JPH08193238A - 制動体、ローター、パッド、制動装置及びそれらを用いた車両 - Google Patents

制動体、ローター、パッド、制動装置及びそれらを用いた車両

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JPH08193238A
JPH08193238A JP7504295A JP7504295A JPH08193238A JP H08193238 A JPH08193238 A JP H08193238A JP 7504295 A JP7504295 A JP 7504295A JP 7504295 A JP7504295 A JP 7504295A JP H08193238 A JPH08193238 A JP H08193238A
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JP
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rotor
phase
pad
braking
braking device
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JP7504295A
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Ryoji Okada
亮二 岡田
Jiyun Sugawara
準 簀河原
Kiju Endo
喜重 遠藤
Toshihiro Yamada
俊宏 山田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高く安定した摩擦係数と優れた耐摩耗性を示す
制動材と、信頼性と耐久性が高く、小型軽量である制動
装置を提供する。 【構成】制動材はCを3〜4wt%、Pを0.5〜2.0wt%、Crを1.
0〜2.5wt%、Niを1.5〜4wt%含有する鉄合金であり、さら
に摺動表面の組織としてセメンタイト相、ステダイト
相、グラファイト相及びパーライト相を備える。上記制
動体を制動装置のローター、パッドとして用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制動体と制動装置に係
り、特に高い摩擦係数と優れた耐摩耗性を有する制動
体、ローター、パッド、制動装置及びそれを用いた車両
に関する。
【0002】
【従来の技術】各種駆動機器には機械的摩擦力によって
制動する制動機器が配備されており、安全装置として十
分な性能と高い信頼性が不可欠である。
【0003】自動車の場合、機械的摩擦力による制動装
置には、円筒状のドラムの内側にブレーキシューを押し
付けるドラムブレーキと、駆動機器に連結し回転するロ
ーターに摩擦部材であるパッドを押圧し制動するディス
クブレーキの2種類がある。一般に、積載重量、車体重
量が大きく、制動すべきエネルギ(制動エネルギ)が大
きいトラックなどはドラムブレーキが用いられ、運動性
能が優れる乗用車にはディスクブレーキが用いられる。
【0004】昨今自動車を取り巻く環境が変わり、トラ
ック、乗用車を問わず燃費の向上は不可避の重要課題で
ある。燃費の向上は、燃焼効率の向上と車体軽量化によ
って達成されるため、自動車の各種要素、部品について
個々に軽量化の検討がなされている。特に、トラックで
は装置重量の重いドラムブレーキからディスクブレーキ
に変更し軽量化する試みがなされている。また、既にデ
ィスクブレーキを採用している乗用車でも摩擦特性に優
れるローター、パッドを開発し、より軽量化する試みが
なされている。
【0005】ローターには機械強度、摩擦係数、適度な
潤滑性、耐摩耗性、耐熱性、振動減衰特性、放熱性、防
錆性が求められ、従来FC250等のねずみ鋳鉄が用いられ
てきた。ねずみ鋳鉄は、パーライト相中に片状のグラフ
ァイトが析出した組織であり、場合によってはフェライ
ト相も存在する。特性としては、摩擦係数は小さいが変
動が少なく安定している、黒鉛が析出するため適度な潤
滑性がある、耐摩耗性が比較的優れる、振動減衰特性が
優れる、生産性が優れる等の特性が有り、現在でも広く
用いられ主流材料となっている。ただし、制動エネルギ
が大きい場合、摩擦係数の低下と耐摩耗性の不足が避け
られず、摩擦係数と耐摩耗性の改善のために銅(Cu),
クロム(Cr),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),バ
ナジュウム(V)等を添加した合金鋳鉄が用いられてい
る。
【0006】パッドには摩擦係数、耐摩耗性、機械的強
度等が求められ、従来アスベストを基材とした材料が用
いられてきた。しかし、アスベストの発ガン性が問題視
され、1988〜1989年以降、アスベストを用いない有機系
制動体と無機系制動体が用いられている。現在、合成樹
脂を用いた有機系制動体が主流であり、合成樹脂に無機
鉱物繊維、無機充填材、有機充填材を混入した材料が主
流である。
【0007】また、無機系制動体は合成樹脂の替わりに
金属粒子を用い焼結によって形成した制動体であり、高
い耐熱性が得られる。
【0008】なお、合金鋳鉄製ローターについては、
(社)日本工業振興協会「先端自動車材料技術」、(199
2)、462頁から464頁に、非アスベスト系のパッド材につ
いては(社)日本工業振興協会「先端自動車材料技術」、
(1992)、464頁から466頁に記載されている。さらに、自
動車のブレーキ材料一般についての詳細記述がトライボ
ロジ学会学会誌「トライボロジスト」、第36巻3号(1991
年)、189頁から194頁に開示されている。
【0009】エレベーターの場合、摩擦力による制動機
器として非常止め装置がある。非常止め装置とは、乗り
かごを吊るロープが破断した場合、乗りかごの中の乗客
の安全を確保するため、落下する乗りかごを乗客に衝撃
を与えない減速度で停止させる安全装置である。非常止
め装置の構造は、制動子と呼ばれる制動体をガイドレー
ルに摺動面が対面するように両面に1個づつ、計2個配し
て、乗りかごが所定の速度以上に達した場合に、ガイド
レールを挟み込むように2個の制動子を弾性体で押し付
け、制動力を発生させるものである。
【0010】非常止め装置は最終的人命救助の安全装置
であるため、動作時に制動子とレールとが焼き付いて乗
りかごを急激に停止し、乗客に危害を与える状態は避け
ねばならない。従って、制動子にはレールと焼き付いて
ロックしないための適度の潤滑性が必要であり、一方、
押し付け力を効果的に乗りかごの制動力に変換するため
には、高速から低速まで安定した高い摩擦係数が必要で
ある。さらに、制動子を押し付ける弾性体として線形バ
ネ定数を有するバネを用いる場合、摩耗とともに押し付
け力は低下することになるため、耐摩耗性が必要とな
る。
【0011】今まで制動子には主に鋳鉄が用いられてき
た。例えば、特公昭50-4175号公報に示すように、片状
黒鉛鋳鉄FC250や球状黒鉛鋳鉄FCD400が利用されてい
る。球状黒鉛鋳鉄FCD400は、パーライト相中に球状のグ
ラファイトが析出した組織であり、場合によってはフェ
ライト相も存在する。グラファイトが潤滑成分として働
くため、レールとのロックが生ぜず摩擦係数が安定して
