JPH08194335A

JPH08194335A - 静電荷像現像用トナー

Info

Publication number: JPH08194335A
Application number: JP7019958A
Authority: JP
Inventors: Yuka Ishihara; 由架石原; Masanori Ichimura; 正則市村; Michio Take; 道男武; Masao Mochizuki; 雅夫望月
Original assignee: Fuji Xerox Co Ltd
Current assignee: Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date: 1995-01-13
Filing date: 1995-01-13
Publication date: 1996-07-30
Anticipated expiration: 2017-12-24
Also published as: JP3360462B2

Abstract

(57)【要約】【目的】低温定着性、耐オフセット性に優れ、画像欠陥
およびカブリのない定着強度の高い高画質画像を得るこ
とのできる電子写真用トナーを提供する。【構成】トナーが平均粒子径５〜10μｍのトナー粒子
と、平均粒子径20〜80ｎｍの球状の添加剤微粒子Ａおよ
び平均粒子径５〜20ｎｍの添加剤微粒子Ｂとからなり、
トナー粒子と添加剤微粒子Ｂが下記の関係を満足し、か
つ結着樹脂として150 ℃において角周波数10 rad／sec
で測定した貯蔵弾性率Ｇ′が10〜500 であり、酸価５〜
15のポリエステル樹脂を用いた静電荷像現像用トナー。Ｓａ：０〜１０、Ｓｂ：３０〜６０、Ｓｃ：４０〜７
０、Ｓｂ≦Ｓｃ［Ｓａ：超音波振動を30分間加えた時の付着添加剤微粒
子Ｂの重量割合（％）、Ｓｂ：超音波振動を１分間加え
た時の付着添加剤微粒子Ｂの重量割合からＳａを差し引
いた値（％）、Ｓｃ：全添加量からＳａとＳｂを差し引
いた値（％）］

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法、静電印刷法等において静電荷像を現像するための静
電荷像現像用トナーに関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真法等、静電潛像を経て画像情報
を可視化する方法は、現在さまざまな分野で利用されて
いる。従来、電子写真法としては、米国特許第２２９７
６９１号、同第２３５７８０９号明細書等に記載されて
いるごとく、多数の方法が公知であるが、一般には、帯
電、露光工程により感光体上に形成された静電潛像をト
ナーを含む現像剤を用いて現像し、次いで感光体上のト
ナーを紙、シート等の転写材に転写した後、熱、溶剤、
圧力等を利用して定着し、永久画像を得るものである。
このため、トナーはこれらの各工程における要求特性を
満たしている必要がある。一般に、トナーは複写操作を
繰り返す間、現像機内で帯電付与部材や他の部材との接
触によりストレスもしくは衝撃力を受けているため、構
造的、特性的に劣化を起こし画質に影響を及ぼす場合が
ある。したがって、長期に亘って信頼性の高い画質を確
保するためには、機械的な衝撃力に耐え得る強靭なバイ
ンダー設計をする必要があるのと同時に、複写機内での
プロセス適合性を持たせるために、流動性、耐ケーキン
グ性、定着性、帯電性、クリーニング性等に優れている
ことが必要である。特に、近年の高画質化への要求に伴
い、トナーはその粒径を小径化させる傾向にあるが、良
好な流動性および耐ケーキング性等を付与するための添
加剤の必要性が益々高まるため、トナーはそれら添加剤
に対する耐久性を備えていなければならない。

