JPH0819136B2 - 有機溶媒に可溶な金属含有組成物の製造法 - Google Patents

有機溶媒に可溶な金属含有組成物の製造法

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JPH0819136B2
JPH0819136B2 JP24469986A JP24469986A JPH0819136B2 JP H0819136 B2 JPH0819136 B2 JP H0819136B2 JP 24469986 A JP24469986 A JP 24469986A JP 24469986 A JP24469986 A JP 24469986A JP H0819136 B2 JPH0819136 B2 JP H0819136B2
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文生 内田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は金属カルボン酸塩とエタノールアミン類ある
いは脂肪族アミン類とをアルコール中で反応させ有機溶
媒に可溶な金属含有組成物を製造する方法に係わるもの
である。
[従来の技術] エタノールアミン類、あるいは脂肪族アミン類を配位
子とする金属錯化合物は、金属のハロゲン化物、硫酸
塩、硝酸塩、または過塩素酸塩を水あるいはアルコール
に溶解したのち、前述のアミン類を添加することにより
製造することができる。また金属アルコキシドと前述の
アミン類との反応により金属錯化合物を製造する方法も
知られている。これらの金属錯化合物は樹脂の架橋剤、
反応触媒、ニューガラス等への微量添加剤、あるいはニ
ューセラミックス分野における焼結助剤的な添加剤等と
して有用である。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら金属ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩ある
いは過塩素酸塩を用いた場合、得られる金属錯化合物は
結晶性のものが多く、有機溶媒に対する溶解性が小さい
ため、実用上制約されることが多い。しかも製造工程で
ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオンあるいは
過塩素酸イオンの混入が避けられず、使用に当たってこ
れら陰イオンの除去が必要となる場合がある。また金属
アルコキシドと前記アミン類との反応速度は遅く、工業
的製法としては適切なものではない。
本発明は上記のような状況に着目してなされたもので
あって、その目的は、有機溶媒に可溶な金属錯化合物を
より簡単にしかも工業的に有利に製造することのできる
方法を提供しようとするものである。
[問題点を解決するための手段] 上記の目的を達成することのできた本発明方法の構成
は、 (A):Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Al,In,Y,ランタン系元素よ
りなる群から選択される金属と、炭素数1〜4のカルボ
ン酸とからなる金属カルボン酸塩:1モルと、 (B):エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、エチレンジアミン、ジチレントリア
ミン、トリエチレンテトラミンよりなる群から選択され
るアミン:nモル(nは上記金属カルボン酸塩における金
属の酸化数を表す)、および (C):炭素数1〜4のカルボン酸:1〜nモル(nは上
記と同じ意味)を炭素数1〜4のアルコールを含む有機
溶剤に懸濁させ、50℃〜還流温度に加熱して均一な溶液
とするところに要旨を有するものである。
[作用] 本発明方法を実施するに当たっては、第II族のMg,C
a,Sr,Ba,Zn,Cd,第III族のAl,In,Y,ランタン系元素より
なる群から選択される金属カルボン酸塩とエタノール
アミン類あるいは脂肪族アミン類を酸化数nの金属塩1
モルに対しnモル及びC1〜C4の炭素数を有するカルボ
ン酸を金属塩1モルに対し1〜nモルの範囲で使用し、
