JPH08176014A - 歯周病予防ワクチン - Google Patents

歯周病予防ワクチン

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JPH08176014A
JPH08176014A JP33718994A JP33718994A JPH08176014A JP H08176014 A JPH08176014 A JP H08176014A JP 33718994 A JP33718994 A JP 33718994A JP 33718994 A JP33718994 A JP 33718994A JP H08176014 A JPH08176014 A JP H08176014A
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polysaccharide
vaccine
polypeptide
cell surface
periodontal disease
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JP33718994A
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Yoshihiro Harada
慶宏 原田
Shinichi Kida
伸一 木田
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Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 歯周病原因菌の菌体表層由来多糖とポリペプ
チドとを結合したものを抗原とする歯周病予防ワクチ
ン。 【効果】 本発明の歯周病予防ワクチンは、歯周病原因
菌の菌体表層由来多糖とポリペプチドとを結合したもの
を抗原としたことにより、安全に、しかも効果的に、原
因菌に対する抗体価を産生させることができる。従っ
て、本発明のワクチンは、歯周病の予防に有効に使用す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は歯周病予防用のワクチン
に関し、さらに詳述するとポルフィロモナス・ジンジバ
リスやアクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタン
スなどの歯周病原因菌の口腔内への定着を抑制する歯周
病予防用のワクチンに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】歯周病
の主原因は歯周ポケットに蓄積するプラーク(歯垢)中
の細菌である。健康な歯周組織のプラーク中では、通
常、グラム陽性菌が大部分を占めているが、歯周病が進
行するとポルフィロモナス・ジンジバリス、アクチノバ
チルス・アクチノマイセテムコミタンスなどのグラム陰
性偏性嫌気細菌が増加すると言われている。実際、重度
の成人性歯周炎患者の病巣部からは、ポルフィロモナス
・ジンジバリスやアクチノバチルス・アクチノマイセテ
ムコミタンスが高頻度に分離され、患者血清中の本菌に
対する抗体価も上昇している例が多い。このような事実
は、ポルフィロモナス・ジンジバリスやアクチノバチル
ス・アクチノマイセテムコミタンスが歯周病の成立に重
要な働きをしていることを示している。
【0003】従来から、歯周病原因菌の定着を阻止し、
増殖を抑制する方法として、該菌の全菌体、菌体表層物
質あるいは線毛を抗原とするワクチンが提案されている
(特開昭59−128338号、特開昭61−1405
27号、特開平5−132428号公報)。しかしなが
ら、全菌体やその抽出物を抗原とする場合は、非常に多
くの成分を抗原として含むために安全性の点で問題があ
った。一方、線毛を抗原とする場合は、線毛抗原がタン
パク質であるため、望まれる精製度まで単一化するには
精製ステップが煩雑になるという欠点があった。さらに
近年、歯周病原因菌の研究の進展にともない、例えばポ
ルフィロモナス・ジンジバリスなどでは、病原性が非常
に強いにもかかわらず、線毛をほとんど有さない菌株の
存在が明らかにされ、線毛抗原ワクチンは有効性の点に
おいても充分とはいえなかった。
【0004】このため、安全性が高く、効果の高い歯周
病予防ワクチンが要望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
上記事情に鑑み、安全性が高く、しかも歯周病をより効
果的に予防する方法について鋭意検討を進めた結果、ポ
リフィロモナス・ジンジバリス、アクチノバチルス・ア
クチノマイセテムコミタンス等の歯周病原因菌の菌体表
層由来多糖を調製し、これをポリペプチドと結合したも
のをワクチン抗原として用いると、該菌の口腔内への定
着を抑制する効果が高く、よって歯周病の予防を効果的
に行うことができることを知見し、本発明をなすに至っ
たものである。
【0006】従って、本発明は歯周病原因菌の菌体表層
由来多糖とポリペプチドとを結合したものを抗原とする
歯周病予防ワクチンを提供するものである。
【0007】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明のワクチン抗原の主要構成成分は歯周病原因菌の菌体