【０００３】一般に流動性および耐ケーキング性等を付
与するための添加剤としては、シリカ、チタニア等の無
機酸化物、樹脂等の微粒子がしばしば用いられている
が、これら微粒子をトナー粒子表面に付着させた際の状
態も、プロセス適合性を大きく左右する要因となる。例
えば、トナー粒子との付着力の弱いか、あるいは未付着
の微粒子は、感光体上へ移行して付着しやすく、黒点状
の画像欠陥を生じる原因となるので、これら微粒子の存
在を減らす提案が種々なされている（特開昭６３−８５
７５６号公報、特開昭６３−１３９３６６号公報、特開
平３−２９３６７６号公報）。トナー粒子と添加剤微粒
子との付着力が弱いと、現像機内でストレスを受けた
時、初期との付着状態の変化が大きく、濃度補正等のた
めに現像機内にトナーが追加された際、追加トナーと帯
電レベルが異なり、カブリ、濃度低下が発生する。一
方、トナー粒子との付着力を強くし過ぎると、添加剤微
粒子がトナーに埋め込まれて、添加量に対して有効に機
能すべき微粒子の割合が減少する。そのため所望のトナ
ー特性を得るためにさらに添加量を増やさねばならなく
なるが、トナー粒子の表面積に限界があるため、トナー
粒子の被覆率が１００％を越えると付着力の弱い微粒子
が増加し、感光体に移行して付着する割合が増加し、画
像欠損が発生する恐れがある。このような不具合は、添
加剤微粒子の付着状態に経時変化が起こることが主な原
因と考えられ、とりわけ、トナーの結着樹脂に対する無
機物等の添加剤微粒子の埋め込まれ状態に大きく左右さ
れる。

【０００４】そこで、上述の問題点を改善するために、
無機物等の添加剤微粒子が埋め込まれず、かつ前述のよ
うに機械的な衝撃力に耐え得る強靭なバインダー設計を
行う必要がある。そのため多くの場合、結着樹脂の分子
量を大きくすることが考えられるが、分子量の大きい樹
脂は軟化温度が高くなり、定着工程で問題が生じること
となる。すなわち、オーブン定着やラジアント定着等の
非接触型の定着方法では、熱効率が悪く十分な定着性が
期待できない。また、熱効率が比較的よい熱ローラー方
式においても、トナーを十分に定着させるためには、熱
ローラーの温度を高くする必要があり、最近の複写機の
高速化、小型化に際して、トナーに強く望まれる低温定
着性と大きく矛盾することになる。

【０００５】一方、最近では、フルカラー複写機が注目
を浴びており、定着性の面からフルカラー独自の要求特
性を満たす必要性も生じてきた。フルカラー複写の画像
形成方法は、減法彩色法等の三色合成方法を基礎とし
て、具体的には、まず露光により感光体上に少なくとも
３種類の静電潛像を形成した後、トナーを一色づつ複数
回現像、転写を繰り返し、紙等の同一支持体上に少なく
とも異なる３種のトナー層を形成させる。次いでこのよ
うに重ね合わせられた像を熱ローラー等を用いて一回で
定着させるものである。この場合、現像、転写工程が一
回である白黒現像に比べ、カラー現像では数種のトナー
層が重ねられている分だけ定着像の厚さが厚くなり、定
着像のフィルム強度が小さい場合、画像に亀裂が生じ、
光沢が損なわれたり、折り曲げた際、画像欠損を生じる
恐れがある。したがって、定着されるカラートナーは、
適度な光沢と優れたフィルム強度が必要である。とりわ
け、フィルム強度の観点では分子凝集力の大きいポリエ
ステル樹脂が優れていることは公知であるが、さらに強
度を大きくする手段として、分子量を増大させることが
考えられる。しかしながら、このような手段ではトナー
の軟化点が上昇するため、熱ローラー定着方式を採用す
る場合、熱エネルギーはより多く画像に奪われる結果と
なり、低温定着性が損なわれる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような実状を鑑み、その改善を図るべく
なされたものである。すなわち本発明の目的は、（１）
定着されたトナー像が折り曲げ等の外的応力によって画
像欠損を生じない定着強度を有し、かつ低温定着性、耐
オフセット性に優れており、（２）添加剤微粒子の感光
体汚染に起因する画像欠陥、および添加剤微粒子の埋め
込みに起因するカブリのない高画質画像を得ることので
きる電子写真用トナーを提供することにある。本発明の
他の目的は、高寿命の電子写真用トナーを提供すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来の技
術における上述のような欠点を改善すべく、トナー粒子
に対する添加剤微粒子の付着力と画像向上等のトナー特
性との関係、および定着性について鋭意検討した結果、
特定の添加剤とその付着力が所定の関係にある場合に、
上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに
至った。

