JPH0818359B2 - 射出成形における樹脂温度推定方法および装置 - Google Patents

射出成形における樹脂温度推定方法および装置

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JPH0818359B2
JPH0818359B2 JP3133322A JP13332291A JPH0818359B2 JP H0818359 B2 JPH0818359 B2 JP H0818359B2 JP 3133322 A JP3133322 A JP 3133322A JP 13332291 A JP13332291 A JP 13332291A JP H0818359 B2 JPH0818359 B2 JP H0818359B2
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temperature
resin temperature
resin
twfs
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数利 焼本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形における金型
のキャビティ部内の樹脂温度である型内樹脂温度の推定
方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】射出成形においては、プロセス制御、工
程監視などの目的から、型内樹脂温度に応じて射出速度
や保圧力等を制御する必要がある。従来、型内樹脂温度
を得る方法としては、下記(イ)および(ロ)の方法等
が知られている。
【0003】(イ)キャビティ部内に温度センサを設け
て型内樹脂温度を直接測定する方法。
【0004】(ロ)非定常熱伝導解析手法を用い、下記
a,bまたはcの計算をして型内樹脂温度を推定する方
法。
【0005】a.差分法による数値解析による計算 b.解析的に得られた計算式による計算 c.下記の近似式による計算 T(t) =Tw +(Tr −Tw)・(8/π2)・exp( −α・π2・t2/R2 ) ただし、T(t) は型内樹脂温度の断面方向平均値 Tw は金型温度の平均値(=(Twf+Twm)/2,Twf
は固定側金型温度、Twmは可動側金型温度) Tr は射出樹脂温度 α=K/(ρ・Cp) Kは成形材料の熱伝導率 ρは成形材料の密度 Cpは成形材料の比熱 tは計算の対象となる時刻 Rは成形品の肉厚 である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術のう
ち、(イ)の方法では、温度センサを必要とするため、
経済的でない。また、溶融樹脂を型内に射出注入する充
填段階で、その後の保圧冷却段階での型内樹脂温度を得
ることができなければ、型内の樹脂がほぼ固化しつつあ
る保圧冷却段階では、樹脂の挙動を制御することは
い。
【0007】一方、(ロ)の方法では、複雑な計算をす
る必要があるため、設定値を得るのに数十秒〜数分の時
間を要する(a,b)、または近似誤差があるため、精
度が低い(c)という問題点がある。
【0008】本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、高速かつ高精度に、あらかじめ
金型に樹脂が充填される前または充填中の時点におい
て、保圧冷却段階における型内樹脂温度を推定できる射
出成形における樹脂温度推定方法および装置を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の射出成形における樹脂温度推定方法は、射
出成形機のシリンダ内の溶融樹脂を金型のキャビティ部
に射出注入する充填段階と、前記溶融樹脂を前記キャビ
ティ部に充填した後、該溶融樹脂が前記キャビティ部内
で、冷却固化されるにつれて収縮するのを補うため、前
記溶融樹脂を補充する保圧冷却段階とを有する射出成形
方法において、射出成形の運転前に、基準となる金型温
度および射出樹脂温度を用いて非定常熱伝導解析の解に
より基準となる型内樹脂温度を求めるステップと、金型
