JP3460381B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP3460381B2
JP3460381B2 JP13136895A JP13136895A JP3460381B2 JP 3460381 B2 JP3460381 B2 JP 3460381B2 JP 13136895 A JP13136895 A JP 13136895A JP 13136895 A JP13136895 A JP 13136895A JP 3460381 B2 JP3460381 B2 JP 3460381B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータの外部記
憶装置等に搭載される磁気記録媒体及びその製造方法に
関し、特に、その表層に塗布された液体潤滑剤の種類に
関する。
【0002】
【従来の技術】固定磁気ディスク装置に使用されている
一般的な磁気記録媒体の構成は、図1に示す如く、例え
ば非磁性基板11上に非磁性金属層12を形成して非磁
性の基体1とし、この基体1の上に非磁性の金属下地層
2を積層した後、この金属下地層2上に強磁性合金であ
るCo−Cr−Ta(コバルト−クロム−タンタル)、
又はCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)など
により磁性層3を薄膜状に積層形成し、更に、この磁性
層3上にカーボン保護層4を形成する。そして、このカ
ーボン保護層4の上に、必要に応じて液体潤滑剤からな
る潤滑層5を塗布して磁気ディスクを形成している。
【0003】非磁性の基体1としては、Al−Mg合金
の非磁性基板11に無電解メッキによりNi−Pメッキ
層の非磁性金属層12を形成したもの、アルマイト基
体、ガラス基体、セラミックス基体などが用いられる。
そして、この基体1を必要に応じて研磨し、テクスチャ
ーなどにより凹凸を形成する場合もある。この非磁性の
基体1を約200°Cに加熱しながらAr雰囲気下の連
続搬送型のスパッタリングによりCrからなる非磁性金
属下地層2、磁性層3、アモルファスカーボンからなる
カーボン保護層4を順次積層形成する。そして、カーボ
ン保護層4の上にパーフロロポリエーテル系化合物の潤
滑剤を塗布する。
【0004】このような磁気ディスクが固定磁気ディス
ク装置などに搭載されると、装置の記録ヘッドとの接触
動作を繰り返すこととなる。これは、停止時にヘッドと
磁気ディスク表面が接触する状態であり、この状態から
稼働時のみにヘッドが磁気ディスク表面から僅かに浮上
して、情報の読み取り動作又は書込み動作が行われるC
SS(コンタクト・スタート・ストップ)方式が採用さ
れているためである。
【0005】このようなヘッドの摺動による磨耗などか
ら磁性層3を保護するためにカーボン保護層4が形成さ
れており、また潤滑層5が形成されている。
【0006】一般に、5インチ以下の小口径の磁気ディ
スクの場合、保護層材料としてはカーボンが用いられ、
Ar雰囲気中でのスパッタリングにより成膜されること
が多い。カーボン保護層が採用される理由の一つとし
て、スパッタリングにより形成されるアモルファスカー
ボン(a−C)層は、比較的グラファイト性が強いた
め、グラファイト特有の水を含んだ大気下において低い
摩擦係数を示すからである。
【0007】しかしながら、このようなカーボン保護層
は、従来のMn−Znフェライトヘッド(ビッカース硬
度約650)に対しては充分な耐摩耗性を有し、良好な
耐CSS特性を示すものの、最近になり固定磁気ディス
ク装置に採用される薄膜ヘッドやMIGヘッドのスライ
ダー材料であるAl・TiやCaTiO
いった硬のセラミック材料(ビッカース硬度約200
0)と比較すると硬度が低いため、摩耗を引き起こし易
く、場合によってはヘッドがクラッシュするという問題
もある。このような問題を解決するために、近年ではカ
ーボン保護層の性質のうち、硬度の高いダイヤモンド的
