JP3861489B2 - 排気ガス浄化用触媒及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス浄化用触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンが燃料濃度の希薄なリーン空燃比で運転された場合の排気ガスは酸素濃度が高くなり、従来の三元触媒では排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を分解浄化することが困難になる。
【0003】
そのような場合のNOxの浄化に有効な排気ガス浄化用触媒として、特開平9−38493号公報には、Co及びLaの少なくとも一方とアルミナとの複合酸化物からなる担体に、触媒貴金属とNOx吸蔵材とを順次に担持させてなる排気ガス浄化用触媒が記載されている。これは、高温ではアルミナとNOx吸蔵材とが反応してアルミナの比表面積の低下や細孔の閉塞を生じ、また、貴金属のシンタリングを生ずるが、アルミナをCoやLaとの複合酸化物の形にすると、この熱劣化を抑制することができた、というものである。
【0004】
この触媒の製造方法は、担体にアルミナ層を形成して、これにCoの含浸→乾燥→焼成を行なことにより、Co−アルミナ複合酸化物の層を形成し、これにPtの含浸→乾燥とRhの含浸→乾燥とを順に行なって焼成し、さらにBaの含浸→乾燥→焼成を行なうというものである。従って、この触媒では、1つのCo−アルミナ複合酸化物粒子にPtとRhとが近接して若しくは重なりあって担持されていることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の如く1つの母材粒子に2種の貴金属粒子が担持されている場合、触媒が高温に晒された際にこの両貴金属粒子が合金化し易くなり、触媒浄化性能が低下することになる。
【0006】
そこで、本発明は、酸素濃度が高いときにNOxを吸蔵し濃度が低くなったときにそのNOxを放出するNOx吸蔵材を備え、しかもNOxを分解するための触媒作用を有する種類の異なる触媒貴金属を備えている場合において、各貴金属の熱に対する安定性を高めるとともに、その各々がNOxの分解浄化に有効に働くようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材と、該NOxを分解するための触媒作用を有する種類の異なる第1及び第2の両貴金属とを備えた排気ガス浄化用触媒の製造方法に関するものであって、
アルミナ及びCeO2 のうちの少なくとも一方である第1母材に第1貴金属が担持され第2貴金属が担持されていない第1触媒粉を形成する工程と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物である第2母材に第2貴金属が担持され第1貴金属が担持されていない第2触媒粉を形成する工程とを備え、
上記第1触媒粉と第2触媒粉とを混合し、
上記混合物に上記NOx吸蔵材の溶液を含浸させることによって該NOx吸蔵材を担持させることを特徴とする。
【0008】
このような方法であれば、第1貴金属と第2貴金属とが各々別の母材に担持されている触媒が得られるから、当該触媒が高温に晒されてもこの両貴金属が合金化することが少なくなる。従って、各貴金属は各々が担持されている母材上でNOx吸蔵材との相互作用によってNOxを分解浄化することができる。また、両貴金属が相互に働き合って触媒作用を営む場合であっても、各々がその役割を十分に発揮することができるようになる。
【0009】
また、重要な点は、このような方法であれば、NOx吸蔵材を各触媒粉に別個に担持させるのではなく、上記混合物に含浸担持させるから、NOx吸蔵材の一部は第1貴金属が担持されている第1母材と第2貴金属が担持されている第2母材の双方に跨ったような形で担持され、ひいてはNOx吸蔵材が第1貴金属と第2貴金属の双方に跨った形になることである。
【0010】
このため、一つのNOx吸蔵材(粒子)上で第1貴金属及び第2貴金属の各々が該NOx吸蔵材と相互に働きあってNOxの浄化に寄与することになり、NOx浄化の効率が高まり易くなる。特に、第1貴金属及び第2貴金属の各々のNOx浄化における役割が異なる場合、一つのNOx吸蔵材(粒子)上でこの第1及び第2の両貴金属が互いの役割を果たすことになり、このNOx吸蔵材を仲立ちとするNOxの浄化に有利になる。また、例えば第1貴金属のシンタリングが進んでもそれによるNOx浄化性能の低下を第2貴金属が補うことができる。
【0011】
アルミナとしてはγ−アルミナが好適である。CeO2 は酸素吸蔵能(O2 ストレージ効果)を有するから、エンジンが理論空燃比(λ=1)近傍で運転されるときに、当該触媒を三元触媒として機能させて、NOxだけでなくHC(炭化水素)及びCO(一酸化炭素)をも同時に効率良く浄化するうえで有効になる。一方、Mn等の酸化物は、熱安定性が高く、第1母材のシンタリング防止に有効であるだけでなく、排気ガス中のNOをNO2 に酸化させる働きがあると認められ、それによってNOx吸蔵材の吸蔵性能を高めることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載されている排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
上記混合物に上記NOx吸蔵材の溶液を含浸させる工程において、該NOx吸蔵材の溶液と上記第1貴金属の溶液とを含浸させることによって、該混合物にNOx吸蔵材を担持させるとともに、第1貴金属を追加的に担持させることを特徴とする。
