JPH0816095B2 - β−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド - Google Patents

β−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド

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JPH0816095B2
JPH0816095B2 JP63213664A JP21366488A JPH0816095B2 JP H0816095 B2 JPH0816095 B2 JP H0816095B2 JP 63213664 A JP63213664 A JP 63213664A JP 21366488 A JP21366488 A JP 21366488A JP H0816095 B2 JPH0816095 B2 JP H0816095B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、特殊機能を有するラジカル反応開始剤、お
よび、その中間原料として有用な新規なβ−ヒドロキシ
置換ジアルキルペルオキシドに関するものである。
(従来の技術) 分解によってアルコキシラジカルおよびアルキルラジ
カルのような活性なラジカル種を生成する有機過酸化物
が、ラジカル反応開始剤として利用されることは、一般
に良く知られていることである。例えば、有機過酸化物
がポリエチレンのようなポリオレフィンの架橋反応に利
用できるという報告[ジャーナル・オブ・ポリマー・サ
イエンス,ポリマー・ケミストリー・エディション(Jo
urnal of Polymer Science,Polymer Chemistry Editio
n),14巻,1495頁,1976年]、ならびに、不飽和単量体の
重合反応および不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応に利
用できるという報告[米国特許第4,525,308号]があ
る。また、有機過酸化物がラジカル的に分解しているか
どうかは、ラジカル反応によって得られた生成物を調べ
ることによって知ることができる。例えば、トルエン中
でのクミルペルオキシアセテートの分解では、炭酸ガ
ス、アセトフェノン、クミルアルコールおよび溶媒から
生ずるビベンジルがラジカル分解生成物であると報告
[ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(The Journal of Organic Chemistry),37巻,1794頁,1
972年]されている。また、例えば、クロルベンゼンの
ような不活性溶媒中で2−t−ブチルペルオキシ−2−
メチル−1−プロパノールの熱分解を行なうと、分解生
成物量から判断して、かなりの割合で非ラジカル的分解
が起きているという報告[ザ・ジャーナル・オブ・オー
ガニック・ケミストリー(The Journal of Organic Che
mistry),38巻,4219頁,1973年]がある。さらにまた、
活性なラジカル種の種類によって著しく反応性が異なる
という報告[サ・ジャーナル・オブ・マクロモレキュラ
ー・サイエンス・ケミストリー(The Journal of Macro
molecular Science Chemistry),A17巻,337頁,1982年]
がある。例えば、この報告では、アルコキシラジカルが
メチルメタクリレートのような不飽和単量体の重合を開
始する場合には、不飽和二重結合への付加だけでなく、
かなりの割合で水素引き抜き反応も起こることを報告し
ている。
前述の有機過酸化物の中で、ヒドロキシル基を有する
ジアルキルペルオキシドは、それ自身が特殊機能を有す
るラジカル反応開始剤として、または特殊な機能を付与
できる中間原料として有用となることが知られている。
例えば2−t−ブチルペルオキシエチルアルコールが水
系での重合開始剤として利用できるという報告[米国特
許第3,640,985号],1,3−ジメチル−3−t−ブチルペ
ルオキシブチルアルコールが高温での架橋剤として利用
できるという報告[米国特許第3,236,872号]、およ
び、2−t−ブチルペルオキシ−2−メチル−1−プロ
パノールがアゾビスイソブチロニトリルとの反応によっ
てブロック共重合体の製造に有用なアゾ過酸化物を製造
できるという報告[独国特許第2,945,151号]がある。
