JP2576572B2 - 不飽和単量体の重合開始剤および不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化剤 - Google Patents

不飽和単量体の重合開始剤および不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、環式モノペルオキシケタールからなる不飽
和単量体の重合開始剤および不飽和ポリエステル樹脂組
成物の硬化剤に関する。
(従来の技術) 有機過酸化物には、ジアシルペルオキシド、ペルオキ
シエステル、ジペルオキシケタール、ジアルキルペルオ
キシド、など各種タイプのものがあり、30ないし150℃
における不飽和単量体の重合開始剤および不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物の硬化剤として、また、150ないし200
℃におけるポリオレフィンの架橋剤として広く利用され
ている。重合開始剤および硬化剤は、不飽和単量体のラ
ジカル付加反応を開始し、引き続く連鎖反応によって、
前者は通常のポリマーを、後者は網目構造を有するポリ
マーを与えるため、ラジカル反応開始剤の一種類である
とみなされる。これに反して、架橋剤は、通常、ポリオ
レフィンからの水素引き抜き反応によって架橋ポリマー
を与えるもので、前二者とは、機能的に全く異なり、ラ
ジカル連鎖鎖長も非常に短いのが一般的である。最近で
は、高分子有機材料の高性能化、高機能化に基づく差別
化、高付加価値製品の開発が盛んで、それに伴いラジカ
ル反応開始剤に対する要望も多様化・高度化している。
このような製品の差別化や高付加価値化は、各種無機化
合物や複雑な構造の有機化合物からなる各種高分子添加
剤・改質剤を用いて行なうのが一般的である。従ってこ
れらの添加剤、改質剤の存在下において安定で、反応時
に良好な活性を発揮できるラジカル反応開始剤が要望さ
れている。また、塗料、接着剤などのコーティング工業
の分野でも、各種反応性官能基を有するモノマーの共重
合体が行なわれており、これらの官能基と反応しない重
合開始剤が要望されている。このようにラジカル反応開
始剤の複合系での使用は増加している。
有機過酸化物の中で、カルボニル基を有するジアシル
ペルオキシドおよびペルオキシエステルは、例えば、酸
性または塩基性を示す無機化合物、ならびにヒドロキシ
ル基、アミノ基、スルフィド基などの官能基を有する有
機化合物との反応性に富んでいるため、複合系での使用
には好ましくない。従って複合系での用途には、カルボ
ニル基を含まないジペルオキシケタールやジアルキルペ
ルオキシドが好ましい。このような例としては、例え
ば、ネオペンチル骨格を有するジ(t−アルキルペルオ
キシ)ケタールがラジカル反応開始剤として優れている
という報告(特公昭56−29681号公報)や、モノペルオ
キシケタールがエチレンとα−オレフィンとのコポリマ
ーの架橋に有用であるという報告(特公昭43−1086号公
報)がある。
(発明が解決しようとする課題) ジペルオキシケタールおよびジアルキルペルオキシド
は化学的には安定であるが、分解温度が高いという欠点
を有している。特にジアルキルペルオキシドは、通常12
0℃以上の高温度で使用されており、ペルオキシエステ
ルと同程度の低温度での分解活性を持つものが望まれて
いる。また通常、ジペルオキシケタールおよびジアルキ
ルペルオキシドは、水素引き抜き反応を起こし易く、架
橋剤として有用なものである。重合開始剤および硬化剤
として用いられるラジカル反応開始剤は、本来、ラジカ
ル付加反応を開始するためのものであり、前述の水素引
き抜き反応が多く起こることは好ましくない。例えばコ
ーティング工業の分野では、複合系において安定である
だけでなく、分岐および架橋などの副反応が少なく、官
能基を効果的にポリマーに導入できるような重合開始剤
ご望まれている。またジペルオキシケタールは2官能ペ
ルオキシドの1種で、分子量分布を広くする要因を有し
ている。さらにジペルオキシケタールにおける同一炭素
原子上の2個のt−アルキルペルオキシ基は、炭素数の
増加により不飽和ポリエステル樹脂への相溶性を著しく
低下させ、不完全硬化に至ることが多々ある。さらにま
た、モノペルオキシケタールであっても、1,1−ジメチ
ルエチルペルオキシモノケタールの場合には、他のもの
に比較して非常に大きな水素引き抜き能を有しているた
め好ましくない。このようなことから、本発明の環式モ
ノペルオキシケタールからなるラジカル反応開始剤は、
ジペルオキシケタールよおびジアルキルペルオキシドの
改良に係るものであると言える。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、前述の欠点を解決した重合開始剤およ
び硬化剤として好適に使用できるラジカル反応開始剤を
求めて鋭意研究を重ねた結果、次に示す特性構造の環式
モノペルオキシケタールが、安定性および分解特性にお
いて優れた性質を有していることを見出し本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明は一般式、 (式中、R1、R2およびR3は水素または炭素数1ないし3
