JP2000262602A - 抗菌防黴性脱臭シート - Google Patents

抗菌防黴性脱臭シート

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JP2000262602A
JP2000262602A JP11075405A JP7540599A JP2000262602A JP 2000262602 A JP2000262602 A JP 2000262602A JP 11075405 A JP11075405 A JP 11075405A JP 7540599 A JP7540599 A JP 7540599A JP 2000262602 A JP2000262602 A JP 2000262602A
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antifungal
deodorizing
sheet
antimicrobial
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Shinya Hioki
信也 火置
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、種々の細菌類や黴類に対して
有効で広範且つ高い抗菌性を有し、更に優れた脱臭性を
有する抗菌防黴性脱臭シートを提供することである。 【解決手段】吸着脱臭剤を含有する脱臭シートにおい
て、該脱臭シートが抗菌防黴剤を含有する、好ましくは
基材を構成する繊維が抗菌防黴剤を担持することを特徴
とする抗菌防黴性脱臭シート。更に好ましくは該抗菌防
黴剤がメルカプトピリジン−N−オキシド化合物の銀
塩、銅塩または亜鉛塩を主成分とすることを特徴とする
抗菌防黴性脱臭シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の細菌類や黴
類に対して有効で広範且つ高い抗菌性を有し、更に優れ
た脱臭性を有する抗菌防黴性脱臭シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する関心の高まりに
伴い、工業排気及び排水等工業レベルでの低濃度有害物
質の除去だけでなく、日常生活の中に於ても悪臭除去の
要求が増加している。低濃度有害物の除去には、特に日
常生活に於ける悪臭除去材としては一般的に活性炭やシ
リカ、アルミナ、及び金属酸化物等の吸着脱臭剤等が使
用されている。これらの吸着脱臭剤は、粉体または粒状
体のままでも使用されるが、取り扱いが容易なように種
々の形態に加工され、特開昭49−16056号公報お
よび特開昭49−27673号公報には不織布などのシ
ート状に加工する技術が開示されている。
【0003】これらの脱臭シートは、ガスの吸着脱臭能
力に優れ、製法に応じては通気性または通水性を高くす
ることが可能であり、取り扱い性に優れると共に、各種
の二次加工を容易に施せる利点を有するものである。こ
れらの脱臭シートおよびその加工品は空気清浄機などの
脱臭部材にも使用される。
【0004】空気清浄機や浄水器などにおいては脱臭部
材上での細菌の繁殖を抑えることが望まれており、例え
ば、銀系抗菌剤によって抗菌性能が付与される場合があ
る。しかし、銀系抗菌剤は細菌には作用するが黴類に対
する防黴効果は充分とは言い難い。
【0005】例えば、エアコンなど空調機は、細菌、黴
の胞子、ウイルスなどをフィルター上に捕捉するため、
これらの細菌などの有害物がフィルター上で高密度化
し、種々のアレルギー性疾患や感染症などの原因となる
恐れが高いと言われている。従って、フィルターなどの
脱臭部材に加工され得る脱臭シートにおいては、細菌に
加えて黴類の繁殖をも抑制して無害化する抗菌防黴性が
求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、種々
の細菌類や黴類に対して有効で広範且つ高い抗菌性を有
し、更に優れた脱臭性を有する抗菌防黴性脱臭シートを
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意検討の結果、下記の発明を完成するに至っ
た。
【0008】(1)吸着脱臭剤を含有する脱臭シートに
