JPH08174226A

JPH08174226A - 鋼板の溶接装置

Info

Publication number: JPH08174226A
Application number: JP32661394A
Authority: JP
Inventors: Tsuneo Nagamine; 恒夫長嶺
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1994-12-28
Filing date: 1994-12-28
Publication date: 1996-07-09

Abstract

(57)【要約】【構成】先行板の後端部をクランプする出側クランプ
装置の後端位置と、後行板の先端部をクランプする入側
クランプ装置の先端位置との間の距離を測定する距離計
を、ＷＳとＤＳとに配設し、さらに両者の測定値を比較
する比較器、両者の測定値の差が許容限界を超えたとき
に警報を発する警報器を備えたプロセスラインでの鋼板
の溶接装置。【効果】固定台に対する移動台の移動量を検出するこ
とによって、接合部の切断面をより忠実に検出できるの
で、鋼板の幅方向の突き合わせ隙間の不均一による溶接
不良を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プロセスラインにおけ
るストリップ等の鋼板の溶接装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】薄鋼板ないしは中厚鋼板を処理するプロ
セスラインにおいては、先行板の後端部と後行板の先端
部とをフラッシュバット溶接やシーム溶接等で接合する
ことにより連続的に処理することができる。近年、冷間
圧延工程においては連続化等によって生産性が非常に高
くなっており、各プロセスラインの殆どに溶接機が設置
され、先行板と後行板との溶接を行うことで高速かつ連
続的な処理が行われている。

【０００３】これらの各プロセスラインにおいて鋼板の
破断事故が発生すると、破断鋼板の処理、プロセスライ
ンの復旧には多くの時間が必要である。例えば、連続焼
鈍炉内でこのような鋼板の破断事故が発生すると、少な
くとも２５時間前後のプロセスラインの停止を余儀なく
される。鋼板が破断する確率は、母材部の破断よりも溶
接部の強度不足や溶接欠陥に起因する割合が高く、した
がって、先行板と後行板との溶接部の品質は最重要な管
理項目となっている。

【０００４】これらの溶接において、その品質に大きく
係わる要因としては、溶接電流値、溶接電圧値、通電時
間等の電気的な要因に併せて、先行板、後行板をクラン
プする力、先行板、後行板の突き合わせ精度等の機械的
要因も適正な範囲に管理することが絶対に必要である。
プロセスラインにおける溶接法としては、先行板と後行
板とを突き合わせて溶接するフラッシュバット溶接、先
行板と後行板とを重ね合わせて溶接するシーム溶接、あ
るいは先行板と後行板とをレーザ光を使って溶接するレ
ーザ溶接等が実施されている。

【０００５】これらの溶接では、いずれの方法でも先行
板の後端部と後行板の先端部とをそれぞれ出側および入
側クランプ装置でクランプし、突き合わせ部となる部分
を同時にシャー等で切断し、全幅にわたって均一な突き
合わせ隙間、ないしは均一な重ね代をもつようにしてい
る。この突き合わせ隙間や重ね代は、溶接条件として非
常に重要な要因で、厳しく管理する必要がある。

【０００６】例えば、フラッシュバット溶接において
は、全板幅においてワークサイド（プロセスラインのオ
ペレータのいる側で、以下ＷＳと略す。）とドライブサ
イド（プロセスラインの駆動モータの設置側で、以下Ｄ
Ｓと略す。）での鋼板の突き合わせ隙間の許容差は、経
験的に１ｍｍ以内とされている。突き合わせ隙間の許容
差が、この値以上になると、前述したような溶接部の破
断によるプロセスラインのラインの停止事故等が多発す
るようになる。

【０００７】フラッシュバット溶接機は、先行板の後端
部をクランプする固定台の出側クランプ装置に、ＷＳと
ＤＳとの両側から２本の溶接シリンダを伸ばし、この溶
接シリンダのヘッドを後行板の先端部をクランプする移
動台の入側クランプ装置とチャッキング装置とでチャッ
キングをおこない、溶接シリンダのヘッドを固定台側に
引き寄せながら突き合わせ溶接する機構となっている。

【０００８】この突き合わせ精度を監視するために、溶
接シリンダの後端にはポテンショメータを備え、溶接時
の溶接シリンダのヘッドの動作を検出することによっ
て、鋼板の突き合わせ精度（ＷＳとＤＳとの移動量の
差）を監視できるようになっている。しかしながら、こ
の従来のポテンショメータによる監視方法では、溶接シ
リンダのヘッドの磨耗、あるいは溶接シリンダのヘッド
をチャッキングするチャッキング装置の部品の磨耗等の
要因によって、溶接シリンダのヘッドの移動量は一定で
あっても、後行板の先端部をクランプしている移動台側
の入側クランプ装置の動きに変化が生じても、これを検
出することができないために突き合わせ精度が狂い、溶
接不良となる場合が多かった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
点を解決するために、先行板の後端部をクランプする出
側クランプ装置の後端位置と、後行板の先端部をクラン
プする入側クランプ装置の先端位置とのＷＳとＤＳとに
距離計を設置して、溶接時のクランプ装置の間隔がＷＳ
とＤＳとで差が生じない、あるいはその差が許容限界を
超えていないか、若しくは、過去の経緯から判断して、
何時ごろ許容限界に達するかを診断し、溶接不良の発生
を防止することのできる鋼板の溶接装置を提供すること
を課題とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、鋼板の溶接装
置であって、先行板の後端部をクランプする出側クラン
プ装置の後端位置と、後行板の先端部をクランプする入
側クランプ装置の先端位置との間の距離を測定する距離
計を、ワークサイドとドライブサイドとに配設し、さら
に両者の測定値を比較する比較器、両者の測定値の差が
許容限界を超えたときに警報を発する警報器を備えたこ
とを特徴とする鋼板の溶接装置である。

