JPH08164468A - 製品の歪み補正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 精度を必要とする製品を鋳造した後、歪み補
正とトリミングを同時に行って作業工程の一部を省略す
る。 【構成】 トリミングプレス型２に歪み補正機構３を設
け、最初のプレス段階で歪み補正機構３の補正型１１と
下型４で鋳造品Ｗのフランジ部ｆを挟み込んで加圧し、
精度を要する取付面Ｗａの面精度を補正する。そして次
のプレス段階で型５のトリム刃６でフランジ部ｆ周縁を
トリミングする。また歪み補正機構３による取付面Ｗａ
の補正は、熱間状態で行い、補正型１１と下型４の加圧
面１１ａ、４ａには、その後の鋳造品Ｗの凝固収縮によ
る変形を見込んだ補正δを加える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、精度を必要とする製品
を鋳造した後、精度を要する箇所の歪み補正とトリミン
グを同時に行うようにした歪み補正装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、車両用エンジンの構成部品である
オイルパンはシリンダブロックに組付けられるため取付
面の精度を高めて製造する必要がある。そして従来、こ
のようなオイルパンを製造する場合は、例えば鋳造金型
によって鋳造した後、図３に示すようなトリミング装置
５１の下型５２上に鋳造品Ｗをセットし、トリム型５３
を降下させてクランプ部５４で押さえ付けた後、フラン
ジ部ｆ周縁の不要部をトリム型５３のトリム刃５５によ
って切除する。そしてその後、離型時の抜勾配抵抗とか
冷却時の凝固収縮等によって生じた歪みを補正するた
め、組付面Ｗａに切削加工を施して面精度を高めるよう
にしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な製造方法は鋳造工程に引続くトリミング工程の後、精
度を高めるための切削工程を行う必要があり、工程数が
多く生産効率が良くないという問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、鋳造品の不要部をトリム刃で切除するトリミ
ングプレス型に歪み補正機構を設け、プレスの１段階で
歪み補正機構にて鋳造品の面精度を要する箇所の歪みを
補正し、プレスの２段階でトリム刃でトリミングするよ
うにした。また歪み補正機構として、加熱された鋳造品
の面精度を要する箇所を挟んで加圧する一対の金型を設
け、各金型の加圧面には、鋳造品のその後の鋳造品の凝
固収縮による変形を見込んだ補正を加えた。

【０００５】

【作用】鋳造金型から鋳造品を取り出すと抜勾配抵抗、
凝固収縮等によって歪みが発生する。このためトリミン
グプレス型に歪み補正機構を設け、１回のプレス工程で
精度を要する箇所の歪み補正とトリミングを同時に行
う。そしてこの歪み補正を鋳造品が加熱された状態で行
えば、プレス力の軽減化が図られ、また、その後の凝固
収縮分を見込んで補正すれば面精度の一層の向上が図れ
る。

【０００６】

【実施例】以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。ここで図１は本発明の歪み補正装置の作動を
示す工程図、図２は鋳造金型から取り出した鋳造品の一
例を示す斜視図である。本発明の歪み補正装置は、自動
車エンジンの構成部品であるオイルパンをアルミニウム
素材から図２に示すような形状で鋳造した後、周縁部の
不要部をトリミングする際、特に精度を必要とする取付
面の歪み補正を同時に行い、切削加工工程を省略するこ
とのできる装置として構成されている。

【０００７】すなわち、この鋳造品Ｗは潤滑油をプール
するためカップ状に形成され、カップ開口端に形成され
たフランジ部ｆ下面がシリンダブロックに取り付ける際
の取付面Ｗａとして構成されている。そして、鋳造金型
から取り出した鋳造品Ｗのフランジ部ｆの１辺側にはゲ
ート部Ｗｂが形成されている。

【０００８】そして、このゲート部Ｗｂ及びフランジ部
ｆの縁端部は不要部として切除する必要があり、また、
鋳造品Ｗの取付面Ｗａは、鋳造金型から取り出す際の抜
勾配抵抗とか凝固収縮によって正規の面形状から歪んだ
状態にあるため、これを正規に補正する必要がある。そ
こで、本歪み補正装置１は、図１（Ｂ）に示すようなト
リミングプレス型２に歪み補正機構３を設けて構成し、
１回のプレス工程で歪み補正とトリミングを行うことが
できるようにした。

【０００９】トリミングプレス型２は、鋳造品Ｗを載置
せしめる下型４と、下型４に対して上下動自在なトリム
型５を備え、前記下型４は鋳造品Ｗの取付面Ｗａである
フランジ部ｆの下面を支えることができるようにされる
とともに、トリム型５は鋳造品のフランジ部ｆの周縁部
をトリミングラインに沿って切断することのできるトリ
ム刃６を備えている。そして、このトリム型５は第２支
持板７に固定され、この第２支持板７は以下に述べる第
１支持板８に対してエアシリンダユニット９、９によっ
て独自に上下動自在にされるとともに、第１支持板８と
第２支持板７の間には復帰用のスプリング１０を設けて
いる。

