JPH08177574A - エンジンの空燃比制御装置およびその故障診断装置 - Google Patents
エンジンの空燃比制御装置およびその故障診断装置Info
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- JPH08177574A JPH08177574A JP32617094A JP32617094A JPH08177574A JP H08177574 A JPH08177574 A JP H08177574A JP 32617094 A JP32617094 A JP 32617094A JP 32617094 A JP32617094 A JP 32617094A JP H08177574 A JPH08177574 A JP H08177574A
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ハード故障時にリーン運転時におけるNOx
の排出を基準以下に維持するとともに、ハード故障を診
断する。 【構成】 リーン運転領域であることを判定手段51が
判断したとき空燃比を理論空燃比よりも希薄な目標値に
設定手段52が設定する。リーン運転時に安定度検出手
段53の出力に対応してリーン運転領域での設定空燃比
の補正係数を算出手段54が算出し、この補正係数に基
づいてリーン運転領域での設定空燃比を補正手段55が
補正する。このとき、設定手段57が補正係数に対する
所定のリッチ側リミット値を運転条件の検出信号に応じ
て設定しており、補正係数がリッチ側リミット値を越え
るときは制限手段58が補正係数をリッチ側リミット値
に制限する。補正係数がリッチ側リミット値に連続して
制限される時間が所定値以上になったときハード故障が
生じていると故障判定手段60が判定する。
の排出を基準以下に維持するとともに、ハード故障を診
断する。 【構成】 リーン運転領域であることを判定手段51が
判断したとき空燃比を理論空燃比よりも希薄な目標値に
設定手段52が設定する。リーン運転時に安定度検出手
段53の出力に対応してリーン運転領域での設定空燃比
の補正係数を算出手段54が算出し、この補正係数に基
づいてリーン運転領域での設定空燃比を補正手段55が
補正する。このとき、設定手段57が補正係数に対する
所定のリッチ側リミット値を運転条件の検出信号に応じ
て設定しており、補正係数がリッチ側リミット値を越え
るときは制限手段58が補正係数をリッチ側リミット値
に制限する。補正係数がリッチ側リミット値に連続して
制限される時間が所定値以上になったときハード故障が
生じていると故障判定手段60が判定する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンをリーン(希
薄混合気)運転させる空燃比制御装置に関する。
薄混合気)運転させる空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの燃費を改善すると同時にNO
xを低減するため、空気と燃料の比率である空燃比を理
論空燃比よりも希薄なリーン空燃比となるように燃料供
給量を制御し、リーン運転時にエンジンの安定度が悪化
すると、設定空燃比をリッチ側に補正して燃焼の安定性
を確保するようにしたエンジンの運転方法が、特開昭5
8−217732号公報や特開平6−272591号公
報によって提案されている。
xを低減するため、空気と燃料の比率である空燃比を理
論空燃比よりも希薄なリーン空燃比となるように燃料供
給量を制御し、リーン運転時にエンジンの安定度が悪化
すると、設定空燃比をリッチ側に補正して燃焼の安定性
を確保するようにしたエンジンの運転方法が、特開昭5
8−217732号公報や特開平6−272591号公
報によって提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の装置に
よるとエンジン性能劣化が著しい(以下ハード故障とい
う)場合、たとえば点火プラグの汚損、バルブシートへ
のデポジットの噛み込み、ピストンリングの摩耗等によ
り、リーン燃焼が不安定になったときなど、空燃比がど
んどんリッチ側に補正されていき、このため空燃比その
ものは理論空燃比よりも希薄側であっても、リッチ側へ
の移行に伴ってNOxが増加していくため、NOxの排
出量が非常に多くなる空燃比の範囲でエンジンが制御さ
れる可能性がある。
よるとエンジン性能劣化が著しい(以下ハード故障とい
う)場合、たとえば点火プラグの汚損、バルブシートへ
のデポジットの噛み込み、ピストンリングの摩耗等によ
り、リーン燃焼が不安定になったときなど、空燃比がど
んどんリッチ側に補正されていき、このため空燃比その
ものは理論空燃比よりも希薄側であっても、リッチ側へ
の移行に伴ってNOxが増加していくため、NOxの排
出量が非常に多くなる空燃比の範囲でエンジンが制御さ
れる可能性がある。
【0004】これに対処するため、リーン運転領域での
設定空燃比の補正量(後述する実施例では安定化燃空比
補正係数Lldml)にリッチ側リミット値LLDMM
X#を予め定めておき、補正係数Lldmlがこのリッ
チ側リミット値以上になるときは、このリッチ側リミッ
ト値LLDMMX#に制限することで、エンジン性能の
劣化によりNOxの排出量が増加しないようにしてい
る。
設定空燃比の補正量(後述する実施例では安定化燃空比
補正係数Lldml)にリッチ側リミット値LLDMM
X#を予め定めておき、補正係数Lldmlがこのリッ
チ側リミット値以上になるときは、このリッチ側リミッ
ト値LLDMMX#に制限することで、エンジン性能の
劣化によりNOxの排出量が増加しないようにしてい
る。
【0005】この場合に、リーン運転領域での設定空燃
比によりNOx排出量の限界空燃比が変化するので、す
べての運転条件でリーン運転領域での制御空燃比がNO
x排出量の限界空燃比を越えないように一定のリッチ側
リミット値を設定するのでは、その値がリッチ側リミッ
ト値が最もリーン側にくるときの設定空燃比に対する値
となるので、それ以外の設定空燃比のときには、不必要
にリッチ側の補正幅を狭めてしまう。
比によりNOx排出量の限界空燃比が変化するので、す
べての運転条件でリーン運転領域での制御空燃比がNO
x排出量の限界空燃比を越えないように一定のリッチ側
リミット値を設定するのでは、その値がリッチ側リミッ
ト値が最もリーン側にくるときの設定空燃比に対する値
となるので、それ以外の設定空燃比のときには、不必要
にリッチ側の補正幅を狭めてしまう。
【0006】そこで、リッチ側リミット値を運転条件の
検出信号に応じて設定することで、リーン運転領域での
すべての運転条件においてNOx排出量の限界空燃比か
らの適切な余裕代を与えてリーン運転領域での補正範囲
を最大限に確保するようにしたものを、本願と同時期に
本出願人が提案している。
検出信号に応じて設定することで、リーン運転領域での
すべての運転条件においてNOx排出量の限界空燃比か
らの適切な余裕代を与えてリーン運転領域での補正範囲
を最大限に確保するようにしたものを、本願と同時期に
本出願人が提案している。
【0007】しかしながら、この先願装置によれば、N
Oxの排出量が悪化することはないものの、ハード故障
に伴う安定度の悪さ(つまり運転性の悪さ)が残ったま
まの状態となっている。
Oxの排出量が悪化することはないものの、ハード故障
に伴う安定度の悪さ(つまり運転性の悪さ)が残ったま
まの状態となっている。
【0008】本発明は、上記先願装置を改良するもの
で、1の発明ではリーン運転領域での設定空燃比の補正
係数を運転条件の検出信号に応じたリッチ側リミット値
に制限するとともに、リッチ側リミット値に所定時間以
上続けて制限されたときは、ハード故障と判断すること
により、故障診断を行い、また他の発明ではその診断結
果よりハード故障であると判断したときはリーン運転を
禁止することにより、ハード故障時にも運転性が悪くな
らないようにすることを目的とする。
で、1の発明ではリーン運転領域での設定空燃比の補正
係数を運転条件の検出信号に応じたリッチ側リミット値
に制限するとともに、リッチ側リミット値に所定時間以
上続けて制限されたときは、ハード故障と判断すること
により、故障診断を行い、また他の発明ではその診断結
果よりハード故障であると判断したときはリーン運転を
禁止することにより、ハード故障時にも運転性が悪くな
らないようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図15に
示すように、運転条件の検出信号に基づいて予め設定さ
れているリーン運転領域かどうかを判定する手段51
と、リーン運転領域を判断したときに空燃比を理論空燃
比よりも希薄な目標値に設定する手段52と、エンジン
の安定度を検出する手段53と、リーン運転時に安定度
検出手段53の出力に対応して前記リーン運転領域での
設定空燃比の補正係数Lldmlを算出する手段54
と、この補正係数Lldmlに基づいて前記リーン運転
領域での設定空燃比を補正する手段55と、この補正さ
れた設定空燃比に基づいて空燃比制御を行う手段56
と、前記補正係数Lldmlに対する所定のリッチ側リ
ミット値を前記運転条件の検出信号に応じて設定する手
段57と、前記補正係数Lldmlが前記リッチ側リミ
ット値を越えるときは前記補正係数Lldmlを前記リ
ッチ側リミット値に制限する手段58と、前記補正係数
Lldmlが前記リッチ側リミット値に連続して制限さ
れる時間を計測する手段59と、この計測時間が所定時
間以上になったときハード故障が生じていると判定する
手段60とを設けた。
示すように、運転条件の検出信号に基づいて予め設定さ
れているリーン運転領域かどうかを判定する手段51
と、リーン運転領域を判断したときに空燃比を理論空燃
比よりも希薄な目標値に設定する手段52と、エンジン
の安定度を検出する手段53と、リーン運転時に安定度
検出手段53の出力に対応して前記リーン運転領域での
設定空燃比の補正係数Lldmlを算出する手段54
と、この補正係数Lldmlに基づいて前記リーン運転
領域での設定空燃比を補正する手段55と、この補正さ
れた設定空燃比に基づいて空燃比制御を行う手段56
と、前記補正係数Lldmlに対する所定のリッチ側リ
ミット値を前記運転条件の検出信号に応じて設定する手
段57と、前記補正係数Lldmlが前記リッチ側リミ
ット値を越えるときは前記補正係数Lldmlを前記リ
ッチ側リミット値に制限する手段58と、前記補正係数
Lldmlが前記リッチ側リミット値に連続して制限さ
れる時間を計測する手段59と、この計測時間が所定時
間以上になったときハード故障が生じていると判定する
手段60とを設けた。
【0010】第2の発明は、図16に示すように、運転
条件の検出信号に基づいて予め設定されているリーン運
転領域かどうかを判定する手段51と、リーン運転領域