表層由来多糖である。
【0008】ここで、歯周病原因菌としては、一般的に
歯周病と病因論的因果関係が深いと考えられているポル
フィロモナス・ジンジバリス、アクチノバチルス・アク
チノマイセテムコミタンス、プレボテーラ・インターメ
ディア、フゾバクテリウム・ヌクレアタム、キャプノサ
イトファガ属菌種、オイケネラ・コローデンス、キャン
ピロバクター・レクタス、バクテロイデス・フォーサイ
サス、トレポネーマ・デンティコーラなどのスピロヘー
タ等を用いることができるが、歯周病との因果関係の深
さから考えて、ポルフィロモナス・ジンジバリスまたは
アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンスが最
も好適である。
【0009】これら歯周病原因菌の菌体表層由来多糖
は、周知の方法で調製することができる。例えば、培養
した菌体をオートクレーブ処理する方法、菌体に亜硝酸
を作用させて抽出する方法、菌体からフェノール・水抽
出する方法などが利用できるが、簡便性および有効性の
観点から、オートクレーブ処理する方法が最も好適であ
る。
【0010】上記歯周病原因菌の菌体表層由来多糖と結
合させるポリペプチド(なお、ポリペプチドはその下位
概念であるタンパク質をも包含し、本明細書ではポリペ
プチドと総称する)は、精製度が高く、安価で、しかも
多糖と結合させて免疫抗原とした際に該多糖に対する抗
体価を著しく増大させるポリペプチドであるものが好ま
しい。この目的のために使用されるポリペプチドとして
は、BSA(牛血清アルブミン)、HSA(ヒト血清ア
ルブミン)、卵白アルブミンなどの各種アルブミン、γ
−グロブリン、カゼイン、コレラトキシンBサブユニッ
ト、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、フェリ
チン、トランスフェリン、チトクロームc、ミオシン、
ゼラチン、コラーゲン、ポリリジンなどが挙げられる。
結合させるポリペプチドの分子量は、後述する実施例で
示したように、多糖に対する抗体価の増強効果と関連を
有し、分子量1万〜30万、より好ましくは1.5万〜
30万の範囲のポリペプチドの場合に最も高い効果が認
められ、この分子量範囲のポリペプチドを用いることが
特に好ましい。
【0011】一方、菌体表層由来多糖とポリペプチドと
の結合物を免疫抗原とした場合、多糖に対する抗体のみ
ならずポリペプチドに対する抗体も産生され、この抗ポ
リペプチド抗体が為害作用を示す可能性は否定できな
い。本歯周病予防ワクチンはヒトに投与されるものであ
るから、この点については充分に吟味されなければなら
ない。このため、本発明者らはより安全なワクチン抗原
について検討を重ねた結果、後述の実施例に記載のよう
に、免疫する動物と同種の動物由来タンパク質を多糖と
結合するポリペプチドとして選択すると、他種のタンパ
ク質を結合した場合と比較して抗体価の上昇は低いもの
の、該ポリペプチドに対する抗体は産生されないことを
知見した。従って、多糖と結合するポリペプチドとして
ヒト由来のポリペプチド(あるいはタンパク質)を選択
することにより、さらに安全性の高いワクチン抗原とす
ることができる。
【0012】菌体表層由来多糖とポリペプチドとの結合
方法は、一般的な多糖とポリペプチドとを結合する方法
が用いられ、多糖とポリペプチドを結合することができ
て、かつ多糖の抗原性が変化しない方法であればどのよ
うな結合方法を用いても差し支えない。具体的には、吸
着法、共有結合法のいずれの方法でも結合できるが、結
合力の強さの点から共有結合法がより好ましい。多糖と
ポリペプチドを共有結合させる方法は多くの様式から知
られているが、種々利用できる。例えば、多糖を臭化シ
アンで活性化した後、ポリペプチドを結合させる方法、
多糖に芳香族アミノ基を導入した後、ポリペプチドの芳
香族基とジアゾ結合させる方法、多糖にアミノ基を導入
した後、ポリペプチドのアミノ基と反応させてシッフ塩
基を形成させる方法、多糖とトレシルクロリドを反応さ
せた後、ポリペプチドのアミノ基やチオール基と結合さ
せるトレシルクロリド法などが挙げられる。
【0013】本発明のワクチンは、上述した抗原に加
え、必要に応じて防腐剤、保湿剤、粘結剤、アジュバン
ド、吸収促進剤等を配合して製剤化することができる。
【0014】ワクチンの投与方法としては、皮下注射、
筋肉注射、口腔内注射、静脈注射、経鼻投与、経口投
与、経口腔粘膜投与などの方法を採用できるが、安全性
や投与に対する抵抗感という観点からは、注射によらな
い経鼻投与、経口投与、経口腔粘膜投与などの方法がよ
り好ましい。注射によらない、すなわち粘膜を通した投
与方法の場合、吸収促進剤の併用が特に望まれる。1回
に投与するワクチン中の抗原量は0.005〜2mgが
好適であり、より好ましくは0.01〜0.5mgであ
る。
【0015】使用される吸収促進剤の例としては、胆汁
酸またはその誘導体もしくはそれらの塩(以下、胆汁酸
化合物と総称する)、界面活性剤、コレラトキシンBサ
ブユニットなどが挙げられる。
【0016】胆汁酸化合物は、ワクチン組成物中に0.