いるという特徴がある。
【0012】また、制動子の摺動特性を機構的に改良す
る方法が検討されている。例えば、摩擦係数値を高く保
ちかつ安定させる方法として、1個の制動子の摺動部の
上部に耐摩耗性のよい鉄系材料、下部に摩擦係数の安定
した銅系材料を配置した非常止め装置が特公昭59-35819
号公報に開示されている。
【0013】また、制動子の高温での摩擦係数の安定性
を増す方法として、制動子の摺動表面を耐熱材料の薄膜
で覆う方法が考案されており、特開昭62-269875号公報
に開示されている。
【0014】鉄道車両の場合は制輪子と呼ばれる制動部
材がある。制輪子は、鉄道車両の停止時に駆動機器に連
結する車輪に押し付け、摩擦力によって車両を停止させ
る制動部材である。一般には制輪子は、鋳鉄制輪子、合
成樹脂制輪子、焼結合金制輪子の3種類に大別される。
鋳鉄制輪子は古くから用いられ、安価で車輪への影響が
少ない等の長所があるが、摩擦係数が低く、耐摩耗性が
十分ではない。そこで鋳鉄制輪子の摩擦係数を高め、耐
摩耗性を向上させるために各種添加元素を加えた合金鋳
鉄制輪子が開発されている。
【0015】片状黒鉛鋳鉄にC:3〜4.2wt%、Si:1.5〜2.5
wt%、Mn:0.7〜1.5wt%、P:1.0〜2.5wt%、Cr:1.0〜2.5wt
%、Cu:0.5〜1.5wt%含み、さらに必要に応じてMo:0.1〜
0.7wt%、Ni:0.1〜0.7wt%、Ti:0.1〜0.7wt%の1部、もし
くは全部を加え、パーライト、ステダイト、セメンタイ
ト組織で構成された制輪子が特開昭62-224740号公報に
開示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来、制動体として広
く用いられてきた鋳鉄は、摩擦係数が安定、耐摩耗性が
優れる、振動減衰特性が優れる、生産性が優れるなどの
優れた特性を持つが、より制動エネルギの大きい制動装
置の、高速度、高面圧条件での摩擦特性は十分でない。
その結果、制動力確保のため制動装置の大型化を招き、
装置重量による効率の低下を引き起こしていた。各種制
動装置を例に、その課題を詳細に以下説明する。
【0017】自動車の制動装置の場合、FC250のような
ねずみ鋳鉄は、前記のごとく摩擦係数は小さいが変動が
少なく安定、耐摩耗性が比較的優れる、振動減衰特性が
優れる、生産性が優れるなどの優れた特性が有るが、摩
擦係数が小さく、面圧の増加によって摩擦係数が低下す
る欠点が有り、制動エネルギの増加への対応が困難であ
る。特にトラックなど積載重量、車体重量が大きく制動
エネルギが大きい場合、制動力を増すためパッドの面圧
を増すと、ねずみ鋳鉄は面圧の増加によって摩擦係数が
低下するため、十分な摩擦力を確保するためにはロータ
ー、及びパッド面積を増さねばならない。その結果、制
動装置の装置重量が増し、ドラムブレーキからディスク
ブレーキに構造変更しても効果的な軽量化が図れないと
いう問題が生じる。
【0018】上記、Cu,Cr,Mo,Mn,V等を添加した合金鋳
鉄でも十分な摩擦特性は得られず、より摩擦係数が高く
耐摩耗性に優れる制動体の開発が求められていた。ま
た、合成樹脂に無機鉱物繊維、無機充填材、有機充填材
を混入した有機系材料を用いるパッドは、制動エネルギ
が大きい場合、摩擦熱による摩擦係数の低下が著しく、
制動エネルギの増加への対応が困難である。無機系材料
を用いるパッドは高い耐熱性が得られるが、金属マトリ
ックス中に様々なセラミック粒子を含むため加工性が悪
く、生産性が乏しい。また焼結材であるため、材質、機
械的強度の均一性が確実でない、ローター側を傷つける
などの信頼性に課題があり、大量生産、大量使用に結び
付く制動装置部材として使用が困難である。
【0019】上記各公知例は、制動エネルギの増加に対
する考慮がなされておらず、制動装置の軽量化、燃費向
上へつながる制動体の摩擦係数、耐摩耗性という摩擦特
性の改善について十分な検討がなされていなかった。
【0020】エレベーター非常止め装置の場合も、従来
用いられてきた鋳鉄では制動エネルギの大きい高速度、
高面圧条件での摩擦特性は十分でない。また、摩擦力の
改善を機構的に図ろうとした上記公知例には、以下のよ
うな課題がある。
【0021】特公昭50-4175号公報に開示されているFC2
50やFCD400は、摩擦係数が安定している反面、摩擦係数
が低く、耐摩耗性に劣る。従って、FC250やFCD400を用
いる場合は、非常止め装置の押し付け力を増す必要が有
り、このため非常止め装置自体の重量が増大し、結果と
して乗りかごの重量が増すという問題があった。
【0022】特公昭59-35819号公報に開示されている摺
動面の上部に鉄系材料、下部に銅系材料を配置した制動
子では、制動子に不可欠な潤滑成分に対する検討がなさ
れておらず、信頼性に問題がある。また、摺動面の温度
上昇に対して鉄系材料と銅系材料の併用が検討されてい
るが、両材料間の熱伝導の効率が低く、鉄系材料部分の
摺動面の溶融防止には効果的ではない。さらに、両材料
の耐摩耗性が等しくない場合、制動子の上部と下部とで
摩耗量が異なり、摺動面の片当りが生じ、正常な制動力
を発生できなくなる可能性がある。
【0023】特開昭62-269875号公報に開示されている
摺動面全体を耐熱性のよい薄膜で覆う方法は、制動子に
不可欠の潤滑成分に対する検討がなされておらず、信頼
性に問題がある。また、薄膜摩耗後は摺動面の溶融防止
効果がなく信頼性に問題がある。
【0024】特開昭62-224740号公報に開示されている
片状黒鉛鋳鉄は、ステダイト、セメンタイト相の析出に
よって摩擦係数と耐摩耗性の改良を達成している。しか
しながら、鋳鉄の摩擦係数と耐摩耗性はステダイト相、
セメンタイト相の硬質相だけで決まらず、素地組織であ
るパーライト相の改善を必要とする。すなわち、ステダ
イト相、セメンタイト相の硬質相を保持するパーライト
相が破壊、もしくは軟化すれば、摩擦係数と耐摩耗性の
改良は十分には達成することはできない。特に、多量の
摩擦熱を発生する高速度摺動、高面圧摺動ではパーライ
ト相の強度向上、耐熱性向上、かつ熱伝伝導率の確保は
不可欠である。
【0025】本発明の目的は、上記問題点を解決し、信
頼性が高く、より大きな制動エネルギに対応できる制動
体、制動装置に用いるローター及びパッド、さらにこれ
らの部材を用いた制動装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、制動体は、駆動系を機械的摩擦力によって制動する
制動装置に用い、鉄系材料、有機系材料、銅系材料のい
ずれかを摺動相手材とするものであって、前記制動体
は、少なくともCを3〜4wt%、Pを0.5〜2.0wt%、Crを1.0
〜2.5wt%、Niを1.5〜4wt%含み、且つ前記相手部材と摺
動する摺動部の金属組織が、少なくともグラファイト
相、ステダイト相、セメンタイト相及びパーライト相を
含む鉄合金とした。
【0027】制動体の態様としては、下記のものがあ
る。
【0028】(1)上記の制動体において、前記ステダ
イト相と前記セメンタイト相とが網目状に析出してい
る。
【0029】(2)上記の制動体において、前記摺動部
の金属組織を構成するグラファイト相の面積に対するス
テダイト相とセメンタイト相を合わせた面積との比が0.
