JPH08173160A - Dnaの特定部位の突然変異導入方法 - Google Patents

Dnaの特定部位の突然変異導入方法

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JPH08173160A
JPH08173160A JP7186624A JP18662495A JPH08173160A JP H08173160 A JPH08173160 A JP H08173160A JP 7186624 A JP7186624 A JP 7186624A JP 18662495 A JP18662495 A JP 18662495A JP H08173160 A JPH08173160 A JP H08173160A
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dna
primer
site
mutant
mutation
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JP7186624A
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Motoi Matsuura
基 松浦
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Case Western Reserve University
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の方法において、必須ではなく一つし
か存在しない制限部位、及びチミジンの代わりにウラシ
ルが取り込まれた突然変異すべき親DNAを用いて、目
的とする突然変異を含むが該制限部位及びウラシルをも
たない変異娘DNAを作製する。未変異の親型DNA及
び変異娘DNAを制限酵素部位で切断する酵素で処理
し、変異DNAは切断せずに親型DNAを切断する。変
異娘DNAを、切断されて直鎖状となった親DNA(必
須でなく一つしか存在しない制限部位を保持する)から
形態的違い(見かけ分子量)により単離する。親型DN
Aから単離された娘DNAは、次いで宿主細胞に形質転
換する。 【効果】 本発明により、DNAの特定部位の突然変異
導入を行う効率が増加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、概して、部位特異的突
然変異導入及び1つ以上のDNA突然変異を作製する技
術に関する。より詳細には、本発明は、与えられた(目
標の)DNA分子の特定部位に突然変異の導入を試験管
内で行うことに関する。本発明は、遺伝子工学技術に特
に有用であることを認める。
【0002】
【従来の技術】特定部位の突然変異導入は、遺伝子発現
及びタンパク質の構造と機能との関係を研究するのに重
要な手法である。プラスミドDNAにおいて、特定の塩
基を突然変異させるために様々な方法が開発された。こ
れらは、目標配列に相補的な塩基が隣接した、目的とす
る突然変異を含む化学合成されたオリゴヌクレオチドプ
ライマーを使用する(Maniatis T.,Cold Spring Harbor
Laboratory Press.,vol.2, 第15節(1989)) 。目標配列
とアニールしたプライマーは、通常in vitroで伸長され
る。
【0003】例えば、目的とする突然変異の塩基配列を
含む化学合成されたオリゴヌクレオチド(即ち、プライ
マー)を使用する方法において、該プライマーは、ヘテ
ロ二重鎖を形成しながら、共有結合で閉じられた環状
(ccc)一本鎖DNA(ssDNA)目標分子とハイ
ブリダイズすることができ、そして、例えば、クレノウ
断片による伸長のためのプライマーとして機能すること
ができる。DNAリガーゼで処理すると、突然変異部位
にミスマッチを含むccc dsDNAが得られる。次
に、その分子を形質転換によって細胞内に導入すること
ができ、続くDNA複製によって、突然変異鎖及び非突
然変異鎖に増幅分離されるであろう。
【0004】しかし、宿主細胞中には“ミスマッチ修
復”機構が存在するため、突然変異体の獲得率は低いか
も知れない。ミスマッチ修復とは、ミスマッチした(ワ
トソン−クリックでない)塩基対、例えば、DNAが複
製する間にヌクレオチドが不正確に結合した生成物が
“読み取りの校正”機構を逃れたときに形成された塩基
対を修正することが可能なDNA修復機構である。DN
A複製後のミスマッチ修復は、新たに合成された娘鎖中
のある程度のヌクレオチドを修正するので、ミスマッチ
修復は、DNAの部位特異的突然変異導入によって生産
された突然変異体の獲得率を実質的に低下させてしまう
かも知れない。
【0005】さらに、細菌の宿主内にミスマッチ修復能
がなくても、ヘテロ二重鎖DNAの複製は、50%又はそ
れ以下の頻度で変異体を生産することしか期待できな
い。実際の収量はこの理論値の最大量よりも極めて低い
ため、突然変異鎖由来の産物を選択するための多くの方
法が開発されている。これらの方法は、特定のDNAに
対して時として有効であるが、必ずしもすべての型のD
NAに有効とは限らない。
【0006】例えば、チミジンの代わりに取り込まれた
いくつかのウラシル塩基(dut-, ung- 大腸菌株中で生
産された) を含む環状一本鎖DNA(ssDNA)を、
目的とする突然変異を保有する鎖からなるプライマーを
起点とする合成のための鋳型として使用する方法が開発
された(Kunkel et al.,Meth.Enzymol.,154:367-382,(1
987))。このDNAは、ウラシルを含有する鋳型鎖を分
解するung+ 株中に形質転換され、98%程の高頻度で突
然変異産物を生成する。
【0007】しかし、この方法では、目標プラスミドが
複製のf1オリジンを保有すること、目標プラスミドを
F、dut-(dUTPアーゼ欠損)、ung-(ウラシル−DNA
グリコシラーゼ欠損)のフェノタイプを有する大腸菌宿
主中に形質転換すること及びファージ感染により環状s
sDNA鋳型を調製することが要求される。目標プラス
ミドはM13の誘導体でなければならず、又はf1オリジ
ン(“ファージミド”) を保有しなければならない。s
sDNAは、ヘルパーファージの存在下での増殖によっ
てファージミドから作製される。従って、この方法は環
状ssDNA鋳型を作製するための特別な宿主株及びプ
ラスミドを必要とする。もし目標DNAが、既にf1オ
