JPH08184624A - 伝達関数測定装置 - Google Patents

伝達関数測定装置

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JPH08184624A
JPH08184624A JP32837094A JP32837094A JPH08184624A JP H08184624 A JPH08184624 A JP H08184624A JP 32837094 A JP32837094 A JP 32837094A JP 32837094 A JP32837094 A JP 32837094A JP H08184624 A JPH08184624 A JP H08184624A
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道昭 米田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 入力信号IN1 、IN2 を帯域分割処理回路
10、20のダウンサンプリング処理によって複数の帯
域に分割し、FFT解析器14、24において各帯域で
同じポイント数のFFT処理を施してパワースペクトル
* ( k)X(k)、Y* ( k)Y(k)及びクロスス
ペクトルX* ( k)Y(k)を求め、レジスタ31a、
31c、31bに所定の回数分記憶し、平均値化回路3
2a、32cでパワースペクトルの平均値P1(k)、P
2(k)、平均値化回路32bでクロススペクトルの平均
値C(k)をそれぞれ求めた後、伝達関数演算器35で
伝達関数H(k)を算出し、また、コヒーレンス演算器
34でコヒーレンスを求めて、さらに、比較器36でコ
ヒーレンスが一定値以上であるか否かを判別する。 【効果】 被測定物の伝達関数の測定時の処理操作が簡
単になり、また、精度の高い伝達関数を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被測定物に供給する入
力信号と被測定物からの出力信号とから被測定物の伝達
関数を求める伝達関数測定装置、特に高速フーリエ変換
処理によりディジタル的に伝達関数を測定する測定器に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フーリエ変換によって変換された
データは、周波数上でリニアに等間隔に並ぶ。このデー
タを対数の周波数軸上で見た場合に、フーリエ変換のポ
イント数が少ないと、低い周波数においてデータの間隔
が空き、精度が取れない。
【0003】従って、対数の周波数軸上で、低い周波数
において周波数の分解能を上げるためには、所望する周
波数分解能を満足するまで高速フーリエ変換のポイント
数を大きくして伝達関数を測定する方法、もしくは、帯
域を分割して、その帯域毎に異なるサンプリング周波数
でサンプリングを行い、少ないポイント数の高速フーリ
エ変換を行うことにより各帯域毎の伝達関数を測定し、
この測定結果を一つの対数の周波数軸上に表す方法があ
る。
【0004】上述の、帯域を分割し、高速フーリエ変換
のポイント数を大きくせずに、低い周波数で周波数分解
能を上げる方法としては、異なるサンプリング周波数に
設定された2チャンネルの高速フーリエ変換(FFT)
アナライザを上記分割された帯域の数だけ用意して、各
FFTアナライザで伝達特性データを測定し、この伝達
特性データを、例えばGPIB(General Purpose Inter
face Bus) をインターフェイスに用いてコンピュータに
取り込み、このコンピュータにおいて各伝達特性データ
を一つの対数の周波数軸上に表示するものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した方
法において、所望する周波数分解能を満足するまで高速
フーリエ変換のポイント数を大きくしてしまうと、処理
時間が大幅に増加し、ハードウェアもより大きな構成の
ものが必要になる。
【0006】また、上述した従来のFFTアナライザを
用いて、帯域分割及び各帯域毎の高速フーリエ変換を行
う場合には、測定結果の表示用のコンピュータの他に各
帯域分の2チャンネルFFTアナライザが必要となり、
これらの機器を備えたシステムは大規模なものとなって
しまう。
【0007】そこで、本発明は上述の実情に鑑み、ハー
ドウェアの構成を小さくし、処理時間を短縮することが