おいて、該脱臭シートが抗菌防黴剤を含有することを特
徴とする抗菌防黴性脱臭シート。
【0009】(2)上記の発明(1)において、基材を
構成する繊維が抗菌防黴剤を担持することを特徴とする
抗菌防黴性脱臭シート。
【0010】(3)上記の発明(1)または(2)にお
いて、抗菌防黴剤がメルカプトピリジン−N−オキシド
化合物の銀塩、銅塩または亜鉛塩を主成分とすることを
特徴とする抗菌防黴性脱臭シート。
【0011】本発明に係わる吸着脱臭剤とは、主に吸着
作用によって悪臭を除去する脱臭剤であり、具体的に
は、活性炭、添着活性炭、ゼオライト、セピオライト、
活性アルミナ、活性白土、イオン交換樹脂などの各種吸
着剤、植物抽出成分に含まれる化合物であるフィトンチ
ット、カテキン、タンニン、フラボノイド等を用いた消
臭剤などを挙げることができる。中でも、ゼオライト、
セピオライト、活性アルミナ、活性白土などの無機吸着
剤が好ましく、活性炭のように細孔内で細菌が棲息する
ことがなく、高い脱臭性と優れた抗菌防黴性が得られ
る。
【0012】本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいては
マンガン系酸化物やペロブスカイト型触媒などの低温酸
化触媒、鉄アスコルビン酸や鉄フタロシアニン誘導体な
どの還元触媒、酸化チタンや酸化亜鉛などの光触媒等の
各種触媒などを吸着脱臭剤と併用しても良く、また、こ
れらの各種吸着脱臭剤や触媒を複合化したハイブリット
脱臭剤としても良い。
【0013】本発明に係わる抗菌防黴剤とは、細菌類に
対して有効な抗菌作用と黴類に対して有効な防黴作用を
併せ持ち、好ましくは抗ウイルス性を有する薬剤であ
り、例えば細菌類の繁殖を抑制または死滅させ、且つ黴
類の繁殖または発芽を抑制するなどの効果を発現するも
のである。具体的には、ベンツイミダゾール系、イソチ
アゾリン系、ピリチオン系、有機ヒ素系、有機銅系、有
機ヨード系などの抗菌防黴剤が挙げられる。
【0014】本発明に係わる抗菌防黴剤は、メルカプト
ピリジン−N−オキシド化合物の銀塩、銅塩または亜鉛
塩を主成分とすることが特に好ましい。この抗菌防黴剤
は、主に該金属塩に由来する細菌類に対する抗菌性およ
び主にメルカプトピリジン−N−オキシド化合物に由来
する黴類に対する防黴性を併せ持つため広範囲な細菌、
黴類などの有害微生物に対して有効な抗菌防黴作用が得
られ、さらに高速度且つ大容量で有効期間が長く、非常
に優れた抗菌防黴性を付与することが可能である。従っ
て、本発明に係わる抗菌防黴剤として殊更に有用であ
る。
【0015】また、メルカプトピリジン−N−オキシド
化合物の金属塩に加えて、ベンゾイミダゾール化合物、
イソチアゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物もしく
はベンゾチアゾロン化合物の銀塩、銅塩または亜鉛塩を
併用することが更に好ましく、一層広範囲な細菌類およ
び黴類に対して有効な抗菌防黴作用が得られる。
【0016】メルカプトピリジン−N−オキシド化合物
の銀塩、銅塩または亜鉛塩を主成分とする抗菌防黴剤
は、一般に、メルカプトピリジン−N−オキシドのナト
リウム塩をイオン交換処理した水に溶かした水溶液と硝
酸銀、硝酸銅、硝酸亜鉛またはこれら金属塩の混合物を
イオン交換処理した水に溶かした水溶液を攪拌混合する
ことによって調製される。生成した塩は水に不溶または
難溶であるため固形物として析出するが、高い抗菌防黴
性を得るためには、上記の2つの水溶液の混合過程にお
いて充分な攪拌を行って生成する金属塩を微粒子に分散
することが好ましい。
【0017】このような微粒子分散を達成し得る攪拌手
段としては、アジテーター、ミキサー、高速ミキサー、
パルプ離解装置などの回転式攪拌機、商品名ヒスコトロ
ン((株)日音医理科機器製作所製)などの中空円筒形
で切れ込みの入った固定外刃と外刃内で回転する内刃か
らなる2重刃回転式ホモジナイザー、振動体発振式の超
音波破砕機、商品名ソノレータ(米国ソニック社製)な
どの自励式超音波分散機、コロイドミル、アトラター、
ガラスビーズやジルコンビーズなどを媒体として用いる
媒体攪拌式ミルおよびロールミルやニーダーなどの混練
機等、各種攪拌機、分散機、破砕機などが挙げられる。
