JPH08155481A - 有機性排液の好気性処理方法 - Google Patents

有機性排液の好気性処理方法

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JPH08155481A
JPH08155481A JP30520494A JP30520494A JPH08155481A JP H08155481 A JPH08155481 A JP H08155481A JP 30520494 A JP30520494 A JP 30520494A JP 30520494 A JP30520494 A JP 30520494A JP H08155481 A JPH08155481 A JP H08155481A
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sludge
ozone
liquid
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treatment
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 汚泥の減容化を行うことができるとともに、
オゾン処理汚泥による汚泥活性の阻害を防止し、高い汚
泥活性を維持して生物分解を行うことができ、これによ
り処理水質の悪化を防止して高処理水質を得ることが可
能な有機性排液の好気性処理方法を提案する。 【構成】 有機性排液を曝気槽11に導入して、生物汚
泥の存在下に好気性生物処理し、曝気槽11の混合液を
固液分離槽12で固液分離し、分離液を処理液として排
出し、分離汚泥の一部を曝気槽11に返送し、分離汚泥
の一部をオゾン処理槽21でオゾン処理して曝気槽11
に返送して生物分解する方法において、オゾン処理汚泥
を汚泥減容率に対応する一定量とし、曝気槽の汚泥返送
部における返送汚泥に対するオゾン処理汚泥の返送量が
1/2以下となるように返送する有機性排液の好気性処
理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機性排液を好気性微
生物を含む生物汚泥の存在下に生物処理する方法、特に
好気性生物処理系における余剰汚泥を減容化することが
できる有機性排液の好気性処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】活性汚泥処理法などのように、好気性微
生物の作用を利用して、有機性排液を好気条件で処理す
る好気性生物処理方法は、処理コストが安く、処理性能
も優れているため、一般に広く利用されているが、難脱
水性の余剰汚泥が大量に生成する。この余剰汚泥は処理
BOD量の約30〜60%にも達し、その処理は困難で
ある。従来、このような余剰汚泥は投棄処分されていた
が、その処分場の確保が困難となり、汚泥の減容化が必
要となっている。
【0003】汚泥を減容化するために特開平6−206
088号には、好気性処理系から引抜いた活性汚泥をオ
ゾンにより酸化分解した後、好気的に生物処理する有機
性排液の好気性処理方法が記載されており、オゾン処理
により余剰汚泥の減容化の程度が向上し、場合によって
は余剰汚泥の発生をゼロにすることができることが開示
されている。この方法は汚泥をオゾン処理して酸化分解
することによりBOD化し、これを好気性処理して汚泥
の減容化を行うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところがこのような方
法で処理を行うと、オゾン処理による減容化を行わない
場合に比べて、処理水CODが高くなる場合がある。そ
の原因はオゾン処理により微生物が死滅した汚泥を多量
に返送すると、曝気槽流入部で生きた微生物と死んだ微
生物の汚泥バランスが崩れ、オゾン処理により生成する
難生物分解性成分が曝気槽において十分生物分解されな
いためであると考えられる。このような活性の低下は、
被処理液のBODが低い場合は顕著ではないが、被処理
