JPH08195678A - A/d変換器 - Google Patents

A/d変換器

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JPH08195678A
JPH08195678A JP7004136A JP413695A JPH08195678A JP H08195678 A JPH08195678 A JP H08195678A JP 7004136 A JP7004136 A JP 7004136A JP 413695 A JP413695 A JP 413695A JP H08195678 A JPH08195678 A JP H08195678A
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寛 長谷川
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    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03MCODING; DECODING; CODE CONVERSION IN GENERAL
    • H03M1/00Analogue/digital conversion; Digital/analogue conversion
    • H03M1/12Analogue/digital converters
    • H03M1/34Analogue value compared with reference values
    • H03M1/38Analogue value compared with reference values sequentially only, e.g. successive approximation type
    • H03M1/44Sequential comparisons in series-connected stages with change in value of analogue signal
    • H03M1/447Sequential comparisons in series-connected stages with change in value of analogue signal using current mode circuits, i.e. circuits in which the information is represented by current values rather than by voltage values

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高いスループットを有し、かつ、低電源電圧
動作が可能なA/D変換器を提供する。 【構成】 入力アナログ信号をサンプルホールドするサ
ンプルホールド回路31と、このサンプルホールド回路
の出力と所定レベルの参照信号とを比較してその大小関
係に応じた2値の判定出力信号を出力する比較器32
と、サンプルホールド回路31の出力から所定レベルの
参照信号を減算したアナログ信号を出力する減算器33
とによって構成されるセル11を、2N 個の直列に接続
するとともに、前段のセルの確定した信号出力が、次段
のセルによって処理されるように制御し、各セルが出力
する判定出力信号を基に、Nビットのデジタルコードが
算出されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、A/D変換器に係わ
り、特に、パイプライン動作によって、アナログ信号を
デジタル信号に変換するA/D変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のデジタル信号処理技術の急速な進
歩に伴い、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/
D変換器がさまざまな分野で用いられるようになってき
ており、高速に変換を行う必要がある分野では、並列型
(フラッシュ型、全並列型)A/D変換器か、マルチス
テージ型(直並列型)パイプラインA/D変換器が用い
られている。
【0003】まず、並列型A/D変換器の構成、動作の
概要を説明する。Nビットの分解能を持つ並列型A/D
変換器は、入力されたアナログ信号と、供給されている
参照信号との比較を行う2N −1個(オーバフロー出力
を持つ並列型A/D変換器では、2N 個)の比較器と、
各比較器の出力をNビットのコードに変換するエンコー
ダ回路により構成され、各比較器には、参照信号とし
て、それぞれ、1LSB分ずつ値が異なる信号が供給さ
れる。
【0004】たとえば、3ビットのデジタルコード(+
オーバフロー出力)を出力する並列型A/D変換器は、
図15に示したように、8個の比較器(CMP)55
と、各比較器からの8ビットのデータを3ビットのデジ
タルコードに変換するエンコード回路56から構成さ
れ、各比較器には、参照電圧refK(K=0〜7)と
して、たとえば、refK=VFS/(K+1)(V
FSは、フルスケール電圧)が供給される。
【0005】図示してあるように、並列型A/D変換器
では、デジタル信号に変換すべきアナログ信号(inp
ut)は、全ての比較器55にパラレルに入力され、各
比較器55は、同時に、アナログ信号と参照信号との比
較を行い、その大小関係に応じた内容を有する2値の信
号を出力する。すなわち、エンコード回路56には、ア
ナログ入力信号の大きさに応じた位置で、“H”、
“L”が切り替わる、いわゆる温度計コードが入力され
ることになり、エンコード回路56は、その温度計コー
ドを基に、デジタルコードを決定して出力する。
【0006】このように、並列型A/D変換器では、ア
ナログ入力信号のレベルを一度に判定するため、高速に
変換が行えるものとなっている。なお、並列型A/D変
換器の詳細は、たとえば、“IEEE JOURNAL OF SOLID ST
ATE CIRCUTS,VOL.SC-21,NO.6,pp.976-982,DECEMBER 198
6 ”などに記載されている。
【0007】次に、マルチステージ型パイプラインA/
D変換器の概要を説明する。マルチステージ型パイプラ
インA/D変換器では、nビットのA/D変換動作が、
複数個のA/D変換器を用いて上位ビット側から下位ビ
ット側に向けて複数ステップに分けて行われる。
【0008】図16に、3ビットのデジタルコードを3
