JPH08185860A - 金属−水素化物アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金電極 - Google Patents

金属−水素化物アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金電極

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JPH08185860A
JPH08185860A JP6338417A JP33841794A JPH08185860A JP H08185860 A JPH08185860 A JP H08185860A JP 6338417 A JP6338417 A JP 6338417A JP 33841794 A JP33841794 A JP 33841794A JP H08185860 A JPH08185860 A JP H08185860A
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alloy
hydrogen storage
metal
charge
roll method
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JP6338417A
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English (en)
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Yoshinori Matsuura
義典 松浦
Yasushi Kuroda
黒田  靖
Nobuyuki Higashiyama
信幸 東山
Mamoru Kimoto
衛 木本
Mitsuzo Nogami
光造 野上
Koji Nishio
晃治 西尾
Toshihiko Saito
俊彦 斎藤
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Mm(ミッシュメタル)1モル部に対して、タ
ングステン、モリブデン、タンタル、ジルコニウム、ニ
オブ、バナジウム及びチタンよりなる群から選ばれた少
なくとも一種の元素を総量で0.005〜0.150モ
ル部添加したMm−Ni系水素吸蔵合金成分の溶湯を、
単ロール法又は双ロール法により急冷凝固させた後、粉
砕して得た、金属単体又は金属間化合物からなる第二相
を含有し、且つ母相がCaCu5 型結晶構造を有するM
m−Ni系水素吸蔵合金の粉末が、水素吸蔵材として使
用されている。 【効果】合金中に存在する第二相が、充放電サイクル初
期においては合金の割れを促進し、且つその後の充放電
サイクルにおいては合金の微粉化を抑制するので、本発
明電極を金属−水素化物アルカリ蓄電池の負極として使
用することにより、充放電サイクル初期の高率放電特性
及び充放電サイクル特性の両方に優れた金属−水素化物
アルカリ蓄電池を得ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CaCu5 型結晶構造
を有するMm−Ni系水素吸蔵合金を水素吸蔵材とする
金属−水素化物アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金電極に
係わり、詳しくは、充放電サイクル初期の高率放電特性
及び充放電サイクル特性の両方に優れた金属−水素化物
アルカリ蓄電池を得ることを可能にする水素吸蔵合金電
極を提供することを目的とした、水素吸蔵合金の改良に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
正極に水酸化ニッケルなどの金属化合物を使用し、負極
に新素材のCaCu5 型結晶構造を有するMm−Ni系
水素吸蔵合金を使用した金属−水素化物アルカリ蓄電池
が、単位重量及び単位体積当たりのエネルギー密度が高
く、高容量化が可能であることから、ニッケル・カドミ
ウム蓄電池に代わる次世代のアルカリ蓄電池として注目
されている。
【0003】金属−水素化物アルカリ蓄電池用のMm−
Ni系水素吸蔵合金としては、通常、鋳型内の合金溶湯
を水冷凝固させた後、粉砕して得たものが使用されてい
る(以下、このMm−Ni系水素吸蔵合金を「通常凝固
品」と称する。)。
【0004】しかしながら、通常凝固品には偏析(成分
元素濃度の偏り)が多く存在するために、充放電時に水