温度および射出樹脂温度をそれぞれ充填開始時または充
填中に計測し、該計測した金型温度および射出樹脂温度
のそれぞれの基準温度からの偏差が型樹脂温度におよ
ぼす影響度に基づいて、前記基準となる型内樹脂温度を
補正して、充填開始時または充填中の時点において、
圧冷却段階における型内樹脂温度を計算推定するステッ
プとを有することを特徴とするものである。
【0010】上記本発明の射出成形における樹脂温度推
定方法は、基準となる型内樹脂温度Ts(t,x)が、
【0011】
【数2】 ただし、Twfs は基準となる固定側金型温度 Twms は基準となる可動側金型温度 Trsは基準となる射出樹脂温度 Rは成形品の肉厚 Kは成形材料の熱伝導率 hは成形材料と金型壁面との熱伝達率 ρは成形材料の密度 Cpは成形材料の比熱 xは計算の対象となる位置 α=K/(ρ・Cp) A=(1−S/h)・(Twms −Twfs ) B=−(S/K)・(Twms −Twfs ) S=1/(2/h+R/K) tan(nj・R/2)=(h/K)/njnjは上記方程式の複数の解である jは解の番号を示し、可算無限個の値を有する Dj=4・(h/K)2 ・{Trs−(Twfs +Twms )
/2}/[nj・{nj2 +h/K)2 ・R+2(h/
K)}] Nは級数の繰り返し回数(10ないし100程度が妥
当) tは計算の対象となる時刻であり、計算推定する型内樹
脂温度T(t,x)が、 T(t,x)=Ts(t,x)+(∂T/∂Twf)・ΔTwf+
(∂T/∂δ)・Δδ+(δT/δTr)・ΔTr ただし、Twfは計測した固定側金型温度 Twmは計測した可動側金型温度 Tr は計測した射出樹脂温度 ΔTwf=Twf−Twms δ=Twms −Twfs Δδ=(Twm−Twf)−(Twms −Twfs ) ΔTr =Tr −Trs ∂T/∂Twf={Trs−Ts(t,x)−(R/2−x)・ξ
2 ・δ}/(Trs−Tws) ∂T/∂δ=[(ξ1 +x・ξ2 )・(Trs−Tws)−
(1/2)・{Ts(t,x)−Twfs −(ξ1 +x・ξ2 )・
δ}]/(Trs−Tws) ∂T/∂Tr ={Ts(t,x)−Twfs −(ξ1 +x・ξ2)
・δ}/(Trs−Tws) ξ1 =(1+h・R/K)/(2+h・R/K) ξ2 =−(h/K)/(2+h・R/K) Tws=(Twms +Twfs )/2 であるものとすることができる。
【0012】また、本発明の射出成形における樹脂温度
推定装置は、射出成形機のシリンダ内の溶融樹脂を金型
のキャビティ部に射出注入する充填段階と、前記溶融樹
脂を前記キャビティ部に充填した後、該溶融樹脂が前記
キャビティ部内で、冷却固化されるにつれて収縮するの
を補うため、前記溶融樹脂を補充する保圧冷却段階とを
制御する保圧制御装置において、金型の温度を検出する
金型温度センサと、樹脂流路内のうちのいずれか1箇所
の射出樹脂温度を検出する樹脂温度センサと、射出成形
の運転前に、基準となる金型温度および射出樹脂温度を
用いて非定常熱伝導解析の解により基準となる型内樹脂
温度を求めておき、射出成形の運転中は、充填開始時ま
たは充填中に前記金型温度センサおよび前記樹脂温度セ
ンサがそれぞれ検出した金型温度および射出樹脂温度を
それぞれ入力し、該入力した金型温度および射出樹脂温
度のそれぞれの基準温度からの偏差が型樹脂温度にお
よぼす影響度に基づいて、前記基準となる型内樹脂温度
を補正して、充填開始時または充填中の時点において、
保圧冷却段階における型内樹脂温度を計算推定する演算
処理部とを有することをを特徴とするものである。
【0013】
【作用】非定常熱伝導解析の解により基準となる型内樹
脂温度を求めるためには、複雑な計算をする必要があ
り、計算結果を得るのに多大な時間を要する。このた
め、この計算のステップは、時間的に余裕がある射出成
形の運転前に行っておく。
【0014】射出成形の運転中は、充填開始時または充
填中に計測した金型温度および射出樹脂温度のそれぞれ
の基準温度からの偏差がおよぼす影響度に基づいて、前
記基準となる型内樹脂温度を補正して、充填開始時また
は充填中の時点において、保圧冷却段階における型内樹