ステップで変換するマルチステージ型パイプラインA/
D変換器の概略構成を示す。図示したように、マルチス
テージ型パイプラインA/D変換器は、複数のサブAD
C57と遅延回路58によって構成され、各サブADC
57は、サンプルホールド回路59とA/D変換器(A
D)60とD/A変換器(DAC)61と減算器62に
よって構成される。
【0009】マルチステージ型パイプラインA/D変換
器では、図から明らかなように、アナログ信号は、ま
ず、サブADC(1)に入力され、サブADC(1)内
のAD60によって、所定レベルの信号との大小関係が
判断され、最上位ビットD3を“1”にすべきか否かが
決定される。そして、D3を“1”にすべきであるとさ
れた場合には、DAC61によって、デジタル信号“1
00”分のアナログ信号が作成され、減算器62によっ
て、SH59が出力するアナログ信号から、そのアナロ
グ信号が減算されて、サブADC(2)の供給され、D
3を“0”にすべきであるとされた場合には、SH59
が出力するアナログ信号が、そのまま、サブADC
(2)の供給される。
【0010】各サブADC内での処理は、前段のサブA
DCの信号処理が完了した時点で、次段の処理が行われ
るようにパイプライン制御され、異なるタイミングで出
力されることになる各サブADCの出力信号は、遅延回
路58によって、同一タイミングのものとなるように制
御されて、デジタルコードとして出力される。
【0011】このように、マルチステージ型パイプライ
ンA/D変換器では、あるアナログ信号の変換に必要と
される時間は、並列型A/D変換器よりも長くなるもの
の、連続的に変換を行わせた場合に1個のデータを変換
するのに要する時間は、サブADC1段の処理に必要な
時間だけとなるのでスループットは高速である。
【0012】なお、マルチステージ型パイプラインA/
D変換器の詳細は、“IEEE TRANSACTIONS ON CIRCUITS
AND SYSTEMS-II:ANALOG AND DIGITAL SIGNAL PROCESSIN
G, VOL.39,NO.8,pp.516-523 AUGUST 1992 ”や、“IEE
PROCEEDINGS,Vol.137,Pt.G,No.2,pp.163-168,APRIL 199
0 ”や、“IEEE JOURNUL OF SOLID-STATE CIRCUITS,VOL
29,NO.8,pp.967-971,AUGUST 1994 ” などの記載され
ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来の並
列型A/D変換器では、多数の比較器の入力容量が並列
になるので、ビット数が大きくなると、A/D変換器の
入力容量が非常に大きくなる。その結果、信号遅延によ
る入力帯域幅が狭くなり、実質的な変換速度が上げられ
なくなるといった問題がある。また、入力にサンプルホ
ールド回路を用いる場合には、多数の比較器を駆動する
ためにサンプルホールド回路に大きな駆動能力が要求さ
れるという問題が生ずる。
【0014】さらに、入力信号に対してすべての比較器
が同時に判定動作を行うため、比較器を駆動するクロッ
クのずれや、比較器の出力の時間的なばらつきにより、
入力信号とかけ離れたミスコードを発生しやすいといっ
た問題もあった。
【0015】一方、従来のマルチステージ型パイプライ
ンA/D変換器では、異なる入力信号レベルに対して各
段のサブADCの判定量子化レベルを共有(重複)して
用いることもできるため、回路規模を小さくできるとい
った利点は存在するものの、入力信号レベルと判定量子
化レベルが1対1に対応していないため、各段の信号伝
達の直線性が必要となる。このため、素子の特性劣化に
より直線性が確保できなくなる低電源電圧においては、
高速動作させることが困難であるという問題がある。
【0016】また、各段のサブADCは、最小構成で
も、サンプルホールド回路と1ビットA/D変換器と1
ビットD/A変換器と減算器により構成されることにな
るため、1段当たりの処理時間は、サンプリング時間と
1ビットA/D変換器の判定時間と1ビットD/A変換
器のセトリング時間の和に、さらに減算のセトリング時
間(の一部)を加算したものとなる。このため、並列型
A/D変換器に比して、D/A変換器と減算器の処理時
間分だけスループットが劣ることになる。
【0017】そこで、本発明の目的は、高いスループッ
トを有し、かつ、低電源電圧動作が可能なA/D変換器
を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
入力アナログ信号をサンプルホールドするサンプルホー
ルド回路と、このサンプルホールド回路の出力と所定レ
ベルの参照信号とを比較してその大小関係に応じた2値
の判定出力信号を出力する比較器と、サンプルホールド
回路の出力から所定レベルの参照信号を減算したアナロ
グ信号を出力する減算器とを備えた2N −1個のセル
を、減算器が出力するアナログ信号が、他のセル内のサ
ンプルホールド回路に入力されるように直列に接続する
ことによって構成された判定出力信号生成部と、この判
定出力信号生成部を構成する各セルを、前段のセル内の
減算器が減算を終えたアナログ信号に対する処理が次段
のセル内で行われるように、各セル内のサンプルホール
ド回路と比較器と減算器とを同期的に制御する判定出力
信号生成部制御手段と、この判定出力信号生成部制御手
段による制御によって、判定出力信号生成部を構成する
N −1個のセルが、それぞれ、出力する判定出力信号
を基に、初段のセルに入力されたアナログ信号の大きさ
に応じたNビットのデジタル信号を出力するデジタル信
号出力手段とを具備する。
【0019】すなわち、請求項1記載の発明によるA/
D変換器では、各セルにおいて、比較処理と減算処理が
同時に進行するので、1段あたりのセルの処理時間は、
比較時間と減算時間のどちらか一方の長い方の時間で定
まる。したがって、従来のパイプライン動作によりA/
D変換を行うA/D変換器よりも、セル1個あたりの処
理時間が短くなっており、その結果として高速なスルー
プットが得られることになる。
【0020】また、セルを判定量子化レベルの個数分直
列接続しているので、入力信号レベルと比較器の判定量
子化レベルが1対1に対応していることになる。このた
め、このA/D変換器は、セル間の信号伝達の直線性の
劣化の影響を受けにくいものとなっており、低電源電圧
化しても、正確に動作するA/D変換器となる。そし
