JPH08173763A - 酸化チタン担持紙の製造方法 - Google Patents

酸化チタン担持紙の製造方法

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JPH08173763A
JPH08173763A JP6325143A JP32514394A JPH08173763A JP H08173763 A JPH08173763 A JP H08173763A JP 6325143 A JP6325143 A JP 6325143A JP 32514394 A JP32514394 A JP 32514394A JP H08173763 A JPH08173763 A JP H08173763A
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Kazuchiyo Takaoka
和千代 高岡
Yasuhiro Aizawa
泰洋 相澤
Michihiko Sato
道彦 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化チタンの光触媒的分解作用を利用した悪
臭等の有害物質の除去能に優れる酸化チタン担持紙の製
造方法を提供することにある。更に詳しくは、紙支持体
に強固に担持されるばかりでなく、保存性の良好な酸化
チタン担持紙が得られる酸化チタン担持紙の製造方法を
提供することにある。 【構成】 紙支持体の少なくとも一方の面に酸化チタン
含有層を設ける酸化チタン担持紙の製造方法に於て、J
IS P-8133で規定されるpHが9以上である支持
体に、所望によりカチオン性結着剤を含ませた酸性含水
酸化チタン含有液を塗設し、支持体中の塩基性成分によ
って酸化チタンを凝集させて紙支持体に定着させること
を特徴とする酸化チタン担持紙の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙支持体上に酸化チタ
ン含有層を設ける酸化チタン担持紙の製造方法に関し、
詳しくは脱臭能及び抗菌性等優れた有害物分解能を有す
る酸化チタン担持紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】世界規模での地球環境の見直し及び改善
努力がなされるなか、民度の向上や生活環境に対する関
心の高揚に伴い、環境破壊物質の社会的排出抑止だけで
なく自助努力による生活改善の気運が高まっている。日
常生活に於て、例えば悪臭の消散は、芳香剤のび漫によ
る消極的消臭だけではなく、活性炭等のガス吸着物質に
よる脱臭、更には吸着ガスの分解に到る積極的消臭等へ
要求が移行しつつある。また、殺菌或は抗菌に関しても
水処理等の工業規模から、MRSA院内感染や老人介護
等身近な問題として要求が増加している。
【0003】この様な脱臭及び殺菌等の要求に対し、近
年酸化チタンが注目を集めている。酸化チタンは従来か
ら、適度な硬度と無毒性から歯磨剤等に、また卓越した
着色力及び隠蔽力を有する白色顔料として古くから塗料
等に利用されている他、紫外線吸収剤として化粧品等に
使用されているが、酸化チタンの光触媒能力の研究も古
くから行なわれており、J.Oil.Chem.Assoc.,61,351(197
8)には、水アルコール混合溶液中で懸濁した酸化チタン
微粉末によるアルコールの光分解が記載されている。更
に、特開昭61−135669号公報では硫化物の分
解、特公平2−62297号公報では窒素酸化物の光分
解、また特開平3−69695号公報には脱臭の他に抗
(殺)菌作用を有することが開示されている。
【0004】日常生活に於ける卑近な脱臭剤としては活
性炭に代表されるガス吸着剤等が挙げられ、また殺菌剤
には強酸や強塩基の他に所謂殺菌剤等が挙げられる。脱
臭剤としてのガス吸着剤は、異臭物質を吸着するだけで
やがては飽和して吸着能力(即ち脱臭能力)が失活して