【０００８】すなわち、本発明の静電荷像現像用カラー
トナーは、少なくとも着色剤と結着樹脂とを含有するト
ナー粒子と添加剤微粒子とからなるものであって、該ト
ナーが平均粒子径５〜１０μｍのトナー粒子と、平均粒
子径２０〜８０ｎｍの球状の添加剤微粒子Ａおよび平均
粒子径５〜２０ｎｍの添加剤微粒子Ｂとからなり、トナ
ー粒子と添加剤微粒子Ｂが下記の関係を満足し、かつ該
結着樹脂として、１５０℃において角周波数１０ｒａｄ
／ｓｅｃで測定した貯蔵弾性率Ｇ′が１０〜５００であ
り、酸価が５〜１５であるポリエステル樹脂を用いたこ
とを特徴とする。Ｓａ：０〜１０Ｓｂ：３０〜６０Ｓｃ：４０〜７０Ｓｂ≦Ｓｃ［ここで、Ｓａはトナーの分散液中で超音波振動（出力
６０Ｗ、周波数２０ｋＨｚ）を３０分間加えた時、トナ
ー粒子から脱離せずに付着している添加剤微粒子Ｂの全
添加量に対する重量割合（％）を表し、Ｓｂはトナーの
分散液中で超音波振動（出力２０Ｗ、周波数２０ｋＨ
ｚ）を１分間加えた時、トナー粒子から脱離せずに付着
している添加剤微粒子Ｂの全添加量に対する重量割合か
らＳａを差し引いた値（％）を表し、Ｓｃは添加剤微粒
子Ｂの全添加量からＳａとＳｂを差し引いた値（％）を
表す。］

【０００９】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられるポリエステル樹脂は、多価アルコール成分と
多価カルボン酸成分とから合成される。多価アルコール
成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、１，４−ブタンジオール、２，３−ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
１，５−ペンタンジオール、１，６−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチレングリコール、１，４−シクロヘキサ
ンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノ
ールＡ、水素添加ビスフェノールＡ等を用いることがで
きる。これらのうち、特に次式で表されるビスフェノー
ルＡ、その誘導体、そのアルキレンオキサイド付加物、
水素添加ビスフェノールＡ等が好ましく用いることがで
きる。その具体例としてはポリオキシプロピレン（６）
−２，２−ビス（４−ヒドロキシフェニル）プロパン、
ポリオキシエチレン（２．２）−２，２−ビス（４−ヒ
ドロキシフェニル）プロパン、ポリオキシプロピレン
（２．０）−ポリオキシエチレン（２．０）−２，２−
ビス（４−ヒドロキシフェニル）プロパン等が挙げられ
る。

【００１０】

【化１】（式中、Ｒ₁およびＲ₂は、それぞれエチレン基または
プロピレン基を表し、ｘおよびｙはそれぞれ整数であっ
て、両者の和は２〜７である。）

【００１１】また、三価以上のアルコール成分として
は、グリセリン、ソルビトール、１，４−ソルビタン、
トリメチロールプロパンなどを用いることができる。

【００１２】多価カルボン酸成分としては、例えば、マ
レイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタ
ル酸、ドデセニルコハク酸、ｎ−オクチルコハク酸、ｎ
−ドデセニルコハク酸、１，２，４−ベンゼントリカル
ボン酸、１，２，４−シクロヘキサントリカルボン酸、
１，２，４−ナフタレントリカルボン酸、１，２，５−
ヘキサントリカルボン酸、１，３−ジカルボキシ−２−
メチル−２−メチレンカルボキシプロパン、テトラ（メ
チレンカルボキシ）メタン、１，２，７，８−オクタン
テトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸お
よびこれらの酸の低級アルキルエステルを用いることが
できる。これらの３価以上のモノマー成分は０ないし２
０モル％の範囲の量で用いられる。