これらをアルコール類あるいはまたアルコール類と芳香
族炭化水素の混合液に懸濁させ均一な溶液とるまで加熱
する。得られる均一な溶液はそのままでも使用すること
もできるが、必要によっては、上記反応工程で副生する
水、アルコール類あるいは芳香族炭化水素を蒸留により
除去することにより、有機溶剤に可溶な金属含有組成物
として実用化される。成分としてエタノールアミン類
を用いた場合得られる金属含有組成物は1700〜1500cm-1
のスペクトル領域に非環式アミドの赤外吸収帯及び1800
〜1700cm-1と1300〜1000cm-1のスペクトル領域にエステ
ルの赤外吸収帯をもち、また脂肪族アミン類を用いた場
合は、1700〜1500cm-1のスペクトル領域に非環式アミド
の赤外吸収帯をもつ、有機溶媒に可溶な金属含有組成物
として得られる。
尚本発明で使用される金属カルボン酸塩としては炭素
数C1〜C4を有するカルボン酸の塩があげられるが、工業
的に最も好ましいのは酢酸塩であるので以下酢酸塩を代
表的に取り上げて説明を進める。
本発明方法の実施にあたっては、第II族のMg,Ca,Sr,B
a,Zn,Cd、第III族のAl,In,Y,ランタン系元素よりなる群
から選択される酢酸塩と、エタノールアミン類あるいは
脂肪族アミン類を、酸化数nの金属塩1モルに対しnモ
ル及びC1〜C4の炭素数を有するカルボン酸を金属塩1モ
ルに対して1〜nモルの範囲、好ましくは1〜n/2モル
の範囲で配合し、これらをアルコール類あるいはアルコ
ール類と芳香族炭化水素の混合液に懸濁させたものを用
いる。使用するアルコール類としてはC1〜C4の炭素数を
有するアルコールが最も一般的であり、また芳香族炭化
水素としては一般にベンゼン、トルエンまたはキシレン
が使用される。これらの有機溶媒は、アルコール単独で
用いてもよく、あるいはアルコール−芳香族炭化水素の
混合液を用いてもどちらでもよい。混合液の場合、その
混合割合は如何なる割合でも反応それ自体には何らの影
響も及ぼさない。
アルコール単独で用いた場合と芳香族炭化水素との混
合液を用いた場合の違いは、反応工程で副生する水を除
去するときに現われ、共沸混合物となる場合水−アルコ
ールあるいは水−芳香族炭化水素の2成分系共沸混合物
として除去するよりも、水−アルコール−芳香族炭化水
素の3成分系共沸混合物とした方が共沸温度が10〜20℃
低下するため、水分の除去操作が簡単になる。
例えば、水−エチルアルコール系では、沸点が78.2℃
で4重量%の水分組成のものが、水−エチルアルコール
−ベンゼン系では沸点が64.9℃でおよそ7重量%の水分
組成となり、水−ベンゼン系では沸点が69.3℃で9重量
%の水分組成となる。
第II族のMg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,第III族のAl,In,Y,ラン
タン系元素よりなる群から選択される金属の酢酸塩は、
従来公知の方法、たとえば相当する酸化物もしくは炭酸
塩を酢酸水溶液に懸濁させ、次いで加熱することによっ
て得られる酢酸塩の水和物をN,N−ジメチルホルムアミ
ドに溶解あるいは懸濁させ、これに乾燥したベンゼンを
加えた後、ベンゼン−水共沸混合物を蒸留によって除く
ことによって得られる。このようにして得られた生成物
からN,N−ジメチルホルムアミドを留去すると、酢酸塩
の無水和物が得られる。
ランタノイド系元素のなかで酸化プラセオジム、酸化
テルビウムを出発物質とする場合は、水素還元などによ
りあらかじめ三二酸化物とした後、前述の方法を適用す
ることにより酢酸塩を得ることができる。また酸化セリ
ウム(IV)は炭酸セリウム(III)にした後、前述の方
法で酢酸塩とすることができる。
酢酸亜鉛の場合、硝酸亜鉛の6水和物を無水酢酸と共
に加熱反応させ、冷却後生成する白色結晶を濾別し無水
酢酸およびエーテルで洗浄した後真空中で水酸化ナトリ
ウムおよび濃硫酸で乾燥すると、酢酸塩の無水和物が得
られる。
また酢酸マグネシウムは、酢酸水溶液に炭酸マグネシ
ウムを溶かし、濾過したのち濾液にエチルアルコール:
エーテルの等量混合物を加え、析出する四水和物の結晶
を130〜140℃で重量減少が見られなくなるまで加熱する
