JPH08189018A - レール等の洗浄装置 - Google Patents

レール等の洗浄装置

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JPH08189018A
JPH08189018A JP2107995A JP2107995A JPH08189018A JP H08189018 A JPH08189018 A JP H08189018A JP 2107995 A JP2107995 A JP 2107995A JP 2107995 A JP2107995 A JP 2107995A JP H08189018 A JPH08189018 A JP H08189018A
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善雄 月川
Kazunori Kawasaki
和徳 川崎
Tadahiko Takatsuka
忠彦 高塚
Yuzuru Onishi
譲 尾西
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非接触でレール頭頂部に付着している塊状化
した塗油を確実に除去できる洗浄装置を提供する。 【構成】 走行台車10上に、高圧ポンプ装置、その駆
動用エンジンからなる加圧洗浄水の供給装置を搭載し、
加圧洗浄水噴射機構35を、走行台車10から下向きに
垂直リニアガイド41を介して昇降可能に吊設するとと
もに、その昇降用のエアシリンダ42を設け、加圧洗浄
水噴射機構35は、各レールR上に沿って転動するガイ
ド輪36を備えたガイド輪支持枠37と、このガイド輪
支持枠37に支持され、レールRの頭部内側面に対し走
行台車10の走行方向に傾斜する向きに噴射口を臨ま
せ、前期供給装置の加圧洗浄水吐出口に配管を介して接
続された高圧ノズル38とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主として鉄道におい
てレールの頭部内側面に付着した塗油を除去するための
洗浄装置と、塗油の除去と併せてレールの締結部および
枕木を含む道床を洗浄するための洗浄装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】上記した鉄道の車両においては、通常、
レールの曲線部分で車輪のフランジ面との摩擦を軽減し
て摩耗等を防止するため、車輪のフランジ面あるいはレ
ールの頭部内側面に油を噴射して塗布しながら走行して
いる。しかし、この塗油は、レールと車輪のフランジと
の摩擦により生じた鉄粉や粉塵等を吸着して塊状化し、
主にレールの頭部内側面に付着するので、導通不良等、
列車の運行に支障を来すことがある。このため、塊状化
した塗油を定期的に除去する必要がある。また、曲線部
分に限らず直線部分でも、走行時に車輪とレールとの摩
擦で鉄粉が生じ、粉塵等ととも道床上に飛散されるの
で、道床が汚損される。とくに地下鉄の場合には、車両
の走行空間が狭いために、道床(普通はコンクリート製
道床)が汚損されると、車両の走行環境に悪影響を及ぼ
すおそれがあるので、道床上の洗浄も定期的に行われて
いる。
【0003】従来、それらの作業は、深夜帯に人手作業
で行われているが、人力に頼るために作業能率が非常に
わるく、しかも作業時間に制限があるため、作業期間も
非常に長くなる。そこで、最近、上記作業を自動的に行
う装置が開発されている。この種の先行技術として、た
とえば特開平1−237258号公報に記載のレール塗
油除去清掃装置と、特開平5−311999号公報に記
載の坑内清掃車とがある。
【0004】前者は、レール上を走行可能な台車上にポ
ンプおよび洗浄水タンクを搭載し、モータで駆動される
回転ブラシをレールの頭部内側面に接触させるととも
に、洗浄水タンクからの洗浄水をポンプで加圧して噴射
