JPH08167138A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08167138A
JPH08167138A JP31173394A JP31173394A JPH08167138A JP H08167138 A JPH08167138 A JP H08167138A JP 31173394 A JP31173394 A JP 31173394A JP 31173394 A JP31173394 A JP 31173394A JP H08167138 A JPH08167138 A JP H08167138A
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JP
Japan
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protective layer
carbon
carbon protective
layer
magnetic
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Application number
JP31173394A
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English (en)
Inventor
Michio Osawa
通夫 大沢
Hideaki Teranishi
秀明 寺西
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ガス汚染の少ないカーボン保護層を実現するこ
とにより、耐環境特性に優れた磁気記録媒体を提供する
こと。 【構成】水滴の接触角が大きなカーボン保護層はガス吸
着性が少なく、活性が低い好適な保護膜材である。カー
ボン保護層の表面の水滴に対する接触角が60°以上で
あると、汚染ガスの吸着が起こり難く、そのため周囲に
汚染ガスが存在していても、媒体又はヘッドの腐食やヘ
ッドと媒体との吸着などのトラブルが発生し難くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータ等のハー
ドディスク装置などに使用される磁気ディスク等の磁気
記録媒体の層構成に関するものであり、特に、磁気記録
媒体の磁性層を保護するために形成される保護層の膜質
に関する。
【0002】
【従来の技術】固定磁気ディスク装置に用いられている
一般的な磁気記録媒体の構成は、図5に示す如く、非磁
性基板11上に非磁性金属層12を形成して非磁性の基
体1とし、この基体1の上に非磁性の金属下地層2を積
層した後、この金属下地層2上に、強磁性合金体である
Co−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)、ま
たはCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)など
により磁性層3を薄膜状に積層形成し、さらに、この磁
性層上にアモルファスカーボン保護層4を形成する。そ
して、この保護層4の上に、必要に応じて液体潤滑剤か
らなる潤滑層5を塗布して磁気ディスクを形成してい
る。
【0003】非磁性の基体1としては、例えばAl−M
g合金の非磁性基板11に無電解メッキによりNi−P
メッキ層12を形成したもの、アルマイト基体、ガラス
基体、セラミック基体、などが用いられる。そして、こ
の基体1を必要に応じて研磨し、テクスチャーなどによ
り凹凸を形成する場合もある。この非磁性の基体1を約
200°Cに加熱しながらAr雰囲気下のスパッタリン
グにより層厚約200nmのCrからなる非磁性金属下地層
2、層厚約30nmのCo−Cr−Taなどからなる磁性層
3、および層厚約15nmのアモルファスカーボンからなる
保護層4を順次スパッタ法により積層成形する。そし
て、保護層4上に、フロロカーボン系の液体潤滑剤を塗
布して層厚約2nmの潤滑層5を形成し、磁気ディスクを
製造する。
【0004】このような磁気ディスクがハードディスク
装置などに実装されると、装置の記録ヘッドとの接触動
作を繰り返すこととなる。これは、一般に、ハードディ
スク装置などにおいて、停止時にヘッドと磁気ディスク
表面が接触する状態であり、この状態から稼動時のみに
ヘッドが磁気ディスク表面から僅かに浮上して、情報の
読み取り動作または書込み動作が行われるCSS(コン
タクト・スタート・ストップ)方式が採用されているた
めである。従って、電源のオン・オフ、およびヘッドの
シーク動作に伴いヘッドと磁気ディスク表面の突起等の