素を吸蔵又は放出する際に合金粒子に割れが生じて、比
表面積が増加し易い。このため、通常凝固品を負極材料
として使用した金属−水素化物アルカリ蓄電池は、充放
電サイクル初期の高率放電特性には優れる反面、偏析部
分が酸化劣化(腐食)の起点になり易いことからサイク
ル寿命が短いという問題を有していた。
【0005】サイクル寿命を改善する方法として、通常
凝固品にアニール処理(所定温度に所定時間加熱保持す
る処理)を施したものを使用することが、先に提案され
ている(特開昭60−89066号)。
【0006】しかしながら、通常凝固品にアニール処理
を施すと、偏析が少なくなるため、未処理のものに比べ
てサイクル寿命は長くなる反面、このように偏析が少な
くなる上に、結晶粒の大きさ(希土類元素の濃度が高い
層と同濃度が低い層とが交互に出現する層状構造に於け
る隣接する二層の厚みの和)が大きくなり過ぎるため
に、粒子に割れが生じにくくなり、充放電サイクル初期
の高率放電特性が未処理のものに比べて著しく低下す
る。
【0007】通常凝固品に上述した解決困難な問題があ
ることに鑑み、最近、高速回転するロールの周面に合金
溶湯を流し込んで急冷凝固させる単ロール法又は双ロー
ル法により作製した水素吸蔵合金が金属−水素化物アル
カリ蓄電池用の負極材料として提案されている(特開平
6−187979号公報など)。
【0008】このロール法により作製した水素吸蔵合金
は、合金溶湯を急冷凝固させて得たものであるので、合
金溶湯が凝固する際に重力場の影響を受けにくく、通常
凝固品に比べて、偏析が少ない。
【0009】しかしながら、単ロール法により作製した
水素吸蔵合金は、結晶粒の大きさが不均一である。すな
わち、充放電サイクルにおいて、割れ易い部分(結晶粒
の大きさが大きい開放面側)と、割れにくい部分(結晶
粒の大きさが小さいロール面側)とが存在する。このた
め、活性化し易い開放面側に位置した粒子(粉砕後の粒
子)の充放電深度が深くなり、充放電を繰り返すと微粉
化し易い。このようなことから、単ロール法により作製
した水素吸蔵合金を負極の水素吸蔵材として金属−水素
化物アルカリ蓄電池には、サイクル寿命が短いという問
題がある。
【0010】また、双ロール法により作製した水素吸蔵
合金についても同様の問題がある。すなわち、両端のロ
ール面側の結晶粒の大きさは、急冷凝固されたために、
比較的小さいが、薄帯厚みの中央部の結晶粒の大きさ
は、冷却速度が比較的緩やかであるために、比較的大き
い。したがって、単ロール法により作製した水素吸蔵合
金の場合と同様、結晶粒の大きさが大きい薄帯厚みの中
央部に位置した粒子(粉砕後の粒子)は割れ易くて活性
化し易いが、結晶粒の大きさが小さい両端のロール面側
は割れにくくて活性化しにくい。このため、活性化し易
い中央部に位置した粒子の充放電深度が深くなり、充放
電を繰り返すと微粉化し易い。このようなことから、双
ロール法により作製した水素吸蔵合金を負極の水素吸蔵
材として使用した金属−水素化物アルカリ蓄電池にも、
サイクル寿命が短いという問題がある。
【0011】本発明は、以上の事情に鑑みなされたもの
であって、その目的とするところは、充放電サイクル初
期の高率放電特性及び充放電サイクル特性の両方に優れ
た金属−水素化物アルカリ蓄電池を得ることを可能にす
る水素吸蔵合金電極を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る金属−水素化物アルカリ蓄電池用の水素
吸蔵合金電極(本発明電極)は、Mm(ミッシュメタ
ル)1モル部に対して、タングステン、モリブデン、タ
ンタル、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム及びチタン
よりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を総量で
0.005〜0.150モル部添加したMm−Ni系水
素吸蔵合金成分の溶湯を、単ロール法又は双ロール法に
より急冷凝固させた後、粉砕して得た、金属単体又は金
属間化合物からなる第二相を含有し、且つ母相がCaC
5 型結晶構造を有するMm−Ni系水素吸蔵合金の粉
末が、水素吸蔵材として使用されてなる。
【0013】Mm−Ni系水素吸蔵合金成分の溶湯への
タングステン、モリブデン、タンタル、ジルコニウム、
ニオブ、バナジウム及びチタンよりなる群から選ばれた
少なくとも一種の元素の添加量は、Mm1モル部対し
て、これらの元素の総量で0.005〜0.150モル
