JPH08173891A - 塗膜の製造方法 - Google Patents

塗膜の製造方法

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JPH08173891A
JPH08173891A JP32297694A JP32297694A JPH08173891A JP H08173891 A JPH08173891 A JP H08173891A JP 32297694 A JP32297694 A JP 32297694A JP 32297694 A JP32297694 A JP 32297694A JP H08173891 A JPH08173891 A JP H08173891A
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coating
paint
slit
substrate
film
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JP32297694A
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Takayoshi Akamatsu
孝義 赤松
Tetsuya Goto
哲哉 後藤
Tetsuo Suzuki
哲男 鈴木
Hideo Ido
英夫 井戸
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】塗料吐出用のスリットを設けたスリットダイコ
ータ口金を用いて基体上に塗料を塗布し塗膜を製造する
方法において、塗工開始前および/または塗工終了後
に、塗料を吐出し、次いで該口金のリップ部分を吹きと
ることを特徴とする塗膜の製造方法。 【効果】塗工開始位置付近の膜厚の均一性を保ち、塗工
開始位置から塗工方向に発生するすじ状欠陥を抑制する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗膜の製造方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、塗料を比較的短尺の基
体に塗工し塗膜を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーフィルタ製造などの分野において
は、塗工方向の長さが比較的短尺の基体に塗料を薄くか
つ均一に塗工することが求められる。この要請に対し
て、1枚づつ基体を供給して、塗工を繰り返すいわゆる
枚葉塗工が採用される。
【0003】枚葉塗工方法としては、一般的にスピンコ
ータ、ロールコータ、バーコータが挙げられる。
【0004】スピンコータは、回転する基体に塗料を滴
下し、回転数や塗料の濃度、流動特性によって基体上に
均一な塗膜を形成する方法である。この方法は、塗膜と
して基体上に残る塗料に対して20〜30倍の塗料を使
用し塗料の使用効率に劣る問題がある。また、裏回りと
よばれる基体裏面への塗料の付着が避けられず、品質上
問題がある。
【0005】ロールコータは、ゴムロールや金属ロール
を介して塗料を基体に転写する方法であり、ゴムロール
や金属ロールの模様がでやすい問題がある。また、ロー
ルコータにおいて塗料はパンとよばれる開放型の塗料溜
めに収容されて使用されていくので、基体に塗工される
までの空気との接触が長く、吸湿、酸化、溶媒の蒸発に
よる変質をきたしやすい。さらに開放型の塗料溜めであ
ることから、塗膜欠陥となる異物が混入しやすい問題も
ある。
【0006】バーコータは、ロッドとよばれる金属棒に
細い金属ワイヤを巻いたバーを用いて基体上に塗膜を形
成する方法である。この方法では、ワイヤが基体または
基体上の塗膜に接触するため、基体または基体上の塗膜
に傷がはいりやすかったり、塗膜にすじがはいりやすい
問題がある。
【0007】スリットダイコータは、塗工ヘッドに設け
られたスリットから所定間隔離して基体を設置し、スリ
ットから塗料を吐出しつつ塗工ヘッドと基体とを相対的
に走行させて塗膜を形成する方法である。この方法によ
れば、ほとんど塗料を無駄にすること無く、裏回りの問
題もない。塗料の供給経路も密閉系にできる。また、基
体と口金は所定の間隙を保って相対的に移動するので基
体または塗膜に傷をつけることもない。しかしながら、
スリットダイコータは本来、数m以上の長尺基体に連続
的に塗膜を形成する方法であって、枚葉塗工装置には不