と無水和物として得られる。
本発明における特徴は上記のようにして調製される第
II族のMg,Ca,Ba,Sr,Zn,Cd,第III族のAl,In,Y,ランタン
系元素よりなる群から選択される金属酢酸塩の無水和物
と特定のアミン及びC1〜C4の炭素数を有するカルボン酸
を、C1〜C4の炭素数を有するアルコールあるいはアルコ
ール−芳香族炭化水素の混合液に懸濁させ均一な溶液と
なるまで加熱するところにある。加熱温度は室温より高
ければ如何なる温度でもよいが、工業的には50℃以上か
ら還流温度までが好ましい。
本発明において使用されるエタノールアミン類はモノ
エタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタ
ノールアミンであり、脂肪族アミン類としてはエチレン
ジアミン、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテ
トラミンが挙げられる。
また使用されるカルボン酸はC1〜C4の炭素数を有する
カルボン酸であれば、いずれを用いてもよく、金属塩を
構成するカルボン酸と同一の炭素数を有する酸を用いる
のが最も一般的であるが、炭素数の互いに相違する金属
カルボン酸塩とカルボン酸を組合せて使用することも勿
論可能である。その添加量は酸化数nの金属塩1モルに
対し、1〜nモルの範囲、好ましくは1〜n/2モルの範
囲とするのがよい。さらにアルコールと芳香族炭化水素
との混合液は、如何なる組合せでも何ら反応生成物の特
性に影響を与えない。
このようにして得られる均一な溶液はそのまま使用す
ることもできるが、必要であれば、さらに蒸留してアミ
ド化あるいはエステル化反応等により副生する水とアル
コールあるいは芳香族炭化水素を、共沸混合物として除
去できるものであれば共沸混合物として、また共沸混合
物となりえないものであればそれぞれを単独に除去し、
金属含有組成物を得る。このようにして得られた組成物
は、エタノールアミン類を用いた場合1700〜1500cm-1
スペクトル領域に非環式アミドの赤外吸収帯及び1800〜
1700cm-1と1300〜1000cm-1のスペクトル領域にエステル
の赤外吸収帯をもち、脂肪族アミン類を用いた場合1700
〜1500cm-1のスペクトル領域に非環式アミドの赤外吸収
帯をもつ。またこの組成物は、例えば芳香族炭化水素、
パラフィン系及びオレフィン系炭化水素、酢酸エステ
ル、イソプロピルエーテル、石油エーテル、クロロホル
ム、四塩化炭素には不溶性でアルコール類、アセトンに
よる難溶性であるが、ジエチルエーテルやN,N−ジメチ
ルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テ
レピネオール、ブチルカルビトールには易溶性であり、
取扱いの容易な有機溶剤溶液として用いることができ
る。
[実施例] 以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、
本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるも
のではない。
実施例1 酸化イットリウム(Y2O3)113g(0.5モル)(日本イ
ットリウム社製)を4lの50%酢酸水溶液に溶かし、未溶
解のものがあれば濾別する。得られた水溶液を70〜80℃
の温度に加熱して水を蒸発させ、酢酸イットリウム結晶
を得る。
このようにして得た酢酸イットリウムの水和物を真空
中150〜180℃で加熱して酢酸イットリウムの無水和物を
得る。この無水和物とトリエタノールアミン450g(3モ
ル)及び酢酸90g(1.5モル)をメチルアルコール1と
ベンゼン1の混合液に懸濁させ、均一な溶液となるま
で55〜60℃の範囲で加熱する。反応に当たっては、溶媒
の揮散を防ぐため還流装置を付けておく。加熱する前の
懸濁液は白色の結晶状固体がスラリー状で分散したもの
であるが、加熱することによりおよそ10〜15時間で白色
ゲル状の固体となり、25時間経過後にはゲル状固体が次
第に溶解し始め、およそ30時間で均一な溶液となる。こ
の反応生成物は溶液のままでも使用することができる
