JPH08176868A

JPH08176868A - 酸洗槽

Info

Publication number: JPH08176868A
Application number: JP32321294A
Authority: JP
Inventors: Akiyuki Iwatani; 明之岩谷
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1994-12-26
Filing date: 1994-12-26
Publication date: 1996-07-09

Abstract

(57)【要約】【目的】簡単な構造によって酸洗効率を向上させること
を目的としている。【構成】槽本体１の上部に槽カバー２が設置されてい
る。その各槽カバー２に対してフロート３が吊り下げら
れている。酸浴内の鋼帯１０の搬送路は、カテナリー曲
線に沿って設定される。その搬送路の上側及び下側に対
して、円筒体形状の複数の障害物１１，１２が、該搬送
路に沿って所定間隔をあけて配設されている。上記各障
害物１１，１２は、その延在方向を上記搬送路に直交す
る方向に向けて水平に配置される。また、各障害物１
１，１２の表面には、それぞれ耐酸ゴムライニングが被
着している。上側の障害物１２は上記フロート３に支持
され、下側の障害物１１は槽本体１に支持されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、走行する鋼帯を連続的
に酸浴中へ浸漬し、鋼帯表面の酸化物を溶解除去する連
続式の酸洗槽に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】走行する鋼帯を連続的に酸洗する酸洗槽
としては、例えば、水平カテナリー式酸洗槽が知られて
いる。この酸洗槽は、図３に示すように、酸洗槽本体３
０内に酸洗液３１が収納され、また、槽本体３０の入口
側には、入口側ヘルパーロール３２及び入口側シンクロ
ール３３が配置され、且つ、該槽本体３０の出口側に
は、出口側ヘルパーロール３４及び出口側シンクロール
３５が配置されている。なお、図３中、３６は絞りロー
ルを、３７は次工程の水洗槽をそれぞれ示している。

【０００３】そして、上記構成の酸洗槽では、酸洗槽に
搬送された鋼帯３８が、入口側のヘルパーロール３２及
びシンクロール３３に案内されて酸浴中に漬かり、酸浴
中を所定の搬送路に沿って走行することで鋼帯３８表面
の酸化物が溶融除去される。続いて、該鋼帯３８は、出
口側のシンクロール３４及びヘルパーロール３５を通過
して酸浴から出て、絞りロール３６を介して順次、水洗
槽３７に送られる。

【０００４】なお、上記酸浴内に位置する鋼帯３８部分
は、入口側及び出口側のロール３２〜３５によって支持
されるだけであるので、カテナリー形状を成している。
このため、酸浴中の鋼帯３８の搬送路はカテナリー曲線
に沿って設定される。さらに、酸洗槽での酸洗効率を向
上させるために、従来、例えば、特開昭６２−０７９８
７８号公報に記載されているような手段が取られてい
た。

【０００５】これは、酸洗槽に対して該酸洗槽の入口側
から出口側に延びる箱型フレームを配置して、該箱型フ
レーム内に鋼帯の搬送路を設定すると共に、その箱型フ
レームに対して酸洗液を噴出するノズル等を備えた噴出
手段を設けて構成される。そして、該箱型フレームで酸
浴内の鋼帯の走行を拘束しつつ、該箱型フレーム内を通
過する鋼帯部分に対して酸洗液を噴出する。これによっ
て、鋼帯表面に接触する酸洗液の入替えを実施して、酸
洗効率の向上を図っている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような酸洗効率を向上させる手段を備えた酸洗槽では、
酸浴中の鋼帯の移動を規制するような構造をもつ箱型フ
レームを必要とすると共に、酸洗液を噴出するためのノ
ズルや酸タンク等を必要とするために、構造が複雑化し
てメンテナンス性を損なうという問題がある。

【０００７】また、新たに酸洗槽を新設する場合や既存
の酸洗槽を改造する場合に、上記従来構造では、大幅な
投資を必要としランニングコストが増大するという問題
がある。また、一般に使用されるカテナリー式酸洗槽へ
の適用が困難である。本発明は、上記のような問題点に
着目してなされたもので、簡単な構造によって酸洗効率
を向上させることを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の酸洗槽は、走行する鋼帯を連続して浸漬す
る連続式の酸洗槽において、複数の障害物を、上記鋼帯
の酸浴内での搬送路の上側位置若しくは下側位置の少な
くとも一方に、走行する鋼帯表面との間に所定の間隙を
確保した状態で上記搬送路に沿って配置することを特徴
としている。

