JP4258733B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の排気通路に配置された排出ガスセンサの出力に基づいて空燃比制御を行う内燃機関の空燃比制御装置に関するものである。
近年、内燃機関を搭載した車両では、排出ガス浄化用の触媒の上流側に排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ(空燃比センサ、酸素センサ等)を設置し、この排出ガスセンサの出力に基づいて空燃比をF/B(フィードバック)制御して触媒の排出ガス浄化効率を高めるようにしたものがある。
一般的な空燃比F/B制御は、例えば、酸素センサの出力を判定値と比較して排出ガスの空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)よりもリッチかリーンかを判定し、排出ガスの空燃比がリッチのときには空燃比F/B補正量を所定積分量ずつリーン方向に補正して空燃比がリッチからリーンに反転した時点で空燃比F/B補正量を所定スキップ量だけリッチ方向に補正し、その後、排出ガスの空燃比がリーンのときには空燃比F/B補正量を所定積分量ずつリッチ方向に補正して空燃比がリーンからリッチに反転した時点で空燃比F/B補正量を所定スキップ量だけリーン方向に補正する処理を繰り返すPI制御を行うことで、排出ガスの空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)付近に制御するようにしている。
このようなPI制御を用いた空燃比F/B制御においては、特許文献1(特開平2−95744号公報)に記載されているように、内燃機関の運転状態の変化に伴って実空燃比が変化する過渡時に、積分量を大きくして空燃比F/B補正量の変化量を大きくすることで、過渡時の空燃比制御の応答性を高めるようにしたものがある。
特開平2−95744号公報(第7頁、第11図等)
ところで、上述したPI制御を用いた空燃比F/B制御では、定常時と過渡時とで積分量を同じ値に設定した場合、例えば、図8に示すように、暖機運転中の減速時に吸入空気量PMの減少に伴って実空燃比A/Fがリッチ方向に大きく変動すると、それに追従して空燃比F/B補正量FAFが積分量ずつリーン方向に変化して、実空燃比A/Fがリーン方向に戻されるが、実空燃比A/Fが目標空燃比(例えば理論空燃比)を越えるまで、空燃比F/B補正量FAFが積分量ずつリーン方向に補正され続けるため、空燃比F/B補正量FAFがリーン方向に過補正されてしまうことがある(図8では空燃比F/B補正量FAFがリーン方向に過補正されてリーン側ガード値でガード処理された状態を示している)。この空燃比F/B補正量FAFのリーン方向への過補正によって実空燃比A/Fが目標空燃比よりもリーン側へ大きくオーバーシュートしてしまうことがある。
このように、定常時と過渡時とで積分量を同じ値に設定した場合でも、過渡時に空燃比F/B補正量が過補正されて空燃比制御性が悪化してしまうことがあるため、上記特許文献1の技術をそのまま利用して、過渡時に定常時よりも積分量を大きくしたのでは、過渡時の空燃比F/B補正量の過補正が助長されて、空燃比制御性が益々悪化するという悪循環に陥ってしまう可能性がある。また、過渡時の空燃比F/B補正量の過補正を抑えるために、単に過渡時に積分量を小さくするだけでは、過渡時の空燃比制御の応答性が低下してしまうという不具合が発生する。
本発明は、これらの事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、過渡時に空燃比制御の応答性を確保しながら空燃比補正量の過補正を防止することができて、過渡時の空燃比制御性を向上させることができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置は、内燃機関の排気通路に配置された排出ガスセンサの出力が目標値に向かう方向に空燃比補正量を所定の積分量ずつ補正して排出ガスセンサの出力が目標値を越えたときに空燃比補正量をそれまでとは反対方向に所定のスキップ量だけ補正する処理を繰り返すシステムにおいて、所定の過渡状態であるか否かを過渡状態判定手段により判定し、過渡状態であると判定されたときに、過渡補正手段により過渡状態以外のときよりも積分量を小さくしてスキップ量を大きくすることを第1の特徴とし、更に、過渡判定値を機関温度の情報に応じて設定し、吸気管圧力又は吸入空気量とそのなまし値との偏差を前記過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定することを第2の特徴とするものである。
この構成では、過渡状態であると判定されたときに、積分量を小さくするため、過渡時に空燃比補正量が過補正されてしまうことを防止することができる。しかも、スキップ量を大きくするため、積分量を小さくしても、空燃比制御の応答性を確保することができる。これにより、過渡時に空燃比制御の応答性を確保しながら、空燃比補正量の過補正を防止して空燃比の収束性を高めることができ、過渡時の空燃比制御性を向上させることができる。