が、さらに副生する水とメチルアルコール及びベンゼン
を蒸留により除去すると、有機溶剤に可溶なイットリウ
ム含有組成物とて得られる。この組成物は1630cm-1に非
環式アミドの赤外吸収及び1730cm-1と1250cm-1、1080cm
-1にエステルの赤外吸収をもち、さらに芳香族炭化水
素、パラフィン系及びオレフィン系炭化水素、酢酸エチ
ル、イソプロピルエーテル、石油エーテル、クロロホル
ム、四塩化炭素には不溶性で、アルコール類、アセトン
には難溶性であるがジエチルエーテル、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テレ
ピネオール、およびブチルカルビトールには易溶性であ
る。
実施例2 酢酸ガドリニウム・4水和物[Gd(CH3COO)3・4H2O]4
06g(1モル)(岸田化学社製)を、乾燥した4lのN,N−
ジメチルホルムアミドに溶解させる。ついで5lの乾燥し
たベンゼンを加えた後、ベンゼン−水共沸混合物を蒸留
により除く。母液を蒸留乾固させると生成物[Gd(CH3CO
O)3・DMF](ただしDMF:N,N−ジメチルホルムアミド)
が得られる。このものを200〜210℃に加熱してDMFを除
去すると、酢酸ガドリニウムの無水和物[Gd(CH3CO
O)3]が得られる。
この無水和物とモノエタノールアミン183g(3モル)
及び酢酸90g(1.5モル)をエチルアルコール1とトル
エン1の混合液に懸濁させ、液中の白色結晶状固体が
均一に溶解するまで、およそ25時間加熱還流する。10〜
15時間経過すると反応液は白色ゲル状固体となり、25時
間ほどで均一な溶液となる。この溶液はそのまま使用し
得るが、さらに蒸留して副生すると水とエチルアルコー
ル、およびトルエンを除去すると、粘稠液状のガドリニ
ウム含有組成物が得られる。
このガドリニウム含有組成物は1630cm-1と1580cm-1
アミドの赤外吸収を、また1720cm-1と1240cm-1及び1060
cm-1にエステルの赤外吸収をもち、芳香族炭化水素、パ
ラフィン系及びオレフィン系炭化水素、酢酸エチル、イ
ソプロピルエーテル、石油エーテル、クロロホルム、四
塩化炭素には不溶性でアルコール類、アセトンには難溶
性であるがジエチルエーテルおよびN,N−ジメチルホル
ムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テレピネ
オール、ブチルカルビトールには易溶性である。
第1図には上記で得たガドリニウム含有組成物の赤外
線吸収スペクトルを示す。
比較例1 蟻酸イットリウム・2水和物[Y(HCOO)3・2H2O]260g
(1モル)(岸田化学社製)を実施例2の酢酸ガドリニ
ウム・4水和物の代りに使用し、以下実施例2と同様に
して無水和物を得る。この無水和物とジエタノールアミ
ン315g(3モル)をエチルアルコール1とベンゼン1
の混合液に懸濁させ、カルボン酸を加えることなく加
熱還流した。ところが結晶状沈殿物はゲル状沈殿物に変
化はするものの、還流時間が長くなるにつれてゲル状沈
殿物が増加し20時間後にはほとんど全体がゲル化した。
このゲルはジエチルエーテルやジメチルホルムアミド、
ピリジン、ジメチルスルホキシド、テレピネオール、ブ
チルカルビトールにも不溶であった。
比較例2 比較例1と同様にして調製した蟻酸イットリウムとジ
エタノールアミン315g(3モル)及び蟻酸69g(1.5モ
ル)をエチルアルコール1とベンゼン1に懸濁させ
均一な溶液となるまで加熱することなく、蒸留すること
によりエチルアルコール、及びベンゼンを除去した。
得られる生成物はゲル状物質であり、1730cm-1と1060
cm-1に何とか確認できる程度のエステルの赤外吸収を有
しているものの、アミドの赤外吸収は確認できなかっ
た。しかもアルコール類、芳香族炭化水素、N,N−ジメ
チルホルムアミド等の有機溶媒には難溶性のものであっ
た。
実施例3 硝酸亜鉛6水和物[Zn(NO3)2・6H2O]297g(1モル)
(岸田化学社製)を1200mlの無水酢酸と反応させた後、
さらに10〜20分間煮沸する。しばらく放置した後析出す
る結晶を冷時吸収濾過し少量の無水酢酸で洗浄し、さら