ノズルによりレールと回転ブラシの接触部に噴射させる
構造の装置である。
【0005】後者は、シールド工法等により掘削された
坑内の足場板やセグメント壁の土砂や塵埃を洗浄するた
めの清掃車で、坑内を走行するバッテリーカーに、洗浄
水タンクおよび加圧ポンプを搭載した台車を連結し、加
圧ポンプには先端に高圧清掃ノズルを備えた高圧ホース
を接続した構造からなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の洗浄装置では、下記のような点で不都合ある
いは改良の余地がある。
【0007】 前者:レールに回転ブラシを接触させ
て洗浄するため、回転ブラシが摩耗し易く頻繁に交換す
る必要がある。また、接触式洗浄方法であるため、鉄道
の種類や摩耗状況などによってレール頭頂部の形状や寸
法が変わると、回転ブラシの向きや位置を調整しなけれ
ばならない。
【0008】 後者:洗浄対象が足場板やセグメント
壁の土砂や塵埃であるため、レールに付着した塗油の除
去に適用しても除去するのは困難である。また、洗浄範
囲が狭いために、道床を洗浄する場合にも全面的に洗浄
することができない。
【0009】この発明は上述の点に鑑みなされたもの
で、非接触でレール頭頂部に付着している塊状化した塗
油を確実に除去できる洗浄装置を提供することを第1の
目的とし、またレールから除去され道床上に散在した塗
油や鉄粉、粉塵などを道床の全面にわたって洗浄して除
去できる洗浄装置を提供することを第2の目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るためにこの発明の洗浄装置は、a)走行台車に搭載さ
れ、走行しながらレール等の洗浄を行う装置であって、
b)前記走行台車上に、加圧ポンプ装置などからなる加圧
洗浄水の供給装置を搭載し、c)加圧洗浄水噴射機構を、
前記走行台車から下向きに垂直方向ガイドを介して昇降
可能に吊設するとともに、その昇降用の昇降装置を設
け、d)前記加圧洗浄水噴射機構は、各レール上に沿って
転動するガイド輪を備えたガイド輪支持枠と、このガイ
ド輪支持枠に支持され、レールの頭部内側面に対し前記
走行台車の走行方向に傾斜する向きに噴射口が臨み、前
記供給装置の加圧洗浄水吐出口に配管を介して接続され
た加圧ノズルとを備えている。
【0011】請求項2記載のように、e)前記加圧洗浄水
噴射機機構、前記ガイドおよび前記昇降装置を共通のケ
ーシング内に配置し、f)そのケーシングを前記走行台車
に対し水平方向ガイドを介して幅方向に移動自在に配設
するとともに、前記ケーシングの幅方向の両側にその移
動に抗する弾性部材を設けることが望ましい。
【0012】請求項3記載のように、g)前記昇降装置に
エアシリンダを使用し、このエアシリンダ本体の上端を
前記ケーシングに取り付け、h)前記加圧洗浄水噴射機構
をそのエアシリンダのピストンロッド下端に吊持すると
よい。
【0013】上記第2の目的を達成するために請求項4
記載の洗浄装置は、請求項1、2又は3記載の洗浄装置
において、i)複数の第2加圧ノズルを、加圧洗浄水の噴
射部の軌跡が円を描くように且つ前記レールの締結部と
枕木を含む道床の全面を覆うように、前記第2加圧ノズ
ル上方の位置を中心にして回転自在かつ下向きに傾斜さ
せ且つ前記走行台車の下面にその幅方向および走行方向
に一定の間隔をあけて配置している。
【0014】請求項5記載のように、j)前記走行台車上
に、レール洗浄用の加圧ポンプおよびその駆動用エンジ
ン、道床洗浄用の加圧ポンプおよびその駆動用エンジ
ン、制御用電源の発電機およびその駆動用エンジンを搭
載するのがよい。
【0015】請求項6記載のように、k)前記走行台車上
に補助タンクを搭載するとともに、タンク車を前記走行
台車と連結し、そのタンク車のタンクと前記補助タンク
とを配管で接続することができる。
【0016】