向きとされてきた。
【0008】スリットダイコータは口金先端のリップ部
分と基体との間隙を数十μmから数mmに保って、この
間隙にビードと呼ばれる塗料保持部分を形成し、ビード
への塗料供給とビードから移動していく基体表面への塗
料移行とをバランスさせることで均一な塗膜を得る方法
である。ところが、枚葉塗工においては、短尺の基体毎
にビード形成、保持、ビード消滅が繰り返されるため、
塗膜の均一性コントロールが難しい問題があった。特に
塗工開始位置付近の膜厚コントロールや塗工開始位置か
ら塗工方向に発生するすじ状欠陥抑制が問題であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗料
使用効率、塗料溜めの密閉性などの特徴を有するスリッ
トダイコータを枚葉塗工へ適応させること、さらには、
塗工開始位置付近の膜厚の均一性を保ち、かつ塗工開始
位置から塗工方向に発生するすじ状欠陥を抑制できるス
リットダイコータを用いた塗膜の製造方法を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構成を有
する。
【0011】すなわち、塗料吐出用のスリットを設けた
スリットダイコータ口金を用いて基体上に塗料を塗布し
塗膜を製造する方法において、塗工開始前および/また
は塗工終了後に、塗料を吐出し、次いで該口金のリップ
部分を吹きとることを特徴とする塗膜の製造方法であ
る。
【0012】次に本発明の塗膜の製造方法について図面
に従って説明する。
【0013】図1は、本発明の枚葉塗工装置の一例を示
したものである。
【0014】一般的に、スリットダイコータ口金は、塗
工上流側(これから塗布されていく側)のバックアップ
リップ1と塗工下流側(既に塗布された側)のドクタ−
リップ2が組み合わされてなる。バックアップリップと
ドクタ−リップは所定間隙のスリット3をもって保持さ
れる。スリットの両脇にリップ先端面4a、4bがあ
り、塗工中はリップ先端面と基体5との間に塗料を保持
して、供給される塗料と基体に持ち去られる塗料とがバ
ランスして均一な塗膜6が形成される。7は密閉された
塗料溜めであり、8は塗料供給用ポンプ、9は基体を吸
着して搬送するステージである。
【0015】リップ先端面4a、4bには塗工終了時に
は塗料が付着している。また、基体上の塗工終了位置付
近の塗膜厚みを増大させないために、実質的な基体への
塗工終了位置で塗料供給用ポンプを反転駆動して口金ス
リットから塗料を吸引することが有効であるが、この吸
引でスリットの内部まで空隙が発生する。これらのリッ
プ先端面の塗料の付着やスリットの内部の空隙を残した
まま次の基体の塗工を開始すると、塗工不良が発生す
る。すなわち、リップ先端面の塗料の付着があったとき
には、塗工開始位置付近の膜厚の増大や塗工開始位置か
ら塗工方向へのすじ状欠陥の発生があり、スリットの内
部の空隙を残したままの場合は、塗工開始位置付近の膜
厚の減少がある。工程時間待ちなどで塗工に間が開いた
ときにスリットの内部の空隙を残したままであると、ス
リット内部で塗料の乾燥・固化がおこり、塗工を再開し
たときに塗膜へのパーティクル混入を引き起こし欠点と
なる。スリット内部での塗料の乾燥・固化は、リップ先
端面での塗料の乾燥・固化に比べて除去が難しいため
に、より重大である。
【0016】図2は本発明の枚葉塗工装置の口金リップ
部分を拭き取り機構の一例を示したものである。
【0017】バックアップリップ1、ドクターリップ2
のリップ部分に沿った形状の拭き取り部材10が用意さ
れ、図には示されていない移動機構でリップ部分に押し
付けられつつ、紙面に垂直方向に移動される。拭き取ら
れた塗料は塗料受け11に滴下し排出される。拭き取り
機構は図1のステージ9の前後に付加されても良いし、
ステージとは別に必要なときだけ口金下に挿入されるよ
うにされていてもよい。
【0018】本発明において、リップ部分を拭き取る前
に、すなわち塗工開始前または塗工終了後に、塗料を吐
出することが重要である。塗工終了位置付近の塗膜厚み
を増大させないために、実質的に基体への塗工終了位置
で塗料供給用ポンプを反転駆動して口金スリットから塗
料を吸引した場合にはスリット内側に空隙が生じるが、
リップ部分を拭き取る前に、塗料を吐出することによっ
て、スリット内側の空隙を塗料で充填してリップ先端面