002〜2重量%配合することが好適であり、より好ま
しくは0.02〜0.5重量%である。
【0017】界面活性剤としては、アニオン界面活性
剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界
面活性剤などが用いられ、特に、カチオン界面活性剤が
好適である。また、これらの界面活性剤を併用すること
もできる。界面活性剤の配合量は、アニオン界面活性剤
およびノニオン界面活性剤の場合は、0.01〜10重
量%が好適であり、より好ましくは0.1〜5重量%で
ある。また、カチオン界面活性剤の場合は、0.001
〜1.0重量%、より好ましくは、0.01〜0.5重
量%である。
【0018】コレラトキシンBサブユニットは、ワクチ
ン組成物中に0.001〜1重量%配合することが好適
であり、より好ましくは0.01〜0.25重量%であ
る。コレラトキシンBサブユニットは、ワクチン組成物
中に配合するだけでも良いが、上述の菌体表層多糖抗原
と結合することによって、より一層の効果増強が発揮で
きる。
【0019】本発明の歯周病予防ワクチン中には、その
他の成分として、ミョウバン、水酸化アルミニウム、リ
ン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ムラミルジペプ
チド等のアジュバンド;オレイン酸、ステアリン酸、パ
ルミチン酸、等のアジュバンド脂溶成分;グリセリン、
ソルビット、キシリット、マンニット、ラクチット、マ
ルチット、ポリエチレングリコール等の保湿剤;ソルビ
ン酸、クロロブタノール、安息香酸、パラオキシ安息香
酸エステル、ほう酸、デヒドロ酢酸、チモール等の防腐
剤;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アラ
ビアゴム、キサンタンガム、モンモリロナイト、カオリ
ン、水和シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヘ
クトライト等の粘結剤を配合することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明の歯周病予防ワクチンは、歯周病
原因菌の菌体表層由来多糖とポリペプチドとを結合した
ものを抗原としたことにより、安全に、しかも効果的
に、原因菌に対する抗体価を産生させることができる。
従って、本発明のワクチンは、歯周病の予防に有効に使
用することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。
【0022】〔実施例1〕まず、本発明の歯周病予防ワ
クチンに用いる抗原の調製方法を例示する。
【0023】(1)菌体表層多糖の調製 アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(以
下A.a.と略す)Y4株を1%酵母エキスを加えたト
ッドヘビットブロスに接種し、5%CO2 を含むインキ
ュベーター中で37℃、3日間培養した。培養菌体を遠
心分離で集菌後、生理食塩水で3回洗浄して生理食塩水
に懸濁し、121℃、15分間オートクレーブ処理を行
った。冷却後、10,000×gで20分間遠心して上
清を分取し、沈渣には再度生理食塩水を加えて上述の抽
出操作を繰り返した。得られた上清を集め、蒸留水に対
して十分透析し、凍結乾燥した。これを菌体表層多糖と
した。
【0024】また、ポルフィロモナス・ジンジバリス
(以下P.g.と略す)381株をヘミンおよびメナジ
オンを加えたトッドヘビットブロスで2日間培養後、集
菌し、上記A.a.と同様の方法で菌体表層多糖を調製
した。
【0025】(2)菌体表層多糖の精製 上記のように調製した菌体表層多糖をそのまま抗原とし
て用いることも可能であるが、不純物質を除くためにさ
らにカラムで精製することが望ましく、本実施例では以
