JPH08194085A - 原子炉のシュラウドの吊り込み方法およびシュラウド構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】供用期間中に行われるシュラウドの取替工事に
おいて、新規に作成されたシュラウドを一体で原子炉内
に搬入する。 【構成】シュラウドの内側にシュラウドを吊り上げる天
秤を取り付けるためのブロックを取り付け、前記ブロッ
クを介して、吊り天秤をシュラウドの内側に取り付ける
ことにより、シュラウドの上に吊り天秤を取り付けてシ
ュラウドを一体で吊り上げることのできない作業フロア
の天井クレーンの揚程の小さな原子力プラントにおい
て、シュラウドの一体搬入を可能とする。 【効果】従来、シュラウドの上に取り付けていた吊り天
秤の分だけ小さな揚程で、シュラウド一体での吊り上げ
移動が可能となり、供用期間中のシュラウド取替工事に
おいて、シュラウドの一体搬入が容易に可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電プラントの
供用期間中にシュラウドを新規製作のシュラウドと取替
える工事において、取替作業後の信頼性が高くしかも作
業員の被ばく低減に好適で容易なシュラウドの吊り込み
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の原子力発電プラント建設時のシュ
ラウドの吊り込み作業は図７に示すように、原子炉建屋
２３の屋根２９完成前に、シュラウド１の上部に吊り天
秤３０を取り付けて、建設用の仮設揚重設備３１によ
り、原子炉建屋２３の上部開口３２より、原子炉圧力容
器２８の中に吊り下ろされる。

【０００３】また、供用期間中にシュラウド他の炉内構
造物を新規製作の炉内構造物と取替える場合の据付方法
に方法については、特開昭63−36195 号公報があるがシ
ュラウドの吊り込み方法に関しては、特に定めていな
い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の原子力発電プラ
ント建設時のシュラウドの据付けでは、原子炉建屋の屋
根取付け前に、シュラウドの上部に吊り天秤を取り付け
て建設用の仮設の揚重設備によりシュラウドを吊り上
げ、原子炉建屋上方の開口部より、原子炉圧力容器内に
吊り下ろすことが可能であるが、供用期間中にシュラウ
ド等の炉内構造物を新規製作の炉内構造物と取替える場
合においては、原子炉建屋は、放射線管理区域を構成す
る隔壁となっているため、原子炉建屋の屋根の一部を取
り除いて、開口を設けて新規製作のシュラウドを吊り込
むためには、汚染拡大防止のための隔壁を原子炉建屋の
外側に設置することが必要になり、非常に困難な作業と
なる。また、供用期間中、原子炉建屋内の作業フロアに
機器を搬入する場合は、原子炉建屋に設けられている、
大物搬入口より搬入し、原子炉建屋内の各フロアに設け
られている機器ハッチを開口して、作業フロアの天井ク
レーンを使用して作業フロアに搬入する方法が一般的で
あるが、新規製作のシュラウドを搬入しようとした場
合、作業フロアにおける天井クレーンの揚程が小さく、
プラント建設時に用いられるシュラウド上部に取り付け
る方式の吊り天秤またはワイヤを使用する方法では、シ
ュラウドを吊り上げ作業フロアを移動することができ
ず、シュラウドを一体で搬入することができないことも
ある。その対策として、シュラウドを分割で搬入した場
合には、原子炉圧力容器内または、原子炉ウエル内とい
った放射線管理区域内での組立作業，溶接作業および検
査作業が必要になり、工程の長期化，作業の信頼性確
保，作業員の被ばく量の観点から望ましくない。

【０００５】そこで本発明の目的は、供用期間中に行う
シュラウドの取替工事において、工程の短縮化，作業の
信頼性確保，作業員の被ばく低減のために、新規に製作
されたシュラウドを原子炉建屋の大物搬入口〜機器ハッ
チ〜作業フロアを経て、一体で原子炉内に搬入する方法
を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明においてはシュラウドの内側にシュラウドを
吊り上げるための天秤またはワイヤを取り付けることに
より、シュラウド一体での吊り込みを可能とする方法と
構造を採用する。

