JPH08167203A - 回転ドラム装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】回転ドラムの外周面のヘッド近くを小径にし、
テーパで外周を結んだ構成にする。 【効果】ヘッドコンタクトを安定に確保できかつ、傷ん
だテープが走行したときのテープ保護が可能であり、巻
装も容易にできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、業務用並びに家庭用ビ
デオテープレコーダなどの回転ドラム装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ビデオテープレコーダの回転ドラム装置
において、上回転方式の回転ドラムは、相対速度が大と
なると、テープと上ドラムとの間にエアフィルムが増大
する。エアフィルムが形成されることにより、テープは
ドラムと直接密着することなく走行しているためドラム
周りにおけるドラムとテープとの摩擦係数は軽減され、
かつ、テープにもきずが付きにくくなる。また、回転ド
ラムの摩耗も少ない。

【０００３】しかし、エアフィルムが、ある値以上大き
くなると、ドラムからのテープ浮上量が大きくなり、ヘ
ッドの突出量が、相対的に小さくなる。テープに対する
ヘッドの突出量が小さくなると、ヘッドのテープに対す
る面圧が小さくなり、ヘッドとテープのタッチが悪くな
り、いわゆる、テープに対するヘッドタッチ不良がおこ
る。

【０００４】特に、ディジタルビデオテープレコーダ等
では、高速回転型のドラムを用いる場合が多い。こうし
た、回転ドラムでは、テープとドラム間の相対速度が大
きいため、従来技術のままではエアフィルムが大きくな
り、ヘッドタッチ不良の原因となる。

【０００５】このようなエアフィルムの適正化技術とし
て、従来から用いられているものの一つは、図２に示す
ように、例えば、特開昭６０ー６４５号公報に示される
ように、回転ドラムのヘッド周辺部を切り欠いてなくし
たものが提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、テー
プの浮上量を小さくするのに有効で安定なヘッドコンタ
クトを得ることができる。

【０００７】しかし、回転ドラム装置への磁気テープの
巻装及び、巻脱において、磁気テープのエッジ部が上回
転ドラムと下固定ドラムの隙間にはまり、その状態で磁
気テープが走行すると磁気テープを上回転ドラムまた
は、下固定ドラムのエッジ部で切断したりすることがあ
った。

【０００８】また、何等かの理由により、傷の付いたテ
ープを走行させた時に、磁気テープのエッジ部が上回転
ドラムまたは、下固定ドラムのエッジ部に引っかかり、
その状態でテープが走行すると、上回転ドラムと下固定
ドラムの隙間にはまり、テープが安定に走行できなくな
ったり、上回転ドラムまたは、下固定ドラムのエッジ部
で切断したりすることがあった。

【０００９】本発明は、高速回転型ドラム装置におい
て、磁気ヘッドを配した上回転ドラムの窓部と磁気テー
プとを離間させて窓部での磁気テープの傷つきを抑圧し
ながら、磁気テープとドラム間のエアフィルムを小さく
して磁気ヘッドと磁気テープのタッチの安定化を図ると
ともに、傷の付いた磁気テープ及び、回転ドラム装置へ
の磁気テープの巻装、巻脱時に上回転ドラムと下固定ド
ラムの隙間に磁気テープのエッジ部が挿入しない構成に
して磁気テープの保護を行う。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は上回転ドラムのヘッド近くの外周面を、
他の外周面よりも、径が小さくなるようにテーパ状にし
て小径にする。すなわち、磁気ヘッドの回転中心軸側に
近づけた構成にする。

【００１１】

【作用】上回転ドラムのヘッド近くの外周面を、上回転
ドラムの外周面よりも小径になるように構成したことに
より、ヘッド走査部のテープ浮上量を小さくできるため
テープテンションを小さくしても従来技術と同様に安定
なヘッドコンタクトが得られ、かつ、上回転ドラムのヘ
ッド近くの外周面をテーパで構成したため、上回転ドラ
ムと下固定ドラムの隙間を小さくでき、巻装及び巻脱時
にテープが上回転ドラムと下固定ドラムの隙間に挿入す
ることはない。

【００１２】また、テープのエッジが傷んだテープでも
上回転ドラムに設けたテーパ部で滑らかにテープは上回
転ドラムの外周面に沿わせることができ、安定に走行さ
せることが可能である。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面によって説明す
る。

【００１４】ディジタルハイビジョン対応のビデオテー
プレコーダでは、薄手テープを用いた高速回転ドラムと
なることが多く、磁気テープと磁気ヘッドの相対速度が
非常に大きくなるため、上回転ドラムの磁気ヘッド近傍
部の外周面の径が小さい、構造の回転ドラム装置がエア
フィルムの発生が少ないため、磁気ヘッドと磁気テープ
のコンタクトは有利となることが知られている。