リジンを持たない発現ベクターにサブクローニングされ
ていれば、その目標DNAをM13の誘導体又はf1オリ
ジン(“ファージミド”)を有するプラスミドにサブク
ローニングしなければならない。突然変異導入後、目的
とする突然変異を含むDNAをもとのベクター中に戻す
ために、もう一つのクローニング段階が必要となる。従
って、突然変異導入方法がそれ自体有効であったとして
も、全ての作業を行うと時間がかかり、そして技術的に
困難となり得る。
【0008】別の方法は、二つの異なるタイプの変異プ
ライマーを使用することである。一つのプライマーは目
標DNAに相補的であるが、目的とするヌクレオチド突
然変異(いわゆる“変異プライマー”)をも含むもので
ある。第二のプライマーは、同一鎖上の必須でなく一つ
しか存在しない制限部位に相補的であるが、その部位が
消去されるような部位(いわゆる“選択プライマー”)
にヌクレオチド突然変異を含む(Deng et al.,Anal. Bi
ochem., 200, 81-88 (1992))ものである。
【0009】これらの二つの異なるタイプの変異プライ
マーを使用すると、プライマーとDNA鋳型との間でハ
イブリッドできる条件下では、二つのオリゴヌクレオチ
ドが変性した二本鎖プラスミドの同一一本鎖に同時アニ
ールする。一般的なDNAの伸長及び連結段階の後、変
異した及び未変異のDNAの混合物を、ミスマッチ修復
能を欠損するmut.S 大腸菌株に形質転換する。形質転換
体をプールし、プラスミドDNAを混合細菌集団から調
製する。
【0010】次に、単離したDNAを選択的制限酵素消
化する。変異DNAは、一つしか存在しない制限酵素認
識部位を欠いているため消化されない。しかし、未変異
のDNAは容易に消化されて直鎖状になる。その結果、
細菌細胞への形質転換では、1/100以下の形質転換効
率になる。完全に消化されたDNAを用いた最終の形質
転換により、目的とする突然変異プラスミドが高い効率
で回収されるはずである。この方法は、目標プラスミド
が複製のf1オリジンを保有することを必要としない。
サブクローニング及びssDNA調製をする必要がな
い。
【0011】しかしながら、二つの異なるタイプの変異
プライマーの使用において、仮にmut.S 大腸菌株から調
製されたプラスミドDNA中に、突然変異DNAよりも
未変異のDNAの方が100倍以上も多い場合には、未変
異のDNAの形質転換効率は、突然変異DNAのそれよ
りも高い。これは、未変異のDNAによる高いバックグ
ラウンドに起因するものであり、このため突然変異導入
の効率は極めて低い。
【0012】実施例3において(後述)、発明者らは、
上記したDengの方法に従って突然変異体を再度作製する
ことを試みた。制限消化の後、図1に示すように全ての
消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。直鎖状
となったDNAバンドは消化物のレーンにて見ることが
できた。しかし、未消化の超らせん(coiled-coil) DN
Aはゲル上で見ることができなかった。このことは、大
腸菌株mut.S から調製したプラスミドの大部分は未変異
であり、ごくわずかの量が突然変異されたことを示す。
実際、160 個のプラスミド調製物を調製し、制限消化で
チェックした。しかし、それらの突然変異体はなかっ
た。明らかに、DNAの特定部位の突然変異導入を行う
効率を増加させるため、上記の改良法が必要とされてい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、DNAの特
定部位への突然変異導入を行う効率を増加させるための
改良法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の、これらおよび
他の目的ならびに利点は、本発明の以下の記載から明ら
かとなるであろう。本発明は、DNAへの部位特異的突
然変異導入の改良された高効率の方法に関する。本発明
の結果、作製された突然変異DNAの量は増加し、作製
した未変異DNAの量は減少する。この新しい方法は、
一つしか存在しない制限酵素部位(制限部位)を有する
ものであれば、実質的にいずれのプラスミドDNAにも
使用し得る。
【0015】本発明の方法において、目的とする突然変
異を含むが制限部位及びウラシルをもたない娘DNAを
作製するため、必須でなく一つしか存在しない制限部位
及びチミジンの代わりに取り込まれたウラシルを含む、
突然変異を導入される親DNAが用いられる。未変異の
親型DNA及び変異娘DNAを、制限酵素部位で切断す
る酵素で処理し、変異DNAは切断されない状態のまま
で親型DNAを切断する。変異娘DNAは、消化されそ
れ故直鎖化した必須でなく一つしか存在しない制限部位
を保持する親DNAから、形態学的な違い(見かけの分
子量)によって単離される。最後に、親型DNAから単
離された娘DNAを宿主細胞に形質転換する。
【0016】本発明を更に具体的に述べると、2つの異
なるタイプのオリゴヌクレオチドプライマーを使用す
る。特に、プライマーの一つのタイプは、突然変異すべ
き目標DNAに対して相補的であるが、少なくとも1個
のヌクレオチドの目的とするヌクレオチド突然変異を含
むオリゴヌクレオチドプライマー(いわゆる“変異プラ
イマー”)である。第二のタイプのプライマーは、同一
鎖上の必須でなく一つしか存在しない制限部位と相補的
であり、かつ、ハイブリダイズすることができるが、そ
の制限部位に少なくとも1個のヌクレオチド突然変異を
含み、その結果プライマーにおいて制限部位が消去され
るようなオリゴヌクレオチドプライマー(いわゆる“選
択プライマー”)である。
【0017】2つの異なるタイプのプライマーを、プラ
イマーが目標DNAとハイブリダイズできる条件のもと
で、dut-, ung- 細胞から二本鎖のウラシル含有DNA
の変性によって作製された一本鎖ウラシル含有DNAに
アニールさせる。次いでDNAポリメラーゼを添加し、
環状一本鎖ウラシル含有DNAを鋳型としてDNAの新
一本鎖を合成する。合成が完了した後、連結のためのD
NAリガーゼを添加して環状二本鎖DNAを形成する。
その新たに合成された方の鎖は1つしかない制限部位を
欠き、目標DNA中に変異を含む。
【0018】次に、ミスマッチ修復能を欠損し、ung+
ある宿主細胞(mut.S) を新たに合成された環状二本鎖D
NAで形質転換する。複製を行い、新しい鎖上の2ヶ所
