JPH08182624A - 揚げ油の劣化度を検知する方法 - Google Patents

揚げ油の劣化度を検知する方法

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JPH08182624A JP33892294A JP33892294A JPH08182624A JP H08182624 A JPH08182624 A JP H08182624A JP 33892294 A JP33892294 A JP 33892294A JP 33892294 A JP33892294 A JP 33892294A JP H08182624 A JPH08182624 A JP H08182624A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 揚げもの作業をしている最中に、揚げ油の劣
化度を迅速に、客観的に、かつ正確に検知する方法を開
発する。 【構成】 食用油を用いて揚げものをする作業中に揚げ
油の表面に発生する泡の量を、好ましくは照度で検知
し、その変化度合を指標とすることを特徴とする揚げ油
の劣化度を検知する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天ぷらやフライ等の揚
げものの作業をしている最中に、揚げ油の劣化度を検知
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、天ぷらやフライに用いる食用油
(以下、揚げ油ということがある)の劣化度は、見た目
や臭い、色調等の感覚に頼る方法、単に食用油を揚げも
のに使用した時間や期間で経験的に判断する方法、フラ
イ作業等が終了した後に揚げ油が冷えるのを待ってサン
プリングし、酸価や屈折率等の物性を分析するという方
法等により判断されていた。
【0003】このうち、見た目や臭い、色等の感覚によ
る方法や揚げ油を使用した期間で判断する方法は、揚げ
油が劣化しているか否かの識別は早くでき、揚げ油の交
換や差し油が必要との判断および対応が容易にできるも
のの、前者は感覚に頼るため、判断する人によって評価
がばらついたり、判断する人の体調によって評価が異な
り、正確性に欠ける。また揚げ油の使用時間で判断する
場合には、揚げ種によって揚げ油の劣化度合が異なるこ
とが考慮されておらず、しかも差し油された場合には、
その判断の正確性は更に疑わしいものとなる。
【0004】一方、揚げ油を冷却後サンプリングして物
性を分析する方法は、正確な物性値は得られるが、その
ための時間がかかりすぎ、揚げ油が使用限界に達してい
るか否か、または差し油をすべきかどうかの即断は不可
能であった。実際、この方法を採用し、そのままフライ
作業を続行したため大量の不良製品が発生したケースが
ある。
【0005】このため、特開平6−141984号公報
では、フライヤーのヒーターの通電時間を積算し、所定
の値になった時に警報を発するフライヤーが提案されて
いる。また特開平6−178731号公報には、所定の
セル内に測定しようとする食用油を導き、これに発光素
子から発生する透過紫外線を照射し、その吸収度合を測
定し電気信号に変換して食用油の性状の変化を検知する
装置が開示されている。しかし、前者については、前述
の揚げ油を使用した期間によって判断する方法と変わる
ところがなく、かかる方法と同様な理由で揚げ油の劣化
度の判断において正確性に疑問が残る。また、後者につ
いては、構造上からフライ作業中に揚げ油の劣化度を測
定することは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、揚げ油の
劣化具合をフライ作業中、迅速に、客観的に、かつ正確
に検知できることは、業務用で大量に揚げもの作業をす
る場合はもとより、家庭で揚げものをする場合において
も重要な課題であった。しかるにこれを満足する方法は
未だ見当たらない。かかる実情に鑑み、本発明は前記課
題を解決することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、天ぷらや
フライ等の揚げものの作業中に発生する泡の量の変化度
合が揚げ油の劣化度と相関関係があることに着目して、
泡の量と揚げ油の表面の照度との間に相関性があること
を見出し、本発明を完成したものである。すなわち本発
明の要旨は、食用油を用いて揚げものをする作業中に揚
げ油の表面に発生する泡の量を検知することを特徴とす
る揚げ油の劣化度を検知する方法であり、より好ましく
は前記泡の量の変化度合を指標とし、また前記泡の量を
