JPH0618486B2 - 玉葱収穫機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、前端掘起し部で掘り起こされた玉葱を受止め
て上方に移送する持上げ搬送手段と、その持上げ搬送経
路の上部において、玉葱の葉茎部を切断する葉切り装置
とを備え、前記持上げ搬送手段に、玉葱を抱込み状態に
保持する開閉自在な一対の搬送具を循環回動させる回動
体に所定ピッチで並設した抱込み搬送手段を備えた玉葱
収穫機に関する。

〔従来の技術〕

この種の玉葱収穫機において、葉切り装置を配置する
に、従来は、前記抱込み搬送経路において玉葱を下方に
向けて搬送する半円状上下反転搬送経路から水平搬送経
路に移行するその接点部位より水平搬送経路側に設け、
両搬送具の先端が形成する開口部より回転半径方向外向
きに突出する葉茎部を切断する構成を採っていた（例え
ば特願昭62-28692号）。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記したような位置に葉切り装置を配置すると下向きに
自重で垂下っている葉茎部をチェーンの搬送力を利用し
て葉切り装置の切り刃に当て付けるだけであるから、切
断時に葉茎部が切り刃に対して逃げることがあり、切断
が旨くいかないことがあった。

本発明の目的は葉切り装置の設置位置を合理的に設定し
て、切断作業をより円滑・確実に行えるものを提供する
点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明による特徴構成は、前記抱込み搬送経路におい
て、両搬送具の先端が形成する開口部より回転半径方向
外向きに突出する玉葱の葉茎部を、前記両搬送具の回動
に伴って上向きから下向きに切り換える半円状上下反転
搬送経路の下半部における経路途中に、前記葉切り装置
を装備するとともに、前記葉切り装置を、その葉切り装
置における可動刃がスライド往復作動するバリカン型に
構成し、前記葉切り装置の切り刃の姿勢を、前記半径方
向外向きに突出する葉茎部に対して直交する姿勢に設定
してある点にあり、その作用効果は次の通りである。

〔作用〕

上下反転搬送経路の途中に葉切り装置を設けることによ
って上向きから下向きに姿勢を変える葉茎部には遠心力
が作用し、その葉茎部は回転半径方向外向きに引っ張ら
れ、姿勢が決まっている。そして、葉切り装置の設定位
置が、玉葱がその葉茎部を下向きにする下降途中である
から、葉茎部には重力による下向き力が葉茎部の下向き
突出方向に沿った状態で作用し、遠心力と下向き力との
協動作用によって葉茎部は切り刃に対して食い込み易く
なっている。特に、葉切り装置がバリカン型であるか
ら、切り刃に対してより食い込み易い構造となってい
る。

しかも、前記開口部より突出する葉茎部に対して切り刃
を直角に当てることができるので、前記した食い込み易
い効果と相まって切断性能を向上できる。

〔発明の効果〕

その結果、葉切り装置の設置位置、切断形態（バリカン
型）に工夫を凝らすことによって、切断ミスが少なくな
る、又は、斜め切りがなくなり所期の長さにより確実に
切断することができ、二度切り、三度切りといった作業
能率を落とす作業形態を採る必要がない。

〔実施例〕

第５図に示すように、玉葱収穫機(A)は、トラクタ(B)の
後端に３点リンク装置(C)を介して連結され、玉葱(a)を
掘起す掘起し部(1)、及び、掘起した玉葱(a)を搬送する
搬送回収部(2)とから構成される。

前記掘起し部(1)は、圃場の玉葱(a)を掘起して拾い揚げ
るレーキ状掘起し刃体(3)、及び、ゲージ輪(40)によっ
て掘起し深さを設定された掘起し刃体(3)を支持する支
持フレーム(4)、並びに、この支持フレーム(4)の上端を
支持する固定フレーム(42)、前記支持フレーム(4)の中
程を相対揺動可能に枢支する揺動アーム(44)からなる。
一方、掘起し部(1)への伝動系を構成するに、収穫機(A)
側入力伝動ケース(6)とトラクタ(B)ＰＴＯ軸(7)とを伝
動連結するとともに、この入力伝動ケース(6)から横向
きに伝動軸(9)を突設し、かつ、前記固定フレーム(42)
の先端に横軸(X)を架設するとともに、前記横軸(X)の固
定フレーム(42)より外方側に入力プーリ(46)及び横軸
(X)の固定フレーム(42)より内方側に偏心カム(47)を固
着し、この偏心カム(47)にフレーム(4)の上端を外嵌し
てある。したがって、刃体(3)は楕円状の動きをし、玉
葱(a)を根土とともに第１搬送コンベア(10)に移すこと
ができる。前記揺動アーム(44)と支持フレーム(4)との
接点部位には夫々複数個の連結孔(4a),(44a)が形成さ
れ、この連結孔(4a),(44a)の組合せを変更することによ
って支持フレーム(4)の揺動振幅を調節することができ
る。