のアルキル基を、R4は炭素数1ないし5のアルキル基
を、ならびにR5は炭素数1ないし3のアルキル基を示
し、さらに、R6およびR7は、分離している場合には、R6
は炭素数1ないし3のアルキル基で、R7は炭素数2ない
し8のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
を示し、結合している場合には、シクロアルカン構造を
示す。)で示される環式モノペルオキシケタールよりな
るラジカル反応開始剤に関する。本発明で言うラジカル
反応開始剤は、ラジカル付加反応を主体とする不飽和単
量体の重合開始剤および不飽和ポリエステル樹脂組成物
の硬化剤として利用されるものであり、水素引き抜き反
応を主体とするポリオレフィンの架橋剤とは異なる。
本発明のラジカル反応開始剤である環式モノペルオキ
シケタールは、一般のペルオキシケタールの公知の製造
方法(例えば、米国特許第3576826号明細書または米国
特許第3468962号明細書に記載)に従って製造できる。
すなわち酸性触媒の存在下に一般式 (式中R1、R2、R3およびR4は前述と同じである。)で示
されるジアルキルケタール、または一般式 (式中、R1、R2、R3およびR4は前述と同じである。)で
示されるビニルエーテルと一般式 (式中、R5、R6およびR7は前述と同じ。)で示される第
三級アルキルヒドロペルオキシドとの反応、または一般
(式中、R1、R2、R3、R5、R6およびR7は前述と同じであ
る。)で示されるジペルオキシケタールと一般式 R4−O−H (VI) (式中、R4は前述と同じである。)で示されるアルコー
ルとの反応によって得られる。
このようにして得られた本発明のラジカル反応開始剤
である環式モノペルオキシケタールを具体例として示す
と、例えば、1−メトキシ−1−(1,1ジメチルプロピ
ルペルオキシ)シクロヘキサン、1−メトキシ−1−
(1,1−ジメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサン、
1−メトキシ−1−(1,1,2−トリメチルプロピルペル
オキシ)シクロヘキサン、1−メトキシ−1−(1,1,3,
3−テトラメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサン、
1−メトキシ−1−(1−メチル−1−フェニルエチル
ペルオキシ)シクロヘキサン、1−ブトキシ−1−(1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサ
ン、1−メトキシ−1−p−メンタンペルオキシシクロ
ヘキサン、1−メトキシ−1−ピナンペルオキシシクロ
ヘキサン、1−メトキシ−1−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、1−ブトキシ−1−p−メンタペルオキシ−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、1−ブトキシ−1−ピ
ナンペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1−ブトキシ−1−(1−メチル−1−フェニルエチル
ペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど
がある。
本発明のラジカル反応開始剤である環式モノペルオキ
シケタールは、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴スペ
クトル、活性酸素量および屈折率によって化学構造が決
定され、その純度は、ガスクロマトグラフィーおよび活
性酸素量によって求められた。また、熱分解挙動は、ク
メン中での分解速度定数および半減期によって求められ
た。その結果100℃における半減期は、0.5ないし03.0時
間の範囲内にあり、従来のラジカル反応開始剤である相
当するジ(t−アルキルペルオキシ)ケタールよりも短
時間であり、より低温度において分解するものであるこ
とが分かった。
本発明のラジカル反応開始剤の製造に用いられるジア
ルキルケタールは、公知の方法、すなわち、酸性触媒の
存在下に相当するケトンと相当するアルコールとを反応
させることによって得られる。またビニルエーテルも相
当するジアルキルケタールの脱アルコール反応によって
得られる。
本発明のラジカル反応開始剤の製造に用いられる酸性
触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸および
トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機
酸があり、シリカ、アルミナ、酸性白土のような無機固
体酸も使用できる。また、陽イオン交換樹脂のようにス
ルホン酸基あるいは、カルボキシル基のような酸性基を
有するポリマーも触媒として利用できる。これらの酸性
触媒の使用量は、原料に用いるジアルキルケタール、ビ
ニルエーテルまたはジペルオキシケタールに対し0.01な
いし10重量%の範囲である。
本発明のラジカル反応開始剤の製造には、溶媒を使用
