JPH08165132A - ガラス板の熱処理方法 - Google Patents

ガラス板の熱処理方法

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JPH08165132A
JPH08165132A JP33108194A JP33108194A JPH08165132A JP H08165132 A JPH08165132 A JP H08165132A JP 33108194 A JP33108194 A JP 33108194A JP 33108194 A JP33108194 A JP 33108194A JP H08165132 A JPH08165132 A JP H08165132A
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glass plate
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glass
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heat treatment
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Seiichi Daiyoku
成一 大浴
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的とするところは、平坦性に優れ
た耐熱性材料からなる板状体の上に、ガラス板を載置し
て熱処理する場合、ガラス板が板状体上で移動するのを
防止する方法を提供することである。 【構成】 本発明のガラス板の熱処理方法は、平坦性に
優れた耐熱性材料からなる板状体の上に、ガラス板を載
置した後、熱処理するガラス板の熱処理方法において、
熱処理する前に板状体とガラス板の間を水あるいはアル
コールで濡らしておくことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子機器に用いられる
ガラス板を熱処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器産業の発達に伴い、各種
の電子機器、とりわけ液晶やエレクトロルミネセンス、
プラズマディスプレイといった表示装置あるいはイメー
ジセンサ等の基板用ガラスとして、肉厚0.03〜1.
5mm程度のガラス板が多量に用いられるようになって
きている。
【0003】これらの用途に用いられるガラス板は、そ
の上に薄膜電気回路を形成するため、成膜熱処理、パタ
ーニング等の処理を受ける。これらの処理は、ガラス板
を高温度下に曝す場合があり、そのためこの種のガラス
板には、熱的寸法安定性の良いことが要求される。
【0004】例えばTN(Twisted Nemat
ic)及びSTN(Super Twisted Ne
matic)モードの液晶ディスプレイにおける透明導
電膜回路、a−SiTFT(Amorphous−Si
Thin Film Transistor)、p−
SiTFT(Poly−Si Thin FilmTr
ansistor)やその他の各種金属膜や絶縁膜等の
組み合わせによって形成された液晶ディスプレイの薄膜
電気回路やエレクトロルミネセンスの薄膜電気回路、プ
ラズマディスプレイの薄膜電気回路及びイメージセンサ
の薄膜電気回路等の製造工程において、ガラス板が高温
度の熱処理を受けると、ガラスの寸法が変化して所定寸
法を維持できなくなったり、更には回路パターンが所定
の設計よりずれたりする虞れがある。この回路パターン
のずれは、電気的な性能を維持できなくなるという致命
的な不良原因になり、用途によっては100mm当たり
1μm以下の寸法変化も許されないことがある。
【0005】またこのような用途のガラス板は、反りや
うねりが少なく、ガラス表面の平坦性が良いことも要求
される。すなわちガラス板の平坦性が悪いと、露光距離
が設計どおりにならなくなったり、液晶の2枚のガラス
板の間隔に差が生じて表示性能を損なうという本質的な
問題から、自動化された製造工程での機械的操作に適合
しないという付随的な問題まで様々な問題を引き起こ
し、用途によってはガラス板の全面に亙って数μm〜数
十μmの平坦性が要求される。
【0006】しかしながら公知の工業的な成形法によっ
て製造されたガラス板では、良好な熱的寸法安定性や平
坦性は有しておらず、そのためにガラスを成形した後、
これを平坦性に優れた耐熱性材料からなる板状体の上に
載置した状態で、熱処理炉に入れ、歪点付近から軟化点
付近の温度まで昇温し、一定時間保持した後、徐冷する
といった熱処理方法が一般に採られている。この熱処理
によってガラス板の寸法変化が予め飽和値近くまで進行
し、ガラス板の熱的寸法安定性が改善されると共にガラ
スの表面が軟化変形することによって平坦性が改善され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
