JPH0817623B2 - 玉葱収穫機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は前端掘起し部で掘起された玉葱を搬送手段で
搬送するとともに、搬送具から突出する玉葱の葉茎部を
切断する葉切り装置とを備えている生葱収穫機に関す
る。

〔従来の技術〕

この種の玉葱収穫機において、従来は、葉茎部の切断
を容易にする為に、葉茎部を下向きに垂下させて葉切り
装置を作用させており、その為の構成として、搬送方向
に軸心を一致させた左右一対の回転円筒部材の外周面に
スパイラル状の掻込み突起を設けるとともに、両円筒部
材の抱込み突起で葉茎部を掻込み、葉茎部を両円筒部材
の間隙から垂下させる構成を採っていた（例えば実公昭
52−8674号公報）。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このようなスパイラル状の搬送機構においては、第５
図に示すように、複数個の玉葱（ａ）が連続してこの搬
送機構（44）に投入された場合に、一方の玉葱の葉茎部
（ｂ）か他方の玉葱（ａ）に覆い被さり、両回転円筒部
材（45），（45）のスパイラル突起（45A）の作用がそ
の葉茎部（ｂ）に及ばず、葉茎部（ｂ）が切断されずに
玉葱（ａ）が回収されることがあった。

本発明の目的は葉茎部の切断を行う前の搬送行程に工
夫を凝らすことによって、葉茎部の切断を確実に行える
ものを提供する点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明による特徴構成は、 前端掘起し部で掘起された玉葱を受止めて上方に移
送する持上げ搬送手段を設ける点と、 前記持上げ搬送経路の上部において玉葱を抱込み状
態に保持する開閉自在な一対の搬送具を循環回動させる
回動体に所定ピッチで並設した抱込み搬送手段を設ける
点と、 抱込み搬送経路において前記両搬送具の間から突出
する玉葱の葉茎部を切断する葉切り装置とを備えている
点と、 にあり、その作用効果は次の通りである。

〔作 用〕

特徴構成より、掘起された玉葱が持上げ搬送手段で
移送される際には、その球根部がこの搬送手段で受止ら
れているだけであるから、球根部にのみ移送力が作用
し、葉茎部は球根部に引張られる状態で搬送後方（下向
き）に自動的に垂下する。特徴構成より、この下向き
に葉茎部を垂下させた玉葱を抱込み搬送手段で抱込むこ
とによって、搬送具に対する生葱の姿勢を安定保持する
とともに、葉切り装置に対する葉茎部の被切断姿勢を一
定に維持し、その葉茎部を切断する。

〔発明の効果〕

したがって、切断する玉葱の姿勢を強制的に抱込み搬
送手段によって所定の姿勢に維持するとともに、抱込む
前の姿勢を搬送手段の搬送方向（受止めて持上げる方
法）によって自動的に一定姿勢に維持すべく構成するこ
とによって、葉切り装置を葉茎部に確実に作用させるこ
とができ、葉茎部の切落しミスを減少させることができ
る。

〔実施例〕

第３図に示すように、玉葱収穫機（Ａ）は、トラクタ
（Ｂ）の後端に３点リンク装置（Ｃ）を介して連結さ
れ、玉葱（ａ）を掘起す掘起し部（１）、及び、掘起し
た玉葱（ａ）を搬送する搬送回収部（２）とから構成さ
れる。

前記掘起し部（１）は、圃場の玉葱（ａ）を掘越して
捨い揚げるレーキ状掘起し刃体（３）、及び、ゲージ輪
（40）によって掘起し深さを設定された掘起し刃体
（３）を横軸心（Ｘ）周りで前後揺動可能に支持するフ
レーム（４）並びに、この支持フレーム（４）を揺動駆
動する駆動フレーム（５）からなる。一方、掘起し部
（１）への伝動系を構成するに、収穫機（Ａ）側入力伝
動ケース（６）とトラクタ（Ｂ）TPO軸（７）とを伝動
連結するとともに、この入力伝動ケース（６）から横向
きに伝動軸（９）を突設し、かつ、この横向き伝動軸
（９）の両端に偏心カム（図示せず）を取付けるととも
に、この偏心カムに対して前記駆動フレーム（５）の基
端を外嵌し、この駆動フレーム（５）を偏心カムで駆動
して支持フレーム（４）を前後揺動させ、掘起し刃体
（３）を揺動させ乍ら玉葱（ａ）を掘起すようにしてあ
る。