できる伝達関数測定装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る伝達関数測
定装置は、入力信号及び出力信号に対してローパスフィ
ルタに通して信号データを間引くダウンサンプリング処
理を繰り返して行うことにより複数の帯域に分割する帯
域分割手段と、上記帯域分割手段からの帯域毎の入力信
号及び出力信号にそれぞれ直交変換を行う直交変換手段
と、上記直交変換手段からの帯域毎の入力信号及び出力
信号のスペクトルを用いて上記入力信号及び出力信号の
パワースペクトルを帯域毎に算出するパワースペクトル
算出手段と、上記パワースペクトル算出手段からの入力
信号のパワースペクトルを用いて被測定物の伝達特性を
帯域毎に算出する伝達特性算出手段と、上記伝達特性算
出手段からの帯域毎の伝達特性が一定値以上であるか否
かを判別する判別手段とを有して成ることにより上述し
た課題を解決する。
【0009】ここで、上記パワースペクトル算出手段で
は、上記直交変換手段からの入力信号のスペクトルに、
上記直交変換手段からの出力信号のスペクトルを乗算し
て帯域毎のクロススペクトルを算出することを特徴とす
る。
【0010】また、上記直交変換手段における直交変換
処理を複数回繰り返して行い、上記パワースペクトル算
出手段では、上記直交変換手段からの複数の入力信号及
び出力信号のスペクトルを用いて複数の入力信号及び出
力信号のパワースペクトル、及びクロススペクトルを算
出し、これら複数の入力信号及び出力信号のパワースペ
クトル、及びクロススペクトルを用いて入力信号及び出
力信号のパワースペクトルの平均値及びクロススペクト
ルの平均値を求め、上記伝達特性算出手段では上記入力
信号のパワースペクトルの平均値と上記クロススペクト
ルの平均値とを用いて上記被測定物の伝達特性を算出す
ることを特徴とする。
【0011】さらに、上記入力信号及び出力信号のパワ
ースペクトルの平均値と上記クロススペクトルの平均値
とを用いてコヒーレンスの値を計算するコヒーレンス算
出手段を有し、上記判別手段では上記入力信号のパワー
スペクトルの平均値のレベルと上記コヒーレンス算出手
段からのコヒーレンスの値とが一定値以上であるか否か
を判別することを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明においては、入力信号及び出力信号に対
してローパスフィルタに通して信号データを間引くダウ
ンサンプリング処理を繰り返して行うことにより複数の
帯域に分割し、この入力信号及び出力信号にそれぞれ直
交変換を行って入力信号及び出力信号のスペクトルを
得、これら入力信号及び出力信号のスペクトルを用いて
上記入力信号及び出力信号のパワースペクトルを帯域毎
に算出した後に被測定物の伝達特性を求めることによ
り、各帯域で同じポイント数の直交変換を行うので、被
測定物の伝達関数の測定時の処理操作が簡単になる。
【0013】ここで、上記パワースペクトル算出手段で
は、上記変換手段からの入力信号のスペクトルに、上記
変換手段からの出力信号のスペクトルを乗算して帯域毎
のクロススペクトルを算出することにより、伝達関数の
測定を高精度に行うことができる。
【0014】また、上記直交変換手段における直交変換
処理を複数回繰り返して行い、上記パワースペクトル算
出手段では、上記直交変換手段からの複数の入力信号及
び出力信号のスペクトルを用いて複数の入力信号及び出
力信号のパワースペクトル、及びクロススペクトルを算
出し、これら複数の入力信号及び出力信号のパワースペ
クトル、及びクロススペクトルを用いて入力信号及び出
力信号のパワースペクトルの平均値及びクロススペクト
ルの平均値を求め、上記伝達特性算出手段では上記入力
信号のパワースペクトルの平均値と上記クロススペクト
ルの平均値とを用いて上記被測定物の伝達特性を算出す
ることにより、求める伝達関数の信頼性を高めることが
できる。
【0015】さらに、上記入力信号及び出力信号のパワ
ースペクトルの平均値と上記クロススペクトルの平均値
とを用いてコヒーレンスの値を計算するコヒーレンス算
出手段を有し、上記判別手段では上記入力信号のパワー
スペクトルの平均値のレベルと上記コヒーレンス算出手
段からのコーレンスの値とが一定値以上であるか否かを
判別することにより、信頼性の高い測定結果を伝達関数
として得ることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について、図
面を参照しながら説明する。図1には、本発明に係る伝