の突然変異を共分離し、そして親の鎖を消化して、その
結果両方の鎖においてプライマー導入突然変異を含む環
状二本鎖DNAが作製されるように形質転換細胞を培養
する。
【0019】培養後、環状二本鎖DNAを形質転換宿主
細胞から回収する。該回収DNAを必須ではなく1つし
か存在しない部位を切断する制限酵素で処理し、その結
果、制限部位を保持する親DNAは切断されて直鎖状と
なるが、制限部位を欠く突然変異DNAは切断されずに
環状のままとなる。次に該環状DNAを見かけ分子量の
違いにより消化物から単離する。第二の宿主細胞を該単
離した環状DNAで形質転換する。形質転換細胞を培養
し、環状DNAを形質転換宿主細胞から回収する。単離
された環状二本鎖DNAの大多数は、目標DNA中に突
然変異を含有する。
【0020】上記に、本発明の最も関係した主題のいく
つかを概説した。これらの主題は、本発明に向けられた
いくつかのより顕著な特徴及び適用の例示に過ぎないと
解釈すべきである。開示された発明を異なる方法で適用
することにより、又は開示の範囲内で本発明を改良する
ことにより、他の多くの有益な結果を達成し得る。従っ
て、以下に続く図面、発明の詳細な説明及び前記特許請
求の範囲により本発明の他の主題、並びにより詳細な理
解が得られるであろう。
【0021】本発明は、特定部位の突然変異導入のため
の改良方法に関する。ウラシル含有親DNAと1つしか
存在しない制限部位の消去を共役させることにより、本
発明は、実質的にいずれの複製可能な環状DNAにも適
用できるものと考えられる。該方法は、必須でなく1つ
しか存在しない制限部位(すなわち、DNAの複製に必
須ではなく、DNA中に1か所しか存在しない制限部
位)を含む(又は含むように作製した)DNAに適用で
きる。このDNAには、プラスミドDNA、ファージミ
ドDNAおよびコスミドDNAが含まれる。
【0022】本発明の方法は、鋳型としてウラシル含有
二本鎖DNA、および二つの異なるタイプの突然変異オ
リゴヌクレオチドプライマーを用いる。プライマーの一
つは、環状DNAの領域に導入すべき目的とする突然変
異を含有する。このプライマーは、目標DNAに相補的
であるが、目的とするヌクレオチド変異を含有する。第
二のプライマーは同一鎖上の必須でなく、かつ、1つし
か存在しない制限部位のいずれかに相補的であり、制限
部位を消去する突然変異を含む。これらのプライマー
は、一般的な手法により調製され、リン酸化され得る。
【0023】ung- 及びdut-の大腸菌宿主細胞は、環状
二本鎖目標DNAで形質転換される。該形質転換細胞を
培養し、その環状二本鎖ウラシル含有DNAを一般的な
手法により形質転換宿主細胞から回収する。次いで、環
状二本鎖ウラシル含有DNAを目標DNAとして使用す
る。次に、目標DNAと比較して1〜10倍重量(好まし
くは2〜5倍重量比)の変異プライマーおよび2〜1/20
倍重量(好ましくは1〜1/10倍重量比)の選択プライマ
ーの存在下で、その環状二本鎖ウラシル含有DNAを変
性させて環状一本鎖ウラシル含有DNAを形成する。
【0024】鋳型とプライマーの複合体には多数の組み
合わせがある。あるものは、変異および選択プライマー
の両者をもつ。それ以外のものは変異プライマーか選択
プライマーのいずれか一方をもつ。変異を導入されるヌ
クレオチドの数が変異プライマー中で増加すると、プラ
イマーが鋳型にアニールすることは困難となる。この場
合は、選択プライマーのみが鋳型とアニールし、新しい
鎖が合成され複製されるであろう。合成されたDNA鎖
は変異導入されないが、必須でない制限部位は消去され
る。これらは、突然変異導入の効率を低下させる親DN
Aの混入と同じである。選択プライマーの量の減少はか
かる混入を防止する。
【0025】次に、両タイプのプライマーを、Dengらに
よって記述されたものと同様の方法によって環状一本鎖
ウラシル含有DNAにアニールさせる。アニールされた
プライマーは、2つ若しくはそれ以上のプライマーが導
入された突然変異を含むDNAの新しい相補鎖の合成の
起点となるために用いられる。新しい鎖のプライマーを
起点とするDNA合成は、適当な緩衝液(例えばTris-H
Cl(pH 7.5)) 中で、例えばT4DNAポリメラーゼ及び
dNTPsを用いて行い得る。合成が完了した後、T4
DNAリガーゼの如きDNAリガーゼ、およびATPを
反応混合物に加え、合成したDNAを連結して環状DN
Aを形成する。T4DNAリガーゼは通常16℃で使用す
るため、この酵素は、基質がないときは37℃で不安定で
ある。もしT4DNAポリメラーゼが添加されたときと
同時に反応混合物にT4DNAリガーゼを添加すると、
T4DNAリガーゼ活性は低下するであろう。T4DN
Aポリメラーゼが37℃でDNA鎖を合成している間、連
結の効率は低くなる。
【0026】しかし、T4DNAポリメラーゼがDNA
鎖を合成した後にT4DNAリガーゼを反応混合物に添
加すれば、T4DNAリガーゼに対する基質はT4DN
Aポリメラーゼによってすでに調製されている。該T4
DNAリガーゼは、37℃であっても反応混合物中におい
て安定である。T4DNAリガーゼは、その連結活性を
保ち、連結反応はより効率的になるであろう。
【0027】得られたDNAは、例えば、ミスマッチ修
復能を欠損し、ung+ の細菌である大腸菌などの宿主細
胞に形質転換する。好ましくは、大腸菌株BMH 71-19 mu
t.Sが使用される。形質転換は、一般的な手法により行
われる。形質転換体は、適当な抗生物質を含む液体培地
中で選択することができる。形質転換体において、プラ
イマーを起点とする突然変異を含む新たに合成された鎖
は複製及び共分離し、その結果、両鎖にプライマーを起
点とする突然変異を含む環状二本鎖DNAが作製され
る。さらに、殆どの環状一本鎖ウラシル含有親DNA
は、ウラシル−DNAグリコシラーゼ(ung+ )によっ
て消去される。
【0028】環状DNAを選別した形質転換体から回収
し、必須でなく1つしか存在しない制限部位を認識する
制限酵素で処理する。1つしか存在しない制限部位にお
ける変異DNAは消化されにくく、環状のままである。
一方、混入した親DNAは容易に消化されて直鎖状とな
る。環状及び直鎖状DNAの間では、見かけ分子量に大
きな相違がある。次いで、この異なる見かけ分子量を用
いて、直鎖となったDNAから環状DNAを単離する。
【0029】第二の宿主細胞を、単離した環状二本鎖D