【００１３】本発明においては、上記ポリエステル樹脂
は、１５０℃において角周波数１０ｒａｄ／ｓｅｃで測
定した貯蔵弾性率Ｇ′が１０〜５００であることが必要
である。貯蔵弾性率が上記範囲にある結着樹脂を用いる
ことによって、画質に悪影響を及ぼすことなく低温定着
性、耐ホットオフセット性、定着面の光沢性、粉砕性の
全てにおいて、優れたものとすることができる。貯蔵弾
性率が、上記の範囲より大きい場合には、低温定着性お
よびカラー画像としての定着表面の光沢性、さらには粉
砕性が低下する。一方、貯蔵弾性率が上記範囲よりも小
さい場合には、耐オフセット性に劣り、微小オイル供給
下での熱ローラーからのトナー剥離性が悪化するばかり
でなく、添加剤微粒子がトナー表面に埋め込まれやすく
なり、現像性に悪影響を与えることになる。

【００１４】なお、貯蔵弾性率とは、ある温度において
角周波数ωとの関数で測定した際、その物質の粘弾性関
数の弾性項として表され、その温度における樹脂の弾性
の度合い意味するものである。この値は、回転型レオメ
ーター「ダイナミックアナライザーＲＤＡII（商品名：
レオメトリクス社製）によって測定することができる。

【００１５】また、本発明に用いるポリエステル樹脂の
酸価は、５〜１５の範囲であることが必要である。酸価
が５より小さい場合には、キャリアとの摩擦帯電性が十
分でないため、繰り返し複写では、トナーが感光体に移
行するなどによる画像のカブリや画質欠陥を招く。一
方、酸価が１５より大きい場合、ポリエステル樹脂の構
造上親水基が多くなる結果となり、高温高湿下と低温低
湿下とではトナーの摩擦帯電性が異なり、画質が複写機
の使用される環境に大きく依存する結果となり好ましく
ない。したがって、ポリエステル樹脂の酸価を上記の範
囲にすることによって、環境に依存することなく、トナ
ーのカブリや画質欠陥のない鮮明な画質を提供すること
ができる。

【００１６】本発明において、前記ポリエステル樹脂と
共にトナーに含有させる着色剤としては、周知のものが
あげられる。例えば、カーボンブラック、アニリンブル
ー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリ
ンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、
メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラ
カイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズ
ベンガル、Ｃ．Ｉ．ピグメント・レッド４８：１、Ｃ．
Ｉ．ピグメント・レッド１２２、Ｃ．Ｉ．ピグメント・
レッド５７：１、Ｃ．Ｉ．ピグメント・イエロー９７、
Ｃ．Ｉ．ピグメント・イエロー１２、Ｃ．Ｉ．ピグメン
ト・イエロー１７、Ｃ．Ｉ．ピグメント・ブルー１５：
１、Ｃ．Ｉ．ピグメント・ブルー１５：３を代表的なも
のとして例示することができる。本発明において、着色
剤の含有量は、２重量％から８重量％の範囲が好まし
い。着色剤の含有量が２重量％より少なくなると、着色
力が弱くなり、８重量％より多くなるとカラートナーの
透明性が悪化する。

【００１７】本発明における上記成分よりなるトナーは
平均粒子径５〜１０μｍの範囲にあることが必要であ
る。平均粒子径が５μｍより小さい場合には、トナーの
粉体流動性が悪化してしまう。また、１０μｍよりも大
きい場合には、画像の粒状性が悪化し、画質が劣るもの
になる。

【００１８】本発明において、トナー粒子に外添される
添加剤微粒子は、球状大粒径微粒子と小粒径微粒子との
二種類よりなり、無機化合物および有機化合物微粒子が
使用される。無機化合物微粒子としては、ＳｉＯ₂、Ｔ
ｉＯ₂、Ａｌ₂Ｏ₃、ＣｕＯ、ＺｎＯ、ＳｎＯ₂、Ｆｅ
₂Ｏ₃、ＭｇＯ、ＢａＯ、ＣａＯ、Ｋ₂Ｏ、Ｎａ₂Ｏ、
ＺｒＯ₂、ＣａＯ、ＳｉＯ₂、Ｋ₂Ｏ・（Ｔｉ
Ｏ₂）_ｎ、Ａｌ₂Ｏ₃・２ＳｉＯ₂、ＣａＣＯ₃、Ｍｇ
ＣＯ₃、ＢａＳＯ₄、ＭｇＳＯ₄等を例示することがで
きる。また、有機化合物微粒子としては、脂肪酸または
その誘導体、これ等の金属塩等の樹脂微粉末、フッ素系
樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂微粉末
を例示することができる。