達関数測定装置を用いたシステムの構成を示す。
【0017】この図1のパーソナルコンピュータ等の情
報処理装置63は、ch1、ch2の2チャンネル分の
アナログ音声入力端子及びこの2チャンネルのアナログ
音声入力端子毎に、入力される音声信号をディジタル信
号に変換するA/D(アナログ/ディジタル)変換器を
備えている。また、この情報処理装置63には、伝達関
数の測定結果を表示するためのCRT(陰極線管)モニ
タ等の表示装置64が接続されている。
【0018】入力端子61から入力される入力信号は、
被測定物62に供給されると共に、情報処理装置63の
ch1で示すアナログ音声入力端子に入力される。ま
た、被測定物62からの出力信号は、情報処理装置63
のch2で示すアナログ音声入力端子に入力されると共
に、出力信号端子65から出力される。
【0019】上記情報処理装置63では、入力された2
チャンネルのアナログ音声信号を用いて伝達関数を計算
し、振幅及び位相等の特性を接続された表示装置64上
に表示する。
【0020】また、図2は伝達関数測定装置に用いる信
号を示すものであり、例えば入力信号x(t)が被測定
物1に供給されると共に、入力IN1 の信号として入力
端子2に出力される。また、上記被測定物1から出力さ
れる、上記入力信号x(t)に対応する出力信号y
(t)は、入力IN2 の信号として入力端子3に出力さ
れる。伝達関数測定装置では、上記入力端子2、3に出
力される入力信号x(t)及び出力信号y(t)を用い
て被測定物の伝達関数を測定する。
【0021】次に、伝達関数測定装置の概略的な構成を
図3に示し、以下に説明する。
【0022】ここで、伝達関数の測定に必要な音声信号
のサンプル数は、後述する高速フーリエ変換(FFT)
のポイント数、分割する帯域数、及び、後述するパワー
スペクトル及びクロススペクトルの平均する回数を用い
て算出される。例えば、上記伝達関数の測定に必要なサ
ンプル数をS、高速フーリエ変換のポイント数をP、分
割する帯域数をM、及び平均する回数をNとする場合に
は、上記伝達関数の測定に必要なサンプル数Sは以下の
(1)式で表される。
【0023】S=P×2M ×N ・・・(1) 具体的には、高速フーリエ変換のポイント数Pが51
2、分割帯域数Mが7、平均する回数Nが10のときに
は、サンプル数Sは、 512×27 ×10=655360 の値となる。
【0024】図2に示すように、2チャンネルの入力端
子2、3に入力された入力信号及び出力信号のアナログ
音声信号は、それぞれディジタル変換された後、図3の
帯域分割処理回路10、20に入力IN1 の信号及び入
力IN2 の信号としてそれぞれ入力される。ここで、入
力IN1 の信号に対して入力IN2 の信号が高速フーリ
エ変換のポイント数の範囲を越えて遅延している場合を
考慮して、入力IN2の信号としてはそのまま信号デー
タの先頭から取り出し、入力IN1 の信号としては補正
分の信号データの先頭から遅延させて取り出す。
【0025】上記帯域分割処理回路10、20では、入
力された信号のサンプリング周波数FSに対して必要な
帯域の数だけダウンサンプリング処理を繰り返し行うこ
とにより帯域分割処理が実行される。具体的には、ダウ
ンサンプリング処理を施すデータを直線位相の有限長イ
ンパルス応答(FIR:finite impulse response) フィ
ルタであるローパスフィルタに通し、2個のデータから
1個のデータを抜き取るようにその出力を間引くことに
よってダウンサンプリング処理が行われる。
【0026】ここで、ダウンサンプリング処理で用いら
れる理想的なローパスフィルタの特性は、フィルタの動
作クロック周波数をfCLとするとき図4に示すものとな
るが、これを直線位相FIRフィルタで実現する場合に
はFIRフィルタの係数のタップ数が莫大になってしま
い、処理時間を短縮することができない。そこで、少な
いタップ数のFIRフィルタを用いてローパスフィルタ
を実現するために、フィルタの動作クロック周波数をf
CLとすると、図5に示すように、周波数帯域fCL/8ま
で平坦で、fCL/8〜fCL/4を過渡域、fCL/4〜f
CL/2を阻止域とする特性のFIRフィルタを用いるよ
うにする。そして、fCL/8以下のデータにダウンサン
プリング処理を施した後に、データとして用いる。
【0027】上記直線位相FIRフィルタの係数のタッ
プ数を28としたときの各タップの値を表1に示すもの
とするとき、この28タップ直線位相FIRフィルタの
