JPH0816308B2 - ポリアミド・ポリエステル複合繊維製布帛の製造方法 - Google Patents

ポリアミド・ポリエステル複合繊維製布帛の製造方法

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JPH0816308B2
JPH0816308B2 JP1263374A JP26337489A JPH0816308B2 JP H0816308 B2 JPH0816308 B2 JP H0816308B2 JP 1263374 A JP1263374 A JP 1263374A JP 26337489 A JP26337489 A JP 26337489A JP H0816308 B2 JPH0816308 B2 JP H0816308B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリアミド・ポリエステル複合繊維製布帛
を、優れた品質でかつ操業性良く製造する方法に関する
ものである。特に、苛性アルカリによる処理性が良好
で、しかも、均一性に優れた製品布帛が得られる製造方
法に関するものである。
[従来の技術] 合成繊維、特にポリアミド、ポリエステル等の熱可塑
性合成繊維は、その優れた強さ、イージーケアー性など
から天然繊維に匹敵する量の生産、消費がなされている
が、これら熱可塑性合成繊維、特にポリアミドフィラメ
ント糸はその表面と内部構造が均一かつ単純であること
から、冷たい触感、蝋状感等があり、風合に問題があっ
た。
また、この問題を解決するために、紡績糸、糸断面の
複雑化、仮撚り加工などのテキスチャードヤーン化する
ことも種々試みられ、多くの製品が上市されてきてい
る。しかし、これら従来の手段では、ソフトな感触に欠
けること、十分な薄地化が困難であること等の問題があ
り、さらに改善が望まれていた。
そこで、ポリアミド鞘を有するポリアミド・ポリエス
テル芯鞘型複合繊維を布帛とした後に、苛性アルカリ水
溶液処理することによって芯ポリエステルを部分的に溶
出させて繊維中に中空部を形成し、ぬめりのない綿に似
た風合やシャリ味のある独特の風合を有する製品を得る
方法が、特開昭56−112569号公報で提案されている。
[発明が解決しようとする課題] この中空ポリアミド・ポリエステル複合繊維からなる
布帛製品は、風合のみならず、適正な両複合比率と中空
率等の条件をとることによって、保温性に優れた軽量の
高ファッション性保温布帛が得られるが、この布帛製品
を従来の方法で製造すると、得られる布帛製品に筋状の
斑や皺が出易いので、外観均一性に問題のある製品とな
り易く、しかも、苛性アルカリによる処理性が不十分な
ために黄変し易いという問題があった。
そこで、本発明は、これら問題を解決することがで
き、工業的に安定して優れた品質のポリアミド・ポリエ
ステル複合繊維製布帛を製造する方法を提供することを
主な目的とする。特に、ファッション性および保温性に
優れた軽量布帛を得るために好適な製造方法を提供する
ものである。
[課題を解決するための手段] これら目的を達成するため、本発明は、ポリエステル
を芯としポリアミドを鞘とする芯鞘型複合繊維を布帛と
した後、苛性アルカリ水溶液で処理して前記芯のポリエ
ステルを部分的に分解溶出させ、繊維中に中空部を有す
る複合繊維製布帛を製造する方法において、前記芯鞘型
複合繊維として、鞘のポリアミド複合割合を25〜70wt%
として芯鞘型複合紡糸した後、冷却、給油、交絡処理
し、周速度が2500〜6000m/分の非加熱の第1ゴデットロ
ーラに引取り、引続き連続して、周速度が4500〜6500m/
分で加熱された第2ゴデットローラとの間で延伸すると
ともに、該第2ゴデットローラ上で熱固定することによ
り得られた複合繊維を用いること、および、前記苛性ア
ルカリ水溶液での処理時における芯のポリエステル分解
溶出割合が10〜70wt%であることを特徴とするポリアミ
ド・ポリエステル複合繊維製布帛の製造方法からなる。
本発明法で得られる布帛は、ポリアミドからなる鞘、
ポリエステルからなる芯、そして両者の中間部に断熱層
として存在する中空部からなる中空芯鞘型複合構造の繊
維でもって構成されている。