を判断したときに空燃比を理論空燃比よりも希薄な目標
値に設定する手段52と、エンジンの安定度を検出する
手段53と、リーン運転時に安定度検出手段53の出力
に対応して前記リーン運転領域での設定空燃比の補正係
数Lldmlを算出する手段54と、この補正係数Ll
dmlに基づいて前記リーン運転領域での設定空燃比を
補正する手段55と、この補正された設定空燃比に基づ
いて空燃比制御を行う手段56と、前記補正係数Lld
mlに対する所定のリッチ側リミット値を前記運転条件
の検出信号に応じて設定する手段57と、前記補正係数
Lldmlが前記リッチ側リミット値を越えるときは前
記補正係数Lldmlを前記リッチ側リミット値に制限
する手段58と、前記補正係数Lldmlが前記リッチ
側リミット値に連続して制限される時間を計測する手段
59と、この計測時間が所定値以上になったときハード
故障が生じていると判定する手段60と、ハード故障が
生じていると判定したときはリーン運転を禁止する手段
61とを設けた。
条件の検出信号に基づいて予め設定されているリーン運
転領域かどうかを判定する手段51と、リーン運転領域
を判断したときに空燃比を理論空燃比よりも希薄な目標
値に設定する手段52と、エンジンの安定度を検出する
手段53と、リーン運転時に安定度検出手段53の出力
に対応して前記リーン運転領域での設定空燃比の補正係
数Lldmlを算出する手段54と、この補正係数Ll
dmlに基づいて前記リーン運転領域での設定空燃比を
補正する手段55と、この補正された設定空燃比に基づ
いて空燃比制御を行う手段56と、前記補正係数Lld
mlに対する所定のリッチ側リミット値を前記運転条件
の検出信号に応じて設定する手段57と、前記補正係数
Lldmlが前記リッチ側リミット値を越えるときは前
記補正係数Lldmlを前記リッチ側リミット値に制限
する手段58と、前記補正係数Lldmlが前記リッチ
側リミット値に連続して制限される時間を計測する手段
59と、この計測時間が所定値以上になったときハード
故障が生じていると判定する手段60と、ハード故障が
生じていると判定したときはリーン運転を禁止する手段
61とを設けた。
【0011】第3の発明は、第2の発明において、前記
リーン運転禁止手段61が、ハード故障と判断したとき
フラグをセットする手段と、このフラグがリセットされ
るまでリーン運転を禁止する手段とからなる。
リーン運転禁止手段61が、ハード故障と判断したとき
フラグをセットする手段と、このフラグがリセットされ
るまでリーン運転を禁止する手段とからなる。
【0012】
【作用】前述したように先願装置によれば、リッチ側リ
ミット値が運転条件に応じて設定、つまり運転条件によ
り変化するNOx排出量の限界空燃比から適切な余裕代
を持ってすべての運転条件で設定されるので、リーン運
転時におけるどのような運転条件でも、リッチ側の補正
範囲が最大限に確保される。ハード故障時にリーン運転
時におけるいずれの運転条件でもそのときにNOx排出
量が限界を越えない最大のリッチ側補正範囲を使って、
設定空燃比をリッチ側に補正することができるのであ
る。
ミット値が運転条件に応じて設定、つまり運転条件によ
り変化するNOx排出量の限界空燃比から適切な余裕代
を持ってすべての運転条件で設定されるので、リーン運
転時におけるどのような運転条件でも、リッチ側の補正
範囲が最大限に確保される。ハード故障時にリーン運転
時におけるいずれの運転条件でもそのときにNOx排出
量が限界を越えない最大のリッチ側補正範囲を使って、
設定空燃比をリッチ側に補正することができるのであ
る。
【0013】一方、補正係数Lldmlがリッチ側リミ
ット値に連続して制限される時間が計測され、その時間
が所定値以上になると、ハード故障が生じていると診断
される。この診断結果を、たとえば運転席に設けた警告
灯をつけるなり、警告ブザーを鳴らすことにより、ハー
ド故障を運転者に知らせることができる。
ット値に連続して制限される時間が計測され、その時間
が所定値以上になると、ハード故障が生じていると診断
される。この診断結果を、たとえば運転席に設けた警告
灯をつけるなり、警告ブザーを鳴らすことにより、ハー
ド故障を運転者に知らせることができる。
【0014】第2の発明では、上記の診断結果をみて、
ハード故障と判断したときはリーン運転が禁止され、理
論空燃比による運転に切換えられることから、ハード故
障時にも、エンジンの安定性が確保される。補正係数を
運転条件に応じたリッチ側リミット値に制限することで
リーン運転時のNOxの排出を所定の基準以下に維持す
るとともに、リッチ側リミット値に所定時間以上続けて
保持されたときは、ハード故障と判断して理論空燃比で
の運転に戻すことで、運転性の悪化も避けられるのであ
る。
ハード故障と判断したときはリーン運転が禁止され、理
論空燃比による運転に切換えられることから、ハード故
障時にも、エンジンの安定性が確保される。補正係数を
運転条件に応じたリッチ側リミット値に制限することで
リーン運転時のNOxの排出を所定の基準以下に維持す
るとともに、リッチ側リミット値に所定時間以上続けて
保持されたときは、ハード故障と判断して理論空燃比で
の運転に戻すことで、運転性の悪化も避けられるのであ
る。
【0015】ハード故障は、走行中に修復されてハード
故障のない状態に戻ることはほとんどないので、ハード
故障と判断していっときだけ理論空燃比での運転に切換
えるだけだと、リーン運転と理論空燃比での運転とを繰
り返す(いわゆるハンチングが生じる)可能性がある
が、第3の発明では、ハード故障と判断したときフラグ
がセットされ、このフラグがリセットされるまでリーン
運転が禁止される。たとえばフラグのリセットをエンジ
ンの始動時に行うことにしておけば、一度フラグがセッ
トされた後はエンジンが停止されるまでリーン運転が禁
止されるので、前述のハンチングが生じることが避けら
れる。
故障のない状態に戻ることはほとんどないので、ハード
故障と判断していっときだけ理論空燃比での運転に切換
えるだけだと、リーン運転と理論空燃比での運転とを繰
り返す(いわゆるハンチングが生じる)可能性がある
が、第3の発明では、ハード故障と判断したときフラグ
がセットされ、このフラグがリセットされるまでリーン
運転が禁止される。たとえばフラグのリセットをエンジ
ンの始動時に行うことにしておけば、一度フラグがセッ
トされた後はエンジンが停止されるまでリーン運転が禁
止されるので、前述のハンチングが生じることが避けら
れる。
【0016】
【実施例】図1において、1はエンジン本体で、その吸
気通路8には吸気絞り弁5の下流に位置して燃料噴射弁
7が設けられ、コントロールユニット2からの噴射信号
により運転条件に応じて所定の空燃比となるように、吸
気中に燃料を噴射供給する。コントロールユニット2に
はクランク角センサ4からの回転数信号、エアフローメ
ータ6からの吸入空気量信号、排気通路8に設置した酸
素センサ3からの空燃比(酸素濃度)信号、さらには水
温センサ11からのエンジン冷却水温信号、トランスミ
ッションのギヤ位置センサ12からのギヤ位置信号等が
入力し、これらに基づいて運転状態を判断しながら条件
に応じてリーン空燃比と理論空燃比との制御を行う。
気通路8には吸気絞り弁5の下流に位置して燃料噴射弁
7が設けられ、コントロールユニット2からの噴射信号
により運転条件に応じて所定の空燃比となるように、吸
気中に燃料を噴射供給する。コントロールユニット2に
はクランク角センサ4からの回転数信号、エアフローメ
ータ6からの吸入空気量信号、排気通路8に設置した酸
素センサ3からの空燃比(酸素濃度)信号、さらには水
温センサ11からのエンジン冷却水温信号、トランスミ
ッションのギヤ位置センサ12からのギヤ位置信号等が
入力し、これらに基づいて運転状態を判断しながら条件
に応じてリーン空燃比と理論空燃比との制御を行う。
【0017】排気通路8には三元触媒10が設置され、
理論空燃比の運転時に最大の転換効率をもって、排気中
のNOxの還元とHC、COの酸化を行う。なお、この
三元触媒10はリーン空燃比のときはHC、COは酸化
するが、NOxの還元効率は低い。
理論空燃比の運転時に最大の転換効率をもって、排気中
のNOxの還元とHC、COの酸化を行う。なお、この
三元触媒10はリーン空燃比のときはHC、COは酸化
するが、NOxの還元効率は低い。
【0018】しかし、空燃比がリーン側に移行すればす
るほどNOxの発生量は少なくなり、所定の空燃比以上
では三元触媒10で浄化するのと同じ程度にまで下げる
ことができ、同時に、リーン空燃比になるほど燃費が改
善される。反面リーン空燃比での運転時には、運転条件
によって燃焼が不安定になりやすい。
るほどNOxの発生量は少なくなり、所定の空燃比以上
では三元触媒10で浄化するのと同じ程度にまで下げる
ことができ、同時に、リーン空燃比になるほど燃費が改
善される。反面リーン空燃比での運転時には、運転条件
によって燃焼が不安定になりやすい。
【0019】したがって、この例で負荷のそれほど大き
くない所定の運転領域においてはリーン空燃比により運
転を行い、同時にエンジンの安定度を検出し、リーン運
転中にエンジンの安定度が悪化すれば空燃比をリッチ側
にシフトして安定性を確保し、つまりリーン空燃比での
安定度フィードバック制御を行い、エンジンの安定性を
損なうことなく良好な燃費特性を維持する。
くない所定の運転領域においてはリーン空燃比により運
転を行い、同時にエンジンの安定度を検出し、リーン運
転中にエンジンの安定度が悪化すれば空燃比をリッチ側
にシフトして安定性を確保し、つまりリーン空燃比での
安定度フィードバック制御を行い、エンジンの安定性を
損なうことなく良好な燃費特性を維持する。
【0020】コントロールユニット2で実行されるこの
制御の内容を、以下のフローチャートにしたがって説明
する。
制御の内容を、以下のフローチャートにしたがって説明
する。
【0021】まず、図2はリーン空燃比による運転時
に、エンジンの回転変動を検出しながらエンジンが安定
するのに必要な空燃比にフィードバック制御するための
燃空比補正係数Dmlを演算するもので、クランク角度
180毎に実行される。
に、エンジンの回転変動を検出しながらエンジンが安定
するのに必要な空燃比にフィードバック制御するための
燃空比補正係数Dmlを演算するもので、クランク角度
180毎に実行される。
【0022】まずステップA)でクランク角センサ4の
180度毎のレファレンス信号REFからREF間周期
Refを読み込み、ステップB)でこのRefに基づい
てエンジンの回転変動を算出する。この回転変動の算出
動作は図3のフローチャートに示す。
180度毎のレファレンス信号REFからREF間周期
Refを読み込み、ステップB)でこのRefに基づい
てエンジンの回転変動を算出する。この回転変動の算出
動作は図3のフローチャートに示す。