しまう。また、強酸や強塩基或は殺菌剤は程度の差こそ
あれ劇毒性を有しており、人体に対しても多少の悪影響
を及ぼす。これらの欠点に対し、酸化チタンは効果の即
時性に劣るものの、本質的に異臭物質や菌等の光触媒的
分解作用を有するため、効果は失活することなく永続性
に富み、更に先に記した様に無毒性である利点を有す
る。
【0005】以上の理由で、実質的に酸化チタンの光触
媒分解作用を利用した有害物質分解材の開発が盛んにな
っている。含酸化チタン有害物質分解材の形態として
は、酸化チタン単独では実用構造強度を有する皮膜を形
成しないため、酸化チタンを紙料、紡糸原料、及び発泡
原料等の支持体形成材と混合して成型するか、予め形成
された紙、不織布、織布、及びスポンジ等の支持体に含
浸または塗設させたシート状のもの及びその加工品が殆
どである。
【0006】酸化チタンの有害物質分解効果は、少なく
とも有害物質が酸化チタンとの接触によって分解が誘引
されるから、酸化チタンは支持体の表層にあって酸化チ
タンの支持体への保持剤(結着樹脂)から露出している
程向上する。そこで、酸化チタンを活性炭等のガス吸着
物質と併用したり、特開平1−111100号及び同1
−156576号公報には、酸化チタンを包含する脱臭
剤を支持体或は支持体形成材からエッチングによって露
出させることが記載されている。
【0007】一方、酸化チタン自体に於ても有害物質分
解能は大きく変化する。即ち、従来より塗料用やプラス
チック練込み用に用いられている酸化チタンは一般に粒
径の大きく、かつ耐光性や耐候性を向上させるために表
面処理等により酸化チタンの光活性を低下させてあり、
これらの酸化チタンではその露出率のみを向上させても
最良の効果を誘引することは出来ないことが判明した。
【0008】そこで、本発明者らは不織布を支持体とし
て有害物質分解能の観点から酸化チタンの選定を行な
い、硫酸法酸化チタンの製造工程に於ける中間生成物で
ある酸性含水酸化チタンを最終的にアルカリで析出させ
た酸化チタンが最も上記目的に適したものの1種である
ことを見出した。この酸性含水酸化チタンを担持させる
には、アルカリ処理により酸化チタンを析出させてから
不織布に担持させるか、不織布に含浸させてからアルカ
リ処理して析出担持して製造する。勿論、有害物質除去
能は酸化チタン及びその担持状態によってほぼ決定され
るため、支持体は不織布でなくても良く、プラスチック
フィルムや金属箔(板)、紙等で代替してもほぼ同様の
効果が期待できる。
【0009】従って、紙を支持体として用いることは前
後の加工性だけでなく支持体のコストからも有利である
が、有害物質分解能の優れる酸性含水酸化チタンを用い
るのであれば、アルカリ処理による酸化チタンの析出工
程が必要である。ところが、紙支持体担持前に酸化チタ
ンを析出させてしまうと、パルプ繊維との親和力が低下
して担持量が減少する結果、期待する有害物質分解能が
得られない。一方、含水酸化チタン含浸後にアルカリで
析出させると、有害物質分解能は良好であるものの、ア
ルカリ処理後にも酸性分がパルプ表面に残るためか、特
に高温湿下に放置しておくと、数日中に酸化チタン担持
面が黄変しまった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、紙支
持体上の少なくとも一方の面に酸化チタン含有層を設け
る酸化チタン担持紙の製造方法に於て、酸化チタンの光
触媒的分解作用を利用した有害物光分解能を有する酸化
チタン担持紙の製造方法を提供することにある。更に詳
しくは、光分解能が最適に発現する状態に酸化チタンが
配置され、紙支持体に強固に担持されるばかりでなく、
保存性の良好な酸化チタン担持紙が得られる酸化チタン
担持紙の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、紙支持体の少なくとも
一方の面に酸化チタン含有層を設ける酸化チタン担持紙