しなくてもよいが、反応を円滑に進めるには不活性な溶
媒を用いることが望ましい。具体的には、例えば、炭素
数3ないし12の脂肪族および芳香族炭化水素、炭素数な
いし12の有機基を含むカルボン酸エステル、カルボン酸
アミド、スルホキシド、エーテルなど通常溶媒として用
いられているものが使用できる。反応は−30ないし70℃
の温度で行なうことができ、原料としてジアルキルケタ
ールまたはジペルオキシケタールを用いる場合には、減
圧下に行なって生成するアルコールまたはヒドロペルオ
キシドを反応系外に除去してもよい。
本発明のラジカル反応開始剤である環式モノペルオキ
シケタールを不飽和単量体の重合開始剤として利用する
場合について以下に説明する。
本発明で対象とする不飽和単量体としては、例えば、
エチレン、プロピレン、スチレン、ビニルトルエン、ビ
ニルピリジン、ビニルフェノール、ジビニルベンゼンお
よびα−メチルスチレンのようなオレフィン;1,3−ブタ
ジエン、イソプレンおよびクロロプレンのような共役オ
レフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン
酸ビニル、安息香酸ビニルおよび炭酸ジビニルのような
ビニルエステル;酢酸アリル、炭酸ジアリル、安息香酸
アリルおよびフタル酸ジアリルのようなアリルエステ
ル;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルのよう
な不飽和共役ニトリル;アクリル酸およびメタクリル酸
ならびにこれらのエステルおよびアミド、例えば、アク
リル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、n−ブチ
ル、2−エチルヘキシル、グリシジルおよびヒドロキシ
エチルエステル;アクリルアミドおよびメタクリルアミ
ド;無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸ならび
にこれらのエステル;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化
ビニル、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニリデンのよう
なビニルハロゲン化物ならびにビニリデンハロゲン化
物;トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、
ヘキサフルオロプロピレンおよびクロルトリフルオロエ
チレンのようなペルハロオレフィン;メチルビニルエー
テル、n−ブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエ
ーテルのようなビニルエーテルならびにアリルエーテ
ル;アクロレインならびにこれらの混合物が包含され
る。
本発明の重合開始剤は、例えば、不飽和単量体に対し
て0.005ないし10重量%の添加量で使用される。その
際、30ないし150℃の温度で、塊状重合、溶液重合、乳
化または懸濁重合技術を含む既知の一般重合技術によ
り、バッチ式、連続式または不飽和単量体および/また
は重合開始剤を添加する方法などによって重合を行うこ
とができる。さらにまた、本発明には、公知の高分子添
加剤、改質剤、例えば重合調整剤、難燃剤、各種充填
剤、耐衝撃性強化剤、補強材、着色剤、高分子の電気的
特性・熱的特性・光学特性・磁気特性・粘着特性・摺動
特性などの付与剤を用いて実施することができる。
本発明の重合開始剤と併用して、公知の他の重合開始
剤、例えば、アセチルシクロヘキスルホニルペルオキシ
ド、イソブチリルペルオキシド、ジ−2−エチルヘキシ
ルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピ
バレート、ジラウリルペルオキシド、ジベンゾイルペル
オキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノ
エート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ビ
ス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシドなどの有機過
酸化物およびアゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビ
スイソブチロニトリルなどのアゾ化合物を用いることが
できる。これらは、そのまま、または通常の溶剤で希釈
した溶液として、あるいは水で乳化または分散したエマ
ルジョンまたはサスペンションの形態として用いること
ができる。
本発明のラジカル反応開始剤である環式モノペルオキ
シケタールを不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化剤と
して利用する場合について以下に説明する。
本発明で対象とする不飽和ポリエステル樹脂は、通常
不飽和ポリエステルと不飽和単量体とからなる。不飽和
ポリエステル成分は、通常、マレイン酸、フマル酸、グ
ルタコン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、