(発明が解決しようとする問題点) 公知のヒドロキシル基を有するジアルキルペルオキシ
ドは、次に述べるいくつかの欠点が指摘されている。す
なわち、2−t−ブチルペルオキシエチルアルコールの
ような第一級のジアルキルペルオキシドは、アルカリお
よび熱に対して非常に不安定[スワン著「オーガニック
・ペルオキシド」,第3巻,23頁及び33頁]で、かつ、
ラジカル種の生成効率も悪く、ラジカル反応開始剤とし
て好ましくない。また、1,3−ジメチル−3−t−ブチ
ルペルオキシブチルアルコールのように第二級のアルコ
ールを有するものは、立体障害により、カルボキシル、
クロルカルボニル、イソシアネート基などの官能基を有
する他の試薬との反応性が劣るばかりでなく、脱水反応
により不活性なオレフィンに変り易いため、好ましくな
いものである。第一級の水酸基を持ち、かつ、第三級の
ペルオキシ基を持つβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペル
オキシドとして公知の化合物は、2−t−ブチルペルオ
キシ−2−メチル−1−プロパノールのみである。しか
し、この化合物でも、クロルベンゼンのような不活性な
媒体中で分解させた場合には、ラジカル反応開始剤とし
て有効なラジカル種が得られないという問題があった。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、前述の欠点を解決するために、他の官
能基を有する化合物との反応性、および、ラジカル反応
の開始効率に優れたラジカル反応開始剤を求めて鋭意研
究を重ねた結果、第一級アルコールと第三級ジアルキル
ペルオキシドを兼ね備えた新規なβ−ヒドロキシ置換ジ
アルキルペルオキシドが優れた性質を有することを見い
出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、一般式 (式中、R1,R2,R3およびR4は炭素数1ないし3のアルキ
ル基を示し、R5は炭素数2ないし7のアルキル基、フェ
ニル基またはベンジル基を示す。)で表わされるβ−ヒ
ドロキシ置換ジアルキルペルオキシドに関する。
本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
に類似した化学構造を有する2−t−ブチルペルオキシ
−2−メチル−1−プロパノールは公知であるが、合成
が困難であるため、詳細な研究が行なわれなかった。本
発明者らはまず初めに、この化合物の容易な合成法を見
い出し、その後、使用方法の研究を重ねた結果、公知化
合物よりも本発明の化合物の方が著しく優れた性質を有
することを見い出したものである。
本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
を具体的に示すと、 2−(1,1−ジメチルプロピルペルオキシ)−2−メチ
ル−1−プロパノール 2−(1,1−ジメチルブチルペルオキシ)−2−メチル
−1−プロパノール 2−(1,1,2−トリメチルプロピルペルオキシ)−2−
メチル−1−プロパノール 2−(1,1,2,2−テトラメチルプロピルペルオキシ)−
2−メチル−1−プロパノール 2−(1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ)−2
−メチル−1−プロパノール 2−(1,1−ジメチル−2−フェニルエチルペルオキ
シ)−2−メチル−1−プロパノール 2−(1−メチル−1−フェニルエチルペルオキシ)−
2−メチル−1−プロパノール 2−(1−エチル−1−プロピルペンチルペルオキシ)
−2−メチル−1−ペンタノール などがある。
これらのβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
は、酸性触媒の存在下に、一般式 (式中、R1およびR2は前述と同じ)で表わされる非対称
エポキシドと、一般式 (式中、R3,R4およびR5は前述と同じ)で表わされる第
三級アルキルヒドロペルオキシドとを反応させることに
よって得られる。また、通常のジアルキルペルオキシド
の製造と同様に、酸性触媒の存在下に、相当するオレフ
ィンまたはアルコールと前記第三級アルキルヒドロペル
オキシドとを反応させることによっても得ることができ
る。
本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
の性状は、通常、液体である。