【0018】本発明の抗菌防黴性脱臭シートは、本発明
の趣旨を逸脱しない限りにおいては上記の抗菌防黴剤以
外に、ヒドロキシアパタイト等の燐酸カルシウム類など
を主成分とする無機系抗菌剤、ゼオライトやシリカゲル
などの担体に銀等の抗菌性金属イオン等を担持した複合
型抗菌剤、キチン、キトサンなどの高分子系抗菌剤、酸
化チタンなどの光触媒剤、カテキンやヒノキチオール、
リモネン、ピネンなどの天然物由来の抗菌剤およびこれ
らを複合したハイブリット抗菌剤などを併用しても良
く、また、防ダニ剤などの防虫剤や害虫忌避剤などを含
有しても良い。
【0019】本発明に係わる基材とは、抗菌防黴性脱臭
シートの形態を保持するために必要な成分であり、例え
ば、洋紙、和紙、不織布などの繊維を主成分とする繊維
状シート、布帛、金属箔、樹脂フィルムおよびこれらの
シートを積層したラミネートシートなどを挙げることが
できる。
【0020】基材に用いる合成樹脂としては、ポリエチ
レンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ア
クリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹
脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、
ジエン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂等の熱可塑性合
成樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、
尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ア
ルキド樹脂、及びエポキシ樹脂等の熱硬化性合成樹脂の
他、シリコン系樹脂及びフッ素系樹脂等が挙げられる。
【0021】これらの合成樹脂を繊維形態、いわゆる合
成樹脂繊維として用いる場合には、その断面形状は特に
制限はなく、円形のみならず楕円形、三角形、星形、T
型、Y型、及び葉状等のいわゆる異型断面形状のもので
も良い。更に、繊維表面に空隙を有するもの、枝別れし
た構造、及び芯鞘構造を有するものも使用できる。これ
らの合成樹脂繊維の中でも、支持体あるいは吸着性光触
媒シートとした際の繊維間結合強度、柔軟性(腰)、及
び加工性等を適度に制御できる点から主に軟化点の異な
る芯鞘構造を有するものが好適である。芯鞘構造を有す
る合成樹脂繊維としては、芯部分がポリエステル、鞘部
分がポリエステル共重合体からなる繊維や、芯部分がポ
リエステル、鞘部分がポリオレフィンからなる繊維等が
ある。
【0022】基材に用いる天然繊維としては、針葉樹材
及び広葉樹材からのクラフトパルプ、亜硫酸パルプ、及
びアルカリパルプ等のケミカルパルプ、セミケミカルパ
ルプ、サーモメカニカルパルプ、メカニカルパルプ、グ
ランドパルプ等の木材繊維、楮、ミツマタ、稲や小麦等
の藁、麻、ケナフ、竹、木綿、木綿リンター、バガス、
及びエスパルト等の植物性非木材繊維を挙げられる。ま
た、これらは、古紙を原料とした再生パルプ、脱墨パル
プ等でも良い。また、基材に用いる合成繊維樹脂及び天
然繊維以外の繊維としては、レーヨン等の再生繊維、セ
ルロース誘導体繊維等の天然物加工繊維、スチールウー
ル及びステンレスウール等の金属繊維、炭素繊維、セラ
ミック繊維、及び各種ガラス繊維等を挙げられる。
【0023】本発明に係わる基材は、必要に応じて本質
的に難燃性のアラミド樹脂や本質的に不燃性の金属、ガ
ラス、アルミナ等酸化物等の無機物を主成分とする、ま
たは合成樹脂及び天然繊維等の中に難燃剤を含有させ
る、或いは基材を形成後に難燃剤で表面処理する等して
難燃性を付与しても良い。
【0024】本発明の抗菌防黴性脱臭シートを得る方法
としては、上記の基材に塗工および含浸などの方法によ
って吸着脱臭剤または抗菌防黴剤を担持させる方法およ
び基材の原料となる樹脂や金属などに練り混みなどの手
段によって担持する方法が挙げられる。また、基材が繊
維状シートからなる場合には、上記の方法以外に湿式抄
紙法における内添のように原料繊維をシート化する過程
で吸着脱臭剤または抗菌防黴剤を担持させる方法が挙げ
られる。
【0025】吸着脱臭剤と抗菌防黴剤を担持させる順序