部である。これらの元素の添加量が0.005モル部未
満の場合は、充放電時に割れの起点となるべき単体又は
金属間化合物(第二相)の析出量が少なく、そのため充
放電時に割れが生じにくくなり、充放電サイクル初期の
高率放電特性に優れた金属−水素化物アルカリ蓄電池を
得ることができなくなる。一方、これらの元素の添加量
が0.150モル部を越えた場合は、急冷凝固により第
二相が過剰に生成するため、応力緩和により却って割れ
が生じにくくなり、この場合も充放電サイクル初期の高
率放電特性に優れた金属−水素化物アルカリ蓄電池を得
ることができなくなる。
【0014】第二相としては、W、TaNi3 、Ta2
Co、Co2 Zr、Nb5 Ni、WM1 3、VM1 2、Ti
2 1 、Ti3 1 4、TiM1 (但し、M1 はNi及び
Coの少なくとも一種の元素)、μ−CoNiMoが例
示される。
【0015】なお、第二相を形成する上記した金属単体
又は金属間化合物は、母相合金に比べて融点が高いの
で、第二相はロール面側寄りに選択的に生成することと
なる。
【0016】本発明電極の水素吸蔵材は、特定の元素を
所定量添加したMm−Ni系水素吸蔵合金成分の溶湯
を、従来公知の単ロール法又は双ロール法により急冷凝
固させて得た、第二相を含有し、且つCaCu5 型結晶
構造を有する薄帯状のMm−Ni系水素吸蔵合金塊を、
粉砕して粉末化したものである。急冷凝固させる際の冷
却速度は、ロール周速度で50〜1000cm/秒程度
が一般的である。ロール周速度を50cm/秒よりも遅
くすると、合金粉末中に割れ易い合金が多くなって活性
化し易くなるが、活性化し易い粒子の充放電深度が深く
なって微粉化し易くなるので、サイクル寿命が短くな
る。一方、ロール周速度を1000cm/秒よりも速く
すると、合金の(hk0)面の選択配向性が強くなって
活性化しにくくなるとともに、薄帯の厚みが薄くなって
扁平な形状になるため、合金粒子間の接触抵抗が増大
し、利用率が低下して、サイクル寿命が短くなる。
【0017】本発明電極の水素吸蔵材としては、急冷凝
固させて得た薄帯状のMm−Ni系水素吸蔵合金塊を粉
砕して粉末化する前に、不活性ガス又は真空中にて62
0〜1000°Cの温度に所定時間加熱保持するアニー
ル処理を施したものが好ましい。アニール処理を施すこ
とにより、割れにくくて活性化しにくいロール面側の結
晶粒の大きさが大きくなって、合金組織が均一化し、割
れが促進され、充放電サイクル初期の高率放電特性をさ
らに向上させることができる。また、アニール処理によ
り、合金組成も均一化する。
【0018】アニール処理に於いて加熱保持する温度
(アニール温度)は620〜1000°Cが好適であ
る。アニール温度が、620°C未満の場合は、充放電
サイクル初期の高率放電特性及び充放電サイクル特性を
充分に改善することができない。一方、アニール温度が
1000°Cを越えた場合は、粒界部分で合金の一部が
再溶解して不活性化するとともに、偏析が減少するた
め、合金が極めて割れにくくなり、充放電サイクル初期
の高率放電特性が低下する。
【0019】アニール処理に於いて加熱保持する時間は
一般に1〜10時間である。通常、10時間程度でアニ
ール処理の効果が飽和する。
【0020】
【作用】急冷凝固後に合金中に生成した第二相が、充放
電時の合金の割れの起点となって、割れを促進するの
で、充放電サイクル初期から合金が活性化し易い。
【0021】また、その後充放電を繰り返しても、合金
が微粉化しにくく、合金の酸化劣化(腐食)が起こりに
くい。これは、第二相が割れの進行を阻止する楔のよう
な働きをするためと考えられる。
【0022】したがって、本発明電極を金属−水素化物
アルカリ蓄電池の水素吸蔵材として使用すれば、充放電
サイクル初期の高率放電特性及び充放電サイクル特性の
両方に優れた金属−水素化物アルカリ蓄電池を得ること
が可能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるも
のではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変
更して実施することが可能なものである。
【0024】(実施例1〜35) 〔水素吸蔵合金の作製〕合金成分金属たるMm、Ni、
Co、Al及びMn(いずれも純度99.9%以上)を
秤量混合し、これにタングステン、モリブデン、タンタ
ル、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム又はチタンをM