【００１９】これ等の添加剤微粒子のうち、球状大径の
添加剤微粒子Ａに適用する粒子は、平均一次粒子径が２
０ｎｍ〜８０ｎｍの範囲にあることが必要であり、小径
の添加剤微粒子Ｂに適用する粒子は、平均一次粒子径が
５ｎｍ〜２０ｎｍの範囲にあることが必要である。上記
粒子径の異なる２種類の添加剤微粒子を併用することに
より、トナーにさらに優れた流動性、耐ケーキング性お
よび転写性、クリーニング性を付与することができる。
また、添加剤微粒子Ａは、その形状が球状であることが
必要である。添加剤微粒子Ａの形状が球状でない場合に
は、転写性、クリーニング性が低下し、画像抜けや黒筋
などの発生を生じやすい。

【００２０】さらにまた、添加剤微粒子Ａおよび添加剤
微粒子Ｂが無機化合物よりなる場合、微粒子表面があら
かじめ疎水化処理されていることが望ましい。この疎水
化処理により、トナーの環境依存性に対して十分な効果
を与えることができる。無機化合物微粒子の疎水化処理
に使用することができる疎水化剤としては、例えば、メ
チルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジ
メチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジ
メチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン
等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザ
ン、シリコーンオイル等があげられる。

【００２１】トナーに対する添加剤微粒子Ａの添加割合
は、０．１〜５．０重量％、好ましくは０．２〜３．０
重量％、より好ましくは０．４〜１．０重量％、添加剤
微粒子Ｂの添加割合は、０．１〜５．０重量％、好まし
くは０．２〜３．０重量％、より好ましくは０．６〜
１．５重量％である。また、添加剤微粒子Ａと添加剤微
粒子Ｂとの配合比は、１：５〜５：１、好ましくは２：
３〜３：７である。

【００２２】これ等の添加剤微粒子をトナー粒子表面に
保持させるには、例えば高速混合機によって行うことが
できる。具体的には、ヘンシェルミキサー（三井三池社
製）、メカノフュージョンシステム（ホソカワミクロン
社製）、メカノミル（岡田精工社製）等が挙げられる。
しかし、トナー粒子表面に添加剤微粒子を保持させる装
置はこれらに限定されるものではない。一例としてヘン
シェルミキサーを使用する場合は、撹拌羽根の形状、周
速、混合時間等を適宜調整することにより、添加剤微粒
子を良好に付着させることができる。トナー粒子と添加
剤微粒子Ａおよび添加剤微粒子Ｂを添加、混合する場
合、トナー粒子と添加剤微粒子Ｂが下記の関係を満足す
るように調整することが必要である。Ｓａ：０〜１０％Ｓｂ：３０〜６０％Ｓｃ：４０〜７０％Ｓｂ≦Ｓｃ

【００２３】Ｓａ、すなわちトナーの分散液中で超音波
振動（出力６０Ｗ、周波数２０ｋＨｚ）を３０分間加え
たときトナー粒子から脱離せずに付着している添加剤微
粒子Ｂの全添加量に対する重量割合が１０％より多くな
ると、ストレスを受ける前からトナーに埋め込まれてい
る添加剤微粒子が多いことを示しており、現像機内での
ストレスによりカブリの多い画像が発生しやすくなる。
また、Ｓｂ、すなわちトナーの分散液中で超音波振動
（出力２０Ｗ、周波数２０ｋＨｚ）を１分間加えた時、
トナー粒子から脱離せずに付着している添加剤微粒子Ｂ
の全添加量に対する重量割合からＳａを差し引いた値が
３０％より少なくなると、遊離添加剤微粒子もしくは遊
離しやすい添加剤微粒子が増し、感光体への付着が生じ
る。また、６０％より多くなると現像機内でのストレス
により、カブリの多い画像が発生しやすくなる。また、
Ｓｃ、すなわち全添加量からＳａとＳｂを差し引いた値
が、４０％よりも低い場合には、トナーとしての粉体流
動性が低下してしまい、７０％よりも高い場合には、現
像機中のストレスによりトナー粒子表面に埋め込まれや
すく、カブリや濃度低下が発生しやすい。さらに、Ｓｂ
＞Ｓｃの場合には、ストレスによってトナー粒子に埋め
込まれやすい添加剤微粒子の比重が高いため、カブリが
発生しやすくなる。なお、ＳａおよびＳｂの測定は、ト
ナー濃度５０重量％の水分散液を蛍光Ｘ線装置によって
行うことができる。