次に、搬送回収部（２）について説明する。この搬送
回収部（２）は、掘起し玉葱（ａ）を受取って後方に搬
送する第１コンベア（10）と、この第１コンベア（10）
からの玉葱（ａ）を受留めて上方に移送する持上げ搬送
手段（11）とその持上げ搬送経路（ｃ）の上部で抱込み
状態で保持する抱込み搬送手段（12）とからなる第２コ
ンベア（13）と、抱込み搬送手段（12）で保持された玉
葱（ａ）の葉茎部（ｂ）を切断する葉切り装置（14）
と、葉を落された玉葱（ａ）を回収する回収部（15と
を、備えている。

第２コンベア（13）について更に詳述する。第１図に
示すように、第２コンベア（13）には、略上下姿勢の持
上げ搬送経路（ｃ）と水平姿勢の抱込み搬送経路（ｄ）
とに亘って連続して、回動体（16）としてのチェーン
（無端回動体）が緊張機構（45）で適度な緊張力を与え
られた状態で左右一対張設され、この左右一対のチェー
ン（16），（16）に亘って多数の横向きの搬送用ロッド
（17）が架設されている。第１図及び第２図に示すよう
に、これら搬送用ロッド（17）は３本づつ２組のものに
組分され、１組（17A），（17B），（17C）のものは側
面視で略Ｌ字形頂点位置に配設されてチェーン（16），
（16）に固着されている。このＬ字形に配設された３本
のロッド（17A），（17B），（17C）で玉葱（ａ）を受
止めて搬送する固定搬送具（18）を構成する。この固定
搬送具（18）のチェーン（16）への連結構造を詳述する
と、第２図に示すように、チェーン（16）の第１リンク
（16A）に対して板部材（41）を固着するとともに、こ
の左右の板部材（41），（41）間に亘って第１ロッド
（17A）を架設してある。この第１ロッド（17A）に対し
て側面視で略Ｌ字形を構成すべくそのＬ字形の頂点位置
に他の２本の第2,第３ロッド（17B），（17C）を配設
し、第２ロード（17B）をその屈折両端で第１ロッド（1
7A）に固着するとともに、第３ロッド（17c）を屈折両
端で板部材（41）に固着してある。この固定搬送具（1
8）をチェーン（16）に対して所定ピッチで並設するこ
とによって、玉葱（ａ）を受止めて上方に移送する持上
げ手段（11）に構成してある。尚、この持上げ手段（1
1）において、葉茎部（ｂ）を前方に向けて垂れ下げる
為の姿勢規制機構は別持術で行う。一方、３本の搬送用
ロッド（17D），（17E），（17F）で構成される他の一
組は、固定搬送具（18）に対して略対称になるべく略Ｌ
字形の頂点に３本のロッド（17D），（17E），（17F）
が配設されるとともに、チェーン（16）の第２リンク
（16B）に固着されたベアリングホルダ部（42）に第４
ロッド（17D）の両端が嵌入保持されて構成されてい
る。この第４ロッド（17D）に対して断面略Ｌ字形の継
ぎ材（42A）によって第５ロッド（17E）及び第６ロッド
（17F）が所定の配置姿勢で連結固定され、第６ロッド
（17F）の両端にローラ状のカムフォロア（43）が取付
けられている。前記チェーン（16），（16）を支持する
側板（20），（20）の内面側にカムレール（８）を突設
させて、前記カムフォロア（43）の案内としている。そ
こで、このカムフォロア（43）が搬送経路（ｃ），
（ｄ）に沿って設けられたカムレール（８）に案内され
て移動することによって、第５ロッド（17E）及び第６
ロッド（17F）が第４ロッド（17D）の軸心を中心に揺動
し、可動搬送具（19）が構成されている。この可動搬送
具（19）はチェーン（16）に所定ピッチで並設された固
定搬送具（18），（18）間に位置し、搬送方向後方側の
固定搬送具（18）と一対になって、玉葱（ａ）を抱込み
状態に保持する開閉自在な一対の搬送具を構成してい
る。