鞘は中空部を外気から遮断する機能をもつと同時に、
繊維の強さ、伸び、表面の感触、染色性など繊維が本来
必要とする機能をうけもつ。しかも、この鞘は、苛性ア
ルカリ水溶液による中空化工程において溶解されること
なく芯ポリエステルの分解生成物を透過し外部に除去で
きる機能が必要である。これら要求を満足しかつ溶融紡
糸可能であることから、鞘をなす高分子としてはポリア
ミドを用いる必要がある。
このポリアミドとしては、特にポリヘキサメチレンア
ジパミド(ナイロン66)、ポリε−カプラミド(ナイロ
ン6)が好適であるが、セバシン酸、イソフタル酸、パ
ラキシレンジアミンなどを構成成分とするポリアミド、
これらの共重合ポリアミドなども用い得る。その重合度
は一般衣料用に用いられる範囲であればよい。一般的に
は硫酸相対粘度(ηr:98%硫酸100ccに対しポリアミド1
gを溶解して測定した値)として2.4〜3.5程度が好まし
い。
また、芯部を構成するポリマとしては、鞘部から浸透
してきた苛性アルカリ水溶液によってその表層部が溶解
されるが、強さ、伸びなどの繊維性能が実質的に損なわ
れないという点およびポリアミドとの溶融複合紡糸が可
能である点からポリエステルを用いることが必要であ
る。
このポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートが好適であるが、イ
ソフタル酸、脂肪族2塩基酸、スルホン化芳香族カルボ
ン酸等を少量共重合させたポリエステルも使用できる。
その重合度は、一般衣料用に用いられる範囲であればよ
い。一般的には極限粘度(IV:ポリエステルをオルトク
ロロフェノールに溶解して測定した値)が0.55〜0.75程
度の範囲が好ましい。
なお、これらのポリアミド、ポリエステルには酸化チ
タン等の艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の通常
の繊維用添加剤を加えて用いてもよい。しかし、芯ポリ
エステルに酸化チタンが含まれていると、苛性アルカリ
水溶液処理時に酸化チタン粒子が中空部の内壁に付着
し、光沢、発泡の斑を生じる傾向にあるから、芯ポリエ
ステルには酸化チタンを実質的に含まないことが好まし
い。
鞘部、芯部および中空部の繊維横断面における形状と
位置関係は、芯部と鞘部との間が実質的に空気層で隔て
られ、独立に存在するのであればどのようであってもよ
い。例えば、第2図(1)のような同心円状3層芯鞘複
合形態が代表的であって生産上好ましいが、他の複合形
態、例えば、鞘層の外周面や内周面の形状が三角、四
角、星型のような非円形であってもよいし、芯層の外周
面形状が同様な非円形であってもよいし、また、芯層と
鞘層とが相対的に偏心していてもよい(第2図(2)〜
(5))。
鞘部と芯部と中空部との比率は、繊維の性能、目的と
する保温性の点から最適の条件を設定すればよい。一般
に、中空化処理前の原糸段階における鞘部ポリアミドと
芯部ポリエステルとの比率を25〜70wt%/75〜30wt%と
なるように複合することが必要であり、好ましくは、30
〜60wt%/70〜40wt%がよい。さらに、苛性アルカリ処
理による芯ポリエステルの減量率を10〜70%とすること
もあわせて必要である。
鞘ポリアミドの比率が大き過ぎたり、また、芯ポリエ
ステルの減量率が小さすぎたりすると、中空化処理後の
繊維において十分な大きさの中空部がとれないから、目
的とする保温性が得難い。しかも、鞘ポリアミドの比率
が大きすぎると、芯部ポリエステルの溶出工程における
薬液の浸透と分解物の除去に長時間や高温を要すること
になり、ポリアミドの変質を生じ易い。
逆に、鞘ポリアミドの比率が小さ過ぎると鞘層が破れ
やすくて中空状態の維持が難しいので使用時耐久性がな
く、しかも、鞘部ポリアミドが本来もっている好ましい
特性が十分に発揮され難く、強度の低下、染色性の低下
などの実用特性に問題を生じる。また、芯ポリエステル
の減量率が70%を越える場合は、繊維断面がつぶれ易く
偏平化するため中空率は逆に低下するし、しかも、ポリ
エステル比率が低過ぎることにより布帛の張り、腰が不
足する。
本発明で用いるポリアミド・ポリエステル芯鞘型複合