【0013】
第1貴金属については、その一部を予め母材に担持させておき、その残部を上記含浸工程によって担持させるものである。これにより、触媒の耐熱性を向上させることができるとともに、触媒フレッシュ時(触媒の使用当初)及びストイキ(λ=1)でのNOx浄化性能が高くなる。
【0014】
すなわち、耐熱性が向上するのは、第1貴金属の一部が予め母材に担持されているから、該貴金属の分散性が高くなり、高温に晒されたときの該貴金属自身のシンタリング防止及び該貴金属と第2貴金属とのシンタリング防止が図れるからである。また、NOx浄化性能が向上するのは、第1貴金属の残部がNOx吸蔵材と共に第2貴金属に近接して配置され、この第1貴金属、第2貴金属及びNOx吸蔵材の相互作用がより顕著になるためである。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載されている排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
上記第1貴金属がPtであり、上記第2貴金属がRhであることを特徴とする。
【0016】
すなわち、本発明者の研究によれば、Ptは排気ガス中の酸素濃度が高いときのNOxの浄化に有効であるが、その酸素濃度が低くなったときにNOx浄化率が低下する傾向があるところ、このPtに対して少量のRhを併用すると、NOx浄化率の低下が抑制される。従って、このようなPtを上記第1貴金属として採用しRhを上記第2貴金属として採用することが好ましい。
【0017】
また、排気ガス中の酸素濃度が低いときのNOx還元浄化性能はPtよりもRhの方が高いと考えられる。従って、一つのNOx吸蔵材粒子が、Ptが担持されている母材とRhが担持されている母材との双方に跨った形で、特にPtとRhとに跨った形で担持されている場合、排気ガス中の酸素濃度が高いときにPtによって酸化されてNOx吸蔵材に担持されたNOxが該NOx吸蔵材から放出されるときに今度は主としてRhの働きによって還元浄化されることになり、NOxが効率良く浄化されることになる。
【0018】
また、上記PtとRhとの組み合わせにおいては、Ptを比表面積の大きな第1母材に担持させ、少量でよいRhを比表面積は小さくても熱安定性の高い第2母材に担持させるようにすればよい。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載されている排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
上記NOx吸蔵材が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属のうちから選択される少なくとも1種の金属であることを特徴とする。
【0020】
すなわち、上記NOx吸蔵材としては、Na等のアルカリ金属、Ba、Sr等のアルカリ土類金属及びLa等の希土類金属のうちから選択される少なくとも1種の金属であることが好適である。特にBaがNOxの吸蔵性に優れている。また、上記Mn、Co、Ti及びFeのうちではMn及びCoがNOxの分解浄化により有効である。
【0021】
本発明者の研究によれば、担体上にNOx吸蔵材及びNOxを分解する触媒貴金属を有する触媒層を形成し、その上に貴金属を担持させたゼオライト層を形成すれば、NOx浄化性能が向上することがわかっている。このような排気ガス浄化用触媒の製造方法に係る発明(請求項5に係る発明)は次の通りである。
【0022】
すなわち、それは、アルミナとCeO2 との混合物にPtを担持させRhを担持させていない第1触媒粉を形成する工程と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物にRhを担持させPtを担持させていない第2触媒粉を形成する工程と、ゼオライトにPtとRhとを担持させてなる第3触媒粉を形成する工程とを備え、
担体上に上記第1触媒粉と第2触媒粉との混合物からなる内側層を形成し、
上記内側層の上に上記第3触媒粉からなる外側層を形成した後、
アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属のうちから選択される少なくとも1種の金属よりなり排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材の溶液を上記内側層と外側層とに含浸させることによって、該NOx吸蔵材をこの内外両層に担持させることを特徴とする。また、このとき、NOx吸蔵材の溶液と貴金属の溶液とを混合した溶液を含浸させることで、貴金属とNOx吸蔵材との分散性の向上も可能である。
【0023】
これにより、担体上に内側触媒層と外側触媒層とが層状に形成された排気ガス浄化用触媒が得られる。すなわち、その内側触媒層は、アルミナとCeO2 との混合物にPtとNOx吸蔵材とが担持されRhが担持されていない触媒成分と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物にRhとNOx吸蔵材とが担持されPtが担持されていない触媒成分との混合物を有するものになる。一方、外側触媒層は、ゼオライトにPtとRhとNOx吸蔵材とが担持されてなる触媒成分を有するものになる。
【0024】