下のようにして精製を行った。
【0026】A.a.の菌体表層多糖を0.01Mトリ
ス塩酸緩衝液(pH8.2)に100mg/mlとなる
ように溶解し、同緩衝液に対して2日間透析した。これ
を上記緩衝液で平衡化したDEAE−Sephadex
A−25カラム(Pharmacia,Uppsal
a,Sweden)を用いて陰イオン交換カラムクロマ
トグラフィーを行った。すなわち、同緩衝液で溶出後、
0〜1M塩化ナトリウム・グラディエント溶液で溶出さ
せた。カラムに吸着しなかった素通りの糖ピーク画分を
集め、ロータリーエバポレーターで濃縮後、蒸留水に対
して十分透析した。この標品をSephacryl S
−300カラム(Pharmacia)を用いてゲル濾
過を行った。単一の糖ピーク画分を集め、凍結乾燥し
た。これを精製多糖抗原とした。
【0027】P.g.の菌体表層多糖からも上記と同様
の方法で精製多糖抗原を調製した。ただし、P.g.の
菌体表層多糖の場合、陰イオン交換クロマトグラフィー
で複数の糖ピークに分画されるが、NaCl0.05〜
0.25M付近で溶出される糖ピーク画分が最も有効で
あり、本実施例ではこの糖ピーク画分を集めた。なお、
必要に応じて、トリクロロ酢酸処理による除タンパク操
作を精製ステップに組み入れた方が、より精製度の高い
多糖抗原を調製できる場合がある。
【0028】(3)菌体表層多糖とポリペプチドの結合 上記精製多糖抗原を1M炭酸ナトリウム溶液に溶解し、
臭化シアンを加えて4℃で6分間攪拌し活性化した。1
N塩酸溶液でpHを8.5に調整後、0.5M炭酸水素
ナトリウム溶液に溶解したアジピン酸ジヒドラジドを終
濃度0.3Mになるように加えた。この混合溶液を一昼
夜4℃にて攪拌した。同反応液の遠心上清を0.2M塩
化ナトリウム溶液に対して透析した後、Bio Gel
P−2カラム(Bio−Red Laborator
ies,Richmond,USA)を用いてゲル濾過
を行った。糖とアミノ基の両方を含む画分を集め、蒸留
水に対して透析後、凍結乾燥した。
【0029】この標品と牛血清アルブミン(BSA)を
蒸留水に溶解し、0.2N塩酸でpHを4.9に調整し
た後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミドを終濃度0.1Mとなるように加
え、3時間攪拌して結合させた。同反応液を0.2M塩
化ナトリウム溶液に対して透析後、遠心上清を回収し
た。この反応生成物をSephacryl S−300
カラムを用いたゲル濾過により精製した。糖とタンパク
質の重なった糖ピーク画分を集め、3日間蒸留水に対し
て透析後、凍結乾燥した。これをBSA結合精製多糖抗
原とした(以下菌体表層多糖−BSAのように表記す
る)。
【0030】BSA以外のポリペプチドについても同様
の方法で菌体表層多糖と結合させた。
【0031】〔実施例2〕日本白色種のウサギを用いて
免疫実験を行った。上記実施例1で調製したA.a.Y
4株およびP.g.381株の菌体表層多糖−BSA抗
原を下記の吸収促進剤等と混合したものをそれぞれ10
0μlずつ鼻粘膜に投与して免疫した。初回免疫後、2
週間ごとに計4回免疫した。
【0032】免疫ワクチンの組成 抗原(菌体表層多糖−BSA等) 200μg/ml コレラトキシンBサブユニット 100μg/ml グリココール酸ナトリウム 0.3% 塩化ベンゼトニウム 0.2% ─────────────────────────────────── 実験群 免疫抗原 ─────────────────────────────────── A(非免疫群) 生理食塩水 B(A.a.菌体) A.a.Y4株ホルマリン処理菌体 C(P.g.菌体) P.g.381株ホルマリン処理菌体 D(A.a.線毛) A.a.Y4株線毛 E(P.g.線毛) P.g.381株線毛 F(A.a.多糖−BSA) A.a.Y4株菌体表層多糖−BSA G(P.g.多糖−BSA) P.g.381株菌体表層多糖−BSA ─────────────────────────────────── 最終免疫の1週間後に血液および唾液を採取し、血清お