NAで形質転換する。該形質転換細胞を培養し、その環
状DNAを形質転換宿主細胞から回収する。単離した環
状二本鎖DNAの大多数は、目標DNA中に突然変異を
含む。この方法を行うための試薬は、キットにより提供
され得る。この方法のためのキットは、制限部位を消去
するために設計されたプライマー、細菌宿主株(好まし
くはミスマッチ修復能を欠損する株を含む)及び形質転
換のためのコンピテント細胞として若しくはコンピテン
ト細胞を作製するための試薬とともに提供された、遺伝
子型がung- およびdut-株を含むことができる。また、
キットは、プライマーから第二のDNA鎖を合成するこ
とが可能なDNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、デオ
キシリボヌクレオチド(dNTPs, デオキシアデノシン
5'-三リン酸, デオキシグアノシン 5'-三リン酸, デオ
キシシトシン 5'-三リン酸, デオキシチミジン 5'-三リ
ン酸を含むデオキシリボヌクレオチド) 、ATP(アデ
ノシン 5'-三リン酸)およびポリヌクレオチドキナー
ゼ、目標の1つしか存在しない部位を認識する制限酵素
並びにリン酸化、DNA合成反応、制限酵素消化及びD
NA精製を行うための適当な緩衝液を含むこともでき
る。
【0030】かかるキットはまた、本発明に記載したよ
うに、この特定部位の突然変異導入を行うための詳細な
方法を示したプロトコールも含む。
【0031】
【実施例】
1.DNA操作 DNAは、アルカリ−SDS法(Maniatis T. et al.,
Cold Spring Harbor Laboratory Press.,vol.1, 1.25-
1.28, 1989)により調製した。プラスミドDNAをアガ
ロースゲル電気泳動により解析した(Maniatis T. eta
l., Cold Spring Harbor Laboratory Press.,vol.1, 第
6節,1989) 。
【0032】2.プラスミド 2-1. SKII 4D2 平滑筋ミオシン重鎖DNA(-44−2973)をpBluescript
II SK+(Stratagene社)のEcoRI部位にサブクローニ
ングした。 2-2. pT7-TM3 平滑筋ミオシン調節軽鎖キナーゼDNA(1−2917)を
pT7-7(U.S.B 社)のNdeI部位とEcoRI部位にサブク
ローニングした。 2-3. pBluebac M pBluebac II (Invitrogen 社)の誘導体であるpBluebac
MはMurakami博士より供与を受けた。
【0033】3.Dengの方法による特定部位の突然変異
導入 Dengらの方法に従って、平滑筋ミオシン重鎖の突然変異
導入を以下のように行った。SKII 4D2(0.1μg)、リン酸
化変異プライマー(配列番号1)及びリン酸化選択プラ
イマー(配列番号2)の両方(0.2 μg)、20mM Tris-HC
l(pH7.5) 、10mM MgCl2、及び50mM NaClを含む20μlの
溶液を100 ℃で3分間加熱した。アニーリング混合物を
含むチューブを氷浴中にすばやく浸漬することにより、
プライマーをアニーリングさせた。3μlの100mM Tris-
HCl(pH 7.5)、5mM dNTPs、10mM ATPを含む溶液、5μl
のdH2O、1μl のT4 DNAポリメラーゼ(3units/μl, Ne
w England Biolabs社) 、および1μl のT4 DNAリガー
ゼ(400units/μl, New EnglandBiolabs社) をアニーリ
ング混合物に加えることにより、プライマーを起点とす
るDNA合成を行った。反応溶液を37℃で90分インキュ
ベートした。0.25%SDS及び5mM EDTA(pH 8.0) を含む
溶液の3μlを加え、65℃で5分間加熱することにより
反応を停止させた。10μlのDNA溶液を用いて、大腸
菌株BMH 71-19mut.Sコンピテント細胞を形質転換した。
【0034】形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリン
を含む5mlのLB培地中で一夜培養した。プラスミドDNA
は、アルカリ-SDS法により5mlの培地から調製した。2
μgのプラスミドDNA をClaI消化に供した。0.1 μgの
消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供し、残りは大
腸菌株XL1-Blueコンピテント細胞を形質転換するために
使用し、50μg/mlのアンピシリンを含むLBプレート上
で、37℃で一夜培養した。約40コロニーがプレート上に
形成された。プラスミドを各コロニーから調製し、Cla
I消化により確認した。それらのいずれも突然変異DNA
ではなかった。同様の操作を3回繰り返し、同様の結果
を得た。
【0035】4.改良法による部位指定突然変異導入 4-1. ケース1 実施例3に記載したのと同じDNA及びプライマーを、
この実験のために使用した。大腸菌株1572(ung- 及びd
ut- ) をSKII 4D2で形質転換し、形質転換細胞を50μg/
mlのアンピシリンを含む5mlのLB培地中で、37℃で一夜
培養した。プラスミドDNAは、アルカリ-SDS法により5m
lの培地から調製した。大腸菌株1572から調製したSKII
4D2(0.1μg)、変異プライマー(0.2μg)、選択プライマ
ー(0.05μg)、20mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM MgCl2、お
よび50mM NaCl を含む20μl の溶液を100 ℃で3分間加
熱した。アニーリング混合物を含むチューブを素早く氷
浴中に浸漬することによりプライマーをアニーリングさ
せた。3μlの100mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM dNTPs、2
0mM DTTを含む溶液、5μl のdH2O、及び1μlのT4 DNA
ポリメラーゼ(3 units/μl, New England Biolabs社)
をアニーリング混合物に加えることにより、プライマー
を起点とするDNA合成を行った。反応溶液を37℃で2
時間インキュベートした。次いで、0.5 μl のT4 DNAリ
ガーゼ(400units/μl, New England Biolabs社) 及び0.