な性質を増長させて、ダイヤモンド結合状態の比率がグ
ラファイド結合状態の比率に比して高いダイヤモンド状
カーボン(DLC)を保護層として用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、液体
潤滑剤としては、カーボン(DLC)保護層表面の官能
基(カルボキシル基)への汚染物質の吸着を阻止するた
め、末端基が有極性末端基(水酸基)であるパーフロロ
ポリエーテル系化合物が用いられているが、カーボン保
護層表面にはカルボキシル基(−COOH)以外に水酸
基(−OH)の活性部位(吸着部位)が存在しているた
め、末端基が水酸基であるパーフロロポリエーテル系化
合物だけの潤滑剤では、末端基にカルボキシル基を持つ
有機系汚染物質がカーボン保護層表面の水酸基の吸着部
位に吸着される。このディスク表面に吸着された汚染物
は磁気ヘッドへ転写されるので、固定磁気ディスク装置
の記録・再生特性を劣化させる要因となる。
【0009】そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題
は、末端基にカルボキシル基を持つ有機系汚染物質は勿
論のこと、末端基に水酸基を持つ有機系汚染物質のカー
ボン保護層表面への吸着をも防止し、耐環境性に富む磁
気記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は異なる種類の有極性末端基を持つ液体潤滑
剤を用いたことを特徴としている。即ち、本発明は、非
磁性基体の上に積層された磁性層を保護するためのもの
であって、表面に第1の官能基から成る吸着点及び第2
の官能基から成る吸着点を有するカーボン保護層と、こ
のカーボン保護層の上に塗布された液体潤滑層とを備え
た磁気記録媒体において、上記液体潤滑層は、第2の官
能基から成る上記吸着点を露出すると共に第1の官能基
に結合して当該官能基から成る上記吸着点を塞いでいる
第2の官能基を有極性末端基として持つ第1種の液体潤
滑剤と、該第1の液体潤滑剤が露出する第2の官能基に
結合して当該官能基から成る上記吸着点を塞いでいる
1の官能基を有極性末端基として持つ第2種の液体潤滑
剤とを有して成ることを特徴とする。
【0011】ここで、第1の官能基がカルボキシル基の
場合は、第1種の液体潤滑剤としては有極性末端基が水
酸基であるパーフロロポリエーテル系化合物であり、第
2種の液体潤滑剤としては有極性末端基がカルボキシル
基であるパーフロロポリエーテル系化合物とすることが
できる。
【0012】そして、液体潤滑層が第1種の液体潤滑剤
と第2種の液体潤滑剤とを含む磁気記録媒体の製造方法
としては、非磁性基体の上に積層された磁性層を保護す
るために、表面に第1の官能基から成る吸着点及び第2
の官能基から成る吸着点を有するカーボン保護層を形成
した後に、このカーボン保護層の上に液体潤滑層を塗布
して成る磁気記録媒体の製造方法において、上記カーボ
ン保護層の上に、第2の官能基を有極性末端基として持
つ第1種の液体潤滑剤を塗布することにより、当該有極
性末端基を上記第1の官能基に結合して当該官能基から
成る上記吸着点を塞ぐ第1の塗布工程と、第1種の液体
潤滑剤の塗布層のうちカーボン保護層表面側の第1の官
能基に対し未結合の第1種の液体潤滑剤の過剰分を除去
することにより、第2の官能基から成る上記吸着点を露
出する除去工程と、しかる後、第1の官能基を有極性末
端基として持つ第2種の液体潤滑剤を塗布することによ
り、当該有極性末端基を上記除去工程により露出された
第2の官能基に結合して当該官能基から成る上記吸着点
を塞ぐ第2の塗布工程と、を有することを特徴とする
【0013】
【作用】磁気記録媒体のカーボン保護層の表面に、カル
ボキシル基,水酸基などの第1の官能基及び第2の官能
基の吸着点が存在しているが、カーボン保護層表面の第
1の官能基に結合する第2の官能基を有極性末端基とし
て持つ第1種の液体潤滑剤とカーボン保護層表面側の第