の製造方法に於て、JIS P-8133で規定されるp
Hが9以上である支持体上に酸性含水酸化チタン含有液
を塗設して酸化チタンを凝集定着させることを特徴とす
る酸化チタン担持紙の製造方法により上記課題を解決し
た。少なくとも支持体の水抽出pHが含水酸化チタンを
析出させる塩基性度を有していれば、これにより酸性含
水酸化チタンを含浸させてから改めてアルカリ液によっ
て中和しなくとも紙支持体上に酸化チタンを担持させる
ことが出来る。また、酸化チタンを酸性のまま直接紙支
持体に担持した場合よりも、酸性紙で誘発する様な黄変
性が改善させる。
【0012】更に、酸性含水酸化チタンの凝集析出に際
し、水難溶性または不溶性であってそれ自体は支持体の
pHを上昇させないにせよ、酸と作用する塩基性の酸反
応性無機顔料を、支持体を構成する天然繊維上または天
然繊維間に保持しておけば、酸性含水酸化チタンはこの
酸反応性無機顔料と反応して優先的に凝集析出するか
ら、結果として酸化チタンはこの酸反応性無機顔料を核
として支持体上に強固に保持されるとこになる。更に、
酸性含水酸化チタン含有液にカチオン性結着剤を併用す
ることで、支持体への結着性が更に改善される。
【0013】以下に本発明に係わる酸化チタン担持紙の
構成要素及びその製造方法を詳細に説明する。本発明に
係わる酸化チタン担持紙に於ける酸性含水酸化チタン含
有液を塗設する紙支持体は、少なくとも天然繊維から構
成される。本発明に用いられる天然繊維としては、赤
松、栂、椴等の針葉樹、及び樗、白樺、楓、ユーカリ等
の広葉樹からのクラフトパルプ、亜硫酸パルプ、セミケ
ミカルパルプ、及びソーダパルプ等の木材パルプや、亜
麻、楮、ミツマタ、麻、藁、竹、ケナフ、パインアップ
ル、リンター、バガス、及びエスパルト等の非木材繊維
等が挙げられる。また、これらからの再生物を原料とし
ても良い。本発明に用いられる天然繊維は単一種でも、
または2種以上を組合わせて用いても良い。
【0014】本発明に係わる紙支持体に用いられる上記
の天然繊維は、一般的にこれら単独で支持体を形成させ
てもJIS P-8133で規定されるpHが9以上にな
り得ず、従って塩基性物質を含有させる。本発明に用い
られる塩基性物質としては、アルカリ金属及びアルカリ
土類金属の水酸化物または含水酸化物、及び炭酸、リン
酸、ホウ酸、及び珪酸等の酸との塩、炭酸及びリン酸等
の塩基性アンモニウム塩、及び水酸化アルミニウム等の
塩基性含水金属酸化物等の水溶性無機物質及び酸反応性
無機顔料等や、アルコールアミン類、アルキルアミン
類、アルキレンジアミン類、モルホリン、及びポリアク
リル酸、ポリビニルリン酸、及びアルギン酸等のアルカ
リ金属塩等の高分子性多塩基酸塩等の有機塩基性物質、
及び塩基性グアニジン塩類等が挙げられる。これらは単
一種でも、または2種以上を組合わせて用いても良い。
【0015】本発明に用いる塩基性物質中、アルカリ金
属の水酸化物、及び炭酸、リン酸、ホウ酸、及び珪酸等
の酸との塩、炭酸及びリン酸等の塩基性アンモニウム
塩、アルカノールアミン類、アルキルアミン類、アルキ
レンジアミン類、ポリアクリル酸、ポリビニルリン酸、
及びアルギン酸等のアルカリ金属塩等の高分子性多塩基
酸塩、及び炭酸グアニジンやリン酸グアニジン等のグア
ニジン塩類等の水溶性塩基性物質は、支持体形成前後の
何れに於ても容易に付与できるが、支持体抄造性及び酸
化チタン含浸性を考慮すれば、少なくとも支持体形成後
に支持体に含浸積層させる方が有利である。
【0016】一方、本発明で酸反応性無機顔料と呼称す
る、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及
び炭酸バリウム等のII族炭酸塩や、アルミニウム、カル
シウム、マグネシウム、ジルコニウム、鉄、及びニッケ
ル等の二価以上の金属元素の含水酸化物及び水酸化物等
の実質的に水不溶性の無機顔料は、単独水分散液では塩