【0023】図3のステップA)でエンジンの1回転区
間の周期Refrvを、 Refrv=Ref+Refn-1 …(1) ただし、Refn-1;前回のRef の式で求め、ステップB)でエンジン回転数Nervの
旧値のシフトを行い、1回前のデータを2回前のRAM
に、また3回前を4回前へと移し変える。
間の周期Refrvを、 Refrv=Ref+Refn-1 …(1) ただし、Refn-1;前回のRef の式で求め、ステップB)でエンジン回転数Nervの
旧値のシフトを行い、1回前のデータを2回前のRAM
に、また3回前を4回前へと移し変える。
【0024】次にステップC)で Nerv=KN#/Refrv …(2) ただし、KN#;周期→回転数への変換定数 の式にしたがって、Refrvを用いてエンジン回転数
Nervに変換する。
Nervに変換する。
【0025】ステップD)では気筒毎の回転数変化量D
nervの旧値のシフトを、前記Nervのシフトと同
じように行い、ここで新しいDnervを、 Dnerv=Nerv−Nervn-4 …(3) ただし、Nervn-4;4回前のNerv の式で算出する。
nervの旧値のシフトを、前記Nervのシフトと同
じように行い、ここで新しいDnervを、 Dnerv=Nerv−Nervn-4 …(3) ただし、Nervn-4;4回前のNerv の式で算出する。
【0026】この場合、4気筒エンジンを例にしてあ
り、回転数変化量Dnervは前回の自気筒(4回前の
燃焼気筒)の燃焼時の1回転周期に対する今回の1回転
周期の変化量となる。なお、気筒毎に変化量をとるのは
気筒間のバラツキを変動と誤認しないようにするためで
ある。
り、回転数変化量Dnervは前回の自気筒(4回前の
燃焼気筒)の燃焼時の1回転周期に対する今回の1回転
周期の変化量となる。なお、気筒毎に変化量をとるのは
気筒間のバラツキを変動と誤認しないようにするためで
ある。
【0027】ステップF)では回転数変化量の変化量で
あるLljを、 Llj=Dnerv−Dnervn-1 …(4) ただし、Dnervn-1;1回前のDnerv の式により算出する。
あるLljを、 Llj=Dnerv−Dnervn-1 …(4) ただし、Dnervn-1;1回前のDnerv の式により算出する。
【0028】ここで、Lljは直前のDnervから今
回のDnervの変化量であり、燃焼に伴う疑似的なト
ルク変動に相当する。そして、ステップG)で変化量L
ljについてバンドパスフィルター処理を行い、その結
果を安定度信号(回転変動量)Lljdとして、これを
ストアすることで、このフローチャートの動作を終了す
る。
回のDnervの変化量であり、燃焼に伴う疑似的なト
ルク変動に相当する。そして、ステップG)で変化量L
ljについてバンドパスフィルター処理を行い、その結
果を安定度信号(回転変動量)Lljdとして、これを
ストアすることで、このフローチャートの動作を終了す
る。
【0029】なお、バンドパスフィルター処理は、EC
Uソフトあり、連続系から離散系に変換した式を用い、
周波数として3〜7Hz程度の、車両のドライバーがサ
ージとして感じやすい周波数とすればよい。
Uソフトあり、連続系から離散系に変換した式を用い、
周波数として3〜7Hz程度の、車両のドライバーがサ
ージとして感じやすい周波数とすればよい。
【0030】以上の図3のフローがエンジンの安定度を
検出する手段を構成している。
検出する手段を構成している。
【0031】このようにして回転変動量を算出したら、
図2に戻ってステップC)によりエンジンの安定度をみ
ながらのリーン空燃比でのフィードバック(F/B)制
御をするかどうかの判定を行う。これについては図4の
フローチャートによって説明する。
図2に戻ってステップC)によりエンジンの安定度をみ
ながらのリーン空燃比でのフィードバック(F/B)制
御をするかどうかの判定を行う。これについては図4の
フローチャートによって説明する。
【0032】図4のステップA)でリーン条件かどうか
を判定する。このリーン運転条件はバックグランドジョ
ブとして行われる後述の、図7、図8のフローチャート
によって詳しく説明するが、基本的にはエンジン回転数
と負荷、さらにはギヤ位置、車速がそれぞれ所定の範囲
にある場合に行われる。リーン条件になればステップ
L)のF/B制御禁止に飛ぶ。
を判定する。このリーン運転条件はバックグランドジョ
ブとして行われる後述の、図7、図8のフローチャート
によって詳しく説明するが、基本的にはエンジン回転数
と負荷、さらにはギヤ位置、車速がそれぞれ所定の範囲
にある場合に行われる。リーン条件になればステップ
L)のF/B制御禁止に飛ぶ。
【0033】ただし、リーン条件であっても、制御の安
定性を確保するため、必ずしもF/B制御を行うわけで
はなく、そのため以下の項目をチェックする。
定性を確保するため、必ずしもF/B制御を行うわけで
はなく、そのため以下の項目をチェックする。
【0034】ステップB)で空燃比の切り替え中である
かどうかを判定するが、これは後述する図2のステップ
G)〜K)で求めたDmlがTdmlと同一ならば切り
替え中でないと判断し、切り替え中ならば前記と同じよ
うにステップL)に飛び、F/B制御を禁止する。
かどうかを判定するが、これは後述する図2のステップ
G)〜K)で求めたDmlがTdmlと同一ならば切り
替え中でないと判断し、切り替え中ならば前記と同じよ
うにステップL)に飛び、F/B制御を禁止する。
【0035】次にステップC)でF/B制御領域かどう
かを判定する。これは図11に示すように、エンジンの
全運転域について回転数Neと負荷としてのTpとにし
たがって設定された許可フラグをみることにより行い、
許可されたF/B制御領域にないときは、F/B制御禁
止へ飛ぶ。なお、この実施例ではF/B制御は高回転域
を除いて行われるようになっている。
かを判定する。これは図11に示すように、エンジンの
全運転域について回転数Neと負荷としてのTpとにし
たがって設定された許可フラグをみることにより行い、
許可されたF/B制御領域にないときは、F/B制御禁
止へ飛ぶ。なお、この実施例ではF/B制御は高回転域
を除いて行われるようになっている。
【0036】ステップD)でギヤ位置をチェックし、所
定の低速ギヤLLGR#未満のギヤ位置であれば、F/
B制御禁止へ飛ぶ。変速機が低速ギヤのときは回転変化
が速いのでF/B制御を禁止するためであり、たとえば
1速では禁止する。また、ニュートラルのときも同じく
F/B制御を禁止する。ステップF)ではギヤ位置が変
更中かどうかを、前回のギヤ位置と今回のギヤ位置とを
比較することにより判断し、ギヤチェンジと判定したら
やはりF/B制御禁止へ飛ぶ。
定の低速ギヤLLGR#未満のギヤ位置であれば、F/
B制御禁止へ飛ぶ。変速機が低速ギヤのときは回転変化
が速いのでF/B制御を禁止するためであり、たとえば
1速では禁止する。また、ニュートラルのときも同じく
F/B制御を禁止する。ステップF)ではギヤ位置が変
更中かどうかを、前回のギヤ位置と今回のギヤ位置とを
比較することにより判断し、ギヤチェンジと判定したら
やはりF/B制御禁止へ飛ぶ。
【0037】次にステップG)からI)では過渡運転時
のF/B制御を禁止するための判定を行うのであり、絞
り弁開度Tvoの変化量、基本パルス幅Tpの変化量、
エンジン回転数Neの変化量を、それぞれ設定値LLD
TVO#、LLDNE#、LLDTP#、と比較してい
ずれかの変化量が設定値を越えたときは過渡状態である
として前記と同じくF/B制御禁止に飛ぶ。
のF/B制御を禁止するための判定を行うのであり、絞
り弁開度Tvoの変化量、基本パルス幅Tpの変化量、
エンジン回転数Neの変化量を、それぞれ設定値LLD
TVO#、LLDNE#、LLDTP#、と比較してい
ずれかの変化量が設定値を越えたときは過渡状態である
として前記と同じくF/B制御禁止に飛ぶ。
【0038】ここまですべての条件を満たしたならば、
ステップJ)でF/B制御のディレイを与える処理を行
う。ここではステップD)からI)のすべてがF/B制
御条件になってから所定の時間TMLLC#が経過した
かどうかをチェックし、経過するまではF/B制御を禁
止し、経過したときに初めてF/B制御領域であると判
定されるのである。
ステップJ)でF/B制御のディレイを与える処理を行
う。ここではステップD)からI)のすべてがF/B制
御条件になってから所定の時間TMLLC#が経過した
かどうかをチェックし、経過するまではF/B制御を禁
止し、経過したときに初めてF/B制御領域であると判
定されるのである。
【0039】ディレイを与えたのは、安定度信号Llj
dはフィルターを通しており、外乱の影響を受けた場
合、出力はすぐには安定しないこと、またギヤチェンジ
等で発生した回転変動は車両の振動系の影響で瞬時には
なくならないことなどのためであり、より安定したF/
B制御を行うには所定のディレイを設けたほうがよいの
である。
dはフィルターを通しており、外乱の影響を受けた場
合、出力はすぐには安定しないこと、またギヤチェンジ
等で発生した回転変動は車両の振動系の影響で瞬時には
なくならないことなどのためであり、より安定したF/
B制御を行うには所定のディレイを設けたほうがよいの
である。
【0040】このようにしてF/B制御の判定を行った
ら、再び図2に戻り、ステップD)で安定度F/B制御
かどうかのチェックを行い、F/B制御判定であるとき
はステップE)で図5のフローチャートにしたがって、
F/B制御の補正率、つまり安定化燃空比補正係数Ll
dmlの更新、算出を行う。
ら、再び図2に戻り、ステップD)で安定度F/B制御
かどうかのチェックを行い、F/B制御判定であるとき
はステップE)で図5のフローチャートにしたがって、
F/B制御の補正率、つまり安定化燃空比補正係数Ll
dmlの更新、算出を行う。
【0041】ここでは前記のように算出した回転変動量
に基づいてF/B制御を行うための安定化燃空比補正係
数を算出するもので、まずステップA)で前記した安定
度信号Lljdをサンプルし、このサンプル数をカウン
トする。
に基づいてF/B制御を行うための安定化燃空比補正係
数を算出するもので、まずステップA)で前記した安定
度信号Lljdをサンプルし、このサンプル数をカウン
トする。
【0042】ステップB)でサンプル数の設定を行う
が、これは図12に示すようにして、エンジン回転数N
eによって変化するロングLの設定値を、そのときのN
eにしたがって読み出すのであり、その場合、サンプル
数が多いほど検出精度は高まるが、その反面制御速度が
遅くなる(少ないほど速い)ので、これらを考慮して決
定しておく。
が、これは図12に示すようにして、エンジン回転数N
eによって変化するロングLの設定値を、そのときのN
eにしたがって読み出すのであり、その場合、サンプル