本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
は、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、マ
ス・スペクトルおよび元素分析によって化学構造が決定
され、その純度はガスクロマトグラフィーによって求め
られた。また、熱分解挙動は分解速度定数および半減期
によって求められた。
本発明のβ−ジアルキルペルオキシドの130℃におけ
る半減期は0.4ないし1.5時間の範囲内にあり、従来のラ
ジカル反応開始剤であるジ−t−ブチルペルオキシドよ
りも短時間であるが、同じように、80℃以上の高温度で
のラジカル反応開始剤として利用できる。
本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
は、特に、ラジカル反応性の高い媒体中で使用すること
ができる。ラジカル反応性の高い媒体とは、ラジカル活
性種によって水素引き抜き反応を受け易い物質、すなわ
ち脂肪族のC-H結合を有するもの、および、ラジカル付
加反応を受け易いもの、すなわち不飽和単量体がある。
これらを具体的に示すと、水素引き抜き反応を受け易い
物質としては、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペ
ンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサ
ン、シクロヘキセン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水
素、トルエン、エチルベンゼン、クメン、キシレン、シ
メン、ジフェニルメタンなどのアルキル鎖を持つ芳香族
化合物、および、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロ
プレン、ブタジエンスチレンコポリマー、ポリアクリレ
ートゴム、ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、ア
クリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコー
ンゴム、ポリウレタン、ポリサルファイド、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ酢酸ビニル、エチレンプロピレンゴムなどの
ポリオレフィン等がある。
また、不飽和単量体としては、スチレン、エチレン、
プロピレン、塩化ビニル、メチルメタクリレート、酢酸
ビニル、ブタジエンなどがある。
本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
の使用における温度範囲は、80℃以上であるが、低すぎ
ると充分な量のラジカル活性種が生成せず、高すぎると
ラジカル反応の制御が困難になるため、好ましくは、90
ないし250℃の範囲内である。
本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
が公知のペルオキシドよりも優れ、かつ、特殊な機能を
発現できることは、次のように説明することができる。
すなわち、ジアルキルペルオキシドをクメン中で分解さ
せると、(1)式に従ってO-O結合およびC-C結合の開裂
が起こり、メチロールラジカル(IV)、アルコキシラジ
カル(V)およびアルキルラジカル(VI)の3種の活性
なラジカル種を生成する。これらの活性ラジカル種は、
ラジカル反応性の高い活性な媒体であるクメンから、
(2)ないし(4)式に従って、水素引き抜き反応を起
こし、それぞれ、メタノール、相当するアルコールおよ
び炭化水素になり、媒体からはクミルラジカル(VII)
を生成させる。
このようにして生成したクミルラジカル(VII)は、
(5)式に従って再結合反応し、ジクミル(VIII)を生
成する。
(1)ないし(5)式に従えば、ラジカル分解、すなわ
ち、ジアルキルペルオキシドによるラジカル反応の開始
がどの程度起きているかは、ジクミルの生成量を知るこ
とによって理解できる。また、例えば、(6)式のよう
に不飽和単量体(IX)の重合開始によってポリマーの末
端にヒドロキシル基が導入されるかどうかは、(2)式
で生成するメタノールの量を知ることによって理解され
る。
さらに、ラジカル付加重合反応において、ラジカル活
性種が(IV)および(VI)のようなアルキルラジカルで
なく、(V)のようなアルコキシルラジカルである場合