間には、瞬間的にエネルギーの高いヘッドタッチが発生
する。このような物理的な衝撃などから磁性層を保護す
るために磁性層の表面に保護層を形成しており、また、
場合によっては、液体潤滑膜も形成する。一般的に、5
インチ以下の少口径のディスクの場合は、保護層の材料
としてカーボンが用いられ、Ar雰囲気中でのスパッタ
リングにより層を形成することが多いが、この他にも酸
化物系、例えば、酸化ジルコニアなどが使用されること
もある。保護層としてカーボンが採用される理由の一つ
として、スパッタリングにより形成されるアモルファス
カーボン層は、比較的グラファイト性が強いため、グラ
ファイト特有の水を含んだ大気下において低い摩擦係数
を示すという特徴を有する点がある。
【0005】しかしながら、このようなカーボン保護層
は、従来のMn−Znフェライトヘッド(ビッカース硬
度約650)に対しては十分な耐磨耗性を有し、良好な
耐CSS特性を示すが、最近になり固定磁気ディスク装
置に採用される薄膜ヘッドやMIGヘッドのスライダー
材料であるAl2 3 ・TiCやCaTiO3 といった
硬質のセラミック材料(ビッカース硬度約2000)と
比較すると硬度が低いため、これら硬質スライダーに対
しては磨耗を引き起こし易く、場合によっては、ヘッド
がクラッシュするという問題がある。これに対し、硬度
の高い酸化物系の保護層を用いた場合は、磨耗は起こし
難いが、その硬すぎる性質と、摩擦係数が高い点が問題
となる。すなわち、シーク動作に伴う浮上動作中、ある
いはCSS動作中にディスク表面の異物や突起物によっ
て起きる瞬間的なエネルギーの高い状態でのヘッドタッ
チにより、瞬時にヘッドがクラッシュしてしまうのであ
る。
【0006】このような問題を解決するために、近年で
はカーボン保護層の性質のうち、硬度の高いダイアモン
ド的な性質を増長させ、ダイアモンド結合状態の比率が
グラファイト結合状態の比率に比して高いダイアモンド
状カーボン(DLC)を磁性層上に保護層として形成す
る方法が示されている。このダイアモンド状カーボン膜
は、炭素の優れた摺動特性に加えて、ダイアモンド構造
を取るため硬度が高く、高硬度のAl2 3 ・TiCス
ライダーやCaTiO3 スライダーに対しての耐磨耗特
性を改善することができ、既に様々な提案がなされてい
る。例えば、特開昭61−126627には不活性ガス
と炭化水素ガスとの混合雰囲気中でのスパッタリング法
またはCVD法で形成した硬質カーボン層と含フッ素潤
滑層との複合層が示されている。また、特開平2−71
422には膜中結合水素とラマンスペクトルから規定さ
れた膜質のカーボン層が示され、特開平2−29919
にはラマンスペクトルにより規定されたカーボン層の例
がある。また、特開平2−87322には水素を含む炭
素膜とその上に潤滑剤が塗布された磁気記録媒体の例が
あり、特開平1−258220では高硬度スライダー用
保護層として、水素含有量2〜7×1022原子個数/c
cのダイアモンド状炭素膜が高硬度スライダーと同程度
の硬度を有し、耐CSS特性に優れることが示されてい
る。さらに、特開平2−282470では、炭化水素ガ
ス中でスパッタして形成し、カーボンをArのみでスパ
ッタリング成膜した従来のグラファイト保護膜と同程度
の硬度を持つこととその表面が疎水性を持つことを規定
したカーボン保護膜が提案されている。更にまた、特開
平6−195691では、グラファイト的なカーボンの
摩擦係数が低いという性質を残しながら、硬度の高いA
2 3 ・TiCスライダーやCaTiO3 スライダー
に対応するために、スパッタリングにより形成されるカ
ーボン保護層の性質のうち、硬度の高いダイアモンド的
な性質を増長させながら、一方で、ポリマー的な結合を
導入し、硬度を低下させたカーボン保護層が示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高記録
密度化の進展に伴い、ヘッド浮上量の低下や保護膜/潤
滑層の薄膜化が促進されるため、微視的には保護層表面
が潤滑剤の分子に覆われていない部位(露出部位)が存
在している。即ち、保護層の上に塗布される膜厚フロロ
カーボン系の液体潤滑剤は、一般式 A−CF2 O−(C2 4 O)n (CF2 O)m −CF
2 −A で表されるような長い紐状分子であり、末端基A(例え
ばCH2 OHなど)以外は不活性であるため、図6に示
す如く、末端基Aと結合した保護層表面は不活性となる
ものの、その余の部分は未結合領域であるため、この露
出部分に空気中に存在する各種ガス等の汚染物質が吸着
され、媒体又はそれに接するヘッドの腐食や媒体とヘッ