m1モル部に対して0.005、0.030、0.05
0又は0.150モル部加えて混合し、真空下で高周波
溶解炉にて溶解した後、単ロール法(ロール径:350
mm;ロール周速度300cm/秒)又は双ロール法
(ロール径:350mm;ロール周速度100cm/
秒)で冷却して、組成式:MmNi3.4 Co0.8 Al
0.3 Mn0.5 x (MはW、Mo、Ta、Zr、Nb、
V又はTi;xは0.005、0.030、0.050
又は0.150)で表される種々のCaCu5 型結晶構
造を有する薄帯状のMm−Ni系水素吸蔵合金塊(帯
長:約30〜100mm;帯幅:約20〜50mm)を
作製した。但し、双ロール法では、各元素をMm1モル
部に対して0.030モル部加えたもののみを作製し
た。
【0025】これらの薄帯状のMm−Ni系水素吸蔵合
金塊を、帯長方向に沿って帯面に垂直にカットし、断面
をEPMA及びX線回折法により調べて、金属単体又は
金属間化合物(TaNi3 、Ta2 Co、Co2 Zr、
Nb5 Niなど)が第二相としてロール面側に選択的に
析出していることを確認した。
【0026】〔水素吸蔵合金電極の作製〕各薄帯状のM
m−Ni系水素吸蔵合金塊を、不活性ガス(Arガス)
雰囲気下において機械的に粉砕して平均粒径約70μm
の粉末とし、篩にかけて最大粒径150μm未満とした
(以下の実施例又は比較例においても、同様の操作によ
り最大粒径を全て150μm未満に調節した。)。次い
で、この粉末90重量部と、ポリエチレンオキシドの
2.5重量%水溶液10重量部とを混練して、スラリー
を調製し、このスラリーを鉄にニッケルめっきしてなる
パンチングメタルに塗布し、乾燥して水素吸蔵合金電極
を作製した。
【0027】〔ニッケル・水素化物アルカリ蓄電池の作
製〕各水素吸蔵合金電極を負極として、AAサイズ(単
3型)の正極支配型の電池(電池容量:1200mAh
±10mAh)A1〜A35を作製した。なお、正極と
しては従来公知の焼結式ニッケル極を、セパレータとし
てはポリアミド製の不織布を、アルカリ電解液としては
30重量%水酸化カリウム水溶液を、それぞれ使用し
た。
【0028】表1及び表2に、実施例1〜35に於ける
冷却法、添加元素の種類及びMm1モルに対する各添加
元素の添加量(モル部)を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】(比較例1)タングステンの添加量をMm
1モル部に対して0.003モル部としたこと以外は実
施例1〜4(単ロール法)と同様にして合金粉末を作製
し、これを負極の水素吸蔵材として使用して電池B1を
作製した。
【0032】(比較例2)タングステンの添加量をMm
1モル部に対して0.200モル部としたこと以外は実
施例1(単ロール法)と同様にして合金粉末を作製し、
これを負極の水素吸蔵材として使用して電池B2を作製
した。
【0033】(比較例3)金属元素を添加しなかったこ
と以外は実施例1(単ロール法)と同様にして合金粉末
を作製し、これを負極の水素吸蔵材として使用して電池
B3を作製した。
【0034】(比較例4)金属元素を添加しなかったこ
と以外は実施例5(双ロール法)と同様にして合金粉末
を作製し、これを負極の水素吸蔵材として使用して電池
B4を作製した。
【0035】表3に、比較例1〜4に於ける冷却法、添
加元素の種類及びMm1モルに対する各添加元素の添加
量(モル部)を示す。
【0036】
【表3】
【0037】〈充放電サイクル初期の高率放電容量〉電
池A1〜A35及び電池B1〜B4を、室温(約25°
C)にて120mAで16時間充電した後、60°Cに
て120mAで0.95Vまで放電して活性化処理し
た。
【0038】次いで、各電池を、1200mAで1.1
時間充電した後、4800mA(4C)で0.95Vま
で放電して、高率放電容量(mAh)を求めた。各電池
3個について放電容量を測定し、それらの平均を各電池
の高率放電容量とした。結果を先の表1〜表3に示す。
表1〜表3中の高率放電容量の%の欄の数字は、電池容
量1200mAhに対する比率である(以下の表中の%
の欄の数字も同様である。)。
【0039】〈サイクル寿命〉電池A1〜A35及び電
池B1〜B4について、先と同じ条件で活性化処理した
後、室温にて、1200mAで1.1時間充電し、1時
間休止した後、1200mAで1.0Vまで放電する工
程を1サイクルとする充放電サイクル試験を行い、各電