【００１０】歪み補正機構３は、不図示の駆動源によっ
て上下動自在な前記第１支持板８と、この第１支持板８
に取り付けられた補正型１１と、前記下型４からなり、
この補正型１１は、鋳造品Ｗのフランジ部ｆの上面を押
圧可能とされるとともに、図１（Ａ）に示すように、補
正型１１の加圧面１１ａと前記下型４の加圧面４ａによ
ってフランジ部ｆを挟み込んで加圧し、取付面Ｗａの精
度を出すことができるようにしている。

【００１１】ところで、この鋳造品Ｗの歪み補正及びト
リミングは、鋳造品Ｗの温度を約３００〜３２０℃に保
持して熱間状態で行うようにしているが、その後の冷却
による凝固収縮分を見込んで、前記補正型１１の加圧面
１１ａと、下型４の加圧面４ａには補正±δが加えられ
ている。つまり、正規な面形状から凝固収縮分δ量を見
越して補正し、凝固収縮した際に正規な面形状が得られ
るようにしている。そしてこのように熱間状態で加工す
ることで、プレス力の軽減化、すなわち装置の簡素化が
図られる。

【００１２】また、下型４の支持面には図１（Ｂ）に示
すように、複数のタッチセンサ１２…を設けている。こ
のタッチセンサ１２は、例えば取付面Ｗａの接触圧を測
定して歪みの程度を検出するためのものであり、鋳造条
件によってばらつきの発生する歪みの程度に応じて例え
ば加圧保持時間等を調整してばらつきを少なくする。

【００１３】以上のような歪み補正装置の作動の概要に
ついて説明する。鋳造金型から取り出した鋳造品Ｗを、
図１（Ａ）に示すように歪み補正装置１の下型４上に位
置決め載置する。この時の鋳造品Ｗの温度は、３００〜
３２０℃にセットされており、この温度セットは例えば
鋳造金型から同温度附近で取り出して直接下型４上に位
置決めしても良いし、或いは別途加熱しても良いが、鋳
造金型から直接移送するようにすれば効率的である。

【００１４】次に、（Ｂ）に示すように不図示の駆動源
によって型締めし、第１支持板８を降下させて、まず、
フランジ部ｆを補正型１１と下型４との間で挟み込んで
取付面Ｗａを補正する。そして、歪み補正を行っている
間、次の段階でエアシリンダユニット９にてトリム型５
を更に降下させ、フランジ部ｆ周縁の不要部をトリム刃
６でカットする。また、前記補正型１１による加圧保持
時間等はタッチセンサ１２…からの接触圧によって調整
し、歪みのばらつきを少なくする。そして、このような
歪み補正とトリミングが終了した段階で型開きして冷却
凝固させると、見越し量δ分だけ凝固収縮し、（Ｃ）に
示すように取付面Ｗａの精度が高い製品が成形される。
従って、従来のように取付面Ｗａを切削加工する必要が
ない。

【００１５】

【発明の効果】以上のように本発明の歪み補正装置は、
鋳造後にトリミングプレス型によってトリミングする
際、同時に歪み補正機構によって精度を要する箇所を補
正するようにしたため、従来のような切削加工を省略す
ることができ、生産効率を高めることができる。また、
この補正を行う際、加熱された鋳造品に補正を行うこと
でプレス力の軽減化が図られ、装置の簡素化が可能にな
るとともに、加圧面にその後の凝固収縮分を補正するこ
とで一層精度を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の歪み補正装置の作動を示す工程図

【図２】鋳造金型から取り出した鋳造品の一例を示す斜
視図

【図３】トリミングプレス型の従来図

【符号の説明】

１…歪み補正装置、２…トリミングプレス型、３…歪み
補正機構、４…下型、４ａ…加圧面、５…トリム型、６
…トリム刃、１１…補正型、１１ａ…加圧面、δ…見越
し補正。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋳造品の不要部をトリム刃で切除するト
   リミングプレス型に歪み補正機構を設け、プレスの１段
   階で前記歪み補正機構にて鋳造品の面精度を要する箇所
   の歪みを補正し、プレスの２段階で前記トリム刃でトリ
   ミングするようにしたことを特徴とする製品の歪み補正
   装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の製品の歪み補正装置に
   おいて、前記歪み補正機構は、加熱された鋳造品の面精
   度を要する箇所を挟んで加圧する一対の金型を備え、各
   金型の加圧面には、鋳造品のその後の凝固収縮による変
   形を見込んだ補正が加えられていることを特徴とする製
   品の歪み補正装置。