次に、搬送回収部(2)について説明する。この搬送回収
部(2)は、掘起し玉葱(a)を受取って後方に搬送する第１
コンベア(10)と、この第１コンベア(10)からの玉葱(a)
を受留めて上方に移送する持上げ搬送手段(11)とその持
上げ搬送経路(c)の上部で抱込み状態で保持する抱込み
搬送手段(12)とからなる第２コンベア(13)と、抱込み搬
送手段(12)で保持された玉葱(a)の葉茎部(b)を切断する
葉切り装置(14)と、葉を落とされた玉葱(a)を回収する
回収部(15)とを、備えている。

第２コンベア(13)について更に詳述する。第１図に示す
ように、第２コンベア(13)には、略上下姿勢の持上げ搬
送経路(c)と水平姿勢の抱込み搬送経路(d)とに亘って連
続して、回動体(16)としてのチェーン（無端回動体）が
緊張機構(45)で適度な緊張力を与えられた状態で左右一
対張設され、この左右一対のチェーン(16),(16)に亘っ
て多数の横向きの搬送用ロッド(17)が架設されている。
第１図及び第３図に示すように、これら搬送用ロッド(1
7)は４本のものと３本のものとの２組のものに組分され
１組(17A),(17B),(17C),(17D)のものは側面視で略台形
頂点位置に配設されてチェーン(16),(16)に固着されて
いる。この台形に配設された４本のロッド(17A),(17B),
(17C),(17D)で玉葱(a)を受止めて搬送する固定搬送具(1
8)を構成する。この固定搬送具(18)のチェーン(16)への
連結構造を詳述すると、第３図に示すように、チェーン
(16)のリンク(16A)に対して板部材(41)を固着するとと
もに、第１ロッド(17A)第２ロッド(17B)第３ロッド(17
C)の夫々の両端同志を連結する左右の第１板フレーム(2
4),(24)を、各々、前記左右の板部材(41),(41)に載置し
て止め付け、固定搬送具(18)をチェーンリンク(16A)に
取付けてある。この固定搬送具(18)をチェーン(16)に対
して所定ピッチで並設することによって、玉葱(a)を受
止めて上方に移送する持上げ搬送手段に構成してある。
又、第４ロッド(17D)は第１ロッド(17A)第２ロッド(17
B)第３ロッド(17C)に対して左右に配置された第２、第
３板フレーム(35),(36)を介して連結され、後記する可
動搬送具(19)を取付けるべく構成されている。

一方、３本の搬送用ロッド(17E),(17F),(17G)で構成さ
れる他の一組は、略Ｌ字形の頂点に３本のロッド(17E),
(17F),(17G)が配設されるとともに、これら３本の搬送
用ロッド(17E),(17F),(17G)に対して直交する方向に配
置された３枚の第４板フレーム(37)によって連結組付さ
れている。そして、第５搬送用ロッド(17E)側に延出さ
れた前記３枚の第４フレーム(37)の先端に、各々、パイ
プ式ホルダー(38)を取付け、このホルダー(38)を前記第
４搬送用ロッド(17D)に遊嵌して、第４搬送用ロッド(17
D)の軸芯(Y)を中心にして前記３本の搬送用ロッド(17
E),(17F),(17G)を一体で揺動可能に構成し、可動搬送具
(19)を構成する。この可動搬送具(19)の第７ロッド(17
G)の両端にローラ状のカムフォロア(43)が取付けられる
とともに、前記チェーン(16),(16)を支持する側板(20),
(20)の内面側にカムレール(8)を突設され、前記カムフ
ォロア(43)がカムレール(8)に案内される。そこで、こ
のカムフォロア(43)が搬送経路(c),(d)に沿って設けら
れたカムレール(8)に案内されて移動することによっ
て、可動搬送具(19)が前記軸芯(Y)周りに揺動して、固
定搬送具(18)で支持された玉葱(a)を抱込むべく、固定
搬送具(18)に近接する。

前記ホルダー(38)のうち両端に位置するものは、第２図
に示すように、外向きの突出部(38a)が設けられ、第１
図に示すように、玉葱(a)放出後の下り経路に入る際に
前記突出部(38a)がカムレール(8b)に接当して可動搬送
具(19)の姿勢が規制されカムレール(8)にカムフォロフ
(43)が乗り移れる状態を確保できる構成となっている。

第２図に示すように、この可動搬送具(19)は、持上げ搬
送経路(c)では開放姿勢にあり、玉葱(a)は固定搬送具(1
8)で支持されて送られている。玉葱(a)が持上げ搬送経
路(c)上部に達すると、前記カムフォロア(43)が上下一
対のカムレール(8)によって形成されたガイド部(8a)を
通過することによって、可動搬送具(19)は姿勢をかえ、
固定搬送具(18)と玉葱(a)を抱込むように保持する閉塞
姿勢になる。抱込み搬送経路(d)ではカムレール(8)によ
ってカムフォロア(43)の開放側への揺動が規制され、可
動搬送具(19)は玉葱(a)を保持する閉塞姿勢を回収部(1
5)への放出位置(e)まで維持している。

この放出位置(e)では、カムレール(8)による案内が解除
され、この位置でカムフォロア(43)の支持が無くなるの
で、可動搬送具(19)が自重によって開放側に揺動すると
ともに、玉葱(a)が後記する落下シュート(34)上に放出
される。これら固定搬送具(18)と可動搬送具(19)とを同
一チェーン(16)に取付けて、抱込み搬送手段(12)を構成
する。