このような触媒においては、外側触媒層のゼオライトに担持されている貴金属が排気ガス中のNOx及びHCを活性化しNO浄化性能を高めることになる。すなわち、排気ガス中のNOはNO2 になってNOx吸蔵材に吸蔵され易くなり、HCは部分酸化やクラッキングによってエネルギー的に反応し易い状態になり、この活性化されたHCによるNOxの還元分解反応が進行し易くなる。もちろん、内側触媒層においてはPtとRhとがアルミナ側とMn等の金属酸化物側とに分離担持されているから、先に述べた作用効果が得られ、触媒が高温に晒された後でも高いNOx浄化性能が維持される。
【0025】
請求項6に係る発明は、担体上に形成された触媒層が、排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材と、該NOxを分解するための触媒作用を有する種類の異なる第1及び第2の両貴金属とを備えている排気ガス浄化用触媒において、
上記触媒層が、第1貴金属及びNOx吸蔵材を担持し第2貴金属を担持していない第1母材と、該第1母材とは種類が異なり第2貴金属及びNOx吸蔵材を担持し第1貴金属を担持していない第2母材との混合物よりなり、第1母材はアルミナ及びCeO2 のうちの少なくとも一方であり、第2母材はMn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物であることを特徴とする。
【0026】
従って、第1貴金属と第2貴金属とが各々別の母材に担持されているから、当該触媒が高温に晒されてもこの両貴金属が合金化することが少なくなる。従って、各貴金属は各々が担持されている母材上でNOx吸蔵材との相互作用によってNOxを分解浄化することができる。また、両貴金属が相互に働き合って触媒作用を営む場合であっても、各々がその役割を十分に発揮することができるようになる。すなわち、触媒が高温に晒された後でも高いNOx浄化特性が維持される。
【0027】
アルミナとしてはγ−アルミナが好適である。CeO2 は酸素吸蔵能(O2 ストレージ効果)を有するから、エンジンが理論空燃比(λ=1)近傍で運転されるときに、当該触媒を三元触媒として機能させて、NOxだけでなくHC(炭化水素)及びCO(一酸化炭素)をも同時に効率良く浄化するうえで有効になる。一方、Mn等の酸化物は、熱安定性が高く、第1母材のシンタリング防止に有効であるだけでなく、排気ガス中のNOをNO2 に酸化させる働きがあると認められ、それによってNOx吸蔵材の吸蔵性能を高めることができる。
【0028】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載されている排気ガス浄化用触媒において、
上記NOx吸蔵材の一部は、上記第1貴金属を担持した第1母材と上記第2貴金属を担持した第2母材の双方に跨って担持されていることを特徴とする。
【0029】
従って、一つのNOx吸蔵材(粒子)上で第1貴金属及び第2貴金属の各々が該NOx吸蔵材と相互に働きあってNOxの浄化に寄与することになり、NOx浄化の効率が高まり易くなる。特に、第1貴金属及び第2貴金属の各々のNOx浄化における役割が異なる場合、一つのNOx吸蔵材(粒子)上でこの第1及び第2の両貴金属が互いの役割を果たすことになり、このNOx吸蔵材を仲立ちとするNOxの浄化に有利になる。また、例えば第1貴金属のシンタリングが進んでもそれによるNOx浄化性能の低下を第2貴金属が補うことができる。
【0030】
請求項8に係る発明は、請求項6に記載されている排気ガス浄化用触媒において、
上記第2母材は上記第1母材よりも比表面積が小さく、該第2母材に対する上記第2貴金属の単位母材量当たりの担持量は、該第1母材に対する上記第1貴金属の単位母材量当たりの担持量よりも少ないことを特徴とする。
【0031】
すなわち、触媒の耐熱性向上には母材自体の熱安定性を高めることが有効であるが、熱安定性の高い母材はその比表面積が小さいことが多い。また、一般に2種類の貴金属を用いる場合、その一方は他方に比べて少量にすることができる場合が多い。かかる場合、比表面積が大きい第1母材に単位母材量当たりの担持量の多い第1貴金属を担持させ、比表面積は小さいが熱安定性が高い第2母材に単位母材量当たりの担持量の少ない第2貴金属を担持させるようにすれば、第1母材のシンタリングを生じて第1貴金属の一部が失われることがあっても(母材に一部埋没しても)、第2母材上で第2貴金属の必要量が確保されているから、触媒性能の大きな低下を防ぐことができる。
【0032】
つまり、比表面積は大きいが耐熱性の低い母材に第1貴金属だけでなく少量でよい第2貴金属まで担持しておけば、該母材のシンタリングよって第2貴金属の量が極端に少なくなり、以後の触媒性能が大きく低下するが、これを防止することができる。
【0033】
請求項9に係る発明は、請求項6乃至請求項8のいずれか一に記載されている排気ガス浄化用触媒において、
上記第1貴金属がPtであり、上記第2貴金属がRhであることを特徴とする。
【0034】
すなわち、本発明者の研究によれば、Ptは排気ガス中の酸素濃度が高いときのNOxの浄化に有効であるが、その酸素濃度が低くなったときにNOx浄化率が低下する傾向があるところ、このPtに対して少量のRhを併用すると、NOx浄化率の低下が抑制される。従って、このようなPtを上記第1貴金属として採用しRhを上記第2貴金属として採用することが好ましい。
【0035】
また、排気ガス中の酸素濃度が低いときのNOx還元浄化性能はPtよりもRhの方が高いと考えられる。従って、一つのNOx吸蔵材粒子が、Ptが担持されている母材とRhが担持されている母材との双方に跨った形で、特にPtとRhとに跨った形で担持されている場合、排気ガス中の酸素濃度が高いときにPtによって酸化されてNOx吸蔵材に担持されたNOxが該NOx吸蔵材から放出されるときに今度は主としてRhの働きによって還元浄化されることになり、NOxが効率良く浄化されることになる。