には、例えば、(7)式のようなポリマーからの水素引
き抜き反応により、相当するアルコールが生成、 また、XおよびYが水素引き抜き反応を受け易い置換
基、例えば、XがCH3およびYがCO2CH3(メチルメタク
リレート)である場合には、(8)式のような不飽和単
量体からの水素引き抜き反応により、相当するアルコー
ルを生成する。
(7)および(8)式の反応は、引き続くグラフト反応
によりポリマーの枝分れを起こし、分子量分布の狭いオ
リゴマーを製造する場合には好ましくない反応である。
これらの反応の起こり易さは、アルコキシルラジカル
(V)に相当するアルコールの量を知ることによって理
解できる。本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペル
オキシドは公知のペルオキシドおよび公知の技術に比較
して、(IV)および(VI)のようなアルキルラジカルの
生成量が多く、特殊機能を発現するのには好ましいもの
である。
(発明の効果) 本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシド
は、前述の特殊な作用機構に基づいて構成され、特殊な
機能を発現できるようになっているため、次に示すいく
つかの利点を有している。
第一は、メチロールラジカルの生成により、ポリマー
末端に第一級のヒドロキシル基を導入できる。このよう
にして得られた末端にヒドロキシル基を有するポリマー
は、イソシアネートやカルボン酸などの硬化剤と反応さ
せて硬化させることができ、優れた塗料用樹脂として利
用できる。
第二は、ヒドロキシル基が第一級であるため、イソシ
アネート、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物などの
官能基を有する化合物との反応性に優れ、かつ、脱水反
応のような好ましくない副反応を起こすことが少ない。
このため、前述した塗料用樹脂の製造、および、ブロッ
クコポリマーを製造するような特殊機能を発現できるラ
ジカル重合開始剤の中間原料として優れている。
第三に、アルコキシラジカルでなく、アルキルラジカ
ルを主に生成するため分子量分布の狭いオリゴマーを製
造することができ、高機能性樹脂として利用できる。
(実施例) 次に、本発明の実施例,参考例および比較例を示す
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
(β−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシドの製造) 実施例1 温度計、還流冷却管および滴下漏斗を備えた200ml四
つ口フラスコにトリフルオロ酢酸14.8gおよびベンゼン2
5mlを入れ、氷冷下攪拌した。ここに、脱水、精製した
1,1−ジメチルプロピルヒドロペルオキシド54.2gを加
え、次いでイソブチレンオキシド18.7gとベンゼン6mlの
混合液を系内を10℃以内に保ちながら約30分間で滴下し
た。滴下終了後、35℃に昇温し、30分間攪拌を続けた。
冷却後、水で1回、4.2%亜硫酸ソーダ緩衝液で2回、
飽和食塩水で2回洗浄を行なった後、硫酸マグネシウム
で脱水した。溶媒除去後、純度65%の2−(1,1−ジメ
チルプロピルペルオキシ)−2−メチル−1−プロパノ
ール50.8g(収率72%)を得た。このものは減圧蒸留
(沸点46〜47℃/3mmHg)により精製することができた
(純度98%)。さらに、赤外線吸収スペクトル、核磁気
共鳴スペクトル、マス・スペクトルおよび元素分析によ
り前記化合物であることを確認した。
赤外線吸収スペクトル 3450cm-1(O-H結合) 875cm-1(O-O結合) 核磁気共鳴スペクトル(δ) 0.89ppm(3H) 1.21ppm(12H) 1.60ppm(2H) 2.33ppm(1H) 3.60ppm(2H) マス・スペクトル 176m/Z(分子イオンピーク) 元素分析 C;60.94%(計算値 61.33%) H;11.52%(計算値 11.44%) 実施例2 1,1−ジメチルプロピルヒドロペルオキシドの代りに
1,1−ジメチルブチルヒドロペルオキシド61.5gを用いる
以外は実施例1に記載した製造方法に準じた方法で操作
して、純度52%の2−(1,1−ジメチルブチルペルオキ
シ)−2−メチル−1−プロパノールを66.6g(収率70
%)得た。これをさらに減圧蒸留(沸点57〜58℃/4mmH
g)し、実施例1と同じ方法で分析を行い、前記化合物
であることを確認した。