よび唾液中の抗体価をELISA法で測定した。ELI
SA法による抗体価の測定は以下のように行った。10
0μg/mlに調製した各種菌体を96穴マイクロプレ
ートに添加してコーティング後、0.1%ゼラチン溶液
を添加してブロッキングを行った。洗浄後のウェルに、
適当に希釈した血清または唾液を添加して反応させた。
洗浄後、アルカリフォスファターゼ標識ヒツジ抗ウサギ
免疫グロブリン(H+L)抗体を添加して反応させた。
洗浄後、p−ニトロフェニルリン酸2ナトリウムを加
え、405nmの吸光度を測定した。結果を表1および
表2に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表1および表2の結果から明らかなよう
に、菌体表層多糖−BSAを免疫すると、血清および唾
液中に産生される抗体は該菌に対する反応性が高く、し
かもヒト口腔内常在細菌であるストレプトコッカス・サ
ンギス(S.sanguis)、ストレプトコッカス・
サリバリウス(S.salivarius)等に対する
反応性が低く、よって反応特異性が極めて高いことが認
められた。
【0036】〔実施例3〕実施例1で調製したP.g.
菌体表層多糖−BSA抗原ワクチンによる、該菌の口腔
内定着抑制効果について調べた。
【0037】下顎前歯茎部に歯周炎を好発するラット
(ODUラット)を用いて免疫実験を行った。各群10
匹のODUラットの鼻粘膜に下記のワクチンを50μl
ずつ投与して免疫した。初回免疫後、1週間ごとに同様
に免疫し、合計6回免疫した。
【0038】免疫ワクチンの組成 抗原(菌体表層多糖−BSA) 200μg/ml コレラトキシンBサブユニット 100μg/ml グリココール酸ナトリウム 0.3% 塩化ベンゼトニウム 0.2% 初回免疫の4週後から3日間、P.g.381株培養菌
液(OD550nm=0.1)0.1mlをラット口腔
内に滴下してP.g.菌を感染させた。菌感染3週後に
ラット歯茎部プラークを採取し、プラーク中のP.g.
菌数および全嫌気性細菌数を測定した。全嫌気性細菌数
に対するP.g.菌数の比率を求め、P.g.菌定着率
とした。結果を表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】表3の結果から明らかなように、本発明の
ワクチン抗原である菌体表層多糖−BSA抗原を免疫し
た群は、コントロール群やBSA免疫群と比較してP.
g.菌定着率が有意に低く、よって、本発明のワクチン
は該菌の口腔内への定着を著しく抑制できることが確認
された。
【0041】〔実施例4〕菌体表層多糖と結合するポリ
ペプチドの分子量の相違による抗体産生効果の違いにつ
いて検討した。
【0042】実施例1に記載の方法により、P.g.菌
体表層多糖と下記の各種ポリペプチドとを結合させた。
実施例2と同様の方法により、各種抗原をウサギに免疫
し、血清および唾液中の抗体価をELISA法で測定し
た。ただし、本実施例では菌体表層多糖に対する特異的
抗体価のみを検出するために、ELISA抗原として
P.g.菌体表層多糖を用いた。すなわち、実施例1の
(2)の方法で精製したP.g.菌体表層多糖を、あら
かじめ過ヨウ素酸ナトリウムで活性化した後、Carb
ohydrate Binding Plate(Co
star,Cambridge,USA)のウェルに添
加して化学的に結合させた。0.1%ゼラチン溶液を添
加してブロッキングを行った後、適当に段階希釈したウ
サギ血清または唾液を添加して反応させた。洗浄後、ア
ルカリフォスファターゼ標識ヒツジ抗ウサギ免疫グロブ