【0036】
また、上記PtとRhとの組み合わせにおいては、Ptを比表面積の大きな第1母材に担持させ、少量でよいRhを比表面積は小さくても熱安定性の高い第2母材に担持させるようにすればよい。
【0037】
請求項10に係る発明は、担体上に内側触媒層と外側触媒層とが層状に形成され、且つ排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材を有する排気ガス浄化用触媒であって、
上記内側触媒層が、アルミナとCeO2 との混合物にPtとNOx吸蔵材とが担持されRhが担持されていない触媒成分と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物にRhとNOx吸蔵材とが担持されPtが担持されていない触媒成分とを備え、
上記外側触媒層が、ゼオライトにPtとRhとNOx吸蔵材とが担持されている触媒成分を備えていることを特徴とする。
【0038】
このような触媒においては、外側触媒層のゼオライトに担持されている貴金属が排気ガス中のNOx及びHCを活性化しNO浄化性能を高めることになる。すなわち、排気ガス中のNOはNO2 になってNOx吸蔵材に吸蔵され易くなり、HCは部分酸化やクラッキングによってエネルギー的に反応し易い状態になり、この活性化されたHCによるNOxの還元分解反応が進行し易くなる。もちろん、内側触媒層においてはPtとRhとがアルミナ側とMn等の金属酸化物側とに分離担持されているから、先に述べた作用効果が得られ、触媒が高温に晒された後でも高いNOx浄化性能が維持される。
【0039】
上記請求項5乃至請求項10において、上記NOx吸蔵材としては、Na等のアルカリ金属、Ba、Sr等のアルカリ土類金属及びLa等の希土類金属のうちから選択される少なくとも1種の金属であることが好適である。特にBaがNOxの吸蔵性に優れている。また、上記Mn、Co、Ti及びFeのうちではMn及びCoがNOxの分解浄化により有効である。
【0040】
【発明の効果】
以上に説明したように、この出願の発明によれば、アルミナ及びCeO2 のうちの少なくとも一方である第1母材に第1貴金属が担持され第2貴金属が担持されていない第1触媒粉を形成する工程と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物である第2母材に第2貴金属が担持され第1貴金属が担持されていない第2触媒粉を形成する工程とを備え、この第1触媒粉と第2触媒粉とを混合し、該混合物に上記NOx吸蔵材の溶液を含浸させることによって該NOx吸蔵材を担持させるようにしたから、当該触媒が高温に晒されてもこの両貴金属が合金化することが少なくなり、各貴金属は各々が担持されている母材上でNOx吸蔵材との相互作用によってNOxを分解浄化することができる。
【0041】
また、NOx吸蔵材の一部は第1貴金属が担持されている第1母材と第2貴金属が担持されている第2母材の双方に跨ったような形で担持され、ひいてはNOx吸蔵材が第1貴金属と第2貴金属の双方に跨った形になるから、一つのNOx吸蔵材(粒子)上で第1貴金属及び第2貴金属の各々が該NOx吸蔵材と相互に働きあってNOxの浄化に寄与することになり、このNOx吸蔵材を仲立ちとするNOxの浄化に有利になる。
【0042】
上記第1貴金属を担持させる第1母材と第2貴金属を担持させる第2母材とは種類が異なるから、各母材に適した貴金属を担持させて、その母材の特徴を触媒の耐熱性向上、NOx浄化率の向上に生かすことが容易になる。例えば、必要量が比較的多いPtをアルミナに担持させ、必要量が比較的少ないRhをMn等の金属酸化物に担持させるようにすれば、Pt及びRhの高分散担持を図りながら、該金属酸化物によってNOx吸蔵材の吸蔵性能を向上させることができ、しかも、Mn等の金属酸化物はシンタリングの問題が少ないから、これに担持されているRhの熱安定性が結果的には高まることになり、触媒が高温に晒された後でも、RhがNOxの浄化に有効に寄与し、NOx浄化性能が向上する。
【0043】
【発明の実施の形態】
<触媒の構成>
図1は本発明に係る排気ガス浄化用触媒Cの構造を示し、この触媒Cは、車両用のリーン燃焼エンジンの排気ガスを排出するための排気通路(いずれも図示せず)に配設され、この触媒Cにより、理論空燃比燃焼運転時における排気ガス中のHC、CO、NOx等の大気汚染物質を浄化するとともに、さらにリーン燃焼運転時のNOxを有効に浄化する。すなわち、この触媒CはリーンNOx浄化作用を有するものであり、そのリーン雰囲気での酸素濃度は例えば4〜5%から20%であり、空燃比はA/F=18以上である。
【0044】
上記触媒Cは、例えば耐熱性に優れた担体材料であるコージェライトからなるハニカム状の担体1を備え、その担体1上には、担体1の表面に近い側にある内側触媒層2(下側触媒層)と、その上の担体1の表面から離れた側にある外側触媒層3(上側触媒層)との2層の触媒層が形成されている。
【0045】
上記内側触媒層2は、第1母材(例えばアルミナとCeO2 との混合物)に第1貴金属(例えばPt)とNOx吸蔵材とが担持されてなる触媒成分と、第2母材(例えばMn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物)に第2貴金属(例えばRh)とNOx吸蔵材とが担持されてなる触媒成分との混合物を有する。但し、上記第1母材には第2貴金属は担持されておらず、上記第2母材には第1貴金属は担持されていない。また、NOx吸蔵材の一部は第1母材と第2母材との双方に跨った形で担持され、ひいては第1貴金属と第2貴金属との双方に跨った形で担持されている。一方、外側触媒層3は、第3母材(例えばゼオライト)に貴金属(例えばPt及びRh)とNOx吸蔵材とが担持されてなる触媒成分を有する。