アリルマロン酸、アリル琥珀酸などのエチレン性不飽和
のジまたはポリカルボン酸または酸無水物の1種または
2種以上を、エチレングリコール、2,2′−ジヒドロキ
シエチルエーテル、エチレングリコールビス(2−ヒド
ロキシエチレエーテル)、1,2−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ
ール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリン、ペン
タエリトリット、マンニットなどの飽和または不飽和の
ポリアルコールでエステル化することによって得られ
る。さらにまた、不飽和のジまたはポリカルボン酸の少
なくとも一部は、例えば、アジピン酸、琥珀酸、セバジ
ン酸などの飽和カルボン酸によって、あるいはフタル
酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸お
よびこれらの無水物、例えば、無水フタル酸で置き換え
ることができる。これらの酸およびアルコールは、他の
置換基、好ましくはハロゲンによって置き換えることが
でき、適当なハロゲン化酸の例は、例えば、テトラクロ
ルフタル酸、1,4,5,6,7,7−ヘキサクロルビシクロ(2,
2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸またはこれら
の無水物などである。
不飽和ポリエステル樹脂組成物の他の部分は、前記不
飽和ポリエステルと共重合し得る不飽和単量体であり、
好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸
メチル、フタル酸ジアリル、フマル酸ジブチル、アクリ
ロニトリル、シアヌール酸トリアリル、α−メチルスチ
レン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、マレイン
酸ジアリル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチ
ルなどのエチレン性不飽和単量体である。また、この樹
脂組成物には、高分子添加剤・改質剤、例えば、炭酸カ
ルシウム、シリカ、クレー、アルミナ、酸化チタン、亜
鉛華、アスベスト、カーボンブラック、ガラス繊維、炭
素繊維、着色剤を含むことができる。
好ましい樹脂組成物は、ポリエステル成分としてプロ
ピレングリコールと無水マレイン酸および無水フタル酸
のエステル化物、また不飽和単量体成分としてスチレン
がある。
本発明の硬化剤は、20ないし250℃の温度で、不飽和
ポリエステル樹脂に対して0.05ないし5.0重量%の添加
量で通常用いられ、重合開始剤の場合と同様に、他の有
機過酸化物やアゾ化合物を併用でき、さらにアミン、金
属塩などの促進剤と組み合わせて使用することもでき
る。
(作 用) 本発明のラジカル反応開始剤である環式モノペルオキ
シケタールが、公知のペルオキシケタールに比べて優れ
ていることは、分解速度および生成物からの推定により
次のような作用機構に基づくものとして説明できる。す
なわち、環式モノペルオキシケタールをクメン溶媒中で
熱分解させると、(1)式で示されるように、まず溶媒
かご内での0−0結合の可逆的な結合開裂が起こり、引
き続き、アルキルラジカル(VIIIおよびIX)およびアル
コキシラジカル(VII)からなる3種のラジカル活性種
と、ケトンを生成する。
(式中、R1、R2、R3、R5、R6およびR7は前述と同じてあ
るが、R7がフェニルのときVIIおよびIXにおいてR6とR7
は交替する。) 前記3種の活性種は、次式(2)、(3)、(4)お
よび(5)式のように作用する。
(ただし、mは0ないし2である) すなわち、(VII)は(2)式のようにβ−開裂し
て、(IX)とケトンを生成し、また(VII)、(VIII)
および(IX)は、それぞれ(3)、(4)および(5)
式のようにクメンから水素原子を引き抜いて、それぞれ
相当するアルコール、エステル、アルカンとクミルラジ
カルを生成する。
前記環式モノペルオキシケタールが分解する際に不飽
和単量体が存在するとき、(VII)、(VIII)および(I
X)のラジカル活性種は、次に示す(6)式のように優
先して二重結合に付加して重合を開始する。しかしなが
ら、アルコキシラジカル(VII)は、不飽和単量体、例
えばメチルメタクリレートの場合には、(7)式のよう
な水素引き抜き反応を起こし、ポリマー物性に好ましく
ない副反応を併発する。さらに、(VII)は生成したポ
リマーからも、(8)式のような水素引き抜き反応を起
こし、分岐したポリマーおよび架橋したポリマーを生成
させる。
一般にこのようなアルコキシラジカルによる水素引き
抜き反応は、不飽和単量体の重合には好ましくないこと
が知られている〔例えば、ザ・ジャーナル・オブ・マク
ロモレキュラー・サイエンス・A・ケミストリー(Jour
nal of Macromolecular Science.Chemistry),第17
巻,第337頁,1982年の文献に記載。〕。
本発明のラジカル反応開始剤である環式モノペルオキ
シケタールは、環式構造を有しているため(1)式の分