5 μlの10mM ATPを反応混合物中に加え、37℃でさらに
2時間インキュベートした。次に、0.5 μl のT4 DNAリ
ガーゼ(400units/μl, New England Biolabs社) を加
え、37℃で4時間インキュベートした。4時間後、1μ
l のT4 DNAリガーゼ(400units/μl, New England Biola
bs社) 、1.5 μlの100mM MgCl2 、1μlの100mM ATP を
添加し、37℃で一夜インキュベートした。0.25%SDS及
び5mM EDTA(pH 8.0) を含む溶液を3μl加え、65℃で
5分間加熱することにより反応を停止させた。5μlの
DNA溶液を用いて、大腸菌株BMH 71-19mut.Sコンピテ
ント細胞を形質転換した。
【0036】形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリン
を含む5mlのLB培地中で一夜培養した。プラスミドDNA
は、アルカリ-SDS法により5mlの培地から調製した。2
μlのプラスミドDNA をClaI消化に供した。全ての消
化物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。アガロー
スゲルをエチジウムブロマイドにより染色し(図2)、
GENECLEAN KIT(Bio101社) を用いて未消化のDNA をゲル
から単離し、最終容量を20μlとした。0.5 μlの単離し
たDNA を用いて、大腸菌株XL1-Blueコンピテント細胞を
形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含む5mlのLBプ
レート上で、37℃で一夜培養した。約300 コロニーがプ
レート上で形成された。20コロニーから20プラスミドを
調製し、ClaI消化により確認した。これらのすべてが
選択プライマーを含み、20プラスミドの16個が変異プラ
イマーを含んでいた。突然変異を作製する効率は80%で
あった。
【0037】変異導入の迅速法の可能性を判定するた
め、プライマーを用いて、あるいは用いずにT4 DNAポリ
メラーゼによりDNA 鎖を合成し、そしてT4 DNAリガーゼ
により環状化した後に、10μlの反応混合物を用いて大
腸菌株BMH 71-19mut.Sコンピテント細胞を形質転換し
た。形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリンを含むLB
プレート上で、37℃で一夜培養した。プライマーを使用
した場合は64コロニーがプレート上に見られたのに対
し、プライマーを使用しない場合は58コロニーがプレー
ト上に見られた。この結果は、6コロニーが突然変異さ
れており、58コロニーがウラシルが取り込まれていない
親DNA 由来であるかもしれないことを示した。この段階
で、突然変異体を作製するための効率は約9.4 %であっ
た。
【0038】4-2. ケース2. 平滑筋ミオシン重鎖の他の突然変異体を作るため、本発
明による別の突然変異導入を以下のとおり行った。大腸
菌株1572から調製したSKII 4D2(0.1μg)、変異プライマ
ー(配列番号3)(0.5 μg)、選択プライマー(配列番
号4)(0.02 μg)、20mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM MgCl
2、および50mM NaCl を含む溶液の20μl を100 ℃で3
分間加熱した。アニーリング混合物を含むチューブを氷
浴中に素早く浸漬することによりプライマーをアニーリ
ングさせた。3μlの100mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM dN
TPs、20mM DTTを含む溶液、5μl のdH2O、及び1μl
のT4 DNAポリメラーゼ(3 units/μl, New England Biol
abs社) を加えることにより、プライマーを起点とする
DNA合成を行った。反応は、37℃で1時間インキュベ
ートした。次いで、0.5 μl のT4 DNAリガーゼ(400unit
s/μl, New England Biolabs社) 及び0.5μlの10mM ATP
を反応混合物中に加え、37℃でさらに1時間インキュベ
ートした。1時間後、1μl のT4 DNAリガーゼ(400unit
s/μl, New England Biolabs社)、1.5 μlの100mM MgCl
2、1μlの100mM ATP を添加し、37℃で2時間インキュ
ベートした。0.25%SDS及び5mM EDTA(pH 8.0) を含む
溶液の3μlを加え、65℃で5分間加熱することにより
反応を停止させた。5μlのDNA溶液を用いて、大腸
菌株BMH 71-19mut.Sコンピテント細胞を形質転換した。
【0039】形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリン
を含む5mlのLB培地中で、37℃で一夜培養した。プラス
ミドDNA は、アルカリ-SDS法により5mlの培地から調製
した。2μgのプラスミドDNA をClaI消化に供した。
全ての消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。
アガロースゲルをエチジウムブロマイドにより染色し
た。GENECLEAN KIT(Bio101社) を用いて未消化のDNA バ
ンドをゲルから単離し、最終容量を20μlとした。0.5
μlの単離したDNA を用いて大腸菌株XL1-Blueコンピテ
ント細胞を形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含む
LBプレート上で、37℃で一夜培養した。約300 コロニー
がプレート上で形成された。20コロニーから20プラスミ
ドを調製し、ClaI消化により確認した。これらのすべ
てが選択プライマーを含み、20プラスミドの10個が変異
プライマーを含んでいた。突然変異効率は約50%であっ
た。対照として、“Transformer site-directed mutage
nesis kit (CLONTECH 社)”に従い、同一のテンプレー
ト(ウラシルは取り込まれなかったもの) 及びプライマ
ーを用いて突然変異導入を行った。240 プラスミドを調
製し、確認した。これらのいずれも突然変異は見られな
かった。
【0040】4-3. ケース3. 平滑筋ミオシン調節軽鎖キナーゼの置換突然変異体を作
成するため、突然変異導入を以下の通り行った。大腸菌
株1572から調製したpT7-TM3(0.1 μg)、変異プライマー
(配列番号5)(0.3 μg)、選択プライマー(配列番号
6)(0.1μg)、20mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM MgCl2
および50mM NaCl を含む溶液の20μl を100 ℃で3分間