【００１５】本発明は、ヘッドコンタクトの安定化を図
ると共に、磁気テープ８の回転磁気ヘッド装置１１への
巻装および巻脱と、走行安定化を実現するものである。

【００１６】図１は、本発明の第一の実施例の構成を示
したものである。

【００１７】磁気ヘッド７は上回転ドラム６に設けられ
た窓部１０に取り付けられており、上回転ドラム６の外
周面は磁気ヘッド７の走査部付近において、下固定ドラ
ム１のテープ走行面１５より径の小さい円筒面で構成
し、二つの円筒面間をテーパで構成したものである。そ
の他は従来技術と同じ構成であって、下固定ドラム１に
軸受２a,２bを介してシャフト３が取り付けられてい
る。このシャフト３はディスク４に圧入され、モータ５
によって高速回転している。このディスク４に取り付け
られた上回転ドラム６には、磁気ヘッド７が取り付けら
れており、磁気ヘッド７と磁気テープ８は高速摺動をし
ている。磁気ヘッド７は、磁気テープ８に記録されてい
る信号を読みだし、ディスク４に固定されているロータ
リトランス９aから下固定ドラム１に固定されているロ
ータリトランス９bに信号を通して、本実施例には記載
されていないが信号処理回路に信号を送る構造になって
おり、磁気テープ８に記録する時は逆の流れで行われ
る。

【００１８】図３、図４及び図５は回転磁気ヘッド装置
１１への磁気テープ８の巻装時の本発明の有効性の説明
図である。

【００１９】図３は回転磁気ヘッド装置１１にカセット
１２から磁気テープ８を巻装した状態を示したものであ
る。カセット１２に収納されている磁気テープ８はテー
プ引出し部材１３により回転磁気ヘッド装置１１の決め
られた位置に巻装される。

【００２０】図４は従来構成の回転磁気ヘッド装置１１
に、磁気テープ８の巻装途中の状態を示す図で、図３の
Ｂに示す矢視方向の回転磁気ヘッド装置１１の断面を示
したものである。

【００２１】上回転ドラム６と下固定ドラム１の隙間が
大きくあいているため、磁気テープ８が傾いた状態で巻
装されると、隙間に磁気テープ８のエッジ部が挿入し、
磁気テープを傷つけやすかった。このため、引出し部材
１３の引出し途中の精度を高精度に規制しながら行う必
要があった。説明はヘッド近傍に窓がないドラムで説明
したが、ヘッドの近くが他の上回転ドラム６の外周面よ
り一段落ちているものにおいても、段差部に磁気テープ
８のエッジ部が引っかかり、磁気テープ８の巻装時に磁
気テープ８を傷つけることになる。

【００２２】一方、図５は、本発明の回転ドラム装置１
１への磁気テープ８の巻装時の状態を示したものであ
る。回転ドラム装置への磁気テープ８の巻装は、下固定
ドラム１のテープ走行面１５および、上回転ドラム６の
外周面に対して、磁気テープ８が傾いて巻装しても、上
回転ドラム６と下固定ドラム１の隙間は小さく、磁気テ
ープ８のエッジが挿入したりしない。また、磁気テープ
８が傾いて巻装しても上回転ドラム６に設けたテーパで
磁気テープ８は滑らかに、回転ドラム装置１１に巻装す
ることができ、磁気テープ８を傷めることがない。

【００２３】次に本発明のテープ走行時の優位性につい
て図６、図７、図８、図９を用いて説明する。磁気テー
プ８の上部エッジは、ガイド（図示せず）で規制するこ
とにより、回転ドラム装置１１のテープ案内段１４に沿
った状態で走行する。磁気テープ８の同じ箇所を何度も
走行させることによって、磁気テープ８の上部エッジは
ガイドによって傷み、下部エッジはテープ案内段１４に
よって傷む。傷みは走行回数に比例して増えてくる。以
下、繰り返し走行により、磁気テープ８のエッジ部が傷
ついたものを走行させた場合について説明する。

【００２４】図６は、従来の回転ドラム装置１１を示し
た図である。上回転ドラム６と下固定ドラム１の間には
１ｍｍ程度の隙間がある。この隙間から磁気ヘッド７が
突出して取り付けられている。磁気テープ８は回転ドラ
ム装置１１に螺旋状に約１８０゜巻装された状態で、テ
ープ案内段１４に沿って走行するため、回転ドラム装置
１１への巻始め、及び巻終では磁気テープ８のエッジ部
は前記の隙間付近を走行することになる。

【００２５】図７は図６のＤ部の回転ドラム装置１１の
断面を示したものである。磁気テープ８の上部のエッジ
が折れ曲った場合の磁気テープ８をA方向に走行させた
場合の説明図である。上回転ドラム６と下固定ドラム１
の隙間に磁気テープ８のエッジ部が引っかかり、磁気テ
ープ８はさらに隙間にはまって、大きな傷をつけたり、
上回転ドラム６または、下固定ドラム１の端面で磁気テ
ープ８を切断したりすることがあった。

【００２６】図８、図９は本発明の回転ドラム装置１１
に、磁気テープ８の上部エッジが傷んだ磁気テープ８が
走行している状態を示す図である。磁気テープ８は螺旋
状に回転ドラム装置１１に巻装されて走行するため、回
転ドラム装置１１への巻始め、及び巻終では、磁気テー
プ８のエッジ部は隙間と重なるが、本発明の構成におい
ては、重なる部分を小さくするか、なくすことができか
つ、上回転ドラム６にはテーパ部を配しているため、磁
気テープ８のエッジ部に傷または、折れなどがあって
も、磁気テープは滑らかに上回転ドラム６の外周面に案
内され、隙間に磁気テープが食い込むことはなく、さら
に、上回転ドラム６、下固定ドラム１のエッジで磁気テ
ープを切断することもない。