繊維の単糸太さは、中空化処理前の原糸段階で1〜10デ
ニールの範囲にあることが好ましい。細過ぎれば中空化
の効果が出し難いし、逆に太過ぎれば衣料用フィラメン
ト糸に必要な柔かさが大幅に低下する。さらに好ましい
のは2〜6デニールである。
この芯鞘型複合繊維は次に述べる条件で製糸される。
その製糸工程の一例を、第1図に示す。
この第1図において、ポリアミドとポリエステルとは
それぞれのメルター(1)、(2)で別々に溶融された
後、紡糸口金(3)で芯鞘型複合されて細孔から吐出さ
れ、冷却装置(4)、給油装置(5)、交絡装置(6)
により、冷却、給油、交絡処理され、周速度が2500〜60
00m/分、好ましくは3000〜5000m/分の非加熱の第1ゴデ
ットローラ(7)で引取られる。引続いて、加熱された
第2ゴデットローラ(8)で連続して4500〜6500m/分、
好ましくは4700〜5500m/分で延伸熱固定され、そして、
交絡装置(9)により交絡付与され、巻取装置(10)で
巻上げられる。
溶融吐出され、冷却、給油、交絡処理された後の最初
の引取り速度を2500〜6000m/分とすることは、固化温度
も2次転位点も曳糸性も異るポリアミドとポリエステル
とからなる芯鞘型複合繊維において、両成分の伸度を近
似化させ、引続く延伸における斑発生や糸切れを抑制す
るために有効である。特に、3000〜5000m/分が好まし
い。
第2ゴデットローラ(延伸ローラ)の速度は、第1ゴ
デットローラの速度と得ようとする延伸糸の目標伸度に
よって最適値を定めればよい。一般的には、4500〜6500
m/分がとられる。
そして、この第2ゴデットローラにおいて、延伸後熱
固定される。この熱固定は、120〜190℃に加熱された第
2ゴデットローラ上で、熱処理時間が4×10-3〜10×10
-3秒で行うことが好ましい。その熱固定は、ポリエステ
ルの結晶化の促進により収縮率を適正水準まで低下させ
るために必要であり、得られる原糸の沸騰水収縮率は、
20%以下とすることが好ましい。この加熱温度が低過ぎ
たり、時間が短過ぎたりすると、沸騰水収縮率が高くな
り過ぎ、巻上げパッケージの不良、布帛の縮み過ぎによ
る硬化等の問題が生ずる。逆に、加熱温度が高過ぎた
り、時間が長過ぎたりすると、沸騰水収縮の低減効果は
飽和に達しそれ以上の改善は望めず、逆に、熱固定時に
おける糸条付着油剤の劣化、発煙等のトラブルが大き
く、製糸性悪化や熱処理斑の発生等の問題が生じるし、
また、結晶化が進み過ぎて苛性アルカリによるポリエス
テル成分の減量速度が遅くなるので、処理時間を長くと
らざるを得なくなり布帛の黄変が生じ易くなる。
原糸の沸騰水収縮率の値は、JIS法(JISL1013)によ
って測定すればよい。
このようにして得られた複合繊維糸条は、通常の方法
で編成、織布されて布帛とすればよい。
次に、得られた布帛を、苛性アルカリ、例えば、苛性
ソーダの加熱水溶液中に浸漬処理することにより、芯部
ポリエステルを部分的に分解溶出させる減量加工を行
い、芯部ポリエステルの表層部側に、中空部を形成す
る。この中空部は、鞘部ポリアミドと芯部ポリエステル
との中間に位置し、その中空率は、芯部ポリエステルの
減量割合が10〜70%である範囲とする。この減量割合
が、10%未満であれば、中空の効果、特に保温性が不足
するし、逆に、70%を越えると芯部ポリエステルの比率
が少な過ぎてポリエステル本来の腰、張りが失われ、ふ
くらみのないぺらぺらの布帛となり、風合等の点で衣料
用に適さない。
この減量処理の程度は、苛性アルカリの濃度、処理温
度、処理時間により決まるが、一般的には濃度10〜100g
/l、温度80〜120℃を用いればよい。処理時間は、得ら
れる布帛製品の品質等からなるべく短い方が、また、処
理温度は低目の方が好ましく、これは、ポリエステルの
結晶程度や鞘部の厚さに左右される。鞘部の厚さが1〜
5μ程度である場合は、一般に、30〜100分程度の処理
時間であればよい。
[作用] ポリエステル・ポリアミド芯鞘型複合繊維を紡出後25
00〜6000m/分の高速で引取ることによりポリエステル成
分は均一かつ高い配向を有することとなるので、連続し
て行う延伸は低倍率で良く、しかも、引取りローラを非
加熱、延伸ローラを加熱とすることにより、熱延伸に伴
