JP2515739B2 - 表示素子用基板の加工方法および加工装置 - Google Patents

表示素子用基板の加工方法および加工装置

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JP2515739B2 JP11720486A JP11720486A JP2515739B2 JP 2515739 B2 JP2515739 B2 JP 2515739B2 JP 11720486 A JP11720486 A JP 11720486A JP 11720486 A JP11720486 A JP 11720486A JP 2515739 B2 JP2515739 B2 JP 2515739B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、表示素子用基板の加工方法および加工装置
に関する。
〔従来の技術〕
現在、平面型表示素子として、最も一般的に普及して
いるのは、電界効果形液晶表示素子である。
電界効果形液晶表示素子はツイステッドネマチック形
(TN形)液晶表示素子をその代表例として、種々のもの
が周知である。TN形液晶表示素子の一例を第2図に示
す。この液晶表示素子は、それぞれ透明なガラスなどか
らなる上基板1と下基板2とが所定の間隔、例えば5〜
15μmでほぼ平行に配置され、その周囲は、例えばフリ
ットガラス,あるいは有機接着剤等からなる封着部材3
で封着され、これらによって形成される内部空間に正の
誘導率異方性を有するネマチック液晶4が封入されてい
る。所定の間隔は、封着部材3に混入された例えばファ
イバーガラス,ガラス粉末等のスペーサ5によって得ら
れる。なおスペーサ5を使用せず、封着部材3をスペー
サとして兼用しても良い。
上記上,下基板1,2のそれぞれの内面上に透明導電膜
により所定のパターン状に上電極6,下電極7が形成さ
れ、更に液晶4に接する面には、その面に接する液晶分
子を所望の一定方向に配向させる一定膜厚の液晶配向制
御膜8,9が形成されている。このような配向制御膜8,9
は、上,下電極6,7を有する基板面上に有機高分子薄膜
又は無機物薄膜を被着し、その表面を綿などで一定方向
にこするいわゆるラビング処理により形成される(特公
昭58-23610号公報)。
上基板1の液晶配向制御膜8による液晶分子の配向方
向には第1の一定方向を、下基板2の液晶配向制御膜9
による液晶分子の配向方向には第2の一定方向をそれぞ
れ選びそれぞれの方向を異ならせることにより、前記
上,下基板1,2間に挟持されたネマチック液晶4の分子
は、その長軸が上,下基板1,2の面にほぼ平行で、かつ
第1の方向から第2の方向に向かって順次ねじれて配向
される。第1の方向と第2の方向とのなす角度すなわち
液晶分子のツイスト角度は任意に選ばれるが、一般には
ほぼ70〜270度が選ばれる。
基板1,2の外側には、それぞれ上偏光板10及び下偏光
板11が配置される。偏光板10,11の偏光軸の方向は、そ
れぞれ液晶配向制御膜8,9の配向方向と0〜90度の角度
をなすように配置する。
このような表示素子は、上基板1側から観察する場
合、下偏光板11の裏面に反射板12との間に所望の厚さの
アクリル樹脂板,ガラス板等の導光体を挿入し、その側
面の適宜個所に光源を配置した反射形表示素子として、
又は反射板12の代りに光源(図示せず)を配置した透過
形表示素子として使用される。
〔発明が解決しようとする問題点〕
液晶配向制御膜にラビング処理を施す際、摩擦により
生じる静電気が放電し液晶配向制御膜,液晶配向制御膜
の下側に形成されている電極パターン,又は後述するTF
T等が破壊されるという問題点があった。従来、湿度管
理,O3ブロー等により静電気を中和したり、ラビング処
理時のみ全ての電極パターンを短絡、若しくは放電用補
助パターンの配設(特開昭60-182413,60-237429,60-237
430号公報)、又は導電性の炭素繊維と非導電性の化学
繊維との混紡布を用いたラビング処理(特開昭61-15129
号公報)等が提案されて来たが、改善の余地があり、十