一般に、吸気ポート噴射式の内燃機関では、燃料噴射弁から噴射した燃料は、その一部が、直接、気筒内に吸入されるが、残りは、吸気ポートの内壁面や吸気バルブの表面に付着した後、徐々に蒸発して気筒内に吸入される。加速時や減速時等の過渡時には、目標空燃比を維持するように吸気管圧力や吸入空気量の変化に応じて燃料噴射量を変化させても、この燃料噴射量の変化に対して、吸気ポートの内壁面等に付着した燃料(いわゆるウエット)の蒸発量が遅れて変化するため、過渡時には、吸気管圧力や吸入空気量の変化(燃料噴射量の変化)に対して、筒内に吸入される燃料量がウエット蒸発量の遅れ分だけ遅れて変化することになる。その結果、過渡時には、筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近に維持されずに変動してしまう。
このような事情を考慮して、請求項のように、吸気管圧力又は吸入空気量とそのなまし値との偏差を所定の過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定するようにすると良い。吸気管圧力や吸入空気量のなまし値は、吸気管圧力や吸入空気量の変化に対して遅れて変化するウエット蒸発量を反映した情報となるため、吸気管圧力又は吸入空気量とそのなまし値との偏差は、ウエット蒸発量の遅れの情報となる。上述したように、加速時や減速時等の過渡時には、ウエット蒸発量の遅れによって筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近に維持されずに変動するため、吸気管圧力又は吸入空気量とそのなまし値との偏差(ウエット蒸発量の遅れの情報)を過渡判定値と比較することで、筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近からずれて変動する過渡状態であるか否かを精度良く判定することができる。
また、加速時や減速時等の過渡時にウエット蒸発量の遅れを考慮して燃料噴射量を補正するシステムでは、燃料噴射量の過渡補正量がウエット蒸発量の遅れの情報となるため、請求項のように、燃料噴射量の過渡補正量を所定の過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定するようにしても良い。このようにしても、筒内に吸入される混合気の空燃比が変動する過渡状態であるか否かを精度良く判定することができる。
この場合、機関温度に応じて吸気ポート内や噴射燃料の温度が変化してウエット蒸発量が変化するため、請求項1,2のように、過渡判定値を機関温度の情報に応じて設定するようにすると良い。このようにすれば、機関温度に応じてウエット蒸発量が変化するのに対応して過渡判定値を適正な値に設定することができる。
更に、請求項のように、機関温度の情報として、内燃機関の油温、冷却水温、吸気温、変速装置の油温のうちの少なくとも1つを用いるようにしても良い。内燃機関の油温、冷却水温、吸気温、変速装置の油温は、いずれも機関温度を精度良く反映したパラメータとなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を2つの実施例1,2を用いて説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図6に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、DCモータ等のモータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23(排気通路)には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒24が設けられ、この触媒24の上流側と下流側に、それぞれ排出ガスのリッチ/リーンを検出する酸素センサ25,26(排出ガスセンサ)が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ27や、エンジン11のクランク軸が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ28が取り付けられている。このクランク角センサ28の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)29に入力される。このECU29は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御する。
また、ECU29は、図2乃至図5に示す空燃比F/B(フィードバック)制御用の各プログラムを実行することで、上流側の酸素センサ25の出力電圧をリッチ/リーン判定電圧(目標値)と比較して排出ガスの空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)よりもリッチかリーンかを判定し、排出ガスの空燃比がリッチのときには空燃比F/B補正量FAFを積分量KIずつリーン方向に補正して空燃比がリッチからリーンに反転した時点で空燃比F/B補正量FAFをスキップ量KPだけリッチ方向に補正し、その後、排出ガスの空燃比がリーンのときには空燃比F/B補正量FAFを積分量KIずつリッチ方向に補正して空燃比がリーンからリッチに反転した時点で空燃比F/B補正量FAFをスキップKP量だけリーン方向に補正する処理を繰り返すPI制御を行うことで、排出ガスの空燃比を目標空燃比(例えば理論空燃比)付近に制御する。