5〜2.0である。
【0030】(3)上記の制動体において、前記摺動部
の金属組織がステダイト相を面積率で5〜20%含む鉄合金
である。
【0031】上記目的を達成するために、制動装置用ロ
ーターは、駆動機器に連結し回転運動をするローター、
該ローターに押圧して摺動し機械的な摩擦力によってロ
ーターを制動するパッド、該パッドを支持し前記ロータ
ーに押し付ける支持部材を備えてなる制動装置に用いる
ものであって、該ローターは、鉄合金製であり、前記パ
ッドと摺動する摺動部の金属組織が少なくともグラファ
イト相、ステダイト相、セメンタイト相及びパーライト
相を含むものとした。
【0032】ローターの態様としては、下記のものがあ
る。
【0033】(1)上記制動装置用ローターにおいて、
前記ステダイト相と前記セメンタイト相とが網目状に析
出している。
【0034】(2)上記制動装置用ローターにおいて、
前記摺動部の金属組織を構成するグラファイト相の面積
に対するステダイト相とセメンタイト相を合わせた面積
との比が0.5〜2.0である。
【0035】(3)上記制動装置用ローターにおいて、
前記摺動部の金属組織がステダイト相を面積率で5〜20%
含む鉄合金である。
【0036】(4)上記制動装置用ローターにおいて、
前記摺動部は、少なくともCを3〜4wt%、Pを0.5〜2.0wt
%、Crを1.0〜2.5wt%、Niを1.5〜4wt%含む鉄合金製であ
る。
【0037】上記目的を達成するために、制動装置用パ
ッドは、駆動機器に連結し回転運動をするローター、該
ローターに押圧して摺動し機械的な摩擦力によってロー
ターを制動するパッド、該パッドを支持し前記ローター
に押し付ける支持部材を備えてなる制動装置に用いるも
のであって、該パッドは鉄合金製であり、前記ローター
と摺動する摺動部の金属組織が少なくともグラファイト
相、ステダイト相、セメンタイト相及びパーライト相を
含むものとした。
【0038】パッドの態様としては、下記のものがあ
る。
【0039】(1)上記制動装置用パッドにおいて、前
記ステダイト相と前記セメンタイト相とが網目状に析出
している。
【0040】(2)上記制動装置用パッドにおいて、前
記摺動部の金属組織を構成するグラファイト相の面積に
対するステダイト相とセメンタイト相を合わせた面積と
の比が0.5〜2.0である。
【0041】(3)上記制動装置用パッドにおいて、前
記摺動部の金属組織がステダイト相を面積率で5〜20%含
む。
【0042】(4)上記制動装置用パッドにおいて、前
記摺動部は、少なくともCを3〜4wt%、Pを0.5〜2.0wt%、
Crを1.0〜2.5wt%、Niを1.5〜4wt%含む。
【0043】上記目的を達成するために、駆動機器に連
結し回転運動をするローター、該ローターに押圧して摺
動し機械的な摩擦力によってローターを制動するパッ
ド、該パッドを支持し前記ローターに押し付ける支持部
材を備えてなる制動装置において、前記ローターは上述
したいずれかに記載のものを用いる。
【0044】この制動装置において、前記パッドは鉄合
金製としてもよい。
【0045】上記目的を達成するために、駆動機器に連
結し回転運動をするローター、該ローターに押圧して摺
動し機械的な摩擦力によってローターを制動するパッ
ド、該パッドを支持し前記ローターに押し付ける支持部
材を備えてなる制動装置において、前記パッドは上述し
たいずれかに記載のものを用いる。
【0046】この制動装置において、前記ローターは鉄
合金製としてもよい。
【0047】上記目的を達成するために、駆動機器に連
結し回転運動をするローター、該ローターに押圧して摺
動し機械的な摩擦力によってローターを制動するパッ
ド、該パッドを支持し前記ローターに押し付ける支持部
材を備えてなる制動装置において、ローター及びパッド
は上述したもののいずれかを用いる。
【0048】上記目的を達成するために、運転速度を制
御するためのブレーク装置を備えてなる車両において、
前記ブレーク装置は上述の制動体または制動装置を備え
る。
【0049】上記において、前記車両は、自動車、電
車、自転車、オートバイのいずれかである。
【0050】
【作用】本発明に用いる鋳鉄には以下の組織、即ち、黒
鉛の結晶構造で存在する炭素からなるグラファイト相、
FeとFe3PとFe3Cとの三元共晶組織であるステダイト相、
Fe3Cで示される鉄の炭化物を表すセメンタイト相及びオ
ーステナイトから析出するFe3Cとフェライトとの二元共
析組織でありFe3Cとフェライトとが層状に交互に配列す
るパーライト相がある。
【0051】以下、上記組織が制動体、ローター及びパ
ットとして果たす作用、役割を説明する。
【0052】摺動面に存在するグラファイト相は潤滑成
分の役割を果たし、相手材と制動材との焼き付きを防止
する。ステダイト相は硬質相であり、摩擦係数を高め、
耐摩耗性を増す役割を果たす。セメンタイト相も硬質相
であり、同様に摩擦係数を高め、耐摩耗性を増す役割を
果たす。さらに、セメンタイト相はステダイト相に比
べ、高温での硬さの低下がより小さいため、摩擦熱で摺
動面が高温になった状態で摩擦係数、及び耐摩耗性の低
下が小さい。従って、高速、高面圧条件での摺動時に高
い摩擦係数と耐摩耗性を維持する。
【0053】以下、添加元素が組織形成に対し果たす作
用、役割を説明する。
【0054】Cはグラファイトとして存在し、潤滑成分
の役割を果たす。焼き付きを防ぐ潤滑成分としてのグラ
ファイト量を考慮すると3〜4wt%の範囲が適当である。
【0055】Pはステダイトを形成し、摩擦係数を高
め、耐摩耗性を増す役割を果たす。しかしながらステダ
イト量が増え過ぎると、脆性となり且つ機械加工性が著
しく阻害される。そこで摩擦係数と耐摩耗性の改善、及
び靱性、機械加工性を考慮するとし0.5〜2.0wt%の範囲
が適当である。
【0056】CrはCの黒鉛化を防ぎセメンタイトを析出
させ耐摩耗性を増す。またセメンタイト中に置換するた
め、摩擦熱で摺動面が高温になった時、摩擦係数と耐摩
耗性の低下を防ぐ。さらにステダイト中のFe3C中に置換
するため、ステダイトの耐熱性を高め、摩擦熱で摺動面
が高温になった時、摩擦係数の低下を防ぐ。しかし、セ
メンタイト量が増え過ぎると、ステダイトと同様に脆性
となり且つ機械加工性が著しく阻害される。そこで耐熱
性と耐摩耗性の改善、及び靱性、機械加工性を考慮する
と、1.0〜2.5wt%の範囲が適当である。
【0057】Niはそのほとんどがパーライト中に置換
し、硬さと耐熱性を向上させる。一方、熱伝導率と熱拡
散率を低下させるために摩擦熱の拡散を阻害し、摺動面
の温度上昇を生じさせる。1wt%以下の添加量では、パー
ライトの硬さ、耐熱性の向上にはほとんど効果がない。
パーライトの硬さ、耐熱性すなわち高温度硬さを改善す
るには1wt%以上の添加が不可欠である。パーライトの高
温度硬さの改善と熱伝導率と熱拡散率の低下とを考慮す
ると1.5〜4wt%の範囲が適当である。またNiはCをグラフ