2の官能基に結合する第1の官能基を有極性末端基とし
て持つ第2種の液体潤滑剤がカーボン保護層上に塗布さ
れていると、第1の官能基の吸着点は第1種の液体潤滑
剤で既に塞がれており、また第2の官能基の吸着点は第
2種の液体潤滑剤で既に塞がれているので、末端基に第
1の官能基を持つ有機系汚染物質や末端基に第2の官能
基を持つ有機系汚染物質の吸着を阻止することができ
る。
【0014】例えば、第1の官能基がカルボキシル基で
あり、第2の官能基が水酸基である場合、磁気記録媒体
表面において末端基に水酸基やカルボキシル基を持つ汚
染物質が外的に存在すると、反応式(1)で表されるよ
うなエステル化反応を起こして、末端基に水酸基やカル
ボキシル基を持つ汚染物質が吸着する。
【0015】
【化1】
【0016】但し、R,R′は任意の残基を示す。
【0017】そこで、本発明は具体的には、末端基に水
酸基を持つパーフロロポリエーテル系化合物と末端基に
カルボキシル基を持つパーフロロポリエーテル系化合物
をカーボン保護層上に塗布して液体潤滑層を形成してあ
るので、汚染物質の吸着点が消滅し、汚染物質の吸着・
結合を防止することができる。
【0018】また、磁気記録媒体の製造方法において
は、第1種の液体潤滑剤と第2種の液体潤滑剤との混合
剤をカーボン保護層の上に塗布する方法では、既に両潤
滑剤の間の第1の官能基と第2の官能基が結合してしま
っているが、第1種の液体潤滑剤を塗布してカーボン保
護層表面側の第1の官能基の吸着点に対し第2の官能基
を結合させ、吸着点を塞いでから、吸着点に預からない
余分な第1種の液体潤滑剤を除去し、別種の吸着点を露
出させた後、第2種の液体潤滑剤を塗布してカーボン保
護層表面側の第2の官能基の吸着点に対し第1の官能基
を結合させるようにしているため、第1及び2の種の液
体潤滑剤がカーボン保護層表面側のそれぞれ吸着点を良
く塞ぎ、汚染物質の吸着を防止できると共に、第1の液
体潤滑剤の非吸着部分が潤滑層の余分な浮遊層を形成せ
ず、これによるヘッド吸着も防止できる。
【0019】
【実施例】次に本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明する。
【0020】本例の磁気記録媒体の層構成も図1に示す
通り、Al−Mg合金のディスク状非磁性基板11上に
Ni−Pめっき層の非磁性金属層12を形成した非磁性
の基体1を用い、鏡面仕上げの後微小凹凸(円周方向の
テクスチャー)を施し、スパッタ法によりCrの金属下
地層2,磁性層4,DLCのカーボン保護層4を順次成
膜し、最後に液体潤滑層6を塗布したものである。液体
潤滑層6の形成方法を次の実施例に示す。
【0021】〔実施例1〕液体潤滑剤の形成方法におい
て、まず第1の塗布工程は、末端基としてカルボキシル
基を片端に有するパーフロロポリエーテル系化合物(ダ
イキン社製,商品名DEMNUM-SH )を濃度が0.05wt%にな
るように溶媒(スリーエム社製,商品名FC-77 )で希釈
する。ここで、末端基としてカルボキシル基を片端に有
するパーフロロポリエーテル系化合物(商品名DEMNUM-S
H )及び溶媒(商品名FC-77 )を化学式(2),(3)
で示す。
【0022】商品名DEMNUM-SH
【0023】
【化2】
【0024】但し、nは正の整数を示す。
【0025】商品名FC-77
【0026】
【化3】
【0027】そして、この希釈した潤滑剤をカーボン保
護層の表面に、ディップ法により、約17Å塗布した
後、クリーンオーブンで100°C,1時間加熱し、溶
媒成分であるFC-77 を乾燥・除去と潤滑剤の膜密着性の
向上を図った。
【0028】次に、カーボン保護層表面に密着していな
い過剰な液体潤滑剤(DEMNUM-SH )を除去する工程とし
て、第1の塗布工程終了後のディスクを上記溶媒(商品
名FC-77 )に浸漬して超音波洗浄を5分間行った。
【0029】次に、第2の塗布工程として、末端基とし
て水酸基を両端に有するパーフロロポリエーテル系化合
