JPH08196064A

JPH08196064A - 回転電機用コイルの製造方法

Info

Publication number: JPH08196064A
Application number: JP22730394A
Authority: JP
Inventors: Yasukazu Uchio; 能一内尾
Original assignee: Toyo Electric Manufacturing Ltd
Current assignee: Toyo Electric Manufacturing Ltd
Priority date: 1994-08-29
Filing date: 1994-08-29
Publication date: 1996-07-30

Abstract

(57)【要約】【目的】含浸作業性を良くし、良好な絶縁特性が得られ
ることにある。【構成】テーピングマシンのヘッド部にフイルム基材ド
ライマイカテープ用のボビンと耐熱性の絶縁糸用のボビ
ンを取付け、絶縁電線で形成された回転電機用成形コイ
ルにフイルム基材ドライマイカテープと前記テープの厚
さとほぼ等しい直径の耐熱性の絶縁糸１本を上記マイカ
テープの中央に重ね、同時に所定回数半重ねに巻回す
る。このとき耐熱性の絶縁糸がテープの上になるように
巻回する（これは糸の巻回された状態が目視できるから
で、本質的にはどちらが上になってもよい）。そして、
このコイルを固定子鉄心のスロットに挿入し、結線した
後、真空タンクに入れ、予熱・脱気・脱湿して、エポキ
シ樹脂を真空加圧含浸する。その後取出して、乾燥炉で
加熱し、エポキシ樹脂を熱硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、対地絶縁層がボイドレ
スの高電圧回転電機用コイルの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】高電圧回転機用コイルの絶縁方法につい
て、図３，図４，図５を用いて説明する。高電圧回転機
用コイルの絶縁方式の１つとして、真空加圧含浸絶縁が
用いられている。これは、マイカテープを製造する際、
接着剤の量を極力少なくした図３に示す集成マイカシー
ト３に耐熱性の絶縁フイルム基材２を裏打ちし、テープ
状にカットしたマイカテープ１（以後ドライマイカテー
プという）を図５に示すコイル55のテープ機械巻き部Ｌ
Ｌ部及び手巻き部ＨＬ部に所定回数半重ねに巻回し、該
テーピングされたコイルを固定子のスロットに挿入結線
し、真空タンク（図示せず）内で脱気・脱湿した後、無
溶剤樹脂（図示せず）を注入し、加圧して、ドライマイ
カテープ層に含浸させ、取り出して乾燥炉（図示せず）
で樹脂を加熱硬化させて、対地絶縁を施すようにしたも
のが供されている。すなわち、ＬＬ部が対地絶縁に対す
る部分である。

【０００３】この対地絶縁を形成するドライマイカテー
プには、一般にガラスクロス基材のマイカテープが用い
らていたが、近年は、定格電圧６．６ｋｖ以下の電圧の
回転電機には耐熱性、耐電圧性に優れたフイルム基材の
マイカテープも用いられるようになった。

【０００４】ところで、真空加圧含浸絶縁方法の含浸性
は、裏打ち基材の種類により、含浸性が異なる。クロス
基材であれば、幾分かでもテープの厚さ方向に通気性が
あり、この方向に通気性がないフイルム基材と比較する
と、特に脱気には有利である。これに対して、フイルム
基材ドライマイカテープでは、テープの層方向からしか
脱気・脱湿・含浸が行われないから、含浸の時間が長く
なる。また、定格電圧が高い回転電機については、特に
含浸作業時間が長くなったり、含浸不良になることがあ
る。

【０００５】一般に、定格電圧が高い回転電機の場合
（例えば11ＫＶ以上）は、ガラスクロス基材が多く使用
されているが、ガラスクロス基材ドライマイカテープ
は、テープに伸びないため、テーピング作業性が悪く、
巻きしわが発生しやすく、織布であるため価格が高くな
る。ただし、巻きしわそのものは、脱気性・含浸性には
有利であるが、絶縁性には不利である。

【０００６】主に定格電圧６．６ＫＶ以下に使用されて
いるフイルム基材ドライマイカテープは、テープに伸び
があり、作業性は良好で、価格も比較的安い。しかし、
テープの重なりが蜜でしわができ難く、脱気・脱湿・含
浸の時間が長くなるので、ガラスクロス基材ドライマイ
カテープより不利であるが、何らかの方法で、いったん
十分に含浸されると、絶縁性にすぐれたものになる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、フイル
ム基材ドライマイカテープの伸びる特性を利用して、適
度の張力で巻回すると、巻きしわがなく、テープ間の密
着がよい絶縁層が得られるが、ドライマイカテープ１の
重なりが緊密すぎたり、ドライマイカテープ１のマイカ
層が軟らかく、１回目半重ね巻テープと２回目半重ね巻
テープの重なる部分の端が潰れて、図４に示すような空
隙６が挟くなり、含浸抵抗が大きくなる欠点がある。そ
のため、定格電圧６．６ｋｖ以上の回転機のコイルの製
作は困難であった。