【作用】上記の構成を有する本発明の洗浄装置によれ
ば、レールの洗浄作業位置までは昇降装置により加圧洗
浄水噴射機構をレールから上方へ引き上げた状態で、走
行台車を走行させる。そして洗浄作業位置に到達したと
きに、昇降装置により加圧洗浄水噴射機構を下降させ、
ガイド輪をレール上に載置する。この状態で、本体に支
持された加圧ノズルの噴射口の向きが、レールの頭部内
側面の直角方向に対し走行台車の走行方向に傾斜する。
ここで、走行台車上の加圧洗浄水供給装置から加圧洗浄
水を加圧ノズルに送給し、加圧ノズルから噴射させると
同時に、走行台車をレールに沿って一定の速度で走行さ
せて、洗浄作業を開始する。 これにより、図5(d)に示すように、レール頭頂部の内
側面に付着している塗油に対し、一種の剪断力が作用し
てレールの付着面から塊状化した塗油が剥離され除去さ
れる。また走行時に加圧洗浄水噴射機構はレール上を転
動するガイド輪で案内されるので、直線部分はもちろん
のこと曲線部分でもレールの頭部内側面と加圧ノズル
(の噴射口)との間隔および加圧ノズルの向きが常に一
定に保たれ、レールの塗油に作用する加圧洗浄水の噴射
力がほぼ一定に保たれ、作業が安定する。しかも、各レ
ールごとにガイド輪が設けられているから、各レールに
沿ってガイド輪が独立して転動し、他方のレール上を転
動するガイド輪の影響を受けない。
【0017】とくに請求項2記載の洗浄装置によると、
たとえば走行台車の走行時に横揺れが生じたとしても、
走行台車に対し加圧洗浄水噴射機構(のケーシング)が
水平方向ガイドに沿って水平方向に相対的に移動(変
位)するから、加圧洗浄水噴射機構(の加圧ノズル)は
レールに沿って案内されるガイド輪によって、常にレー
ルに沿った位置に規制される。また、走行台車に対する
加圧洗浄水噴射機構(のケーシング)の水平方向の相対
移動(変位)が、スプリング等の弾性部材で吸収・緩和
されながら行われるため、相対移動時の揺動が小さく、
スムーズに相対移動がなされる。
【0018】さらに請求項3記載の洗浄装置によりエア
シリンダによる引き上げ力を加圧洗浄水噴射機構に作用
させず、その自重でガイド輪をレール上に載置しておく
と、たとえば走行台車の走行時に車体が上下方向に揺れ
たり振動したりしても、台車側の上下動はエアシリンダ
で吸収・緩和され、加圧洗浄水噴射機構には伝達されな
いため、加圧ノズルの垂直方向の位置が変化せず、また
レールの走行(路)面に起伏があっても、その起伏に応
じてガイド輪が垂直方向に変化しながら移動するので、
加圧洗浄水噴射機構(加圧ノズル)のレール頭頂部に対
する垂直方向の位置は変化しない。
【0019】請求項4記載の洗浄装置では、走行台車が
レール上を走行するのに伴って道床の全面が隈無く洗浄
されるが、複数の第2加圧ノズルによって洗浄範囲を分
担させ、且つ各第2加圧ノズルをその上方を支点として
円を描くように回転させることにより、噴射される加圧
洗浄水は噴射口から一直線状に噴射され、道床に衝突す
るので、かなり強い噴射力が得られる。また第2加圧ノ
ズルの噴射口の向きを下向きに傾斜させたことにより、
道床に対し直角方向に噴射口を臨ませた場合に比べて洗
浄領域が広がり、比較的少数の第2加圧ノズルで道床の
全面が洗浄される。
【0020】請求項5記載の洗浄装置では、レール頭頂
部の塗油除去用の加圧ポンプとその駆動用エンジンおよ
び道床洗浄用の加圧ポンプとその駆動用エンジン、制御
用電源の発電機とその駆動用エンジンの全てを走行台車
上に搭載しているから、バッテリーカーなどのポンプ等
駆動専用の車両を連結する必要がない。
【0021】請求項6記載の洗浄装置では、洗浄作業時
に走行台車上の補助タンクに、タンク車のタンク内の洗
浄水を必要量ずつ給水しながら作業を行うため、走行台
車上の洗浄水タンクの容量が最小限で済み、加圧ポンプ
装置などからなる洗浄水供給装置のスペースに有効に利