基性が弱くとも、少なくとも酸性含水酸化チタン含有液
と相互作用して脱炭酸や脱水を伴ってpHを上昇させる
と共に、含水酸化チタンと実質的に水不溶性の塩を形成
するため、支持体強度や製造性の許容内であれば、これ
ら酸反応性無機顔料の支持体含有量は多い程好ましく、
そのためには支持体形成時に天然繊維スラリーに混合し
て抄造するか、必要最少量の結着剤と共に塗設または含
浸して、本発明に係わる紙支持体とする。
【0017】これら塩基性物質は、本発明に係わる紙支
持体形成前に天然繊維叩解スラリー中に添加するか、ま
たは形成後であって少なくとも本発明に係わる酸性含水
酸化チタン含有液を塗設する前に含浸及びまたは塗設す
る。本発明に用いられる塩基性物質を含浸または塗設す
るには、ロールコーター、ロッド(バー)コーター、エ
アードクター(ナイフ)コーター、ブレードコーター、
スプレーコーター、及びカーテンコーター等のコーター
や、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイ
ズプレス、及びフィルムトランスファー方式のサイズプ
レス等の装置を用いることができる。特に酸化チタン含
有層を紙支持体の一方の面だけに設けるのであれば、上
記コーターが有利に用いられる。
【0018】上記天然繊維及び塩基性物質を含有させて
本発明に係わる紙支持体に加工する際は、所望により更
にロジン及びその変性物、植物蝋または無水マレイン酸
系、α−オレフィン系、及びスチレン/アクリル酸エス
テル系合成樹脂のエマルション、アルキルケテンダイマ
ー、アルケニル無水コハク酸、及び無水ステアリン酸等
の内添及び表面サイズ剤、澱粉及びその変性物、グァー
ガム及びその変性物、デキストリン、カルボキシメチル
セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポ
リアミドエピクロルヒドリン、各種エマルション(含む
ラテックス)、尿素ホルマリン樹脂、及びメラミンホル
マリン樹脂等の紙力増強剤及び結着剤の他、部留まり向
上剤、界面活性剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、酸化防
止剤、及びスライムコントロール剤等の各種添加剤を添
加しても抄造しても良い。支持体抄造には、丸網抄紙
機、長網抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツインワイヤー抄紙
機、ハイブリッドフォーマー及びトップフォーマー等の
コンビネーション抄紙機等が使用できる。
【0019】以上の様にして作製した紙支持体に、本発
明に係わる酸性含水酸化チタン含有液を塗設する。本発
明に係わる酸性含水酸化チタンは、硫酸法酸化チタンの
製造工程に於て、硫酸チタニル溶液を熱加水分解して得
られる含水酸化チタンをアルカリ洗浄して硫酸分を除去
した後、塩酸や硝酸等の強酸で解膠した含水酸化チタン
である。この含水酸化チタンは、一次粒子が数nm程度
の大きさのアナターゼ型の微結晶(ゾル)であり、これ
を中和後に乾燥させると200m2/g以上の比表面積を
有する酸化チタンが得られる。比表面積等は中和時に添
加するのアルカリ種、pH上昇速度、及び液温等によっ
てもある程度の制御が可能であるが、本発明様に支持体
上でpH上昇させて酸化チタンを形成させると、比較的
高い比表面積の酸化チタンが得られる。
【0020】本発明に係わる酸性含水酸化チタン含有液
には本発明に係わる含水酸化チタンの他に、従来汎用の
ルチル型或はアナターゼ型酸化チタン、メタチタン酸、
オルトチタン酸、及び水酸化チタンと呼称されているチ
タン(水)酸化物を含有しても良い。これら酸化チタン
は種々の方法で製造される。即ち、硫酸チタニル、塩化
チタン、及び有機チタン化合物等を必要に応じて核形成
用種子の共存下に加水分解する方法(加水分解法)、必
