JP2566965Y2 - 人参用葉切り機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、人参の葉部を機械的に
切落とすようにした葉切り機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、人参の収穫における葉切り作業は
人為作業で賄われており、畑から引抜いた後に包丁や釜
等で人参の葉部を一本一本切落とすようにしていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、収穫し
た人参全ての人為葉切り作業は労力的に負担であるた
め、次第に機械化の要望が高まってきた。本考案は、葉
切り作業の機械化により人参の収穫作業を労力的に楽な
ものにすることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために
本考案は、所定方向に揃えて自転する多数のローラを互
いに隣合うものどうしの間に所定の間隔を形成した状態
で並設して公転駆動させることにより、人参を隣合うロ
ーラの間で自転させながら搬送する搬送装置を構成し、
この搬送装置の上方に、この搬送装置で搬送される人参
の上面部に弾性接触作用して搬送人参を搬送装置の一端
側に寄せて整列させる整列装置を配置するとともに、整
列装置の搬送方向下手側位置に、整列状態で搬送されて
くる人参の葉部を切り落とす葉切り装置を備え、さら
に、多数のローラを前記一端側に向かうに従って細くな
るテーパ形状に設定してあることを特徴とする。

【０００５】

【作用】先ず、収穫された人参は葉部の存在方向を揃え
た状態で整列装置に受け渡されるのであり、多数の自転
するローラで成る搬送装置の搬送作用によって人参はロ
ーラ間で自転しながら搬送されていくようになる。そし
て、整列装置による整列作用によって搬送人参を搬送装
置の一端側に揃えて整列させた状態にさせ、それから葉
切り装置に搬送されるので、人参の葉部の切断位置を所
定の位置に揃えることができるようになる。また、隣合
うローラどうしに所定の間隔を形成してあるので、この
間隔よりも細いものは落下するようになって、所定の太
さで区分けする選別作用が発揮できる。整列装置は人参
の上面に弾性接触作用して人参をそのローラの軸方向に
移送させるもの、つまり、人参に作用する横移送力が穏
やかで該人参を傷つけることが少ない手段（例えば、回
転するブラシや往復移動するゴム片等）であるが、これ
は、公転駆動されるローラ自身が自転することによって
人参が回転しながら移送されていくものであって、その
長手方向への移動に要する作用力が小で良いという構造
の搬送装置の存在があって成り立つものである。これに
より、人参を傷めることなく、かつ、小なる駆動力でも
って整列させることが可能になった。ところで、人参は
葉側が太く、根側が細い略逆３角形状であるため、一般
的な円筒状のローラを使用すると、人参本体の上面が傾
斜し、葉部の切断面も傾斜した斜め切りになってしまう
が、本願では、ローラを一端側に向かうに従って細くな
るテーパ形状に設定したので、そのローラのテーパと人
参のテーパとが相殺して人参の搬送姿勢を水平姿勢に、
もしくはほぼ水平姿勢に近づけることができ、葉の切断
面を極力斜め切りにならないようにすることができる。
尚、葉切り装置をローラ軸心に対して傾斜配置させるこ
とによって斜め切りを抑制させる手段が考えられるが、
これでは葉切り装置の駆動系をも傾斜させる必要があ
り、その駆動力の伝達構造が複雑になるに対し、本願の
ものでは駆動系は水平配置に揃えられるシンプルなもの
に構成できる点で有利である。