【０００７】

【作用】請求項１，２の方法の発明においては、シュラ
ウドの内側に天秤もしくはワイヤを取り付けることによ
り、シュラウドの上部に天秤を取り付ける必要がなく、
シュラウドの上部に付ける天秤の高さ分だけ少ない揚程
でシュラウドを吊り込みさせることができるようにな
る。

【０００８】請求項３の構造の発明においては、シュラ
ウドの内側に、シュラウドを吊り上げる天秤もしくはワ
イヤを取り付けるためのブロックを取り付けることによ
り、シュラウドの内側に天秤もしくはワイヤを取り付け
ることを可能とする。

【０００９】請求項４の構造の発明では、シュラウドの
内側に取り付けられた天秤もしくはワイヤを取り付ける
為のブロックは、前記シュラウドに取り付けられる炉心
支持板および燃料とは干渉しない寸法に制限することに
より、前記ブロックを取り付けたままの状態で、原子力
発電プラントの運転を行うことが可能となり、前記シュ
ラウド据付後必要となる、前記ブロックの取り外し作業
を不要とすることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１〜図６に基づい
て説明する。

【００１１】図１は、本発明によるシュラウド１の内側
に吊り天秤３を取り付けて、原子炉建屋の天井クレーン
４を用いてシュラウド１を吊り上げ、原子炉建屋の作業
フロア５を移動している状況を示す。

【００１２】シュラウド１は、シュラウド１の内側に取
り付けられた吊り天秤取付用ブロック２を介して吊り天
秤３に接続され、天井クレーン４により、吊り天秤３を
吊り上げることで、揚程６の小さい作業フロア５におい
ても、シュラウド１の一体での吊り込みを可能とするこ
とができる。

【００１３】吊り天秤３とシュラウド１の内側に取り付
けられた天秤取付用ブロック２との連結方法の詳細図示
は省略するが、ボルト構造により連結してもよいし、ワ
イヤ等を介して連結してもよい。

【００１４】図２は、吊り天秤の代わりにワイヤを用い
た実施例を示している。シュラウド１の内側に取り付け
られたブロック８にワイヤ７を取り付け、天井クレーン
４により、ワイヤ７を吊り上げることで、揚程６の小さ
い作業フロア５においても、シュラウド１一体での吊り
込みを可能とすることができる。

【００１５】ワイヤ７とシュラウド１の内側に取り付け
られたブロック８との連結方法の詳細図示は省略する
が、ブロック８に直接ワイヤ７を掛けてもよいし、アイ
ボルト等を用いて連結してもよい。

【００１６】図３は、シュラウドと炉芯支持板を組み合
わせて、搬入する場合において、本発明を適用した実施
例を示す。

【００１７】シュラウド１とボルト１０により結合され
た炉芯支持板９に取り付けられたアイボルト１１を利用
して、シュラウド１の内側に吊り天秤１２を取り付ける
ことにより、揚程６の小さい作業フロア５においてもシ
ュラウド一体での吊り込みを可能とすることができる。

【００１８】図４に、シュラウドと吊り天秤の取付方法
の実施例を示す。シュラウド１の内側には、吊り天秤取
付用のブロック１３が取り付けてある。ブロック１３の
シュラウド１への取付構造の詳細は図示しないが、シュ
ラウドの吊り上げ時、シュラウドの自重に十分耐える強
度さえ有する方法であれば、特にこだわらないが、溶接
または、ボルトによる結合が一般的に考えられる。

【００１９】また、本実施例においては、シュラウドの
内側に４個の吊り天秤取付用ブロックを取り付けた例を
示すが、シュラウドをバランス良く吊り上げることが目
的であるので、２個以上であれば問題ない。