ドとの吸着が生じ易くなり、耐環境特性の悪化要因とな
っている。
【0008】そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題
は、ガス汚染の少ないカーボン保護層を実現することに
より、耐環境特性に優れた磁気記録媒体を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】汚染ガスとしては種々の
ものが挙げられるが、カーボン保護層に汚染ガスが吸着
する理由は、双極子モーメントを示す分子(極性分子)
がカーボン保護層の露出部位に物理吸着するものと考え
られるところから、極性分子の代表例としての水分子の
吸着を問題としてガス汚染を究明することができる。水
分子がカーボン保護層に良く吸着することはカーボン保
護層の濡れ性が良いこと、即ち親和性ないし親水性が高
いことを意味するため、水滴の接触角が小さければ小さ
い程、水吸着つまり汚染ガスの吸着力が高い。かかる場
合、カーボン保護層の表面の活性度が高いと言える。逆
に、撥水性ないし疎水性が強く、水滴の接触角が大きけ
れば大きい程、水吸着つまり汚染ガスの吸着力が低い。
かかる場合、カーボン保護層の表面の活性度が低いと言
える。そこで、本発明者は、水滴の接触角が大きなカー
ボン保護層がガス吸着性の少なく、活性が低い好適な保
護膜材であることを見出した。即ち、本発明に係る磁気
記録媒体は、非磁性の基体上に積層された磁性層を保護
するカーボン保護層と、このカーボン保護層の上に塗布
された液体潤滑層とを備えた磁気記録媒体において、上
記カーボン保護層の表面の水滴に対する接触角が60°
以上であることを特徴とする。
【0010】ここで、具体的に接触角60°以上のカー
ボン保護層の材質的条件としては、カーボン保護層の表
面の酸素濃度が原子比で9.5 %以下であることが必要で
ある。他方、上記カーボン保護層は、波長514.5nm のレ
ーザー光を用いたラマンスペクトル解析により得られる
ラマンスペクトルをガウス関数で2つのピークに波形分
離したとき、そのうち高波数側のピーク位置が1565cm-1
以下を示すものである。
【0011】
【作用】水滴に対する接触角が60°以上であるカーボ
ン保護層を用いると、汚染ガスの吸着が起こり難く、そ
のため周囲に汚染ガスが存在していても、媒体又はヘッ
ドの腐食やヘッドと媒体との吸着などのトラブルが発生
し難くなる。実験の結果では、表面酸素濃度が原子比で
9.5 以下であるカーボン保護層は接触角が60°以上を
呈し、結果として腐食や吸着が起こらない効果を得るこ
とができた。更に、波長514.5nm のレーザー光を用いた
ラマンスペクトル解析により得られるラマンスペクトル
をガウス関数で2つのピークに波形分離した場合、その
高波数側のピーク位置が1565cm-1以下であるときも、接
触角が大きくなり、同様の効果を得ることができた。
【0012】
【実施例】以下に添付図面を参照して、本発明の実施例
を説明する。
【0013】カーボン系保護層の表面活性と表面の化学
的構造との関連を調べるために、次のような実験を行っ
た。まず、本例のカーボン系保護層は、カーボン焼結体
をターゲットとしてDCスパッタ法により純Arガス又
はAr/CH4 混合ガスのスパッタガスを流しながら結
晶Si基板上に成膜した。スパッタガスが純Arガスの
ときはアモルファスカーボン(a−C)保護層が形成さ
れ、比較的グラファイト性が強い。スパッタガスがAr
/CH4 混合ガスのときは、ダイアモンド状カーボン
(DLC)の保護層が形成され、ダイアモンド結合状態
の比率がグラファイト結合状態の比率に比して高い。こ
こで、ガス圧は約0.5 Pa,基板温度は200 °C, 膜厚
は約100nm とした。そして、カーボン系保護層の表面活
性度を評価するために、表面張力の液滴法により水滴に
対する接触角(カーボン保護膜の表面に対する水滴の接
線の成す角)を測定した。
【0014】ところで、前述したように、接触角が小さ
いほど表面の活性度は強いと考えられる。ダイアモンド
状カーボン(DLC)の表面構造は未知であるが、化学
的構造については、C−H結合は不活性であるものの、
C(炭素)のダングリングボンド(C−)、O(酸素)
を含む表面官能基(O−H,C=O,COOHなど)、
グラファイト的な結合に存在するπ電子がそれぞれ活性
に関与するものと考えられる。本例においては、Cのダ
ングリングボンドについてはESR(電子スピン共鳴
法)によりカーボン保護層の膜全体のダングリングボン
ド密度を評価した。また、Oを含む表面官能基について
はESCA(光電子分光法)により表面酸素濃度〔{O