要に応じて核形成用種子を共存させながら、硫酸チタニ
ル、塩化チタン、及び有機チタン化合物等にアルカリ剤
を添加して中和する方法(中和法)、塩化チタン及び有
機チタン化合物等を気相酸化する方法(気相酸化法)、
更に加水分解法及び中和法で得られた酸化チタンを焼成
する方法(焼成法)等が挙げられる。
【0021】本発明に係わる酸性含水酸化チタン以外の
上記酸化チタンに関しても、本発明に係わる酸化チタン
担持紙により好適に使用するためには、比表面積を制御
する必要がある。比表面積は、加水分解、中和、酸化、
及び焼成等の粒子形成工程に於て調整する。また、酸性
含水酸化チタン以外の上記酸化チタンは、本発明に係わ
る叩解後の天然繊維スラリー中に内添剤と共に同時或は
別々に添加して天然繊維と混合後、必要に応じ液pHを
調整して天然繊維に吸着させても良い。
【0022】本発明に係わる酸性含水酸化チタン含有液
には、更に少なくとも酸性水性液に溶解性のあるカチオ
ン性結着剤を併用しても良い。本発明に用いられるカチ
オン性結着剤としては、カチオン化澱粉、グアヤガム、
キトサン、p-ジアルキルアミノメチルスチレン及びジア
ルキルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基
含有単量体の(共)重合物のメチルクロライド4級化
物、ポリアクリロイルモルホリン、カチオン化ポリアク
リルアミド及びカチオン化ポリビニルアルコール等のノ
ニオン性ポリマーのカチオン化物等が挙げられる。これ
らのカチオン性結着剤中、特にキトサンが好ましい。
【0023】キトサンは、節足動物や軟体動物の有機骨
格物質として天然に存在するキチンと称されるポリ-β
(1-4)-N-アセチル-D-グルコサミンの脱アセチル
化物であり、海老や蟹等の甲殻から採取されるキチンを
アルカリ処理することによって得られる。キトサンは単
独では水に溶解しないが、塩酸や酢酸等と共に必要によ
り加熱することで溶解する。キトサンはpH上昇によっ
て凝集するが、酸性下にキトサンを皮膜形成しても皮膜
表面のpHはそれ程低くならず、形成された皮膜は柔軟
であって強靱である。
【0024】本発明に係わる上記酸性含水酸化チタン含
有液の紙支持体への塗設方法は、少なくともマシンカレ
ンダー処理前にコンベンショナルサイズプレス、ゲート
ロールサイズプレス、及びフィルムトランスファー方式
のサイズプレス装置等により含浸する方法、ロールコー
ター、ロッド(バー)コーター、ブレードコーター、ス
プレーコーター、エアードクター(ナイフ)コーター、
及びカーテンコーター等のコーターにより一般の塗抹紙
製造工程と同様の方法で所望により少量の結着剤と共に
塗布する方法等が挙げられる。特に含浸法に於ては、含
水酸化チタン含浸前に予め支持体を湿潤させておいても
良い。
【0025】本発明に係わる酸化チタン担持紙は、上記
の何れか1種の方法により作製されれば良いが、2種以
上を組合わせて積層して良い。また、本発明に係わる酸
化チタン担持紙の一方の面を更に別の支持体または目的
装置等に接合させたり、一方の面だけに目的分解物を含
む気体を供給したりする使用形態に於ては、天然繊維基
体の何れか一方の少なくとも本発明に用いられる塩基性
物質が塗設された面だけに酸性含水酸化チタン含有液を
塗布しても良い。更に何れの場合に於ても、紙支持体上
に酸化チタン含有層塗設後、熱乾燥前にアルカリ性液と
接触させて酸化チタン担持紙表面のpHを調整しても良
い。
【0026】以上の様にして作製した本発明に係わる酸
化チタン担持紙の中で特に酸化チタン含有層に有機結着
剤を併用したものは更に、特開平1−111100号公
報等に記載のグロー放電処理、火焔処理、プラズマ処
理、電子線照射処理、紫外線照射処理、及びオゾン処理
等の表面処理により、酸化チタン上の結着剤をエッチン
グして酸化チタンが直接気体と接触する表面露出率を向
上させても良い。