【0046】
上記第1乃至第3の各母材には、上記の各貴金属に併せてIr、Pdなど他の貴金属を担持ことができる。上記NOx吸蔵材としては、主としてBaが用いられるが、他のアルカリ土類金属、あるいはアルカリ金属又は希土類金属を用いてもよく、あるいはそれらのうちから選択される2種以上の金属を併用することができる。上記CeO2 成分としてはセリアを用いることできるが、耐熱性を高める観点からセリウムとジルコニウムとの複合酸化物を用いることもできる。尚、上記触媒層2,3の各々における不純物は1%以下とする。
【0047】
<触媒の製法>
上記触媒Cの基本的な製法は次の通りである。
【0048】
第1母材に第1貴金属を乾固法等によって担持させることによって第1触媒粉を形成する。また、第2母材に第2貴金属を乾固法等によって担持させることによって第2触媒粉を形成する。さらに、第3母材に貴金属を担持させることによって第3触媒粉を形成する。
【0049】
上記第1触媒粉、第2触媒粉、バインダ及び水を混合してスラリーを形成し、このスラリーを担体1にウォッシュコートし乾燥・焼成することによって、内側コート層を形成する。
【0050】
次に上記第3触媒粉、バインダ及び水を混合してスラリーを形成し、このスラリーを、上記内側コート層を有する担体1にウォッシュコートし、乾燥・焼成することによって、この内側コート層の上に外側コート層を形成する。
【0051】
しかる後、NOx吸蔵材の溶液を上記内側層と外側層とに含浸させ、乾燥・焼成することによって、該NOx吸蔵材をこの内外両層に担持させる。
【0052】
<触媒の評価>
以下の実施例及び比較例の各触媒を調製し、触媒性能を比較評価した。
【0053】
−実施例1−
Pt触媒粉(第1触媒粉)の形成
γーアルミナとCeO2 −ZrO2 複合酸化物とを1:1の重量比率で混合し、この混合物とジニトロジアミン白金溶液とを、混合物:Pt(金属量)=150:1の重量比率となるように混合してスプレードライ法による噴霧乾固を行ない、さらに乾燥及び焼成を施すことによってPt触媒粉を形成した。乾燥は100〜200℃の温度で1時間行ない、焼成は500〜600℃の温度で2時間行なった。この乾燥条件及び焼成条件は以下の説明における「乾燥」及び「焼成」も同じである。
【0054】
Rh触媒粉(第2触媒粉)の形成
MnO2 (二酸化マンガン)と硝酸ロジウム溶液とをMnO2 :Rh(金属量)=120:1の重量比率となるように混合し、Pt触媒粉の場合と同様に乾固、乾燥及び焼成を施すことによってRh触媒粉を形成した。
【0055】
Pt−Rh/MFI触媒粉(第3触媒粉)の形成
ジニトロジアミン白金溶液と硝酸ロジウム溶液とをPt:Rh=75:1の重量比率となるように混合し、これをMFI型ゼオライト(SiO2 /Al2 O3 =80)と合わせて、Pt触媒粉の場合と同様に乾固、乾燥及び焼成を施すことによってPt−Rh/MFI触媒粉を形成した。
【0056】
内側コート層の形成
上記Pt触媒粉とRh触媒粉とアルミナバインダとを50:2:5の重量比率となるように混合し、これにイオン交換水を添加することによってスラリーを調製した。このスラリーにハニカム構造の担体(420g/L;このg/Lは担体1L当りの重量を意味する。以下、同じ。)を浸漬して引き上げ、余分なスラリーを吹き飛ばす、という方法によって、乾燥後のコート量が342g/Lとなるように当該スラリーをウォッシュコートした。次いでこれに乾燥及び焼成を施すことによって内側コート層を形成した。
【0057】
外側コート層の形成
Pt−Rh/MFI触媒粉とアルミナバインダとを5:1の重量比率となるように混合し、これにイオン交換水を添加することによってスラリーを調製し、このスラリーを上記内側コート層が形成されている担体に、乾燥後のコート量が24g/Lとなるようにウォッシュコートし、これに乾燥及び焼成を施すことによって外側コート層を形成した。
【0058】
Baの含浸担持
次に酢酸バリウムをBa量で30g/Lとなるように上記担体の内外の両コート層に含浸させ、これに乾燥及び焼成を施すことによって当該実施例1の触媒を得た。
【0059】
従って、この触媒の構成は表1のようになる。この実施例1の触媒の特徴は、内側触媒層においてPtとRhとが異なる母材に分離担持されている点、このRhの母材がMn酸化物である。
【0060】
この触媒の内側触媒層は、母材としてγ−アルミナ150g/L、CeO2 −ZrO2 複合酸化物150g/L及び酸化マンガン12g/Lを有し、バインダは30g/Lであり、貴金属はPtが2g/L、Rhが0.1g/Lである。また、この触媒の外側触媒層は、母材がMFI20g/L、バインダが4g/L、貴金属はPtが0.5g/L、Rhが0.006g/Lである。また、NOx吸蔵材としてBaが内外の触媒層に合わせて30g/L含まれている。
【0061】
【表1】
【0062】
−実施例2−
酸化マンガンに代えて酸化コバルト(Co2 O3 )を用いる他は実施例1と同様にして実施例2の触媒を得た(表1参照)。
【0063】
−参考例−
Pt触媒粉(第1触媒粉)の形成
γーアルミナとCeO2 −ZrO2 複合酸化物とMnO2 とを25:25:2の重量比率となるように混合し、この混合物とジニトロジアミン白金溶液とを、混合物:Pt(金属量)=75:1の重量比率となるように混合して、先と同様の乾固、乾燥及び焼成を施すことによってPt触媒粉を形成した。