赤外線吸収スペクトル 3450cm-1(O-H結合) 875cm-1(O-O結合) 核磁気共鳴スペクトル(δ) 0.92ppm(3H) 1.19ppm(6H) 1.21ppm(6H) 1.5 ppm(4H) 2.39ppm(1H) 3.6 ppm(2H) マス・スペクトル 190m/Z(分子イオンピーク) 元素分析 C;62.60%(計算値 63.12%) H;11.63%(計算値 11.65%) 実施例3 1,1−ジメチルプロピルヒドロペルオキシドの代りに
1,1,2−トリメチルプロピルヒドロペルオキシド61.5gを
用いる以外は実施例1に記載した製造方法に準じた方法
で操作して、純度54%の2−(1,1,2−トリメチルプロ
ピルペルオキシ)−2−メチル−1−プロパノールを6
3.2g(収率69%)得た。これをさらに減圧蒸留(沸点55
〜56℃/3mmHg)し、実施例1と同じ方法で分析を行な
い、前記化合物であることを確認した。
赤外線吸収スペクトル 3450cm-1(O-H結合) 875cm-1(O-O結合) 核磁気共鳴スペクトル(δ) 0.92ppm(6H) 1.16ppm(6H) 1.21ppm(6H) 1.91ppm(1H) 2.30ppm(1H) 3.60ppm(2H) マス・スペクトル 190m/Z(分子イオンピーク) 元素分析 C;62.51%(計算値 63.12%) H;11.59%(計算値 11.65%) 実施例4 1,1−ジメチルプロピルヒドロペルオキシドの代りに
1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド76.0g
を用いる以外は実施例1に記載した製造方法に準じた方
法で操作して、純度42%の2−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルペルオキシ)−2−メチル−1−プロパノール
を83.8g(収率62%)得た。これをさらに減圧蒸留(沸
点46〜48℃/0.5mmHg)し、実施例1と同じ方法で分析を
行ない、前記化合物であることを確認した。
赤外線吸収スペクトル 3450cm-1(O-H結合) 875cm-1(O-O結合) 核磁気共鳴スペクトル(δ) 1.02ppm(9H) 1.20ppm(6H) 1.33ppm(6H) 1.57ppm(2H) 2.23ppm(1H) 3.60ppm(2H) マス・スペクトル 218m/Z(分子イオンピーク) 元素分析 C;65.62%(計算値 66.01%) H;12.10%(計算値 12.00%) 実施例5 1,1−ジメチルプロピルヒドロペルオキシドの代りに
1,1−ジメチル−2−フェニルエチルヒドロペルオキシ
ド86.4gを用いる以外は実施例1に記載した製造方法に
準じた方法で操作して、純度45%の2−(1,1−ジメチ
ル−2−フェニルエチルペルオキシ)−2−メチル−1
−プロパノールを82.6g(収率60%)得た。これをさら
に減圧蒸留(沸点67〜68℃/0.01mmHg)し、実施例1と
同じ方法で分析を行ない、前記化合物であることを確認
した。
赤外線吸収スペクトル 3450cm-1(O-H結合) 875cm-1(O-O結合) 核磁気共鳴スペクトル(δ) 1.16ppm(6H) 1.22ppm(6H) 2.29ppm(1H) 2.85ppm(2H) 3.60ppm(2H) 7.2 ppm(5H) マス・スペクトル 238m/Z(分子イオンピーク) 元素分析 C;70.29%(計算値 70.56%) H; 9.17%(計算値 9.30%) 実施例6 1−メチル−1−フェニルエチルヒドロペルオキシド
16.7gと30%硫酸0.02mlの混合液を攪拌している中へ、
イソブチレンオキシド7.2gを、系内を5℃以内に保ちな
がら滴下した。室温にて48時間攪拌後、実施例1に記載
した製造方法に準じた方法で処理して、純度26%の2−
(1−メチル−1−フェニルエチルペルオキシ)−2−
メチル−1−プロパノールを20.1g(収率23%)得た。
これをさらに減圧蒸留(沸点64〜65℃/0.04mmHg)し、
実施例1と同じ方法で分析を行ない、前記化合物である
ことを確認した。
赤外線吸収スペクトル 3450cm-1(O-H結合) 875cm-1(O-O結合) 核磁気共鳴スペクトル(δ) 1.22ppm(6H) 1.62ppm(6H) 2.22ppm(1H) 3.60ppm(2H) 7.5 ppm(5H) マス・スペクトル 224m/Z(分子イオンピーク) 元素分析 C;69.48%(計算値 69.61%) H; 8.91%(計算値 8.99%) 実施例7ないし12および比較例1ないし2 (熱分解速度) 実施例1ないし6で得られたβ−ヒドロキシ置換ジア