数が多いほど検出精度は高まるが、その反面制御速度が
遅くなる(少ないほど速い)ので、これらを考慮して決
定しておく。
【0043】次にステップC)でサンプル数がL個そろ
ったかどうか判定し、そろっているならばステップD)
でサンプルデータ合計をLで割って平均値を求め、この
平均値から安定度判定比較値SLL#を差し引いた値に
より、図13に示す特性のマップから、Lldmlの更
新量Dlldml(+/−)を算出する。なお、この特
性図には本制御により燃空比を変更することによるトル
ク変動(ショック)を防ぐために、Dlldml=0と
なる不感帯を、更新量がプラスとなる領域とマイナスと
なる領域との境を中心にして所定幅だけ設けている。
ったかどうか判定し、そろっているならばステップD)
でサンプルデータ合計をLで割って平均値を求め、この
平均値から安定度判定比較値SLL#を差し引いた値に
より、図13に示す特性のマップから、Lldmlの更
新量Dlldml(+/−)を算出する。なお、この特
性図には本制御により燃空比を変更することによるトル
ク変動(ショック)を防ぐために、Dlldml=0と
なる不感帯を、更新量がプラスとなる領域とマイナスと
なる領域との境を中心にして所定幅だけ設けている。
【0044】そして、ステップF)において、安定化燃
空比補正係数Lldmlを Lldml=Lldmln-1+Dlldml …(5) ただし、Lldmln-1;1回前のLldml の式で更新する。
空比補正係数Lldmlを Lldml=Lldmln-1+Dlldml …(5) ただし、Lldmln-1;1回前のLldml の式で更新する。
【0045】したがって安定化燃空比補正係数Lldm
lは、回転変動量が大きくなるほど、つまりエンジンの
安定度が悪化するほど大きな値となる。なお、Lldm
lはメモリに格納され、F/B制御中は常時更新される
ことになる。
lは、回転変動量が大きくなるほど、つまりエンジンの
安定度が悪化するほど大きな値となる。なお、Lldm
lはメモリに格納され、F/B制御中は常時更新される
ことになる。
【0046】以上の図5のフローにおけるステップA)
〜F)がリーン運転領域での設定空燃比の補正係数を算
出する手段を構成している。
〜F)がリーン運転領域での設定空燃比の補正係数を算
出する手段を構成している。
【0047】ステップG)以降は後で詳述する。
【0048】次に再び図2に戻り、このようにしてF/
B制御の補正率の演算を終了後、図2のステップF)に
移行して、目標燃空比Tdmlを算出するのであるが、
この目標燃空比は図9または図10に示す特性のマップ
に設定した燃空比Mdmlを検索した上、F/B制御時
にはこれを安定化燃空比補正係数Lldmlによって補
正することにより算出するのであり、この場合、リーン
運転条件かどうかによりいずれかのマップが選択され
る。
B制御の補正率の演算を終了後、図2のステップF)に
移行して、目標燃空比Tdmlを算出するのであるが、
この目標燃空比は図9または図10に示す特性のマップ
に設定した燃空比Mdmlを検索した上、F/B制御時
にはこれを安定化燃空比補正係数Lldmlによって補
正することにより算出するのであり、この場合、リーン
運転条件かどうかによりいずれかのマップが選択され
る。
【0049】ここで、リーン運転条件の判定について図
7、図8のフローチャートにしたがって説明することに
する。
7、図8のフローチャートにしたがって説明することに
する。
【0050】これらの動作はバックグランドジョブとし
て行われるもので、図7のステップA)でリーン条件の
判定を行うが、このための具体的な内容は図8に示す。
リーン条件の判定は図8のステップA)〜F)の内容を
一つづつチェックすることにより行い、各項目のすべて
が満たされたときにリーン運転を許可し、一つでも反す
るときはリーン運転を禁止する。
て行われるもので、図7のステップA)でリーン条件の
判定を行うが、このための具体的な内容は図8に示す。
リーン条件の判定は図8のステップA)〜F)の内容を
一つづつチェックすることにより行い、各項目のすべて
が満たされたときにリーン運転を許可し、一つでも反す
るときはリーン運転を禁止する。
【0051】すなわち、 ステップA):空燃比(酸素)センサが活性化してい
る、 ステップB):エンジンの暖機が終了している、 ステップC):負荷(Tp)が所定のリーン領域にあ
る、 ステップD):回転数(Ne)が所定のリーン領域にあ
る、 ステップE):ギヤ位置が2速以上にある、 ステップF):車速が所定の範囲にある、 ときに、ステップH)でリーン運転を許可し、そうでな
ければステップI)に移行してリーン運転を禁止する。
上記のステップA)〜F)は運転性能を損なわずに安定
してリーン運転を行うための条件である。
る、 ステップB):エンジンの暖機が終了している、 ステップC):負荷(Tp)が所定のリーン領域にあ
る、 ステップD):回転数(Ne)が所定のリーン領域にあ
る、 ステップE):ギヤ位置が2速以上にある、 ステップF):車速が所定の範囲にある、 ときに、ステップH)でリーン運転を許可し、そうでな
ければステップI)に移行してリーン運転を禁止する。
上記のステップA)〜F)は運転性能を損なわずに安定
してリーン運転を行うための条件である。
【0052】以上の図8のフローのうちステップG)を
除いた部分がリーン運転領域を判定する手段を構成して
いる。説明しなかったステップG)は後述する。
除いた部分がリーン運転領域を判定する手段を構成して
いる。説明しなかったステップG)は後述する。
【0053】このようにしてリーン条件を判定したら、
図7のステップC),D)に戻り、リーン条件でないと
きは、ステップC)によって理論燃空比あるいはそれよ
りも濃いマップ燃空比を、図10に示す特性のマップを
回転数Neと負荷Tpとで検索することにより算出し、
これに対してリーン条件のときは、ステップD)で理論
空燃比よりも所定の範囲だけ薄いマップ燃空比Mdml
を図9に示す特性のマップにしたがって同じように検索
する。
図7のステップC),D)に戻り、リーン条件でないと
きは、ステップC)によって理論燃空比あるいはそれよ
りも濃いマップ燃空比を、図10に示す特性のマップを
回転数Neと負荷Tpとで検索することにより算出し、
これに対してリーン条件のときは、ステップD)で理論
空燃比よりも所定の範囲だけ薄いマップ燃空比Mdml
を図9に示す特性のマップにしたがって同じように検索
する。
【0054】なお、これらのマップに表した数値は、理
論空燃比のときを1.0とする相対値であるため、これ
よりも数値が大きければリッチ、小さければリーンを示
す。以上の図7のフローおよび図9のマップがリーン運
転領域での空燃比目標値を設定する手段を構成してい
る。
論空燃比のときを1.0とする相対値であるため、これ
よりも数値が大きければリッチ、小さければリーンを示
す。以上の図7のフローおよび図9のマップがリーン運
転領域での空燃比目標値を設定する手段を構成してい
る。
【0055】ここで、再び図2のステップF)に戻り、
このようにして算出されるマップ燃空比Mdmlのう
ち、リーン条件のときのMdmlについて、安定化燃空
比補正係数Lldmlに基づいて Tdml=Mdml×Lldml …(7) ただし、Mdml;目標燃空比のマップ値 の式で補正し、目標燃空比Tdmlを算出する。
このようにして算出されるマップ燃空比Mdmlのう
ち、リーン条件のときのMdmlについて、安定化燃空
比補正係数Lldmlに基づいて Tdml=Mdml×Lldml …(7) ただし、Mdml;目標燃空比のマップ値 の式で補正し、目標燃空比Tdmlを算出する。
【0056】この目標燃空比Tdmlは、エンジンの回
転変動が大きくなるほどLldmlが大きくなるため、
安定度が悪化するのにしたがって大きくなり、つまり目
標空燃比はリッチ側にシフトされていく。
転変動が大きくなるほどLldmlが大きくなるため、
安定度が悪化するのにしたがって大きくなり、つまり目
標空燃比はリッチ側にシフトされていく。
【0057】次のステップG)以降は燃空比切換時のダ
ンパ操作の行程で、空燃比を緩やかに切換えることによ
りトルクの急変を防いで、運転性能の安定性を確保する
ためのものである。
ンパ操作の行程で、空燃比を緩やかに切換えることによ
りトルクの急変を防いで、運転性能の安定性を確保する
ためのものである。
【0058】ステップG)では燃空比補正係数Dmlと
さきほど算出したTdmlとの比較を行い、もしDml
≧Tdmlでないとき、つまり算出された目標燃空比が
保持されている燃空比補正係数Dmlよりも大きいとき
は、ステップH),I)で空燃比をリッチ側にシフトさ
せるために、前回の補正係数Dmln-1にリッチ側への
空燃比変化速度に相当するDmlrを加算して新たなD
mlを求める。そして、この燃空比補正係数Dmlが算
出された目標燃空比Tdmlを越えることのないように
Dmlに制限を加える。
さきほど算出したTdmlとの比較を行い、もしDml
≧Tdmlでないとき、つまり算出された目標燃空比が
保持されている燃空比補正係数Dmlよりも大きいとき
は、ステップH),I)で空燃比をリッチ側にシフトさ
せるために、前回の補正係数Dmln-1にリッチ側への
空燃比変化速度に相当するDmlrを加算して新たなD
mlを求める。そして、この燃空比補正係数Dmlが算
出された目標燃空比Tdmlを越えることのないように
Dmlに制限を加える。
【0059】これに対して、Dml≧Tdmlならば、
ステップJ),K)で、保持されているDmlからリー
ン側への空燃比変化速度Ddmllを減算することで、
リーン側にシフトした新しい燃空比補正係数Dmlを求
め、さらにDmlがTdml未満とならないようにDm
lに制限を加える。
ステップJ),K)で、保持されているDmlからリー
ン側への空燃比変化速度Ddmllを減算することで、
リーン側にシフトした新しい燃空比補正係数Dmlを求
め、さらにDmlがTdml未満とならないようにDm
lに制限を加える。
【0060】以上の図2のフローがリーン運転領域での
設定空燃比を補正する手段を構成している。
設定空燃比を補正する手段を構成している。
【0061】なお、リーン条件になく、図10に示す特
性のマップから理論燃空比あるいはその近傍の燃空比M
dmlを算出したときには、図示しないが、ステップ
F)におけるマップ燃空比Mdmlについての安定化燃
空比補正係数Lldmlによる補正は行わず、このMd
mlをそのままステップG)での目標燃空比Tdmlに
置き換えることにより、燃空比補正係数Dmlを算出す
ればよい。
性のマップから理論燃空比あるいはその近傍の燃空比M
dmlを算出したときには、図示しないが、ステップ
F)におけるマップ燃空比Mdmlについての安定化燃
空比補正係数Lldmlによる補正は行わず、このMd
mlをそのままステップG)での目標燃空比Tdmlに