【0064】
Rh触媒粉(第2触媒粉)の形成
γーアルミナとCeO2 −ZrO2 複合酸化物とMnO2 とを25:25:2の重量比率となるように混合し、この混合物と硝酸ロジウムとを、混合物:Rh(金属量)=1500:1の重量比率となるように混合して、先と同様の乾固、乾燥及び焼成を施すことによってRh触媒粉を形成した。
【0065】
Pt−Rh/MFI触媒粉(第3触媒粉)の形成
先の実施例と同じ材料及び方法によってPt−Rh/MFI触媒粉を形成した。
【0066】
内側コート層の形成
上記Pt触媒粉とRh触媒粉とアルミナバインダとを5:5:1の重量比率となるように混合し、これにイオン交換水を添加することによってスラリーを調製した。このスラリーを実施例1と同様の担体に乾燥後のコート量が330g/Lとなるようにウォッシュコートし、これに乾燥及び焼成を施すことによって内側コート層を形成した。
【0067】
外側コート層の形成
先の実施例と同じ材料及び方法によって乾燥後のコート量が24g/Lの外側コート層を形成した。
【0068】
Baの含浸担持
酢酸バリウムを先の実施例と同じ方法によってBa量で30g/Lとなるように上記担体の内外の両コート層に含浸担持させた。
【0069】
従って、得られた参考例の触媒が実施例1の触媒と相違する点は、内側触媒層におけるRhの母材がMn酸化物ではなくPtと同じ母材であること、しかもこのPtの母材及びRhの母材の各々がγーアルミナとCeO2 −ZrO2 複合酸化物とMnO2 との混合物であることであり(表1参照)、他は実施例1と同様である。
【0070】
−比較例1−
Pt触媒粉(第1触媒粉)の形成
γーアルミナとCeO2 −ZrO2 複合酸化物とを1:1の重量比率となるように混合し、この混合物とジニトロジアミン白金溶液とを、混合物:Pt(金属量)=75:1の重量比率となるように混合して、先と同様の乾固、乾燥及び焼成を施すことによってPt触媒粉を形成した。
【0071】
Rh触媒粉(第2触媒粉)の形成
γーアルミナとCeO2 −ZrO2 複合酸化物とを1:1の重量比率となるように混合し、この混合物と硝酸ロジウムとを、混合物:Rh(金属量)=1500:1の重量比率となるように混合して、先と同様の乾固、乾燥及び焼成を施すことによってRh触媒粉を形成した。
【0072】
Pt−Rh/MFI触媒粉(第3触媒粉)の形成
先の実施例と同じ材料及び方法によってPt−Rh/MFI触媒粉を形成した。
【0073】
内側コート層の形成
上記Pt触媒粉とRh触媒粉とアルミナバインダとを5:5:1の重量比率となるように混合し、これにイオン交換水を添加することによってスラリーを調製した。このスラリーを実施例1と同様の担体に乾燥後のコート量が330g/Lとなるようにウォッシュコートし、これに乾燥及び焼成を施すことによって内側コート層を形成した。
【0074】
外側コート層の形成
先の実施例と同じ材料及び方法によって乾燥後のコート量が24g/Lの外側コート層を形成した。
【0075】
Baの含浸担持
酢酸バリウムを先の実施例と同じ方法によってBa量で30g/Lとなるように上記担体の内外の両コート層に含浸担持させた。
【0076】
従って、得られた比較例1の触媒が実施例1の触媒と相違する点は、内側触媒層におけるRhの母材がMn酸化物ではなくPtと同じ母材であることであり(表1参照)、他は実施例1と同様である。
【0077】
−比較例2−
内側コート層の形成
γーアルミナ、CeO2 −ZrO2 複合酸化物、及びアルミナバインダを5:5:1の重量比率で混合し、これにイオン交換水を添加してスラリーを調製し、これを実施例1と同様の担体に乾燥後のコート量が330g/Lとなるようにウォッシュコートし、乾燥・焼成を施すことによって内側コート層を形成した。
【0078】
Pt、Rhの内側コート層への含浸担持
ジニトロジアミン白金溶液と硝酸ロジウム溶液とをPt:Rh=20:1の重量比率で混合し、上記内側コート層に2.1g/Lとなるように含浸させ、乾燥・焼成を施した。
【0079】
外側コート層の形成
次に実施例と同じ材料及び方法で乾燥後のコート量が24g/Lの外側コート層を形成した。
【0080】
Baの含浸担持
酢酸バリウムを先の実施例と同じ方法によってBa量が30g/Lとなるように上記内外のコート層に含浸させた後、これに乾燥及び焼成を施した。
【0081】
以上によって得られた比較例2の触媒が実施例触媒と相違する主な点は、内側触媒層ではPtとRhとが分離担持されていないこと、酸化マンガンや酸化コバルトを備えていないことであり(表1参照)、他は実施例1と同様である。
【0082】
−評価方法−
供試触媒に大気中で900℃で24時間の熱エージング処理を施した後に、これを固定床流通式反応評価装置に取り付ける。はじめは空燃比リーンの模擬排気ガスを触媒にNOx浄化率が安定するまで流す。次にガス組成を切り換えて空燃比リッチの模擬排気ガスを流し、しかる後にガス組成を再び空燃比リーンに切り換え、この切り換え時点から130秒間のNOx浄化率を測定し、リーンNOx浄化性能を評価する。触媒温度及び模擬排気ガス温度は350℃、そのガス組成は表2に示す通りであり、また空間速度SVは25000h−1である。
【0083】
【表2】
【0084】
結果は図2に示されている。比較例1と比較例2とは内側触媒層のPtとRhとを母材に分離担持させたか否かで相違し、この両者のNOx浄化率の差は当該分離担持の効果と認められる。すなわち、比較例1におけるPtとRhとは、分離担持されているから、熱エージング処理による合金化することが抑制され、熱エージング処理後においても各々がNOx浄化に有効に寄与しているものと考えられる。