にエーテルで洗浄したのちデシケーター中で水酸化カリ
ウムおよび濃硫酸で乾燥すると、無水酢酸亜鉛が得られ
る。
この無水酢酸亜鉛とモノエタノールアミン122g(2モ
ル)及びプロピオン酸74g(1モル)をイソプロピルア
ルコール1とトルエン1の混合液に懸濁し55〜60℃
の範囲で加熱する。反応容器には溶媒の揮散を防ぐため
還流装置をつけておく。加熱を続けると、液中に存在す
る白色結晶状固体は次第にゲル状となり、15〜20時間で
淡黄色を呈する均一な溶液となる。この生成物は溶液の
ままでも使用できるが、さらに蒸留して副生する水とイ
ソプロピルアルコール及びトルエンを除去すると、粘稠
液状の亜鉛含有組成物が得られる。得られた亜鉛含有組
成物は1640cm-1と1570cm-1にアミドの赤外吸収をまた、
1710cm-1と1260cm-1及び1090cm-1にエステルの赤外吸収
をもち、有機溶媒に対する溶解性においては実施例1の
場合と同様の結果を示した。
実施例4 20%酪酸水溶液1に炭酸マグネシウム(MgCO3)84g
(1モル)(岸田化学社製)を溶かし、濾過した後濾液
を濃硫酸デシケーター中で蒸発濃縮すると、酪酸マグネ
シウムの四水和物が析出する。この四水和物を重量が一
定となるまで130〜135℃で加熱すると無水和物となる。
かくして得た酪酸マグネシウム無水和物とジエタノー
ルアミン210g(2モル)及び酪酸88g(1モル)を第2
級ブチルアルコール1とキシレン1の混合液に懸濁
させ60〜65℃で加熱する。反応容器には溶媒の揮散防止
のため還流装置を付けておく。反応を続けると、液中に
存在する白色結晶状固体は次第にゲル状となり、20〜25
時間で淡赤褐色の均一溶液となる。この溶液はそのまま
でも使用できるが、さらに蒸留して副生する水、第2級
ブチルアルコール及びキシレンを除去すると、粘稠な液
状のマグネシウム含有組成物が得られる。この組成物は
1650cm-1と1573cm-1にアミドの赤外吸収を、また1735cm
-1と1258cm-1及び1100cm-1にエステルの赤外吸収をも
ち、有機溶媒に対する溶解性においては実施例1の場合
と同様の結果を示した。
実施例5 硝酸インジウム・3水和物[In(NO3)3・3H2O]355g
(1モル)(岸田化学社製)を無水酢酸1000mlと反応さ
せ、反応終了後更に10〜20分間煮沸する。析出する結晶
を冷時吸引濾過し、少量の無水酢酸で洗浄した後エーテ
ルで洗浄してから減圧デシケーター中で水酸化カリウム
および濃硫酸で乾燥すると無水酢酸インジウムが得られ
る。
この酢酸インジウムとエチレンジアミン180g(3モ
ル)および酢酸60g(1モル)を、イソプロピルアルコ
ール1とベンゼン1の混合液に懸濁させ加熱還流す
る。反応の進行に伴って白色結晶状固体は3〜5時間後
に最大量となるが、その後次第に溶解し、20〜25時間後
には均一な溶液となる。この溶液はそのままでも使用で
きるが、さらに蒸留によって副生する水と、イソプロピ
ルアルコール及びベンゼンを除去すると、粘稠液状のイ
ンジウム含有組成物が得られる。この組成物は1610cm-1
と1540cm-1にアミドの赤外吸収帯をもち、芳香族炭化水
素、パラフィン系及びオレフィン系炭化水素、酢酸エチ
ル、イソプロピルエーテル、石油エーテル、クロロホル
ム、四塩化炭素には不溶性でアルコール類、アセトンに
は難溶性であるが、ジエチルエーテル、およびN,N−ジ
メチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシ
ド、テレピネオール、ブチルカルビトールには易溶性の
ものであった。
実施例6 アルミニウムエトキシド[Al(OC2H5)3]162g(1モ
ル)(岸田化学社製)に無水酢酸850mlを滴下した後、
加熱することにより反応を促進させる。反応混合物を冷
却すると白色の酢酸アルミニウムが得られる。これを減
圧下に100℃で5時間乾燥して酢酸アルミニウムを得
た。この酢酸アルミニウムとジエチレントリアミン309g
(3モル)及び酢酸90g(1.5モル)をエチルアルコール
1とトルエン1の混合液に懸濁させ均一な溶液とな