は特に限定されるものではなく、吸着脱臭剤を担持した
後に抗菌防黴剤を担持する方法、抗菌防黴剤を担持した
後に吸着脱臭剤を担持する方法および吸着脱臭剤と抗菌
防黴剤を同時に担持させる方法の何れでも良い。
【0026】本発明に係わる塗工および含浸の方法とし
て、2ロールタイプのコンベンショナルサイズプレス、
タブサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、及びフ
ィルムトランファー方式のサイズプレス等や、ロールコ
ーター、エアドクターコーター、ロッド(バー)コータ
ー、ブレードコーター、スプレーコーター、グラビアコ
ーター、マイクログラビアコーター、ダイコーター、及
びカーテンコーターを用いた方法等が挙げられる。
【0027】本発明に係わる湿式抄紙には、円網抄紙
機、長網抄紙機、フォードリニヤー抄紙機、ツインワイ
ヤー抄紙機、オントップ抄紙機等、及び複数の抄紙機を
組み合わせたいわゆるコンビネーションフォーマー等を
用いることができる。湿式抄紙においては、例えば基材
の主成分である繊維を予め水性液に分散させ、必要に応
じて叩解等の処理を施した後に、吸着脱臭剤または抗菌
防黴剤、及び所望により凝集剤等と混合し、湿式抄紙す
ることができ、特に抗菌防黴剤は繊維に担持することが
好ましく、その理由については後述する。
【0028】本発明に係わる凝集剤としては、アラム等
の無機化合物、及びポリアクリルアミド等の高分子化合
物等がある。中でも、電解質高分子化合物が好ましく、
カチオン化ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、及び
カチオン化グアーガム等のカチオン性電解質高分子化合
物が特に好ましい。
【0029】また、凝集体の核となる物質を併用しても
良く、核となる物質としては例えば酢酸菌などの微生物
が生産するバクテリアセルロースなどのバイオポリマ
ー、或いは天然パルプや合成繊維などを高圧式ホモジナ
ーザーなどで粉砕してなる微細繊維などが挙げられる。
【0030】本発明に係わる吸着脱臭剤は、臭気物質の
吸着が阻害されないようにその表面が十分に露出されて
いる必要があるため、吸着脱臭剤の担持方法としては基
材への練り混みや接着剤を用いる塗工などに比べて、基
材の主成分である繊維と混合して抄紙する方法が好まし
い。
【0031】抄紙法によって吸着脱臭剤を担持して調製
した脱臭シートに抗菌防黴剤を後担持する方法として
は、塗工や含浸などの手段が用いられるが、抗菌防黴剤
を定着させる目的で用いられる接着剤や抗菌防黴剤自体
が吸着脱臭剤の表面を覆う恐れがある。
【0032】上記の問題を回避するために、吸着脱臭剤
と抗菌防黴剤を同時に担持しようとすると、抗菌防黴剤
が吸着脱臭剤の微細孔内に侵入する、或いはイオン交換
されて失活するなどしてその効果が低下する場合があ
る。
【0033】従って、本発明の抗菌防黴性脱臭シート
は、吸着脱臭剤を含有する脱臭シートの基材を構成する
繊維が抗菌防黴剤を担持することが特に好ましく、抗菌
防黴剤および吸着脱臭剤の効果が低下することなく、優
れた抗菌防黴性と高い脱臭性が得られる。このような抗
菌防黴性脱臭シートは、例えば、予め抗菌防黴剤を繊維
に担持し、これを吸着脱臭剤および基材を構成する繊維
などと混合して抄紙することによって製造される。
【0034】本発明の抗菌防黴性脱臭シートは、流体の
通過性を改良するための孔開け加工や山谷形状に折るプ
リーツ加工などの2次加工を施しても良く、中でもハニ
カムに成形することが好ましく、単位体積当たりのシー
ト面積を増やすことができ、流体との接触の機会が増
し、脱臭や抗菌防黴の効果が向上する。
【0035】ハニカムとは、開孔を有するセル壁からな
る構造体の形状であり、具体例として、JIS−Z−1
516に記載の「外装用段ボール」に準拠して作製され
る片段ボールを積層してなるコルゲートハニカム、六角
形セルからなるヘキサゴンハニカム、正方形セルからな
るハニカム、三角形セルからなるハニカム、および中空
円筒状セルを集合してなるハニカムなどが挙げられる。
【0036】本発明の抗菌防黴性脱臭シートは除塵フィ
ルターなど種々の機能性フィルターと併用しても良く、
空気の処理に用いる場合の除塵フィルターとしてはエレ