振幅特性は図6に示すものとなる。
【0028】
【表1】
【0029】図7は、例えば分割する帯域数を7とする
ときの各帯域の測定区間を具体的に示すものであり、元
のサンプリング周波数をfs とすると、帯域D1 の測定
区間はfs /2〜fs /8、帯域D2 の測定区間はfs
/8〜fs /16、帯域D3の測定区間はfs /16〜
s /32、帯域D4 の測定区間はfs /32〜fs
64、帯域D5 の測定区間はfs /64〜fs /12
8、帯域D6 の測定区間はfs /128〜fs /25
6、帯域D7 の測定区間はfs /256〜0となる。
【0030】また、上述のように帯域数を7とし、FF
Tのポイント数を1024とするときの具体的なダウン
サンプリング処理手順を図8に示す。
【0031】先ず、1024×64個の時系列データ
が、FFT50に送られると共に、ダウンサンプリング
処理回路41に入力される。このFFT50は、106
4×64個の時系列データの内の任意の位置の連続する
1024サンプルを取り出して1024ポイント高速フ
ーリエ変換処理を施すものである。以下に示すFFT5
1、52、53、54、55、55もFFT50と同様
にして、入力される時系列データの内の任意の位置の連
続する1024サンプルを取り出して1024ポイント
高速フーリエ変換処理を施すものである。
【0032】上記ダウンサンプリング処理回路41内の
FIRフィルタ41aは動作クロック周波数fCL=fs
で動作しており、入力された1024×64個の時系列
データはFIRフィルタ41aに通された後に間引き処
理回路41bで間引き処理されることによりクロック周
波数がfs /2とされ、ダウンサンプリング処理回路4
1からは1024×32個の時系列データが出力され
る。この時系列データはFFT51に送られると共に、
ダウンサンプリング処理回路42に入力される。
【0033】このダウンサンプリング処理回路42で
は、入力された1024×32個の時系列データが動作
クロック周波数fCL=fs /2で動作するFIRフィル
タ42aに通された後に間引き処理回路42bで間引き
処理が施されることによりクロック周波数がfs /4と
され、ダウンサンプリング処理回路42からは1024
×16個の時系列データが出力される。この時系列デー
タはFFT52に送られると共に、ダウンサンプリング
処理回路43に入力される。
【0034】このダウンサンプリング処理回路43で
は、入力された1024×16個の時系列データが動作
クロック周波数fCL=fs /4で動作するFIRフィル
タ43aに通された後に間引き処理回路43bで間引き
処理が施されることによりクロック周波数がfs /8と
され、1024×8個の時系列データが出力される。こ
の時系列データはFFT53に送られると共に、ダウン
サンプリング処理回路44に入力される。
【0035】このダウンサンプリング処理回路44で
は、入力された1024×8個の時系列データが動作ク
ロック周波数fCL=fs /8で動作するFIRフィルタ
44aに通された後に間引き処理回路44bで間引き処
理が施されることによりクロック周波数がfs /16と
され、1024×4個の時系列データが出力される。こ
の時系列データはFFT54に送られると共に、ダウン
サンプリング処理回路45に入力される。
【0036】このダウンサンプリング処理回路45で
は、入力された1024×4個の時系列データが動作ク
ロック周波数fCL=fs /16で動作するFIRフィル
タ45aに通された後に間引き処理回路45bで間引き
処理が施されることによりクロック周波数がfs /32
とされ、1024×2個の時系列データが出力される。
この時系列データはFFT55に送られると共に、ダウ
ンサンプリング処理回路46に入力される。
【0037】このダウンサンプリング処理回路46で
は、入力された1024×2個の時系列データが動作ク
ロック周波数fCL=fs /32で動作するFIRフィル
タ46aに通された後に間引き処理回路46bで間引き
処理が施されることによりクロック周波数がfs /64
とされ、1024個の時系列データが出力される。この
時系列データはFFT56に送られる。このFFT56
では周波数fs /64の1024サンプルに高速フーリ
エ変換処理を施す。
【0038】このようにして、入力IN1 からの信号及
び入力IN2 からの信号のサンプリング周波数はそれぞ
れ7つの帯域に分割されて、それぞれの帯域に対応する