照度で検知するものである。
【0008】本発明では、揚げものの作業中に発生する
泡の量を実際に測定し、その変化度合をもって揚げ油の
品質の劣化度を判定するものであり、このためあらかじ
め泡の発生量と揚げ油の品質、例えば酸価、屈折率、カ
ルボニル価等の物性との相関関係を求めておくことによ
り、泡の発生量の変化具合をもって揚げ油の劣化度を知
ることができる。
【0009】本発明において、泡立ちの発生量は例えば
以下のようにして検知する。すなわち、フライヤーの上
方に備え付けられた照度計により揚げ油の表面の照度を
測定する。泡立ちの変化を捉え易くするため、スポット
ライトを用いて揚げ油の表面に照光することが好まし
い。また初期照度を一定に保つため、揚げ油の表面に照
射される光の強さを例えば5〜15ルックスに調節する
とよい。なお泡の量を検知する手段として照度計の代わ
りに画像認識装置等を用いることも可能である。
【0010】揚げ種の投入直後は、水分の蒸発が激しい
ため泡の発生も著しく、そのときの照度は最大の値を示
す。しかし揚げ時間が経過するにつれて泡立ちが減り、
それにともない揚げ油の表面の照度も低いレベルにな
り、やがて照度の減少もほぼ止まり一定の値を維持しこ
のまま推移する。
【0011】このような揚げ油の状態変化をともなう揚
げもの作業において、揚げ油の使用開始時から連続使用
中そして劣化して使用限界になった時までの照度を経時
的に測定し、その最大値から一定値(上記の照度が一定
になった時の値)に至る変化度合すなわち揚げる回数毎
の照度の減少度および揚げる回数を重ねることにともな
う照度の一定値の増加度と、揚げ油の品質(例えば酸
価、屈折率等)や揚げものの品質等とを記録しておき、
または出力信号としてマイクロプロセッサー等を介して
記憶させておき、このデータと比較することにより、別
に新たに使用している揚げ油の劣化度がわかる。また、
所定の使用限界条件を設定しておくことにより、揚げ油
がひき続き使用可能か否かの判断が容易に可能になる。
その際、ランプやブザー等により、その設定値を知らせ
ることができる。
【0012】以上に述べた本発明の方法によれば、揚げ
油の種類が異なる場合、例えば大豆油、菜種油、パーム
油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、ご
ま油等およびこれらの混合油でも同様の傾向を示す。ま
た、揚げ種が異なる場合、揚げ種がミックスされている
もの、例えばコロッケとエビを交互に揚げる場合には、
1種類の揚げ種を連続して揚げた場合に比べ、各々を単
独で揚げた場合の泡の変化具合を併せて比較検討するこ
とが必要であるが、揚げ種が1種類であれば、それがエ
ビであるかコロッケであるか、またはジャガ芋であるか
を問わず上記の傾向をはっきり示した。
【0013】
【実施例】
実施例1 揚げ油として大豆油を用い、180℃に加熱し、これに
揚げ種としてポテトをおおよそ直方体(1cm×1cm×4
cm)に切り揃えたものを50g投入した。揚がりきった
時点(フライ時間:4分)でフライを終了し、揚げ種を
取り出した。この作業を20分間毎に20回繰り返し
た。揚げ油の表面の照度の測定はフライヤーの真上部1
5cmに照度計を取り付け、またスポットライトを用いて
揚げ油の表面を8ルックスで照光しながら行った。フラ
イ回数が1回目、3回目、6回目、9回目、12回目、
15回目、18回目および20回目にそれぞれ測定し
た。また同時に、揚げ油の劣化具合の判断のため酸価お
よび屈折率の測定も併せて行った。このうちフライ回数
が1回目、12回目、および20回目の揚げ油の表面の
照度の変化を図1に、またそのとき使用した揚げ油の酸
価および屈折率を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】図1および表1のデータより、照度の最大
値および一定値はフライ回数を重ねるにしたがって、つ
まり揚げ油が劣化するにともなって変化し、とくに照度
の一定値が徐々に上昇することがわかる。そして揚げ油
の表面の照度の最大値および一定値やその変化具合か
ら、別途新たに使用する揚げ油の劣化度が揚げもの作業
中の照度測定により推定できる。
【0016】実施例2 揚げ油として大豆油、揚げ種として皮をむいた生エビ
(20g)3尾(衣液およびパン粉を付着させたもの)
を用い、実施例1と同様に揚げ、その際の揚げ油の表面
の照度(図2参照)、揚げ油の酸価および屈折率(表2
参照)を経時的に測定した。この結果、揚げ種が異なっ
ても、揚げ油の表面に発生する泡による照度の変化は、