第１図に示すように、この可動搬送具（19）は、持上
げ搬送経路（ｃ）では前記カムフォロア（43）はチェー
ンリンクに持たれているので開放姿勢にあり、玉葱
（ａ）は固定搬送具（18）で支持されて送られている。
玉葱（ａ）が持上げ搬送経路（ｃ）上部に達すると、前
記カムフォロア（43）が上下一対のカムレール（８）に
よって形成されたガイド部（8a）を通過することによっ
て、可動搬送具（19）は姿勢をかえ、固定搬送具（18）
と玉葱（ａ）を抱込むように保持する閉塞姿勢になる。
抱込み搬送経路（ｄ）ではカムレール（８）によってカ
ムフォロア（43）の開放側への揺動が規制され、可動搬
送具（19）は玉葱（ａ）を保持する閉塞姿勢を回収部
（15）への放出位置（ｅ）まで維持している。ここで、
図示はしていないが、上下一対のカムレール（８）の上
方側カムレール（８）を横支軸周りで揺動するカムフォ
ロア（43）押え機構を設け、この押え機構でカムフォロ
ア（43）の通過を許容し乍ら、玉葱（ａ）に接当して開
放姿勢に戻る可動搬送具（19）の姿勢切換りを阻止する
構成をとってもよい。この放出位置（ｅ）では、カムレ
ール（８）による案内が解除され、この位置でカムフォ
ロア（43）の支持が無くなるので、可動搬送具（19）が
自重によって開放側に揺動するとともに、玉葱（ａ）が
後記する落下シュート（34）上に放出される。これら固
定搬送具（18）と可動搬送具（19）とを同一チェーン
（16）に取付けて、抱込み搬送手段（12）を構成する。

第３図に示すように、第１コンベア（10）と第２コン
ベア（13）とに対する伝動構造を説明すると、横向き伝
動軸（９）から中継軸（22）を介して第１コンベア（1
0）の駆動軸（23）に第１チェーン伝動機構（24）を架
張するとともに、第１コンベア（10）の駆動軸（23）と
第２コンベア（13）の駆動軸（25）とに亘って第２チェ
ーン伝動機構（26）を架張してある。

次に葉切り装置（14）について詳述する。第１図、第
３図、及び、第４図に示すように、葉切り装置（14）
は、バリカン型の切刃（31）を備えるとともに、玉葱
（ａ）の葉茎部（ｂ）が垂下する部位に配置され、搬送
されてくる玉葱（ａ）の葉茎部（ｂ）を切断すべく構成
されている。玉葱（ａ）の葉茎部（ｂ）が垂下する位置
とは、抱込み搬送具（18），（19）が上下反転して下方
側の帰還経路に移動する帰還経路対応部位である。この
葉切り装置（14）の駆動構造について説明すると、第３
図及び第４図に示すように、横向き伝動軸（９）とベル
ト（27）を介して伝動された入力軸（28）を設けるとと
もに、この入力軸（28）に偏心カム（29）を一体回転可
能に取付け、このカム（29）によって上下駆動される連
結ロッド（30）をカム（29）に遊嵌してある。一方、葉
切り装置（14）側に可動刃（31A）を駆動摺動させる駆
動ロッド（32）を設け、この駆動ロッド（32）と連結ロ
ッド（30）とをベルクランク（33）を介して連動連結し
てある。

回収部（15）は、葉切り装置（14）の搬送後方（トラ
クタ）側に位置し、葉茎部（ｂ）を切落した玉葱（ａ）
を受止める落下シュート（34）と、この落下シュート
（34）からの玉葱（ａ）を回収する回収箱（35），（3
5）とを両横河台（36）上に載置して設けてある。前記
落下シュート（34）は機体前後方向に沿った支軸（37）
に固着されるとともに、この支軸（37）を回転自在に支
持することによって支軸（37）周りで上下揺動可能に枢
支され、作用姿勢では左右一方の回収箱（35）に選択的
に玉葱（ａ）を投入すべく下向き傾斜姿勢に設置され、
反対側の回収箱（35）に投入する場合には、人為的に傾
斜姿勢を切換変更される。前記支軸（37）の外方突出端
には、偏心カム孔を有する駆動アーム（38）が遊嵌さ
れ、この駆動アーム（38）が前記ベルクランク（33）と
連結ロッド（39）を介して連動連結して、可動刃（31
A）への動力を分岐して落下シュート（34）に振動を与
える構成をとり、もって玉葱（ａ）の落下を促進してい
る。

〔別実施例〕

イ 抱込み搬送手段（12）として固定搬送具（18）と兼
用しているが、抱込み搬送手段（12）として開閉自在な
専用の搬送具を設けてもよい。

ロ 搬送具の駆動手段としてはチェーン（16）でなくて
もよく、回動体としてのドラム状の回動体を設け、この
ドラム状回動体の外周面に多数の開閉自在な抱込み搬送
具を設けた構成をとってもよい。