用できる。
【0022】
【実施例】以下、この発明にかかるレール等の洗浄装置
の実施例を図面に基づいて説明する。
【0023】図1は地下鉄道用の洗浄装置の全体を概略
的に示す右側面図である。図2は洗浄装置の主要部を構
成する地下鉄道用の走行台車(洗浄車)を示す右側面
図、図3は図2の走行台車の平面図、図4は図2の走行
台車の正面図である。
【0024】図1に示すように、本例の洗浄装置1は、
自走式洗浄車2と水タンク車6とからなり、水タンク車
6は洗浄車2の進行方向(図の右方向)側に連結具4を
介して連結されている。水タンク車6は非自走式車両
で、タンク61が走行台車60上に搭載されている。ま
た、タンク61と洗浄車2の後述する補助タンク15と
が、給水ホース62で接続されている。
【0025】図2〜図4に示すように、洗浄車2はその
走行台車10上に、加圧洗浄水の供給装置11が架台1
1aを介して搭載されている。また走行台車10上で、
供給装置11の後方に運転室12が設置されている。さ
らに走行台車10の後端部下面に、道床洗浄用の回転ノ
ズルユニット13が装備され、この回転ノズルユニット
13の前端部両側から、レール頭頂部洗浄用の高圧ノズ
ルユニット14がレールRの頭頂部付近にかけて吊設さ
れている。供給装置11は、走行台車10上にその進行
方向側から順に搭載された補助タンク(サービスタン
ク)15、発電機16、道床洗浄用の中圧ポンプ装置1
7およびレール頭頂部洗浄用の高圧ポンプ装置18を備
えている。発電機16は制御用電源として使用されるも
ので、ディーゼルエンジン(図示せず)が内蔵されてい
る。また中圧ポンプ装置17はディーゼルエンジン19
を、高圧ポンプ装置18はディーゼルエンジン20を、
それぞれ内蔵している。
【0026】なお、ディーゼルエンジン19を大排気量
にして、走行台車2の駆動装置を兼用させることもでき
る。また中圧ポンプ装置17には、エアコンプレッサ2
1が内蔵されている。さらに各ディーゼルエンジン19
・20等の排気ガス用排気管22〜24が、図2のよう
に走行台車10の下面よりL状に延設されている。
【0027】上記のように構成された供給装置11は、
筺体状の防音カバー25で全体的に覆われており、この
防音カバー25の前面の上端部中央に吸気装置26が、
後面の上端部中央に排気装置27がそれぞれ設けられて
いる。また防音カバー25の屋根の前端部中央のほか、
運転室12の後面上端部両側および走行台車10の後端
中央部に、照明器28がそれぞれ装着されている。図2
に示すように、走行台車10の走行輪29・30のう
ち、前部走行輪29は駆動モータ29aに連結して駆動
輪に構成している。また、中圧ポンプ装置17の吐出口
と回転ノズルユニット13の共通の供給口とが配管31
で接続され、また高圧ポンプ装置18の吐出口と両側の
高圧ノズルユニット14とが分岐部33・分岐ホース3
3aを介して配管32で接続されている。
【0028】図5・図6に示すようにレール頭頂部洗浄
用の高圧ノズルユニット14は、走行台車10から昇降
可能に下向きに吊設された加圧洗浄水噴射機構35を備
えている。この加圧洗浄水噴射機構35は、レールRの
頭頂部の形状に対応する溝部36aを有しレールR上に
沿って転動するガイド輪36と、このガイド輪36を下
端部に回動自在に軸支したガイド輪支持枠37と、この
ガイド輪支持枠37に支持された高圧ノズル38とを備
えている。高圧ノズル38は、図5(a)のように上下2
段の噴射口38aを備え、ガイド輪支持枠37から下方
に突出させたうえ、図5(b)のように、本例ではレール
Rの内側面に対する垂直線から前方(洗浄車2の進行方
向)へ30゜傾斜させて支持されている。また高圧ノズ
ル38からの洗浄水の飛散を防止するため、断面L状の
カバー39がガイド輪支持枠37の前面から前方へ張り
出して取り付けられている。