て、A/D変換器の入力としては、セル1個分の入力容
量しか見えないので、入力容量に起因する入力信号帯域
幅の劣化が小さいことになる。さらに、入力信号をすべ
ての比較器が同時に判定しないので、ミスコードが原理
的に発生しないことになる。
【0021】請求項2記載の発明は、入力アナログ信号
をサンプルホールドするサンプルホールド回路と、この
サンプルホールド回路の出力と所定レベルの参照信号と
を比較してその大小関係に応じた2値の判定出力信号を
出力する比較器と、サンプルホールド回路の出力から所
定レベルの参照信号を減算したアナログ信号を出力する
減算器とを備えた2N −1個のセルを、減算器が出力す
るアナログ信号が、他のセル内のサンプルホールド回路
に入力されるように直列に接続することによって構成さ
れた2M 個の判定出力信号生成部と、デジタル信号に変
換すべきアナログ信号を基に、そのアナログ信号から一
定のレベルの信号の0ないし2M −1倍の信号を減じた
M 個のアナログ信号を作成し、2M 個の判定出力信号
生成部に供給するアナログ信号分配部と、2M 個の判定
出力信号生成部を構成する各セルを、前段のセル内の減
算器が減算を終えたアナログ信号に対する処理が次段の
セル内で行われるように、各セル内のサンプルホールド
回路と比較器と減算器とを同期的に制御する判定出力信
号生成部制御手段と、この判定出力信号生成部制御手段
による制御によって、2M 個の判定出力信号生成部内の
初段のセルが出力する判定出力信号を基に、1つの判定
出力信号生成部を特定し、特定した判定出力信号生成部
内の各セルが出力する判定出力を基に、初段のセルに入
力されたアナログ信号の大きさに応じたN+Mビットの
デジタル信号を出力するデジタル信号出力手段とを具備
する。
【0022】すなわち、請求項2記載の発明では、判定
出力信号生成部を複数個設けるとともに、各判定出力信
号生成部に、デジタル信号に変換すべきアナログ信号を
基に作成された一定レベルの信号ずつ、その大きさが異
なるアナログ信号を供給することによって、アナログ信
号のデジタル信号への変換を行う。これにより、各判定
出力信号生成部に必要とされる入力レンジを、A/D変
換器の入力レンジの1/2M とすることができることに
なり、その結果として、低電圧電源動作に適するA/D
変換器が得られることになる。
【0023】請求項3記載の発明は、入力アナログ信号
をサンプルホールドするサンプルホールド回路と、この
サンプルホールド回路の出力と所定レベルの参照信号と
を比較してその大小関係に応じた2値の判定出力信号を
出力する比較器と、サンプルホールド回路の出力から所
定レベルの参照信号を減算したアナログ信号を出力する
減算器とを備えた2N −1個のセルを、減算器が出力す
るアナログ信号が、他のセル内のサンプルホールド回路
に入力されるように直列に接続することによって構成さ
れた2M 個の判定出力信号生成部と、デジタル信号に変
換すべきアナログ信号を基に、そのアナログ信号から一
定のレベルの信号の0ないし2M −1倍の信号を減じた
M 個のアナログ信号を作成し、2M 個の判定出力信号
生成部に供給するアナログ信号分配部と、2M 個の判定
出力信号生成部を構成する各セルを、前段のセル内の減
算器が減算を終えたアナログ信号に対する処理が次段の
セル内で行われるように、各セル内のサンプルホールド
回路と比較器と減算器とを同期的に制御する判定出力信
号生成部制御手段と、この判定出力信号生成部制御手段
による制御によって、2M 個の判定出力信号生成部内の
初段のセルが出力する判定出力信号を基に、1つの判定
出力信号生成部を特定する特定手段と、この特定手段が
特定した判定出力信号生成部よりも小さなアナログ信号
がアナログ信号分配部によって供給されている判定出力
信号生成部の1つのセルに“0”レベルのアナログ信号
を入力することによって、そのセル以降のセルを等化的
に初期化する初期化手段と、特定手段が特定した判定出
力信号生成部内の各セルが出力する判定出力を基に、初
段のセルに入力されたアナログ信号の大きさに応じたN
+Mビットのデジタル信号を出力するデジタル信号出力
手段とを具備する。
【0024】すなわち、請求項3記載の発明では、請求
項2記載の発明に、動作が不要であるセルを初期化する
初期化手段を付加する。これにより、A/D変換器の電
力消費量を下げることができることになるとともに、後
段のセルにおいて生ずるノイズによる誤動作を防ぐこと
ができることになる。
【0025】また、請求項4記載の発明のように、セル
内の比較器および減算器を電流モードで動作するものと
した場合には、極めて簡単な回路によってA/D変換器
を構成することができることになる。しかも、低電源電
圧化した場合には、使用できる電圧信号振幅は確実に減
少するので、電流モード回路は、信号振幅のダイナミッ
クレンジが広い点で有利となる。
【0026】そして、請求項6または請求項7記載の発
明のように、参照信号または減算信号のレベルを外部か
ら制御できるものとした場合には、低電圧電源化による
素子の特性劣化や特性ばらつきが顕著になった場合に
も、アナログ信号のデジタル信号への正確な変換が可能
になる。
【0027】
【実施例】以下、実施例につき本発明を詳細に説明す
る。
【0028】第1の実施例
【0029】図1に、本発明の第1の実施例によるA/
D変換器の概略構成を示す。第1の実施例のA/D変換
器は、アナログ入力信号を、Nビット(実際には、N=
8)のデジタルコード(+オーバフロー出力)に変換す
るA/D変換器であり、図示してあるように、2N 個の
パイプラインセル(PC)11と遅延・境界検出回路1
2とエンコード回路13によって構成されている。
【0030】最終段を除くパイプラインセル11は、そ
れぞれ、サンプル・ホールド回路(SH)31と比較器
(CMP)32と減算器33とから構成されており、S
H31が出力するアナログ信号(PCに入力されたアナ
ログ信号)は、比較器32と減算器33に供給されてい
る。
【0031】比較器32には、信号源REFからの比較
参照信号refも入力されており、比較器32は、SH
31からの信号が比較参照信号refより大きい場合に
は、判定出力Qとして“H”レベルの信号を出力し、そ
れ以外の場合には、判定出力Qとして“L”レベルの信
号を出力するように構成されている。
【0032】減算器33には、信号源SUBからの減算
信号subが供給されており、減算器33は、SH31
が出力する信号から、減算信号subを減算した信号を