解において環開裂も同時に起こり、このためアルコキシ
ラジカルの生成量が少ないものである。また、1,1−ジ
メチルエチルペルオキシケタール(R5=R6=R7=CH3
以外のものについては、t−アルコキシラジカルのβ−
開裂((1)および(2)式)が比較的容易に起こり、
アルキルラジカルを生じ易いため、特に好ましいもので
ある。また、溶媒かご内で0−0結合開裂が可逆的平衡
関係にあることは、媒体粘度の増加、例えば、重合の後
期においても、溶媒かご内で生成したラジカル対が不活
性化することなく、もとのペルオキシケタールを再生す
るため、高い開始剤効率を維持することができる。
これに反して、ジペルオキシケタール(V)が分解す
る場合には、(9)式に従って中間体としてペルオキシ
エステルのラジカル活性種(X)を生成するため複雑と
なる。
(X)は化学的に不安定なペルオキシエステル構造を
有しているため、イオン的にも分解し易く、ポリマー物
性に好ましくない不活性物質を生成することも多く、さ
らに(10)式のような分解してビラジカルを生成し、分
子量分布を広くする原因にもなる。
(発明の効果) 本発明のラジカル反応開始剤は、前述の作用機構に基
づいて構成されているため、以下に示すいくつかの利点
を有している。
第1に、化学的に安定であるため、高分子添加剤・改
質剤の存在下にも効率よく使用できる。第2に、相当す
るジペルオキシケタールに比較して分解温度が低いた
め、低温度で使用でき、さらに短時間にラジカル完成種
を多量に発生させて重合工程のサイルアップに役立てる
ことができる。第3に、高粘度媒体、例えば、重合の後
期においても高い開始剤効率を発現できる。第4に、生
成するラジカル活性種にはアルキルラジカルの割合が高
く、水素引き抜きなど重合に悪影響をおよぼすものが少
ない。ジペルオキシケタールと比較して、中間にペルオ
キシエステルを生成することがないため、分子量が小さ
く、かつ分子量分布の狭いポリマーを得ることができ
る。このことは、共重合によって官能基をポリマー中に
導入する場合に好ましいことである。第5に、不飽和ポ
リエステル樹脂組成物を硬化する場合、ポットライフが
長く、かつ樹脂への相溶性のよい硬化剤を提供すること
ができる。
(実施例) 次に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明
は、これによって限定されるものではない。
参考例1 〔1−メトキシ−1−(1,1−ジメチルプロピルペルオ
キシ)シクロヘキサンの製造〕 ジメチルスルホキシド15.9gとp−トルエンスルホン
酸1.2gの混合液を20℃に保ち、シクロヘキサノンジメチ
ルアセタール29.1gと1,1−ジメチルプロピルヒドロペル
オキシド21.1gの混合液を滴下した。この時の酸濃度
は、0.1mol/kg反応混合液であった。撹拌下に20℃で3
時間かけて反応を完結させた。反応混合液に20mlの石油
エーテルを加え、10mlの水で、次いで50mlの5%NaOH水
溶液で、さらに20mlの水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去した結果、純度86
%の1−メトキシ−1−(1,1−ジメチルプロピルペル
オキシ)シクロヘキサン33.8g(収率67%)を得た。こ
のものを0.1mmHgにおいて43−45℃で蒸留することによ
り、純度98%の前記ペルオキシケタールを得た。
本発明のペルオキシケタールであることの確認は、活
性酸素量、元素分析、屈折率、IRおよびNMRスペクトル
により行い、その構造を次のデータに基づいて確認し
た。
活性酸素量7.22%(理論活性酸素量7.40%)、元素分
析C:65.35%,H:11.20%(計算値C:66.63%,H:11.18
%)、屈折率nD 20:1.4477、IRスペクトル:1100cm-1(−
O−Me)、NMRスペクトル:δ3.3(S,−O−CH3,3H),
δ1.20(S,−C(CH32-,6H),δ0.90(t,CH2−CH3,3
H)。
参考例2 〔1−メトキシ−1−(1,1−ジメチルブチルペルオキ
シ)シクロヘキサの製造〕 ジメチルスルホキシド16.0gとp−トルエンスルホン
酸1.3gの混合液を20℃に保ち、シクロヘキサノンジメチ
ルアセタール28.8gと1,1−ジメチルブチルヒドロペルオ
キシド23.8gの混合液を滴下した。この時の酸濃度は0.1
mol/kg反応混合液であった。以下参考例1と同様に行な
った結果、純度81%の1−メトキシ−1−(1,1−ジメ
チルブチルペルオキシ)シクロヘキサン39.0g(収率69
%)を得た。このものを0.1mmHgにおいて47−50℃で蒸
留することにより、純度97%の前記ペルオキシケタール
を得た。
本発明のペルオキシケタールであることの確認は、活
性酸素量、元素分析、屈折率、IRおよびNMRスペクトル
により行い、その構造を次のデータに基づいて確認し
た。
活性酸素量6.74%(理論活性酸素量6.95%)、元素分
析C:66.52%,H:11.25%(計算値C:67.79%,H:11.38
%)、屈折率nD 20:1.4486、IRスペクトル:1100cm-1(−
O−Me)、NMRスペクトル:δ3.3(S,−O−CH3,3H),