【0029】ガイド輪支持枠37は、前方を開放したケ
ーシング40内の後面に垂直リニアガイド41を介して
昇降自在に支持され、ケーシング40内の上面に本体4
2aの一端を枢支具43により枢支したエアシリンダ4
2のピストンロッド42bの下端に枢支具44により枢
支されている。ガイド輪支持枠37の後板37aの上端
に係止部材45aが突設され、この係止部材45aに係
止可能なロック用エアシリンダ46のピストンロッド4
6aがケーシング40の後面の上部に出没自在に装着さ
れている。ガイド輪支持枠37の昇降は、エアシリンダ
本体42aに加圧エアを供給することにより行われる。
このため、レールR上にガイド輪36を載置した状態
で、ガイド輪36はレールRの起伏や凹凸などに応じて
円滑に上下動する。
【0030】ケーシング40は、走行台車10側の車体
に固定される取付座47に、水平リニアガイド48を介
して水平方向に移動自在に支持され、また取付座47の
両側から前方へ張設された一対の支持板49・49の穴
に、ケーシング40の両側に突設した支持棒50を緩挿
して水平方向に移動自在に支持するとともに、各支持棒
50の周囲に巻装したスプリング51を縮装させること
によってケーシング40の水平移動に抗させ、ケーシン
グ40が不用意に移動したり移動時に衝撃が生じたりす
るのを防止している。
【0031】図6(b)は高圧ノズル38の噴射口38a
から噴射され、レールR頭頂部の内側面に付着している
塗油を除去する高圧洗浄水の力と方向(ベクトル)の関
係を示すもので、高圧洗浄水のベクトルsはレールRに
平行な方向(洗浄車2の進行方向)の力fの二乗とレー
ルRに直角な方向の力mの二乗との和の平方根であり、
洗浄車2の走行時のレールRに平行な方向(洗浄車2の
進行方向)の力Fが加算され、高圧洗浄水はベクトルS
でレールRの塗油に作用することになる。このため、レ
ールRに付着する塗油に剪断力(f+F)が有効に作用
し、塗油がレールR頭頂部の内側面から効果的に剥離さ
れ除去される。
【0032】図7(a)に示すように、道床洗浄用の回転
ノズルユニット13は、走行台車10(図3)の後端部
下面に配置された複数個の中圧ノズル55を備え、各中
圧ノズル55はその噴射口の中心線を水平面から斜め下
向けに傾斜させるとともに、噴射口が図7(b)に示す如
くその上方延長線上の定位置を中心(支点)oにして円
を描くように回転する。本例では、道床Dは、レールR
が締結されるコンクリート製枕木E、この枕木Eが設置
されるバラスト(道床本体)Bからなり、上記の中圧ノ
ズル55により道床Dが全面的に洗浄される。すなわ
ち、上記9個の中圧ノズル55は、レールRと平行な方
向およびレールRに直交する方向に一定の間隔をあけ、
且つ図7(b)のように洗浄車2(図2)がレールRに沿
って走行することにより、枕木E上のレールRの締結部
を含めて道床Dの全面が洗浄されるように配置されてい
る。
【0033】なお、各中圧ノズル55を円を描くように
回転させるだけでなく、支点oを中心にレールRと直交
する方向(洗浄車2の幅方向)に所定範囲内で揺動させ
るようにすれば、レールのポイント切換部を含めて道床
を洗浄することができる。
【0034】次に、上記のようにして構成される本実施
例にかかる洗浄装置による洗浄動作を説明する。
【0035】作業員が洗浄車2の運転室12に乗り、水
タンク車6を洗浄車2の前方(進行方向)側に連結した
状態で、洗浄作業を行う必要がある場所まで走行する。
このとき、両側の加圧洗浄水噴射機構35はそれぞれ対
応するエアシリンダ42によりレールRの上方に引き上
げ、それぞれのロック用エアシリンダ46により上方に
固定する。そして、作業現場に到着した時点で各エアシ
リンダ46のロックを解除し、各エアシリンダ42によ
りガイド輪36を下降させてそれぞれレールR上に載置
する。この状態で、水タンク車6のタンク61から給水