出力し、図示してあるように、減算器33の出力は、次
段のPC11内のHS31に入力されている。
【0033】このように、第1の実施例のA/D変換器
では、各PCは、SHの出力信号と比較参照信号との大
小関係を示す判定出力Qと、SHの出力信号から所定の
レベルの減算信号を減算した信号を出力するように構成
されており、各PCは、図示していないタイミング発生
回路によって、以下に記すように、パイプライン制御さ
れている。
【0034】図2を用いて、第1の実施例のA/D変換
器におけるパイプライン制御の詳細を説明する。この図
は、A/D変換器を構成する各PCが、タイミング発生
回路からの制御信号により、どのように制御されている
かを示したタイミングチャートであり、図中、CLK
(odd)と表記してある信号は、奇数段のPC内に設
けられているSHに、共通して供給されるクロックであ
り、CLK(even)と表記してある信号は、偶数段
のPC内に設けられているSHに、共通して供給される
クロックである。
【0035】図2に示してあるように、第1の実施例の
A/D変換器では、奇数段のPC内のSHがサンプリン
グ(トラッキング)状態にあるときには、偶数段のPC
内のSHはホールド状態にあるように制御されており、
逆に、奇数段のPC内のSHがホールド状態にあるとき
には、偶数段のPC内のSHはサンプリング状態にある
ように制御されている。また、各PC内の比較器は、S
Hの出力が安定した時点(前段の減算器の出力が安定し
た時点)で、SH出力と比較参照信号refとの大小関
係を判定するように構成されており、図に模式的に示し
てあるように、比較器の判定出力Qは、ホールド期間の
後半において、その内容が確定するようになっている。
【0036】すなわち、第1の実施例のA/D変換器に
よってアナログ入力信号の変換が行われる際には、CL
Kの1周期で定まる時間T毎に、各PCは、判定出力Q
を出力していくことになり、遅延・境界検出回路12に
は、判定出力Q(1)ないしQ(2N )が、周期Tで入
力されることになる。
【0037】以下、パイプラインセル数を8個にしたA
/D変換器(図3)を例に、各PCの動作を更に具体的
に説明することにする。なお、以下の説明においては、
比較参照信号refと減算信号subは、“1”に設定
されているものとする。すなわち、このA/D変換器
の、分解能は“1”であり、フルスケールは、“8”で
あるものとする。
【0038】たとえば、入力信号(input)のレベ
ルが、“2.3”であった場合を考える。この場合、P
C(1)内のHS31のホールド期間中に、PC(1)
内の比較器33は、入力信号(レベル=2.3)と比較
参照信号ref(レベル=1)の比較を行うので、
“H”レベルの判定信号Q(1)を出力することにな
り、また、それと同時に、PC(1)内の減算器33
は、レベル1.3(=2.3−1)の信号を、PC
(2)に対して出力することになる。
【0039】既に説明したように、各PCは、パイプラ
イン制御されれいるので、PC(2)内の比較器は、レ
ベル1.3の信号と比較参照信号の比較を行い、また、
PC(3)、PC(4)、…、PC(8)内の各比較器
は、それぞれ、0.3、−0.7、…、−4.7と比較
参照信号との比較を行う。このため、レベル“2.3”
のアナログ入力信号の変換を実行させた場合、1段目か
ら8段目の各PCは、時間Tごとに、“HHLLLLL
L”といった順で、判定出力Qを出力していくことにな
る。
【0040】このように、同一入力信号に対して出力さ
れるQ(1)ないしQ(8)を並べた信号は、従来の並
列型A/D変換器と同じく、“H”と“L”に境界が存
在する、いわゆる温度計コードとなるが、各判定出力Q
の出力タイミングは、並列型A/D変換器のように同時
ではなく、Tずつずれている。このように時系列的に出
力される判定出力を、エンコードが行いやすい形態の情
報に変換するために設けられている回路が、遅延・境界
検出回路12である。
【0041】図4を用いて、第1の実施例のA/D変換
器内に設けられている遅延・境界検出回路の詳細を説明
する。図示してあるように、遅延・境界検出回路12
は、フリップフロップ(FF)35と反転回路36とア
ンド回路37によって構成されている。図中、アンド回
路37より上側に示してある部分が、判定出力Qを、境
界点だけが“H”になる境界点検出信号Fに変換するた
めに設けられている回路である。
【0042】この遅延・境界検出回路12では、反転回
路26およびアンド回路27を図示してあるように組み
合わせることによって、次段のPCの出力するQが
“H”である同一アナログ入力信号に対して、PC
(i)とPC(i+1)(i=1〜7)が出力した判定
出力Q(i)とQ(i+1)が、それぞれ、“H”、
“L”となっているF(i)だけが“H”となるように
している。
【0043】各アンド回路37の出力は、図示してある
ように、異なった数のFFを通過することによって、同
一のタイミングでエンコード回路13に入力され、エン
コード回路13によって3ビットのデジタルコード(+
オーバフロー出力)に変換される。なお、第1の実施例
のA/D変換器では、デジタル論理回路による処理速度
は、パイプラインの遅延に比べ、無視できるものであっ
たため、単に、FF間にデジタル論理回路を挿入するこ
とによって、遅延・境界検出回路を構成したが、デジタ
ル論理回路による処理速度が無視できないものである場
合には、それらにもパイプライン動作を導入すればよ
い。
【0044】このように第1の実施例のA/D変換器で
は、1つのパイプラインセル内で行われる処理が、比較
と、減算だけであり、また、それらの処理は、同時に実
行されるため、パイプライン周期Tは、比較および減算
処理のうち、より多くの時間が必要とされる処理に応じ
て決定すればよいことになり、その結果として、高速な
スループットが得られることになる。
【0045】また、パイプラインセルを判定量子化レベ
ルの個数分直列接続しているので、入力信号レベルと比
較器の判定量子化レベルが1対1に対応していることに
なる。このため、第1の実施例のA/D変換器は、パイ
プラインセル間の信号伝達の直線性の劣化の影響を受け
にくいものとなっており、低電源電圧化しても、正確に
動作するA/D変換器になっている。そして、A/D変
換器の入力としては、パイプラインセル1個分の入力容
量しか見えないので、入力容量に起因する入力信号帯域
幅の劣化が小さいことになる。さらに、入力信号をすべ
ての比較器が同時に判定しないので、ミスコードが原理