クトレットフィルターを併用することが好ましい。エレ
クトレットフィルターとは、半永久的に電気分極を保持
し、外部に対して電気力を及ぼすフィルターであって、
その静電気力によって粒子を捕捉するものである。帯電
方法としては、エレクトロエレクトレット、熱エレクト
レット、ラジオエレクトレット、メカノエレクトレッ
ト、フォトエレクトレット、マグネットエレクトレット
などが挙げられるが、工業的に不織布フィルターで用い
られているものは、主にエレクトロエレクトレットおよ
び熱エレクトレットであり、フィルター材料としてはポ
リプロピレンまたはプロピレン主体の共重合体が用いら
れることが多い。
【0037】不織布をエレクトレット化しようとする
と、嵩高で3次元空隙が存在するためコロナ放電などに
よる帯電処理では安定した帯電効果を得ることが難し
い。しかしながら、コロナ放電などで帯電処理を施した
フィルムを繊維状に断裁、それを不織布化したスプリッ
トファイバーエレクトレットフィルターや、メルトブロ
ー紡糸時および溶融紡糸時に高電圧を印加して熱エレク
トレット的に繊維を帯電させたメルトブロー不織布式エ
レクトレットフィルターおよびスパンボンド不織布式エ
レクトレットフィルターなどは、安定した分極電荷を得
ることができる。なお、スプリットファイバーエレクト
レットフィルターやメルトブロー不織布式エレクトレッ
トフィルターなどは単体では力学的強度が小さいため、
乾式不織布やスパンボンドなどを貼り合わせて使用され
るのが一般的である。
【0038】本発明の抗菌防黴性脱臭シートとエレクト
レットフィルターなど種々の機能性フィルターとを併用
する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、
本発明の抗菌防黴性脱臭シートまたはその2次加工品と
エレクトレットフィルター等機能性フィルターを貼り合
わせる方法や重ね合わせて枠加工し一体化する方法、J
IS−Z−1516に記載の「外装用段ボール」に準拠
して中しんまたはライナの内一方を本発明の抗菌防黴性
脱臭シート、他方をエレクトレットフィルター等の機能
性フィルターとしてコルゲートハニカムに加工する方法
などが挙げられる。更に、抗菌防黴性脱臭シートと機能
性フィルターを貼り合わせた後に、孔開け、プリーツ、
ハニカムなど上記の各種2次加工を施しても良い。
【0039】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳細に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り、これらに限
定されるものではない。
【0040】調製例1 硝酸銀をイオン交換水に溶解した水溶液を高速回転式ア
ジテーターで攪拌しながら等モル相当量の2−メルカプ
トピリジン−N−オキシドナトリウム液を添加し、銀/
2−メルカプトピリジン−N−オキシドの微粒子分散液
を調製し、これを調製例1の抗菌防黴剤とした。
【0041】調製例2 カルボキシメチル基置換度0.22(DS=0.22)
の変性NBKPに、銀/2−メルカプトピリジン−N−
オキシドを吸着させた有機化合物の金属塩よりなる抗菌
防黴剤を含有する抗菌防黴NBKPを以下の手順で調製
した。上記の変性NBKP分散液に硝酸銀を加え、pH
を5.5に調節してから30分間攪拌した後に、硝酸銀
と等モル相当量の2−メルカプトピリジン−N−オキシ
ドナトリウム液を添加した。30分間攪拌してから、硫
酸でpHを4に調整した後、一旦脱水し、更に水を加え
て攪拌水洗し、再度脱水して抗菌防黴NBKPを調整
し、これを調製例2の抗菌防黴繊維とした。
【0042】実施例1 調製例1の抗菌防黴剤に接着剤として等量のスチレンア
クリルエマルジョンを加えて攪拌、混合した抗菌防黴塗
液に市販の活性炭素繊維シート(大阪ガスケミカル
(株)製、NS−70T−10)を含浸して乾燥し、の
抗菌防黴剤0.5g/m2を担持した抗菌防黴性脱臭シ
ートを作製し、これを実施例1の抗菌防黴性脱臭シート
とした。
【0043】実施例2 実施例1において、市販の活性炭素繊維シートに代え
て、芯鞘型熱融着性ポリエステル繊維(ユニチカ社製、
#4080、繊度2デニール、繊維長5mm)50重量
部、ポリエステル繊維(帝人社製、テピルス、繊度0.