脂温度を計算する。このステップはあまり時間を要さず
に行うことができるので、実質的に、あらかじめ樹脂が
金型に充填され始める前の充填段階に計算を完了させる
ことができる。すなわち、型内樹脂温度の推定に必要な
ステップのうち、多大の時間を要するものを射出成形の
運転前に済ませておき、あまり時間を要さないもののみ
を射出成形の運転中に行うので、近似式を用いることな
く高速に推定でき、近似誤差をなくすことができる。
【0015】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】図1は本発明の一実施例を示す説明図であ
って、スクリュ1は、油圧シリンダ9の駆動力によりシ
リンダ12内を図示左右方向の矢印X方向(断面方向)
に前進および後退可能に構成されている。シリンダ12
の先端に設けられたノズル2には、シリンダ12および
金型3と連通するノズル樹脂流路2aが形成されてい
る。金型3は、固定側金型3aおよび可動側金型3bか
らなり、その内部には、前記ノズル2に近い側から順
に、スプルー部3c、ランナ部3d、ゲート部3eおよ
びキャビティ部3fが形成されている。
【0017】上記ノズル樹脂流路2aには、射出注入さ
れる溶融樹脂の温度(以下、「射出樹脂温度」とい
う。)Trを計測するための樹脂温度センサ5が取り付
けられており、上記固定側金型3aには固定側用の金型
温度センサ4aが、また、上記可動側金型3bには可動
側用の金型温度センサ4bがそれぞれ取り付けられてい
る。上記樹脂温度センサ5は、樹脂流路であれば、ノズ
ル樹脂流路2aのほか、スプルー部3c、ランナ部3
d、またはキャビティ部3fに取り付けてもよい。これ
ら樹脂温度センサ5および金型温度センサ4a,4bの
各信号出力端は、制御装置6内の各増幅器6a,6b,
6cを介して各A/D変換器6d,6e,6fにそれぞ
れ接続されており、各A/D変換器6d,6e,6fの
出力端は、それぞれ演算処理部6gの各入力端に接続さ
れている。
【0018】演算処理部6gは、これら各A/D変換器
6d,6e,6fの出力、設定器6hに設定されている
種々の設定値S3および計算指令S4、ならびにシーケ
ンス制御部8より出力される各種のタイミングを計るた
めの射出開始信号S1や保圧切換信号S2等に従って、
後述する型内樹脂温度T(t,x)を計算推定し、この
計算推定した型内樹脂温度T(t,x)に応じた保圧力
設定値をディジタル信号で保圧制御部6iに出力すると
ともに、前記計算推定した型内樹脂温度T(t,x)を
図示しない表示器に表示させるマイクロコンピュータで
構成されている。保圧制御部6iは、上記演算処理部6
gから出力された保圧力設定値を示すディジタル信号を
電圧信号に変換してサーボ弁アンプ7へ出力し、サーボ
弁アンプ7は、保圧制御部6iから出力された電圧信号
の値を保圧の設定値とし、油圧シリンダ9の圧力を検出
する油圧センサ11の検出値に基づいて、油圧シリンダ
9の圧力が上記保圧の設定値となるようにサーボ弁10
に制御電圧を出力する。
【0019】次に、演算処理部6gによる型内樹脂温度
T(t,x)の計算推定について説明する。
【0020】まず、射出成形の運転前に、基準となる固
定側金型温度Twfs、基準となる可動側金型温度Tw
ms、基準となる射出樹脂温度Trs、断面方向すなわ
ち矢印X方向における成形品の肉厚R、成形材料の熱伝
導率K、成形材料と金型壁面との間の熱伝達率h、成形
材料の密度ρ、成形材料の比熱Cp、計算の対象となる
時刻t、計算の対象となる位置として用いられる断面方
向すなわち矢印X方向における可動側金型3bの壁面か
らの距離x、級数計算の繰り返し回数Nおよび設定温度
Tgをそれぞれ設定しておく。
【0021】上記設定温度Tgとしては、成形材料のガ
ラス転移温度、結晶化温度、流動停止温度等を用いるこ
とができる。また、上記時刻tとしては、充填開始を起
点とした時刻tfを用いることができ、これにより、充
填開始から時刻tfまでの時間を時間間隔Δt毎に分割
して級数計算をすることができる。さらに、位置xとし
ては、0≦x≦Rの範囲内で、可動側金型3bの壁面か
ら(矢印X方向であるスクリュ1の軸方向、すなわち断