δ1.25(S,−C(CH32-,6H),δ0.95(t,CH2−CH3,3
H)。
参考例3 〔1−メトキシ−1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル
ペルオキシ)シクロヘキサンの製造〕 ジメチルスルホキシド16.1gとp−トルエンスルホン
酸1.4gの混合液を20℃に保ち、シクロヘキサノンジメチ
ルアセタール28.9gと1,1,3,3−テトラメチルブチルヒド
ロペルオキシド30.2gの混合液を滴下した。この時の酸
濃度は、0.1mol/kg反応混合液であった。以下参考例1
と同様に行なった結果、純度79%の1−メトキシ−1−
(1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ)シクロヘ
キサン40.0g(収率69%)を得た。このものを0.1mmHgに
おいて33−35℃で未反応物を留去することにより、純度
90%の前記ペルオキシケタールを得た。さらにこのもの
をヘキサンを移動相としたシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにより精製することにより、純度92%の前記ペ
ルオキシケタールを得た。
本発明のペルオキシケタールであることの確認は、活
性酸素量、元素分析、屈折率IRおよびNMRスペクトルに
より行い、その構造は次のデータに基づいて確認した。
活性酸素量5.71%(理論活性酸素量6.19%)、元素分
析C:68.69%,H:11.81%(計算値C:69.70%,H:11.70
%)、屈折率nD 20:1.4537、IRスペクトル:1100cm-1(−
O−Me)、NMRスペクトル:δ3.3(S,−O−CH3.3H),
δ1.30(S,−C(CH3−.6H),δ1.00(S,C(CH3
3.9H)。
参考例4 〔1−メトキシ−1−(1−メチル−1−フェニルエチ
ルペルオキシ)シクロヘキサンの製造〕 ジメチルスルホキシド16.2gとp−トルエンスルホン
酸1.4gの混合液を20℃に保ち、シクロヘキサノンジメチ
ルアセタール29.0gと1−メチル−1−フェニルエチル
ヒドロペルオキシド27.2gの混合液を滴下した。この時
の酸濃度は、0.1mol/kg反応混合液であった。以下参考
例1と同様に行なった結果、純度74%の1−メトキシ−
1−(1−メチル−1−フェニルエチルペルオキシ)シ
クロヘキサン39.5g(収率55%)を得た。このものをヘ
キサンを移動相としたシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーにより精製することにより、純度97%の前記ペルオ
キシケタールを得た。
本発明のペルオキシケタールであることの確認は、活
性酸素量、元素分析、屈折率、IRおよびNMRスペクトル
により行い、その構造を次のデータに基づいて確認し
た。
活性酸素量5.87%(理論活性酸素量6.05%)、元素分
析C:72.25%,H:9.32%(計算値C:72.69%,H:9.15%)、
屈折率:1.5087、IRスペクトル:1100cm-1(−O−Me)、
NMRスペクトル:δ3.2(S,−O−CH3.3H),δ7.3−7.6
(Ph−,5H)。
参考例5 〔1−メトキシ−1−(1,1−ジメチルブチルペルオキ
シ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの製造〕 ジメチルスルホキシド20.7gとp−トルエンスルホン
酸1.6gの混合液を20℃に保ち3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサノンジメチルアセタール37.3gと1,1−ジメチルブ
チルフドロペルオキシド23.8gの混合液を滴下した。こ
の時の酸濃度は、0.1mol/kg反応混合液であった。以下
参考例1と同様に行なった結果、純度75%の1−メトキ
シ−1−(1,1−ジメチルブチルペルオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン50.3g(収率68%)を得た。
このものを0.005mmHgにおいて、68−72℃で蒸留するこ
とにより、純度96%の前記ペルオキシケタールを得た。
本発明のペルオキシケタールであることの確認は、活
性酸素量、元素分析、屈折率、IRおよびNMRスペクトル
により行い、その構造を次のデータに基づいて確認し
た。
活性酸素量5.64%(理論活性酸素量5.87%)、元素分
析C:69.87%,H:12.11%(計算値C:70.54%,H:11.84
%)、屈折率nD 20:1.4490、IRスペクトル:1100cm-1(−
O−Me)、NMRスペクトル:δ3.3(S,−O−CH3.3H),
δ1.27(S,−C(CH3−,6H),δ1.2−0.90(>C
(CH32.>CH−CH3.CH2−CH2−CH3,16H)。
比較参考例1 〔1−メトキシ−1−(1,1−ジメチルエチルペルオキ
シ)シクロヘキサンの製造〕 ジメチルスルホキシド16.4gとp−トルエンスルホン
酸1.2gの混合液を20℃に保ち、シクロヘキサノンジメチ