【００２０】吊り天秤１４の長さは、シュラウド１の内
側に取り付ける為、シュラウド１の内径Ｄよりも短くす
る必要があるが、ブロック１３がシュラウド１の内側に
Ｂだけ出っ張っているため、（Ｄ−２×Ｂ）以上の長さ
であれば、シュラウド１の荷重を下側より受けて、天井
クレーン１５に伝えることができ、吊り天秤となる。ま
た、吊り天秤１４は、端部にブロックの入る溝１６を設
けた構造とし、吊り天秤１４の溝１６にブロック１３を
合わせた後に、ブロック１３と吊り天秤１４の隙間にス
ペーサ１７をはめ込みスペーサ１７をボルト１８により
固定すれば、水平方向のガタなくシュラウドに吊り天秤
を取り付けることができ安定してシュラウドを吊り上げ
ることができる。

【００２１】この他にシュラウドと吊り天秤を連結する
手段としては図示は省略するが、シュラウドの内側に取
り付けられたブロックと吊り天秤を、ボルトで締結する
方法やワイヤを介して吊り下げる方法等いろいろと考え
られるが、吊り天秤をシュラウドの内側に取り付けれ
ば、揚程の小さい作業フロアにおいても、シュラウド一
体での吊り込みを可能とすることができる。

【００２２】図５にシュラウド１に吊り天秤取付用ブロ
ック１９を取り付けたまま、原子炉の運転を可能にする
ためのブロックの取り合いを示す。

【００２３】シュラウド１内には、原子炉圧力容器に取
り付けられた後、炉心支持板９が取り付けられ、運転時
には、燃料２０（図中では、一部のみ示している）が取
り付けられる必要があるが、シュラウド内面に取り付け
られる天秤取付用ブロックを図５の天秤取付用ブロック
１９ａのように、シュラウド１と炉心支持板９の隙間２
１に入る大きさに、制限すれば、炉心支持板９の取り付
け時、および燃料２０の取り付け時に天秤取付用のブロ
ック１９ａが炉心支持板９および燃料２０と干渉するこ
とはなく、天秤取付用のブロック１９ａを取り付けたま
ま原子炉の運転が可能となる。

【００２４】また、シュラウド内面に取り付けられる天
秤取付用ブロックを図５の天秤取付用ブロック１９ｂの
ように、燃料２０のない位置に配置し、炉心支持板９に
予め切りかき２２を持った構造を採用すれば、炉心支持
板９の取り付け時、および燃料２０の取り付け時に天秤
取付用ブロック１９ｂが炉心支持板９および燃料２０と
干渉することはなく、天秤取付用ブロック１９ｂをシュ
ラウド１の内面に取り付けたまま原子炉の運転が可能と
なり、シュラウド据付け後の天秤取付用ブロック１９の
取り外し作業を省略でき、シュラウド取替工事の工程を
短縮できる。

【００２５】図６に本発明により新規に製作されたシュ
ラウドを、原子炉建屋の搬入口より、搬入して、原子炉
圧力容器内に吊り下ろす作業手順図を示す。シュラウド
１は、横に倒した状態で、原子炉建屋２３の大物搬入口
２４より、原子炉建屋内に搬入する。

【００２６】搬入後、原子炉建屋１階機器ハッチ２５の
開口部で、横倒し状態のシュラウドを原子炉建屋の天井
クレーンを用いて立てる。

【００２７】次に、シュラウド１の内側に取り付けられ
ているブロック２にシュラウドを吊り上げる為の吊り天
秤３またはワイヤ（図示省略）を取り付ける。

【００２８】天井クレーン４により天秤３またはワイヤ
（図示省略）を介してシュラウド１を、作業フロア５ま
で吊り上げる。

【００２９】その後、連続して、作業フロア１の機器ハ
ッチ２６の開口部から、原子炉のウェル２７まで作業フ
ロア５上を移動させて、原子炉圧力容器２８内に吊り下
ろす。