データが取り出される。
【0039】上記帯域毎に分割された入力IN1 の信号
は、各帯域毎に信号切換器11で切換選択されて乗算器
13に出力されると共に、この信号切換器11で切換選
択された信号の帯域に対応する帯域の信号が、信号切換
器21で切換選択されて乗算器23に出力される。上記
信号切換器11、21は、平均する回数Nの切換を行う
ことができるものである。
【0040】ここで、上記帯域分割処理回路10、20
においては、所定の切り出し区間において標本化された
所定のサンプル数の音声波形を切り出しており、この音
声波形の切り出しの際には、切り出し区間の両端に急激
な変化が起こらないようにすると共に、スペクトル領域
では信号のスペクトルに窓関数のフーリエ変換の畳み込
み、即ち重みつき移動平均を行うために、元の波形に時
間窓を乗算する処理が必要である。よって、窓関数発生
器12、22からは、上記乗算器13、23に送られる
信号の帯域に対応する窓関数が発生されて乗算器13、
23に供給される。これにより、上記乗算器13、23
では、帯域毎の信号と窓関数とが乗算され、この乗算さ
れた信号は、それぞれFFT解析器14、24に送られ
る。
【0041】上記FFT解析器14、24では、送られ
た信号データに高速フーリエ変換処理を施すことによ
り、入力IN1 の信号の周波数スペクトル及び入力IN
2 の信号の周波数スペクトルが求められる。
【0042】上記入力IN1 のスペクトルの複素データ
をX(k)とするとき、この複素データX(k)は乗算
器16に送られると共に、複素共役変換器15にも送ら
れる。この複素共役変換器15では送られた複素データ
X(k)が複素共役データX* ( k)に変換されて乗算
器16に送られ、この乗算器16では上記FFT解析器
14からの複素データX(k)と上記複素共役データX
* ( k)とが乗算されて入力IN1 のパワースペクトル
* ( k)X(k)が求められ、このパワースペクトル
* ( k)X(k)はレジスタ31aに記憶される。
【0043】同様にして、上記入力IN2 のスペクトル
の複素データをY(k)とすると、この複素データY
(k)は乗算器26に送られると共に、複素共役変換器
25に送られる。この複素共役変換器25では送られた
複素データY(k)が複素共役データY* ( k)に変換
されて乗算器26に送られ、この乗算器26では上記F
FT解析器24からの複素データY(k)と上記複素共
役データY* ( k)とが乗算されて入力IN2 のパワー
スペクトルY* ( k)Y(k)が求められ、このパワー
スペクトルY* ( k)Y(k)はレジスタ31cに記憶
される。
【0044】また、上記複素共役変換器15から出力さ
れる入力IN1 のスペクトルの複素共役データX* (
k)と上記FFT解析器24から出力される入力IN2
のスペクトルの複素データY(k)とは乗算器17で乗
算されて、クロススペクトルX* ( k)Y(k)が求め
られ、このクロススペクトルX* ( k)Y(k)はレジ
スタ31bに記憶される。
【0045】ここで、上記レジスタ31a、31b、3
1cは、上記平均する回数Nに対応してN個から成るも
のであり、上記帯域処理回路10、20からのデータを
信号切換器11、21をN回切り換えることにより出力
されるデータをそれぞれ用いてN個の入力IN1 のパワ
ースペクトルX* ( k)X(k)、入力IN2 のパワー
スペクトルY* ( k)Y(k)、及びクロススペクトル
* ( k)Y(k)をそれぞれ記憶するものである。
【0046】この後、上記レジスタ31a、31b、3
1cにそれぞれ記憶されたN個の入力IN1 のパワース
ペクトルX* ( k)X(k)、入力IN2 のパワースペ
クトルY* ( k)Y(k)、及びクロススペクトルX*
( k)Y(k)は、平均値化回路32a、32b、32
cにおいてそれぞれ平均値が求められる。
【0047】上記入力IN1 のパワースペクトルX* (
k)X(k)の平均値をP1 (k)、入力IN2 のパワ
ースペクトルY* ( k)Y(k)の平均値をP
2 (k)、クロススペクトルX* ( k)Y(k)の平均
値をC(k)とすると、入力IN1 のパワースペクトル
の平均値P1 (k)は(2)式で表され、入力IN2
パワースペクトルの平均値P2 (k)は(3)式で表さ
れ、クロススペクトルの平均値C(k)は(4)式で表
される。
【0048】
【数1】
【0049】