【００２４】また、本発明においては、トナー粒子と添
加剤微粒子Ｂが下記の関係を満足することが好ましい。１０≦Ｆｂ≦５０［ここで、Ｆｂは、Ｆｂ＝（３^1/2×Ｄｔ×σｔ）／
（２π×ｄｂ×σｂ）で求められる外添剤Ｂのトナーに
対する被覆率を表す。（なお、Ｄｔはトナー粒子の平均
粒子径、σｔはトナー粒子の比重、ｄｂは外添剤Ｂの平
均粒子径、σｂは外添剤Ｂの比重を表す。）］Ｆｂの値
は、外添剤ｂのトナーに対する被覆率を意味するもので
あり、この値が１０より低いと、繰り返し安定性が低下
し、カブリや濃度低下を生じやすくなり、また５０より
も高いと画像濃度再現性が低下する。

【００２５】

【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。＜ポリエステルの製造＞表１に示す原料組成の多価アル
コール成分と、多価カルボン酸成分をステンレススチー
ル製撹拌機、ガラス製窒素ガス導入管および流下式コン
デンサーを備えた４つ口丸底フラスコ中に投入し、この
フラスコをマントルヒーターにセットした。次いで、ガ
ス導入管より窒素ガスを導入し、フラスコ内を不活性ガ
ス雰囲気に保ちながら昇温した。その後、０．０５ｇの
ジブチル錫オキシドを加えて反応物の温度を２００℃に
保ちながら所定時間反応させることにより、ポリエステ
ル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性値を表
２に示す。

【００２６】

【表１】

【００２７】

【表２】

【００２８】＜実施例１〜９および比較例１〜８＞上記
のポリエステル樹脂に、着色剤として、ピグメント・ブ
ルー１５：３を結着樹脂１００重量部に対して１６重量
部添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、バンバリ
ーミキサーにて溶融混練し、冷却後ジェット式微粉砕機
にて粉砕し、慣性力方式の分級機で分級して平均粒子径
９μｍのトナーを得た。得られたトナー粒子１００重量
部、添加剤微粒子Ａ〔４０ｎｍ球状（０．２重量％ジメ
チルジクロロシラン処理）疎水性シリカＳｉＯ₂〕０．
７重量部および添加剤微粒子Ｂ〔２０ｎｍ（０．２重量
％アミノプロピルエトキシシラン処理）疎水性酸化チタ
ンＴｉＯ₂〕１重量部を添加し、表３及び表４に示す混
合条件にて高速混合機（５リットル・ヘンシェルミキサ
ー、三井三池社製）で混合して、表３及び表４に示す付
着割合の添加剤微粒子Ｂを含むトナーを得た。

【００２９】（１）定着性の評価上記実施例１〜９および比較例１〜８で得られたトナー
それぞれ５部と樹脂被覆された鉄粉粒子（平均粒子径５
０μｍ）１００部を混合して二成分現像剤を調製し、こ
れを市販の電子写真複写機（Ａ−ＣＯＬＯＲ６３０、富
士ゼロックス社製）を用いて複写操作を行い、未定着画
像を得た。次いで、表面層がシリコーンゴムで形成され
る加熱ローラーおよびシリコーンゴム層をフッ素樹脂で
被覆した加圧ローラーからなる外部定着機を用いて、定
着温度を１２０℃〜２２０℃の間で段階的に上昇させな
がら画像の定着性、オフセット性を評価した。この場
合、加熱ローラーには、アミノ変性シリコーンオイルを
１．８×１０^-5ｇ／ｃｍ²の割合で塗布供給した。な
お、オフセット性は、ホットオフセット発生温度によっ
て評価した。また、低温定着性は得られた定着画像をこ
すり試験機により一定荷重をかけてこすった後、像の乱
れ具合をグレード付けし、ある一定のグレード以上にな
る定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標と
した。