【００３０】この様に、シュラウドの内側に吊り天秤ま
たはワイヤを取り付けることにより、従来のシュラウド
上部に吊り天秤を取り付ける方法では、揚程が不足し、
シュラウドの移動が不可能な、作業フロア上をシュラウ
ドを吊り上げて移動させることが可能となり、供用期間
中に実施されるシュラウドの取替工事において、新規の
シュラウドを一体で原子炉圧力容器内に搬入することが
可能となる。

【００３１】

【発明の効果】シュラウドの内面にシュラウドを吊り上
げるための天秤を付けることにより、シュラウド一体で
シュラウド上部に天秤を付けて、原子炉建屋の天井クレ
ーンにより、シュラウドを吊り上げ、原子炉建屋の作業
フロア上を移動することができない作業フロアの揚程の
小さいプラントで供用期間中に実施するシュラウド等の
炉内構造物の取替工事において、新規に製作されたシュ
ラウドを一体で原子炉建屋の搬入口より搬入，作業フロ
ア上を原子炉建屋の天井クレーンにより吊り上げて移動
して原子炉圧力容器内に吊り下ろすことが可能となり、
工程の短縮化，作業の信頼性確保，作業員の被ばく低減
を可能とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】シュラウドの内側に吊り天秤を取り付けるシュ
ラウドの吊り込み方法の概念図。

【図２】シュラウドの内側のブロックにワイヤを取り付
けるシュラウドの吊り込み方法の概念図。

【図３】炉芯支持板をシュラウドに組み込んで同時に搬
入する場合のシュラウドの吊り込み方法の概念図。

【図４】シュラウド吊り天秤取付用の取付例図。

【図５】シュラウド吊り天秤取付用ブロック取り合い
図。

【図６】シュラウド取替工法における新規シュラウドの
搬入手順図。

【図７】プラント建設時のシュラウド搬入方法概要図。

【符号の説明】

１…シュラウド、２，１９…吊り天秤取付用ブロック、
３…吊り天秤、４，１５…天井クレーン、５…作業フロ
ア、６…揚程、７…ワイヤ、８，１３…ブロック、９…
炉芯支持板、１０，１８…ボルト、１１…アイボルト、
１２，１４…吊り天秤、１６…溝、１７…スペーサ、２
０…燃料、２１…隙間、２２…切りかき、２３…原子炉
建屋、２４…大物搬入口、２５，２６…機器ハッチ、２
７…ウェル、２８…原子炉圧力容器、２９…屋根、３０
…上部取付型の吊り天秤、３１…建設用仮設揚重設備、
３２…原子炉建屋の上部開口。

フロントページの続き (72)発明者 千葉 功男 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 魚往 弘人 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 辻村 浩 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】沸騰水型原子力炉圧力容器内の炉内構造物
   であるシュラウドの吊り込み方法において、シュラウド
   の内側に前記シュラウドを吊るための天秤またはワイヤ
   を取り付けることを特徴とする原子炉のシュラウドの吊
   り込み方法。
2. 【請求項２】請求項１において、前記シュラウドの中間
   胴の内側に前記シュラウドを吊るための天秤またはワイ
   ヤを取り付けることを特徴とする原子炉のシュラウドの
   吊り込み方法。
3. 【請求項３】沸騰水型原子力炉圧力容器内の炉内構造物
   であるシュラウドにおいて、前記シュラウドの内側に吊
   り天秤またはワイヤを取り付けるためのブロックを設け
   たことを特徴とする原子炉のシュラウド構造。
4. 【請求項４】請求項３において、前記シュラウドの内側
   に取り付けられた前記吊り天秤またはワイヤを取り付け
   るためのブロックのシュラウド内壁面より中心方向への
   出っ張り量を、前記シュラウドに取り付けられる炉心支
   持板および燃料と干渉しない大きさとしたことを特徴と
   する原子炉のシュラウド構造。