原子数/(C原子数+O原子数)}×100%〕を評価
した。更に、グラファイト的な結合に存在するπ電子に
ついては、カーボン保護層のグラファイト性をレーザー
ラマン分光のスペクトルのSP3のピーク位置により評
価した。
【0015】図1はカーボン保護層のダングリングボン
ド密度と水滴に対する接触角との関係を示すグラフであ
る。この図から明らかなように、アモルファスカーボン
(a−C)又はダイアモンド状カーボン(DLC)の如
何に拘らず、ダングリングボンド密度が高くなると、水
滴に対する接触角が大きくなり、表面不活性になる。
【0016】このことからダングリングボンド密度は表
面活性化の要因ではないと推定できる。アモルファスカ
ーボン(a−C)に比してダイアモンド状カーボン(D
LC)の方がダングリングボンド密度に敏感であり、同
じ値のダングリングボンド密度に対してダイアモンド状
カーボンの方が接触角が大きい。カーボン保護膜はアモ
ルファスカーボン又はダイアモンド状カーボンの如何に
拘らず、接触角が60°以上であると不活性であると言
える。
【0017】図2はカーボン保護層の表面酸素濃度と水
滴に対する接触角との関係を示すグラフである。この図
によれば、アモルファスカーボン(a−C)又はダイア
モンド状カーボン(DLC)の如何に拘らず、表面酸素
濃度が高いほど接触角は小さくなり、表面活性になる。
従って、表面に存在する酸素はカーボン保護層の表面の
活性度の一因であると言える。ここで、表面酸素濃度に
対してはアモルファスカーボン(a−C)の方が敏感で
あり、表面酸素濃度の低い値で活性化している。60°
以上の接触角にするには、ダイアモンド状カーボン(D
LC)では表面酸素濃度を原子比で9.5 %以下にする必
要がある。従って、アモルファスカーボン(a−C)又
はダイアモンド状カーボン(DLC)の如何に拘らず、
表面酸素濃度が9.5 %以下であれば、60°以上の接触
角となり、表面不活性と言える。
【0018】図3はカーボン保護膜において波長514.5n
m のArレーザー光を用いたラマンスペクトル解析によ
り得られるラマンスペクトルをガウス関数で2つのピー
クに波形分離したときの高波数側のピーク(Gピーク)
のピーク波数(ピーク位置)と水滴に対する接触角との
関係を示すグラフである。波長514.5nm のArレーザー
光を用いて測定したカーボン保護層のラマンスペクトル
は図4(a)に示すように、低波数側にグラファイト結
合を示すSP2のピークと、高波数側にダイアモンド結
合を示すSP3のピークとがあり、主ピークであるSP
3のピークの両側方の裾野を結ぶ直線Lの下方側の領域
Sがこのラマンスペクトルにおける蛍光分である。図4
(a)のスペクトルからバックグラウンドの蛍光分Sを
除いてガウス関数で2つのピーク(G,D)に波形分離
したグラフを図4(b)に示す。
【0019】図3から明らかなように、Gピークのピー
ク波数が高波数であるほど、接触角が小さくなり、表面
活性度が増す。Gピークのピーク位置はカーボン保護層
の構造と関係しており、グラファイトの結晶に近づくほ
ど高波数のグラファイト結晶のピーク位置に近づき、非
結質(アモルファス)化するほど低波数側にシフトする
と考えられる。従って、図3は、カーボン保護層の構造
のグラファイト性が表面活性度に関与している可能性を
示している。或いは、グラファイト的な結合にはπ結合
が存在するため、π結合のπ電子が表面を活性にしてい
ると考えられる(ダイヤモンド的な結合にはπ電子は存
在しない)。図3から判るように、アモルファスカーボ
ン(a−C)又はダイアモンド状カーボン(DLC)の
如何に拘らず、60°以上の接触角となるカーボン保護
層とするには、Gピーク位置が1565cm-1以下とする必要
がある。
【0020】本例では、表1に結果を掲げるように、異
なるカーボン保護層を用いた磁気記録媒体の耐環境性試
験を行った。耐環境性試験としては高温高湿試験(80
°C,80%,100時間)を実施した。実施例1はス
パッタガスが混合ガスでダイヤモンド状カーボン膜であ
る。水滴に対する接触角が67°で表面不活性と言え
る。表面酸素濃度は8.6at.%、ラマンスペクトルGピー
ク位置は1553cm-1であり、高温高湿試験結果は腐食等の
外観上の変化は認められず、良好であった。比較例1も
ダイヤモンド状カーボン膜である。接触角46°,表面
酸素濃度は11.8at. %,ラマンスペクトルGピーク位置
は1581cm-1であり、高温高湿試験結果は腐食が認めら
れ、外観上の変化が明らかであった。比較例2はスパッ
タガスが純Arガスでアモルファスカーボン膜である。
水滴に対する接触角は60°,表面酸素濃度は8.0at.