【００２７】図１０は、本発明の第二の実施例を示した
ものである。図１に示すテーパ部と円筒面を、テーパ部
で構成したものである。本構成でも同等の効果が得られ
る。

【００２８】テーパ部の径差は３０μｍ程度あれば効果
はあるが、さらに大きくても問題はない、また、上回転
ドラム６と下固定ドラム１が対向している各々のエッジ
部は丸みをもたせるか、面取りが行われている。

【００２９】

【発明の効果】本発明による回転ドラム装置では、磁気
ヘッドの近くで上回転ドラムの径が小さいので、従来の
回転ドラム装置と同様に、高速回転時にも、ヘッド近く
のエアフィルムを低減できるため、良好にヘッドとテー
プのコンタクトを得ることができ、かつ、上回転ドラム
６にテーパを設けているため、回転ドラム装置１１への
磁気テープ８の巻装時に滑らかに回転磁気ヘッド装置１
１に巻装することができる。磁気テープの回転ドラム装
置への巻装、巻脱機構が簡単な構成で行うことができ
る。また、磁気テープ８のエッジ部が傷んでいても、上
回転ドラム６に設けたテーパ部で磁気テープ８を滑らか
に案内できるため、安定なテープ走行が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す図で、回転ドラム
装置の断面図。

【図２】従来例の回転ドラム装置の側面図。

【図３】回転ドラム装置への磁気テープの巻装、巻脱の
説明図。

【図４】従来の回転ドラム装置へのテープ巻装時の状態
を示す断面図。

【図５】本発明の回転ドラム装置へのテープ巻装時の状
態を示す断面図。

【図６】従来の回転ドラム装置のテープ走行状態を示す
斜視図。

【図７】従来の回転ドラム装置の傷の付いたテープの走
行状態を示す断面図。

【図８】本発明の第１の実施例の回転ドラム装置のテー
プ走行状態を示す斜視図。

【図９】本発明の回転ドラム装置の傷の付いたテープの
走行状態を示す断面図。

【図１０】本発明の第２の実施例の回転ドラム装置の側
面図。

【符号の説明】

１…下固定ドラム、 ２…軸受、 ３…シャフト、 ４…ディスク、 ５…モータ、 ６…上回転ドラム、 ７…磁気ヘッド、 ８…磁気テープ、 ９a,９b…ロータリトランス、 １０…窓部、 １５ テープ走行面。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 淳 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所映像メディア研究所内 (72)発明者 益岡 信夫 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所映像メディア研究所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外表面部に巻装された記録媒体としてのテ
   ープに対し、回転するヘッドで信号を記録または再生す
   る回転ドラム装置であって、 外周面で前記テープの走行を案内する円筒状の上回転ド
   ラムと、 前記上回転ドラムの下方にあって前記上回転ドラムと同
   心状に配され、前記テープが走行するテープ走行面およ
   び、前記テープの幅方向の走行位置を規制するリード部
   を有する円筒状の下固定ドラムから成る回転ドラム装置
   において、 前記、上回転ドラムの外周面は、前記下固定ドラムに遠
   い側に大きい径の外周面を軸方向に同一径で配し、前記
   ヘッドに近づくに従い徐々に径を小さくしたテーパ部を
   配し、前記下固定ドラムに近い側では前記下固定ドラム
   に遠い側の外周面より小さい径の外周面を軸方向に同一
   径で配したことを特徴とする回転ドラム装置。
2. 【請求項２】請求項１において、前記上回転ドラムの小
   径の軸方向に同一径よりなる外周面は、前記下固定ドラ
   ムのテープ走行面より小径とした回転ドラム装置。
3. 【請求項３】外表面部に巻装された記録媒体としてのテ
   ープに対し、回転するヘッドで信号を記録または再生す
   る回転ドラム装置であって、 外周面で前記テープの走行を案内する円筒状の上回転ド
   ラムと、 前記上回転ドラムの下方にあって前記上回転ドラムと同
   心状に配され、前記テープが走行するテープ走行面およ
   び、テープの幅方向の走行位置を規制するリード部を有
   する円筒状の前記下固定ドラムから成る回転磁気ヘッド
   装置において、 前記上回転ドラムの外周面は、前記下固定ドラムに遠い
   側に半径の大きい外周面を軸方向に同一径で配し、前記
   ヘッドに近づくに従い徐々に小径となるテーパ部を配し
   て、前記上回転ドラムのテーパ部の最小径を、前記下固
   定ドラムのテープ走行面より小径とした構成の回転ドラ
   ム装置。
4. 【請求項４】請求項２または、請求項３において、前記
   上回転ドラムの外周面の最小径を、前記下固定ドラムの
   テープ走行面より３０μｍ以上小径とした回転ドラム装
   置。