ルキルペルオキシド、実施例1と同様にして製造した2
−t−ブチルペルオキシ−2−メチル−1−プロパノー
ルおよび従来のラジカル反応開始剤であるジ−t−ブチ
ルペルオキシドの0.05mol/lクメン溶液を調製し、130℃
で熱分解を行った。ジアルキルペルオキシドの消失速度
をガスクロマトグラフィーで求め、分解速度定数および
半減期を計算して、それぞれを実施例7ないし12および
比較例1ないし2として第1表に示した。
第1表は本発明のβ−ヒドロキシ置換ジアルキルペル
オキシドの半減期は130℃で、0.4ないし1.5時間の範囲
内にあり、従来のラジカル反応開始剤(比較例2)およ
び公知のもの(比較例1)よりもわずかに低温活性であ
り、80℃以上の温度で利用できることを示している。
実施例13ないし18および比較例3ないし5 (熱分解生成物) 実施例1ないし6で得られたβ−ヒドロキシ置換ジア
ルキルペルオキシド、実施例1と同様にして製造した2
−t−ブチルペルオキシ−2−メチル−1−プロパノー
ルおよび従来のラジカル反応開始剤であるジ−t−ブチ
ルペルオキシドの0.05mol/lクメン溶液を調製し、130℃
においてペルオキシドが完全に消失するまで熱分解を行
ない、ガスクロマトグラフィーにより、分解生成物の生
成量を求めた。その結果を実施例13ないし18および比較
例3ないし4として第2表に示した。また、150℃クロ
ルベンゼン中での2−t−ブチルペルオキシ−2−メチ
ル−1−プロパノールの熱分解結果[前述のサ・ジャー
ナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,38巻,4219
頁,1973年]を比較例5として第2表に示した。
第2表の結果より、実施例13ないし18は比較例4に示
した従来のジアルキルペルオキシドと同様に、かなりの
量のジクミルが生成していることから、ラジカル反応性
の高い媒体のラジカル反応開始剤、すなわち不飽和単量
体の重合開始剤、不飽和ポリエステル樹脂の硬化剤およ
びポリオレフィンの架橋剤として利用できることがわか
る。また、比較例4ないし5に示した従来のジアルキル
ペルオキシドおよび不活性媒体(クロルベンゼン)中で
の公知の技術では、メタノールは検出されないのに反し
て、実施例13ないし18ではかなりの量のメタノールが生
成しており、ポリマー中にヒドロキシル基を導入できる
ことがわかる。さらにまた、実施例13ないし18は、比較
例3に比べてアルコール(R5(CH3)2COH)の生成量が少な
く、このことからアルコキシラジカルの生成量が少ない
ことがわかる。このことは、前者の方が後者に比較し
て、分子量分布の狭いオリゴマーを生成できることを示
唆し、より優れた開始剤であることを示している。
参考例1 ベンゼン60g、実施例1において得られた2−(1,1−
ジメチルプロピルペルオキシ)−2−メチル−1−プロ
パノール0.61モル(107.5g)、酢酸ナトリウム0.27モル
(22.5g)、および無水酢酸0.64モル(60.2ml)の混合
物を、温度計、攪拌装置および冷却装置を備えたフラス
コに入れ、50℃で4時間反応を行なった。反応終了後、
反応混合物は冷却し、冷水400ml中に注ぎ、油層を分離
する。油層には5%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを加
え、更に室温で2時間攪拌を継続し、過剰の無水酢酸を
分解させる。その後、更に油層を水300mlで洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧下でベンゼンを除去し
た。赤外線吸収スペクトル1740cm-1(C=0結合)およ
び核磁気共鳴スペクトルδ2.00ppm(3H)にアセチル基
特有の吸収がみられ、2−(1,1−ジメチルプロピルペ
ルオキシ)−2−メチル−1−プロピルアセテートであ
ることを確認し、GC分析で、純度94%のものが収率82%
で得られていることがわかった。
参考例2 2−(1,1−ジメチルプロピルペルオキシ)−2−メ
チル−1−プロパノールの代りに、実施例4で得られた
2−(1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ)−2
−メチル−1−プロパノールを用いる以外は、参考例1