ガラス板の熱処理方法の場合、ガラス板を板状体の上に
載置した状態で搬送コンベアー等に載せて移動させる
際、ガラス板が板状体上で移動し、擦れることによっ
て、ガラス板の表面に多数の傷が付いたり、さらにガラ
ス板の位置がずれて、板状体からはみ出した状態で熱処
理されると、ガラス板に反りが発生することになる。
【0008】電子機器用のガラス板の場合、表面の傷
は、単に外観的に透明性が損なわれるといった問題のみ
ならず、薄膜電気回路が傷のために設計どおりに形成さ
れず、所望の電気性能が得られなかったり、断線したり
するといった致命的な不良を引き起こす。特に微細な薄
膜電気回路の場合、わずか数μmの長さの傷ですら問題
となる。またこのような傷は、ガラス表面を研磨するこ
とによって除去することができるが、研磨コストがガラ
ス板の価格を大幅に上昇させるため好ましくない。
【0009】またガラス板の反りが大きい場合にも、薄
膜電気回路が設計どおりに形成されないという問題が生
じる。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので
あり、その目的とするところは、平坦性に優れた耐熱性
材料からなる板状体の上に、ガラス板を載置して熱処理
する場合、ガラス板が板状体上で移動するのを防止する
方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のガラス板の熱処
理方法は、平坦性に優れた耐熱性材料からなる板状体の
上に、ガラス板を載置した後、熱処理するガラス板の熱
処理方法において、熱処理する前に板状体とガラス板の
間を水あるいはアルコールで濡らしておくことを特徴と
する。
【0012】また本発明の好ましい態様は、ガラス板の
上に、平坦性に優れた耐熱性材料からなる板状体を載置
してなることを特徴とする。
【0013】さらに本発明においては、板状体が、耐熱
性結晶化ガラスからなることを特徴とし、さらにアルコ
ールが、エチルアルコールであることを特徴とする。
【0014】本発明における加熱保持温度は、ガラスの
歪点即ちガラスの粘度が、1014.5poiseの温度付
近までの範囲である。通常、電子機器のガラス板として
使用される硼珪酸ガラスの場合、歪点は、約500〜5
50℃、軟化点は約750〜800℃であり、また無ア
ルカリガラスの場合、歪点は、約630〜750℃、軟
化点は、約840〜950℃である。
【0015】
【作用】本発明においては、板状体とガラス板の間を水
あるいはアルコールで濡らしておくが、これらの液体の
表面張力による吸着作用によってガラス板の板状体の上
での移動が防止される。そのため、ガラス板を板状体の
上に載置し、これを搬送コンベアーに載せて移動しても
ガラス板の表面に擦り傷が付くことはない。因に、これ
らの液体は、ガラス板を炉に搬送する途中で徐々に揮発
し、熱処理工程において完全に蒸発する。
【0016】また板状体とガラス板の間を水あるいはア
ルコールで濡らす方法としては、板状体の上に液体をし
ずく状にして垂らしたり、液体を霧状にして吹き付ける
方法が適当であり、これらの作業は自動化することが可
能である。
【0017】つまり液体の代わりに、ガラス繊維シート
等を使用し、これを板状体とガラス板の間に挟み込むこ
とによって、ガラス板の位置ずれを防止することも可能
ではあるが、板状体の上にガラス繊維シートを載せる作
業あるいは取り除く作業を自動化することは非常に困難
である。
【0018】因に本発明における液体は、必ずしも板状
板の全面を濡らす必要はなく、部分的に濡れるようにす
れば良い。
【0019】本発明において使用する水としては、通常
の水道水で良いが、水中には無機質の不純物が含まれて
いるため、熱処理後のガラス板表面に不純物に起因する
染みが発生することがある。このような場合には、ガラ
ス板の表面をポリッシュ研磨することが好ましい。
【0020】さらにアルコールとしては、エチルアルコ
ール、メチルアルコール、グリセリン、エチレングリコ
ール等を使用することが可能であるが、安全性や炉内で
の発火性を考慮すると、エチルアルコールを使用するの
が望ましい。
【0021】本発明において高純度のアルコールを使用
すると、液体中の不純物が少ないため、熱処理後のガラ
ス板表面に染みが発生し難いため、ポリッシュ研磨を行
う必要がない。
【0022】また本発明で使用する板状体の材料として
は、耐熱性、生産コスト等を考慮すると、耐熱性結晶化
ガラスが最も好ましい。この耐熱性結晶化ガラスとして
は、30〜380℃の温度範囲において、−20〜20
×10-7/℃の熱膨張係数を有するものが適しており、
より具体的には、重量百分率で、SiO2 55〜70
%、Al23 20〜35%、Li2 O 3〜5%、
TiO2 1〜3%、ZrO2 1〜4%、P25
1〜5%、Na2 O 0〜4%、K2 O 0〜4%の組