【００１１】

【作用】本発明の装置では、先行板の後端部をクランプ
する固定台の出側クランプ装置の後端位置と、後行板の
先端部をクランプする移動台の入側クランプ装置の先端
位置との間の距離を、ＷＳとＤＳとで直接距離計で測定
し、その移動量を監視することによって、溶接するため
に互いの鋼板を突き合わせ、フラッシングからバッティ
ングに至る鋼板の左右の動きをみることによって、突き
合わせ隙間の不良による溶接品質の低下を防止するよう
に構成する。

【００１２】例えば、ＷＳとＤＳでのそれぞれの移動量
を比較器で比べ、その測定値の差が１ｍｍ以上に達した
ときには、何らかの警報を発する警報器を備え、あるい
は、ＷＳとＤＳでの移動量の測定値の差を傾向管理して
１ｍｍ以上となる時期を予測し、そのときに、メンテナ
ンスを計画的に実施するようにしてもよい。

【００１３】

【実施例】以下、従来のポテンショメータによる移動量
の測定装置と、本発明の距離計による移動量の測定装置
を併設したフラッシュバット溶接機での実験結果を、実
施例および従来法として記載する。図１は本発明のフラ
ッシュバット溶接機の距離計を取り付けた状態を示す側
面図、図２は本発明のフラッシュバット溶接機の待機状
態を示す側面図、図３は同じくその溶接状態を示す側面
図である。また、図４は本発明の距離計による移動量の
監視フローを示す説明図である。図５は従来法のポテン
ショメータを備えた溶接シリンダの溶接前の状態を示す
側面図であり、図６は同じく従来法のポテンショメータ
を備えた溶接シリンダの溶接時の状態を示す側面図であ
る。

【００１４】図中の符号は、１は溶接機の固定台、２は
溶接機の移動台、３は固定台の出側クランプ装置、４は
移動台の入側クランプ装置、５は先行板、６は後行板、
７は溶接シリンダでＤＳおよびＷＳに各１本づつ配置し
てある。８は溶接シリンダ７のヘッド、９はヘッド８の
チャッキング装置、１０は出側クランプ装置３の後端位
置と、入側クランプ装置４の先端位置との間の距離を計
る距離計、１１はシャー、１２は溶接機の移動台２の移
動シリンダ、１３は従来例のポテンショメータを示す。

【００１５】図２の状態において、先行板５の後端部を
固定台１の出側クランプ装置３でクランプしたあと、シ
ャー１１でその後端部を切断する。他方、後行板６の先
端部は、移動台２の入側クランプ装置４でクランプした
あと、同じくシャー１１で切断する。その後、移動シリ
ンダ１２によって移動台２は後行板６をクランプしたま
ま固定台１側に移動する。

【００１６】図５、６において、この時溶接機の固定台
１に設けられた溶接シリンダ７（ＷＳとＤＳとの両方に
設置）は前進限の状態にあって、移動台２を迎える。溶
接シリンダ７の先端には溶接シリンダ７のヘッド８があ
り、移動台２には溶接シリンダ７のヘッド８をチャッキ
ングするチャッキング装置９を備えている。溶接シリン
ダ７のヘッド８をチャッキングすることで固定台１と移
動台２とは一体になる。ここで移動シリンダ１２はフリ
ーになり、溶接シリンダ７は後退しながら移動台２を引
き寄せる。

【００１７】フラッシュバット溶接においては、先行板
５と後行板６との突き合わせ隙間が約１ｍｍ前後になっ
たときから電流を流し、放電によって鋼板の接合部を加
熱しながら近づけ、充分に加熱した時点でアップセット
を行い、接合が終了する。従来は、このフラッシュ開始
からアップセット終了に至までの溶接シリンダ７の移動
量を、溶接シリンダ７の後端の、かつ、ＷＳとＤＳとの
両方に配設セットされたポテンショメータ１３によって
検出し、その差の有無を監視することで、先行板５と後
行板６との突き合わせ精度の異常（ＷＳとＤＳでの先行
板５と後行板６との突き合わせの狂い）の有無を判定し
ていた。