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】さらに、上記入力IN1 のパワースペクト
ルの平均値、入力IN2 のパワースペクトルの平均値、
及びクロススペクトルの平均値は、表2に示すように、
各帯域の測定に用いる周波数区間について、それぞれ計
算される。
【0052】
【表2】
【0053】尚、各帯域DにおけるAは、元のダウンサ
ンプリング周波数fs に対する比率を示し、Bは実際に
測定される周波数を示すものであり、例えば帯域D2
おいては、Aに示す範囲1/8〜1/4はダウンサンプ
リング周波数fs /2に対する比率を示すものであり、
実際の測定データの周波数区間はBに示す範囲fs /1
6〜fs /8で示されるものとなる。また、例えば図8
のダウンサンプリング処理回路41内のFIRフィルタ
41aの周波数特性が図5に示すものであるとき、この
FIRフィルタ41aの動作クロック周波数はfs であ
るため、表2のBに示すように、帯域D2 として実際に
取り出されるデータの周波数範囲fs /16〜fs /8
は、図5の周波数特性曲線の平坦部に対応している。
【0054】上記入力IN1 のパワースペクトルの平均
値P1 (k)及びクロススペクトルの平均値C(k)
は、伝達関数演算器35に送られ、この伝達関数演算器
35において被測定物の伝達関数H(k)が計算され
る。具体的には、振幅及び位相が伝達関数として計算さ
れる。この伝達関数の値は出力端子39から出力され
る。
【0055】振幅及び位相を含めた伝達関数H(k)は
以下の(5)式で表され、振幅のみの伝達関数H(k)
は以下の(6)式で表される。
【0056】
【数4】
【0057】
【数5】
【0058】また、上記入力IN1 のパワースペクトル
の平均値P1 (k)、入力IN2 のパワースペクトルの
平均値P2 (k)、及びクロススペクトルの平均値C
(k)は、コヒーレンス演算器34に送られる。
【0059】尚、上記平均値化回路32bで求められた
クロススペクトルの平均値C(k)は、複素共役変換器
33に送られてクロススペクトルの平均値C(k)の複
素共役データC* ( k)が求められており、このクロス
スペクトルの平均値C(k)の複素共役データC* (
k)もコヒーレンス演算器34に送られる。
【0060】上記コヒーレンス演算器34では、上記入
力IN1 のパワースペクトルの平均値P1 (k)、入力
IN2 のパワースペクトルの平均値P2 (k)、クロス
スペクトルの平均値C(k)、及びクロススペクトルの
平均値C(k)の複素共役データC* ( k)を用いて、
互いに干渉する光波の性質である干渉性いわゆるコヒー
レンスが求められる。このコヒーレンスをrとすると、
コヒーレンスrは以下の(7)式で表される。
【0061】
【数6】
【0062】尚、上記伝達関数及びコヒーレンスの値
も、表2に示すように、各帯域の測定に用いる周波数区
間について、それぞれ計算される。
【0063】このように、各帯域で、測定に用いる区間
のみの各スペクトル、伝達関数、コヒーレンスを計算す
ることによって、処理時間を低減することができる。
【0064】そして、CRTモニタ等の表示装置上に、
一つの周波数特性として、図7に示した各帯域毎にデー
タを表示する。
【0065】ここで、各データのポイントにおいて、入
力IN1 の信号のパワースペクトルの平均値のレベルと
コヒーレンスの値とが一定値以上である場合の周波数成
分の伝達特性のみを測定結果として表示されたデータを
更新する。例えば比較器36によってコヒーレンスの値
が0.8以上であるか否かを判別して、コヒーレンスの
値が0.8以下であればコヒーレンスの値を出力端子3
7から出力して表示データはそのままとし、0.8以上
であればコヒーレンスの値を出力端子38から出力して
表示データを更新する。
【0066】尚、さらに伝達関数測定が継続されている
ならば、再び入力IN1 及び入力IN2 の信号を取り込
んで、上述の計算処理を繰り返す。
【0067】次に、図9に示す伝達関数測定装置におけ
る測定手順のフローチャートを用いて、伝達関数の測定
手順について以下に説明する。
【0068】先ず、ステップS1で、入力IN1 及び入
力IN2 からのアナログ音声信号を取り込んでディジタ
ル変換し、このディジタル信号から伝達関数測定に必要
なサンプル数を取り出す。この取り出されたディジタル
信号は、ステップS2で、必要な帯域の数に応じたダウ
ンサンプリング処理が繰り返し行われて帯域分割処理が
施される。例えば、7帯域に分割するときにはダウンサ