面方向)の距離を用いることができる。この場合、型内
樹脂温度T(t,x)は、図2に示すように、キャビテ
ィ部3fを形成する固定側金型3aおよび可動側金型3
bの各壁面付近では低く、キャビティ中央付近で高い曲
線を描く。したがって、位置xは目的に応じて適宜設定
する必要がある。これらの設定値は、それぞれ良品が成
形されたときの成形サイクルにおける値を用いることが
できる。
【0022】次に、上記設定値を用いて、下記(1)式
の非線形方程式を数値的に解き、その解njをjが0か
ら上記繰り返し回数N(Nは10ないし100程度が
である。)まで求めておく。そして、非定常熱伝導解
析の解である下記(2)式より、時刻t=tfまで時間
間隔Δtきざみで、基準となる型内樹脂温度Ts(t,
x)を求める。このようにして求めた型内樹脂温度Ts
(t,x)は、金型や成形材料の変更がないかぎり、変
更する必要がない。
【0023】tan(nj・R/2)=(h/K)/n
j ・・・・・(1)
【0024】
【数3】 ただし、α=K/(ρ・Cp) A=(1−S/h)・(Twms −Twfs ) B=−(S/K)・(Twms −Twfs ) S=1/(2/h+R/K) tan(nj・R/2)=(h/K)/nj Dj=4・(h/K)2 ・{Trs−(Twfs +Twms )
/2}/[nj・{nj2 +h/K)2 ・R+2(h/
K)}] である。
【0025】併せて、固定側金型温度Twfs、可動側
金型温度Twmsおよび射出樹脂温度Trsの各変化に
基づく型内樹脂温度T(t,x)の変化率∂T/∂Tw
f,∂T/∂δ,∂T/∂Trおよび各係数ξ1 ,ξ2
等(以下、「変化率等」という。)、前記基準となる型
内樹脂温度から求められるものをそれぞれ下記(3),
(4),(5),(6),(7)式より求めておく。
【0026】∂T/∂Twf={Trs−Ts(t,x)−(R/
2−x)・ξ2 ・δ}/(Trs−Tws)
・・・(3) ∂T/∂δ=[(ξ1 +x・ξ2 )・(Trs−Tws)−
(1/2)・{Ts(t,x)−Twfs −(ξ1 +x・ξ2 )・
δ}]/(Trs−Tws)・・・(4) ∂T/∂Tr ={Ts(t,x)−Twfs −(ξ1 +x・ξ2)
・δ}/(Trs−Tws) ・・・
(5) ξ1 =(1+h・R/K)/(2+h・R/K)
・・・(6) ξ2 =−(h/K)/(2+h・R/K)
・・・(7) ただし、Tws=(Twms +Twfs )/2 である。
【0027】そして、射出成形の運転中には、成形サイ
クル毎に、充填開始時または充填中に固定側金型温度T
wf、可動型金型温度Twmおよび射出樹脂温度Trを
それぞれ計測する。そして、上記(2)式で求めた基準
となる型内樹脂温度Ts(t,x)および上記(3)〜
(7)式で求めた変化率等を用いて、当該成形サイクル
(充填段階または保圧冷却段階)での型内樹脂温度T
(t,x)を計算推定する。この計算推定は、充填開始
時または充填中に計測した固定側金型温度Twf、可動
側金型温度Twmおよび射出樹脂温度Trのそれぞれの
基準温度からの偏差が、型内樹脂温度におよぼす影響
に基づいて前記基準となる型内樹脂温度Ts(t,x)
を補正する下記(8)式によって行う。上記射出樹脂温
度Trとしては、射出開始から保圧開始までの計測値の
最大値、時間平均値、射出開始時のサンプル値、保圧開
始時のサンプル値等を用いることができる。
【0028】T(t,x)=Ts(t,x)+(∂T/∂Twf)
・ΔTwf+(∂T/∂δ)・Δδ+(δT/δTr)・
ΔTr ・・・(8) ただし、ΔTwf=Twf−Twms δ=Twms −Twfs Δδ=(Twm−Twf)−(Twms −Twfs ) ΔTr =Tr −Trs である。
【0029】以上のように、運転前に基準となる型内樹
脂温度Ts(t,x)を計算しておき、運転中は、成形
サイクル毎に当該成形サイクルの型内樹脂温度T(t,
x)を推定する。
【0030】以上説明した実施例では、あらかじめ設定
した位置における型内樹脂温度を求めているが、矢印X
方向である断面方向に平均した型内樹脂温度を求めるこ
ともできる。
【0031】この場合、まず射出成形の運転前に、上記