物(モンテカチューニ社製,商品名Fombrin-dol4000 )
を濃度が0.05wt%になるように溶媒(商品名FC-77 )で
希釈する。ここで、末端基として水酸基を両端に有する
パーフロロポリエーテル系化合物(商品名Fombrin-dol4
000 )を化学式(4)で示す。
【0030】商品名Fombrin-dol4000
【0031】
【化4】
【0032】但し、n,mはそれぞれ正の整数を示す。
【0033】そして、この希釈した潤滑剤を、除去工程
終了後のディスク表面に、ディップ法により、2種類の
潤滑層の総厚が約17Åになるように塗布した後、クリ
ーンオーブンで100°C,1時間加熱し、溶媒成分で
あるFC-77 を乾燥・除去と潤滑剤の膜密着性の向上を図
った。
【0034】なお、液体潤滑剤の膜厚はフーリエ変換赤
外線分光分析計(以下、FT−IRと言う)により測定
した。また、以下に述べるいずれの膜厚もFT−IRに
よって測定した値である。
【0035】〔実施例2〕実施例1の場合と同様に、末
端基としてカルボキシル基を片端に有するパーフロロポ
リエーテル系化合物(商品名DEMNUM-SH )を濃度が0.05
wt%になるように溶媒(商品名FC-77 )で希釈する。そ
して、この希釈した潤滑剤をカーボン保護層の表面に、
ディップ法により、約17Å塗布した後、クリーンオー
ブンで100°C,1時間加熱し、溶媒成分であるFC-7
7 を乾燥・除去と潤滑剤の膜密着性の向上を図った。
【0036】続いて、カーボン保護層表面に密着してい
ない過剰な液体潤滑剤(DEMNUM-SH)を除去する工程と
して、第1の塗布工程終了後のディスクを上記溶媒(商
品名FC-77 )に浸漬して超音波洗浄を5分間行った。
【0037】次に、第2の塗布工程として、末端基とし
て水酸基を片端に有するパーフロロポリエーテル系化合
物(ダイキン社製,商品名DEMNUM-SA )を濃度が0.05wt
%になるように溶媒(商品名FC-77 )で希釈する。ここ
で、末端基として水酸基を片端に有するパーフロロポリ
エーテル系化合物(商品名DEMNUM-SA )を化学式(5)
で示す。
【0038】商品名DEMNUM-SA
【0039】
【化5】
【0040】但し、nは正の整数を示す。
【0041】そして、この希釈した潤滑剤を、除去工程
終了後のディスク表面に、ディップ法により、2種類の
潤滑層の総厚が約17Åになるように塗布した後、クリ
ーンオーブンで100°C,1時間加熱し、溶媒成分で
あるFC-77 を乾燥・除去と潤滑剤の膜密着性の向上を図
った。
【0042】なお、液体潤滑剤の膜厚はフーリエ変換赤
外線分光分析計(以下、FT−IRと言う)により測定
した。また、以下に述べるいずれの膜厚もFT−IRに
よって測定した値である。
【0043】〔比較例1〕上記の実施例1及び実施例2
に対する比較として、比較例1を以下の方法により製作
した。まず、末端基として水酸基を両端に有するパーフ
ロロポリエーテル系化合物(モンテカチューニ社製,商
品名Fombrin-dol4000 )を濃度が0.05wt%になるように
溶媒FC-77 で希釈する。そして、この希釈した溶液をカ
ーボン保護層の表面に、ディップ法により、約17Å塗
布した後、クリーンオーブンで100°C,1時間加熱
し、溶媒成分であるFC-77 を乾燥・除去と潤滑剤の膜密
着性の向上を図った。
【0044】〔比較例2〕同じく、実施例1及び実施例
2に対する比較として、比較例2を以下の方法により製
作した。まず、末端基として水酸基を片端に有するパー
フロロポリエーテル系化合物(ダイキン社製,商品名DE
MNUM-SH )を濃度が0.05wt%になるように溶媒FC-77 で
希釈する。そして、この希釈した溶液をカーボン保護層
の表面に、ディップ法により、約17Å塗布した後、ク
リーンオーブンで100°C,1時間加熱し、溶媒成分
であるFC-77 を乾燥・除去と潤滑剤の膜密着性の向上を
図った。
【0045】〔液体潤滑剤の種類と摺動摩擦特性及びカ