ンプリング処理を6回行う。この分割された帯域毎に以
下のステップS3〜S11までの処理を行う。
【0069】先ず、ステップS3では、1つの帯域の入
力IN1 の信号に窓関数を乗算し、この出力にFFT処
理を施して入力IN1 の信号の周波数スペクトルを求
め、また、ステップS4で、入力IN2 の信号に窓関数
を乗算し、この出力にFFT処理を施して入力IN2
信号の周波数スペクトルを求める。そして、ステップS
5で、入力IN1 の信号のスペクトルを用いてパワース
ペクトルを算出し、また、ステップS6で、入力IN2
の信号のスペクトルを用いてパワースペクトルを算出
し、さらに、ステップS7で、上記算出された入力IN
1 のパワースペクトルと入力IN2 のパワースペクトル
とを用いてクロススペクトルを算出する。
【0070】さらに、上記ステップS3〜S7までの操
作を平均する回数分だけ行い、入力IN1 及び入力IN
2 のパワースペクトル、及びクロススペクトルのそれぞ
れの値を平均する回数分だけ求める。
【0071】この後、ステップS9において、上記求め
られた入力IN1 のパワースペクトル、入力IN2 のパ
ワースペクトル、及びクロススペクトルについてそれぞ
れ求められた平均する回数分の値を用いて、入力IN1
のパワースペクトル、入力IN2 のパワースペクトル、
及びクロススペクトルの平均値をそれぞれ算出する。
【0072】そして、ステップS10で、入力IN1
パワースペクトル、入力IN2 のパワースペクトル、及
びクロススペクトルの平均値を用いてコヒーレンスの値
を求める。また、入力IN1 のパワースペクトル及びク
ロススペクトルの平均値を用いて伝達関数を算出する。
【0073】このように、上記ステップS3〜S11ま
での処理を各帯域について行い、各帯域毎のコヒーレン
ス値及び伝達関数を求める。
【0074】さらに、ステップS12で、上記求めたコ
ヒーレンス値及び伝達関数を、例えば一つのグラフとし
て表示装置上に表示する。
【0075】また、ステップS13で、各データのポイ
ントにおいて、上記コヒーレンス値が一定値以上である
か否か、具体的には0.8以上であるか否かを判別し、
0.8以下であるならば表示されたグラフ上の値を更新
せず、また、0.8以上であるならば表示されたグラフ
上の値を各ポイント毎に更新して表示するようにする。
【0076】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る伝達関数測定装置は、入力信号及び出力信号に
対してローパスフィルタに通して信号データを間引くダ
ウンサンプリング処理を繰り返して行うことにより複数
の帯域に分割する帯域分割手段と、上記帯域分割手段か
らの帯域毎の入力信号及び出力信号にそれぞれ直交変換
を行う直交変換手段と、上記直交変換手段からの帯域毎
の入力信号及び出力信号のスペクトルを用いて上記入力
信号及び出力信号のパワースペクトルを帯域毎に算出す
るパワースペクトル算出手段と、上記パワースペクトル
算出手段からの入力信号のパワースペクトルを用いて被
測定物の伝達特性を帯域毎に算出する伝達特性算出手段
と、上記伝達特性算出手段からの帯域毎の伝達特性が一
定値以上であるか否かを判別する判別手段とを有して成
ることにより、各帯域で同じポイント数の直交変換を行
うので、被測定物の伝達関数の測定時の処理操作が簡単
になり、精度の高い伝達関数を得ることができる。ま
た、帯域分割処理及び各スペクトルの計算処理を効率良
く行うので、処理時間を短縮し、ハードウェアの回路構
成を削減することができる。
【0077】ここで、上記パワースペクトル算出手段で
は、上記直交変換手段からの入力信号のスペクトルに、
上記直交変換手段からの出力信号のスペクトルを乗算し
て帯域毎のクロススペクトルを算出することにより、伝
達関数の測定を高精度に行うことができる。
【0078】また、上記直交変換手段における直交変換
処理を複数回繰り返して行い、上記パワースペクトル算
出手段では、上記直交変換手段からの複数の入力信号及
び出力信号のスペクトルを用いて複数の入力信号及び出
力信号のパワースペクトル、及びクロススペクトルを算
出し、これら複数の入力信号及び出力信号のパワースペ
クトル、及びクロススペクトルを用いて入力信号及び出
力信号のパワースペクトルの平均値及びクロススペクト
ルの平均値を求め、上記伝達特性算出手段では上記入力
信号のパワースペクトルの平均値と上記クロススペクト