%、ラマンスペクトルGピーク位置は1572cm-1であり、
高温高湿試験結果はやや腐食が認められた。比較例3も
アモルファスカーボン膜で、水滴に対する接触角は26
°,表面酸素濃度は10.1at. %、ラマンスペクトルGピ
ーク位置は1582cm-1であり、高温高湿試験結果は腐食が
認められ、外観上の変化が明らかであった。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、水滴の
接触角が大きなカーボン保護層がガス吸着性の少なく、
活性が低い好適な保護膜材であることを見出し、が60
°以上の接触角のカーボン保護層を具備した磁気記録媒
体を特徴としている。従って、次の効果を奏する。
【0023】 水滴に対する接触角が60°以上であ
るカーボン保護層を用いると、汚染ガスの吸着が起こり
難く、そのため周囲に汚染ガスが存在していても、媒体
又はヘッドの腐食やヘッドと媒体との吸着などのトラブ
ルが発生し難く、耐環境特性が向上する。
【0024】 表面酸素濃度が原子比で9.5 以下であ
るカーボン保護層は接触角が60°以上を呈し、結果と
して腐食や吸着が起こらない効果を得ることができた。
【0025】 更に、波長514.5nm のレーザー光を用
いたラマンスペクトル解析により得られるラマンスペク
トルをガウス関数で2つのピークに波形分離した場合、
その高波数側のピーク位置が1565cm-1以下であるとき
も、接触角が大きくなり、同様の効果を得ることができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において、カーボン保護層のダ
ングリングボンド密度と水滴に対する接触角との関係を
示すグラフである。
【図2】本発明の実施例において、カーボン保護層の表
面酸素濃度と水滴に対する接触角との関係を示すグラフ
である。
【図3】本発明の実施例において、カーボン保護膜にお
いて波長514.5nm のArレーザー光を用いたラマンスペ
クトル解析により得られるラマンスペクトルをガウス関
数で2つのピークに波形分離したときの高波数側のピー
ク(Gピーク)のピーク波数(ピーク位置)と水滴に対
する接触角との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は本発明の実施例のカーボン保護膜の蛍
光分を含むラマンスペクトルを示す波形図、(b)は
(a)に示すラマンスペクトルから蛍光分を除去したラ
マンスペクトルを示す波形図である。
【図5】一般的な磁気記録媒体の層構造を示す模式的斜
視図である。
【図6】カーボン保護層と液体潤滑剤との結合を微視的
に示す模式図である。
【符号の説明】
1…基体 2…金属下地層 3…磁性層 4…保護層 5…潤滑層 11…非磁性基板 12…非磁性金属層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性の基体上に積層された磁性層を保
    護するカーボン保護層と、このカーボン保護層の上に塗
    布された液体潤滑層とを備えた磁気記録媒体において、
    前記カーボン保護層の表面の水滴に対する接触角が60
    °以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性の基体上に積層された磁性層を保
    護するカーボン保護層と、このカーボン保護層の上に塗
    布された液体潤滑層とを備えた磁気記録媒体において、
    前記カーボン保護層の表面の酸素濃度が原子比で9.5 %
    以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性の基体上に積層された磁性層を保
    護するカーボン保護層と、このカーボン保護層の上に塗
    布された液体潤滑層とを備えた磁気記録媒体において、
    前記カーボン保護層の波長514.5nm のレーザー光を用い
    たラマンスペクトル解析により得られるラママンスペク
    トルをガウス関数で2つのピークに波形分離して、その
    うち高波数側のピーク位置が1565cm-1以下であることを
    特徴とする磁気記録媒体。
JP31173394A 1994-12-15 1994-12-15 磁気記録媒体 Pending JPH08167138A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9196282B2 (en) 2011-08-09 2015-11-24 Fuji Electric Co., Ltd. Magnetic recording medium
US9758873B2 (en) 2012-09-14 2017-09-12 Fuji Electric Co., Ltd. Manufacturing method for magnetic recording medium

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US9196282B2 (en) 2011-08-09 2015-11-24 Fuji Electric Co., Ltd. Magnetic recording medium
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