成を有し、内部にβ−石英固溶体結晶あるいはβ−スポ
ジューメン結晶を析出してなるものが好適である。
【0023】本発明において、ガラス板の上にも上記し
た板状体を載置すると、ガラス板の反りがより一層改善
されると共に、熱処理時にガラス板の上下の熱バランス
が保たれ、良好に徐冷することが可能となる。
【0024】
【実施例】以下、本発明のガラス板の熱処理方法を実施
例及び比較例に基づいて詳細に説明する。
【0025】(実施例1)重量百分率で、SiO2
1.2%、Al23 5.8%、B23 12.3
%、BaO 2.2%、CaO 1.1%、Na2
6.3%、K2 O1.1%からなり、歪点が530℃、
軟化点が770℃で、200×250×0.5mmの寸
法を有するガラス板を準備した。尚、このガラス板は、
リドロー法によって成形したもので、表面には、問題と
なるような傷はないが、熱的寸法安定性及び平坦性が悪
いガラス板である。
【0026】また250×430×3mmの寸法を有す
る耐熱性結晶化ガラス板(日本電気硝子株式会社製ネオ
セラムN−0)を準備し、この耐熱性結晶化ガラス板の
上に、高純度のエチルアルコールを0.5cc滴下し
た。
【0027】次いで上記のガラス板を洗浄し、乾燥させ
た後、上記の耐熱性結晶化ガラスの上に載置してから、
最高温度が550℃となるように設定されたトンネル炉
内を移動する搬送コンベアーの上に載置し、所定の速度
でトンネル炉内を移動させてから取り出し、再びガラス
板を洗浄し、乾燥させた。
【0028】こうして熱処理したガラス板に、1000
0ルクスのハロゲン光を当てて、その表面を観察したと
ころ、表面の傷は、成形後の水準と同等であり、染みも
存在しないことが確認された。またこのガラス板の熱的
寸法安定性を調べるため、350℃で3時間熱処理を施
したところ、100mm当たり1μm以内の良好な熱的
寸法安定性を有しており、さらに触針式反り測定機を使
用してガラス板の反りを調べたところ、50μm以内の
良好な平坦面を有していた。
【0029】(実施例2)実施例1で使用したエチルア
ルコールを水道水に代え、後の条件は、全て同じように
設定し、ガラス板の熱処理を行った。このガラス板の表
面を観察したところ、表面の傷は、成形後の水準と同等
であったが、染みの存在が確認された。また熱的寸法安
定性と反りについても、実施例1と同等の値を示した。
【0030】その後、このガラス板の両面をポリッシュ
研磨し、再びその表面を観察したところ、染みは消失し
ていた。
【0031】(比較例)実施例と同様のガラス板と耐熱
性結晶化ガラス板を準備し、ガラス板を洗浄し、乾燥さ
せた後、これを耐熱性結晶化ガラス板の上に載置し、こ
れを実施例1と同じ条件で熱処理し、再び洗浄し、乾燥
させた。
【0032】こうして徐冷したガラス板の表面を観察し
たところ、数μm〜数十μmの長さの傷が多数認めら
れ、成形後の水準よりもかなり悪かった。またこのガラ
ス板の熱的寸法安定性と反りを調べたところ、熱的寸法
安定性については、実施例1のガラス板と同様、良好な
値を示したが、反りについては50μm以上と大きい値
を示した。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明のガラス板の熱処理
方法によると、ガラス板が板状体上で移動することがな
いため、熱処理の際の搬送工程においてガラス板の表面
に傷を付けたり、反りを発生させることなく、良好に徐
冷することが可能である。
【0034】また本発明は、徐冷のための熱処理に限定
されるものではなく、例えばガラス板の表面に各種の機
能膜を形成した後の熱処理にも応用することが可能であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平坦性に優れた耐熱性材料からなる板状
    体の上に、ガラス板を載置した後、熱処理するガラス板
    の熱処理方法において、熱処理する前に、板状体とガラ
    ス板との間を水あるいはアルコールで濡らしておくこと
    を特徴とするガラス板の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 ガラス板の上に、平坦性に優れた耐熱性
    材料からなる板状体を載置してなることを特徴とする請
    求項1のガラス板の熱処理方法。
  3. 【請求項3】 板状体が、耐熱性結晶化ガラスからなる
    ことを特徴とする請求項1及び2のガラス板の熱処理方
    法。
  4. 【請求項4】 アルコールが、エチルアルコールである
    ことを特徴とする請求項1及び2のガラス板の熱処理方
    法。
JP33108194A 1994-12-07 1994-12-07 表示装置用ガラス板の熱処理方法 Expired - Lifetime JP3698170B2 (ja)

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