ハ 葉切り装置（14）の設置位置としては抱込み搬送手
段（12）が上下反転する途中に設け、遠心力によって葉
茎部（ｂ）が抱込み搬送具（18），（19）の間から振り
出される状態で切断することも考えられる。

ニ 前記可動搬送具（19）は、チェーン（16）に対して
自由に回動できるが、摩擦機構を介してチェーン（16）
に取付けられてもよい。この場合には、放出位置では、
可動搬送具（19）を強制的に開放する機構が必要とな
る。

ホ 可動搬送具（19）は持上げ搬送経路（ｃ）の上部で
玉葱（ａ）を保持すべく作動するが、水平搬送部（抱込
み搬送経路（ｄ））に移行後、玉葱（ａ）を抱込むべく
作動を開始してもよい。ただし、非常に長い葉茎部
（ｂ）を有する玉葱（ａ）の場合には、その葉茎部
（ｂ）が先行する玉葱（ａ）に被されこともあり、この
場合には水平搬送部で抱込みを開始するよりも持上げ搬
送経路（ｃ）上部で玉葱（ａ）を保持する形態を採る方
が、被さる葉茎部（ｂ）を可動搬送具（19）で前方には
ね上る状態で、第１図に示すような、下向き垂れ下げ姿
勢に切換えることができる利点はある。

ヘ 前記葉切り装置（14）としては次のようなものでも
よい。つまり左右一対の円板を一定間隔をおいて対向配
置し、両円板の外周面に亘る状態でかつ円周方向等間隔
に複数個の長尺状切刃を取付ける構成でもよい（一般に
リールモア形式と呼ばれる）。ただし、切刃は直線状で
もよいが、両円板に対する取付位置を円周方向で食い違
い状態に取付けられ、スパイラル状に捻れを与えられた
切刃の方が切断性能は高い。

ト 葉切り装置（14）としては次のようなものでもよ
い。つまり、刈幅方向に沿って単一の伝動軸を架設する
とともに、この伝動軸に対してその軸心方向に等間隔に
複数個の円盤を一体回転可能に取付け、夫々の円盤側面
に板状の切刃を複数個取付けるとともに、この切刃の作
用部を隣接する円盤に向けて水平に延出して、円盤と切
刃の間隙を殆ど無い状態のもので構成したものでもよい
（一般にフレーム刃式と呼称される）。

チ 回転面を葉茎部（ｂ）に対して直交させた多数の円
盤型カッタを刈刃全幅に亘って並設したものでもよい。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る玉葱収穫機の実施例を示し、第１図
は玉葱の搬送態様を示す原理図、第２図は搬送用ロッド
とチェーンとの連結構造を示す正面図、第３図は全体側
面図、第４図は全体背面図、第５図は従来の玉葱の搬送
状態を示す側面図である。 （１）……前端掘起し部、（11）……持上げ搬送手段、
（12）……抱込み搬送手段、（14）……葉切り装置、
（16）……回動体（無端回動体）、（18），（19）……
一対の開閉式搬送具、（ａ）……玉葱、（ｂ）……葉茎
部。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前端掘起し部（１）で掘起された玉葱
   （ａ）を受止て上方に移送する持上げ搬送手段（11）
   と、その持上げ搬送経路（ｃ）の上部において玉葱
   （ａ）を抱込み状態に保持する開閉自在な一対の搬送具
   （18），（19）を循環回動させる回動体（16）に所定ピ
   ッチで並設した抱込み搬送手段（12）と、抱込み搬送経
   路（ｄ）において前記両搬送具（18），（19）の間から
   突出する玉葱（ａ）の菜茎部（ｂ）を切断する葉切り装
   置（14）とを備えている玉葱収穫機。
2. 【請求項２】前記葉切り装置（14）が、抱込み搬送され
   る玉葱（ａ）の葉茎部（ｂ）が両搬送具（18），（19）
   の間から垂下する搬送経路部位に設けられている特許請
   求の範囲第１項に記載の玉葱収穫機。
3. 【請求項３】持上げ搬送手段（11）と抱込み搬送手段
   （12）とが一連の無端回動帯（16）によって構成されて
   いる特許請求の範囲第１項に記載の玉葱収穫機。
4. 【請求項４】両搬送具（18），（19）の一方（18）が回
   動体（16）に一定姿勢で取付けられ、他方（19）が一方
   の搬送具（18）に対して揺動開閉自在に回動体（16）に
   取付けられている特許請求の範囲第１項に記載の玉葱収
   穫機。