リン(H+L)抗体を添加して反応させた。洗浄後、p
−ニトロフェニルリン酸2ナトリウムを加え、405n
mの吸光度を測定した。P.g.菌体表層多糖−BSA
を免疫して得られたウサギ抗血清または唾液を標準サン
プルとして用いて標準曲線を作成し、それぞれのlog
−logitプロットから各サンプルのELISA u
nitを算出した。結果を表4に示した。
【0043】 菌体表層多糖と結合したポリペプチド[分子量] クルペイン(ニシン精子) [ 4,100] シトクロムc(ウマ心臓) [ 12,400] β−ラクトグロブリン(ウシ乳) [ 18,400] 卵白アルブミン [ 45,000] ウシ血清アルブミン(BSA) [ 66,000] γ−グロブリン(ウマ血清) [143,000〜149,000] フェリチン(ウマ脾臓) [460,000] ポリ−L−リジン [ 1,000〜 4,000] ポリ−L−リジン [ 4,000〜 15,000] ポリ−L−リジン [ 15,000〜 30,000] ポリ−L−リジン [ 70,000〜150,000] ポリ−L−リジン [150,000〜300,000] ポリ−L−リジン [300,000〜 ]
【0044】
【表4】
【0045】表4の結果から、菌体表層多糖をポリペプ
チドと結合したものをワクチン抗原として用いて免疫す
ると、血清および唾液中に菌体表層多糖に対する高い抗
体価の産生誘導が引き起こされることが示された。ま
た、結合するポリペプチドの分子量がおよそ1万から3
0万の範囲のものを用いると、抗体産生誘導能が特に高
いことが明らかとなった。
【0046】〔実施例5〕菌体表層多糖と結合するポリ
ペプチドの種類による抗体産出効果の違いについて検討
した。
【0047】実施例1に記載の方法により、P.g.菌
体表層多糖と下記のポリペプチドとを結合させた。
【0048】実施例2と同様の方法により、各抗原をウ
サギに免疫し、血清中の菌体表層多糖に対する抗体価、
および結合したポリペプチドに対する抗体価をそれぞれ
ELISA法で測定した。菌体表層多糖に対する抗体価
は、実施例4に記載の方法で測定した。
【0049】結合したポリペプチドに対する抗体価の測
定は以下のように行った。100μg/mlに調製した
ポリペプチドを96穴マイクロプレートに添加してコー
ティング後、0.1%ゼラチン溶液を添加してブロッキ
ングを行った。洗浄後のウェルに、適当に希釈した血清
を添加して反応させた。洗浄後、アルカリフォスファタ
ーゼ標識ヒツジ抗ウサギ免疫グロブリン(H+L)抗体
を添加して反応させた。洗浄後、p−ニトロフェニルリ
ン酸2ナトリウムを加え、405nmの吸光度を測定し
た。結果を表5に示した。
【0050】菌体表層多糖と結合したポリペプチド ウシ血清アルブミン(BSA) ウサギ血清アルブミン(RSA)
【0051】
【表5】
【0052】表5の結果から、菌体表層多糖と結合する
ポリペプチドとして、免疫する動物由来のポリペプチド
(タンパク質)を選択すると、他のポリペプチドを結合
した場合と比べて、菌体表層多糖に対する抗体価の上昇
効果は若干低いものの、結合したポリペプチドに対する
抗体はほとんど産生されないことが示された。このこと
から、ヒトに投与する歯周病予防ワクチンにおいては、
ヒト由来のポリペプチド(タンパク質)を菌体表層多糖
と結合したものを用いることにより、余分な抗体を産生
させない、より安全性の高いワクチン抗原となることが
期待される。
【0053】さらに、以下の処方の歯周病予防ワクチン
を調製した。なお、%はいずれも重量%を示す。菌種名
は省略して示しており、P.g.はポルフィロモナス・
ジンジバリス、A.a.はアクチノバチルス・アクチノ
マイセテムコミタンス、P.i.はプレボテーラ・イン
ターメディア、F.n.はフゾバクテリウム・ヌクレア
タム、C.r.はキャンピロバクター・レクタス、B.