置き換えることにより、燃空比補正係数Dmlを算出す
ればよい。
【0062】このようにして算出された燃空比の補正係
数Dmlにより、次に述べる燃料噴射量の演算を行う。
数Dmlにより、次に述べる燃料噴射量の演算を行う。
【0063】図6のフローチャートはこのようにして求
めた燃空比補正係数Dmlを使って燃料噴射パルス幅を
算出して出力する制御動作内容を示すもので、まずステ
ップA)で燃空比補正係数Dmlを用いて、目標燃空比
Tfbyaを、 Tfbya=Dml+Ktw+Kas …(8) ただし、Ktw;水温増量補正係数 Kas;始動後増量補正係数 の式により算出する。
めた燃空比補正係数Dmlを使って燃料噴射パルス幅を
算出して出力する制御動作内容を示すもので、まずステ
ップA)で燃空比補正係数Dmlを用いて、目標燃空比
Tfbyaを、 Tfbya=Dml+Ktw+Kas …(8) ただし、Ktw;水温増量補正係数 Kas;始動後増量補正係数 の式により算出する。
【0064】ここで、Ktwは冷却水温に応じた燃料増
量分、Kasは始動直後の燃料増量分である。次にステ
ップB)でエアフローメータの出力をA/D変換し、リ
ニアライズして吸入空気流量Qを算出する。そしてステ
ップC)でこの吸入空気流量Qとエンジン回転数Neと
から、燃料噴射弁に与える基本パルス幅Tpを、Tp=
K×Q/Nとして求める。なおKは定数である。
量分、Kasは始動直後の燃料増量分である。次にステ
ップB)でエアフローメータの出力をA/D変換し、リ
ニアライズして吸入空気流量Qを算出する。そしてステ
ップC)でこの吸入空気流量Qとエンジン回転数Neと
から、燃料噴射弁に与える基本パルス幅Tpを、Tp=
K×Q/Nとして求める。なおKは定数である。
【0065】そして、ステップD)でこのTpをもとに
して、一回の燃料噴射パルス幅Tiを、 Ti=Tp×Tfbya×Ktr×(α+αm)+Ts …(9) ただし、Ktr;過渡時の補正係数 α;空燃比フィードバック補正係数 αm;空燃比学習補正係数 Ts;無効パルス幅 の式で算出する。
して、一回の燃料噴射パルス幅Tiを、 Ti=Tp×Tfbya×Ktr×(α+αm)+Ts …(9) ただし、Ktr;過渡時の補正係数 α;空燃比フィードバック補正係数 αm;空燃比学習補正係数 Ts;無効パルス幅 の式で算出する。
【0066】ただし、リーン条件のときには、これらK
tr、α、αmなどは所定の値に固定されている。
tr、α、αmなどは所定の値に固定されている。
【0067】次にステップF)で燃料カットの判定を行
い、ステップG),H)で燃料カット条件ならば無効パ
ルス幅Tsを、そうでなければTiを出力レジスタにス
トアすることでクランク角センサの出力にしたがって所
定の噴射タイミングでの噴射に備える。
い、ステップG),H)で燃料カット条件ならば無効パ
ルス幅Tsを、そうでなければTiを出力レジスタにス
トアすることでクランク角センサの出力にしたがって所
定の噴射タイミングでの噴射に備える。
【0068】以上の図6のフローが、補正された設定空
燃比に基づいて空燃比制御を行う手段を構成している。
燃比に基づいて空燃比制御を行う手段を構成している。
【0069】このようにして燃料噴射パルス幅Tiが演
算され、したがってリーン運転での安定度フィードバッ
ク制御時に、安定度が悪化すると、これに応じて設定空
燃比がリッチ側にシフトされ、リーン運転時の安定性を
確保し、このため運転性を損なうことなく燃費やNOx
の低減を図る。
算され、したがってリーン運転での安定度フィードバッ
ク制御時に、安定度が悪化すると、これに応じて設定空
燃比がリッチ側にシフトされ、リーン運転時の安定性を
確保し、このため運転性を損なうことなく燃費やNOx
の低減を図る。
【0070】ところで、図14にもあるように、リーン
空燃比による運転ではリーン化するほどNOxの排出レ
ベルを下げることができる反面、エンジンの安定度も悪
化してくる。したがって、NOxの排出レベルが許容限
界よりも低く、かつエンジンの安定度も許容限界にある
ように空燃比を維持すれば、エンジンの安定性を損なう
ことなく、NOxを十分に低減することが可能となる。
安定度の悪化に対しては空燃比をリッチ側に移行するこ
とにより対処できるが、あまりリッチ側に移行すると、
NOxの排出レベルが許容限界を越えてしまう。また、
NOxが減少するからといって空燃比をやみくもにリー
ン側に移行すると、燃焼が悪化してエンジンの安定運転
が維持できない。
空燃比による運転ではリーン化するほどNOxの排出レ
ベルを下げることができる反面、エンジンの安定度も悪
化してくる。したがって、NOxの排出レベルが許容限
界よりも低く、かつエンジンの安定度も許容限界にある
ように空燃比を維持すれば、エンジンの安定性を損なう
ことなく、NOxを十分に低減することが可能となる。
安定度の悪化に対しては空燃比をリッチ側に移行するこ
とにより対処できるが、あまりリッチ側に移行すると、
NOxの排出レベルが許容限界を越えてしまう。また、
NOxが減少するからといって空燃比をやみくもにリー
ン側に移行すると、燃焼が悪化してエンジンの安定運転
が維持できない。
【0071】図14のA特性とB特性は、それぞれ図9
のAの運転条件(負荷と回転が)、Bの運転条件での空
燃比を変化させたときのNOxの排出量とエンジンの安
定度の関係を示すが、このように運転条件が相違すると
同一の空燃比であってもNOxの排出特性と安定度特性
が異なる。
のAの運転条件(負荷と回転が)、Bの運転条件での空
燃比を変化させたときのNOxの排出量とエンジンの安
定度の関係を示すが、このように運転条件が相違すると
同一の空燃比であってもNOxの排出特性と安定度特性
が異なる。
【0072】したがって、リーン運転時の目標空燃比と
して図9のように設定されるマップ空燃比を、これら運
転条件を勘案しつつ、NOxの排出量からリッチ側空燃
比の限界と、安定度の限界からリーン側空燃比の限界と
の範囲内の所定値に設定してやると、NOxと安定度が
常に一定の範囲となる条件においてリーン運転を行うこ
とができる。この場合には、安定化燃空比補正係数Ll
dmlとNOxの排出量とがほぼ対応するようになるの
で、NOxの排出量を測定しなくても常にNOx排出量
を許容限界内に抑制することができる。
して図9のように設定されるマップ空燃比を、これら運
転条件を勘案しつつ、NOxの排出量からリッチ側空燃
比の限界と、安定度の限界からリーン側空燃比の限界と
の範囲内の所定値に設定してやると、NOxと安定度が
常に一定の範囲となる条件においてリーン運転を行うこ
とができる。この場合には、安定化燃空比補正係数Ll
dmlとNOxの排出量とがほぼ対応するようになるの
で、NOxの排出量を測定しなくても常にNOx排出量
を許容限界内に抑制することができる。
【0073】なお、目標空燃比の設定は、たとえばNO
xの排出限界の空燃比から一定値だけリーンの空燃比
値、安定度限界の空燃比から一定値だけリッチ側の空燃
比値、両方の限界空燃比の略中間の空燃比値、同じく両
方の限界空燃比を一定の比率で内分する空燃比値などと
して設定することができる。
xの排出限界の空燃比から一定値だけリーンの空燃比
値、安定度限界の空燃比から一定値だけリッチ側の空燃
比値、両方の限界空燃比の略中間の空燃比値、同じく両
方の限界空燃比を一定の比率で内分する空燃比値などと
して設定することができる。
【0074】さて、ハード故障によってリーン燃焼が不
安定になると、空燃比がどんどんリッチ側に補正されて
いき、NOxの排出量が非常に多くなる空燃比の範囲で
エンジンが制御される可能性があるので、安定化燃空比
補正係数Lldmlにリッチ側リミット値LLDMMX
#を予め定めておき、補正係数Lldmlがこのリッチ
側リミット値以上になるときは、このリッチ側リミット
値に制限することで、エンジン性能の劣化によりNOx
の排出量が増加しないようにすることができる。
安定になると、空燃比がどんどんリッチ側に補正されて
いき、NOxの排出量が非常に多くなる空燃比の範囲で
エンジンが制御される可能性があるので、安定化燃空比
補正係数Lldmlにリッチ側リミット値LLDMMX
#を予め定めておき、補正係数Lldmlがこのリッチ
側リミット値以上になるときは、このリッチ側リミット
値に制限することで、エンジン性能の劣化によりNOx
の排出量が増加しないようにすることができる。
【0075】しかしながら、リーン運転時の設定空燃比
によりNOx排出量の限界空燃比が変化するので、すべ
ての運転条件でリーン運転時の制御空燃比がNOx排出
量の限界空燃比を越えないように一定のリッチ側リミッ
ト値を設定するのでは、その値が、リッチ側リミット値
が最もリーン側にくるときの設定空燃比に対する値とな
るので、それ以外の設定空燃比のときに不必要にリッチ
側の補正幅を狭めてしまう。
によりNOx排出量の限界空燃比が変化するので、すべ
ての運転条件でリーン運転時の制御空燃比がNOx排出
量の限界空燃比を越えないように一定のリッチ側リミッ
ト値を設定するのでは、その値が、リッチ側リミット値
が最もリーン側にくるときの設定空燃比に対する値とな
るので、それ以外の設定空燃比のときに不必要にリッチ
側の補正幅を狭めてしまう。
【0076】そこで、前述した先願装置では、リーン運
転時の領域でのすべての運転条件においてNOx排出量
の限界空燃比からの適切な余裕代を与えるため、リッチ
側リミット値を運転条件に応じて設定しており、NOx
排出量が悪化することはなくなったものの、その一方で
ハード故障に伴う安定度の悪さが残ったままの状態とな
っている。
転時の領域でのすべての運転条件においてNOx排出量
の限界空燃比からの適切な余裕代を与えるため、リッチ
側リミット値を運転条件に応じて設定しており、NOx
排出量が悪化することはなくなったものの、その一方で
ハード故障に伴う安定度の悪さが残ったままの状態とな
っている。
【0077】これに対処するため本願では、リッチ側リ
ミット値に連続して制限される時間を計測し、その計測
時間が所定時間以上になったときはハード故障が生じて
いると判断し、リーン運転領域であってもリーン運転を
禁止して理論空燃比での運転に切換える。
ミット値に連続して制限される時間を計測し、その計測
時間が所定時間以上になったときはハード故障が生じて
いると判断し、リーン運転領域であってもリーン運転を
禁止して理論空燃比での運転に切換える。
【0078】詳細には、図5においてステップF)で上
記のようにして安定化燃空比補正係数Lldmlを更新
した後、ステップG)に移り、Lldmlに対するリッ
チ側リミット値とリーン側リミット値とをそのときの回
転数Neと負荷としての基本パルス幅Tpとに応じて設
定する。たとえば、1.0を中心としてリッチ側への制
限幅をLLDMLR(>0)、リーン側への制限幅をL
LDMLL(≧0)として、これらの制限幅LLDML