液BODが500mg/l以上の場合、特に1000m
g/l以上の場合は顕著であり、処理水のCODが増加
して、後処理としての凝集沈殿処理や活性炭処理の負荷
を高くするという問題点がある。
【0005】本発明の目的は、上記のような問題点を解
決するため、汚泥の減容化を行うとともに、処理水質の
悪化を防止することができる有機性排液の好気性処理方
法を提案することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機性排液を
曝気槽に導入して、好気性微生物を含む生物汚泥の存在
下に好気性生物処理する好気性生物処理工程と、曝気槽
の混合液を固液分離し、分離液を処理液として排出し、
分離汚泥の少なくとも一部を曝気槽に返送する固液分離
工程と、分離汚泥の一部を引き抜いてオゾン処理するオ
ゾン処理工程と、オゾン処理汚泥を曝気槽に返送する返
送工程とを含み、曝気槽の汚泥返送部における返送汚泥
に対するオゾン処理汚泥の返送量が1/2以下となるよ
うに、処理液、混合液またはオゾン処理汚泥を返送する
ことを特徴とする有機性排液の好気性処理方法である。
【0007】本発明において処理の対象となる有機性排
液は、通常の好気性生物処理法により処理される有機物
を含有する排液であるが、難生物分解性の有機物または
無機物が含有されていてもよい。このような有機性排液
としては、下水、し尿、食品工場排水その他の産業排液
などがあげられる。本発明はこのような有機性排液のう
ちBOD濃度の高い排液、例えばBOD500mg/l
以上、特に1000mg/l以上の排液が処理対象とし
て適している。
【0008】本発明における好気性生物処理では、有機
性排液を好気性微生物を含む生物汚泥の存在下に好気性
生物処理を行う。この処理では、有機性排液を曝気槽で
活性汚泥と混合して曝気し、混合液を固液分離装置で固
液分離し、分離汚泥の少なくとも一部を曝気槽に返送す
る。このような処理としては、標準活性汚泥処理法によ
る好気性生物処理が一般的であるが、これを変形した他
の処理でもよい。
【0009】本発明では、このような好気性生物処理装
置における固液分離装置で分離された分離汚泥の一部を
引抜き、この引抜汚泥をオゾン処理する。分離汚泥から
引抜く場合、余剰汚泥として排出される部分の一部また
は全部を引抜汚泥として引抜くことができるが、余剰汚
泥に加えて、返送汚泥として曝気槽に返送される汚泥の
一部をさらに引抜いてオゾン処理するのが好ましく、こ
れにより余剰汚泥の発生量をより少なくすることがで
き、条件によっては余剰汚泥の発生量をゼロにすること
ができる。いずれの場合も目的とする汚泥減容率に対応
する量の汚泥を引抜く。
【0010】好気性生物処理では、汚泥収率は被処理液
のBOD負荷に比例するので、汚泥減容率を一定値に維
持するためには、BOD負荷に比例して一定量の汚泥を
オゾン処理する必要がある。この場合、オゾン処理した
汚泥はBOD化し、これが曝気槽にBOD成分として負
荷され、通常はオゾン処理汚泥の1/3が減容化につな
がるので、減容化する汚泥の3倍量の汚泥をオゾン処理
する必要がある。
【0011】オゾン処理する汚泥としては、できるだけ
高濃度の汚泥をオゾン処理するのがオゾン反応性や処理
カラム容量などの面から好ましく、このため本発明では
固液分離槽で分離された分離汚泥を用いる。ところで固
液分離槽として自然沈降型の沈降槽を用いる場合、十分
な濃縮を行うためには、固液分離槽から得る処理水量に
対する返送汚泥量の割合を一定値以下に設定する必要が
あり、その値より多くの分離汚泥を排出すると、固液分
離のバランスが崩れる。
【0012】このような状態で得られる分離汚泥の一部
を返送汚泥として返送し、他の一部をオゾン処理する
が、従来のように一定量を返送汚泥とし、残りの汚泥を
オゾン処理する方法では、前述のように汚泥が増量する
ため、一定量を余剰汚泥として系外に排出しなければな
らなくなる。一方汚泥減容率を一定にするためには、汚