ァイト化させる効果があるため、焼き付きを防ぐ効果も
発揮する。
【0058】さらに、鋳鉄は製造方法、例えば鋳込み時
の温度、冷却温度等が異なると、たとえ組成が同じであ
っても組織が大幅に変動する。摩擦係数、耐摩耗性等の
摺動特性は組成ではなく組織に依存する特性であるた
め、特性を十分に発揮させるためには組成以外に組織を
定義せねばならない。本発明では、焼き付きを防止する
潤滑成分であるグラファイト相の面積と、制動成分であ
るステダイト相とセメンタイト相を合わせた面積との比
較を行なった。その結果、(ステダイト相とセメンタイ
ト相を合わせた面積)/グラファイト相の面積の値が0.5
以上で良好な摩擦係数と耐摩耗性が得られることが判明
した。しかし、(ステダイト相とセメンタイト相を合わ
せた面積)/グラファイト相の面積の値が2.0を越えると
著しく機械加工性が阻害され、工業的利用が困難とな
る。
【0059】またはステダイト相の面積だけに着目する
と、面積率で5%以上なければ、良好な摩擦係数と耐摩耗
性が得られない。しかし、20%を越えると著しく機械加
工性が阻害され、且つ脆性となるため工業的利用が困難
となる。
【0060】
【実施例】本発明の制動体の組成と組織を決定するため
に用いた評価試験結果を図1〜4を用いて説明する。な
お、本発明で説明する制動体とは制動装置に用い機械的
摩擦力によって制動する部材を意味し、通常、摩擦材や
制動材と称する材料で構成されるものである。すなわ
ち、材料で分類すれば摩擦材や制動材と同一語である。
【0061】制動装置の摺動状態を模擬するために、代
表的鉄材料であるSS400製のディスクを回転させ、その
表面に制動体のピンを押し付け摺動する実験を行った。
ディスクは、所定の回転数から一定減速度で停止まで減
速させ、その間のディスクとピンとの摩擦係数を測定し
て、速度と瞬間の摩擦係数との関係を求めた。さらにそ
の結果から、平均摩擦係数、摩耗率を算出して材料を評
価した。実験条件を表1にまとめる。
【0062】尚、平均摩擦係数μavは次による。瞬間の
摩擦係数μは、摺動速度vに依存する。したがって、μ
=μ(v)と表すことができる。又、vは時間とともに変
化する。摺動距離をLとすると、LはL=∫v(t)dt
と表すことができ、平均摩擦係数μavは、これらよりμ
av=∫μ(v)dv/Lと表される値である。
【0063】又、摩耗率WRは、摩耗量をWL、面圧を
P(=荷重/摺動面積)、摺動距離をLとすると、WR
=WL/(P×L)で表される値である。
【0064】
【表1】
【0065】以下、上記検討を行った材料について説明
する。まず、従来制動装置に制動体として用いているFC
250をベースに各種元素を加え、各種鋳鉄を製作し、組
織の変化と平均摩擦係数、摩耗率の変化を調べた。検討
した材料の組成範囲を、表2にまとめる。
【0066】
【表2】
【0067】なお、表2は鋳込み後に採取した試料を化
学分析した結果であり、試作制動体の全体的な組成の範
囲を示すものであり、この結果はこの材料を製作すると
きに添加した量と大きく変わらなかった。したがって、
いかに示す表も鋳込み後の試料の化学分析結果を示す
が、添加量と読み代えても良い。
【0068】上記元素において、C,Si,Ni,Cr,Pの効果に
ついては、前述した。尚、Mnは鋳鉄中の酸素を除去する
役割を果たし、鋳鉄の添加元素としては広く用いられて
いるものである。
【0069】上記、組成の鋳鉄の組織について以下説明
する。FC250は、パーライト地に片状のグラファイトが
析出した組織である。このFC250にPを加えると、前述し
たように、Fe3P-Fe3C-Feで示されるステダイトが網目状
に析出する。
【0070】さらに、Crを加えると、Fe3Cで示されるセ
メンタイトが析出し、またステダイトの析出量も増す。
この時、セメンタイト単独で析出する場合は樹木状に析
出し、またステダイトと共に析出する場合は網目状に析
出する。Niを加えるとパーライト地が微細化され、且つ
パーライトの硬さと耐熱性が増す。さらにNiを4%近くま
で多量に加えると、素地がパーライトからベイナイトと
呼ばれる硬い組織に変化する。
【0071】以下、検討結果を説明する。
【0072】まず、Pの影響について説明する。以下説
明する結果は、他の元素の組成をおおよそ固定し、Pの
含有率を変えた結果である。なお、他の元素の組成を固
定し材料を製作したが、分析した結果試験片間に多少の
差が生じた。他元素のバラツキを含め、組成を表3にま
とめる。また、試験条件は全て一定とした。試験条件を
表4にまとめる。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】図1にPの含有率と平均摩擦係数、摩耗率
との関係を示す。なお、平均摩擦係数、摩耗率はFC250
の値を基準値1.0とし、相対値に変換して表記した相対
平均摩擦係数、相対摩耗率である。平均摩擦係数はPの
添加量とともに増加し、約0.5wt%以上で急激に増加し
て、約0.8wt%以上でほぼ一定値に達する。摩耗率はPの
添加量とともに減少し、約0.7wt%でほぼ一定値に達す
る。しかしながら、Pの添加量を増し2.0wt%を過ぎると
材料が脆性となり、且つ機械加工性(切削性)が著しく阻
害され、工業的利用が困難となる。従って、添加量の上
限は2.0wt%である。
【0076】図2に材料組織中におけるのステダイトの
面積率と平均摩擦係数、摩耗率との関係を示す。なおス
テダイトの面積率は、15点の材料組織写真を撮り、ス
テダイト部分をトレースした後、(株)ニレコ社製画像処
理装置、ルーゼックスIIを用いて面積、及び面積率を求
めた。面積率とは、画像処理した範囲におけるステダイ
トの面積の比率をいう。
【0077】相対平均摩擦係数はステダイト面積率の増
加とともに増し、ステダイト面積率が約5%を超えると急
激に増加して約6%でほぼ一定値に達する。摩耗率も同様
にステダイト面積率の増加とともに減少し、約6%でほぼ
一定値に達する。Pの添加量を増してステダイト面積率
を増していくと、比較的脆性であるステダイト相によっ
て材料全体の靱性が低下し、且つ機械加工性(切削性)が
著しく阻害される。工業的利用を検討する場合上限は20
%である。
【0078】すなわち、従来の代表的ローター材料であ
るFC250に、Pを添加することで摩擦係数、耐摩耗性を大
幅に改良することができる。添加量は、約0.5wt%以上で
その効果が顕著となり、約0.7wt%以上ではほぼ一定値に
達する。一方、材料の靱性、切削性の点から添加量の上
限は2.0wt%である。さらに、Pを添加した材料組織を検
討すると、ステダイトの析出が摩擦係数、耐摩耗性を大
幅に改良することが判明した。組織を定量化すると、ス
テダイトの面積率が約5%以上でその効果が顕著であり、
約6%以上ではほぼ一定値に達する。一方、材料の靱性、
切削性の点からステダイトの面積率の上限は20%であ
る。
【0079】次にCrの影響について説明する。以下説明
する結果は、上記結果と同等に他の元素の組成をおおよ