に揃えて、つまりスリットいっぱいに塗料が充填された
状態で再現性よく塗工を開始することができる。工程時
間待ちなどで塗工に間が開いたときにスリットの内部の
空隙で塗料の乾燥・固化がおこらぬよう塗工終了後、実
質的に連続して、塗料を吐出することがより好ましい。
【0019】塗工終了位置で塗料供給用ポンプを反転駆
動して口金スリットから塗料を吸引しない場合でもリッ
プ部分に塗料を供給して、該拭き取り部材の滑りを良く
したり、塗工に間が開いてリップ先端で乾燥・固化した
塗料を再溶解して除去する効果がある。該拭き取り部材
がリップ先端をスムースに移動しないときはリップに拭
き取りむらが生じ、塗工開始位置から塗工方向へのすじ
状欠陥の原因となる。
【0020】該拭き取り部材の材質としては、塗料に対
して溶解したり膨潤したりせず、口金を傷つけずまた口
金リップを効果的に拭き取るための柔軟性を備えている
ことが望ましい。このような材料としては、エチレン−
プロピレン共重合体、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、
弗素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ニトリルゴム、シリ
コーンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好適に採
用される。摺動による粉の発生が少ない点やこの粉がリ
ップに付着したり、塗膜に混入したときの悪影響が少な
い点でエチレン−プロピレン共重合体やシリコーン樹脂
の採用が好ましい。これらの樹脂に帯電防止を目的とし
て、導電性粉末や帯電防止剤を添加することは適宜許さ
れる。
【0021】本発明の塗膜の製造方法は、あらゆる塗料
の塗布に好適に用いられるが、例えば、着色膜用ペース
トの塗工に用いることができる。以下、本発明の塗膜の
製造方法について着色膜用ぺーストの塗工を一例にして
説明するがこれに限定されるものではない。
【0022】まず着色膜用ペーストとしては、例えば顔
料分散ポリイミド前駆体組成物を用いることができる。
この作製方法としてはあらかじめ溶媒中に顔料を分散し
た分散液とポリイミド前駆体溶液とを混合する方法と、
ポリイミド前駆体溶液中で顔料を分散する方法がある。
どちらの方法でも、顔料を溶媒に分散させるが、分散方
法には特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダ
ー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなど、種々の方法
をとりうる。
【0023】着色膜用ペーストが塗布される基体として
は通常、ソーダガラス、無アルカリガラスであるバリウ
ム硼珪酸ガラスやアルミニウム硼珪酸ガラス、石英ガラ
スなどのガラス、透明プラスチック基板が用いられる。
ナトリウムを含むソ−ダガラスの場合は、ナトリウムの
溶出を防ぐための酸化珪素膜などのバリア層が表面にコ
ーティングされているものが好ましい。
【0024】図1に示した塗料供給装置を備えたスリッ
トダイ装置を一例にして以下説明するがこれに限定され
るものではない。
【0025】着色膜用ぺーストを常圧または正圧に保持
可能な塗料溜め7に仕込み、密閉する。図示されていな
い基体と口金とを相対的に走行させる機構によって、基
体5の塗工開始位置を口金の下に移動させる。着色膜用
ぺーストをポンプ9によってスリットダイ口金に送り、
所定の時間経過させることによってリップ先端面4と基
体との間に、塗工開始後からなるべく短距離で塗工定常
部に近い膜厚を実現させるために好ましい量の塗料を保
持させる。該時間経過が短く塗料の量が十分でないと、
塗工開始から数cmの範囲で塗膜厚みが不足し、該時間
経過が長すぎると塗工開始から数cmの範囲で塗膜厚み
が波打つ現象が見られる。
【0026】次いで、口金に対し基体を送っていきつ
つ、口金のスリット3を通して基体上に塗料を塗布し塗
膜6を形成する。塗工終了位置でポンプを停止して塗料
の吐出を終わる。もしくは、塗工終了位置でポンプを停
止しすぐさまポンプを反転駆動して口金スリットを通し
て塗料を吸引する。塗工終了位置付近での膜厚の増大を
抑えるために、塗工終了位置よりも手前数mmでポンプ
を停止させることも有効である。この場合は、塗工終了
位置に達したときポンプを反転駆動して口金スリットを
通して塗料を吸引する。塗工終了位置付近での膜厚の増