その際、吸気管圧力センサ19で検出した吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPMを所定の過渡判定値と比較して、筒内に吸入される混合気の空燃比が変動する過渡状態であるか否かを判定し、過渡状態であると判定されたときに、過渡状態以外のとき(つまり定常状態)よりも積分量KIを小さくしてスキップ量KPを大きくすることで、過渡時に空燃比制御の応答性を確保しながら、空燃比F/B補正量FAFの過補正を防止して空燃比の収束性を高めるようにしている。
ここで、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPMを過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定する理由を説明する。
吸気管圧力PMのなまし値PMSMは、吸気管圧力PMの変化(燃料噴射量の変化)に対して遅れて変化するウエット蒸発量(吸気ポートの内壁面等に付着した燃料の蒸発量)を反映した情報となるため、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPMは、ウエット蒸発量の遅れの情報となる。前述したように、加速時や減速時等の過渡時には、ウエット蒸発量の遅れによって筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近に維持されずに変動するため、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPM(ウエット蒸発量の遅れの情報)を過渡判定値と比較することで、筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近からずれて変動する過渡状態であるか否かを精度良く判定することができる。
以下、ECU28が実行する図2乃至図5に示す空燃比F/B制御用の各プログラムの処理内容を説明する。
[空燃比メイン制御]
図2に示す空燃比メイン制御プログラムは、エンジン運転中に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、後述する図3の過渡状態判定プログラムを実行することで、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPMを過渡判定値と比較して、筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近からずれて変動する過渡状態であるか否かを判定する。
この後、ステップ102に進み、後述する図4のスキップ量・積分量算出プログラムを実行することで、過渡状態のときには、定常状態のときよりも積分量KIを小さくしてスキップ量KPを大きくする。
この後、ステップ103に進み、後述する図5の空燃比F/B補正量算出プログラムを実行することで、上流側の酸素センサ25の出力電圧をリッチ/リーン判定電圧と比較して排出ガスの空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)よりもリッチかリーンかを判定し、排出ガスの空燃比がリッチのときには空燃比F/B補正量FAFを積分量KIずつリーン方向に補正して空燃比がリッチからリーンに反転した時点で空燃比F/B補正量FAFをスキップ量KPだけリッチ方向に補正し、その後、排出ガスの空燃比がリーンのときには空燃比F/B補正量FAFを積分量KIずつリッチ方向に補正して空燃比がリーンからリッチに反転した時点で空燃比F/B補正量FAFをスキップKP量だけリーン方向に補正する処理を繰り返すPI制御を行う。
[過渡状態判定]
図3に示す過渡状態判定プログラムは、図2の空燃比メイン制御プログラムのステップ101で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう過渡状態判定手段としての役割を果たす。
本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、吸気管圧力センサ19で検出した現在の吸気管圧力PMをなまし処理して、吸気管圧力なまし値PMSMを求める。
PMSM(n) =PMSM(n-1) ×(1−K)+PM×K
ここで、PMSM(n) は今回の吸気管圧力なまし値、PMSM(n-1) は前回の吸気管圧力なまし値、Kはなまし係数である。
この後、ステップ202に進み、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMを算出する。
DPM=PM−PMSM
この後、ステップ203に進み、加速時過渡判定値DPMAのテーブルを用いて、冷却水温センサ27で検出した現在の冷却水温に応じた加速時過渡判定値DPMAを求めた後、ステップ204に進み、減速時過渡判定値DPMDのテーブル用いて、現在の冷却水温に応じた減速時過渡判定値DPMDを求める。
この後、ステップ205に進み、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMが加速時過渡判定値DPMAよりも大きいか否かを判定する。その結果、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMが加速時過渡判定値DPMAよりも大きいと判定された場合には、ステップ207に進み、過渡状態判定フラグTRANSを加速時の過渡状態であることを意味する「1」にセットする。