ホース62を介して補助タンク15に供給されている洗
浄水を、高圧ポンプ装置18で加圧して高圧ノズル38
から噴射し、レールRの頭頂部内側面に付着している塗
油等の塊状物を剥離させ、除去する。
【0036】作業時には洗浄車2を普通は低速度で走行
させるが、走行時に加圧洗浄水噴射機構35は各レール
R上を転動する左右独立のガイド輪36で案内されるの
で、直線部分だけでなく曲線部分でもレールRの頭部内
側面と高圧ノズル38の噴射口38aとの間隔およびそ
の向きは常に一定に保たれるから、レールRの塗油に作
用する洗浄力はレールRのどの位置でもほぼ一定に保た
れる。したがって、レールRの全長にわたりレールRに
付着した塗油等の塊状物が確実に除去される。なお、除
去された塊状物は道床D上に散在するが、後方の中圧ノ
ズル55から噴射される洗浄水によって洗浄され、側溝
L(図6(a))へ洗い流される。
【0037】また、走行時に横揺れを起こした場合に
は、走行台車10の車体側がケーシング40に対し水平
リニアガイド48を介してスプリング51の弾性力に抗
して水平方向に移動(揺動)するので、ガイド輪36に
案内されたケーシング40、すなわち高圧ノズル38の
位置はレールRに対しほとんど変化しない。さらに、走
行時に縦揺れを起こした場合には、加圧洗浄水噴射機構
35は自重の下にレールR上に載置されており、エアシ
リンダ42のピストンロッド42bで上下動可能に保持
されているから、レールRの起伏や凹凸に応じて上下動
するだけで、走行台車10の車体の上下方向の揺動には
影響を受けない。これにより、加圧洗浄水噴射機構(の
ケーシング)が水平方向ガイドに沿って相対的に水平方
向において移動(変位)するから、加圧洗浄水噴射機構
35の加圧ノズル38はレールRに対し常に定位置に維
持されながら、加圧洗浄水を噴射する。
【0038】一方、回転ノズルユニット13の各中圧ノ
ズル55からは円を描くように回転しながら加圧洗浄水
が道床Dの全面に噴射され、レールRから除去され道床
D上に洗い落とされた塗油等の塊状物をはじめ、道床D
上の粉塵等が洗浄される。
【0039】したがって、作業員は運転室15内からレ
ールRの頭頂部から除去される塗油等の塊状物や道床D
上の粉塵等が洗浄される様子を観察しながら、洗浄車2
を走行させるだけで、洗浄作業が遂行されることにな
る。なお、洗浄結果が不十分なときには、たとえば洗浄
車2を戻して再度洗浄すればよい。
【0040】上記に本発明にかかるレール等の洗浄装置
の実施例を示したが、本発明は以下のように実施するこ
とができる。
【0041】(a) 洗浄車2の走行台車10上に、一回の
洗浄作業に必要な容量の洗浄水タンクを搭載し、水タン
ク車6を連結せずに洗浄作業を行うようにする。
【0042】(b) 洗浄車2の走行台車10の後部に搭載
した道床洗浄用の回転ノズルユニット13およびレール
頭頂部洗浄用の高圧ノズルユニット14を、走行台車1
0の前部にも搭載し、洗浄車2をいずれの方向に走行さ
せても洗浄作業が行えるようにする。
【0043】(c) 洗浄車2を自走させるための駆動装置
を省き、駆動装置を備えた車両に連結して洗浄作業を行
うようにする。
【0044】(d) 走行台車10にレール頭頂部洗浄用の
高圧ノズルユニット14およびその高圧ポンプ装置18
だけを搭載して、レール頭頂部に付着している主として
塗油の塊状物の除去専用の洗浄装置に構成する。
【0045】(e) 地下鉄道用に限らず、屋外の一般的な
鉄道用のレール等の洗浄作業に適用できることはいうま
でもない。
【0046】(f) スプリング51に代えて、ゴムや柔軟
性に優れた合成樹脂材を用いてもよい。
【0047】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
この発明のレール等の洗浄装置には、次の効果がある。