池のサイクル寿命を調べた。各電池10個についてサイ
クル寿命を求め、最短寿命のものと最長寿命のものを除
く8個についての平均を各電池のサイクル寿命とした。
サイクル寿命は、放電容量が960mAh以下に下がる
までのサイクル数(回)として求めた。結果を先の表1
〜表3に示す。
【0040】電池A1〜A35は、充放電サイクル初期
の高率放電容量が大きく、長寿命であるのに対して、電
池B1〜B4は充放電サイクル初期の高率放電容量が小
さく、サイクル寿命が短い。
【0041】電池A1〜A35の充放電サイクル初期の
高率放電容量が大きいのは、割れにくかったロール面側
に第二相を有する合金を使用したので、充放電サイクル
初期から合金が容易に割れて活性化したからである。ま
た、電池A1〜A35のサイクル寿命が長いのは、第二
相が割れの進行を阻止する楔のような働きをするため、
充放電サイクルの進行に伴う合金の微粉化が起こりにく
くなり、合金の酸化劣化(腐食)が抑制されたからであ
る。
【0042】電池B1の充放電サイクル初期の高率放電
容量が小さく、サイクル寿命が短いのは、タングステン
の添加量が少なすぎたために、充放電サイクル初期にお
いては合金の割れを促進し、且つその後の充放電サイク
ルにおいては合金の微粉化を抑制する第二相が合金中に
殆ど生成しなかったからである。
【0043】電池B2の充放電サイクル初期の高率放電
容量が小さいのは、タングステンの添加量が多すぎたた
めに、過剰に第二相が生成し、応力緩和により却って割
れが生じにくくなったからである。また、サイクル寿命
が短いのは、第二相に母相の合金成分が奪われたため、
利用率が低下したからである。電池B1及びB2の特性
が良くないことから、タングステンの添加量をMm1モ
ル部に対して0.005〜0.150モル部とする必要
があることが分かる。
【0044】電池B3及びB4の充放電サイクル初期の
高率放電容量が小さく、サイクル寿命が短いのは、元素
を添加しなかったために、充放電サイクル初期において
は合金の割れを促進し、且つその後の充放電サイクルに
おいては合金の微粉化を抑制する第二相が合金中に生成
しなかったからである。
【0045】(実施例36〜63)合金成分金属たるM
m、Ni、Co、Al及びMn(いずれも純度99.9
%以上)を秤量混合し、これにタングステン、モリブデ
ン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム又は
チタンをMm1モル部に対して0.030モル部加えて
混合し、真空下で高周波溶解炉にて溶解した後、単ロー
ル法(ロール径:350mm;ロール周速度300cm
/秒)又は双ロール法(ロール径:350mm;ロール
周速度100cm/秒)で冷却して、組成式:MmNi
3.4 Co0.8Al0.3 Mn0.5 0.03(MはW、Mo、
Ta、Zr、Nb、V又はTi)で表される種々のCa
Cu5 型結晶構造を有する薄帯状のMm−Ni系水素吸
蔵合金塊(帯長:約30〜100mm;帯幅:約20〜
50mm)を作製した。
【0046】次いで、アルゴンガス雰囲気下において、
単ロール法で作製したものについては、700、850
又は1000°Cで、双ロール法で作製したものについ
ては、850°Cで、いずれも6時間加熱保持してアニ
ール処理した。
【0047】その後、実施例1〜35と同様に、粉砕し
て粉末化し、これらを使用して水素吸蔵合金電極を作製
し、電池A36〜A63を作製した。
【0048】表4及び表5に、実施例36〜63に於け
る冷却法、アニール温度(°C)及び添加元素の種類を
示す。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】(比較例5)単ロール法に代えて通常凝固
法(水冷凝固法)を使用したこと以外は実施例37と同
様にして合金粉末を作製し、これを水素吸蔵材として使
用して電池B5を作製した(添加元素:タングステン;
アニール温度:850°C)。
【0052】(比較例6)単ロール法に代えてガスアト
マイズ法を使用したこと以外は実施例37と同様にして
合金粉末を作製し、これを水素吸蔵材として使用して電
池B6を作製した(添加元素:タングステン;アニール
温度:850°C)。
【0053】(比較例7)タングステンを添加しなかっ
たこと以外は実施例37と同様にして合金粉末を作製
し、これを水素吸蔵材として使用して電池B7を作製し
た(アニール温度:850°C)。
【0054】(参考例1)アニール温度を600°Cと