的に発生しないことになる。
【0046】なお、第1の実施例のA/D変換器は、電
圧モードで動作するPCによって構成されているが、こ
のA/D変換器を、電流モードで動作するPCによって
構成するともできる。
【0047】図5に、電流モード回路によるPCの一例
を示し、図6に、そのタイムチャートを示す。以下、こ
れらの図を用いて、電流モード回路によるPCの動作の
概要を説明する。
【0048】図5に示したPC内のスイッチS1 が、図
6のように制御された場合、スイッチS1 がオンとなる
サンプリング期間T1 では、入力電圧VINがキャパシタ
CまたはトランジスタM1のゲート容量に充電されるこ
とになる。そして、ホールド期間T2 に、スイッチS1
がオフにされると、トランジスタM1は、そのときの電
流を保持し、その電流をトランジスタM2、M3、M4
からなるカレントミラー回路によって、比較器と減算器
に供給する。
【0049】比較器および減算器では、供給された電流
とrefとの比較、供給された電流とsubとの減算が
同時に行われ、減算後の電流は、トランジスタM5によ
って、電圧に変換され、VOUT として出力され、次段の
PCの入力信号とされる。
【0050】なお、スイッチS2 は、通常はオフである
スイッチであり、このスイッチS2をホールド期間中に
オンにすると、トランジスタM1の出力電流を“0”に
することができ、このPCを一定の状態に初期化できる
とともに、次のPCへの信号を遮断できることになる。
【0051】また、本発明で用いることができる電流モ
ード回路によるパイプラインセルは、図示したものに限
られるものではなく、たとえば、カレントミラー回路
は、より出力抵抗の大きなカスケード型のカレントミラ
ー回路に置換することができ、それにより、更に高精度
化することが可能である。また、ミラー比を変えること
によって、内部の比較または減算の処理電流の大きさを
変えることができ、比較器や減算器の必要精度を緩和す
ることもできる。さらに、比較器は、たとえば、特開昭
4−39837号公報、特開昭5−282238号公報
に記載されている比較器と置換することができる。
【0052】第2の実施例
【0053】図7に、第2の実施例によるA/D変換器
の概略構成図を示す。第2の実施例のA/D変換器は、
入力レンジが0〜V1 /2である第1の実施例の2ビッ
トA/D変換器を並列に接続することによって構成し
た、入力レンジがV0 〜V0 +V1 であるA/D変換器
であり、図示してあるように、このA/D変換器では、
入力アナログ信号は、サンプルホールド回路(SH)1
4を介して、2つの減算器15に入力されており、各減
算器15は、入力信号から、V0 、V0 +V1 /2を減
算した信号を、4つのPC11と遅延・境界検出・エン
コード回路16からなる2ビットA/D変換器に供給し
ている。
【0054】各PC11は、第1の実施例で説明したも
のと同じものであり、遅延・境界検出・エンコード回路
16は、基本的には、既に説明を行った遅延・境界検出
回路12とエンコード回路13とを組み合わせた回路と
なっているのであるが、エンコード方法だけが違えてあ
り、エンコード回路に入力される2ビット分の情報を基
に、上段の遅延・境界検出・エンコード回路16は、最
上位ビットを“1”にした3ビットのデジタルコードを
出力するように、下段の遅延・境界検出・エンコード回
路16は、最上位ビットを“0”にした3ビットのデジ
タルコードを出力するように構成してある。
【0055】そして、セレクタ17は、下段の2ビット
A/D変換器からオーバフロー信号(図示せず)が出力
されていない場合には、下段の2ビットA/D変換器が
出力するデジタルコードを選択し、オーバーフロー信号
が出力されていた場合には、上段の2ビットA/D変換
器が出力するデジタルコードを選択して出力するように
なっている。
【0056】このように、第2の実施例のA/D変換器
は、必要とされる入力レンジのA/D変換を、それより
小さな入力レンジしかもたないA/D変換器によって処
理できるようになっているため、低電源電圧動作に適し
たA/D変換器になっている。
【0057】第3の実施例
【0058】図8および図9に、第3の実施例によるA
/D変換器の概略構成を示す。第3の実施例のA/D変
換器は、第2の実施例のA/D変換器を、既に図5を用
いて説明を行った電流モードで動作するPCによって構
成したものであり、図8に示した回路は、入力電圧VIN
をサンプルホールドして、VINに応じた電流IINに変換
する回路であり、この図に示した回路の出力電流I
INが、図9に示した回路に入力される。
【0059】図9に示した回路に入力されたIINは、サ
ンプルホールド機能を持つカレントミラー回路により2
つに分割分配され、それぞれ、一定の電流Im0、Im1
(Im1>Im0)分レベルシフトされた後に、各2ビット
A/D変換器に供給される。
【0060】このA/D変換器では、PC(5)(上段
の2ビットA/D変換器内の初段のPC)の判定出力Q
(5)により、現在の入力信号が、どちらの2ビットA
/D変換器が受け持つ入力レンジにあるかを判定してお
り、遅延・境界検出回路12内に示してあるパイプライ
ン選択回路は、Q(5)が“H”であるときには、セレ
クタ17に対して、所定の制御信号52を出力して、上
段の2ビットA/D変換器の出力を選択することを指示
し、Q(5)が“L”であるときには、セレクタ17に
対して、下段の2ビットA/D変換器の出力を選択する
ことを指示する。
【0061】また、パイプライン選択回路は、Q(5)
が“H”であるときには、PC(2)のリセット端子R
ESに、KILL信号51を供給し、PC(2)以降の
PCを初期化し、後段のPCで無駄な電力が消費される
のを防ぐようにもなっている。
【0062】なお、第3の実施例のA/D変換器では、
セレクタ17を用いて、2つのA/D変換器が出力する
デジタルコードを択一的に出力させる構成としてある
が、たとえば、上段の2ビットA/D変換器の出力を選
択すべきときには、パイプライン選択回路から、遅延・
境界検出・エンコード回路16に対して、PC(1)に
接続される1個目のフリップフロップをリセットするこ
とを指示する信号53を出させ、実質的にPC(1)の
Q(1)を無効にすることによって、下段の2ビットA
/D変換器が“000”というデジタルコードを出力す
るようにして、セレクタ17の代わりに単純なOR回路
を用いても良い。
【0063】第4の実施例
【0064】図10に、本発明の第4の実施例のA/D