そ固定し、Crの含有率を変えた結果である。検討した材
料の組成範囲を表5にまとめる。また、試験条件は表4
に示す条件と同様である。
【0080】
【表5】
【0081】前述のごとくCrを加えると含まれる炭素の
黒鉛化が阻害され、セメンタイトが析出する。さらにCr
は、セメンタイト中に置換してその特性を変える。しか
し、Pが加えられており、ステダイトが析出している場
合には、ステダイトの一部を構成するセメンタイトとし
ても析出するために、Cr添加の効果は単体のセメンタイ
トの析出だけでは、判定できない。従って摩擦係数、耐
摩耗性に及ぼす効果としては、Pが添加されている場
合、Pとの複合効果として検討しなければならない。
【0082】図3にP+Crの含有率と相対平均摩擦係数、
相対摩耗率との関係を示す。平均摩擦係数はP+Crの含有
率とともに増加し、約2.0wt%でほぼ一定値に達する。摩
耗率はP+Crの含有率とともに減少し、約2.0wt%でほぼ一
定値に達する。この範囲は、検討した組成範囲内では、
Cr単体の添加量では約1.5wt%でほぼ一定値に達する。Cr
の効果は、摩擦係数よりも耐摩耗性の改良の点で顕著で
ある。
【0083】なお、Crを加えセメンタイトを析出させた
場合の組織としては、セメンタイト単独で樹木状に析出
した場合よりも、ステダイトと共に網目状に析出した場
合の方が摩擦係数が高く、耐摩耗性の改良に効果が大き
い。これは、高強度組織が網目状に析出した方が、全体
の強度あげるために効果的であるからである。
【0084】P+Crの含有率を増加させると、靱性が低下
し、且つ機械加工性(切削性)が著しく阻害される。さら
に、セメンタイト相の析出が増すことによって耐熱衝撃
性が低下し、摩擦熱によるクラックが発生するようにな
る。従って、P+Crの含有率は、靱性、切削性、耐熱衝撃
性の点から3wt%が上限であり、Cr単体の添加量では約2.
5wt%である。
【0085】すなわち、CrはPとともに加えれば、平均
摩擦係数、耐摩耗性の改良により一層の効果が生まれ、
特に耐摩耗性の改良に効果が大きい。P+Crの含有率で示
せば、約1.5wt%以上でその効果が顕著であり、約2.0wt%
以上では、その効果はほぼ一定値に達する。上限は靱
性、切削性、耐熱衝撃性の点から3wt%である。この範囲
は、検討した組成範囲内では、Cr単体の添加量が1.0wt%
〜2.5wt%となる。
【0086】次にCの影響について説明する。上記のP、
Crの検討に用いた材料は全て、Cを3.4〜3.6wt%含みグラ
ファイトが析出している材料である。この材料のグラフ
ァイトの面積率は8.4〜10.5%であり、平均9.6%である。
グラファイトの効果を確かめるためC量を少なくグラフ
ァイト面積比率の小さい工具炭素鋼SK-3について同様の
実験を行った。
【0087】その結果、摩擦係数は高くなるが安定せ
ず、試験毎に測定間の値に大きさ差を生じることが判明
した。場合によってはSS400材とロックし、急激な減速
度で停止することがあった。また、摩耗率が著しく増加
した。制動装置という安全装置の役割を考慮すれば、信
頼性に劣る材料は使用しがたい。この結果から、炭素鋼
の摩擦係数の不安定、高い摩耗率は、組織中にグラファ
イト相が極めて少ないためと考えられ、制動装置用制動
体には摩擦係数を安定させるためのグラファイト相の存
在は不可欠と考えることができる。なお、SiはCのグラ
ファイト化を促進する効果のある添加元素として有効で
あり、グラファイト化を促進のため1.4〜1.6wt%の添加
が望ましい。
【0088】高い摩擦係数と耐摩耗性、及び摩擦係数の
安定性と高い信頼性を両立させるために、制動体料にお
いて摺動抵抗となる組織と、潤滑となる組織の比率に着
目した。先に説明した、種々試験片のステダイト、セメ
ンタイトとグラファイトとの面積率を解析し、(ステダ
イト面積+セメンタイト面積)/グラファイト面積で特性
を整理した。その結果を図4にまとめる。
【0089】(ステダイト面積+セメンタイト面積)/グラ
ファイト面積を以下SRと表記する。平均摩擦係数はSRの
増加とともに増し、特に約0.5以上での増加が著しい。
摩耗率はSRの増加とともに減少し、約0.5でほぼ一定値
に達する。さらに、ステダイト面積+セメンタイト面積
を増し、グラファイト面積を減じてSRを大きくし2.0を
越えると、材料の靱性が低下し、且つ切削性が著しく阻
害される。さらに、上記のごとくグラファイト面積の低
減によって摩擦係数が不安定となる。従って、SRの値と
しては上限は2.0である。
【0090】すなわち、(ステダイト面積+セメンタイ
ト面積)/グラファイト面積の比SRは、約0.5〜2.0で、特
性が安定でかつ高い摩擦係数と耐摩耗性、および良好な
靱性、切削性が得られる。
【0091】次に、Niの影響について図5を用いて説明
する。図5は、Ni含有量だけを変えた場合のパーライト
相の400℃における高温硬さの変化を示す。含有するNi
はほとんどがパーライト層に存在しパーライト相の強度
を増す働きをする。特にパーライト相の高温硬さを増す
ため、摩擦熱による強度低下を防ぎ摩擦係数と耐摩耗性
を改善する。パーライト相はステダイト相、セメンタイ
ト相を保持、支持する素地であるため、その硬さと耐熱
性の向上は摩擦係数、耐摩耗性の向上に効果が大きい。
図5に示すように、本検討によると、Ni含有量は1wt%以
下では効果が少なく、十分なパーライト相の高温硬さを
増すことができない。摩擦係数と耐摩耗性の改善に寄与
できるNi含有量としては1.5wt%以上は必要である。
【0092】しかしながら、Niの量が増し素地にベイナ
イトが析出する状態になると効果が逆転する。これはベ
イナイトが素地に析出した状態では熱伝導率と熱拡散率
が著しく低下することによって摩擦熱の拡散が阻害さ
れ、摩擦熱によって摺動面の温度が著しく上昇し、素地
組織であるパーライト相の強度が低下して摩擦係数と耐
摩耗性が低下するものである。従って、ベイナイトの析
出は避けなければならず、Niの量としては1.5〜4wt%の
範囲が良好であり、パーライトの微細化による強度増加
を考慮すると、望ましくは2〜4wt%の範囲である。
【0093】以上の知見に基づけば、制動体として特性
が安定し、高い摩擦係数と耐摩耗性を発揮するには、材
料組織としてはグラファイト相、ステダイト相、セメン
タイト相及びパーライト相で構成され、ステダイト相と
セメンタイト相が網目状に析出していることが望まし
い。特に、ステダイト相を面積率で5〜20%含むことが望
ましい。また、摩擦係数の安定性を考慮すると(ステダ
イト面積+セメンタイト面積)/グラファイト面積が0.5〜
2.0であることが望ましい。組成としては、鉄合金にCを
3〜4wt%、Pを0.5〜2.0wt%、Crを1.0〜2.5wt%、Niを1.5
〜4wt%含むことが望ましい。
【0094】上記の制動体をローター及びパッドに用い
た発明の一実施例である制動装置について図6〜図10を
用いて説明する。