ーボン保護層への吸着率〕以上の実施例1,実施例2,
比較例1,比較例2に係わる磁気記録ディスクの表面
に、ヘッド荷重が10gfの磁気ヘッドを、半径位置2
1.5mm、回転数10rpm の条件で1時間摺動させ、そ
の後、回転数1rpm で摺動させたときの摺動摩擦係数
(動摩擦係数)μK を摺動摩擦特性として測定した。
【0046】また、実施例1,実施例2,比較例1,比
較例2に係わる磁気記録ディスクにおける液体潤滑剤の
カーボン保護層(DLC)に対する密着性を評価する目
的で、各磁気ディスクを溶媒FC-77 中に5分間浸漬して
超音波洗浄を行った。この液体潤滑剤離脱試験の前後に
おける潤滑層の膜厚を測定した。離脱前の潤滑層の膜厚
をt1 、離脱後の潤滑層の膜厚をt2 とすれば、潤滑剤
が吸着点を塞ぐ吸着率(%)は、t2 1 で与えら
れる。以上の結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示すように、実施例1、実施例2に
対する動摩擦係数μK は、比較例1,比較例2と比べて
差は認められず、充分な潤滑特性が得られていると言え
る。
【0049】また、吸着率において、実施例の方が比較
例に比べて非常に高い値を示している。吸着率が高いこ
とは、液体潤滑剤離脱試験で離脱する潤滑剤が少なく、
潤滑剤の分子がカーボン保護層の吸着点にあますことな
く結合している割合が多いことを意味する。即ち、2種
類の潤滑剤がそれぞれエステル化によりカーボン保護層
の水酸基とカルボキシル基に結合していることを示して
いる。
【0050】〔液体潤滑層の種類と磁気ヘッド汚れ〕実
施例1,実施例2,比較例1,比較例2に係わる磁気記
録ディスクを、実際の固定磁気記録ディスク装置に組み
込み、そのディスク表面に、ヘッド荷重が5gfの磁気
ヘッドを、半径位置19mmに置き、温度70°C,相対
湿度85%の環境に設定して回転数3600rpm で25
0時間連続運転させた後、この固定磁気記録ディスク装
置より磁気ヘッドを取り出し、光学的顕微鏡にて磁気ヘ
ッド汚れを観察した。その結果、比較例2では微量のヘ
ッド汚れが観測され、また比較例1でも観察されたが、
2実施例1,実施例2では、磁気ヘッド汚れは全く観察
されなかった。この光学的顕微鏡観察の結果、実施例
1,実施例2は耐環境性に優れていると判明した。
【0051】このように、カーボン保護層の表面にはカ
ルボキシル基,水酸基の吸着点が存在しているが、実施
例1,2の液体潤滑剤が塗布されていると、カルボキシ
ル基の吸着点も水酸基の吸着点も2種類の潤滑剤で既に
塞がれているので、有機系汚染物質の吸着を阻止するこ
とができる。特に、本例の製造方法においては、第1塗
布工程でカーボン保護層表面側の水酸基の吸着点を塞い
でから、それに預からない過剰な潤滑剤を除去し、カル
ボキシル基の吸着点を露出させた後、第2塗布工程でカ
ルボキシル基の吸着点を別種の潤滑剤で塞ぐようにして
いる。これによって、最初の潤滑剤と次の潤滑剤との直
接エステル化する率が低くなり、潤滑層の密着性(吸着
率)を高めることができ、汚染物質の吸着を防止でき
る。そして、第2塗布工程の前に、最初の潤滑剤の非吸
着部分が除去されるようになっているので、潤滑層自体
に余分な浮遊層が含まれなくなるため、ヘッド自体が潤
滑層に吸着される事態も防止できる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る磁気
記録媒体における液体潤滑層は、カーボン保護層表面側
の第1の官能基に結合する第2の官能基を有極性末端基
として持つ第1種の液体潤滑剤と、その第1の液体潤滑
剤が露出するカーボン保護層表面側の第2の官能基に結
合する第1の官能基を有極性末端基として持つ液体潤滑
剤とを有して成ることを特徴とする。従って次の効果を
奏する。
【0053】 カーボン保護層の第1の官能基の吸着
点は第1種の液体潤滑剤で既に塞がれており、また第2
の官能基の吸着点は第2種の液体潤滑剤で既に塞がれて