ルアセタール28.9gと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオ
キシド18.5gの混合液を滴下した。この時の酸濃度は、
0.1mol/kg反応混合液であった。以下参考例1と同様に
行なった結果、純度89%の1−メトキシ−1−(1,1−
ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン26.1g(収
率57%)を得た。このものを1mmHgにおいて40−45℃で
蒸留することにより、純度99%の前記ペルオキシケター
ルを得た。
本発明のペルオキシケタールであることの確認は、活
性酸素量、元素分析、屈折率、IRおよびNMRスペクトル
により行い、その構造を次のデータに基づいて確認し
た。
活性酸素量7.88%(理論活性酸素量7.91%)、元素分
析C:64.54%,H:11.00%(計算値C:65.31%,H:10.96
%)、屈折率nD 20;1.4423、IRスペクトル:1100cm-1(−
O−Me)、NMRスペクトル:δ3.33(S,−O−CH3.3
H),δ1.30(S,−C(CH33.9H)。
実施例1ないし5および比較例1ないし7 〔クメン中での熱分解〕 参考例1ないし5によって得られた本発明の環式モノ
ペルオキシケタールおよび比較参考例1によって得られ
た本発明の環式モノペルオキシケタールおよび参考例1
ないし5および比較参考例1に準じて得られた環式ジペ
ルオキシケタールの0.05Mクメン溶液を調製した。各々
の試料溶液から一定量をガラスアンプルに採り、凍結法
により脱気し、真空下で封管した。それから数本のアン
プルを、100℃の恒温槽に入れ所定時間ごとに取り出
し、ガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフ
ィーによりペルオキシケタール濃度を測定した。各々の
ペルオキシケタールの消失速度から速度定数および半減
期を求めた。得られた結果を実施例1ないし5および比
較例1ないし7とし、表−1に示した。
実施例と比較例との比較により、本発明の環式モノペ
ルオキシケタールは、相当る環式ジペルオキシケタール
や1,1−ジメチルエチルペルオキシ基を有する環式モノ
ペルオキシケタールよりもかなり速く分解し、よりいっ
そう低温度で活性なペルオキシドであることが明らかと
なった。
比較例8ないし10 〔溶媒効果〕 溶倍をクメンの代わりに、n−ヘキサン、n−ドデカ
ンおよびn−ヘキサデカンにし、それ以外は比較例1に
準じて、1−メトキシ−1−(1,1−ジメチルエチルペ
ルオキシ)シクロヘキサンの100℃における熱分解を行
い、熱分解速度定数および半減期を求めた。その結果を
比較例8ないし10とし表−2に示した。
比較例8ないし10から、溶媒粘度の増加と共に分解速
度が遅延することから、環式モノペルオキシケタールの
熱分解は、反応式(1)によって示されているように、
溶媒かご内でのO−O結合の可逆的な結合開裂を起こし
ていることがわかる。すなわち、溶媒粘度の増加によっ
て、不活性物質を生成することなくもとのペルオキシケ
タールを再生する。このことは高粘度媒体中でも高い開
始剤効率を維持できることを示している。
比較例11および12 〔クメン中での熱分解生成物〕 比較例1および2によって得られた熱分解溶液につい
てガスクロマトグフィーにより各種熱分解生成物を測定
した。分解した各ペルオキシケタール1mol当りの生成物
mol数を求めた。得られた結果をそれぞれ、比較例11お
よび12として表−3に示した。
比較例11および12の結果は、環式モノペルオキシケタ
ールおよび環式ジペルオキシケタールが、それぞれ、
(1)ないし(5)式および(9)ないし(10)式に従
って分解することを示している。
実施例6ないし10および比較例13ないし19 〔クメン中での熱分解によるケトンおよびアルコールの
生成量〕 実施例1ないし5および比較例1ないし7によって得
られた熱分解溶液についてガスクロマトグラフィーによ
り生成したケトンおよびアルコールを測定した。分解し
た各々のペルオキシケタール1mol当りの生成物mol数を
求めた。得られた結果を実施例6ないし10および比較例
13ないし19として表−4に示した。
(2)および(3)式により、アルコールの生成量に
対するケトンの生成比率は、アルコキシラジカルの生成
量の目安となる。表−4の実施例と比較例を比較した場
合、本発明の環式モノペルオキシケタールのほうが環式
ジペルオキシケタールよりもアルコキシラジカルの生成
量が少なく、また1,1−ジメチルエチルペルオキシ基を
有するペルオキシケタールは、他のt−アルキルペルオ
キシ基を有するものよりもアルコキシラジカルの生成量
が多いことがわかる。
実施例11ないし15および比較例20ないし26 〔不飽和単量体の重合〕 参考例1ないし5によって得られた本発明の環式モノ
ペルオキシケタールおよび比較参考例1によって得られ
た本発明の環式モノペルオキシケタールおよび参考例1
ないし5および比較参考例1に準じて得られた環式ジペ
ルオキシケタールの0.01mol/Lスチレン溶液および2.0g/
Lスチレン溶液を調製した。各々の試料溶液から一定量