分満足できるものではなかった。以上、液晶表示素子の
ラビング処理を例に採って説明したが、ラビング処理に
限らず、液晶配向膜の塗布、あるいは一般の表示素子用
基板表面の加工、例えばホトレジスト塗布時においても
静電気の除電に改善が望まれている。
〔問題点を解決するための手段〕
上記問題点は、表示素子用基板表面の加工時生ずる静
電気を除電するためにイオン化された空気をふりかける
とともに、加工される基板面を、これとほぼアース電位
を有する物体面との間に5mm以上の絶縁層を介在させて
保持することにより解決される。
〔作用〕
基板面加工時、基板面に発生した静電気に、イオン化
された空気をふりかけての除電は、上記静電気により帯
電した基板の周辺の空間に生じた電界に沿ってイオンが
引きつけることにより行なわれるものであるから、帯電
量一定の場合、これによる電界強度を極力大きくすれ
ば、除電作用が効果的に行なわれる。
加工される基板表面を、ほぼアース電位を有する物体
面から、ある値以上離して保持することにより、この基
板表面が形成する対地容量を小さくすれば、帯電圧=帯
電量/対地容量の関係から、帯電圧従って上記電界を増
大することが出来、静電気の除電が効果的に行われる。
〔実施例〕
以下、液晶表示素子を例にとり、本発明の一実施例に
ついて説明する。
先ず、液晶配向制御膜にラビング処理を施す際の摩擦
により静電気破壊が、特に問題になるアクティブマトリ
ックスカラー液晶表示素子について説明する。TFTアレ
イを用いたアクティブマトリックス液晶表示素子には、
アモルファスSi TFTあるいはポリSi TFT等が用いられて
いる。
第3図はアモルファスSi TFT液晶表示素子の一部断面
図を示すものであり、下基板2上には、ゲート電極21,
その上にゲート絶縁膜22が被覆され、さらにTFT用半導
体体としてのアモルファスSi層23,ドレイン24,ソース2
5,このソース25に電気的に接続される透明表示電極26,T
FTを被覆する保護膜27,TFTを光から遮蔽する光遮蔽層28
が設けられている。ここで、アーム電極21,アモルファ
スSi層23,ドレイン24,ソース25,透明表示電極26,保護膜
27,光遮蔽層28は、液晶表示素子の画素のピッチで周期
的に配列されている。さらに下基板2の最上層には、有
機高分子膜からなる液晶配向制御膜9が形成されてい
る。ネマチック液晶4は、第2図に関連して述べたと同
様にツイスト構造をなしている。一方上基板1の内側に
は、先ずカラーフィルタ29が、次いで透明導電膜からな
る対向電極30、さらに有機高分子膜からなる液晶配向制
御膜8が形成されている。また上,下基板1,2の外側に
は上,下偏光版10,11がそれぞれ配設されている。
第4図はポリシリコンTFT液晶表示素子の一部断面図
を示すものであり、下基板32上には、先ず減圧CVD,電子
ビーム蒸着,MBEなどにより形成されたポリSi層33が形成
され、さらに熱酸化によるSiO2絶縁膜37を介してゲート
電極31が形成されている。前記ポリSi層の一端にはソー
スライン35が接続され、他端には画素電極36に接続され
るドレイン38が形成されている。さらに下基板2の最上
層には、液晶配向制御膜9が形成されている。液晶層4,
上基板1,液晶配向制御膜8,カラーフィルタ29,対向電極3
0,上,下偏光板10,11等については第3図に関連して述
べたと同様である(詳細は、例えばテレビジョン学会誌
Vol.40,No.3(1986)第170頁〜第177頁に述べられてい
る)。
第3,4図における液晶配向制御膜8,9に対するラビング
処理は、上基板1,下基板2上に有機高分子膜を形成後、
上,下基板を対向配置させて固定する前に施される(詳
細は、例えば日経メカニカル1980年11月24日号に述べら
れている)。
次に、イオン化された空気をふりかけることによる、
ラビング処理された基板表面の除電について説明する。
第5図に示す如く、ベース53上に戴置された金属製真
空吸着板51に、例えば第3図により説明した液晶配向制
御膜9が形成されている下基板2を固定し、ローラ54に