変換器の概略構成図を示す。第4の実施例のA/D変換
器は、電流モードPCを用いた6ビットA/D変換器
を、4個並列に接続して構成された8ビットA/D変換
器である。なお、この図に示してあるサンプルホールド
回路(SH)は、電圧・電流変換器も含むものである。
【0065】このA/D変換器では、サンプルホールド
回路を複数個設けることによって、1個あたりのサンプ
ルホールド回路の負荷を小さくし、サンプルホールド回
路のために、A/D変換器全体としてのスループットが
低下しないようにしている。
【0066】第5の実施例
【0067】図11に、本発明の第5の実施例のA/D
変換器の概略構成を示す。第5の実施例のA/D変換器
は、第4の実施例のA/D変換器を変形したものであ
り、図から明らかなように、第4の実施例のA/D変換
器では、4つ設けられていた遅延・境界検出・エンコー
ド回路が、第5の実施例のA/D変換器では、1つにな
っている。なお、このA/D変換器でも、PCを初期化
するため回路が設けられているのであるが、図では、そ
れらの記載は省略してある。
【0068】図12に、第5の実施例のA/D変換器で
用いられている遅延・境界検出・エンコード回路の構成
を示す。図11に示した構成から明らかなように、第5
の実施例のA/D変換器では、4系統あるPC列のう
ち、いずれか1系統の出力だけが有効であり、どの系統
の出力が有効であるか否かは、たとえば、Q(1)だけ
が“H”であれば、PC(1)ないしPC(64)の出
力が有効であるといったように、各PC列の初段のPC
の判定出力によって識別できる。また、有効なPC列
は、そのまま、8ビットデジタルコードの上位2ビット
に対応している。
【0069】このため、第5の実施例のA/D変換器で
は、図12に示してあるように、Q(65)、Q(12
9)、Q(193)間でデジタル論理演算を行うことに
よって、上位2ビット(D7、D6)を決定し、検出信
号F(i)、F(i+64)、F(i+128)、F
(i+192)といったように、対応する4つの検出信
号の論理和が、同一タイミングでエンコード回路13に
入力されるようにすることによって下位6ビットが決定
されるようにしている。なお、遅延回路38は、上位2
ビットと下位6ビットの同期をとるためのものであり、
エンコード回路13における処理に要する時間分、信号
を遅延させる回路となっている。
【0070】このように、第5の実施例のA/D変換器
は、第4の実施例のそれに比して、PCを除く回路のハ
ードウェア量が1/4となっているが、たとえば、各々
の6ビットA/D変換器の一部に2ビットA/D変換器
を4並列したものを接続するといったように、階層的構
造で本発明のA/D変換器を実現すると、ハードウェア
量を更に減らすこともできる。
【0071】第6の実施例
【0072】図13および図14に、本発明の第6の実
施例によるA/D変換器の概略構成を示す。第6の実施
例のA/D変換器は、第1の実施例のA/D変換器に、
変換特性を補正できる機能を設けたものであり、図14
に示してある各PCは、図13に示してある信号生成回
路から、比較参照信号と減算信号の供給を受けることに
なる。
【0073】まず、図13を用いて、信号生成回路を構
成する各回路の動作を説明する。タイミング発生回路
(TMG)41は、供給されているクロックCLKを基
に、各部へのタイミングクロックを出力する回路であ
り、TMG41が出力するクロックの1つであるAGC
LKは、アドレス生成回路(AG)42に入力されてい
る。AG42は、メモリ(MEM)44へのアドレス
(内部A(j))を出力する回路であり、AGCLKの
入力に応じて、所定範囲のアドレスを巡回的に出力する
ようになっている。
【0074】また、内部A(j)は、選択回路(SEL
S)43にも入力されており、選択回路43は、入力さ
れた情報に応じて、スイッチ回路(SWS)47を制御
して、D/A変換器(DAC)46の出力を、いずれか
のサンプルホールド回路(SHR)48に供給する。書
込読出制御回路(WMEM)45は、SELとWRのレ
ベルに応じて、アドレス生成回路42からの内部A
(j)か、外部からの外部A(j)をメモリ44に供給
して、メモリ44のアドレスA(j)にデータを書き込
むこと、あるいは、メモリ44にアドレスA(j)のデ
ータを出力することを指示する制御回路である。
【0075】以下、第6の実施例のA/D変換器の総合
的な動作を説明する。まず、補正が完了している場合の
動作を説明する。
【0076】CLKの供給により、アドレス生成回路4
2は、メモリ44と選択回路43に所定の範囲の読出ア
ドレスを供給していくことになり、メモリ44は、要求
されたアドレスに応じたデータを順次出力していき、D
AC46は、それらのデータをアナログデータに変換し
ていく。これらの処理と同期して、選択回路43は、供
給された情報に応じたスイッチをオンにしていき、DA
C46が出力するアナログデータを、それぞれ特定のS
HR48に記憶させていく。
【0077】SHR48の出力は、時間の経過とともに
変化していくので、第6の実施例のA/D変換器では、
各SHR48の出力一定値を保つために、一定周期ごと
に再設定(リフレッシュ)が行われるように構成されて
いる。
【0078】次に、補正操作について説明する。
【0079】補正操作を行う際には、アナログ信号とし
て、PC(k)を校正するための基準信号を入力すると
ともに、そのPC(k)の判定出力を出力選択回路(S
ELH)により選択しておく。出力選択回路は、kを指
定するための選択入力信号AH(k1)〜AH(k2)
と、複数の選択出力信号DH(m1)〜DH(m2)を
持つことができるようになっている。出力選択回路の選
択出力信号DH(m1)〜DH(m2)が所望のデジタ
ル値になるまで、そのPC(k)のref(k)、su
b(k)に対応するメモリ44内の補正データを、書込
読出制御回路(WMEM)45に所定の情報を供給する
ことによって、書き換えていく。この操作を全てのPC
に対して行えば、A/D変換器の特性は補正されたこと
になる。なお、補正操作は、通常、前段から後段へと順
に行う。
【0080】なお、第6の実施例のA/D変換器では、
全ての制御信号を1つのメモリとD/A変換器で制御す
るように構成されているが、たとえば、ref信号生成
用とsub信号生成用といったように2系統のメモリお
よびD/A変換器を設けてもよく、個々の制御信号のた
めに個別のメモリおよびD/A変換器を設けてもよい。