加熱した。アニーリング混合物を含むチューブを氷浴中
に素早く浸漬することによりプライマーをアニーリング
させた。3μlの100mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM dNTP
s、20mM DTTを含む溶液、5μl のdH2O、及び1μl のT
4 DNAポリメラーゼ(3 units/μl, New England Biolabs
社) 溶液を加えることにより、プライマーを起点とする
DNA合成を行った。かかる反応は、37℃で1時間イン
キュベートした。次いで、0.5 μlのT4 DNAリガーゼ(40
0units/μl, New England Biolabs社) 及び0.5μlの10m
M ATPを反応混合物中に加え、37℃でさらに1時間イン
キュベートした。1時間後、1μlのT4 DNAリガーゼ(40
0units/μl, New England Biolabs社)、1.5 μlの100mM
MgCl2 、および1μlの100mM ATP を添加し、37℃で2
時間インキュベートした。0.25%SDS及び5mM EDTA(pH
8.0) を含む溶液を3μl加え、65℃で5分間加熱するこ
とにより反応を停止させた。20μlのDNA溶液を用い
て、大腸菌株BMH 71-19mut.Sコンピテント細胞を形質転
換した。
【0041】形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリン
を含む5mlのLB培地中で、37℃で一夜培養した。プラス
ミドDNA は、アルカリ-SDS法により5mlの培地から調製
した。2μgのプラスミドDNA をBamHI消化に供し
た。全ての消化物を0.9%アガロースゲル電気泳動に供
した。アガロースゲルをエチジウムブロマイドにより染
色し、GENECLEAN KIT(Bio101社) を用いて未消化のDNA
バンドをゲルから単離し、最終容量20μlとした。0.5
μlの単離したDNA を用いて大腸菌株XL1-Blueコンピテ
ント細胞を形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含む
LBプレート上で、37℃で一夜培養した。約200 コロニー
がプレート上で形成された。16コロニーから16プラスミ
ドを調製し、BamHI消化により確認した。これらのす
べてが選択プライマーを含み、16プラスミドの5個が変
異プライマーを含んでいた。突然変異効率は約34%であ
った。対照として、“Transformer site-directed muta
genesis kit (CLONTECH 社)”に従い、同一のテンプレ
ート(ウラシルは取り込まれなかったもの) 及びプライ
マーを用いて突然変異導入を行った。200 プラスミドを
調製し、確認した。これらのいずれも突然変異は見られ
なかった。
【0042】4-4. ケース4. 本発明に従って、平滑筋ミオシン重鎖の別の突然変異体
を作製するため突然変異導入を以下の通り行った。大腸
菌株1572から調製したSKII 4D2(0.1μg)、変異プライマ
ー(配列番号7及び8)(0.5 μg)、選択プライマー
(配列番号9)(0.02μg)、20mM Tris-HCl(pH7.5)、10m
M MgCl2、および50mM NaCl を含む溶液の20μlを100 ℃
で3分間加熱した。アニーリング混合物を含むチューブ
を氷浴中に素早く浸漬することによりプライマーをアニ
ーリングさせた。3μlの100mM Tris-HCl(pH 7.5)、10m
M dNTPs、20mM DTTを含む溶液、5μl のdH2O、及び2
μl のT4 DNAポリメラーゼ(3 units/μl, New England
Biolabs社) を加えることにより、プライマーを起点と
するDNA合成を行った。かかる反応は、37℃で1時間
インキュベートした。次いで、0.5 μlのT4 DNAリガー
ゼ(400units/μl, New England Biolabs社) 及び0.5μl
の10mM ATPを反応混合物中に加え、37℃でさらに1時間
インキュベートした。1時間後、1μl のT4 DNAリガー
ゼ(400units/μl, New England Biolabs社)、1.5 μlの
100mM MgCl2および1μlの100mM ATP を添加し、37℃で
2時間インキュベートした。0.25%SDS及び5mM EDTA(p
H 8.0) を含む溶液を3μl加え、65℃で5分間加熱する
ことにより反応を停止させた。5μlのDNA溶液を用
いて、大腸菌株BMH 71-19mut.Sコンピテント細胞を形質
転換した。
【0043】形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリン
を含む5mlのLB培地中で、37℃で一夜培養した。プラス
ミドDNA は、アルカリ-SDS法により5mlの培地から調製
した。2μgのプラスミドDNA をSpeI消化に供した。
全ての消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供した。
アガロースゲルをエチジウムブロマイドにより染色し
た。GENECLEAN KIT(Bio101社) を用いて未消化のDNA バ
ンドをゲルから単離し、最終容量を20μlとした。0.5
μlの単離したDNA を用いて大腸菌株XL1-Blueコンピテ
ント細胞を形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含む
LBプレート上で、37℃で一夜培養した。約300 コロニー
がプレート上で形成された。20コロニーから20プラスミ
ドを調製し、SpeI消化により確認した。これらのすべ
てが選択プライマーを含んでいた。20プラスミドの18個
が両方の変異プライマーを含み、20プラスミドの2個が
1個の変異プライマーのみを含んでいた。突然変異体を
得るための効率は80%であった。対照として、“Transf
ormer site-directed mutagenesis kit (CLONTECH
社)”に従い、同一のテンプレート(ウラシルは取り込
まれなかったもの) 及びプライマーを用いて突然変異導
入を行った。120 プラスミドを調製し、確認した。これ
らのいずれも突然変異は見られなかった。
【0044】4-5. ケース5. pBlueBac Mベクター上のポリヘドリンプロモーターの直
後にSpeI部位を作製するため、突然変異を以下の通り
行った。大腸菌株1572をpBlueBac Mで形質転換し、形質
転換細胞を、50μg/mlのアンピシリンを含む5mlのLB培
地中で、37℃で一夜培養した。プラスミドDNA は、アル
カリ-SDS法により5mlの培地から調製した。大腸菌株15
72から調製したpBlueBacM(0.1μg)、変異プライマー
(配列番号10)(0.2 μg)、選択プライマー(配列番号
11)(0.1μg)、20mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM MgCl2