(2)式に代えて(または併せて)、下記(9)式を用
いて基準となる平均の型内樹脂温度Tsave(t)を
求める。
【0032】
【数4】 ただし、Dja=4・(h/K)2 /[nj・{nj2 +(h/
K)2・R+2・(h/K)}] である。
【0033】そして、射出成形の運転中には、成形サイ
クル毎に、充填開始時または充填中に固定側金型温度T
wf、可動側金型温度Twmおよび射出樹脂温度Trを
計測し、上記(9)式で求められた基準となる平均の型
内樹脂温度Tsave(t)を用いて、下記(10)式
によって、当該成形サイクルでの型内樹脂温度Tave
(t)を計算推定する。Tave(t)=Tsave(t)+{(Trs
−Tsave(t))・ΔTws+(Tsave(t) −Tws)・ΔT
r}/(Trs−Tws) ・・・(10) ただし、ΔTws=(Twf+Twm)/2−(Twfs +Twm
s )/2 である。
【0034】設定した位置における型内樹脂温度を求め
るのに比べ、断面方向に平均した型内樹脂温度を求める
方が、計算速度は高い。したがって、射出成形の運転前
には、上記(2)式を用いて基準となる型内樹脂温度T
s(t,x)を求めるとともに、上記(9)式を用いて
基準となる平均の型内樹脂温度Tsave(t)も併せ
て求めておき、射出成形の運転中には、それぞれの目的
に応じて適宜推定するようにすることが望ましい。
【0035】
【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているの
で、以下に記載するような効果を奏する。
【0036】射出運転中にはあまり時間を要さないステ
ップのみを行うので、型内樹脂温度を高速に推定でき
る。また、近似誤差をなくすことができるので、高精度
に推定できる。さらに、あらかじめ金型に樹脂を充填す
る前に当該成形ショットの保圧冷却段階前における型内
樹脂温度を予測計算できるので、金型に樹脂を充填する
前または充填中の時点において、保圧冷却段階の樹脂温
度の異常や変動に起因するトラブルや不良を回避するこ
とができる。このため、プロセス制御、工程監視などを
容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す説明図である。
【図2】本発明における型内樹脂温度の状態を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 スクリュ 2 ノズル 2a ノズル樹脂流路 3 金型 3a 固定側金型 3b 可動側金型 3c スプルー部 3d ランナ部 3e ゲート部 3f キャビティ部 4a,4b 金型温度センサ 5 樹脂温度センサ 6 制御装置 6a,6b,6c 増幅器 6d,6e,6f A/D変換器 6g 演算処理部 6h 設定器 6i 保圧制御部 7 サーボ弁アンプ 8 シーケンス制御部 9 油圧シリンダ 10 サーボ弁 11 油圧センサ 12 シリンダ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形機のシリンダ(12)内の溶融
    樹脂を金型(3)のキャビティ部(3f)に射出注入す
    る充填段階と、前記溶融樹脂を前記キャビティ部(3
    f)に充填した後、該溶融樹脂が前記キャビティ部(3
    f)内で、冷却固化されるにつれて収縮するのを補うた
    め、前記溶融樹脂を補充する保圧冷却段階とを有する射
    出成形方法において、 射出成形の運転前に、基準となる金型温度(Twfs,
    Twms)および射出樹脂温度(Trs)を用いて非定
    常熱伝導解析の解により基準となる型内樹脂温度(Ts
    (t,x))を求めるステップと、 金型温度(Twf,Twm)および射出樹脂温度(T
    r)をそれぞれ充填開始時または充填中に計測し、該計
    測した金型温度(Twf,Twm)および射出樹脂温度
    (Tr)のそれぞれの基準温度(Twfs,Twms,
    Trs)からの偏差が型内樹脂温度におよぼす影響度に
    基づいて、前記基準となる型内樹脂温度(Ts,(t,
    x))を補正して、充填開始時または充填中の時点にお