う延伸、熱処理斑を軽減させることができ、均一な延伸
が可能となる。このため、苛性アルカリ水溶液処理によ
る分解、溶出が均一に行われ、得られる布帛の外観均一
性が向上する。
また、未延伸糸を巻取った後に延伸する方法や、紡出
糸条を加熱引取りローラで500〜2000m/分程度の速度で
引取った後延伸する方法に比べ、結晶性が比較的低目に
抑えられているために、アルカリ水溶液処理によるポリ
エステル成分の分解速度が速い。従って、苛性アルカリ
処理における温度や濃度を低くすること、また、処理時
間を短くすることが可能となり、苛性アルカリ処理時に
鞘ポリアミド成分に与える悪影響、即ち、黄変や劣化を
大幅に軽減することができる。
さらに、第2ゴデットローラでの熱処理時間および熱
処理温度を、それぞれ、4×10-3〜10×10-3秒、120〜1
90℃とすることは、ポリエステル成分の結晶性を適正化
するため、ポリエステル成分本来の好ましい特性を損う
ことなくアルカリ水溶液処理による分解速度を早くする
ために特に有効である。
得られた布帛は、鞘部ポリアミドの優れた特性(染色
性や耐久性等)を保持し、芯部ポリエステルの優れた特
性(寸法安定性、腰、張り等)が加味され、ウールに匹
敵する高い保温性と羽根のような軽さという従来にない
新しい性能を有するものであり、しかも、外観均一性に
優れた高品質の布帛製品となる。
[実施例] ・実施例1 酸化チタン微粉末を0.3wt%含有するポリε−カプラ
ミド(硫酸相対粘度ηr=2.6)と、酸化チタンを実質
的に含有しないポリエチレンテレフタレート(極限粘度
IV=0.63)をエクストルーダ型紡糸機で別々に溶融し、
それぞれ等重量ずつ計量して鞘部がポリε−カプラミ
ド、芯部がポリエチレンテレフタレートとなるように設
計した紡糸パックを口金により同心円状に接合し、吐出
した後、冷却、給油し、3300m/分の第1ゴデットローラ
(常温)で引取り、引続いて、160℃の延伸ローラで500
0m/分で延伸、熱処理し、巻取って、30デニール、13フ
ィラメントの延伸糸(No.1)を得た。この際の延伸ロー
ラにおける熱固定時間は7.2×10-3秒であった。
また、比較として、上記同様に溶融紡出したポリエス
テル・ポリアミド芯鞘複合紡出糸を冷却、給油した後、
900m/分の引取り速度で未延伸糸巻取りした。得られた
未延伸糸を常法により延伸温度90℃、熱固定温度140℃
で3.3倍に熱延伸して30デニール、13フィラメントの延
伸糸(No.2)を得た。
さらにまた、比較として、上記同様に溶融紡出したポ
リエステル・ポリアミド芯鞘複合紡出糸を冷却、給油し
た後、80℃に加熱された周速1900m/分のネルソン型第1
ゴデットローラに引取り、引続いて、周速5000m/分、16
0℃に加熱されたネルソン型延伸ローラとの間で延伸
し、熱固定して30デニール、13フィラメントの延伸糸
(No.3)を得た。この際の延伸ローラにおける熱固定時
間は12.7×10-3秒であった。
これら製糸方法で得られたNo.1〜3の延伸糸(芯鞘複
合繊維)の芯部と鞘部の複合割合(重量)は50:50であ
り、これらを用いて常法により28ゲージのハーフトリコ
ットを編成した。
得られトリコットを85〜100℃、60〜100g/lの苛性ソ
ーダ水溶液中で45分間減量処理し、芯部ポリエチレンテ
レフタレートの減量率が30〜41%の布帛を製造した。得
られた布帛の特性を測定し、その結果を第1表に示し
た。
苛性ソーダ水溶液での減量処理時の布帛の黄変発生状
況の程度:未処理布帛と対比することにより視覚で相対
評価した。
布帛(生編地、製品)の外観均一性:視覚により相対
評価した。
本発明に係る布帛(No.1)は、生編み段階(処理前)
の布帛も、苛性ソーダ水溶液処理後(製品)の布帛も共
に経筋、皺、たるみ等が認められず均一性に優れてい
た。また、苛性ソーダ水溶液処理時の黄変も殆ど認めら
れなかった。
これに対し、従来法によるNo.2の場合は、生編み段階
で経筋が目立ち、また、苛性アルカリ処理時の処理速度
が遅く、減量率を40%程度まで高めるには処理時間を長
くする必要があり、処理時の布帛の黄変が認められた。
また、他の従来法によるNo.3の場合は、生編み段階で