大を抑えるために、塗工終了位置より数mm手前でポン
プを停止することも有効である。このときは、塗工終了
位置に達したときポンプを反転駆動して口金スリットを
通して塗料を吸引する。続いて、口金に所定量の塗料を
送り吐出して、口金下に図2に示した拭き取り部材を挿
入し、口金リップに押し付けながらリップに付着した塗
料を拭き取る。該所定量の塗料とは、塗工終了位置でポ
ンプを停止しすぐさまポンプを反転駆動して口金スリッ
トを通して塗料を吸引した場合、該吸引量以上の量であ
る。該吐出量は通常20μlから1ccの範囲が採用さ
れる。
【0027】塗工が終了した基体はステージから取り外
されて、新たな基体がステージに置かれ次の塗工が同様
に実行される。
【0028】該ポンプとしてはギアポンプ、ダイアフラ
ムポンプ、ピストン型ポンプなどが採用できるが、定量
性があり再現性が良好である点でピストン型のポンプが
好ましい。さらに塗工終了位置で塗料供給用ポンプを反
転駆動して口金スリットから塗料を吸引する場合には吸
引が可能な点でも、ピストン型ポンプの採用が望まし
い。ピストン型ポンプとしては、プランジャーポンプ、
シリンジポンプなどを挙げることができる。また、塗料
供給手段はポンプに限定されず、圧空等であってもよ
い。
【0029】スリットの間隙は、10μmから500μ
mの範囲の所定の値に調整する。スリット間隙が10μ
m未満では、塗料吐出の圧力損失が大きくポンプに過負
荷がかかったり、ポンプの動きに対して塗料吐出の応答
に遅れがあり枚葉塗工として好ましくなかったりする。
スリット間隙が500μmを越えると、口金幅方向の塗
料の吐出量の均一性が確保しにくい。基体とリップ先端
面との間隙であるクリアランスは、10μmから500
μmの範囲の所定の値に設定する。クリアランスが10
μm未満では、基体のうねりや基体と口金とを相対的に
走行させる機構の精度のため基体とリップ先端面との接
触を避けることが難しい。
【0030】着色膜用ぺーストを前記のような方法で透
明基板上に塗布した後、基体はステージから取り外さ
れ、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリイミド
前駆体着色膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、
ホットプレートなどを使用し、50℃から180℃の範
囲で1分から3時間おこなうことが好ましい。次に、こ
のようにして得られたポリイミド前駆体着色膜に、通常
の湿式エッチングによりパターンを形成する。まず、ポ
リイミド前駆体着色膜上にポジ型フォトレジストを塗布
し、フォトレジスト膜を形成する。続いて該フォトレジ
スト膜上にマスクを置き、露光装置を用いて紫外線を照
射する。露光後、ポジ型フォトレジスト用アルカリ現像
液により、フォトレジスト膜とポリイミド前駆体着色膜
のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となっ
たフォトレジスト膜を剥離する。
【0031】ポリイミド前駆体着色膜は、その後、加熱
処理することによって、ポリイミド着色膜に変換され
る。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるい
は、真空中などで、段階的に昇温するか温度範囲を選び
連続的に昇温しながら5分から5時間実施する。熱処理
の温度範囲は150℃から450℃、好ましくは180
℃から350℃である。
【0032】以上の工程を赤、緑、青の3色の着色膜用
ぺーストおよび必要に応じて黒色の着色膜用ペースト
(ブラックマトリクス用ぺースト)についておこなうこ
とにより、カラーフィルタを得ることができる。着色膜
(含ブラックマトリクス)の膜厚は0.2μmから5μ
mの範囲から選ばれる。
【0033】本発明の塗膜の製造方法は、このような着
色膜用ペーストの塗工の他、カラーフィルタの保護膜形
成用塗料の塗工にも好適に用いられる。
【0034】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するがこれらに限定されるものではない。[特性の測
定・評価方法] (1)平均膜厚の算出 基体の中央から塗工方向に10mmピッチで塗工開始位
置および塗工終了位置に向かって膜厚を測定する。測定
した全部の点を平均して平均膜厚とする。