【０００８】上記の欠点を解決するために、本発明は、
含浸作業性を良くし、良好な絶縁性の回転電機用コイル
の製造方法を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、ガラスクロス基材ドライマイカテープの巻きしわに
相当するものを付ける意味で、テーピングマシンのヘッ
ド部にフイルム基材ドライマイカテープ用のボビンと耐
熱性の絶縁糸用のボビンを取付け、絶縁電線で形成され
た回転電機用成形コイルにフイルム基材ドライマイカテ
ープと前記テープの厚さとほぼ等しい直径の耐熱性の絶
縁糸１本を上記マイカテープの中央に重ね、同時に所定
回数半重ねに巻回する。このとき耐熱性の絶縁糸がテー
プの上になるように巻回する（これは糸の巻回された状
態が目視できるからで、本質的にはどちらが上になって
もよい）。そして、このコイルを固定子鉄心のスロット
に挿入し、結線した後、真空タンクに入れ、予熱・脱気
・脱湿して、エポキシ樹脂を真空加圧含浸する。その後
取出して、乾燥炉で加熱し、エポキシ樹脂を熱硬化させ
る。かくして、対地絶縁が良好で、ボイドレスのコイル
ができる。

【００１０】

【作用】上記手段によれば、回転電機用成形コイルのフ
イルム基材ドライマイカテープの幅方向の中央に１本糸
が巻回され、所定回数半重ねに巻回された該ドライマイ
カテープ層間にスペーサが介在された状態となって、該
ドライマイカテープ層間につぶれない適度な隙間が形成
されるので、真空脱気や真空含浸がしやすくなる。そし
て、絶縁糸は樹脂が含浸・加熱されると、絶縁テープと
一体硬化される。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を、高電圧回転機の固定子コイ
ル絶縁に適用した一実施例につき図１及び図２を参照し
ながら説明する。

【００１２】図１は、テーピングマシンのヘッド部にフ
イルム基板ドライマイカテープ用のボビンと耐熱性の絶
縁糸用ボビンを取付け、絶縁電線で形成された成形コイ
ル55にフイルム基材ドライマイカテープ１と該テープと
ほぼ等しい直径の耐熱性の絶縁糸４を１本前記ドライマ
イカテープ１の中央に重ね、同時に半重ねで２回巻回し
たときの主要部の縦断面である。１はフイルム基材ドラ
イマイカテープ４は耐熱性が絶縁糸でガラス又は耐熱ポ
リアミド等の糸である。通常、高電圧回転電機の固定子
コイル絶縁には、部分放電劣化を考慮して、絶縁テープ
にマイカを含有したテープが使用されている。このテー
プの裏打ち基材には、ガラスクロスとフイルムが多く使
用されるが、テーピング作業性、価格の点で有利なフイ
ルム基材を本実施例では使用している。

【００１３】図３に示すように、フイルム基材ドライマ
イカテープ１はポリエステルフイルム又はプリイミドフ
イルムからなる耐熱性の絶縁フイルム基材２と集成マイ
カからなるマイカシート３とを少量の接着剤（図示せ
ず）で貼合わせて構成されている。図２において、４は
耐熱性の絶縁糸で、テーピングをする際上記テープ上で
この絶縁糸の位置を示す。すなわち、テープ１の幅Ｗの
中央の上に１本配置される。

【００１４】また、図１において、４は耐熱性の絶縁糸
で、太さはフイルム基材ドライマイカテープ１の厚さと
ほぼ同じぐらいのものである。５は導体に絶縁を施した
絶縁電線、55は該電線での成形コイルである。６ａはフ
イルム基材ドライマイカテープ１の１回目半重ね巻き
と、２回目半重ね巻きのスタートをテープ幅の１／２ず
らしたとき出来る隙間である。このように少しずつずら
して竹の子状にする理由は、同じ位置から巻回すると、
重なり部が太くなるので、それをなくするためである。
本実施例ではどの部分も４層になっている。また、１ａ
は１回目半重ね巻テープ、１ｂは２回目半重ね巻テー
プ、Ｗはテープの巾である。かつ、隙間６ａはドライマ
イカテープ１の中央に配置された絶縁糸４によりつぶれ
ずに適度の隙間に形成されている。

【００１５】上記のように、図５における成形コイル55
の機械巻部ＬＬ及び手巻部ＨＬにフイルム基材ドライマ
イカテープ１及び耐熱性の絶縁糸４が巻回された固定子
コイルを固定子コア（図示せず）の固定子スロット（図
示せず）に挿入し結線のた後、これらを真空含浸タンク
に入れ、予熱加熱し、脱気・脱湿して、エポキシ樹脂を
真空加圧含浸し、その後、取り出して乾燥炉で加熱して
熱硬化させる。すなわち、対地絶縁を施す。