は経筋の問題もない良好な布帛であったが、苛性アルカ
リ処理後は、布帛表面に微細な皺が多く認められ、斑が
目立つ布帛であった。しかも、No.2同様に苛性アルカリ
処理時間を長くする必要であり、布帛の黄変が認められ
た。
さらに、本発明に係る布帛(No.1)は、同デニールの
通常のポリεカプラミド繊維から同様に編成されたハー
フトリコットよりも軽量で、しかも高い保温性を示し
た。さらに、軽量であるにもかかわらず、張り、腰があ
り、ポリアミド用の酸性染料(Diacid Azo Rubinol 3G
S)で酸性染色した場合、通常のポリεカプラミド繊維
製布帛と同等の良好な染色特性を示した。
・実施例2 熱固定温度を第2表のように変え、また、得られる糸
条繊度、フィラメント数に応じて溶融吐出量および吐出
孔数を変えた以外は実施例1のNo.1の製糸方法と同様に
紡糸延伸して50デニール、17フィラメントの延伸糸を得
た。これら製糸時におけるヒータ汚れや糸切れ等につい
ての評価を第2表に示した、 得られた延伸糸を常法通り織物の経糸と緯糸とに用い
て190本/インチのタフタを製織した。これらのタフタ
を濃度60g/lの苛性ソーダ水溶液を用いて100℃でポリエ
ステル成分の減量率が60%となるように減量処理した
後、常法通り酸性染料(Diacid Light Yellow 2G)で染
色して評価した。
なお、製品布帛の風合は、触感による相対評価によっ
た。
本発明の条件内で製糸した原糸による場合(No.4〜
6)は、製糸性および苛性アルカリ処理性が良好に製造
することができ、しかも、得られた製品布帛は、軽量
で、張り、腰があり、ポリアミド繊維のみからなる布帛
と同等の表面タッチおよび色合をもっていた。
しかし、熱固定温度が120℃に満たない水準の糸で織
った布帛(No.7、8)では、苛性アルカリ処理時に大幅
に収縮し、ごわごわした商品価値の少ない布帛しか得ら
なかった。
逆に、熱固定温度が190℃を越える場合(No.9)、製
糸時におけるヒータの汚れが激しく、しかも、糸切れが
多発した。
・実施例3 引取り速度および延伸速度を第2表のように変えた以
外は実施例1のNo.1の製糸方法と同様に紡糸延伸して30
デニール、13フィラメントの延伸糸を得た。これらの製
糸性の評価は第3表のとおりであった。
得られた延伸糸を用いて常法により28ゲージのハーフ
トリコットを編成し、100℃、60g/lの苛性ソーダ水溶液
中で45分間減量処理し、芯部ポリエチレンテレフタレー
トの減量率が41%の布帛を製造した。得られた布帛の外
観均一性を斑の有無によって評価し、その結果を第3表
に示した。
紡糸直後の引取り速度が2500m/分未満の場合(No.1
4、15)では、糸斑が大きく、しかも得られた製品編地
中における斑が大きく、商品として満足できる特性のも
のは得られなかった。しかも、製糸時の糸切れが多く生
産性が不良であった。逆に、引取り速度が6000m/分を越
える場合(No.16)では、糸切れが多発したため実質的
に巻取りができなかった。
・実施例4 複合紡糸口金における複合割合を第4表のように変
え、また、延伸ローラ温度を170℃に、糸条フィラメン
ト数を10に変えた以外は実施例1のNo.1の製糸方法と同
様に紡糸延伸して30デニール、10フィラメントの延伸糸
を得た。これらの製糸性の評価は第4表のとおりであっ
た。
得られた延伸糸を用いて実施例1同様にハーフトリコ
ットを編成し、100℃、60g/lの苛性ソーダ水溶液中で減
量処理し、芯部ポリエチレンテレフタレートの減量率が
5〜85%の布帛を製造した。得られた布帛の特性を測定
し、その結果を第4表に示した。
なお、耐摩擦性は、摩擦試験機で布帛を500回処理し
た後、顕微鏡観察し、鞘破れの発生状況を評価すること
によった。
本発明で特定した鞘ポリアミドの複合割合および芯ポ
リエステルの減量率をとることにより、軽量かつ保温性
に優れ、適度の腰、張りがあり、しかも、耐久性に優れ
た布帛が得られた。
鞘ポリアミドの比率が25%未満の複合繊維から得られ
た布帛(No.19)では摩擦性試験により簡単にポリアミ
ド被覆層が破れ、耐久性の点から商品価値がなかった。
逆に、鞘ポリアミドの比率が60%を越える複合繊維から