【０００９】このとき、請求項２に記載したように、上
記障害物の断面形状を多角形状とすることを特徴とす
る。さらに、請求項３に記載したように、上記搬送路の
上側に配置する障害物を、酸洗槽上部を覆う槽カバー、
若しくは槽カバーから吊り下げられるフロートに支持さ
せることを特徴とする。

【００１０】

【作用】鋼帯は、槽内の酸洗液に浸漬された状態で走行
する際に、表面に生成されていた酸化物（スケール）が
酸洗液に接触することで除去される。上記鋼帯が酸浴内
の搬送路に沿って走行するとき、そのままでは、鋼帯の
移動に伴って該鋼帯表面に層状の随伴流が形成されて該
表面の酸洗液の入替えが低下し、酸洗効率が低下する。

【００１１】しかし、本願発明では、移動する鋼帯の近
傍に障害物を配設することで、上記随伴流や酸浴内に形
成される浴循環流が上記障害物に衝突し、鋼帯近傍に渦
流や乱流が発生する。上記発生した渦流や乱流は、走行
中の鋼帯表面に発達した随伴流を乱し該随伴流は鋼帯表
面から剥離する。これによって、鋼帯表面に接触する酸
洗液の入替えや鋼帯表面に発生した水素気泡を引き離
し、もって酸洗の効率が向上する。

【００１２】また、上記障害物は、走行する鋼帯表面に
接触しないので、該鋼帯の搬送路を規制することなく、
また、該障害物によって酸浴中の鋼帯表面に傷を付ける
ようなことはない。また、例えば、水平カテナリー式の
酸洗槽を考えた場合、酸浴中の鋼帯の搬送路は、該鋼帯
が入口側及び出口側のロールによって吊り下げられるこ
とでカテナリー曲線を描く。このため、鋼帯の張力を調
整する等によって、鋼帯の搬送路は特定可能である。従
って、該鋼帯表面に障害物を接近させて設定することは
可能である。

【００１３】また、請求項２に記載した発明では、障害
物の断面形状を多角形状とすることで障害物外周に角部
が形成されて、上記渦流や乱流が発生し易くなる。この
ため、上記酸洗効率がさらに向上する。さらに、請求項
３に記載した発明では、既存の槽カバー等に対して上側
の障害物が支持されるため、酸洗槽本体に対して上側の
障害物を取り付けるための改造を必要としない。また、
槽カバーを外すことで、上側の障害物も槽本体から退避
されるので、槽内の清掃作業や板通し作業が容易に実施
可能となる。

【００１４】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図１は、酸洗槽の概略側面図であり、図２は、図１のＡ
−Ａ線断面図である。また、本実施例は、水平カテナリ
ー式連続酸洗槽に適用した一例である。まず構成を説明
すると、図１及び図２に示すように、槽本体１内に酸洗
液５が収納され、その槽本体１の上部を覆うようにし
て、槽カバー２が着脱可能に設置されている。その槽カ
バー２は長手方向に沿って分割されている共に、その各
槽カバー２に対してフロート３が吊り下げられている。
そのフロート３は、槽カバー２に設置されたシリンダ装
置４によって昇降可能となっている。なお、上記槽本体
１の内壁１ａは、耐酸レンガでライニングされている。
また、上記フロート３は、上記槽本体１内の酸洗液５が
蒸発することを防止している。

【００１５】また、槽本体１における入口側には、入口
側のヘルパーロール６及びシンクロール７が配設され、
出口側には、出口側のシンクロール８及びヘルパーロー
ル９が配設される。そして、走行する鋼帯１０は、上記
入口側のロール６，７と出口側のロール８，９との間に
懸垂されてカテナリー形状を成しつつ連続的に浸漬され
るようになっている。このため、酸浴内の鋼帯１０の搬
送路は、カテナリー曲線に沿って設定される。

【００１６】その搬送路の上側位置及び下側位置に対し
て、円筒体形状の複数の障害物１１，１２が、相互に所
定間隔をあけた状態で該搬送路に沿って配設されてい
る。上記各障害物１１，１２は、その延在方向を上記搬
送路に直交する方向に向けて水平に配置される。また、
各障害物１１，１２の表面には、それぞれ耐酸ゴムライ
ニングが被着している。

【００１７】上記搬送路の下側に配設される障害物１１
は、その端部を、図２に示すように、槽本体１の内壁１
ａに嵌合支持される。即ち、該内壁１ａには、上記下側
の障害物１１の端部を嵌合可能な複数の凹部１３が、相
互に所定間隔をあけた状態で該搬送路に沿って形成され
ている。上記各凹部１３は、槽本体１の上端部から下方
に延びる溝によってそれぞれ形成されて、槽本体１の上
側から、障害物１１の端部が着脱可能に嵌合可能となっ
ている。