【0081】また、A/D変換器を電流モード回路を用
いて構成する場合には、信号生成回路として、特開昭6
−213778号公報に記載されている技術を利用する
ともできる。
【0082】変形例
【0083】本発明のA/D変換器は、以下のような応
用が可能である。
【0084】たとえば、各パイプラインセルの内部信号
処理や入出力において、信号を増幅して処理する手段を
用いることができる。これらの信号増幅を行っても、減
算信号や比較参照信号をそれに合わせて増減することで
対処できる。また、判定量子化レベルの個数を上回る数
のパイプラインセルを組み合わせることによって、冗長
性を持たせ、A/D変換をより確実に行えるA/D変換
器を構成することも可能である。また、各パイプライン
セルはその処理信号レンジ等により最適化でき、すべて
のパイプラインセルを同じにする必要はない。さらに、
本A/D変換器を他の変換構造をもつA/D変換器と組
み合わせて用いることにより、要求性能に最適なA/D
変換器を構成することができる。
【0085】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
るA/D変換器では、各セルにおいて、比較処理と減算
処理が同時に進行するので、1段あたりのセルの処理時
間は、比較時間と減算時間のどちらか一方の長い方の時
間で定まる。したがって、従来のパイプライン動作によ
りA/D変換を行うA/D変換器よりも、セル1個あた
りの処理時間が短くなっており、その結果として高速な
スループットが得られることになる。
【0086】また、セルを判定量子化レベルの個数分直
列接続しているので、入力信号レベルと比較器の判定量
子化レベルが1対1に対応していることになる。このた
め、第1の実施例のA/D変換器は、セル間の信号伝達
の直線性の劣化の影響を受けにくいものとなっており、
低電源電圧化しても、正確に動作するA/D変換器にな
っている。そして、A/D変換器の入力としては、パイ
プラインセル1個分の入力容量しか見えないので、入力
容量に起因する入力信号帯域幅の劣化が小さいことにな
る。さらに、入力信号をすべての比較器が同時に判定し
ないので、ミスコードが原理的に発生しないことにな
る。
【0087】また、請求項2記載の発明によれば、各判
定出力信号生成部に必要とされる入力レンジを、A/D
変換器の入力レンジの1/2M とすることができること
になり、その結果として、低電圧電源動作に適するA/
D変換器が得られることになる。
【0088】また、請求項3記載の発明のように、請求
項2記載の発明に、動作が不要であるセルを初期化する
初期化手段を付加した場合には、A/D変換器の電力消
費量を下げることができることになるとともに、後段の
セルにおいて生ずるノイズによる誤動作を防ぐことがで
きることになる。
【0089】また、請求項4記載の発明のように、セル
内の比較器および減算器を電流モードで動作するものと
した場合には、極めて簡単な回路によってA/D変換器
を構成することができることになる。しかも、低電源電
圧化した場合には、使用できる電圧信号振幅は確実に減
少するので、電流モード回路は、信号振幅のダイナミッ
クレンジが広い点で有利となる。
【0090】そして、請求項6または請求項7記載の発
明のように、参照信号または減算信号のレベルを外部か
ら制御できるものとした場合には、低電圧電源化による
素子の特性劣化や特性ばらつきが顕著になった場合に
も、アナログ信号のデジタル信号への正確な変換が可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるA/D変換器の構
成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施例のA/D変換器の動作手順を示し
たタイミングチャートである。
【図3】第1の実施例による3ビットA/D変換器の構
成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施例のA/D変換器内に設けられてい
る遅延・境界検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明において使用可能な、電流モード回路に
よるパイプラインセルの構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示したパイプラインセルの動作手順を説
明するためのタイムチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例によるA/D変換器の構
成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施例によるA/D変換器の前
半部分の構成を示すブロック図である。
【図9】第3の実施例によるA/D変換器の後半部分の
構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施例によるA/D変換器の
構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第5の実施例によるA/D変換器の
構成を示すブロック図である。
【図12】第5の実施例によるA/D変換器内で用いら
れている遅延・境界検出・エンコード回路の構成を示す
ブロック図である。
【図13】本発明の第6の実施例によるA/D変換器内
に設けられている信号生成回路の構成を示すブロック図
である。
【図14】第6の実施例のA/D変換器の信号生成部を
除く部分の構成を示したブロック図である。
【図15】従来の並列型A/D変換器の構成を示すブロ
ック図である。
【図16】従来のマルチステージ型パイプラインA/D
変換器の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 パイプラインセル(PC) 12、18 遅延・境界検出回路 13、56 エンコード回路 14、31、48、59 サンプルホールド回路 15、32、62 減算器 16 遅延・境界検出・エンコード回路 17 セレクタ 18 境界検出回路 20 信号生成回路 21 出力選択回路(SELH) 33、55 比較器(CMP) 35 フリップフロップ(FF) 36 反転器 37 アンド回路 38、58 遅延回路 41 タイミング発生回路(TMG) 42 アドレス生成回路(AG) 43 選択回路(SELS) 44 メモリ(MEM) 45 書込読出制御回路(WMEM) 46、61 D/A変換器(DAC) 47 スイッチ回路(SWS) 57 サブADC 60 A/D変換器