したこと以外は実施例36と同様にして合金粉末を作製
し、これを負極の水素吸蔵材として使用して電池R1を
作製した(単ロール法;添加元素:タングステン)。
【0055】(参考例2)アニール温度を1100°C
としたこと以外は実施例36と同様にして合金粉末を作
製し、これを負極の水素吸蔵材として使用して電池R2
を作製した(単ロール法;添加元素:タングステン)。
【0056】(参考例3)アニール温度を600°Cと
したこと以外は実施例39と同様にして合金粉末を作製
し、これを負極の水素吸蔵材として使用して電池R3を
作製した(双ロール法;添加元素:タングステン)。
【0057】(参考例4)アニール温度を1100°C
としたこと以外は実施例39と同様にして合金粉末を作
製し、これを負極の水素吸蔵材として使用して電池R4
を作製した(双ロール法;添加元素:タングステン)。
【0058】表6に、比較例5〜7及び参考例1〜4に
於ける冷却法、アニール温度(°C)及び添加元素の種
類を示す。
【0059】
【表6】
【0060】〈充放電サイクル初期の高率放電容量〉電
池A36〜A63、電池B5〜B7及び電池R1〜R4
について、先と同じ条件で高率放電試験及び充放電サイ
クル試験を行い、各電池の高率放電容量及びサイクル寿
命を調べた。結果を先の表4〜表6に示す。
【0061】アニール処理した水素吸蔵材を使用した電
池A36〜A63は、アニール処理しなかった水素吸蔵
材を使用した電池に比べて、充放電サイクル初期の高率
放電容量が大きく、サイクル寿命が長い。充放電サイク
ル初期の高率放電容量が大きくなったのは、アニール処
理により本来割れにくかった結晶粒の小さいロール面側
の結晶粒の大きさが大きくなって合金組織が均一化した
ため、活性化し易くなったからである。また、サイクル
寿命が長くなったのは、合金全体の利用率が向上したか
らである。
【0062】電池B5は、充放電サイクル初期の高率放
電容量が極めて小さい。これは、アニール処理により結
晶粒の大きさが大きくなりすぎて割れの起点となる部分
が減少したことに加えて、アニール処理によりMn等の
偏析が解消したため、合金が割れにくくなったからであ
る。
【0063】電池B6は、充放電サイクル初期の高率放
電容量が小さく、サイクル寿命が短い。充放電サイクル
初期の高率放電容量が小さいのは、粒径のバラツキが大
きいアトマイズ法により冷却した合金をアニール処理し
ても粒径のバラツキは解消されず、粒径の大きい粒子は
結晶粒の大きさが大きくて割れやすいが、粒径の小さい
粒子は結晶粒の大きさが小さくて割れにくいために、合
金粉末全体としては割れにくかったからである。また、
サイクル寿命が極めて短いのは、合金粉末中に割れにく
くて活性化しにくい合金粒子(粒径の小さい粒子)が存
在したため、活性化し易い合金粒子(粒径の大きな粒
子)の充放電深度が深くなり、それらが微粉化したから
である。
【0064】電池B7は、充放電サイクル初期の高率放
電容量が小さく、サイクル寿命が短い。これは、タング
ステンを添加しなかったために、アニール処理しても、
充放電サイクル初期においては合金の割れを促進し、且
つその後の充放電サイクルにおいては合金の微粉化を抑
制する第二相が合金中に生成しなかったからである。
【0065】アニール温度が低すぎたか、高すぎた電池
R1〜電池R4は、アニール処理をしなかった電池A
3,A5とほぼ同じ特性を有している。このことから、
アニール処理を行うのであれば、所定の温度(620〜
1000°C)で行わなければ意味がないことが分か
る。
【0066】(実施例64〜67及び比較例8,9)タ
ングステンの添加量をMm1モル部に対して0.00
3、0.005、0.050、0.150又は0.20
0モル部としたこと以外は実施例37(単ロール法;ア
ニール温度:850°C)と同様にして合金粉末〔組成
式:MmNi3.4 Co0.8 Al0.3 Mn0.5 p (pは
0.003、0.005、0.050、0.150又は
0.200)〕を作製し、これらを負極の水素吸蔵材と
して使用して、電池A64〜A67及び電池B8,B9
を作製した。
【0067】表7に実施例64〜67及び比較例8,9
に於ける冷却法及び添加元素の種類(タングステン)及
びその添加量(モル部)を示す。
【0068】
【表7】
【0069】次いで、先と同じ条件の高率放電試験及び
充放電サイクル試験を行い、各電池の充放電サイクル初
期の高率放電容量及びサイクル寿命を求めた。結果を先
の表7に示す。