一方、上記ステップ205で、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMが加速時過渡判定値DPMA以下であると判定された場合には、ステップ206に進み、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMが減速時過渡判定値DPMDよりも小さいか否かを判定する。その結果、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMが減速時過渡判定値DPMDよりも小さいと判定された場合には、ステップ208に進み、過渡状態判定フラグTRANSを減速時の過渡状態であることを意味する「3」にセットする。
また、上記ステップ205で吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMが加速時過渡判定値DPMA以下であると判定され、且つ、上記ステップ206で吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMが減速時過渡判定値DPMD以上である(DPMD≦DPM≦DPMA)と判定された場合には、ステップ209に進み、過渡状態判定フラグTRANSを定常状態であることを意味する「2」にセットする。
[スキップ量・積分量算出]
図4に示すスキップ量・積分量算出プログラムは、図2の空燃比メイン制御プログラムのステップ102で実行されるサブルーチンである。本プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、上流側の酸素センサ25の出力電圧がリッチ/リーン判定電圧よりも高いか否かによって排出ガスの空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)よりもリッチであるか否かを判定する。
その結果、排出ガスの空燃比がリッチであると判定された場合には、ステップ302に進み、リッチ時のスキップ量KPRのテーブルを用いて、過渡状態判定フラグTRANSに応じたスキップ量KPRを求める。このリッチ時のスキップ量KPRのテーブルは、過渡状態判定フラグTRANS=2(定常状態)のときよりもTRANS=1(加速時の過渡状態)やTRANS=3(減速時の過渡状態)のときの方が、スキップ量KPRが大きくなるように設定されている。
この後、ステップ303に進み、リッチ時の積分量KIRのテーブルを用いて、過渡状態判定フラグTRANSに応じた積分量KIRを求める。このリッチ時の積分量KIRのテーブルは、過渡状態判定フラグTRANS=2(定常状態)のときよりもTRANS=1(加速時の過渡状態)やTRANS=3(減速時の過渡状態)のときの方が、積分量KIRが小さくなるように設定されている。
一方、上記ステップ301で、排出ガスの空燃比がリーンであると判定された場合には、ステップ304に進み、リーン時のスキップ量KPLのテーブルを用いて、過渡状態判定フラグTRANSに応じたスキップ量KPLを求める。このリーン時のスキップ量KPLのテーブルは、過渡状態判定フラグTRANS=2(定常状態)のときよりもTRANS=1(加速時の過渡状態)やTRANS=3(減速時の過渡状態)のときの方が、スキップ量KPLが大きくなるように設定されている。
この後、ステップ305に進み、リーン時の積分量KILのテーブルを用いて、過渡状態判定フラグTRANSに応じた積分量KILを求める。このリーン時の積分量KILのテーブルは、過渡状態判定フラグTRANS=2(定常状態)のときよりもTRANS=1(加速時の過渡状態)やTRANS=3(減速時の過渡状態)のときの方が、積分量KILが小さくなるように設定されている。
これらのステップ302〜305の処理が特許請求の範囲でいう過渡時補正手段としての役割を果たす。
[空燃比F/B補正量算出]
図5に示す空燃比F/B補正量算出プログラムは、図2の空燃比メイン制御プログラムのステップ103で実行されるサブルーチンである。本プログラムが起動されると、まず、ステップ401で、前回の上流側の酸素センサ25の出力電圧がリッチ/リーン判定電圧よりも高いか否かによって前回の排出ガスの空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)よりもリッチであるか否かを判定し、前回の排出ガスの空燃比がリッチであると判定された場合には、ステップ402に進み、今回の上流側の酸素センサ25の出力電圧がリッチ/リーン判定電圧よりも高いか否かによって今回の排出ガスの空燃比が目標空燃比よりもリッチであるか否かを判定する。
その結果、上記ステップ401で前回の排出ガスの空燃比がリッチであると判定され、且つ、上記ステップ402で今回の排出ガスの空燃比がリッチであると判定された場合には、ステップ403に進み、空燃比F/B補正量FAFを積分量KIRだけリーン方向に補正する。
FAF(n) =FAF(n-1) −KIR
その後、上記ステップ402で、今回の排出ガスの空燃比がリーンであると判定された時点、つまり、排出ガスの空燃比がリッチからリーンに反転した時点で、ステップ404に進み、空燃比F/B補正量FAFをスキップ量KPLだけリッチ方向に補正する。