【0027】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳細に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り、これらに限
定されるものではない。
【0028】実施例1 次に、下記表1記載の配合に従い、別叩解したLBKP
及びNBKPを混合した中にその他の組成物を添加して
抄紙原料とした。尚、中性サイズ剤としては、紙量調製
直前にアルケニル無水コハク酸(王子ナショナル製;F
IBRAN)にカチオン化澱粉(王子ナショナル製;C
atoF)を4:6(重量比)で混合して乳化した乳化
物を用いた。この抄紙原料を長網抄紙機により坪量80
g/m2で抄造して紙支持体Aを得た。この紙支持体Aの
pHをJIS P-8133で規定される試験法によって
測定したところ、9.3であった。
【0029】
【表1】
【0030】次に、通常の硫酸法酸化チタンの製造工程
に於ける中間生成物である硫酸チタニルを熱加水分解し
て含水酸化チタンを得た。この含水酸化チタンを水酸化
ナトリウム水溶液で洗浄後、塩酸で解膠して乳白色半透
明の酸性含水酸化チタン含有液aを得た。この酸性含水
酸化チタン含有液aの濃度は酸化チタン換算で37重量
%で、液pHは1.2であった。
【0031】浸漬型含浸処理装置を用い、上記含水酸化
チタン液含有液a中に枚葉に裁断した紙支持体Aを浸漬
して通紙したところ、紙支持体A表面に白色微粉末層が
形成された。この紙支持体Aの表面を乾燥させた後にス
ーパーカレンダー掛けして平滑化処理し、更に減圧乾燥
器を用いて減圧下60℃で1時間乾燥させて酸化チタン
担持紙Aを得た。
【0032】比較例1 実施例1で作製した紙支持体Aを用い、実施例1で作製
した酸性含水酸化チタンに換えてルチル型酸化チタン
(石原産業製;タイペーク R-850、水分散液pH
7.3)を同濃度で水に分散させた酸化チタン含有液b
を、実施例1で用いた浸漬型含浸処理装置により実施例
1と同条件で含浸させ、表面を乾燥させた後にスーパー
カレンダー掛けして平滑化処理し、更に減圧乾燥器を用
いて減圧下60℃で1時間乾燥させて酸化チタン担持紙
Bを得た。
【0033】実施例2 下記表2記載の配合に従って抄紙原料を調製し、実施例
1と同様に長網抄紙機により坪量80g/m2で抄造し、
乾燥工程の途中に炭酸ナトリウム及びバナジウム酸ナト
リウムの等重量混合した水性含浸液をゲートロールサイ
ズプレス装置によって含浸させ、再び乾燥及びマシンカ
レンダー掛けして紙支持体Bを得た。この紙支持体Bの
pHを実施例1と同様に測定したところ、10.5であ
った。
【0034】
【表2】
【0035】実施例1で用いた浸漬型含浸処理装置及び
酸性含水酸化チタン液含有液aを用い、枚葉に裁断した
紙支持体Bを浸漬して通紙したところ、紙支持体B表面
に白色微粉末層が形成された。この紙支持体Bの表面を
乾燥させた後にスーパーカレンダー掛けして平滑化処理
し、更に減圧乾燥器を用いて減圧下60℃で1時間乾燥
させて酸化チタン担持紙Cを得た。
【0036】比較例2 実施例2に於て、ゲートロールサイズプレス装置により
含浸させた水性含浸液に換えて水を用いた他は実施例2
と同様に抄造し、紙支持体Cを得た。この紙支持体Cの
pHを実施例1と同様に測定したところ、6.1であっ
た。
【0037】実施例1で用いた浸漬型含浸処理装置及び
酸性含水酸化チタン液含有液aを用い、枚葉に裁断した
紙支持体Cを浸漬して通紙したところ、紙支持体C表面
に白色微粉末層が形成された。この紙支持体Cの表面を
乾燥させた後にスーパーカレンダー掛けして平滑化処理
し、更に減圧乾燥器を用いて減圧下60℃で1時間乾燥
させて酸化チタン担持紙Dを得た。
【0038】比較例3 実施例1で使用した浸漬型含浸処理装置を2台用意し、
一方には酸性含水酸化チタン液含有液aを注液し、他方
には炭酸ナトリウム水溶液を注液した。次に、実施例2