5デニール、繊維長5mm)40重量部およびNBKP
10重量部を水に分散し、更に吸着脱臭剤としてゼオラ
イト15重量部と、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム
(水澤化学工業社製、PAC)1重量部とを添加して湿
式抄紙してなる坪量100g/m2の脱臭シートとする
以外は、すべて実施例1と同一の方法で抗菌防黴性脱臭
シートを作製し、これを実施例2の抗菌防黴性脱臭シー
トとした。
【0044】実施例3 実施例2において、NBKP10重量部に代えて調製例
2の抗菌防黴繊維10重量部とする以外は、すべて実施
例2と同一の方法で抗菌防黴性脱臭シートを作製し、こ
れを実施例3の抗菌防黴性脱臭シートとした。
【0045】比較例1 実施例1において、調製例1の抗菌防黴剤に代えて市販
の無機抗菌剤((株)サンギ製、アパサイザーA)とす
る以外は、すべて実施例1と同一の方法で抗菌性脱臭シ
ートを作製し、これを比較例1の抗菌性脱臭シートとし
た。
【0046】比較例2 実施例2において、NBKP10重量部に代えて市販の
キチン・キトサン繊維(オーミケンシ(株)製、クラビ
オン)を長さ5mm程度にカットした抗菌繊維とする以
外は、すべて実施例2と同一の方法で抗菌性脱臭シート
を作製し、これを比較例2の抗菌性脱臭シートとした。
【0047】以上、実施例および比較例で得られた各種
脱臭シートの特性を以下の方法により評価した。
【0048】[脱臭性試験]実施例および比較例の各種
脱臭シートを10cm×10cmに裁断し、5.6リッ
トルの密閉容器内に静置した。容器中にアセトアルデヒ
ドを20ppm注入し、30分間放置した後の容器中の
アセトアルデヒド濃度(ppm)をガスクロマトグラフ
で測定し、アセトアルデヒドの除去率(%)を求めた。
【0049】[抗菌性試験]大腸菌(E−coli I
FO3301)を液体培地(ペプトン・イースト)で2
4時間前培養し、希釈して2×108セル/mlの試験
液を調製した。試験片として実施例および比較例の各種
脱臭シートを2cm×2cmに裁断して、ペトリ皿上に
配置し、パスツールピペットで上記菌液を約0.1ml
滴下し、乾燥しないようにカバーして38℃で24時間
培養した後、試験片のそれぞれをNutrient B
roth寒天培地上に押し当て、試験片上の菌を転写さ
せて剥離し、再度38℃で24時間培養して菌の生育状
況を観察した。抗菌性は、菌の成育が認められないもの
を優、試験片転写面に1コロニー以上で10コロニー以
下のものを良、試験片転写面に11コロニー以上で10
0コロニー以下のものを並、試験片転写面に100コロ
ニー以上のものを劣と判定した。
【0050】[かび抵抗性試験]JIS−Z−2911
「かび抵抗性試験方法」の繊維製品の試験に準拠して、
5cm×5cmに裁断した実施例および比較例の各種脱
臭シートを試験片とし、混合胞子懸濁液のかびの種類を
アスペルギルス・テレウス FERM S−3、ペニシ
リウム・フニクロスム FERM S−6、ケトミウム
・グロボスム FERM S−11、ミロテシウム・ベ
ルカリア FERM S−13としてかび抵抗性試験を
行った。かび抵抗性は、試験片の接種した部分に菌糸の
発育が認められないもの(表示3)を優、試験片の接種
した部分に認められる菌糸の発育部分の面積が全面積の
1/3を超えないもの(表示2)を並、試験片の接種し
た部分に認められる菌糸の発育部分の面積が全面積の1
/3を超えるもの(表示1)を劣と判定した。
【0051】上記の方法により試験を行い、その性能を