るまで加熱還流する。この溶液はそのままでも使用でき
るが、さらに蒸留することにより副生する水と、エチル
アルコール及びトルエンを除去すると、粘稠液状のアル
ミニウム含有組成物が得られる。この組成物は1645cm-1
と1570cm-1にアミドの赤外吸収をもち、芳香族炭化水
素、パラフィン系及びオレフィン系炭化水素、酢酸エチ
ル、イソプロピルエーテル、石油エーテル、クロロホル
ム、四塩化炭素には不溶性で、アルコール類、アセトン
には難溶性であるが、ジエチルエーテルおよびN,N−ジ
メチルホルムアミド、ピリジン、ジメチルスルホキシ
ド、テレピネオール、ブチルカルビトールには易溶性で
あった。
また、トリエチレンテトラミン438g(3モル)をジエ
チレントリアミンに代えて使用した以外は実施例6と同
様の操作を行って得られるアルミニウム含有組成物も、
1650cm-1と1565cm-1にアミドの赤外吸収をもち、また有
機溶媒に対する溶解性も実施例6と同様であった。
[発明の効果] 本発明は以上の様に構成されており、その効果を要約
すれば次の通りである。
(1)通常の金属錯化合物は結晶性のものが多く、有機
溶媒に対する溶解性が小さいため用途に制約があるが、
本発明によれば、第II族のMg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,第III族
のAl,In,Y,ランタン系元素から選択される金属カルボン
酸塩とエタノールアミン類または脂肪族アミン類及びカ
ルボン酸から有機溶媒に可溶な金属含有組成物を得るこ
とができる。
(2)第II族のMg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,第III族のAl,In,Y,
ランタン系元素から選択される金属カルボン酸塩と、エ
タノールアミン類または脂肪族アミン類及びカルボン酸
から得られる有機溶媒に可溶な金属含有組成物は、ジエ
チルエーテルあるいはN,N−ジメチルホルムアミド、ピ
リジン、ジメチルスルホキシド、テレピネオール、ブチ
ルカルビトールのような易溶性の溶媒に溶解して使用す
ることによって、樹脂の架橋剤、反応触媒、ニューガラ
ス等への微量添加剤、ニューセラミックス分野での焼結
助剤的な添加剤として極めて有効に活用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2で得たガドリニウム含有組成物の赤外
線吸収スペクトルを示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07F 5/00 G 7457−4H J 7457−4H 5/06 Z 7457−4H

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A):Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Al,In,Y,ラン
    タン系元素よりなる群から選択される金属と、炭素数1
    〜4のカルボン酸とからなる金属カルボン酸塩:1モル
    と、 (B):エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
    エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリ
    アミン、トリエチレンテトラミンよりなる群から選択さ
    れるアミン:nモル(nは上記金属カルボン酸塩における
    金属の酸化数を表す)、および (C):炭素数1〜4のカルボン酸:1〜nモル(nは上
    記と同じ意味)を炭素数1〜4のアルコールを含む有機
    溶剤に懸濁させ、50℃〜還流温度に加熱して均一な溶液
    とすることを特徴とする有機溶媒に可溶な金属含有組成
    物の製造法。
JP24469986A 1986-10-14 1986-10-14 有機溶媒に可溶な金属含有組成物の製造法 Expired - Lifetime JPH0819136B2 (ja)

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