で作製し枚葉に裁断した紙支持体Cを酸性含水酸化チタ
ン含有液aに浸漬し、続いて炭酸ナトリウム水溶液に浸
漬して処理した。この紙の表面を実施例2と同様に乾燥
させた後にスーパーカレンダー掛けして平滑化処理し、
更に減圧乾燥器を用いて減圧下60℃で1時間乾燥させ
て酸化チタン担持紙Eを得た。
【0039】実施例3 キトサン(共和油脂(株)製;フローナック-C)を0.5
重量%塩酸水溶液に2重量部添加し、攪拌しながらキト
サンがほぼ溶解した時点で液温を40℃に上昇させ、1
時間加温した後に325メッシュのステンレス網で不溶
分を濾した。濾液が室温程度になるのを待って、実施例
1で作製した酸性含水酸化チタン含有液80重量部にこ
の濾液20重量部を攪拌しながら添加し、酸性含水酸化
チタン含有液cとした。
【0040】実施例1で用いた浸漬型含浸処理装置を用
い、上記含水酸化チタン液含有液c中に実施例1で抄造
した紙支持体Aを浸漬して通紙したところ、紙支持体A
表面に白色微粉末層が形成された。この紙支持体Aの表
面を乾燥させた後にスーパーカレンダー掛けして平滑化
処理し、更に減圧乾燥器を用いて減圧下60℃で2時間
乾燥させて酸化チタン担持紙Fを得た。
【0041】実施例4 下記表3記載の配合に従って抄紙原料を調製し、実施例
1と同様に長網抄紙機により坪量80g/m2で抄造し、
乾燥工程の途中に水酸化バリウム水性含浸液を実施例3
と同様にゲートロールサイズプレス装置によって含浸さ
せ、再び乾燥及びマシンカレンダー掛けして紙支持体D
を得た。この紙支持体DのpHを実施例1と同様に測定
したところ、11.0であった。
【0042】
【表3】
【0043】実施例1で用いた浸漬型含浸処理装置及び
酸性含水酸化チタン液含有液aを用い、枚葉に裁断した
紙支持体Dを浸漬して通紙したところ、紙支持体D表面
に白色微粉末層が形成された。この紙支持体Dの表面を
乾燥させた後にスーパーカレンダー掛けして平滑化処理
し、更に減圧乾燥器を用いて減圧下60℃で1時間乾燥
させて酸化チタン担持紙Gを得た。
【0044】上記実施例1〜4及び比較例1〜3で作製
した酸化チタン担持紙A〜Gをそれぞれ10cm×10
cmに裁断し、内法が20cm×20cm×20cmの
密閉可能であって内部が艶消し黒に仕上げられた容器の
床から10cmの位置に水平に保持した。この密閉容器
に悪臭の代表的化合物であるエタナールをそれぞれ40
0ppm注入し、6Wのブラックランプを用いて一定時
間照射し、それぞれの容器の残存エタナール濃度を測定
した。また、黄変性は蛍光灯の点る恒温恒湿(40℃、
80RH%)室に酸化チタン担持紙A〜Gを吊して評価
し、粉落ち性は酸化チタン担持紙を2つ折りにした黒紙
に挟んで衝撃を与えた際の黒紙に付着した白粉の量を目
視評価した。それぞれの結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】エタナール除去性につては比較例2で作製
した酸化チタンを担持していない紙支持体Cでも行なっ
たところ、残存エタナール量は340ppmであった。
このこと及び表4から明かな様に、酸化チタンを担持し
た支持体のJIS P-8133に規定されるpHが9以
上であっても、担持酸化チタン源が酸性含水酸化チタン
でない酸化チタン担持紙B(本発明外)は、エタナール
は減少するものの、酸化チタンを担持していない紙支持
体に於ても同程度までエタナールが減少しており、有害
物除去材として好ましい酸化チタン担持紙とは云い難
い。また、酸化チタン担持紙Bに用いた酸化チタンは支
持体への付着力が弱く、酸化チタン担持紙中粉落ち性が
最も悪かった。
【0047】一方、担持酸化チタン源として酸性含水酸
化チタンを用いた酸化チタン担持紙は、効果に多少の差
はあるものの、支持体のJIS P-8133に規定され
るpHに関係なくエタナール除去性から鑑た有害物除去
能は優れていた。しかしながら、JIS P-8133に
