JPH08184832A - ラビング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶パネルの配向処理過程で発生する静電気
を瞬間的に中和し、静電気に起因するＴＦＴ特性の変化
や絶縁破壊を防止することを目的とする。 【構成】 静電気除去ローラを、ラビングローラまたは
液晶パネルに接触させ、ラビングローラの回転と同期さ
せて回転させる。静電気除去ローラは、好ましくは高抵
抗導電材料が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータ端末、画
像表示装置、光シャッタ等に用いる液晶パネル装置の製
造工程において液晶パネルに配向膜を形成するために使
用するラビング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶パネルの製造工程では、ＴＦＴ（薄
膜トランジスタ）素子が形成されたガラス基板上のポリ
イミドやポリビニルアルコール（ＰＶＡ）などの高分子
フィルムの表面を、ナイロンなどの短い繊維を人工的な
植毛法で制御して作製したブラシや布で擦ることによ
り、液晶のプレティルトを生じさせて配向性を制御する
ラビング処理が不可欠である。

【０００３】ラビング処理のプロセス中で生じる静電
気、とくにラビングローラに生じる静電電荷量はラビン
グ処理の進行に伴い蓄積・増加するため、液晶パネルの
絶縁膜中への電荷注入に伴う閾値電圧の変化などのＴＦ
Ｔ特性の劣化、あるいはソース・ゲート間や蓄積電極と
ゲート間の部分的あるいは全面的な絶縁破壊を引き起こ
す原因となっていた。

【０００４】そこで、ラビングローラの除電対策とし
て、図４に示すように、支持台１の上に置かれた液晶パ
ネル２にラビングローラ３を当てて液晶パネル２を配向
処理する場合に、ラビングローラ３に蓄積される負の電
荷を中和させるために、カバー２０に複数の除電バー２
１を設け、正にイオン化した空気をラビングローラ３に
吹き付けていた。

【０００５】また、他の方法として、特開平３−２５９
１１８号公報（発明の名称；液晶装置の製造方法）に開
示されているように、ラビングローラの表面に直接導電
性薄板を接触させ、発生する静電気を除去する方法が提
案されている。

【０００６】また、特開平５−２１８１７５号公報（発
明の名称；基板搬送装置）には、非導電性材質製のカセ
ット内に収納した半導体装置製造用のウェハやガラス板
等の基板に、導電性部材からなる回転ローラを接触さ
せ、この回転ローラをアースに接続することによって基
板の静電気をアースへ逃がすことで静電気を除去する装
置が提案されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、図４に示すよ
うな除電バーの能力は時間的遅延を伴い、除電が完了す
る前に次のラビング処理が行われるため、電荷を完全に
中和することが出来ないといった不都合がある。また、
前述した「液晶装置の製造方法」に係る従来技術は、摩
擦によってラビングローラの繊維が切断されたり、短い
時間で摩耗してしまうなどの不都合がある。

【０００８】また、前述した「基板搬送装置」に係る従
来技術は、基板に帯電している静電気を一時的に除去す
るもので、静電気を完全に除去するものではなく静電気
の電圧を低下させるに過ぎないため、電荷の迅速な中和
処理には適さないといった不都合がある。

【０００９】本発明の目的は、ラビングローラに発生し
た電荷を速やかに中和し、しかも部材の疲労の少ないラ
ビング装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明によるラビング装
置は、液晶パネルを配向処理するラビングローラと、こ
のラビングローラに接触すると共にラビングローラと同
期して回転する静電気除去ローラとを設ける。

【００１１】また、本発明によるラビング装置は、液晶
パネルを配向処理するラビングローラと、このラビング
ローラと同期して回転すると共に液晶パネルの処理済み
部に接する静電気除去ローラとを設ける。

【００１２】

【作用】本発明の構成において、ラビングローラに接触
して同期回転する静電気除去ローラを用いれば、ラビン
グローラに発生した電荷は速やかに静電気除去ローラに
よって中和され、液晶パネルへの電荷の蓄積も緩和され
る。また、ローラ間の接触であるので摩耗疲労が少な
い。

【００１３】また、液晶パネルの処理済み部に接してラ
ビングローラと同期回転する静電気除去ローラを用いれ
ば、液晶パネルを優先して中和し、ラビングローラの電
荷集中を緩和することができる。

【００１４】

【実施例】図１は、本発明によるラビング装置の第１の
実施例を示す構成図で、前述の図４に示す従来例と同一
構成要素には同一符号を付して説明する。本実施例は、
支持台１の上面に液晶パネル２を載置し、その上にラビ
ングローラ３の収納されたローラボックス４を配置した
構成を有する。