R、LLDMLLをNeとTpをパラメータとするマッ
プを予め作成しておき、そのときのNeとTpからLL
DMLRとLLDMLLの各マップを検索する。このと
き、1.0+LLDMLRがリッチ側リミット値に、
1.0−LLDMLLがリーン側リミット値になる。
記のようにして安定化燃空比補正係数Lldmlを更新
した後、ステップG)に移り、Lldmlに対するリッ
チ側リミット値とリーン側リミット値とをそのときの回
転数Neと負荷としての基本パルス幅Tpとに応じて設
定する。たとえば、1.0を中心としてリッチ側への制
限幅をLLDMLR(>0)、リーン側への制限幅をL
LDMLL(≧0)として、これらの制限幅LLDML
R、LLDMLLをNeとTpをパラメータとするマッ
プを予め作成しておき、そのときのNeとTpからLL
DMLRとLLDMLLの各マップを検索する。このと
き、1.0+LLDMLRがリッチ側リミット値に、
1.0−LLDMLLがリーン側リミット値になる。
【0079】LLDMLR、LLDMLLの各特性がN
eとTpに対してどのような傾向をもつかは一様でな
い。というのも、NOx排出量の限界空燃比および安定
度の限界空燃比が、基本的に燃焼室形状、吸気管形
状、スワールコントロールバルブなどのエンジンハード
構成によるリーン運転時の燃焼特性、リーン運転時の
設定空燃比(つまりリーンマップ特性)により相違し、
この相違するNOx排出量の限界空燃比および安定度の
限界空燃比との関係でLLDMLRとLLDMLLの値
が定まってくるからである。したがって、エンジンハー
ド構成とリーン運転時の設定空燃比を決めた後で、マッ
チングによりLLDMLRとLLDMLLの各特性を定
めることになる。
eとTpに対してどのような傾向をもつかは一様でな
い。というのも、NOx排出量の限界空燃比および安定
度の限界空燃比が、基本的に燃焼室形状、吸気管形
状、スワールコントロールバルブなどのエンジンハード
構成によるリーン運転時の燃焼特性、リーン運転時の
設定空燃比(つまりリーンマップ特性)により相違し、
この相違するNOx排出量の限界空燃比および安定度の
限界空燃比との関係でLLDMLRとLLDMLLの値
が定まってくるからである。したがって、エンジンハー
ド構成とリーン運転時の設定空燃比を決めた後で、マッ
チングによりLLDMLRとLLDMLLの各特性を定
めることになる。
【0080】たとえば、図14において設定空燃比(正
確にはMdml)が0.7のときはβがNOx排出量の
限界空燃比までのリッチ側最大制限幅、γが安定度の限
界空燃比までのリーン側最大制限幅を与えることになる
ので、NOx排出量の余裕代を考慮してリッチ側最大制
限幅よりすこし小さな値をLLDMLRとして、また安
定度の余裕代を考慮してリーン側最大制限幅よりすこし
小さな値をLLDMLLとして定める。同様にして、設
定空燃比が0.66になると、δがNOx排出量の限界
空燃比までのリッチ側最大制限幅、εが安定度の限界空
燃比までのリーン側最大制限幅となるので、このときも
NOx排出量の余裕代を考慮してLLDMLRの値を、
また安定度の余裕代を考慮してLLDMLLの値を定め
る。つまり、リーン運転時の設定空燃比により、リッチ
側最大制限幅(βとδ)、リーン側最大制限幅(γと
ε)の大きさが変化するので、リッチ側とリーン側の各
最大制限幅が小さくなる設定空燃比ほどLLDMLR、
LLDMLLの値が小さくなる。
確にはMdml)が0.7のときはβがNOx排出量の
限界空燃比までのリッチ側最大制限幅、γが安定度の限
界空燃比までのリーン側最大制限幅を与えることになる
ので、NOx排出量の余裕代を考慮してリッチ側最大制
限幅よりすこし小さな値をLLDMLRとして、また安
定度の余裕代を考慮してリーン側最大制限幅よりすこし
小さな値をLLDMLLとして定める。同様にして、設
定空燃比が0.66になると、δがNOx排出量の限界
空燃比までのリッチ側最大制限幅、εが安定度の限界空
燃比までのリーン側最大制限幅となるので、このときも
NOx排出量の余裕代を考慮してLLDMLRの値を、
また安定度の余裕代を考慮してLLDMLLの値を定め
る。つまり、リーン運転時の設定空燃比により、リッチ
側最大制限幅(βとδ)、リーン側最大制限幅(γと
ε)の大きさが変化するので、リッチ側とリーン側の各
最大制限幅が小さくなる設定空燃比ほどLLDMLR、
LLDMLLの値が小さくなる。
【0081】このようにして、リーン運転時の設定空燃
比を相違させて、LLDMLRとLLDMLLのデータ
を集めれば、リーン運転時の設定空燃比をパラメータと
するLLDMLRとLLDMLLの特性が得られ、一方
リーン運転時の設定空燃比はNeとTpをパラメータと
して定まっているので、リーン運転時の設定空燃比をパ
ラメータとするLLDMLRとLLDMLLの各特性
を、NeとTpをパラメータとするLLDMLRとLL
DMLLの各特性に作り変えれば、LLDMLRとLL
DMLLの各マップを作成できるわけである。
比を相違させて、LLDMLRとLLDMLLのデータ
を集めれば、リーン運転時の設定空燃比をパラメータと
するLLDMLRとLLDMLLの特性が得られ、一方
リーン運転時の設定空燃比はNeとTpをパラメータと
して定まっているので、リーン運転時の設定空燃比をパ
ラメータとするLLDMLRとLLDMLLの各特性
を、NeとTpをパラメータとするLLDMLRとLL
DMLLの各特性に作り変えれば、LLDMLRとLL
DMLLの各マップを作成できるわけである。
【0082】なお、エンジンの安定度を優先させるた
め、NeとTpのすべての条件でLLDMLRのほうを
LLDMLLより大きくする。これは、図14にも示す
ように、安定度限界空燃比の近傍における安定度の立上
がりがきつい(つまり安定度限界での運転性は空燃比の
変化に対して急激に悪化する)ので、リーン側リミット
値はなるべく小さくしたいからである。
め、NeとTpのすべての条件でLLDMLRのほうを
LLDMLLより大きくする。これは、図14にも示す
ように、安定度限界空燃比の近傍における安定度の立上
がりがきつい(つまり安定度限界での運転性は空燃比の
変化に対して急激に悪化する)ので、リーン側リミット
値はなるべく小さくしたいからである。
【0083】図5において、ステップH)ではLldm
lとリッチ側リミット値である1.0+LLDMLRを
比較し、Lldmlがリッチ側リミット値を越えていれ
ば、ステップI)でLldmlをリッチ側リミット値に
制限する。
lとリッチ側リミット値である1.0+LLDMLRを
比較し、Lldmlがリッチ側リミット値を越えていれ
ば、ステップI)でLldmlをリッチ側リミット値に
制限する。
【0084】さらに、ステップJ)でタイマ値Tlmt
をインクリメントする。タイマ値Tlmtはリッチ側リ
ミット値に保持されている時間を計測するためのもの
で、このタイマ値TlmtをステップK)において所定
値TFAILと比較する。初めてステップJ)に進んだ
のであれば、TlmtはTFAIL未満であり、そのま
ま図5のルーチンを終了する。なお、このフラグFfa
ilは、エンジンの起動時にリセットする。
をインクリメントする。タイマ値Tlmtはリッチ側リ
ミット値に保持されている時間を計測するためのもの
で、このタイマ値TlmtをステップK)において所定
値TFAILと比較する。初めてステップJ)に進んだ
のであれば、TlmtはTFAIL未満であり、そのま
ま図5のルーチンを終了する。なお、このフラグFfa
ilは、エンジンの起動時にリセットする。
【0085】この後、前述するようにして、図5におい
て更新した安定化燃空比補正係数Lldmlを用いて空
燃比制御が行われ、ふたたび回転変動が算出される。こ
の回転変動から算出される安定度信号平均値が図2のス
テップH)でなおもリッチ側リミット値以上であれば、
ステップJ)に進んでタイマ値Tlmtをインクリメン
トする。補正係数Lldmlがリッチ側リミット値に保
持されるときは、タイマTlmtが増えてゆき、やがて
ステップK)においてタイマTlmtがTFAIL以上
となったときハード故障と判断し、ステップL)に進ん
でリーン禁止フラグFfailをセットする。このフラ
グFfailのセット状態は、エンジンを停止するまで
メモリに格納する。
て更新した安定化燃空比補正係数Lldmlを用いて空
燃比制御が行われ、ふたたび回転変動が算出される。こ
の回転変動から算出される安定度信号平均値が図2のス
テップH)でなおもリッチ側リミット値以上であれば、
ステップJ)に進んでタイマ値Tlmtをインクリメン
トする。補正係数Lldmlがリッチ側リミット値に保
持されるときは、タイマTlmtが増えてゆき、やがて
ステップK)においてタイマTlmtがTFAIL以上
となったときハード故障と判断し、ステップL)に進ん
でリーン禁止フラグFfailをセットする。このフラ
グFfailのセット状態は、エンジンを停止するまで
メモリに格納する。
【0086】これに対して、補正係数Lldmlがいっ
ときリッチ側リミット値以上となったときでもタイマ値
TlmtがTFAIL以上となる前に補正係数Lldm
lがリッチ側リミット値未満になったときは、ステップ
M)でタイマ値Tlmtをクリアする(Tlmt=
0)。Tlmtがリッチ側リミット値以上の状態で所定
時間保持されることを条件としてハード故障と判断する
のは、ハード故障でないのに、いっときだけ補正係数L
ldmlがリッチ側リミット値以上となることがあるの
で、この場合を除くためである。
ときリッチ側リミット値以上となったときでもタイマ値
TlmtがTFAIL以上となる前に補正係数Lldm
lがリッチ側リミット値未満になったときは、ステップ
M)でタイマ値Tlmtをクリアする(Tlmt=
0)。Tlmtがリッチ側リミット値以上の状態で所定
時間保持されることを条件としてハード故障と判断する
のは、ハード故障でないのに、いっときだけ補正係数L
ldmlがリッチ側リミット値以上となることがあるの
で、この場合を除くためである。
【0087】また、タイマ値TlmtがTFAIL未満
のときは、ステップN)で補正係数Lldmlとリーン
側リミット値である1.0−LLDMLLを比較し、L
ldmlがリーン側リミット値を下回っているときステ
ップO)でLldmlをリーン側リミット値に制限す
る。
のときは、ステップN)で補正係数Lldmlとリーン
側リミット値である1.0−LLDMLLを比較し、L
ldmlがリーン側リミット値を下回っているときステ
ップO)でLldmlをリーン側リミット値に制限す
る。
【0088】一方、メモリに格納した上記のフラグFf
ailは、図8のステップG)において使用し、フラグ
Ffailがセットされているときは、リーン運転を禁
止する。この禁止で理論空燃比での運転に切換えられ
る。
ailは、図8のステップG)において使用し、フラグ