規定されるpHが少なくとも9未満の支持体に直接酸性
含水酸化チタンを含浸させた酸化チタン担持紙D及びE
(双方本発明外)は、その他の担持紙に比して速やかに
淡褐色に変色した。変色は、酸性含水酸化チタンを担持
させたまま中和しなかった酸化チタン担持紙Dの方が酷
かった。
【0048】これらに比し、JIS P-8133に規定
されるpHが9以上の支持体に酸性含水酸化チタンを含
浸させた酸化チタン担持紙(酸化チタン担持紙A、C、
F、及びG;本発明)は、有害物除去能が優れるばかり
でなく、高温高湿下に於ても変色し難い優れた結果が得
られた。また、特に含浸させる酸性含水酸化チタンにカ
チオン性結着剤であるキトサンを併用した場合は粉落ち
が極めて少なく、有害物除去能及び変色性共々良好な結
果が得られた。
【0049】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の酸化チタン
担持紙に光を照射することによって、悪臭等の空気中の
有害物質を高効率で低濃度化することが出来る。この様
な酸化チタン担持紙は、個人で適度な大きさに切断し、
有害物質を除去したい場所に置き、太陽光や蛍光灯に曝
露するだけで容易に有害物質を除去することが出来るた
め、悪臭の程度や設置場所に応じて手軽に効率よく使用
出来る。
【0050】また、本発明によって酸化チタン担持紙を
製造すれば、酸性含水酸化チタンによる酸化チタン担持
後の中和工程が省略できるばかりか、酸化チタン担持量
の増加が図れ、かつ製造された酸化チタン担持紙に於け
る紙支持体の耐光的或は耐候的劣化を抑制することが出
来る秀逸な効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 35/06 A C09J 7/04 D21H 21/14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙支持体の少なくとも一方の面に酸化チ
    タン含有層を設ける酸化チタン担持紙の製造方法に於
    て、JIS P-8133で規定されるpHが9以上であ
    る支持体に酸性含水酸化チタン含有液を塗設して酸化チ
    タンを凝集定着させることを特徴とする酸化チタン担持
    紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 紙支持体の少なくとも一方の面に酸化チ
    タン含有層を設ける酸化チタン担持紙の製造方法に於
    て、紙支持体が酸反応性無機顔料の少なくとも1種を含
    有し、この紙支持体に酸性含水酸化チタン含有液を塗設
    して酸化チタンを凝集定着させることを特徴とする酸化
    チタン担持紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸性含水酸化チタン含有液に更に少なく
    とも1種のカチオン性結着剤を含有する請求項1または
    2記載の酸化チタン担持紙の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10128125A (ja) * 1996-11-01 1998-05-19 Lintec Corp 光触媒含有シート
EP2357277A1 (en) 2010-02-12 2011-08-17 Rhodia Acetow GmbH Photodegradable paper and its use

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US8986502B2 (en) 2010-02-12 2015-03-24 Solvay Acetow Gmbh Photodegradable paper and its use

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