【0095】図6は、本発明の一実施例に係る制動体を
ローターとして用いた制動装置1の概略斜視図である。
制動装置1は、駆動系に連結し回転するローター2とロー
ター2をパッド(図示せず)ではさみ付けるキャリパー3等
からなる。
【0096】図7は、図6のI-I断面をA方向から見た概
略縦断面図である。キャリパー3は少なくともキャリパ
ーボディー4とパッド5を備えている。ローター2は回転
軸(図示せず)に固定され、駆動系に連結する。パッド5
はローター3の摺動面に向い、前進後退可動となってい
る部位に取り付けられており、制動時にローター3を両
側から押圧する構造となっている。なお、本実施例では
ローター3の両側にパッド5を押圧する構造を示している
が、パッド5をローター3の片側にのみ配置しても良い。
【0097】図8は、本実施例の制動体からなるロータ
ー2の概略斜視図であり、図9は図8のI-I断面をA方向
から見た概略縦断面図である。ローター2は摩擦熱の放
熱能力を高めるため2重構造となっており、2枚のロータ
ー2aが連結部2bを介して結合されており、結合部分は空
洞となっており放熱面積を増している。このような複雑
形状であるため、通常は鋳物によって形成される。図10
は制動装置1に用いたパッドの概略斜視図であり、本実
施例ではフェノール樹脂に金属繊維、無機繊維、有機繊
維、黒鉛、金属酸化物を混入した有機系パッドを用い
た。図において5aが摺動面であり、摺動面には摩耗粉の
除去等のために溝5bが設けられ、キャリパーへの取付穴
は摺動面5aの背面側に形成されている。
【0098】制動装置1のパッド材と上記本制動体で形
成したローター2との摺動特性は、図7に示した制動装置
とほぼ同等の構造である試験装置で確認した。試験条件
を表6に示す。また検討したローター2の組成範囲は表
2と同等である。
【0099】
【表6】
【0100】この試験において、相手のパッド材とし
て、フェノール樹脂に金属繊維、無機繊維、有機繊維、
黒鉛、金属酸化物を混入した有機系パッド材、Cuあるい
スズ(Sn)に酸化珪素(SiO2)やアルミナ(Al2O3)等
の金属酸化物、黒鉛、鉛(Pb)等を混合、焼結した焼結
合金である無機系パッド材、FC250の3種類を用いた。
【0101】この場合、相手材料が有機系パッド材、無
機系パッド材、FC250の場合とも、ローター材の組成、
組織による平均摩擦係数、摩耗率の変化は、図1,2,
3,4とほぼ同等である。また、鉄系材料を相手材とし
た場合と同様に、ディスク材の組織にベイナイト相が析
出すると、摩擦係数の安定性が低下する。
【0102】すなわち、本発明の制動体を制動装置1の
ローター2として用いると、摩擦係数が高く安定し、か
つ耐摩耗性が増すため、制動装置1としての信頼性と耐
久性が増す。
【0103】また、上記実施例では相手材料として、フ
ェノール樹脂に金属繊維、無機繊維、有機繊維、黒鉛、
金属酸化物を混入した有機系パッド材を用いたが、その
混合比率によって、摩擦特性が急変することはなく、混
合比率を限定することはない。 また、有機系パッド材
に限定するものではなくCuあるいはSnにSiO2やAl2O3
の金属酸化物、黒鉛、Pb等を混合、焼結した焼結合金を
用いた無機系パッド材とFC250であってもよく、無機系
パッド材の場合は、その混合比率によって摩擦特性が急
変することはなく、混合比率を限定することはない。
【0104】本実施例の制動装置は、自動車用として用
いるほか、電車、自転車若しくはオートバイ等において
ディスク状の制動構造を有するものへ適用することがで
きる。
【0105】次に、本発明の別の実施例である、本発明
制動体をパッドとして用いた制動装置を図11を用いて説
明をする。図11は、上記検討の制動体を用いたパッド
5'の概略斜視図である。なお、制動装置の他の構造は図
6乃至9に示す前記実施例と同様である。
【0106】図において、5'aが摺動面であり、摺動面
には摩耗粉の除去等のために綾目状の溝5'bが設けられ
ている。本パッドは鋳物製であるため、鋳型を用いて綾
目状の溝5'bが加工できる。有機系パッド材や無機系パ
ッド材のように後加工をせず、綾目状の溝が形成でき、
その結果、摺動時に生じる摩耗粉の除去が効果的に行え
る。なお、キャリパー3への取り付け穴は、摺動面の背
面にある。
【0107】制動装置の上記制動体で形成したパッド5'
とローター2'との摺動特性は、前述の実施例と同様、図
7に示した制動装置と同様構造の試験装置で確認した。
この際の試験条件は表6と同様である。また検討したパ
ッド5'の組成範囲は表2と同等である。
【0108】このとき、相手のローター2'としてFC250
と本制動体を用いた。ローター2'として検討したロータ
ー2'の組成を表7に示す。
【0109】
【表7】
【0110】FC250で製作したローター材を相手材とす
る場合、パッド材の組成、組織による平均摩擦係数、摩
耗率の変化は、図1,2,3,4とほぼ同等である。また、SS4
00を相手材とした場合と同様に、パッド材の組織にベイ
ナイト相が析出すると、摩擦係数の安定性が低下する。
【0111】本制動体で製作したローター材を相手とす
る場合、FC250ローター材を相手とする場合に比較し摩
擦係数が高くなるが、パッド材の組成、組織による平均
摩擦係数、摩耗率の変化は、図1,2,3,4とほぼ同等であ
る。
【0112】すなわち本発明の制動体を制動装置のパッ
ド5'として用いると、摩擦係数が高く安定し耐摩耗性が
増すため、制動装置としての信頼性と耐久性が増す。
【0113】本実施例の制動装置は、自動車用として用
いるほか、電車、自転車若しくはオートバイ等において
ディスク状の制動構造を有するものへ適用することがで
きる。
【0114】なお、電車に用いる場合には、上述したデ
ィスク状の制動構造の他に、車輪の、レールと回転接触
する車輪踏面に当接するように車輪外径に沿った摺動面
を有する制輪子として、本実施例の組成で製作したパッ
ド材料で製作したものを用いても充分な制動作用を発揮
できる。
【0115】本発明の制動材をエレベーター非常止め装
置に用いた実施例を図12〜15を用いて以下説明する。
【0116】図12は、本実施例の制動体を制動子9とし
て用いた非常止め装置6を配置したエレベータの移動部
の構成を示す概略図である。エレベータの移動部は、乗
客を乗せ昇降路を移動する乗りかご7、乗りかご7と機械
室に設置された駆動系(図示せず)とを連結する複数本の
ロープからなるメインロープ8と、非常時に乗りかご7を
安全に停止させる非常止め装置6からなり、昇降壁に固
定された2本のガイドレール10ガイドされ昇降する。さ
らに、非常止め装置6は、内部にガイドレール10をはさ
み込む制動子9を配置し、制動子9は、機械室に配置され
乗りかご7の速度を感知する調速機(図示せず)とロー
プ、ロッド11によって連結されている。なお、図12は非
常止め装置の設置位置を主に説明するため、直接関係し
ない装置、例えばドア開閉装置、テールコード、駆動
系、及び調速機関連等は省き、図示していない。