FAF(n) =FAF(n-1) +KPL
一方、上記ステップ401で、前回の排出ガスの空燃比がリーンであると判定された場合には、ステップ405に進み、今回の上流側の酸素センサ25の出力電圧がリッチ/リーン判定電圧よりも高いか否かによって今回の排出ガスの空燃比が目標空燃比よりもリッチであるか否かを判定する。
その結果、上記ステップ401で前回の排出ガスの空燃比がリーンであると判定され、且つ、上記ステップ405で今回の排出ガスの空燃比がリーンであると判定された場合には、ステップ406に進み、空燃比F/B補正量FAFを積分量KILだけリッチ方向に補正する。
FAF(n) =FAF(n-1) +KIL
その後、上記ステップ405で、今回の排出ガスの空燃比がリッチであると判定された時点、つまり、排出ガスの空燃比がリーンからリッチに反転した時点で、ステップ407に進み、空燃比F/B補正量FAFをスキップ量KPRだけリーン方向に補正する。
FAF(n) =FAF(n-1) −KPR
以上説明した本実施例1の空燃比制御の実行例を図6を用いて説明する。例えば、図6に示すように、暖機運転中の減速時に吸入空気量PMの減少に伴って実空燃比A/Fがリッチ方向に大きく変動すると、それに追従して空燃比F/B補正量FAFが所定の制御周期で積分量KIずつリーン方向に変化して、実空燃比A/Fがリーン方向に戻される。
この場合、本実施例1では、過渡状態判定フラグTRANS=3、つまり、減速時の過渡状態であると判定されている期間中は、定常状態よりも積分量KIを小さくするため、空燃比F/B補正量FAFがリーン方向に過補正されてしまうことを防止することができる。これにより、実空燃比A/Fが目標空燃比よりもリーン側へオーバーシュートする量を低減することができ、空燃比の収束性を高めることができる。しかも、減速時の過渡状態であると判定されている期間中は、定常状態よりもスキップ量KPを大きくするため、積分量KIを小さくしても、空燃比制御の応答性を確保することができる。
前述したように、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPMは、ウエット蒸発量の遅れの情報となり、加速時や減速時等の過渡時には、ウエット蒸発量の遅れによって筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近に維持されずに変動する。これらの点に着目して、本実施例1では、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPM(ウエット蒸発量の遅れの情報)を過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定するようにしたので、筒内に吸入される混合気の空燃比が目標空燃比付近からずれて変動する過渡状態であるか否かを精度良く判定することができる。
更に、エンジン温度に応じて吸気ポート内や噴射燃料の温度が変化してウエット蒸発量が変化することを考慮して、本実施例1では、エンジン温度の代用情報である冷却水温に応じて加速時過渡判定値DPMAや減速時過渡判定値DPMDを設定するようにしたので、エンジン温度に応じてウエット蒸発量が変化するのに対応して加速時過渡判定値DPMAや減速時過渡判定値DPMDを適正な値に設定することができる。
次に、図7を用いて本発明の実施例2を説明する。
前記実施例1では、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPM(ウエット蒸発量の遅れの情報)を過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定するようにしたが、過渡時にウエット蒸発量の遅れを考慮して燃料噴射量を補正するシステムでは、燃料噴射量の過渡補正量がウエット蒸発量の遅れの情報となることに着目して、本実施例2では、燃料噴射量の過渡補正量を過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定するようにしている。
以下、本実施例2で実行する図7の過渡状態判定プログラムの処理内容を説明する。本プログラムが起動されると、まず、ステップ501で、吸気管圧力PMをなまし処理して吸気管圧力なまし値PMSMを求めた後、ステップ502に進み、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPMを算出する。
この後、ステップ503に進み、吸気管圧力PMと吸気管圧力なまし値PMSMとの偏差DPM(ウエット蒸発量の遅れの情報)に係数Kを乗算して燃料噴射量の過渡補正量FAEWを求める。
FAEW=DPM×K
この後、ステップ504に進み、現在の冷却水温に応じた加速時過渡判定値DPMAをテーブル等により求めた後、ステップ505に進み、現在の冷却水温に応じた減速時過渡判定値DPMDをテーブル等により求める。
この後、ステップ506に進み、燃料噴射量の過渡補正量FAEWが加速時過渡判定値DPMAよりも大きいか否かを判定する。その結果、燃料噴射量の過渡補正量FAEWが加速時過渡判定値DPMAよりも大きいと判定された場合には、ステップ508に進み、過渡状態判定フラグTRANSを加速時の過渡状態であることを意味する「1」にセットする。