【００１６】以下本発明の脱気特性を従来のものと比較
しながら、図６及び図７を用い説明する。図６は、外径
30mm, 厚さ３mmのアルミパイプ7 のテーピングする部分
に、20個／列、16列で６mm径の孔（図示せず）をあけた
ものに、ポリイミドフイルム基材ドライマイカテープ１
（0.13mm厚さ）に耐熱性のポリアミド糸４（約0.13mm
径）が、図１のようになるように半重ねでｎ（１〜６）
回巻き、テーピングの両端末をシリコーンゴムペースト
８で密封する。このコイルの空洞に外径22mmのアルミ棒
９を収め、隙間を少なくしたものを真空容器10にセット
し、真空ポンプ11及び真空計12と13を接続する。つい
で、真空ポンプ11を運転し、真空度が計れるようにコッ
ク14，15，16，17を開けると、真空計12の水銀は間もな
く下がりだし、真空容器10内の気圧が同時に下がる。ア
ルミパイプ11内の空気は、絶縁層を通して排気されはじ
め、遅れて真空計13が下がりだす。

【００１７】脱気の経路は、テープの重なり部にスパイ
ラル状に連続してできる隙間、マイカ箔内部にある隙
間、テーピングのしわの３通りがあるが、円筒に巻開す
る場合には、しわはほとんどなく、また、文献による
と、マイカ箔内部にある隙間は脱気抵抗が高いので無視
できる。したがって、テープの重なり部にスパイラル状
に連続してできる隙間を重点に、上記の方法により、本
発明の製造方法による絶縁層と従来の絶縁層の脱気特性
を比較した。そして、通常に真空加圧含浸する際に1333
Ｐａ（10ｍｍＨｇ）以下の真空にするが、その上限をと
って、真空計13の目盛りが1333Ｐａ（10ｍｍＨｇ）にな
るまでの時間を測定した結果が図７である。図７におい
て、実線は本発明によるもの、破線は従来のもので、約
１／２の時間であることがわかった。これは脱気抵抗が
従来のものの約１／２で、樹脂を含浸した場合も同様の
効果が得られ、含浸作業を短くすることができる。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係わる回転電機用コイルの製造方法によれば、絶縁テ
ープ間に出来る隙間をつぶさずに、樹脂の含浸性が改善
でき、かつ、作業時間の短縮、含浸性向上に伴いボイド
の発生が抑制され、電圧劣化寿命を長くすることができ
るという効果を奏する。そして、真空加圧含浸方式の
６．６ｋｖ以上13.8ｋｖの範囲でのフイルム基材ドライ
マイカテープの適用を可能とした。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の製造方法によるコイルの一実施例の主
要部を示す縦断面図である。

【図２】絶縁テープと絶縁糸との重ね状態を示す絶縁テ
ープと絶縁糸との拡大縦断面図である。

【図３】絶縁テープの拡大縦断面図である。

【図４】従来コイルの主要部を示す縦断面図である。

【図５】絶縁テープを巻回する前の成形コイルの斜視図
である。

【図６】脱気持性を計測する場合の測定装置図である。

【図７】脱気持性を示す特性図である。

【符号の説明】

１フイルム基材ドライマイカテープ１ａ１回目半重ね巻テープ１ｂ２回目半重ね巻テープ２耐熱性の絶縁フイルム基材３マイカシート４耐熱性の絶縁糸 55 成形コイル６隙間６ａ隙間Ｗフイルム基材ドライマイカテープＬスロットの長さＬＬテープ機械巻き部ＨＬテープ手巻き部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】耐熱性の絶縁フイルム基材（２）を裏打
ちしたマイカテープ（１）を絶縁電線（５）で形成され
た成形コイル（55）に所定回数を半重ねに巻回する工程
において、成形コイル（55）に上記マイカテープを巻回
する時に耐熱性の絶縁糸（４）を上記マイカテープ
（１）に重ねるように、中央に巻回した後、固定子のス
ロットに挿入し、熱硬化性無溶剤樹脂を真空加圧含浸
し、熱硬化せしめた回転電機用コイルの製造方法。
【請求項２】請求項１記載の耐熱性の絶縁フイルム基
材（２）をポリエステルフイルム又はポリイミドフイル
ムとし、耐熱性の絶縁糸（４）をガラス糸又は耐熱ポリ
アミド糸とし、熱硬化性無溶剤樹脂をエポキシ樹脂とし
た請求項１記載の回転電機用コイルの製造方法。