【0117】図13は前述した材料組成で製作した制動子
9の外観図である。図13において9aは摺動面であり、9b
は非常止め装置動作時に制動子9を上方に引き上げると
きにガイドするガイド溝である。制動子9は、鋳造で一
体形成した。
【0118】非常止め装置は、装着されるエレベータの
定格速度、乗りかごの重量、すなわち非常止め装置が制
動すべきエネルギ(単位はジュール)によって弾性体の仕
様が決まり、装置全体の重量(単位はkg)が決定される。
従って従来の装置を用いた場合、当然のことながら、制
動すべきエネルギ(以下、E とする)が大きいほど、弾
性体が制動子をガイドレールに押しつける力(以下、P
とする)を大きくする必要があり、、非常止め装置の重
量(以下、W とする)が大きくなる。
【0119】しかし、本発明の制動材を制動子として用
いた非常止め装置を用いると、制動子の摩擦係数が高い
ため、押しつけ力Pが有効に制動力に変換でき、かつ耐
摩耗性が優れるため、制動子の摺動面の摩耗が少なく、
押しつけ力Pの低下が少ない。従って、小さい押しつけ
力P、小さい非常止め装置で、大きな制動エネルギEを停
止することができる。制動子にFC250を用いている従来
装置と本実施例の装置との制動能力の比較を図14,15を
用いて説明する。
【0120】図14は、押しつけ力Pと制動エネルギEとの
比と、相対摩擦係数との関係を示すものである。本実施
例の非常止め装置は従来装置に比べ、P/Eで大幅な低下
が図れ、P/E値が0.015(kg/J)以下を達成することが可能
となった。
【0121】また、図15は非常止め装置Wと制動エネル
ギEとの比と、相対摩擦係数との関係を示すものであ
る。本実施例の非常止め装置は従来装置に比べ、W/Eで
大幅な低下が図れ、W/E値が0.00015(kg/J)以下を達成す
ることが可能となった。
【0122】なお、本発明の制動体を開発する際の相手
材は、上記実施例ではSS400を用いたが、本発明の制動
材は鉄系材料を相手材として優れた特性を発揮するもの
であり、相手材をSS400に限定するものではない。
【0123】
【発明の効果】本発明の制動体を用いた場合、以下の効
果が得られる。
【0124】本発明の制動体は摩擦係数が従来の約1.4
〜1.5倍と高く安定し、かつ耐摩耗性が従来の約9〜10倍
と優れるため、制動装置の信頼性と耐久性を高める。
【0125】本発明の制動体は摩擦係数が高く安定し、
かつ耐摩耗性が優れるため、高い面圧で使用することが
可能であり、制動装置の小型軽量化を達成できる。
【0126】本発明の制動材を制動装置のローター、パ
ッドに用いた場合、以下の効果が得られる。
【0127】本発明の制動体をローターとして用いれ
ば、摩擦係数が高く安定し、かつ耐摩耗性が高いため、
ローター寿命を増して制動装置としての信頼性と耐久性
が増し、かつ高い面圧で使用することが可能であるため
制動装置の小型軽量化を達成できる。
【0128】本発明の制動体をパッドとして用いれば、
摩擦係数が高く安定し、かつ耐摩耗性が高いため、パッ
ド寿命を増して制動装置としての信頼性と耐久性が増
し、かつ高い面圧で使用することが可能であるため制動
装置の小型軽量化を達成できる。 本発明の制動体をエ
レベーター非常止め装置の制動子として用いた場合、以
下の効果が得られる。
【0129】本発明の制動体を制動子として用いれば、
非常止め装置は従来の約1.4〜1.5倍の平均摩擦係数,約9
〜10倍の耐摩耗性が安定的に得られ、より小さな押し付
けバネで、停止可能である。さらに、摩耗量が約1/10で
あるため、用いるバネのバネ定数が小さくてすみ、変位
量の小さいばねの使用が可能である。このため、制動エ
ネルギの増大にもかかわらず、非常止め装置の重量を大
幅に増すことがない。その結果、メインロープの大径
化、駆動モータの大馬力化をする必要がなく、乗客人数
のアップ、消費エネルギの節約が可能である。さらに、
以上のような非常止め装置を搭載したエレベータは、非
常止め装置動作時の信頼性が高く、乗客の安全を確実に
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動体のP含有率と相対平均摩擦係数
及び相対摩耗率との関係図である。
【図2】本発明の制動体の摺動面におけるステダイト面
積率と相対平均摩擦係数及び相対摩耗率との関係図であ
る。
【図3】本発明の制動体の(P+Cr)含有率と相対平均摩擦
係数及び相対摩耗率との関係図である。
【図4】本発明の制動体の摺動面における(ステダイト
面積+セメンタイト面積)/グラファイト面積と相対平
均摩擦係数及び相対摩耗率との関係図である。
【図5】本発明の制動体におけるNiの含有率と400
℃におけるパーライト相の高温硬さとの関係図である。
【図6】本発明の一実施例に係る制動装置の概略斜視図
である。
【図7】図6の制動装置のI−I断面をA方向から見た
概略縦断面図である。
【図8】図6の制動装置のローターの概略斜視図であ
る。
【図9】図8のローターII−II断面をB方向から見たの
概略縦断面図である。
【図10】図6の制動装置にもちいた有機系パッドの概
略斜視図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る制動装置用パッド
の概略斜視図である。
【図12】本発明の制動体で作成した制動子を用いた非
常止め装置を装着したエレベータの概略斜視図である。
【図13】図12のエレベータ装置に用いる制動子の概
略斜視図である。
【図14】従来の非常止め装置と本発明の制動体を制動
子として用いた非常止め装置とを、ばね力Pと制動エネ
ルギEとの比と相対平均摩擦係数とで比較した図であ
る。
【図15】従来の非常止め装置と本発明の制動体を制動
子として用いた非常止め装置とを、装置重量Wと制動エ
ネルギEとの比と相対平均摩擦係数とで比較した図であ
る。
【符号の説明】
1…制動装置、2…ローター、3…キャリパー、4…キ
ャリパーボディー、5…パッド、6…非常止め装置、7
…乗りかご、8…メインロープ、9…制動子、10…ガ
イドレール、11…引き上げロッド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B66B 5/22 A (72)発明者 山田 俊宏 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動系を機械的摩擦力によって制動する制
    動装置に用い、鉄系材料、有機系材料、銅系材料のいず
    れかを摺動相手材とする制動体において、前記制動体
    は、少なくともCを3〜4wt%、Pを0.5〜2.0wt%、Crを1.0
    〜2.5wt%、Niを1.5〜4wt%含み、且つ前記相手部材と摺
    動する摺動部の金属組織が、少なくともグラファイト
    相、ステダイト相、セメンタイト相及びパーライト相を
    含む鉄合金であることを特徴とする制動体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の制動体において、前記ステ
