mol /l 、
1.0mol /l 、1.5mol /l および2.0mol /l
の硝酸銅水溶液にそれぞれ12分間浸漬し、乾燥後35
0℃で1時間焼成し、NOx吸着剤を得た。これらを、
各々、試料B、C、DおよびEとする。
【0035】比較例1 硝酸セリュームに代えて塩化セリュームを用い、実施例
1の工程a)と同様の操作を繰り返し、1gのTiO2
当たり0.13mmolのRuならびに2.0mmolのCeが
担持されたNOx吸着剤を得た。これを試料Fとする。
【0036】比較例2 比較例1で得られた試料Fを0.5mol /l の硝酸銅水
溶液に12分間浸漬し、乾燥後350℃で1時間焼成
し、NOx吸着剤を得た。これを試料Gとする。
【0037】実施例2 実施例1で得られた試料Aを0.5mol /l の硝酸銀水
溶液に12分間浸漬し、乾燥後350℃で1時間焼成
し、NOx吸着剤を得た。これを試料Hとする。
【0038】実施例3 実施例1で得られた試料Aを0.5mol /l の硝酸マン
ガン水溶液に12分間浸漬し、乾燥後350℃で1時間
焼成し、NOx吸着剤を得た。これを試料Iとする。
【0039】比較例3 実施例1で得られた試料Aを250g/l のCe(NO
3 3 と0.5mol /l の硝酸銅の混合水溶液に12分
間浸漬し、乾燥後350℃で1時間焼成し、NOx吸着
剤を得た。これを試料Jとする。
【0040】性能試験 こうして調製した試料A〜Jの組成、比表面積、100
ppm NOを含む空気(室温、相対湿度70%)雰囲気中
でのNOx飽和吸着量、試料を更に空気中400℃で1
2時間または24時間焼成した後のNOx飽和吸着量を
測定した。この測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 上記表1から下記のことが分かる。Ce原料として硝酸
塩を用いると吸着容量が3倍以上に増加する。またA
g、Cuおよび/またはMnの添加により加熱による吸
着容量の低下が少なくなる。
【0042】試料Jでは、硝酸セリュームを用いている
にも拘らず吸着性能が低い。これはCeイオンとCuイ
オンの混合担持を行なったため,Ru〜Ceの接触確立
が低下したものと考えられる。
【0043】実施例4 硝酸セリュームの濃度を変化させた点を除いて、他は実
施例2の試料Cの調製と同様の条件で操作を行い、NO
x吸着剤を得、これらの試料のNOx飽和吸着量を測定
した。この結果を図1に示す。
【0044】図1から分かるように、硝酸セリュームの
濃度が約1.3mol /l 以下ではNOx吸着量はCe濃
度の上昇に従って増大するが、約1.3mol /l 以上で
は、ほぼ室温飽和濃度である3mol /l までNOx吸着
量はほとんど一定となる。
【0045】
【発明の効果】本発明によるNOx吸着剤は、以上の通
り構成されているので、高い耐熱性および耐酸性を示
し、かつNOx吸着・脱着によっても吸着性能が全く低
下しないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸漬液のセリューム濃度とNOx飽和吸着量の
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/81 (72)発明者 福寿 厚 大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立 造船株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタニア担体に吸着成分が担持されてい
    るNOx吸着剤において、該担体が、非晶質チタニアに
    Mn化合物を添加し焼成して得られたMn−Ti系表面
    改質チタニア担体であり、該吸着成分がRuおよびCe
    の酸化物と、Ag、CuおよびMnのうち少なくとも一
    種の酸化物であることを特徴とするNOx吸着剤。
  2. 【請求項2】 非晶質チタニアが、不燃性繊維プレフォ
    ーム体にチタニアコロイド溶液を含浸させ、これを乾燥
    して得られた板状物であることを特徴とする請求項1記
    載のNOx吸着剤。
  3. 【請求項3】 該担体が、非晶質チタニアにMn化合
    物、および/または、Cu、Fe、NiおよびSnより
    選ばれた少なくとも1種の第2金属化合物を添加し焼成
    して得られた金属−Ti系表面改質チタニア担体である
    ことを特徴とする請求項1記載のNOx吸着剤。
  4. 【請求項4】 硝酸マンガン水溶液を非晶質チタニアに
    含浸させ焼成して、Mn酸化物−Ti系表面改質チタニ
    ア担体を得、この担体にRuおよびCeの酸化物と、A
    g、CuおよびMnのうち少なくとも一種の酸化物水溶
    液を含浸させ焼成することを特徴とするNOx吸着剤の
    製造法。
  5. 【請求項5】 Ceの酸化物の担持を、該担体に硝酸セ
    リューム水溶液を含浸させ焼成することによって行うこ
    とを特徴とする請求項4記載の製造法。
  6. 【請求項6】 Ag、CuおよびMnのうち少なくとも
    一種の酸化物の担持を、該担体にAg、CuおよびMn
    のうち少なくとも一種の硝酸塩水溶液を含浸させ焼成す
    ることによって行うことを特徴とする請求項4記載の製
    造法。
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