【0048】(1) レールに沿って走行させるだけで、レ
ール頭頂部に付着している塊状化した塗油を非接触によ
り確実に除去でき、作業者の労力負担の軽減が図られ
る。とくに、加圧ノズルの向きをレールの頭部内側面に
直角方向ではなく、走行台車の走行方向に傾斜させてい
るから、塗油に対し一種の剪断力が作用してレールの付
着面から塊状化した塗油が効果的に剥離・除去される。
また走行時に加圧洗浄水噴射機構の加圧ノズルがレール
上を転動するガイド輪で案内されるので、レールの頭部
内側面と加圧ノズルとの間隔は常に一定に保たれ、レー
ルの塗油に作用する加圧洗浄水の噴射力がほぼ一定に保
たれるので、洗浄効果が常に一定で洗浄作業が安定す
る。さらに各レールごとにガイド輪が設けられ、各レー
ルに沿ってガイド輪が独立して転動するから、他方のレ
ール上を転動するガイド輪の影響を受けない。
【0049】(2) 請求項2記載の洗浄装置では、走行時
に走行台車が横揺れを起こしても、走行台車に対し加圧
洗浄水噴射機構が相対的に水平移動し、加圧洗浄水噴射
機構の加圧ノズルはレールに沿って案内されるガイド輪
によって、常にレールに対し定位置に保持され、またそ
の水平移動がスプリング等の弾性部材で吸収・緩和され
るため、レールに対する加圧ノズルの位置が常に一定
で、レール頭頂部内側面の塗油の除去が確実に且つ安定
して行われる。
【0050】(3) 請求項3記載の洗浄装置では、エアシ
リンダによる引き上げ力を加圧洗浄水噴射機構に作用さ
せず、その自重でガイド輪をレール上に載置しておくこ
とにより、走行時に走行台車が縦揺れを起こしても、加
圧ノズルの垂直方向の位置が変化せず、またレールの走
行面に起伏があっても、その起伏に応じてガイド輪が垂
直方向に変位しながら移動するので、加圧洗浄水噴射機
構の加圧ノズルのレール頭頂部に対する垂直方向の位置
が変化せず、レール頭頂部内側面の塗油の除去が確実に
且つ安定して行われる。
【0051】(4) 請求項4記載の洗浄装置では、レール
に沿って走行させるだけで、レールから除去された道床
上の塗油や鉄粉、粉塵などが全面にわたり隈無く洗浄で
き、とくに複数の第2加圧ノズルによって洗浄範囲を分
担させ且つ各第2加圧ノズルをその上方を支点として円
を描くように回転させるようにしたから、洗浄作業が有
効に発揮される。また第2加圧ノズルの噴射口の向きを
下向きに傾斜させたことにより、道床に対し垂直に噴射
口を臨ませた場合に比して洗浄領域が広がり、比較的少
数の第2加圧ノズルで道床の全面を洗浄できる。
【0052】(5) 請求項5記載の洗浄装置では、レール
頭頂部の塗油除去用の加圧ポンプとその駆動用エンジン
および道床洗浄用の加圧ポンプとその駆動用エンジン、
制御用電源の発電機とその駆動用エンジンを全て走行台
車上に搭載しているから、バッテリーカーなどの駆動用
車両に連結する必要がない。
【0053】(6) 請求項6記載の洗浄装置では、洗浄作
業時に走行台車上の補助タンクに、タンク車のタンク内
の洗浄水を必要量ずつ給水しながら作業を行うため、走
行台車上の洗浄水タンクの容量を少なくして小型軽量化
でき、加圧ポンプなどの洗浄水供給装置の設置スペース
に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる地下鉄道用の洗浄装置
の全体を概略的に示す右側面図である。
【図2】図1の洗浄装置の主要部を構成する地下鉄道用
の走行台車(洗浄車)を示す右側面図である。
【図3】図2の走行台車の平面図である。
【図4】図2の走行台車の正面図である。
【図5】レール頭頂部洗浄用の高圧ノズルユニットを拡
大して示すもので、同図(a)は中央縦断面図、同図(b)
は同図(a)のb−b線断面図である。
【図6】同図(a)は図5の高圧ノズルユニットのc−c
方向矢視図、同図(b)は高圧ノズル38から噴射され、
レールR頭頂部の内側面に付着している塗油を除去する