f.はバクテロイデス・フォーサイサス、T.d.はト
レポネーマ・デンティコーラを示す。また、BSAはウ
シ血清アルブミンを、HSAはヒト血清アルブミンを示
す。
【0054】 〔実施例6〕点鼻用ワクチン P.i.菌体表層多糖−BSA 0.05% 塩化ベンゼトニウム 0.1 % グリセリン 0.8 % ヒドロキシエチルセルロース 0.8 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0055】 〔実施例7〕点鼻用ワクチン A.a.菌体表層多糖−ジフテリアトキソイド 0.02% グリココール酸ナトリウム 0.1 % グリセリン 2.0 % コレラトキシンBサブユニット 0.05% 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0056】 〔実施例8〕点鼻用ワクチン F.n.菌体表層多糖−カゼイン 0.01% 塩化ベンザルコニウム 0.05% グリセリン脂肪酸エステル 0.8 % ソルビット 0.6 % メチルセルロース 0.6 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0057】 〔実施例9〕点鼻用ワクチン C.r.菌体表層多糖−卵白アルブミン 0.01% 塩化ベンゼトニウム 0.1 % ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.8 % キシリット 0.5 % ヒドロキシメチルセルロース 0.8 % 安息香酸 0.1 % ミョウバン 0.02% 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0058】 〔実施例10〕点鼻用ワクチン A.a.菌体表層多糖−コレラトキシンBサブユニット 0.02% コール酸 0.2 % ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エーテル 1.0 % ソルビット 2.0 % ブチルパラベンHCl 0.1 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0059】 〔実施例11〕点鼻用ワクチン B.f.菌体表層多糖−γ−グロブリン 0.02% デオキシコール酸カリウム 0.3 % 塩化セチルピリジニウム 1.5 % ソルビット 0.7 % ムラミルジペプチド 0.05% アラビアゴム 0.3 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0060】 〔実施例12〕点鼻用ワクチン T.d.菌体表層多糖−BSA 0.04% ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 0.5 % クロルヘキシジングルコネート 0.1 % グリセリン 0.8 % ヒドロキシエチルセルロース 0.5 % コレラトキシンBサブユニット 0.08% 水酸化アルミニウム 0.1 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0061】 〔実施例13〕点鼻用ワクチン P.g.菌体表層多糖−HSA 0.1 % グリココール酸ナトリウム 0.1 % ステアリン酸 0.05% グリセリン 0.8 % ミョウバン 0.1 % ブチルパラベンHCl 0.1 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0062】 〔実施例14〕経口用ワクチン A.a.菌体表層多糖−HSA 0.1 % 白糖 35.0 % ゼラチン 0.5 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0063】 〔実施例15〕注射用ワクチン P.g.菌体表層多糖−HSA 0.1 % リン酸アルミニウム 0.1 % ゼラチン 0.02% チメロサール 0.01% 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %
【0064】 〔実施例16〕注射用ワクチン A.a.菌体表層多糖−BSA 0.05% 乳糖 2.5 % ブドウ糖 2.5 % ヒト血清アルブミン 0.2 % ゼラチン 0.5 % 精製水 残 量 ─────────────────────────────────── 合 計 100 %

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯周病原因菌の菌体表層由来多糖とポリ
    ペプチドとを結合したものを抗原とする歯周病予防ワク
    チン。
  2. 【請求項2】 歯周病原因菌がポルフィロモナス・ジン
    ジバリスである請求項1記載の歯周病予防ワクチン。
  3. 【請求項3】 歯周病原因菌がアクチノバチルス・アク
    チノマイセテムコミタンスである請求項1記載の歯周病
    予防ワクチン。
  4. 【請求項4】 ポリペプチドが、分子量1万〜30万の
    範囲のポリペプチドである請求項1,2又は3記載の歯
    周病予防ワクチン。
  5. 【請求項5】 ポリペプチドが、ヒト由来のポリペプチ
    ドである請求項1乃至4のいずれか1項記載の歯周病予
    防ワクチン。
  6. 【請求項6】 ワクチンが粘膜投与用であり、吸収促進
    剤を含有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の歯周
    病予防ワクチン。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018052886A (ja) * 2016-09-29 2018-04-05 小林製薬株式会社 水性製剤

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