【００３０】（フィルム強度の評価基準）フィルム強度
については、２５ｍｍ×２５ｍｍソリッド画像を１６０
℃で定着した後、一定荷重のおもりを用いて折り曲げ、
その部分の画像欠損度合いを定性的に評価した。Ｇ１：画像欠損は全くない。Ｇ２：折り曲げ部分に筋状の跡は残るが、画像の欠落は
なく、問題のないレベルである。Ｇ３：折り曲げ部分にところどころに白い線が入り、画
像が欠落する。Ｇ４：折り曲げ部分以外にも画像が欠落が生じる。

【００３１】（２）画質評価現像剤の調製キャリアとして、含フッ素アクリル系樹脂で被覆した平
均粒径５０μｍの鉄粉を用い、上記トナーをトナー濃度
８重量％になるように混合して現像剤を作製した。得ら
れた現像剤を用い、複写機（Ａ−ｃｏｌｏｒ６３５、富
士ゼロックス社製）によって複写テストを行った。評価
は連続２５，０００枚の複写を行い、感光体表面におけ
る付着物の状態を調べ、得られた画像の画質欠陥および
カブリを調査した。なお、カブリはＧ１（良）からＧ５
（悪）までの限度見本との比較により評価し、感光体表
面への付着物およびお画質欠陥は目視により判断した。

【００３２】以上の結果を表３および表４に示す。

【表３】

【００３３】

【表４】

【００３４】

【発明の効果】本発明の静電荷像現像用トナーは、上記
のように粒子径の異なる二種類の添加剤微粒子を、所定
の状態で含有させたことにより、定着されたトナー像が
折り曲げ等の外的応力によって画像欠損を生じない定着
強度を有し、かつ低温定着性および耐オフセット性に優
れており、また、添加剤微粒子の感光体汚染に起因する
画像欠陥、および添加剤微粒子の埋め込みに起因するカ
ブリのない高画質画像を得ることができ、しかも寿命が
長いという効果を奏する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者望月雅夫神奈川県南足柄市竹松1600番地富士ゼロックス株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】結着樹脂および着色剤を含有する静電荷
像現像用トナーにおいて、該トナーが平均粒子径５〜１
０μｍのトナー粒子と、平均粒子径２０〜８０ｎｍの球
状の添加剤微粒子Ａおよび平均粒子径５〜２０ｎｍの添
加剤微粒子Ｂとからなり、トナー粒子と添加剤微粒子Ｂ
が下記の関係を満足し、かつ該結着樹脂として、１５０
℃において角周波数１０ｒａｄ／ｓｅｃで測定した貯蔵
弾性率Ｇ′が１０〜５００であり、酸価が５〜１５であ
るポリエステル樹脂を用いたことを特徴とする静電荷像
現像用トナー。Ｓａ：０〜１０Ｓｂ：３０〜６０Ｓｃ：４０〜７０Ｓｂ≦Ｓｃ［ここで、Ｓａはトナーの分散液中で超音波振動（出力
６０Ｗ、周波数２０ｋＨｚ）を３０分間加えた時、トナ
ー粒子から脱離せずに付着している添加剤微粒子Ｂの全
添加量に対する重量割合（％）を表し、Ｓｂはトナーの
分散液中で超音波振動（出力２０Ｗ、周波数２０ｋＨ
ｚ）を１分間加えた時、トナー粒子から脱離せずに付着
している添加剤微粒子Ｂの全添加量に対する重量割合か
らＳａを差し引いた値（％）を表し、Ｓｃは添加剤微粒
子Ｂの全添加量からＳａとＳｂを差し引いた値（％）を
表す。］