一方、上記ステップ506で、燃料噴射量の過渡補正量FAEWが加速時過渡判定値DPMA以下であると判定された場合には、ステップ507に進み、燃料噴射量の過渡補正量FAEWが減速時過渡判定値DPMDよりも小さいか否かを判定する。その結果、燃料噴射量の過渡補正量FAEWが減速時過渡判定値DPMDよりも小さいと判定された場合には、ステップ509に進み、過渡状態判定フラグTRANSを減速時の過渡状態であることを意味する「3」にセットする。
また、上記ステップ506で燃料噴射量の過渡補正量FAEWが加速時過渡判定値DPMA以下であると判定され、且つ、上記ステップ507で燃料噴射量の過渡補正量FAEWが減速時過渡判定値DPMD以上である(DPMD≦FAEW≦DPMA)と判定された場合には、ステップ510に進み、過渡状態判定フラグTRANSを定常状態であることを意味する「2」にセットする。
以上説明した本実施例2においても、筒内に吸入される混合気の空燃比が変動する過渡状態であるか否かを精度良く判定することができる。
尚、上記各実施例1,2では、吸気管圧力PMとそのなまし値PMSMとの偏差DPMをウエット蒸発量の遅れの情報として用いたが、吸入空気量とそのなまし値との偏差をウエット蒸発量の遅れの情報として用いるようにしても良い。
また、上記各実施例1,2では、エンジン温度の代用情報として、冷却水温を用いたが、エンジン11の油温、吸気温度、自動変速装置の油温をエンジン温度の代用情報として用いるようにしても良い。
また、上記各実施例1,2では、排出ガスのリッチ/リーンを検出する酸素センサ25の出力に基づいてPI制御を行う空燃比制御システムに本発明を適用した実施例を説明したが、排出ガスの空燃比をリニアに検出する空燃比センサの出力に基づいてPI制御を行う空燃比制御システムに本発明を適用しても良い。
本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 空燃比メイン制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の過渡状態判定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 スキップ量・積分量算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 空燃比F/B補正量算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の空燃比制御の実行例を示すタイムチャートである。 実施例2の過渡状態判定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 比較例の空燃比制御の実行例を示すタイムチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、19…吸気管圧力センサ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管(排気通路)、25,26…酸素センサ(排出ガスセンサ)、27…冷却水温センサ、29…ECU(過渡状態判定手段,過渡時補正手段)

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配置された排出ガスセンサの出力が目標値に向かう方向に空燃比補正量を所定の積分量ずつ補正して前記排出ガスセンサの出力が前記目標値を越えたときに前記空燃比補正量をそれまでとは反対方向に所定のスキップ量だけ補正する処理を繰り返す内燃機関の空燃比制御装置において、
    所定の過渡状態であるか否かを判定する過渡状態判定手段と、
    前記過渡状態であると判定されたときに、該過渡状態以外のときよりも前記積分量を小さくして前記スキップ量を大きくする過渡時補正手段とを備え
    前記過渡状態判定手段は、過渡判定値を機関温度の情報に応じて設定し、吸気管圧力又は吸入空気量とそのなまし値との偏差を前記過渡判定値と比較して前記過渡状態であるか否かを判定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に配置された排出ガスセンサの出力が目標値に向かう方向に空燃比補正量を所定の積分量ずつ補正して前記排出ガスセンサの出力が前記目標値を越えたときに前記空燃比補正量をそれまでとは反対方向に所定のスキップ量だけ補正する処理を繰り返す内燃機関の空燃比制御装置において、
    所定の過渡状態であるか否かを判定する過渡状態判定手段と、
    前記過渡状態であると判定されたときに、該過渡状態以外のときよりも前記積分量を小さくして前記スキップ量を大きくする過渡時補正手段とを備え、
    前記過渡状態判定手段は、過渡判定値を機関温度の情報に応じて設定し、燃料噴射量の過渡補正量を前記過渡判定値と比較して過渡状態であるか否かを判定することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記過渡状態判定手段は、前記機関温度の情報として、内燃機関の油温、冷却水温、吸気温、変速装置の油温のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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