ルの平均値とを用いて上記被測定物の伝達特性を算出す
ることにより、求める伝達関数の信頼性を高めることが
できる。
【0079】さらに、上記入力信号及び出力信号のパワ
ースペクトルの平均値と上記クロススペクトルの平均値
とを用いてコヒーレンスの値を計算するコヒーレンス算
出手段を有し、上記判別手段では上記入力信号のパワー
スペクトルの平均値のレベルと上記コヒーレンス算出手
段からのコヒーレンスの値とが一定値以上であるか否か
を判別することにより、信頼性の高い測定結果を伝達関
数として得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る伝達関数測定装置を用いたシステ
ムの概略的な構成を示す図である。
【図2】伝達関数測定用信号を説明するための図であ
る。
【図3】伝達関数測定装置の概略的な構成を示す図であ
る。
【図4】理想的なローパスフィルタ特性を示す図であ
る。
【図5】ローパスフィルタ特性を示す図である。
【図6】28タップ直線位相FIRフィルタの振幅特性
を示す図である。
【図7】各帯域の測定区間を示す図である。
【図8】ダウンサンプリング処理を説明するための図で
ある。
【図9】伝達関数測定の手順のフローチャートである。
【符号の説明】
10、20 帯域分割処理回路 11、21 信号切換器 12、22 窓関数発生器 14、24 FFT解析器 15、25、33 複素共役変換器 31a、31b、31c レジスタ 32a、32b、32c 平均値化回路 34 コヒーレンス演算器 35 伝達関数演算器 36 比較器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物に入力する入力信号及びこの入
    力信号を入力した被測定物からの出力信号を用いて被測
    定物の伝達関数を算出する伝達関数測定装置において、 上記入力信号及び出力信号に対してローパスフィルタに
    通して信号データを間引くダウンサンプリング処理を繰
    り返して行うことにより複数の帯域に分割する帯域分割
    手段と、 上記帯域分割手段からの帯域毎の入力信号及び出力信号
    にそれぞれ直交変換を行う直交変換手段と、 上記直交変換手段からの帯域毎の入力信号及び出力信号
    のスペクトルを用いて上記入力信号及び出力信号のパワ
    ースペクトルを帯域毎に算出するパワースペクトル算出
    手段と、 上記パワースペクトル算出手段からの入力信号のパワー
    スペクトルを用いて被測定物の伝達特性を帯域毎に算出
    する伝達特性算出手段と、 上記伝達特性算出手段からの帯域毎の伝達特性が一定値
    以上であるか否かを判別する判別手段とを有して成るこ
    とを特徴とする伝達関数測定装置。
  2. 【請求項2】 上記パワースペクトル算出手段では、上
    記直交変換手段からの入力信号のスペクトルに、上記直
    交変換手段からの出力信号のスペクトルを乗算して帯域
    毎のクロススペクトルを算出することを特徴とする請求
    項1記載の伝達関数測定装置。
  3. 【請求項3】 上記直交変換手段における直交変換処理
    を複数回繰り返して行い、上記パワースペクトル算出手
    段では、上記直交変換手段からの複数の入力信号及び出
    力信号のスペクトルを用いて複数の入力信号及び出力信
    号のパワースペクトル、及びクロススペクトルを算出
    し、これら複数の入力信号及び出力信号のパワースペク
    トル、及びクロススペクトルを用いて入力信号及び出力
    信号のパワースペクトルの平均値及びクロススペクトル
    の平均値を求め、上記伝達特性算出手段では上記入力信
    号のパワースペクトルの平均値と上記クロススペクトル
    の平均値とを用いて上記被測定物の伝達特性を算出する
    ことを特徴とする請求項2記載の伝達関数測定装置。
  4. 【請求項4】 上記入力信号及び出力信号のパワースペ
    クトルの平均値と上記クロススペクトルの平均値とを用
    いてコヒーレンスの値を計算するコヒーレンス算出手段
    を有し、上記判別手段では上記入力信号のパワースペク
    トルの平均値のレベルと上記コヒーレンス算出手段から
    のコヒーレンスの値とが一定値以上であるか否かを判別
    することを特徴とする請求項3記載の伝達関数測定装
    置。
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