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力アナログ信号をサンプルホールドす
    るサンプルホールド回路と、このサンプルホールド回路
    の出力と所定レベルの参照信号とを比較してその大小関
    係に応じた2値の判定出力信号を出力する比較器と、前
    記サンプルホールド回路の出力から前記所定レベルの参
    照信号を減算したアナログ信号を出力する減算器とを備
    えた2N −1個のセルを、減算器が出力するアナログ信
    号が、他のセル内のサンプルホールド回路に入力される
    ように直列に接続することによって構成された判定出力
    信号生成部と、 この判定出力信号生成部を構成する各セルを、前段のセ
    ル内の減算器が減算を終えたアナログ信号に対する処理
    が次段のセル内で行われるように、各セル内のサンプル
    ホールド回路と比較器と減算器とを同期的に制御する判
    定出力信号生成部制御手段と、 この判定出力信号生成部制御手段による制御によって、
    前記判定出力信号生成部を構成する前記2N −1個のセ
    ルが、それぞれ、出力する判定出力信号を基に、初段の
    セルに入力されたアナログ信号の大きさに応じたNビッ
    トのデジタル信号を出力するデジタル信号出力手段とを
    具備することを特徴とするA/D変換器。
  2. 【請求項2】 入力アナログ信号をサンプルホールドす
    るサンプルホールド回路と、このサンプルホールド回路
    の出力と所定レベルの参照信号とを比較してその大小関
    係に応じた2値の判定出力信号を出力する比較器と、前
    記サンプルホールド回路の出力から前記所定レベルの参
    照信号を減算したアナログ信号を出力する減算器とを備
    えた2N −1個のセルを、減算器が出力するアナログ信
    号が、他のセル内のサンプルホールド回路に入力される
    ように直列に接続することによって構成された2M 個の
    判定出力信号生成部と、 デジタル信号に変換すべきアナログ信号を基に、そのア
    ナログ信号から一定のレベルの信号の0ないし2M −1
    倍の信号を減じた2M 個のアナログ信号を作成し、前記
    M 個の判定出力信号生成部に供給するアナログ信号分
    配部と、 前記2M 個の判定出力信号生成部を構成する各セルを、
    前段のセル内の減算器が減算を終えたアナログ信号に対
    する処理が次段のセル内で行われるように、各セル内の
    サンプルホールド回路と比較器と減算器とを同期的に制
    御する判定出力信号生成部制御手段と、 この判定出力信号生成部制御手段による制御によって、
    前記2M 個の判定出力信号生成部内の初段のセルが出力
    する判定出力信号を基に、1つの判定出力信号生成部を
    特定し、特定した判定出力信号生成部内の各セルが出力
    する判定出力を基に、初段のセルに入力されたアナログ
    信号の大きさに応じたN+Mビットのデジタル信号を出
    力するデジタル信号出力手段とを具備することを特徴と
    するA/D変換器。
  3. 【請求項3】 入力アナログ信号をサンプルホールドす
    るサンプルホールド回路と、このサンプルホールド回路
    の出力と所定レベルの参照信号とを比較してその大小関
    係に応じた2値の判定出力信号を出力する比較器と、前
    記サンプルホールド回路の出力から前記所定レベルの参
    照信号を減算したアナログ信号を出力する減算器とを備
    えた2N −1個のセルを、減算器が出力するアナログ信
    号が、他のセル内のサンプルホールド回路に入力される
    ように直列に接続することによって構成された2M 個の
    判定出力信号生成部と、 デジタル信号に変換すべきアナログ信号を基に、そのア
    ナログ信号から一定のレベルの信号の0ないし2M −1
    倍の信号を減じた2M 個のアナログ信号を作成し、前記
    M 個の判定出力信号生成部に供給するアナログ信号分
    配部と、 前記2M 個の判定出力信号生成部を構成する各セルを、
    前段のセル内の減算器が減算を終えたアナログ信号に対
    する処理が次段のセル内で行われるように、各セル内の
    サンプルホールド回路と比較器と減算器とを同期的に制
    御する判定出力信号生成部制御手段と、 この判定出力信号生成部制御手段による制御によって、
    前記2M 個の判定出力信号生成部内の初段のセルが出力
    する判定出力信号を基に、1つの判定出力信号生成部を
    特定する特定手段と、 この特定手段が特定した判定出力信号生成部よりも小さ
    なアナログ信号が前記アナログ信号分配部によって供給
    されている判定出力信号生成部の1つのセルに“0”レ
    ベルのアナログ信号を入力することによって、そのセル
    以降のセルを等化的に初期化する初期化手段と、 前記特定手段が特定した判定出力信号生成部内の各セル
    が出力する判定出力を基に、初段のセルに入力されたア
    ナログ信号の大きさに応じたN+Mビットのデジタル信
    号を出力するデジタル信号出力手段とを具備することを
    特徴とするA/D変換器。
  4. 【請求項4】 前記セル内の比較器および減算器が電流
    モードで動作するものであることを特徴とする請求項1
    ないし請求項3のA/D変換器。
  5. 【請求項5】 前記デジタル信号出力手段が、判定出力
    信号生成部が出力する判定出力を基に、判定出力の値が
    変化するセルの位置を求め、求めたセル位置に応じたデ
    ジタル信号を出力するものであることを特徴とする請求
    項1ないし請求項4記載のA/D変換器。
  6. 【請求項6】 前記セル内で用いられる参照信号または
    減算信号のレベルを外部から制御できることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項6記載のA/D変換器。
  7. 【請求項7】 内部に設けられている各セルの判定出力
    を選択して出力することができることを特徴とする請求
    項6記載のA/D変換器。
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