【００１８】また、上記搬送路の上側に配置される障害
物１２は、上記各フロート３から吊り下げられて支持さ
れている。これによって、上記シリンダ装置４を操作す
ることで、上側の障害物１２の位置は昇降し、上下に対
向する鋼帯１０の表面との間隙を自由に選択可能となっ
ている。次に、上記酸洗槽を使用した鋼帯１０の酸洗に
ついて説明する。

【００１９】搬送される鋼帯１０は、入口側のロール
６，７によって酸浴内に案内され、そのまま、上下で対
向する障害物１１，１２の間に設定されるカテナリー曲
線状の搬送路に沿って酸浴内を走行し、続いて、出口側
のロール８，９を介して絞りロール１４、水洗槽１５に
送られる。上記酸浴中を移動する鋼帯１０部分は、その
表面に層状の随伴流が形成されるが、上記鋼帯１０の移
動によって生じる浴循環流が上記障害物１１，１２に衝
突することで、渦流や乱流が発生する。この渦流や乱流
によって上記随伴流が乱され、該随伴流が鋼帯１０表面
から剥離する。これによって、鋼帯１０の表面に接触す
る酸洗液５が入れ替わると共に鋼帯１０の表面に発生し
ている水素気泡がかき取られ、酸洗が効果的に実施され
る。

【００２０】このとき、障害物１１，１２は、酸浴中を
走行する鋼帯１０に接触しないので、該鋼帯１０の表面
に傷を付けるおそれはない。なお、上記カテナリー形状
の搬送路は、入口側のロール６，７と出口側のロール
８，９との間の鋼帯１０の張力によって特定可能である
ので、張力計等によって酸浴中の鋼帯１０の張力制御精
度を向上させて、鋼帯１０と障害物１１，１２との接触
を確実に防止するようにするとよい。

【００２１】また、上記実施例では、障害物１１，１２
として断面円形である障害物１１，１２を使用している
が断面三角形状や四角形状など、断面多角形状の棒体を
障害物として採用してもよいし、該棒体の表面に突起物
を設けたりしてもよい。また、板状の障害物を採用して
も構わない。上記断面多角形状の障害物を採用した場合
には、該障害物の外周面に角部が形成されて、上記渦流
や乱流が上記実施例よりもさらに発生し易くなり、上記
酸洗効率が向上する。

【００２２】また、上記実施例の酸洗槽構造では、操業
開始時の板通し作業をする際や槽内の清掃作業の際に
は、シリンダ装置４を操作させて上側の障害物１２を上
側に退避させておいたり、槽カバー２ごと、一旦，他に
退避させてから上記作業が実施可能であるので、上記の
ように酸洗効率を向上させる構造を採用しても、該板通
し作業や清掃作業の作業性をあまり悪化させることはな
い。

【００２３】また、上記実施例では、上側の障害物１２
をフロート３に支持させているが、槽カバー２に直接、
昇降可能に支持させるようにしてもよい。また、上記実
施例では、鋼帯１０の搬送路の上側と下側との両側に障
害物１１，１２を配設しているが、一方の側のみに配設
してもよい。また、上記実施例では、水平カテナリー式
の酸洗槽に適用した例で説明しているが、他の構造の酸
洗槽に適用してもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の酸洗
槽は、簡単な手段によって鋼帯の酸洗効果を向上させる
ことができるという効果がある。また、簡単な構造であ
るので、既設の設備に小さな投資で設けることができ
る。

【００２５】このとき、請求項３に記載した構成を採用
すると、鋼帯の搬送路の上側に配置される障害物が簡単
に退避可能となるので、槽内の清掃作業や板通し作業が
比較的容易に実施可能となるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施例の酸洗槽を示す概略側面図
である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図３】従来の酸洗槽を示す概略側面図である。

【符号の説明】

１槽本体２槽カバー３フロート５酸洗液１０鋼帯１１，１２障害物

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】走行する鋼帯を連続して浸漬する連続式
の酸洗槽において、複数の障害物を、上記鋼帯の酸浴内
での搬送路の上側位置若しくは下側位置の少なくとも一
方に、走行する鋼帯表面との間に所定の間隙を確保した
状態で上記搬送路に沿って配置することを特徴とする酸
洗槽。
【請求項２】上記障害物の断面形状を多角形状とする
ことを特徴とする請求項１に記載した酸洗槽。
【請求項３】上記搬送路の上側に配置する障害物を、
酸洗槽上部を覆う槽カバー、若しくは槽カバーから吊り
下げられるフロートに支持させることを特徴とする請求
項１又は請求項２に記載した酸洗槽。