得られた布帛(No.20)ではポリエステル部分の減量率
を高くしても得られる保温軽量効果は小さく、しかも芯
ポリエステル量が少ないことから布帛の張り、腰は殆ど
改善されなかった。
・実施例5 ポリアミドとして酸化チタンを含まないポリヘキサメ
チレンアジパミド(ηr=2.6)を用い、また、ポリエ
ステルとして酸化チタンを含まず、ポリエチレンテレフ
タレートに5−スルホキシイソフタル酸を5%共重合さ
せたポリエステル(極限粘度IV=0.64)を用い、実施例
1のNo.1と同じ製糸方法でポリアミド鞘層が50重量%と
なるように同心円状に複合紡糸して得た30デニール、13
フィラメントの複合繊維を得、これを、実施例1同様に
編成してハーフトリコットとした後、100℃、50g/lの苛
性ソーダ水溶液で60分間処理して、減量率40%の布帛を
得た。
得られた布帛は、外観均一性が良好な軽量高保温性布
帛であった。しかも、苛性アルカリ処理時における溶出
処理速度が速く、処理時におけるポリアミドの黄変もみ
られなかった。
[発明の効果] 本発明法によると、筋状の斑や皺がなく外観均一性に
優れた布帛製品が得られ、しかも、苛性アルカリをよる
処理性が良いために黄変のトラブルを発生せずに、優れ
た品質のポリアミド・ポリエステル複合繊維製布帛を工
業的に安定して製造することができる。
また、本発明法によると、羽根のように薄くて軽いに
もかかわらず、ウールに匹敵する程の高い保温性を有す
る布帛が得られる。また、得られる布帛は、表面がポリ
アミドで構成されているため、染色性、耐久性、しっと
りした表面感などに優れ、従来のポリアミド繊維製布帛
と同様に使用することができ、しかも、芯部にポリエス
テル層が存在するために、寸法安定性、耐引き裂き性に
優れ、適度の張り、腰を有する。
従って、本発明法によると、インナーウェア製品用、
特にランジェリーのような婦人用インナーウェア製品用
等に有用な軽量布帛を高品質で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明法における製糸工程の一実施態様を示
す概略図である。 第2図(1)〜(5)は、本発明にかかる軽量布帛を構
成する中空複合繊維における複合形態を例示する繊維横
断面図である。 [符号の説明] 7:第1ゴデットローラ 8:第2ゴデットローラ(延伸ローラ) 11:鞘部(ポリアミド層) 12:芯部(ポリエステル層) 13:中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D06M 101:32 101:34

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルを芯としポリアミドを鞘とす
    る芯鞘型複合繊維を布帛とした後、苛性アルカリ水溶液
    で処理して前記芯のポリエステルを部分的に分解溶出さ
    せ、繊維中に中空部を有する複合繊維製布帛を製造する
    方法において、前記芯鞘型複合繊維として、鞘のポリア
    ミド複合割合を25〜70wt%として芯鞘型複合紡糸した
    後、冷却、給油、交絡処理し、周速度が2500〜6000m/分
    の非加熱の第1ゴデットローラに引取り、引続き連続し
    て、周速度が4500〜6500m/分で加熱された第2ゴデット
    ローラとの間で延伸するとともに、該第2ゴデットロー
    ラ上で熱固定することにより得られた複合繊維を用いる
    こと、および、前記苛性アルカリ水溶液での処理時にお
    ける芯のポリエステル分解溶出割合が10〜70wt%である
    ことを特徴とするポリアミド・ポリエステル複合繊維製
    布帛の製造方法。
  2. 【請求項2】前記第2ゴデットローラ上での熱処理時間
    が4×10-3〜10×10-3秒、第2ゴデットローラの温度が
    120〜190℃、かつ、前記苛性アルカリ水溶液処理する前
    の複合繊維の沸騰水収縮率が20%以下であることを特徴
    とするポリアミド・ポリエステル複合繊維製布帛の製造
    方法。
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