【0035】(2)塗工開始部分の膜厚変動の評価 塗工開始位置から塗工方向に基体中央に向かって20m
mの部分の膜厚を4mmピッチで測定する。平均膜厚の
80%から200%の範囲に収まっていれば良好であ
る。
【0036】実施例1 温度計および乾燥窒素導入口と攪拌装置を付した300
0mlの4つ口フラスコに、3,3´,4,4´−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物147gをγ−ブチロ
ラクトン525g、N−メチル−2−ピロリドン220
gと共に仕込み、4,4´−ジアミノジフェニルエ−テ
ル95.1g、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメ
チルジシロキサン6.2gを添加し、乾燥窒素流入下、
60℃で3時間攪拌してポリアミック酸溶液を得た。
【0037】ピグメントレッド177:5.25g、ピ
グメントイエロー83:0.75g、γ−ブチロラクト
ン83.7gをガラスビ−ズ90gと共にホモジナイザ
に投入し、7000rpmで30分分散後、ガラスビ−
ズを濾過し除去して赤顔料分散液を得た。
【0038】該顔料分散液47gに該ポリアミック酸溶
液25gをγ−ブチロラクトン25gで希釈した溶液を
添加混合し、赤着色膜用ペ−ストを得た。
【0039】図1の枚葉塗工装置を用いた。スリット間
隙は、60μmとした。基体を300mm×350mm
×1.1mmのOA−2ガラス(日本電気硝子(株)
製)とした。
【0040】窒素による加圧で正圧に保持できる塗料溜
めに該赤着色膜用ペ−ストを仕込み、密閉した。塗料溜
め内は0.5kg/cm2 の圧力に調整した。基体とリ
ップ先端面の間隙であるクリアランスは70μmに設定
した。図示されていない基体と口金とを相対的に走行さ
せる機構によって、基体の塗工開始位置を口金の下に移
動した。着色膜用ぺーストをシリンジポンプによってス
リットダイ口金に送り、シリンジポンプ駆動後0.4秒
してから基体の搬送を再開した。口金のスリットを通し
て基体上に塗料を塗布しつつ基体を送っていき、塗膜を
形成する。次いで、塗工終了位置よりも5mm手前でポ
ンプを停止しして塗料の吐出を終わり基体とリップ先端
との間に保持された塗料でもって塗工を継続し、塗工終
了位置で口金を上昇して基体から遠ざけ、塗工を終了し
た。該赤着色膜用ペ−ストの吐出量は、加熱後ポリイミ
ドになったときの膜厚が1.6μmになるように調整し
た。続いて、口金に200μlの塗料を送り吐出して、
口金下に図2に示したエチレン−プロピレン共重合体か
らなる拭き取り部材を挿入し、口金リップに押し付けな
がらリップに付着した塗料を拭き取った。
【0041】かくして得た試料をステージから取り外
し、新しい基体をステージにセットして同様に塗工を繰
り返した。ステージから取り外した該赤着色膜用ペ−ス
トを塗布した試料を、130℃で20分乾燥し、さらに
窒素雰囲気中290℃で40分加熱してポリイミド膜に
転換させた。同様にして全部で50枚の基体に赤着色膜
を形成した。
【0042】かくして得られた赤着色膜にはすじ状の欠
点は見られなかった。また1枚目、10枚目、20枚
目、30枚目、40枚目、50枚目の試料について、塗
工開始位置から塗工方向に基体中央に向かって20mm
の部分の膜厚を4mmピッチで測定したところ、平均膜
厚の94%から170%の範囲に収まっており良好であ
った。
【0043】実施例2 塗工終了位置よりも5mm手前でポンプを停止しして塗
料の吐出を終わり基体とリップ先端との間に保持された
塗料でもって塗工を継続し、塗工終了位置で口金を上昇
して基体から遠ざけつつシリンジポンプを反転駆動して
口金スリットから塗料を50μl吸引して塗工を終了し
たこと以外は、実施例1と同様にして全部で50枚の基
体に赤着色膜を形成した。
【0044】かくして得られた赤着色膜にはすじ状の欠
点は見られなかった。また1枚目、10枚目、20枚
目、30枚目、40枚目、50枚目の試料について、塗
工開始位置から塗工方向に基体中央に向かって20mm
の部分の膜厚を4mmピッチで測定したところ、平均膜
厚の92%から160%の範囲に収まっており良好であ
った。
【0045】比較例1 塗工を終了した後、口金に塗料を送ることなく、拭き取
り部材を口金リップに押し付けながらリップに付着した
塗料を拭き取ったこと以外は、実施例1と同様にして全