Ffailがセットされているときは、リーン運転を禁
止する。この禁止で理論空燃比での運転に切換えられ
る。
【0089】以上の図5のフローのうちのステップG)
が、補正係数に対する所定のリッチ側リミット値を運転
条件の検出信号に応じて設定する手段を、ステップH)
とI)が、補正係数がリッチ側リミット値を越えるとき
に補正係数Lldmlをリッチ側リミット値に制限する
手段を、ステップH)、J)、M)が、補正係数がリッ
チ側リミット値に連続して制限される時間を計測する手
段を、図8のステップG)が、ハード故障が生じている
と判断したときはリーン運転を禁止する手段をそれぞれ
構成している。
が、補正係数に対する所定のリッチ側リミット値を運転
条件の検出信号に応じて設定する手段を、ステップH)
とI)が、補正係数がリッチ側リミット値を越えるとき
に補正係数Lldmlをリッチ側リミット値に制限する
手段を、ステップH)、J)、M)が、補正係数がリッ
チ側リミット値に連続して制限される時間を計測する手
段を、図8のステップG)が、ハード故障が生じている
と判断したときはリーン運転を禁止する手段をそれぞれ
構成している。
【0090】ここで、この例の作用を説明する。
【0091】前述したように先願装置によれば、リッチ
側リミット値が運転条件に応じて設定、つまり運転条件
により変化するNOx排出量の限界空燃比から適切な余
裕代を持ってすべての運転条件で設定されるので、リー
ン運転時におけるどのような運転条件でも、リッチ側の
補正範囲が最大限に確保される。ハード故障時にリーン
運転時におけるいずれの運転条件でもそのときにNOx
排出量が限界を越えない最大のリッチ側補正範囲を使っ
て、設定空燃比をリッチ側に補正することができるので
ある。
側リミット値が運転条件に応じて設定、つまり運転条件
により変化するNOx排出量の限界空燃比から適切な余
裕代を持ってすべての運転条件で設定されるので、リー
ン運転時におけるどのような運転条件でも、リッチ側の
補正範囲が最大限に確保される。ハード故障時にリーン
運転時におけるいずれの運転条件でもそのときにNOx
排出量が限界を越えない最大のリッチ側補正範囲を使っ
て、設定空燃比をリッチ側に補正することができるので
ある。
【0092】一方、補正係数Lldmlがリッチ側リミ
ット値である1.0+LLDMLRに連続して制限され
る時間がタイマにより計測され、その時間が所定値TF
AIL以上になると、ハード故障が生じていると診断さ
れ、フラグFfailがセットされ、リーン運転が禁止
される。リーン運転の禁止で、理論空燃比による運転に
切換えられることから、ハード故障時にも、三元触媒1
0を有効に機能させてNOx低減を図りつつ、エンジン
の安定性が確保されるわけである。
ット値である1.0+LLDMLRに連続して制限され
る時間がタイマにより計測され、その時間が所定値TF
AIL以上になると、ハード故障が生じていると診断さ
れ、フラグFfailがセットされ、リーン運転が禁止
される。リーン運転の禁止で、理論空燃比による運転に
切換えられることから、ハード故障時にも、三元触媒1
0を有効に機能させてNOx低減を図りつつ、エンジン
の安定性が確保されるわけである。
【0093】このように、補正係数Lldmlを運転条
件に応じたリッチ側リミット値に制限することでリーン
運転時のNOxの排出を所定の基準以下に維持するとと
もに、リッチ側リミット値に所定時間以上続けて保持さ
れたときは、ハード故障と判断して理論空燃比での運転
に戻すことで、運転性の悪化も避けられる。
件に応じたリッチ側リミット値に制限することでリーン
運転時のNOxの排出を所定の基準以下に維持するとと
もに、リッチ側リミット値に所定時間以上続けて保持さ
れたときは、ハード故障と判断して理論空燃比での運転
に戻すことで、運転性の悪化も避けられる。
【0094】また、ハード故障は、走行中に修復されて
ハード故障のない状態に戻ることはほとんどないので、
ハード故障と判断していっときだけ理論空燃比での運転
に切換えるだけだと、リーン運転と理論空燃比での運転
とを繰り返す(いわゆるハンチングが生じる)可能性が
ある。
ハード故障のない状態に戻ることはほとんどないので、
ハード故障と判断していっときだけ理論空燃比での運転
に切換えるだけだと、リーン運転と理論空燃比での運転
とを繰り返す(いわゆるハンチングが生じる)可能性が
ある。
【0095】これに対してこの例では、ハード故障と判
断したタイミングでフラグFfailがセットされ、こ
のフラグFfailのセット状態がエンジンの停止時ま
で保持されるとともに、このフラグFfailの状態を
みて、セット状態であればリーン運転を禁止するように
しているので、一度フラグFfailがセットされた後
は、エンジンが停止されるまでリーン運転が禁止される
ので、前述のハンチングが生じることが避けられる。
断したタイミングでフラグFfailがセットされ、こ
のフラグFfailのセット状態がエンジンの停止時ま
で保持されるとともに、このフラグFfailの状態を
みて、セット状態であればリーン運転を禁止するように
しているので、一度フラグFfailがセットされた後
は、エンジンが停止されるまでリーン運転が禁止される
ので、前述のハンチングが生じることが避けられる。
【0096】実施例では、ハード故障であると判断した
ときリーン運転を禁止しているが、ハード故障であると
判断したとき、運転パネルに設けた警告灯を点灯すると
か警告ブザーを鳴らすとかして、ハード故障の生じてい
ることを運転者に知らせるようすることもできる。実施
例ではフラグFfailをエンジンの始動時にリセット
しているが、エンジンの停止後もその値が消失しないよ
うにメモリにバックアップしておき、次回の運転時に、
そのメモリをみてフラグFfailがセットされたまま
だとリーン運転に入らないようにすることもできる。
ときリーン運転を禁止しているが、ハード故障であると
判断したとき、運転パネルに設けた警告灯を点灯すると
か警告ブザーを鳴らすとかして、ハード故障の生じてい
ることを運転者に知らせるようすることもできる。実施
例ではフラグFfailをエンジンの始動時にリセット
しているが、エンジンの停止後もその値が消失しないよ
うにメモリにバックアップしておき、次回の運転時に、
そのメモリをみてフラグFfailがセットされたまま
だとリーン運転に入らないようにすることもできる。
【0097】また、実施例では安定度が目標値となるよ
うに安定化燃空比補正係数を算出する例で説明したが、
安定度が目標値以下となるように安定化燃空比補正係数
を算出するものでもかまわない。安定度が目標値以下と
なる例は、図5のステップE)とF)においてLldm
lをリーン側に更新しないもの(つまり図13において
平均値−SLL#が負の領域でDlldml=0とした
もの)である。
うに安定化燃空比補正係数を算出する例で説明したが、
安定度が目標値以下となるように安定化燃空比補正係数
を算出するものでもかまわない。安定度が目標値以下と
なる例は、図5のステップE)とF)においてLldm
lをリーン側に更新しないもの(つまり図13において
平均値−SLL#が負の領域でDlldml=0とした
もの)である。
【0098】
【発明の効果】第1の発明は、運転条件の検出信号に基
づいて予め設定されているリーン運転領域かどうかを判
定する手段と、リーン運転領域を判断したときに空燃比
を理論空燃比よりも希薄な目標値に設定する手段と、エ
ンジンの安定度を検出する手段と、リーン運転時に安定
度検出手段の出力に対応して前記リーン運転領域での設
定空燃比の補正係数を算出する手段と、この補正係数に
基づいて前記リーン運転領域での設定空燃比を補正する
手段と、この補正された設定空燃比に基づいて空燃比制
御を行う手段と、前記補正係数に対する所定のリッチ側
リミット値を前記運転条件の検出信号に応じて設定する
手段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値を越え
るときは前記補正係数を前記リッチ側リミット値に制限
する手段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値に
連続して制限される時間を計測する手段と、この計測時
間が所定値以上になったときハード故障が生じていると
判定する手段とを設けたので、リーン運転領域でのどの
ような運転条件でもリッチ側補正範囲が最大限に確保さ
れ、これによってハード故障時にリーン運転領域でのい
ずれの運転条件でもそのときにNOx排出量が限界を越
えない最大のリッチ側補正範囲を使って、設定空燃比を
リッチ側に補正することができるとともに、ハード故障
を運転者に知らせることができる。
づいて予め設定されているリーン運転領域かどうかを判
定する手段と、リーン運転領域を判断したときに空燃比
を理論空燃比よりも希薄な目標値に設定する手段と、エ
ンジンの安定度を検出する手段と、リーン運転時に安定
度検出手段の出力に対応して前記リーン運転領域での設
定空燃比の補正係数を算出する手段と、この補正係数に
基づいて前記リーン運転領域での設定空燃比を補正する
手段と、この補正された設定空燃比に基づいて空燃比制
御を行う手段と、前記補正係数に対する所定のリッチ側
リミット値を前記運転条件の検出信号に応じて設定する
手段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値を越え
るときは前記補正係数を前記リッチ側リミット値に制限
する手段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値に
連続して制限される時間を計測する手段と、この計測時
間が所定値以上になったときハード故障が生じていると
判定する手段とを設けたので、リーン運転領域でのどの
ような運転条件でもリッチ側補正範囲が最大限に確保さ
れ、これによってハード故障時にリーン運転領域でのい
ずれの運転条件でもそのときにNOx排出量が限界を越
えない最大のリッチ側補正範囲を使って、設定空燃比を
リッチ側に補正することができるとともに、ハード故障
を運転者に知らせることができる。
【0099】第2の発明は、運転条件の検出信号に基づ
いて予め設定されているリーン運転領域かどうかを判定
する手段と、リーン運転領域を判断したときに空燃比を
理論空燃比よりも希薄な目標値に設定する手段と、エン
ジンの安定度を検出する手段と、リーン運転時に安定度
検出手段の出力に対応して前記リーン運転領域での設定
空燃比の補正係数を算出する手段と、この補正係数に基
づいて前記リーン運転領域での設定空燃比を補正する手
段と、この補正された設定空燃比に基づいて空燃比制御
を行う手段と、前記補正係数に対する所定のリッチ側リ
ミット値を前記運転条件の検出信号に応じて設定する手
段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値を越える