よび50mM NaCl を含む20μl の溶液を100 ℃で3分間加
熱した。アニーリング混合物を含むチューブを氷浴中に
素早く浸漬することによりプライマーをアニーリングさ
せた。3μlの100mM Tris-HCl(pH 7.5)、10mM dNTPs、2
0mM DTTを含む溶液、5μl のdH2O、及び3μl のT7 DN
Aポリメラーゼ(10units/μl, New England Biolabs社)
を加えることにより、プライマーを起点とするDNA合
成を行った。かかる反応は、37℃で2時間インキュベー
トした。次いで、0.5 μl のT4 DNAリガーゼ(400units/
μl, New England Biolabs社) 及び1μlの100mM ATP
を反応混合物中に加え、37℃でさらに2時間インキュベ
ートした。次に、0.5μl のT4 DNAリガーゼ(400units/
μl, New England Biolabs社) を添加し、37℃で4時間
インキュベートした。4時間後、1μl のT4 DNAリガー
ゼ(400units/μl, New England Biolabs社) 、1.5 μl
の100mM MgCl2および1μlの100mM ATP を添加し、37℃
で一夜インキュベートした。0.25%SDS及び5mM EDTA(p
H 8.0) を含む溶液を3μl加え、65℃で5分間加熱する
ことにより反応を停止させた。5μlのDNA溶液を用
いて、大腸菌株BMH 71-19mut.Sコンピテント細胞を形質
転換した。
【0045】形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリン
を含む5mlのLB培地中で、37℃で一夜培養した。プラス
ミドDNA は、アルカリ-SDS法により5mlの培地から調製
した。2μgのプラスミドDNA をPstI消化に供した。
全ての消化物を0.6%アガロースゲル電気泳動に供し
た。アガロースゲルをエチジウムブロマイドにより染色
した。GENECLEAN KIT(Bio101社) を用いて未消化のDNA
バンドをゲルから単離し、最終容量を20μlとした。1
μlの単離したDNA を用いて大腸菌株XL1-Blueコンピテ
ント細胞を形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含む
LBプレート上で、37℃で一夜培養した。約18コロニーが
プレート上で形成された。18コロニーから18プラスミド
を調製し、PstI消化及びSpeI消化により確認した。
10プラスミドが予期したもの(親型) より小さく、おそ
らく、何らかの雑菌混入のためであろう。8プラスミド
が親プラスミドと同じ大きさを示した。8個全てが選択
プライマーを含み、8プラスミドの4個が変異プライマ
ーを含んでいた。突然変異効率は50%であった。
【0046】本発明を、好ましい実施態様に関して記載
してきた。明らかに、改良および変更は、上記詳細な記
載を読み、理解することにより生ずるであろう。改良お
よび変更が、添付した特許請求の範囲および意図又はそ
れらの均等物内に入る限り、本発明は、かかる全ての改
良および変更を含むものとして解釈されることを意味す
る。
【0047】
【発明の効果】本発明により、DNAの特定部位の突然
変異導入を行う効率が増加する。
【0048】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:31 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: CAGAAAGCCG AGGCTTAACT GAAGGAGCTG G 31
【0049】配列番号:2 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: CGAGGTCGAC GGTATAAATA AGCTTGATAT CG 32
【0050】配列番号:3 配列の長さ:39 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: AAAAAGATGC AACAACAATA GCTGGACCTG GAGGAACAG 39
【0051】配列番号:4 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: CGAGGTCGAC GGTATAAATA AGCTTGATAT CG 32
【0052】配列番号:5 配列の長さ:48 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: CCAAAGATAG GATGAAGAAS RTRRGGMCAG AAGAAAATGG CAGAAAAC 48
【0053】配列番号:6 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: GAATTCGCGC CCGGGGTACC TCTAGAGTCG AC 32
【0054】配列番号:7 配列の長さ:31 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: AAGAAAATGG AAGATTGAAT TCCTGCAGCC C 31
【0055】配列番号:8 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: CCCTACTTGG ACAACTAGTA ATTACTGAGT CAA 33
【0056】配列番号:9 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: TATAGGGCGA ATTGGGATCC GGGCCCCCCC 30
【0057】配列番号:10 配列の長さ:43 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: AAAAAAACCT ATAAATACTA GTGATTATTC ATACCCGTCC ACC 43
【0058】配列番号:11 配列の長さ:46 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA アンチセンス:No 直接の起源:合成 配列: CTAGAATTCC GGAGCGGCCG CAGGTGATCT GATCCTTTCC TGGGAC 46
【図面の簡単な説明】
本発明は、種々の構成要素及び構成要素の配置となって
現れるであろう。図は好ましい具体的態様を説明するた
めのもののみであり、本発明を限定するものとして解釈
するものではない。
【図1】図1は、DNAの特定部位の突然変異導入につ
いてDengの方法を用いたゲル電気泳動の結果を示す写真
である。
【図2】図2は、DNAの部位特異的突然変異導入につ
いて本発明の方法を用いたゲル電気泳動の結果を示す写
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 突然変異DNAの製造方法であって、 (a) チミジンの代わりにウラシルを含み、かつ、必須