第５図に示すように、第１コンベア(10)と第２コンベア
(13)とに対する伝動構造を説明すると、横向き伝動軸
(9)から中継軸(22)を介して第１コンベア(10)の駆動軸
(23)に第１チェーン伝動機構(24)を架張するとともに、
第１コンベア(10)の駆動軸(23)と第２コンベア(13)の駆
動軸(25)とに亘って第２チェーン伝動機構(26)を架張し
てある。

次に葉切り装置(14)について詳述する。第１図、第２
図、及び第５図に示すように、葉切り装置(14)は、バリ
カン型の切刃(31)を備えるとともに、両搬送具(18),(1
9)の先端が形成する開口部(f)より回転半径方向外向き
に突出する玉葱(a)の葉茎部(b)を切断すべく構成されて
いる。その配置位置は、前記抱込み搬送経路(d)におい
て玉葱(a)を下方に向けて搬送する半円状上下反転搬送
経路(d′）における下半部の下端より上方の搬送手前側
に設定してあり、その位置に配置された葉切り装置(14)
の切刃(31)の姿勢は、前記両搬送具(18),(19)先端を形
成する第１ロッド(17A)と第７ロッド(17G)とを含む平面
に対して平行な姿勢に設定されている。この葉切り装置
(14)の駆動構造について説明すると、第４図及び第５図
に示すように、横向き伝動軸(9)とベルト(27)を介して
伝動された入力軸(28)を設けるとともに、この入力軸(2
8)に偏心カム(29)を一体回転可能に取付け、このカム(2
9)によって上下駆動される連結ロッド(30)をカム(29)に
遊嵌してある。一方、葉切り装置(14)側に可動刃(31A)
を駆動摺動させる駆動ロッド(32)を設け、この駆動ロッ
ド(32)と連結ロッド(30)とをベルクランク(33)を介して
連動連結してある。

回収部(15)は、葉切り装置(14)の搬送後方（トラクタ）
側に位置し、葉茎部(b)を切落した玉葱(a)を受止める落
下シュート(34)と、この落下シュート(34)からの玉葱
(a)を回収する回収箱(48),(48)とを両横側台(49)上に載
置して設けてある。前記落下シュート(34)は機体前後方
向に沿った支軸(50)に固着されるとともに、この支軸(5
0)を回転自在に支持することによって支軸(50)周りで上
下揺動可能に枢支され、作用姿勢では左右一方の回収箱
(48)に選択的に玉葱(a)を投入すべく下向き傾斜姿勢に
設置され、反対側の回収箱(48)に投入する場合には、人
為的に傾斜姿勢を切換変更される。

〔別実施例〕

イ 抱込み搬送手段(12)として固定搬送具(18)を兼用し
ているが、抱込み搬送手段(12)として開閉自在な専用の
搬送具を設けてもよい。

ロ 葉切り装置(14)としては回転ディスク式のものでも
よい。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為
に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造
に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る玉葱収穫機の実施例を示し、第１図
は持上げ搬送手段と抱込み搬送手段とを示す側面図、第
２図は抱込み搬送手段と切り刃との位置関係を示す縦断
側面図、第３図は抱込み搬送手段と持上げ搬送手段を示
す正面図、第４図は全体背面図、第５図は全体側面図で
ある。 (1)……前端掘起し部、(11)……持上げ搬送手段、(12)
……抱込み搬送手段、(14)……葉切り装置、(16)……回
動体、(18),(19)……搬送具、(31)……切り刃、(31A)…
…可動刃、(a)……玉葱、(b)……葉茎部、(c)……持ち
上げ搬送経路、(d)……抱込み搬送経路、(d′）……半
円状上下反転搬送経路、(f)……開口部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前端掘起し部(1)で掘り起こされた玉葱(a)
   を受止めて上方に移送する持上げ搬送手段(11)と、その
   持上げ搬送経路(c)の上部において、玉葱(a)の葉茎部
   (b)を切断する葉切り装置(14)とを備え、前記持上げ搬
   送手段(11)に、玉葱(a)を抱込み状態に保持する開閉自
   在な一対の搬送具(18),(19)を循環回動させる回動体(1
   6)に所定ピッチで並設した抱込み搬送手段(12)を備えた
   玉葱収穫機であって、前記抱込み搬送経路(d)におい
   て、両搬送具(18),(19)の先端が形成する開口部(f)より
   回転半径方向外向きに突出する玉葱(a)の葉茎部(b)を、
   前記両搬送具(18),(19)の回動に伴って上向きから下向
   きに切り換える半円状上下反転搬送経路(d′）の下半部
   における経路途中に、前記葉切り装置(14)を装備すると
   ともに、前記葉切り装置(14)を、その葉切り装置(14)に
   おける可動刃(31A)がスライド往復作動するバリカン型
   に構成し、前記葉切り装置(14)の切り刃(31)の姿勢を、
   前記半径方向外向きに突出する葉茎部(b)に対して直交
   する姿勢に設定してある玉葱収穫機。