をガラスアンプルに採り、凍結溶解法により脱気し、真
空下で封管した。それから数本のアンプルを、80℃の恒
温槽に入れ所定時間ごとに取り出し−20℃以下に冷却し
た、その後アンプルを開封しベンゼン溶液からメタノー
ルによりポリマーを沈殿させ濾過した後、一昼夜真空乾
燥した。重量法により、重合速度を求めた。また得られ
たポリマーの分子量をGPCによって測定した。重合転化
率10%のときの結果を実施例11ないし15および比較例20
ないし26として表−5に示した。
表−5の実施例と比較例との比較により、開始剤を同
一モル濃度および同一重量濃度にした場合、本発明の環
式モノペルオキシケタールでは相当する環式ジペルオキ
シケタールや1,1−ジメチルエチルペルオキシ基を有す
る環式モノペルオキシケタールに比較して、重合速度が
速くなり、かつ低分子量のポリマーが得られることがわ
かる。
実施例16および比較例27ないし29 〔アクリル樹脂の製造〕 攪拌装置、温度計および還流冷却器を具えたガラス製
反応容器に、溶媒として30gのイソオクチルアセテート
を入れ、30gのブチルアクリレート、20gの2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、20gのブチルメタクリレート、3
0gのスチレンおよび活性酸素量で0.030モル当量のペル
オキシケタールとからなるモノマーおよび開始剤の混合
物を、窒素雰囲気下125℃の温度において5時間を要し
て滴下し、その後さらに2時間攪拌を継続し重合を完結
させた。開始剤としては、参考例2および比較参考例1
で製造した環式モノペルオキシケタールとそれに準じて
製造した環式ジペルオキシケタールを用い、それぞれ実
施例16および比較例27ないし29としてその結果を表−6
に示した。分子量はポリスチレンを標準にしてGPCによ
って求めたものである。
表−6の実施例と比較例との比較により、本発明の環
式モノペルオキシケタールを用いて得られたアクリル樹
脂の分子量は、相当する環式ジペルオキシケタールや1,
1−ジメチルエチルペルオキシ基を有する環式モノペル
オキシケタールを用いた場合よりも平均分子量が小さ
く、かつ分子量分布が狭くなることがわかる。
実施例17ないし21および比較例30ないし37 〔不飽和ポリエステル樹脂の硬化〕 使用した不飽和ポリエステル樹脂は、エポラックG110
AL(日本触媒化学工業製)であり、硬化方法はJISK690
1液状不飽和ポリエステル樹脂試験法に準じた。
環式モノペルオキシケタールを不飽和ポリエステル樹
脂に添加し、80℃の恒温槽中で硬化試験を行ない、ゲル
化時間(GT)、硬化時間(CT)、最高発熱温度(PET)
を測定した。このときの触媒添加量は不飽和ポリエステ
ル樹脂に対して活性酸素量に換算して、t−ブチルペル
オキシベンゾエートの1重量%に等しくした。
また触媒を含む不飽和ポリエステル樹脂の40℃におけ
るポットライフを目視により測定した。得たれた結果を
実施例17ないし21および比較例30ないし37として表−7
に示した。
表−7の結果から、カルボニル基を有していないペル
オキシケタールは、カルボニル基を有しているt−ブチ
ルプルオキシベンゾエートに比較して、ゲル化および硬
化時間が短いにもかかわらず、ポットライフが長いこと
がわかる。また、本発明の環式モノペルオキシケタール
は、相当する環式ジペルオキシケタールよりも樹脂への
溶解性と硬化特性に優れることがわかる。さらに、本発
明の環式モノペルオキシケタールでは1,1−ジメチルエ
チルペルオキシ基を有する環式モノペルオキシケタール
よりもポットライフに対する硬化時間が短いことがわか
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−107994(JP,A) 特開 昭61−114246(JP,A) 特開 昭57−165414(JP,A) 特開 昭61−192742(JP,A) 米国特許3822317(US,A) 欧州特許出願公開190720(EP,A 1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、R1、R2およびR3は水素または炭素数1ないし3
    のアルキル基を、R4は炭素数1ないし5のアルキル基
    を、ならびにR5は炭素数1ないし3のアルキル基を示
    し、さらに、R6およびR7は、分離している場合には、R6
    は炭素数1ないし3のアルキル基で、R7は炭素数2ない
    し8のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
    を示し、結合している場合には、シクロアルカン構造を
    示す。) で示される環式モノペルオキシケタールからなる不飽和
    単量体の重合開始剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載の環式モノペルオキシケター
    ルからなる不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化剤。
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