    ではなく一つしか存在しない制限部位を含む突然変異す
    べき目標DNAから、目的とする突然変異を含むが該制
    限部位をもたない変異娘DNAを作製し、該変異娘DN
    Aは、目的とする変異を所持するプライマーのプライマ
    ー伸長反応により生成したものであり; (b)未変異親DNA及び変異娘DNAを制限部位で切
    断する酵素で処理して親DNAを直鎖状にし; (c)変異娘DNAを見かけ分子量の違いにより単離
    し; (d)該単離した娘DNAを大腸菌宿主細胞に形質転換
    させる段階を含む方法。
  2. 【請求項2】 目標DNAが、大腸菌ung- 、dut- 細胞
    から調製された二本鎖のウラシル含有環状DNAである
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 部位特異的突然変異を導入する方法であ
    って、 (a)必須ではなく一つしか存在しない制限部位及び突
    然変異すべき目標DNAを有する環状の二本鎖ウラシル
    含有DNAを用い; (b)目標DNAの一本鎖に対して相補的であるが、目
    的とするヌクレオチド突然変異をも含む変異オリゴヌク
    レオチドプライマーを用い、かつ、同一鎖上の必須では
    なく一つしか存在しない制限部位に相補的であるが、そ
    の部位を消去するようなヌクレオチド突然変異を含む選
    択オリゴヌクレオチドプライマーを用い; (c)環状二本鎖ウラシル含有DNAを変性させて環状
    一本鎖DNAを形成し; (d)変異プライマーを目標DNAとハイブイダイズさ
    せ、かつ、選択プライマーを一つしか存在しない制限部
    位とハイブリダイズさせる条件のもとに、変異プライマ
    ー及び選択プライマーを環状一本鎖DNAにアニールさ
    せ; (e)環状一本鎖ウラシル含有DNAを鋳型として新た
    なDNA鎖を合成し、その新たな鎖は、一つしか存在し
    ない制限部位を持たず、目標DNAにおける突然変異を
    含むものであり; (f)新たなDNA鎖を連結して環状二本鎖DNAを形
    成し; (g)ミスマッチの修復能力が欠損し、ung+ である宿
    主細胞を該環状二本鎖DNAで形質転換し; (h)新たなDNA鎖の複製及び共分離を行わせるため
    に該細胞を培養して、両方の鎖中にプライマー−導入突
    然変異を含む環状二本鎖DNAを作製し; (i)形質転換し、培養した宿主細胞から環状二本鎖D
    NAを単離し; (j)その単離したDNAを、必須ではなく一つしか存
    在しない制限部位を切断する酵素で処理し、該制限部位
    を含む親型の環状DNAは切断されて直鎖状となるが、
    制限部位が消去された非親型(突然変異体)の環状DN
    Aは切断されずに環状のままであり; (k)見かけ分子量の違いにより、消化物から環状DN
    Aを単離し; (l)該単離したDNAで第二の宿主細胞を形質転換
    し;そして(m)目標DNA中に突然変異を含む単離し
    た環状二本鎖DNAが大多数である、形質転換した宿主
    細胞からの環状二本鎖DNAを任意に単離する段階を含
    む方法。
  4. 【請求項4】 目標DNAが、大腸菌ung- 、dut- 細胞
    から調製された、二本鎖のウラシル含有環状DNAであ
    る請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 突然変異すべき目標DNAを保持するD
    NAが、プラスミドDNA、コスミドDNA又はファー
    ジミドDNAである請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】 プライマーが、1つ若しくはそれ以上の
    変異プライマー及び1つの選択プライマーの混合物であ
    る請求項3記載の方法。
  7. 【請求項7】 変異プライマーの量が目標DNAの量の
    1〜10倍の重量であり、選択プライマーの量が目標DN
    Aの量の2〜1/20倍の重量である請求項3記載の方法。
  8. 【請求項8】 新たなDNA鎖が、DNAポリメラーゼ
    を用いて変異プライマー及び選択プライマーからDNA
    を伸長することにより合成され、DNA合成の完了後に
    DNAリガーゼを添加してDNA鎖が連結されたもので
    ある請求項3記載の方法。
  9. 【請求項9】 環状二本鎖DNAが、アルカリ−SDS
    法を用いて宿主細胞から単離されたものである請求項3
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 DNAの部位特異的突然変異導入を行う
    ためのキットであって、 (a)dut- 及びung- である細菌宿主細胞並びに(b)
    ミスマッチ修復能を欠損し、ung+ である細菌宿主細胞
    を含むキット。
  11. 【請求項11】 (a)プライマーから第二のDNA鎖の
    合成を行うことが可能なDNAポリメラーゼ及びDNA
    リガーゼ; (b)デオキシアデノシン5’−三リン酸、デオキシグ
    アノシン5’−三リン酸、デオキシシトシン5’−三リ
    ン酸、デオキシチミジン5’−三リン酸を含むデオキシ
    リボヌクレオチド; (c)ATP(アデノシン5’−三リン酸)及びポリヌ
    クレオチドキナーゼ; (d)リン酸化反応、DNA合成反応、DNA連結反
    応、制限酵素消化及びDNA精製を行うための緩衝液;
    並びに、 (e)特定部位の突然変異を導入するための詳細を提供
    するプロトコールをさらに含む請求項10記載のキット。
  12. 【請求項12】 dut- 、ung- 宿主細胞が、大腸菌株CJ
    236、大腸菌株1572あるいは遺伝子型がung- 及びdut-
    である大腸菌株の群から選ばれるものである請求項10記
    載のキット。
  13. 【請求項13】 ミスマッチ修復欠損の宿主が、大腸菌株
    BMH 71-18 mut.S.である、請求項10記載のキット。
  14. 【請求項14】 DNAポリメラーゼが、T4−DNAポ
    リメラーゼ、T7−DNAポリメラーゼ、大腸菌DNA
    ポリメラーゼI又は大腸菌DNAポリメラーゼI large
    断片の群から選ばれるものである請求項11記載のキッ
    ト。
  15. 【請求項15】 DNAリガーゼが、T4−DNAリガー
    ゼ又は大腸菌DNAリガーゼを含む群から選ばれるもの
    である請求項11記載のキット。
  16. 【請求項16】 ポリヌクレオチドキナーゼがT4−DN
    Aポリヌクレオチドキナーゼである請求項11記載のキッ
    ト。
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