部で50枚の基体に赤着色膜を形成した。
【0046】塗工で塗料が消費されて、口金リップ上に
十分な塗料が残留していないために滑りが悪くて拭き取
り部材を滑らかに移動できなかった。かくして得られた
赤着色膜にはすじ状の欠点が3枚目以降の試料に見られ
た。また1枚目、10枚目、20枚目、30枚目、40
枚目、50枚目の試料について、塗工開始位置から塗工
方向に基体中央に向かって20mmの部分の膜厚を4m
mピッチで測定したところ、測定点が、すじ欠陥に重な
ったところでは、平均膜厚の200%を越えることがあ
った。
【0047】比較例2 塗工を終了した後、口金に塗料を送ることなく、拭き取
り部材を口金リップに押し付けながらリップに付着した
塗料を拭き取ったこと以外は、実施例2と同様にして全
部で50枚の基体に赤着色膜を形成した。
【0048】比較例2と同様に、塗工で塗料が消費され
て、口金リップ上に十分な塗料が残留していないために
滑りが悪くて拭き取り部材を滑らかに移動できなかっ
た。かくして得られた赤着色膜にはすじ状の欠点が5枚
目以降の試料に見られた。また1枚目、10枚目、20
枚目、30枚目、40枚目、50枚目の試料について、
塗工開始位置から塗工方向に基体中央に向かって20m
mの部分の膜厚を4mmピッチで測定したところ、全部
の試料で平均膜厚の50%を下回る点が測定された。
【0049】
【発明の効果】本発明の塗膜の製造方法は、塗料吐出用
のスリットを設けたスリットダイコータ口金を用いて基
体上に塗料を塗布し塗膜を製造する方法において、塗工
開始前および/または塗工終了後に、塗料を吐出し、次
いで該口金のリップ部分を吹きとることことを特徴とす
るので、拭き取り部材の滑りが良く、また塗工終了位置
付近の膜厚の増大を抑えるために塗工終了時に口金スリ
ットを通して塗料を吸引した場合でも、連続して塗工す
る試料の塗工開始位置付近の膜厚の均一性を保ち、かつ
塗工開始位置から塗工方向に発生するすじ状欠陥を抑制
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で採用される枚葉塗工装置の一例を示し
たものである。
【図2】本発明で採用される口金リップ拭き取り機構の
一例を示したものである。
【符号の説明】
1:バックアップリップ 2:ドクタ−リップ 3:スリット 4:リップ先端面 5:基体 6:塗膜 7:塗料溜め 8:ポンプ 9:ステージ 10:拭き取り部材 11:塗料受け
フロントページの続き (72)発明者 井戸 英夫 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塗料吐出用のスリットを設けたスリットダ
    イコータ口金を用いて基体上に塗料を塗布し塗膜を製造
    する方法において、塗工開始前および/または塗工終了
    後に、塗料を吐出し、次いで該口金のリップ部分を吹き
    とることを特徴とする塗膜の製造方法。
  2. 【請求項2】塗料の供給をポンプにより行なうことを特
    徴とする請求項1記載の塗膜の製造方法。
  3. 【請求項3】実質的な基体への塗工終了位置でポンプを
    反転駆動して口金のスリットから塗料を吸引することを
    特徴とする請求項2記載の塗膜の製造方法。
  4. 【請求項4】ポンプがピストン型ポンプであることを特
    徴とする請求項2記載の塗膜の製造方法。
  5. 【請求項5】塗料が着色膜用ペーストであることを特徴
    とする請求項1記載の塗膜の製造方法。
JP32297694A 1994-12-26 1994-12-26 塗膜の製造方法 Pending JPH08173891A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR19990033752A (ko) * 1997-10-27 1999-05-15 구광시 프라이머가 도포된 폴리에스테르 필름의 제조방법
JP2006212604A (ja) * 2005-02-07 2006-08-17 Meiji Kikai Seisakusho:Kk 複数液混合塗装装置
JP2008175874A (ja) * 2007-01-16 2008-07-31 Shin Etsu Chem Co Ltd ペリクルフレーム内面への粘着剤の塗布方法

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