【０００６】

【考案の効果】その結果、一連の葉切り作業が機械化さ
れて葉切り作業に必要な人的労力が激減するとともに、
機械化によって葉切り作業速度を高めることができ、作
業能力を向上させることもできる葉切り機を、人参に与
えるダメージが極力少ない状態で、かつ、葉部の切り口
が人参本体の上面に沿った外観上好ましいものとして提
供できた。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明の実施例を人参収穫機に搭載
されたものについて、図面に基づいて説明する。図１、
図２に、引抜き前処理部Ａと葉切り部Ｂと回収部Ｃとを
クローラ走行装置１４で走行可能な走行機体Ｄに搭載し
た人参収穫機が示されている。引抜き前処理部Ａは、土
崩し装置１、引上げ装置２、横捻り搬送装置３、及び接
地転輪４を前処理フレーム５に搭載支持して構成され、
昇降シリンダ６の伸縮作動によって左右向きの支点Ｐ周
りでの揺動昇降が可能である。葉切り部（葉切り機に相
当）Ｂは、搬送装置７、整列装置８、葉切り装置９、及
び前処理カッター１０から構成されている。回収部Ｃ
は、機体フレーム１１から立設された回収フレーム１２
に、横軸心Ｘ周りでの揺動移動が可能に枢着された回収
コンテナ１３で構成されている。

【０００８】引抜き前処理部Ａについて詳述する。土崩
し装置１は、前処理フレーム５から立設された支持フレ
ーム１５に横軸心Ｙで回動自在に正面視Ｕ字状のほぐし
部材１６を吊設するとともに、支点Ｐを回転軸心とする
カウンタプーリ１７にベルト連動される入力プーリ１８
を前処理フレーム５に装備し、ほぐし部材１６の上下中
間部分と入力プーリ１８とを短リンク１９と長リンク２
０とで連動連結して成るクランク機構２１により、地中
においてほぐし部材１６を前後に往復揺動し、次に行う
人参引抜きが容易となるように人参の周りの土を崩して
ゆく。尚、長リンク２０には緩衝材２０ａが巻回してあ
り、後述する横捻り搬送装置３で搬送される人参本体に
接触しての泥落とし作用を、人参を傷つけることなく発
生させるようにしてある。引上げ装置２は、係止突起２
２付きの回動ベルト２３を、平面視で前向きハ字状に開
き、かつ、側面視で後上がり傾斜させた状態で左右一対
備えて構成され、下端に装備した分草具２４と相まっ
て、２条の人参列の葉部を扱いて上方に引き上げるよう
に作用する。横捻り搬送装置３は、持上げ搬送機構３Ａ
と補助搬送機構３Ｂとから成る。持上げ搬送機構３Ａ
は、引上げ装置２における斜め上下向きの上側プーリ軸
心Ｚを共有した左右の下部プーリ２５と、該プーリ軸心
Ｚと平行な軸心を持つ上部プーリ２６とに亘ってベルト
２７を巻回して成る搬送ベルトを一対近接配置して構成
される。補助搬送機構３Ｂは、横向きの軸心をもつ上下
の輪体２８，２９に突起付きベルト３０を巻回して成る
無端回動帯を左右一対設けて構成され、持上げ搬送機構
３Ａの後部の下側に配設してある。つまり、左右のベル
ト２７，２７間で葉部を挟持しての吊下げ姿勢で人参を
左後方上方に向けて斜め持上げ搬送するとともに、補助
搬送機構３Ｂによって人参本体を持上げることにより、
人参を横臥姿勢に変更して次の葉切り部Ｂに移送する。