【0070】表7より、アニール処理する場合も、元素
の添加量をMm1モル部に対して0.005〜0.15
0モル部とした場合に充放電サイクル初期の高率放電容
量が大きく、サイクル寿命の長い電池が得られることが
分かる。
【0071】(実施例68〜76及び比較例10,1
1)タングステンと、モリブデン、タンタル、ジルコニ
ウム、ニオブ、バナジウム又はチタンとを所定の割合で
添加した電池について、先と同じ条件の高率放電試験及
び充放電サイクル試験を行い、複数種の元素を合金溶湯
に併用添加する場合の好適な添加量を調べた。なお、ア
ニール温度は全て850°Cとした。結果を表8に示
す。
【0072】
【表8】
【0073】表8より、複数種の元素を併用添加する場
合も、総量でMm1モル部に対して0.005〜0.1
50モル部添加することが好ましいことが分かる。
【0074】
【発明の効果】合金中に存在する第二相が、充放電サイ
クル初期においては合金の割れを促進し、且つその後の
充放電サイクルにおいては合金の微粉化を抑制するの
で、本発明電極を金属−水素化物アルカリ蓄電池の負極
として使用することにより、充放電サイクル初期の高率
放電特性及び充放電サイクル特性の両方に優れた金属−
水素化物アルカリ蓄電池を得ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木本 衛 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 野上 光造 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 西尾 晃治 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 斎藤 俊彦 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Mm(ミッシュメタル)1モル部に対し
    て、タングステン、モリブデン、タンタル、ジルコニウ
    ム、ニオブ、バナジウム及びチタンよりなる群から選ば
    れた少なくとも一種の元素を総量で0.005〜0.1
    50モル部添加したMm−Ni系水素吸蔵合金成分の溶
    湯を、単ロール法又は双ロール法により急冷凝固させた
    後、粉砕して得た、金属単体又は金属間化合物からなる
    第二相を含有し、且つ母相がCaCu5 型結晶構造を有
    するMm−Ni系水素吸蔵合金の粉末が、水素吸蔵材と
    して使用されていることを特徴とする金属−水素化物ア
    ルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金電極。
  2. 【請求項2】前記第二相が、W、TaNi3 、Ta2
    o、Co2 Zr、Nb5 Ni、WM1 3、VM1 2、Ti2
    1 、Ti3 1 4、TiM1 (但し、M1 はNi及びC
    oの少なくとも一種の元素)及びμ−CoNiMoより
    なる群から選ばれた少なくとも1種の金属単体又は金属
    間化合物からなる請求項1記載の金属−水素化物アルカ
    リ蓄電池用の水素吸蔵合金電極。
  3. 【請求項3】前記Mm−Ni系水素吸蔵合金粉末が、単
    ロール法又は双ロール法により急冷凝固させた後であっ
    て粉砕する前に、不活性ガス又は真空中にて620〜1
    000°Cの温度に所定時間加熱保持するアニール処理
    を施されたものである請求項1記載の金属−水素化物ア
    ルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金電極。
JP6338417A 1994-12-28 1994-12-28 金属−水素化物アルカリ蓄電池用の水素吸蔵合金電極 Pending JPH08185860A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101530842B1 (ko) * 2006-07-05 2015-06-23 에스씨피에스 서사이트 드 컨세일 엣 드 프로스펙티브 사이언티피큐 에스아 신규한 알칼리 축전지용 은 양극
CN106119652A (zh) * 2016-06-21 2016-11-16 安泰科技股份有限公司 镍氢电池用La‑Mg‑Ni系储氢合金及其制备方法

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