高圧洗浄水の力と方向(ベクトル)の関係を示す模式平
面図である。
【図7】道床洗浄用の回転ノズルユニットを拡大して示
すもので、同図(a)は図3のd−d方向矢視図、同図
(b)は同図(a)のe−e方向平面図である。
【符号の説明】
1 洗浄装置 2 洗浄車 3 水タンク車 10 走行台車 11 加圧洗浄水供給装置 13 道床洗浄用回転ノズルユニット 14 レール頭頂部洗浄用高圧ノズルユニット 15 補助タンク(サービスタンク) 17 中圧ポンプ装置(加圧ポンプ装置) 18 高圧ポンプ装置(加圧ポンプ装置) 19・20 ディーゼルエンジン 35 加圧洗浄水噴射機構 36 ガイド輪 37 ガイド輪支持枠 38 高圧ノズル(加圧ノズル) 42 エアシリンダ(昇降装置) 55 中圧ノズル(加圧ノズル) R レール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高塚 忠彦 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (72)発明者 尾西 譲 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行台車に搭載され、走行しながらレー
    ル等の洗浄を行う装置であって、 前記走行台車上に、加圧ポンプ装置などからなる加圧洗
    浄水の供給装置を搭載し、 加圧洗浄水噴射機構を、前記走行台車から下向きに垂直
    方向ガイドを介して昇降可能に吊設するとともに、その
    昇降用の昇降装置を設け、 前記加圧洗浄水噴射機構は、各レール上に沿って転動す
    るガイド輪を備えたガイド輪支持枠と、このガイド輪支
    持枠に支持され、レールの頭部内側面に対し前記走行台
    車の走行方向に傾斜する向きに噴射口が臨み、前記供給
    装置の加圧洗浄水吐出口に配管を介して接続された加圧
    ノズルとを備えていることを特徴とするレール等の洗浄
    装置。
  2. 【請求項2】 前記加圧洗浄水噴射機機構、前記ガイド
    および前記昇降装置を共通のケーシング内に配置し、 そのケーシングを前記走行台車に対し水平方向ガイドを
    介して幅方向に移動自在に配設するとともに、前記ケー
    シングの幅方向の両側にその移動に抗する弾性部材を設
    けた請求項1記載のレール等の洗浄装置。
  3. 【請求項3】 前記昇降装置にエアシリンダを使用し、
    このエアシリンダ本体の上端を前記ケーシングに取り付
    け、 前記加圧洗浄水噴射機構をそのエアシリンダのピストン
    ロッド下端に吊持した請求項2記載のレール等の洗浄装
    置。
  4. 【請求項4】 複数の第2加圧ノズルを、加圧洗浄水の
    噴射部の軌跡が円を描き且つ前記レールの締結部と枕木
    を含む道床の全面を覆うように、前記第2加圧ノズル上
    方の位置を中心にして回転自在かつ下向きに傾斜させ且
    つ前記走行台車の下面にその幅方向および走行方向に一
    定の間隔をあけて配置した請求項1〜3のいずれかに記
    載のレール等の洗浄装置。
  5. 【請求項5】 前記走行台車上に、レール洗浄用の加圧
    ポンプおよびその駆動用エンジン、道床洗浄用の加圧ポ
    ンプおよびその駆動用エンジン、制御用電源の発電機お
    よびその駆動用エンジンを搭載した請求項1〜4のいず
    れかに記載のレール等の洗浄装置。
  6. 【請求項6】 前記走行台車上に補助タンクを搭載する
    とともに、タンク車を前記走行台車と連結し、そのタン
    ク車のタンクと前記補助タンクとを配管で接続した請求
    項1〜5のいずれかに記載のレール等の洗浄装置。
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