【００１５】ローラボックス４内には、ラビングローラ
３の上方に静電気除去ローラ５が収納されている。ラビ
ングローラ３と静電気除去ローラ５とは、それぞれのプ
ーリ３ａおよび５ａ間に掛けられたベルト６を介して互
いに反対方向に同期して回転するように動力的に接続さ
れている。

【００１６】また、静電気除去ローラ５の軸心部に支持
棒７を設け、ラビングローラ３の軸心部に支持棒８を設
け、両支持棒７，８間にスプリング９を設けて付勢する
ことで２つのローラ３，５が互いに反対方向に回転しな
がら相互に接触しあうように構成されている。本実施例
では、静電気除去ローラ５が支持棒７を介してアースさ
れている。なお、ベルト８による係合に代えて歯車係
合、チェーン係合などを用いてもよい。

【００１７】このように構成されたラビング装置におい
て、例えばナイロン短繊維を人工植毛した布で覆ったラ
ビングローラ３を、液晶パネル２に押し付けながら回転
させて配向処理を施すと、ラビングローラ３に負の電荷
が生じる。しかし、この負の電荷はラビングローラ３と
同期回転しながら接触する静電気除去ローラ５および支
持棒７を介してアースに逃げるので、ラビングローラ３
に電荷集中を生ずることはない。

【００１８】また、静電気除去ローラ５の材料として
は、電荷誘導性のある絶縁物（例えば合成ゴムやフッ素
樹脂）と導電材料とが混在する高抵抗導電材料が用いら
れる。本実施例では、静電気除去ローラ５は主に電荷誘
導によって負の電荷を中和し、その除電時間は図２に示
すように、従来と比較して極めて短縮される。それによ
ってラビングローラ３の電荷は速やかに中和され、液晶
パネル２の帯電も緩和されるためＴＦＴ特性の劣化や絶
縁破壊が防止される。

【００１９】次に、本発明の第２の実施例について説明
する。図３は、本発明によるラビング装置の第２の実施
例を示す構成図で、図１に示す構成と同一構成要素には
同一符号を付して説明する。

【００２０】本実施例は、ローラボックス４内に収納し
たラビングローラ３と静電気除去ローラ５とが横方向に
隣接して配置された構成を有し、静電気除去ローラ５が
液晶パネル２に接するように構成されている。このた
め、ローラボックス４は偏平で横長な形状を成してい
る。また、ラビングローラ３と静電気除去ローラ５と
は、それぞれのプーリ３ａおよび５ａ間に掛けられたベ
ルト６を介して互いに同一方向に同期して回転するよう
に動力的に接続されている。

【００２１】本実施例の場合、高抵抗導電材料からなる
静電気除去ローラ５は、液晶パネル２の配向処理した部
分に接しており、配向処理によって生じた正の電荷を、
図２に示すグラフのように速やかにアースに放出する。
したがって、静電気除去ローラ５は主に導電材料として
機能する。このようにして液晶パネル２の電荷が除去さ
れる結果、液晶パネル２へのパーティクルの付着が抑制
され、成膜時のギャップ不良などの発生が防止される。

【００２２】このように、静電気除去ローラ５はラビン
グローラ３と同期して回転し、電荷の発生量に比例した
量の電荷を中和または放出するので、迅速な中和処理を
行うことができる。また、高抵抗導電材料からなる静電
気除去ローラ５は電荷の種類に応じて機能的に作用す
る。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、液晶パネルの配向処理
によって生ずる静電気が極めて迅速に中和される結果、
液晶パネルのＴＦＴ特性の変化や絶縁破壊、あるいは異
物の付着などを未然に防止することができる効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるラビング装置の第１の実施例を示
す構成図である。

【図２】帯電比の特性図である。

【図３】本発明の第２の実施例を示す構成図である。

【図４】従来のラビング装置の構成図である。

【符号の説明】

１ 支持台 ２ 液晶パネル ３ ラビングローラ ４ ローラボックス ５ 静電気除去ローラ ６ ベルト ７，８ 支持棒 ９ スプリング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶パネルを配向処理するラビングロー
   ラと、このラビングローラに接触すると共にラビングロ
   ーラと同期して回転する静電気除去ローラとを備えるこ
   とを特徴とするラビング装置。
2. 【請求項２】 液晶パネルを配向処理するラビングロー
   ラと、このラビングローラと同期して回転すると共に前
   記液晶パネルの処理済み部に接する静電気除去ローラと
   を備えることを特徴とするラビング装置。