【００１８】しかしながら、この方法では、溶接シリン
ダ７のヘッド８とチャッキング装置９との間に、磨耗等
による隙間がないことが前提であって、隙間がある場合
にはこの検出方法は当然ながら不正確なものとなる。す
なわち、溶接シリンダ７の移動量は一定したものであっ
ても、隙間の生じた状態では、移動台２は、溶接シリン
ダ７の動きとは異なった状態になる。

【００１９】そこで、図１に示したように、固定台１と
移動台２の間で、ＷＳとＤＳとの両側に距離計１０を設
置して移動台２の移動量を監視できるようにした。これ
によって、移動台２の移動量の異常が容易に検出するこ
とができ、先行板５と後行板６との突き合わせ精度の変
化を容易に検出できるようになった。図４に示す通り移
動量の監視は、ＷＳとＤＳのそれぞれの距離計１０から
の測定値を比較器２０で比べ、その差が予め入力された
設定値内か否かを判定器２１で演算し判定する。そし
て、設定値を超えているときには、警報器２２でメンテ
ナンスの必要を警報する。また、比較器２０による測定
値の差を、記録計２３に常時記録するようにしておけば
メンテナンス時期を予測することができる。

【００２０】図７、８、および９は、実際に溶接不良を
生じたときの溶接シリンダ７の移動量の検出例を示した
グラフである。すなわち、図７はポテンショメータ１３
によるＷＳでの溶接シリンダ７の移動量を示し、図８
は、ポテンショメータ１３によるＤＳでの溶接シリンダ
７の移動量を示したグラフである。図９は本発明に係
る、先行板の後端部をクランプする出側クランプ装置の
後端位置と、後行板の先端部をクランプする入側クラン
プ装置の先端位置間の距離を測定する距離計による溶接
シリンダ７の移動量示すグラフであり、（ａ）はＷＳで
の移動量を、（ｂ）はＤＳでの移動量をそれぞれ示して
いる。

【００２１】なお、図７、８および９で、縦軸は移動量
（ｍｍ）を、また、横軸は経過時間（秒）である。図
７、８に示したポテンショメータ１３による従来例で
は、ＷＳとＤＳでの移動量に差異は全く認められない。
ところが、このときの移動台２の移動量は、図９
（ａ）、（ｂ）に示すように、本発明の距離計による測
定では、移動台２は、ＷＳとＤＳの移動量に約３ｍｍの
誤差をもった移動量となり、これが溶接不良の原因にな
っていたことがわかる。

【００２２】このように、本発明の溶接装置によると、
先行板５と後行板６との突き合わせ状態をより忠実に検
出することが可能となり、溶接部の品質の劣化防止に有
効なことがわかる。

【００２３】

【発明の効果】以上、本発明の距離計を用いて移動量を
測定することによって、固定台に対する移動台の移動量
を検出して、接合部の切断面をより忠実に検出できるの
で、鋼板の幅方向の突き合わせ隙間の不均一による溶接
不良を防止できる大きな効果がえられる。

【００２４】なお、以上の説明では、フラッシュバット
溶接機を例として説明したが、本発明はこれに限定され
ることなく、シーム溶接機、レーザ溶接機に適用しても
同様の効果をえることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例のフラッシュバット溶接機の距
離計を取り付け状態を示す側面図である。

【図２】本発明の実施例のフラッシュバット溶接機の待
機状態を示す側面図である。

【図３】本発明の実施例のフラッシュバット溶接機の溶
接状態を示す側面図である。

【図４】本発明の距離計による移動量の監視フローを示
す説明図である。

【図５】従来のポテンショメータを備えた溶接シリンダ
の溶接前の状態をしめす側面図である。

【図６】従来のポテンショメータを備えた溶接シリンダ
の溶接時の状態をしめす側面図である。

【図７】従来のポテンショメータによるＷＳでの溶接シ
リンダの移動量を示すグラフである。

【図８】従来のポテンショメータによるＤＳでの溶接シ
リンダの移動量を示すグラフである。

【図９】本発明の距離計を備えたフラッシュバット溶接
機での移動台の移動量の測定値を示すグラフであり、
（ａ）はＷＳでの移動量を、（ｂ）はＤＳでの移動量を
示す。

【符号の説明】

１固定台２移動台３固定台の出側クランプ装置４移動台の入側クランプ装置５先行板６後行板７溶接シリンダ８溶接シリンダのヘッド９チャッキング装置１０距離計１１シャー１２移動シリンダ１３ポテンショメータ２０比較器２１判定器２２警報器２３記録計

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】鋼板の溶接装置であって、先行板の後端
部をクランプする出側クランプ装置の後端位置と、後行
板の先端部をクランプする入側クランプ装置の先端位置
との間の距離を測定する距離計を、ワークサイドとドラ
イブサイドとに配設し、さらに両者の測定値を比較する
比較器、両者の測定値の差が許容限界を超えたときに警
報を発する警報器を備えたことを特徴とする鋼板の溶接
装置。