いるので、末端基に第1の官能基を持つ有機系汚染物質
や末端基に第2の官能基を持つ有機系汚染物質の吸着を
阻止することができ、耐環境性に優れた磁気記録媒体を
提供できる。
【0054】 本発明の磁気記録媒体の製造方法にお
いては、第1種の液体潤滑剤を塗布してカーボン保護層
表面側の第1の官能基の吸着点に対し第2の官能基を結
合させ、吸着点を塞いでから、吸着点に預からない過剰
な第1種の液体潤滑剤を除去し、別種の吸着点を露出さ
せた後、第2種の液体潤滑剤を塗布してカーボン保護層
表面側の第2の官能基の吸着点に対し第1の官能基を結
合させるようにしているため、第1及び2の種の液体潤
滑剤がカーボン保護層表面側のそれぞれ吸着点を良く塞
ぎ、汚染物質の吸着を防止できる。また、第1の液体潤
滑剤の非吸着の分子が潤滑層の過剰な浮遊層とならずに
済み、ヘッド吸着も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な磁気記録媒体の層構造を示す模式的斜
視図である。
【符号の説明】 1…基体 2…金属下地層 3…磁性層 4…保護層 5…液体潤滑層 11…非磁性基板 12…非磁性金属層。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体の上に積層された磁性層を保
    護するためのものであって、表面に第1の官能基から成
    る吸着点及び第2の官能基から成る吸着点を有するカー
    ボン保護層と、このカーボン保護層の上に塗布された液
    体潤滑層とを備えた磁気記録媒体において、前記液体潤
    滑層は、第2の官能基から成る前記吸着点を露出すると
    共に第1の官能基に結合して当該官能基から成る前記吸
    着点を塞いでいる第2の官能基を有極性末端基として持
    つ第1種の液体潤滑剤と、該第1の液体潤滑剤が露出す
    る第2の官能基に結合して当該官能基から成る前記吸着
    点を塞いでいる第1の官能基を有極性末端基として持つ
    第2種の液体潤滑剤とを有して成ることを特徴とする磁
    気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気記録媒体におい
    て、前記第1種の液体潤滑剤は前記第2の官能基が水酸
    基であるパーフロロポリエーテル系化合物であり、前記
    第2種の液体潤滑剤は前記第1の官能基がカルボキシル
    基であるパーフロロポリエーテル系化合物であることを
    特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性基体の上に積層された磁性層を保
    護するために、表面に第1の官能基から成る吸着点及び
    第2の官能基から成る吸着点を有するカーボン保護層を
    形成した後に、このカーボン保護層の上に液体潤滑層を
    塗布して成る磁気記録媒体の製造方法において、前記カ
    ーボン保護層の上に、第2の官能基を有極性末端基とし
    て持つ第1種の液体潤滑剤を塗布することにより、当該
    有極性末端基を前記第1の官能基に結合して当該官能基
    から成る前記吸着点を塞ぐ第1の塗布工程と、前記第1
    種の液体潤滑剤の塗布層のうち前記カーボン保護層表面
    側の第1の官能基に対し未結合の第1種の液体潤滑剤の
    過剰分を除去することにより、第2の官能基から成る前
    記吸着点を露出する除去工程と、しかる後、第1の官能
    基を有極性末端基として持つ第2種の液体潤滑剤を塗布
    することにより、当該有極性末端基を前記除去工程によ
    り露出された第2の官能基に結合して当該官能基から成
    る前記吸着点を塞ぐ第2の塗布工程と、を有することを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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