【０００９】次に、葉切り部Ｂについて詳述する。搬送
装置７は、回転自在な多数のローラ３１を互いに隣合う
ものどうしの間に所定の間隔を設けて並設するととも
に、多数のローラ３１の端部に取付けたチェンリンクを
連結して成るチェン３２を前後４箇所のスプロケット３
３に巻回して構成され、持上げ搬送装置３から送られて
くる人参を横臥姿勢のままで後方に移送する。上側のロ
ーラ部分におけるローラ３１の下面に接触するガイド部
材３４を備えてあり、チェン３２を駆動することでロー
ラ３１を矢印イ方向に公転駆動すると、ガイド部材３４
に接触するローラ３１は反時計周り方向（図１中矢印ロ
方向）に自転するようにもなるのである。ローラ３１
は、人参の葉部側に行くほど細くなるテーパ形状（裁頭
円錐形）に形成されているとともに、その左側端にはつ
ば３１ａが取付けてある。人参の本体がこのつば３１ａ
に接当した姿勢に揃うことが可能である。整列装置８
は、搬送装置７の上方に、ローラ３１の軸心Ｖに対して
前部が右に寄る状態に傾斜した傾斜軸心Ｔ周りで回転す
る回転ブラシ３５で成り、横臥姿勢の人参をその葉部側
をローラ３１のつば３１ａに順次寄せる機能を有してい
る。つまり、回転ブラシ３５が人参の上面部に弾性接触
作用して人参を図 中の左方に強制移送させる送り力を
発生させるようにしてあり、確実に人参をつば３１ａに
接当させて整列できるようにしてある葉切り装置９は、
左右軸心周りで回転する回転刃３６を搬送装置７の後部
に備えて構成され、つば３１ａに人参本体が接当された
所定の切断姿勢でもって移送されてくる人参の葉部を根
元で切断する。前処理カッター１０は横軸心周りで駆動
回転するものであり、搬送装置７の前部のローラ３１か
ら若干左側に離れた位置に装備され、持上げ搬送装置３
から送られてくる人参の葉部を荒切りすることで四方八
方に広がり成育した葉によって以後の工程に悪影響を及
ばさないようにしてある。

【００１０】回収部Ｃについて詳述する。回収コンテナ
１３は、葉部が切断された本体だけの人参を貯留するも
のである。空の回収コンテナ１３を、その側壁１３ａが
人参の滑落移送面となる状態に前記横軸心Ｘ周りで傾斜
した初期姿勢に付勢する引張りバネ３７を設け、かつ、
この回収コンテナ１３への人参回収の進行に伴う回収人
参重量の増大に伴って回収コンテナ１３が横軸心Ｘ周り
で揺動して自動的に起立回収姿勢に変化するように引張
りバネ３７の弾性力を設定してある。

【００１１】〔別実施例〕 図４に示すように、ローラ３１を右上がり状に傾斜
配設し、回転ブラシ３５の軸心Ｔも傾斜させた前後方向
に設定するとともに、ガイド部材３４を、切断された葉
部の落下移送経路を形成するように折り曲げ板で構成す
る葉切り部Ｂでも良い。 図５に示すように、水平状態のローラ３１における
つば３１ａのローラ軸心方向位置が調節設定できるよう
に構成（例えば、つば３１ａをゴム板製とする）し、葉
の根元部位での切り落とし長さを変更調節設定できるよ
うにしてある葉切り部Ｂでも良い。 葉切り部Ｂだけで成る定置型の葉切り機を構成する
のも良い。

【００１２】尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面と
の対照を便利にする為に符号を記すが、該記入により本
考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】人参収穫機の側面図

【図２】人参収穫機の平面図

【図３】搬送装置の構造を示す背面図

【図４】搬送装置の別構造を示す背面図

【図５】搬送装置の他の別構造を示す背面図

【符号の説明】

０ 堀取り装置 ３ 横捻り搬送装置 ３Ａ 持上げ搬送装置 ３Ｂ 補助搬送装置 ７ 搬送装置 ８ 整列装置 ９ 葉切り装置 １３ コンテナ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 東 宏信 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (72)考案者 一瀬 幹雄 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ 堺製造所内 (56)参考文献 特開 平４−53477（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−142080（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定方向に揃えて自転する多数のローラ
   （３１）を互いに隣合うものどうしの間に所定の間隔を
   形成した状態で並設して公転駆動させることにより、人
   参を隣合うローラ（３１），（３１）の間で自転させな
   がら搬送する搬送装置（７）を構成し、この搬送装置
   （７）の上方に、この搬送装置（７）で搬送される人参
   の上面部に弾性接触作用して搬送人参を前記搬送装置
   （７）の一端側に寄せて整列させる整列装置（８）を配
   置するとともに、前記整列装置（８）の搬送方向下手側
   位置に、整列状態で搬送されてくる人参の葉部を切り落
   とす葉切り装置（９）を備え、さらに、前記多数のロー
   ラ（３１）を前記一端側に向かうに従って細くなるテー
   パ形状に設定してある人参用葉切り機。