ときは前記補正係数を前記リッチ側リミット値に制限す
る手段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値に連
続して制限される時間を計測する手段と、この計測時間
が所定値以上になったときハード故障が生じていると判
定する手段と、ハード故障が生じていると判定したとき
はリーン運転を禁止する手段とを設けたので、ハード故
障時にリーン運転領域でのいずれの運転条件でもそのと
きにNOx排出量が限界を越えない最大のリッチ側補正
範囲を使って、設定空燃比をリッチ側に補正することが
できるとともに、エンジンの安定性も確保することがで
きる。
いて予め設定されているリーン運転領域かどうかを判定
する手段と、リーン運転領域を判断したときに空燃比を
理論空燃比よりも希薄な目標値に設定する手段と、エン
ジンの安定度を検出する手段と、リーン運転時に安定度
検出手段の出力に対応して前記リーン運転領域での設定
空燃比の補正係数を算出する手段と、この補正係数に基
づいて前記リーン運転領域での設定空燃比を補正する手
段と、この補正された設定空燃比に基づいて空燃比制御
を行う手段と、前記補正係数に対する所定のリッチ側リ
ミット値を前記運転条件の検出信号に応じて設定する手
段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値を越える
ときは前記補正係数を前記リッチ側リミット値に制限す
る手段と、前記補正係数が前記リッチ側リミット値に連
続して制限される時間を計測する手段と、この計測時間
が所定値以上になったときハード故障が生じていると判
定する手段と、ハード故障が生じていると判定したとき
はリーン運転を禁止する手段とを設けたので、ハード故
障時にリーン運転領域でのいずれの運転条件でもそのと
きにNOx排出量が限界を越えない最大のリッチ側補正
範囲を使って、設定空燃比をリッチ側に補正することが
できるとともに、エンジンの安定性も確保することがで
きる。
【0100】第3の発明は、第2の発明において、前記
リーン運転禁止手段が、ハード故障と判断したときフラ
グをセットする手段と、このフラグがリセットされるま
でリーン運転を禁止する手段とからなるので、リーン運
転と理論空燃比での運転とを繰り返す、いわゆるハンチ
ングが生じることを避けることができる。
リーン運転禁止手段が、ハード故障と判断したときフラ
グをセットする手段と、このフラグがリセットされるま
でリーン運転を禁止する手段とからなるので、リーン運
転と理論空燃比での運転とを繰り返す、いわゆるハンチ
ングが生じることを避けることができる。
【図1】本発明の実施例を示す構成図である。
【図2】180度ジョブの流れ図である。
【図3】回転変動の算出を説明するための流れ図であ
る。
る。
【図4】フィードバック制御条件の判定を説明するため
の流れ図である。
の流れ図である。
【図5】安定化燃空比補正係数Lldmlの算出を説明
するための流れ図である。
するための流れ図である。
【図6】10msecジョブの流れ図である。
【図7】バックグラウンドジョブの流れ図である。
【図8】リーン条件の判定を説明するための流れ図であ
る。
る。
【図9】リーンマップの内容を示す特性図である。
【図10】非リーンマップの内容を示す特性図である。
【図11】フィードバック制御を行う領域と禁止する領
域とをともに示す領域図である。
域とをともに示す領域図である。
【図12】所定のサンプル数Lのテーブル内容を示す特
性図である。
性図である。
【図13】安定化燃空比補正係数Lldmlの更新量D
lldmlのテーブル内容を示す特性図である。
lldmlのテーブル内容を示す特性図である。
【図14】空燃比とNOx排出量、安定度の関係を示す
特性図である。
特性図である。
【図15】第1の発明の構成図(クレーム対応図)であ
る。
る。
【図16】第2の発明の構成図(クレーム対応図)であ
る。
る。
1 エンジン本体 2 コントロールユニット 3 酸素センサ 4 クランク角センサ 6 エアフローメータ 7 燃料噴射弁 51 リーン運転領域判定手段 52 空燃比目標値設定手段 53 安定度検出手段 54 補正係数算出手段 55 設定空燃比補正手段 56 空燃比制御手段 57 リッチ側リミット値設定手段 58 制限手段 59 計測手段 60 故障判定手段 61 リーン運転禁止手段
Claims (3)
- 【請求項1】運転条件の検出信号に基づいて予め設定さ
れているリーン運転領域かどうかを判定する手段と、 リーン運転領域を判断したときに空燃比を理論空燃比よ
りも希薄な目標値に設定する手段と、 エンジンの安定度を検出する手段と、 リーン運転時に安定度検出手段の出力に対応して前記リ
ーン運転領域での設定空燃比の補正係数を算出する手段
と、 この補正係数に基づいて前記リーン運転領域での設定空
燃比を補正する手段と、 この補正された設定空燃比に基づいて空燃比制御を行う
手段と、 前記補正係数に対する所定のリッチ側リミット値を前記
運転条件の検出信号に応じて設定する手段と、 前記補正係数が前記リッチ側リミット値を越えるときは
前記補正係数を前記リッチ側リミット値に制限する手段
と、 前記補正係数が前記リッチ側リミット値に連続して制限
される時間を計測する手段と、 この計測時間が所定時間以上になったときハード故障が
生じていると判定する手段とを設けたことを特徴とする
エンジンの空燃比制御装置の故障診断装置。 - 【請求項2】運転条件の検出信号に基づいて予め設定さ
れているリーン運転領域かどうかを判定する手段と、 リーン運転領域を判断したときに空燃比を理論空燃比よ
りも希薄な目標値に設定する手段と、 エンジンの安定度を検出する手段と、 リーン運転時に安定度検出手段の出力に対応して前記リ
ーン運転領域での設定空燃比の補正係数を算出する手段
と、 この補正係数に基づいて前記リーン運転領域での設定空
燃比を補正する手段と、 この補正された設定空燃比に基づいて空燃比制御を行う
手段と、 前記補正係数に対する所定のリッチ側リミット値を前記
運転条件の検出信号に応じて設定する手段と、 前記補正係数が前記リッチ側リミット値を越えるときは
前記補正係数を前記リッチ側リミット値に制限する手段
と、 前記補正係数が前記リッチ側リミット値に連続して制限
される時間を計測する手段と、 この計測時間が所定値以上になったときハード故障が生
じていると判定する手段と、 ハード故障が生じていると判定したときはリーン運転を
禁止する手段とを設けたことを特徴とするエンジンの空
燃比制御装置。 - 【請求項3】前記リーン運転禁止手段は、ハード故障と
判断したときフラグをセットする手段と、このフラグが
リセットされるまでリーン運転を禁止する手段とからな
ることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの空燃比
制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32617094A JP3319191B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | エンジンの空燃比制御装置およびその故障診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32617094A JP3319191B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | エンジンの空燃比制御装置およびその故障診断装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08177574A true JPH08177574A (ja) | 1996-07-09 |
JP3319191B2 JP3319191B2 (ja) | 2002-08-26 |
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ID=18184834
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32617094A Expired - Fee Related JP3319191B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | エンジンの空燃比制御装置およびその故障診断装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3319191B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5954028A (en) * | 1996-08-08 | 1999-09-21 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Air-fuel ratio control system for internal combustion engines |
US6672284B2 (en) | 2000-10-18 | 2004-01-06 | Denso Corporation | Fuel supply amount control apparatus for internal combustion engine |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP32617094A patent/JP3319191B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5954028A (en) * | 1996-08-08 | 1999-09-21 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Air-fuel ratio control system for internal combustion engines |
US6672284B2 (en) | 2000-10-18 | 2004-01-06 | Denso Corporation | Fuel supply amount control apparatus for internal combustion engine |
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Publication number | Publication date |
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JP3319191B2 (ja) | 2002-08-26 |
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