揚げ油の品質の変化に対応することが認められた。した
がって、別途新たに同様の揚げもの操作を行う場合、揚
げ油の表面の照度を測定しながら、予め設定した揚げ油
の品質になるまで揚げもの作業を続けることができる。
【0017】
【表2】
【0018】実施例3 揚げ油として大豆油、揚げ種として鶏肉小片(26g)
3個(唐揚げ粉を付着させたもの)を用い、実施例1と
同様に揚げ、その際の揚げ油の表面の照度(図3参
照)、揚げ油の酸価および屈折率(表3参照)を経時的
に測定した。この結果、揚げ種が異なっても、揚げ油の
表面に発生する泡による照度の変化は、揚げ油の品質の
変化に対応することが認められた。
【0019】
【表3】
【0020】実施例4 揚げ油としてナタネ油、揚げ種として実施例1と同じポ
テト(50g)を用い、実施例1と同様に揚げ、その際
の揚げ油の表面の照度(図4参照)、揚げ油の酸価およ
び屈折率(表4参照)を経時的に測定した。この結果、
揚げ油が異なっても、揚げ油の表面に発生する泡による
照度の変化は、揚げ油の品質の変化に対応することが認
められた。
【0021】
【表4】
【0022】実施例5 揚げ油としてごまサラダ油、揚げ種として実施例1と同
じポテト(50g)を用い、実施例1と同様に揚げ、そ
の際の揚げ油の表面の照度(図5参照)、揚げ油の酸価
および屈折率(表5参照)を経時的に測定した。この結
果、揚げ油が異なっても、揚げ油の表面に発生する泡に
よる照度の変化は、揚げ油の品質の変化に対応すること
が認められた。
【0023】
【表5】
【0024】実施例6 揚げ油として大豆油、揚げ種として実施例1と同じポテ
ト(50g)を用い、実施例1と同様に揚げ、さらに2
0回目の揚げ作業を終了後に最初の大豆油の25重量%
の大豆油を差し油して同様にポテトを揚げ(21回
目)、その際の揚げ油の表面の照度(図6参照)、揚げ
油の酸価および屈折率(表6参照)を経時的に測定し
た。この結果、揚げ油に差し油しても、揚げ油の表面に
発生する泡による照度の変化は、差し油をした揚げ油の
品質の変化に対応することが認められた。
【0025】
【表6】
【0026】
【発明の効果】本発明の方法によれば、以下のような効
果を奏する。 (1)揚げ油の見た目や臭い、色調等の感覚に頼らず、
揚げ油の劣化度合の識別が客観的基準で、正確にでき、
かつ信頼性が高い。 (2)揚げ種による揚げ油の劣化度の違い、差し油によ
る劣化度の変化にも応用でき、種々の条件の揚げもの作
業に柔軟に対応出来る。 (3)揚げもの作業中に操作を中止することなく、また
連続して測定が行える。 (4)検知方法が簡便なため、誰にでも簡単に測定が行
える。 (5)測定にあたり、揚げ油の冷却処理および時間、分
析時間が不要となるため、すぐに揚げ油の劣化度がわか
り、差し油の必要性、揚げ油の交換の必要性等がその場
で即断できる。 (6)所要の装置の組み合わせおよび構造が単純である
ため、一体化、小型化がしやすく、単独またはフライヤ
ーに装着することにより利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるフライ時間と照度との関係図
である。
【図2】実施例2におけるフライ時間と照度との関係図
である。
【図3】実施例3におけるフライ時間と照度との関係図
である。
【図4】実施例4におけるフライ時間と照度との関係図
である。
【図5】実施例5におけるフライ時間と照度との関係図
である。
【図6】実施例6におけるフライ時間と照度との関係図
である。
【符号の説明】
図1〜図5において、それぞれ1はフライ回数1回目の
照度の経時変化、2はフライ回数12回目の照度の経時
変化、3はフライ回数20回目の照度の経時変化であ
る。図6において、1はフライ回数1回目の照度の経時
変化、2はフライ回数12回目の照度の経時変化、3は
フライ回数20回目の照度の経時変化、4はフライ回数
21回目の照度の経時変化である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用油を用いて揚げものをする作業中に
    揚げ油の表面に発生する泡の量を検知することを特徴と
    する揚げ油の劣化度を検知する方法。
  2. 【請求項2】 泡の量の変化度合を指標とする請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 泡の量を照度で検知する請求項1または
    2に記載の方法。
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