    ダイト相と前記セメンタイト相とが網目状に析出してい
    ることを特徴とする制動体。
  3. 【請求項3】請求項1記載の制動体において、前記摺動
    部の金属組織を構成するグラファイト相の面積に対する
    ステダイト相とセメンタイト相を合わせた面積との比が
    0.5〜2.0であることを特徴とする制動体。
  4. 【請求項4】請求項1記載の制動体において、前記制動
    装置用制動体は、その摺動面の金属組織がステダイト相
    を面積率で5〜20%含む鉄合金であることを特徴とする制
    動体。
  5. 【請求項5】駆動機器に連結し回転運動をするロータ
    ー、該ローターに押圧して摺動し機械的な摩擦力によっ
    てローターを制動するパッド、該パッドを支持し前記ロ
    ーターに押し付ける支持部材を備えてなる制動装置に用
    いるローターにおいて、該ローターは、鉄合金製であ
    り、前記パッドと摺動する摺動部の金属組織が少なくと
    もグラファイト相、ステダイト相、セメンタイト相及び
    パーライト相を含むことを特徴とする制動装置用ロータ
    ー。
  6. 【請求項6】請求項5記載の制動装置用ローターにおい
    て、前記ステダイト相と前記セメンタイト相とが網目状
    に析出していることを特徴とする制動装置用ローター。
  7. 【請求項7】請求項5記載の制動装置用ローターにおい
    て、前記摺動部の金属組織を構成するグラファイト相の
    面積に対するステダイト相とセメンタイト相を合わせた
    面積との比が0.5〜2.0であることを特徴とする制動装置
    用ローター。
  8. 【請求項8】請求項5記載の制動装置用ローターにおい
    て、前記摺動部の金属組織がステダイト相を面積率で5
    〜20%含む鉄合金であることを特徴とする制動装置用ロ
    ーター。
  9. 【請求項9】請求項5記載の制動装置用ローターにおい
    て、前記摺動部は、少なくともCを3〜4wt%、Pを0.5〜2.
    0wt%、Crを1.0〜2.5wt%、Niを1.5〜4wt%含む鉄合金製で
    あることを特徴とする制動装置用ローター。
  10. 【請求項10】駆動機器に連結し回転運動をするロータ
    ー、該ローターに押圧して摺動し機械的な摩擦力によっ
    てローターを制動するパッド、該パッドを支持し前記ロ
    ーターに押し付ける支持部材を備えてなる制動装置に用
    いるパッドにおいて、該パッドは鉄合金製であり、前記
    ローターと摺動する摺動部の金属組織が少なくともグラ
    ファイト相、ステダイト相、セメンタイト相及びパーラ
    イト相を含むことを特徴とする制動装置用パッド。
  11. 【請求項11】請求項10記載の制動装置用パッドにお
    いて、前記ステダイト相と前記セメンタイト相とが網目
    状に析出していることを特徴とする制動装置用パッド。
  12. 【請求項12】請求項10記載の制動装置用パッドにお
    いて、前記摺動部の金属組織を構成するグラファイト相
    の面積に対するステダイト相とセメンタイト相を合わせ
    た面積との比が0.5〜2.0であることを特徴とする制動装
    置用パッド。
  13. 【請求項13】請求項10記載の制動装置用パッドにお
    いて、前記摺動部の金属組織がステダイト相を面積率で
    5〜20%含むことを特徴とする制動装置用パッド。
  14. 【請求項14】請求項10記載の制動装置用パッドにお
    いて、前記摺動部は、少なくともCを3〜4wt%、Pを0.5〜
    2.0wt%、Crを1.0〜2.5wt%、Niを1.5〜4wt%含むことを特
    徴とする制動装置用パッド。
  15. 【請求項15】駆動機器に連結し回転運動をするロータ
    ー、該ローターに押圧して摺動し機械的な摩擦力によっ
    てローターを制動するパッド、該パッドを支持し前記ロ
    ーターに押し付ける支持部材を備えてなる制動装置にお
    いて、前記ローターは請求項5乃至9のいずれかに記載
    のものを用いたことを特徴とする制動装置。
  16. 【請求項16】請求項15記載の制動装置において、前
    記パッドは鉄合金製であることを特徴とする制動装置。
  17. 【請求項17】駆動機器に連結し回転運動をするロータ
    ー、該ローターに押圧して摺動し機械的な摩擦力によっ
    てローターを制動するパッド、該パッドを支持し前記ロ
    ーターに押し付ける支持部材を備えてなる制動装置にお
    いて、前記パッドは請求項10乃至14のいずれかに記
    載のものを用いたことを特徴とする制動装置。
  18. 【請求項18】請求項17記載の制動装置において、前
    記ローターは鉄合金製であることを特徴とする制動装
    置。
  19. 【請求項19】駆動機器に連結し回転運動をするロータ
    ー、該ローターに押圧して摺動し機械的な摩擦力によっ
    てローターを制動するパッド、該パッドを支持し前記ロ
    ーターに押し付ける支持部材を備えてなる制動装置にお
    いて、請求項5乃至9のいずれかに記載のローターと請
    求項10乃至14のいずれかに記載のパッドを用いたこ
    とを特徴とする制動装置。
  20. 【請求項20】運転速度を制御するためのブレーキ装置
    を備えてなる車両において、前記ブレーキ装置は請求項
    1乃至4のいずれかに記載の制動体を備えたことを特徴
    とする車両。
  21. 【請求項21】運転速度を制御するためのブレーキ装置
    を備えてなる車両において、前記ブレーキ装置は請求項
    15至19のいずれかに記載の制動装置を備えたことを
    特徴とする車両
  22. 【請求項22】請求項20また21記載において、前記
    車両は、自動車、電車、自転車、オートバイのいずれか
    であることを特徴とする車両。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1178882A (ja) * 1997-04-28 1999-03-23 Alliedsignal Bremsbelag Gmbh 磁気レールブレーキ用焼結材料
JP2008127205A (ja) * 2006-11-16 2008-06-05 Inventio Ag ブレーキ装置、エレベータ装置、ブレーキ装置の機能を検出するための方法、および最新化セット
JP2010053926A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Toyota Motor Corp ディスクブレーキロータ及びその製造方法

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