【0085】
参考例と比較例1とは内側触媒層のPtの母材及びRhの母材の各々にMn酸化物を含有するか否かで相違し、この両者のNOx浄化率の差はMn酸化物の添加効果と認められる。すなわち、参考例では、Mn酸化物の存在によってアルミナのシンタリングが抑制されているとともに、排気ガス中のNOがNO2 に酸化されてBaに吸収され易くなり、熱エージング後のNOx浄化率が比較例1よりも高くなっているものと考えられる。
【0086】
参考例と実施例1とは内側触媒層のPt及びRhの各々の母材が同じ種類か否か、特にRhをMn酸化物に担持させたか否かで相違し、この両者のNOx浄化率の差は、RhをMn酸化物に担持させたことによる効果と認められる。すなわち、Mn酸化物はシンタリングし難いことから、実施例1では参考例と違って、Mn酸化物に担持されているRhのほとんどが熱エージング処理によってもMn酸化物中に埋没することなくその表面に担持された状態を保ち、NOx浄化に有効に寄与しているものと考えられる。
【0087】
実施例2はMn酸化物の代わりにCo酸化物を用いた点で実施例1と相違するが、実施例1と同様に高いNOx浄化率を示している。よって、このCo酸化物もMn酸化物と同様の働きを有すると認められる。なお、Co酸化物として
Co3 O4 を用いた場合も実施例2と同じ結果が得られる。
【0088】
<別の実施例>
−実施例3−
実施例1の方法において、そのPt量2g/Lのうちの半量分を第1触媒粉の第1母材に担持し、残り半量分をBa含浸担持工程においてBaと共に含浸によって担持させた。すなわち、酢酸バリウム溶液とジニトロジアミン白金溶液とを混合し、これを内外のコート層に含浸させて乾燥及び焼成を行った。他は実施例1と同じである。
【0089】
−比較例3−
比較例1の方法において、そのPt量2g/Lのうちの半量分を第1触媒粉の第1母材に担持し、残り半量分をBa含浸担持工程においてBaと共に含浸によって担持させた。すなわち、酢酸バリウム溶液とジニトロジアミン白金溶液とを混合し、これを内外のコート層に含浸させて乾燥及び焼成を行った。他は比較例1と同じである。
【0090】
そこで、当該実施例3及び比較例3について先の評価方法によってリーンNOx浄化率を測定するとともに、この実施例3、比較例3、先の実施例1、実施例2及び比較例2について熱エージング処理後のストイキでのNOx浄化率を測定した。結果は表3に示されている。
【0091】
【表3】
【0092】
実施例3は、Ptの担持方法が実施例1と異なり、Ptの半量分をBaと共に含浸によって担持させたものであるが、リーンNOx浄化率は実施例1,2よりも低くなっているものの、ストイキNOx浄化率は実施例1,2よりも高くなっている。これは、実施例3の場合、Ptの分散性が高くなって、熱エージング処理によるシンタリングが抑制されたこと、並びにPtがBaと共にRhに近接して配置され、このPt、Rh及びBaの相互作用がより顕著になったことによると考えられる。
【0093】
また、比較例3は、Ptの担持方法が比較例1と異なり、Ptの半量分をBaと共に含浸によって担持させたものであるが、リーンNOx浄化率及びストイキNOx浄化率は比較例1よりも高くなっている。
【0094】
−実施例4,5−
酸化マンガンに代えて酸化チタン(TiO2 )を用いる他は実施例1と同様にして実施例4の触媒を得た。酸化マンガンに代えて酸化鉄(Fe2 O3 )を用いる他は実施例1と同様にして実施例5の触媒を得た。これらの触媒における酸化チタンの量並びに酸化鉄の量は実施例1の酸化マンガンの量と同じである。
【0095】
この実施例4,5について上記リーンNOx浄化率を同じ評価方法によって測定したところ、その浄化率は実施例4では65.5%、実施例5では58.8%であった。従って、TiO2 やFe2 O3 であっても、Mn酸化物やCo酸化物に比べると程度は低いが同様の効果が得られることがわかる。
【0096】
<母材としての酸化マンガン、酸化コバルト等の有用性>
RhをAl2 O3 に担持させた触媒粉、RhをMnO2 に担持させた触媒粉、及びRhをCo3 O4 に担持させた触媒粉を調製し、フレッシュ時のRhの粒径及び熱エージング処理後のRhの粒径を測定した。その結果は表4に示す通りである。
【0097】
【表4】
【0098】
同表によれば、Al2 O3 に担持されたRhの粒径は小さいが、熱エージング処理によってシンタリングし粗大化しているのに対し、MnO2 及びCo3 O4 に担持されたRhはほとんどシンタリングしていない。これから、MnO2 又はCo3 O4 を母材として用いると、貴金属の分散性が確保され、NOxの浄化に有利になることがわかる。
【0099】
以上から、本発明の有用性は明らかであり、このことは上記実施例のような2層コート触媒に限らず、単層コート触媒や、ペレットタイプの触媒でも同様にいえることである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の触媒構造を示す断面図。
【図2】 実施例触媒と比較例触媒とのNOx浄化率を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 担体
2 内側触媒層
3 外側触媒層
C 排気ガス浄化用触媒
Claims (10)
- 排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材と、該NOxを分解するための触媒作用を有する種類の異なる第1及び第2の両貴金属とを備えた排気ガス浄化用触媒の製造方法であって、