巻かれたバフ布55により液晶配向制御膜9の表面をラビ
ングする。その際、イオンブロワ56(例えばシムコジャ
パン社のA202型ポータブロワ)は、空気の分子をプラス
とマイナスにイオン化し、これを液晶配向制御膜9上に
ふりかけると、ラビングにより生じた液晶配向制御膜9
上の帯電荷と逆の極性のイオンがこの帯電荷に引きつけ
られて、液晶配向制御膜9上の帯電荷を中和する。
下基板2が1mm厚のガラス板からなる場合を考えると
対地静電容量は約3pF/cm2である。従って今帯電電荷量
を−300pC/cm2と仮定すると、帯電圧は−100Vとなる。
このように帯電圧が低いとこれによる電界が弱いので、
イオンブロワ56からのイオンを引きつける力が弱いので
液晶配向制御膜9の除電に時間がかかる。またイオンブ
ロワ56からのプラスイオンの量とマイナスイオンの量と
がバランスしていないと、下基板2の下側にはアース側
からチャージが誘起されて下基板2の表と裏の電荷量と
が中和されるが、この後下基板2を真空吸着板51から取
り脱した場合、逆符号に帯電してしまい、除電の効果が
出ない。従って第5図の構成による除電特性は第6図の
曲線Aの如くになる。
以下本発明の一実施例について説明する。
第1図において、液晶配向制御膜9が形成された下基
板2に真空吸着板51上に固定され、この真空吸着板51は
絶縁物からなるスペーサ52を介してベース53上に戴置さ
れている。ここでスペーサ52は、10mm厚のスチロール樹
脂で形成されている。第5図同様ローラ54に巻かれたバ
フ布55により液晶配向制御膜9の面をラビングし、イオ
ンブロワ56により液晶配向制御膜9上に生じた帯電荷を
除電する。本実施例における除電特性は第6図の曲線B
で示される。すなわち本実施例においては、第5図の構
成により除電した場合とは異なり、急速に除電が達成さ
れる。
本実施例においては、アース電位を有する物体面と基
板上面との間には(基板厚+スペーサ厚)すなわち11mm
の絶縁層が配設されているので、対地容量は約0.09pF/c
m2となる。そこで第5図の場合と同様に−3000pC/cm2
帯電くさせた場合、帯電厚は3300Vとなる。従ってこれ
による電界も大きいのでイオンブロワ56からの、帯電荷
とは逆符号のイオンを引きつける力が大きく除電が速や
かに行なわれる。また対地容量が小さいので、イオンブ
ロワ56から吹き付けられるプラスイオン量とマイナスイ
オン量との間に不均衡があっても、これによるアースか
らの誘起も少なくイオンの不均衡も問題にならない。
本発明は、基板面加工面に発生する静電気を除電する
ために、基板面にイオンをふりかける際、基板上面が形
成する対地静電容量を極力小さくすることにより、上記
静電気による帯電圧、従って電界を大きくして、イオン
を基板面上に効率良く引きつけて除電を速やかにかつ完
全に行なうものである。
本発明においては、加工する際の基板面と、アース電
位を有する物体面との間に5mm厚以上の絶縁層を介在さ
せれば、実際の基板面加工時発生する静電気の除電に有
利な静電容量まで下げることが出来る。加工する際の基
板面と、アース電位を有する物体面との間に絶縁層を介
在させる方法としては、基板下面とアース電位を有する
物体面との間に絶縁物からなるスペーサを介在させる。
このスペーサを形成するものとしては、誘電率εの小さ
いものを使えば、このスペーサをそれだけ薄く出来る。
このスペーサ材料としてはスチロール,ポリプロピレ
ン,テフロン等が好結果を示した。基板厚1mmでスペー
サをテフロンで製作する場合、この比誘電率が2なの
で、スペーサ厚は20mm以上とすることが好ましく、厚さ
10mm程度でも効果はみられるが十分ではない。また誘電
損失の少ないものが良好な結果を示すことが実験の結果
判明した。ベークライトは誘電損失が大きく誘導がある
ので好ましくない。
また第1図におけるスペーサ52を枠状体として基板と
アース電位を有する物体であるベース53の上面との間に
中空層を設けても良い。
また上記実施例に用いた真空吸着板51は、通常金属製
であるが、その面積は、基板2の対地容量を増大させな