評価した結果を表1に記載する。
【0052】
【表1】
【0053】表1の結果から、吸着脱臭剤を含有する脱
臭シートにおいて、該脱臭シートが抗菌防黴剤を含有す
ることを特徴とする抗菌防黴性脱臭シートは、高い脱臭
性と抗菌性に加えて、優れた防黴性を有することが分か
る。
【0054】特に、基材を構成する繊維が抗菌防黴剤を
担持することを特徴とする抗菌防黴性脱臭シートは、脱
臭性と抗菌性が一層優れ、細菌や黴類など有害微生物の
繁殖を抑え、不快な臭いを効率よく除去することが可能
である。
【0055】
【発明の効果】吸着脱臭剤を含有する脱臭シートにおい
て、該脱臭シートが抗菌防黴剤、好ましくはメルカプト
ピリジン−N−オキシド化合物の銀塩、銅塩または亜鉛
塩を主成分とする抗菌防黴剤を含有することを特徴とす
る抗菌防黴性脱臭シートは、優れた抗菌防黴性と高い脱
臭性を有し、該シート自体または該シートの各種2次加
工品は、空気清浄、浄水などの分野で広範囲に利用され
るものである。中でも、吸着脱臭剤を含有する脱臭シー
トの基材を構成する繊維が抗菌防黴剤を担持することを
特徴とする抗菌防黴性脱臭シートは、吸着脱臭剤と抗菌
防黴剤の干渉を最小限に抑えることが可能であり、殊に
優れた脱臭性と抗菌防黴性を有する抗菌防黴性脱臭シー
トが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 21/36 D21H 21/36 Fターム(参考) 4C080 AA05 BB02 BB05 HH05 HH09 JJ05 JJ06 KK08 LL10 MM04 MM17 MM18 MM19 NN22 NN24 NN26 4H011 AA02 AA03 BA01 BB09 BB18 BC18 BC19 BC20 DA07 DC05 DC10 DC11 DD07 DG03 4L055 AF03 AF33 AF47 AG28 AG39 AH01 AH21 BE10 FA30 GA27 GA50

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸着脱臭剤を含有する脱臭シートにおい
    て、該脱臭シートが抗菌防黴剤を含有することを特徴と
    する抗菌防黴性脱臭シート。
  2. 【請求項2】 吸着脱臭剤を含有する脱臭シートの基材
    を構成する繊維が抗菌防黴剤を担持することを特徴とす
    る請求項1記載の抗菌防黴性脱臭シート。
  3. 【請求項3】 抗菌防黴剤がメルカプトピリジン−N−
    オキシド化合物の銀塩、銅塩または亜鉛塩を主成分とす
    る抗菌防黴剤であることを特徴とする請求項1または2
    記載の抗菌防黴性脱臭シート。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007088758A1 (ja) * 2006-01-31 2007-08-09 Toray Industries, Inc. ポリアミド繊維、それからなる布帛および繊維製品
JP2009011530A (ja) * 2007-07-04 2009-01-22 R-Dec Co Ltd 脱臭装置
JP2009018104A (ja) * 2007-07-13 2009-01-29 R-Dec Co Ltd 集塵脱臭具
JP2016029226A (ja) * 2014-07-15 2016-03-03 王子ホールディングス株式会社 全熱交換器エレメント用原紙、およびその製造方法

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