    いて、保圧冷却段階における型内樹脂温度(T(t,
    x))を計算推定するステップとを有することを特徴と
    する射出成形における樹脂温度推定方法。
  2. 【請求項2】 基準となる型内樹脂温度Ts(t,x)
    が、 【数1】 ただし、 Twfs は基準となる固定側金型温度 Twms は基準となる可動側金型温度 Trsは基準となる射出樹脂温度 Rは成形品の肉厚 Kは成形材料の熱伝導率 hは成形材料と金型壁面との熱伝達率 ρは成形材料の密度 Cpは成形材料の比熱 xは計算の対象となる位置 α=K/(ρ・Cp) A=(1−S/h)・(Twms −Twfs ) B=−(S/K)・(Twms −Twfs ) S=1/(2/h+R/K) tan(nj・R/2)=(h/K)/njnjは上記方程式の複数の解である jは解の番号を示し、可算無限個の値を有する Dj=4・(h/K)2 ・{Trs−(Twfs +Twms )
    /2} /[nj・{nj2 +h/K)2 ・R+2(h/
    K)}] Nは級数の繰り返し回数(10ないし100程度が妥
    当) tは計算の対象となる時刻であり、 計算推定する型内樹脂温度T(t,x)が、 T(t,x)=Ts(t,x)+(∂T/∂Twf)・ΔTwf+
    (∂T/∂δ)・Δδ+(δT/δTr)・ΔTr ただし、 Twfは計測した固定側金型温度 Twmは計測した可動側金型温度 Tr は計測した射出樹脂温度 ΔTwf=Twf−Twms δ=Twms −Twfs Δδ=(Twm−Twf)−(Twms −Twfs ) ΔTr =Tr −Trs ∂T/∂Twf={Trs−Ts(t,x)−(R/2−x)・ξ
    2 ・δ}/(Trs−Tws) ∂T/∂δ=[(ξ1 +x・ξ2 )・(Trs−Tws)−
    (1/2)・{Ts(t,x)−Twfs −(ξ1 +x・ξ2 )・
    δ}]/(Trs−Tws) ∂T/∂Tr ={Ts(t,x)−Twfs −(ξ1 +x・ξ2)
    ・δ}/(Trs−Tws) ξ1 =(1+h・R/K)/(2+h・R/K) ξ2 =−(h/K)/(2+h・R/K) Tws=(Twms +Twfs )/2 である請求項1記載の射出成形における樹脂温度推定方
    法。
  3. 【請求項3】 射出成形機のシリンダ(12)内の溶融
    樹脂を金型(3)のキャビティ部(3f)に射出注入す
    る充填段階と、前記溶融樹脂を前記キャビティ部(3
    f)に充填した後、該溶融樹脂が前記キャビティ部(3
    f)内で、冷却固化されるにつれて収縮するのを補うた
    め、前記溶融樹脂を補充する保圧冷却段階とを制御する
    保圧制御装置において、 金型(3)の温度(Twf,Twm)を検出する金型温
    度センサ(4a,4b)と、 樹脂流路(2a,3c,3d,3f)のうちのいずれか
    1箇所の射出樹脂温度(Tr)を検出する樹脂温度セン
    サ(5)と、 射出成形の運転前に、基準となる金型温度(Twfs,
    Twms)および射出樹脂温度(Trs)を用いて非定
    常熱伝導解析の解により基準となる型内樹脂温度(Ts
    (t,x))を求めておき、射出成形の運転中は、充填
    開始時または充填中に前記金型温度センサ(4a,4
    b)および前記樹脂温度センサ(5)がそれぞれ検出し
    た金型温度(Twf,Twm,)および射出樹脂温度
    (Tr)をそれぞれ入力し、該入力した金型温度(Tw
    f,Twm)および射出樹脂温度(Tr)のそれぞれの
    基準温度(Twfs,Twms,Trs)からの偏差が
    型内樹脂温度におよぼす影響度に基づいて、前記基準と
    なる型内樹脂温度(Ts(t,x))を補正して、充填
    開始時または充填中の時点において、保圧冷却段階にお
    ける型内樹脂温度(T(t,x))を計算推定する演算
    処理部(6g)とを有することを特徴とする射出成形に
    おける樹脂温度推定装置。
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