い見地から小さい程好ましく、基板2の大きさより余り
大きくすることは好ましくない。勿論真空吸着板51を省
略して、基板2の外形で基板2を位置決め固定すること
も出来る。
一般にラビング処理等の基板加工時の除電を速やか
に、かつ完全に行なうためには基板上面とアース間の静
電容量が1pF/cm2以下であることが好ましい。
本発明によれば、基板上に、静電気により破壊され易
いアモルファスSi TFTあるいはポリSi TFT等のものが既
に形成されている基板を更に加工するにあたっても静電
気の除電が速やかにかつ完全に行なえるので、アモルフ
ァスSi TFTあるはポリSi TFTの静電破壊を完全に防止で
きる。
上記実施例は、液晶配向制御膜にラビング加工を行な
う際の除電作用についてであるが、本発明は、これに限
定されるものではなく、基板面上に液晶配向制御膜をロ
ーラにより印刷する際、および基板面上にホトレジスト
材をローラにより印刷する際等に生じる静電気の除電に
も適用できることは勿論である。従って本発明は、液晶
表示素子の基板加工に限らず、他の表示素子、例えばエ
レクトロミック表示素子の基板加工にも適用できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、表示素子の基板加工時発生する静電
気を速やかに、かつ完全に除電することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を説明するための側面図、第
2図は液晶表示素子の断面図、第3,4図はアクティブマ
トリックス液晶表示素子の一部断面図、第5図はイオン
ブロワによる基板表面の除電を説明するための図、第6
図は本発明による除電特性を説明するためのグラフであ
る。 2……下基板、9……液晶配向制御膜、51……真空吸着
板、52……スペーサ、53……ベース、54……ローラ、55
……バフ布、56……イオンブロワ。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁材からなる表示素子用基板の加工方法
    において、表示素子用基板面の表面加工時生ずる静電気
    を除電するためにイオン化された空気をふりかける際、
    前記基板面をほぼアース電位を有する物体面との間に5m
    m厚以上の絶縁層を介在させて保持することを特徴とす
    る表示素子用基板の加工方法。
  2. 【請求項2】前記基板面が、アース電位面に対して形成
    する静電容量が1pF/cm2以下になるように保持すること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の表示素子用基
    板の加工方法。
  3. 【請求項3】回転しながら表示素子用基板表面に接触し
    て該基板表面を加工する円筒状加工部材と、該基板表面
    にイオン化された空気をふりかけるイオン発生器と、前
    記表示素子用基板が載置されるベースとを備える表示素
    子用基板の加工装置において、加工される表示素子用基
    板表面をベース上面から5mm以上離間して保持するスペ
    ーサを備えたことを特徴とする表示素子用基板の加工装
    置。
  4. 【請求項4】前記スペーサは絶縁材からなる板状である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第3項記載の表示素子
    用基板の加工装置。
  5. 【請求項5】前記スペーサは、前記加工される表示素子
    用基板表面と前記ベース上面との間に中空層を形成する
    枠状体であることを特徴とする特許請求の範囲第3項記
    載の表示素子用基板の加工装置。
  6. 【請求項6】前記絶縁材は、比誘電率が5以下の物質か
    らなることを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の表
    示素子用基板の加工装置。
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