アルミナ及びCeO2 のうちの少なくとも一方である第1母材に第1貴金属が担持され第2貴金属が担持されていない第1触媒粉を形成する工程と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物である第2母材に第2貴金属が担持され第1貴金属が担持されていない第2触媒粉を形成する工程とを備え、
上記第1触媒粉と第2触媒粉とを混合し、
上記混合物に上記NOx吸蔵材の溶液を含浸させることによって該NOx吸蔵材を担持させることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。 - 請求項1に記載されている排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
上記混合物に上記NOx吸蔵材の溶液を含浸させる工程において、該NOx吸蔵材の溶液と上記第1貴金属の溶液とを含浸させることによって、該混合物にNOx吸蔵材を担持させるとともに、第1貴金属を追加的に担持させることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。 - 請求項1又は請求項2に記載されている排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
上記第1貴金属がPtであり、上記第2貴金属がRhであることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載されている排気ガス浄化用触媒の製造方法において、
上記NOx吸蔵材が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属のうちから選択される少なくとも1種の金属であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。 - アルミナとCeO2 との混合物にPtを担持させRhを担持させていない第1触媒粉を形成する工程と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物にRhを担持させPtを担持させていない第2触媒粉を形成する工程と、ゼオライトにPtとRhとを担持させてなる第3触媒粉を形成する工程とを備え、
担体上に上記第1触媒粉と第2触媒粉との混合物からなる内側層を形成し、
上記内側層の上に上記第3触媒粉からなる外側層を形成した後、
アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属のうちから選択される少なくとも1種の金属よりなり排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材の溶液を上記内側層と外側層とに含浸させることによって、該NOx吸蔵材をこの内外両層に担持させることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。 - 担体上に形成された触媒層が、排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材と、該NOxを分解するための触媒作用を有する種類の異なる第1及び第2の両貴金属とを備えている排気ガス浄化用触媒において、
上記触媒層が、第1貴金属及びNOx吸蔵材を担持し第2貴金属を担持していない第1母材と、該第1母材とは種類が異なり第2貴金属及びNOx吸蔵材を担持し第1貴金属を担持していない第2母材との混合物よりなり、第1母材はアルミナ及びCeO2 のうちの少なくとも一方であり、第2母材はMn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。 - 請求項6に記載されている排気ガス浄化用触媒において、
上記NOx吸蔵材の一部は、上記第1貴金属を担持した第1母材と上記第2貴金属を担持した第2母材の双方に跨って担持されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。 - 請求項6に記載されている排気ガス浄化用触媒において、
上記第2母材は上記第1母材よりも比表面積が小さく、該第2母材に対する上記第2貴金属の単位母材量当たりの担持量は、該第1母材に対する上記第1貴金属の単位母材量当たりの担持量よりも少ないことを特徴とする排気ガス浄化用触媒。 - 請求項6乃至請求項8のいずれか一に記載されている排気ガス浄化用触媒において、
上記第1貴金属がPtであり、上記第2貴金属がRhであることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。 - 担体上に内側触媒層と外側触媒層とが層状に形成され、且つ排気ガス中のNOxの吸蔵作用を有するNOx吸蔵材を有する排気ガス浄化用触媒であって、
上記内側触媒層が、アルミナとCeO2 との混合物にPtとNOx吸蔵材とが担持されRhが担持されていない触媒成分と、Mn、Co、Ti及びFeのうちから選択される少なくとも1種の金属の酸化物にRhとNOx吸蔵材とが担持されPtが担持されていない触媒成分とを備え、
上記外側触媒層が、ゼオライトにPtとRhとNOx吸蔵材とが担持されている触媒成分を備えていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
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