に記載した製造方法に準じた方法で操作して、純度90%
の2−(1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ)−
2−メチル−1−プロピルアセテートを収率77%で得る
ことができた。このものは、赤外線吸収スペクトル1740
cm-1(C=0結合)および核磁気共鳴スペクトルδ1.98
ppm(3H)にアセチル基特有の吸収から、前記化合物で
あることが確認された。
比較例6 2−(1,1−ジメチルプロピルペルオキシ)−2−メ
チル−1−プロパノールの代りに、米国特許第3640985
号明細書記載の1,3−ジメチル−3−t−ブチルペルオ
キシブチルアルコールを用いる以外は、参考例1に記載
した製造方法に準じた方法で操作した。その結果、生成
物中には赤外線吸収スペクトル1740cm-1(C=0結合)
および核磁気共鳴スペクトルδ1.99ppm(3H)にアセチ
ル基特有な吸収がみられたが、GC分析からは63%純度の
ものしか得られなかった。また、副反応のため、収率も
45%と低いものであった。
参考例1および2と比較例6とから、本発明の化合物
が中間原料として優れていることを示している。
参考例3および比較例7および8 攪拌装置、温度計および還流冷却器を備えたガラス製
反応容器に、溶媒としてエチル3−エトキシプロピオネ
ート30gを入れ、ブチルアクリレート50g、ブチルメタク
リレート20g、スチレン30gおよびジアルキルペルオキシ
ド0.03モルとからなるモノマーおよび開始剤混合物を、
窒素雰囲気下150℃の温度において5時間を要して滴下
し、その後さらに2時間攪拌を継続し重合を完結させ
た。開始剤としては、実施例1で製造した2−(1,1−
ジメチルプロピルペルオキシ)−2−メチル−1−プロ
パノール、実施例1と同様に製造した2−t−ブチルペ
ルオキシ−2−メチル−1−プロパノールおよび従来の
ラジカル反応開始剤であるジ−t−ブチルペルオキシド
を用い、それぞれ参考例3および比較例7および8とし
てその結果を第3表に示した。平均分子量はポリスチレ
ンを標準にしてGPCによって求め、ポリマー中のOH基は
ポリマーを精製しフィルムにして赤外線吸収スペクトル
(O-H結合3450cm-1)により求めたものである。
第3表の参考例と比較例との比較により、本発明のβ
−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシドを用いて得ら
れたアクリル樹脂の平均分子量は、相当するt−ブチル
誘導体およびジ−t−ブチルペルオキシドよりも小さ
く、かつ、分子量分布も狭くなることがわかった。ま
た、β−ヒドロキシ置換ジアルキルペルオキシドの場合
にはポリマー中にOH基が導入されることがわかった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、R1,R2,R3およびR4は炭素数1ないし3のアルキ
    ル基を示し、R5は炭素数2ないし7のアルキル基、フェ
    ニル基またはベンジル基を示す。)で表わされるβ−ヒ
    ドロキシ置換ジアルキルペルオキシド。
  2. 【請求項2】R1,R2,R3およびR4がCH3であり、R5がCH3CH
    2である特許請求の範囲第1項記載のβ−ヒドロキシ置
    換ジアルキルペルオキシド。
  3. 【請求項3】R1,R2,R3およびR4がCH3であり、R5がCH3CH
    2CH2である特許請求の範囲第1項記載のβ−ヒドロキシ
    置換ジアルキルペルオキシド。
  4. 【請求項4】R1,R2,R3およびR4がCH3であり、R5が(CH3)
    2CHである特許請求の範囲第1項記載のβ−ヒドロキシ
    置換ジアルキルペルオキシド。
  5. 【請求項5】R1,R2,R3およびR4がCH3であり、R5が(CH3)
    3CCH2である特許請求の範囲第1項記載のβ−ヒドロキ
    シ置換ジアルキルペルオキシド。
  6. 【請求項6】R1,R2,R3およびR4がCH3であり、R5がフェ
    ニル基である特許請求の範囲第1項記載のβ−ヒドロキ
    シ置換ジアルキルペルオキシド。
  7. 【請求項7】R1,R2,R3およびR4がCH3であり、R5がベン
    ジル基である特許請求の範囲第1項記載のβ−ヒドロキ
    シ置換ジアルキルペルオキシド。
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