泥収率に対応する一定量の汚泥をオゾン化する必要があ
り、例えば余剰汚泥発生量をゼロにするためには汚泥増
加量の3倍の分離汚泥をオゾン化する必要がある。
【0013】この場合でも被処理液中のBOD濃度が低
いときは、好気性処理に必要な返送汚泥量を確保するこ
とができるが、BOD濃度が高い排水の場合は、所定量
の分離汚泥をオゾン処理すると、残りの分離汚泥を返送
しても好気性処理に必要な返送汚泥量を確保することが
できない。この場合は生物が死滅した多量のオゾン処理
汚泥と、活性を有する少量の汚泥が返送されることにな
り、曝気槽上流部での汚泥バランスが崩れるとともに、
オゾン処理汚泥には難生物分解性成分が含まれるため、
汚泥の活性が低下し、処理水質が低下する。
【0014】検討の結果、被処理液のBOD濃度が高い
場合、例えば500mg/l以上、特に1000mg/
l以上の場合でも、曝気槽の汚泥返送部における返送汚
泥に対するオゾン処理汚泥の返送量が1/2以下とすれ
ば、曝気槽における汚泥の活性を高く維持し、処理水質
を高くできることがわかった。
【0015】被処理液のBOD濃度が高い場合は、前述
のように汚泥増加量を低くするためには、返送汚泥量に
比べて多量の分離汚泥をオゾン処理する必要があり、通
常の処理ではオゾン処理汚泥量を返送汚泥量の1/2以
下とすることができない。そこで本発明では曝気槽の汚
泥返送部における返送汚泥に対するオゾン処理汚泥の返
送量を1/2以下にするように、処理液、混合液または
オゾン処理汚泥を返送する。曝気槽の汚泥返送部とは曝
気槽の上流側であって、被処理液と返送汚泥が混合され
る部分を意味する。この位置はプラグフローの場合に限
らず、完全混合型の場合も返送汚泥の返送位置としてと
らえることができる。
【0016】処理液を返送すると、被処理液が希釈され
て好気性処理が行われ、固液分離槽から得られる処理液
が多くなるため、多量の分離汚泥を返送できるようにな
り、返送汚泥量に対するオゾン処理汚泥の量を1/2以
下とすることができる。混合液を返送する場合もこれと
同様の操作であり、曝気槽の下流側から上流側に返送す
る。混合液は固液分離前の液であり、処理液と汚泥が含
まれた状態であるから、処理液と汚泥を同時に返送する
のと同じ操作となる。この場合は混合液とし返送される
汚泥も返送汚泥として計算する。
【0017】これらの操作を行わないで、オゾン処理汚
泥を返送するには、汚泥返送部における返送汚泥に対す
るオゾン処理汚泥の返送量が1/2以下になる量のオゾ
ン処理汚泥を上流の汚泥返送部に返送し、残部を必要に
より分割して順次下流にステップ返送する。
【0018】このようにして曝気槽の汚泥返送部におけ
る返送汚泥量に対するオゾン処理汚泥の返送量を1/2
以下になるようにして返送を行うと、返送汚泥とオゾン
処理汚泥のバランスが正常に保たれ、汚泥の活性が阻害
されることなく好気性処理が行われ処理水質の低下が防
止される。
【0019】オゾン処理はpH5以下の酸性領域で行う
と酸化分解効率が高くなる。このときのpHの調整は、
硫酸、塩酸または硝酸などの無機酸をpH調整剤として
生物汚泥に添加するか、生物汚泥を酸発酵処理して調整
するか、あるいはこれらを組合せて行うのが好ましい。
pH調整剤を添加する場合、pHは2〜4に調整するの
が好ましく、酸発酵処理を行う場合、pHは4〜5とな
るように行うのが好ましい。
【0020】オゾン処理は、分離汚泥または酸発酵処理
液をそのまま、または必要により遠心分離機などで濃縮
した後pH5以下に調整し、オゾンと接触させることに
より行うことができる。接触方法としては、オゾン処理
槽に汚泥を導入してオゾンを吹込む方法、機械攪拌によ
る方法、充填層を利用する方法などが採用できる。オゾ
ンとしてはオゾンガスの他、オゾン含有空気、オゾン化
空気などのオゾン含有ガスが使用できる。オゾンの使用
量は0.002〜0.05g−O3/g−VSS、好ま
しくは0.005〜0.03g−O3/g−VSSとす
るのが望ましい。オゾン処理により生物汚泥は酸化分解
されて、BOD成分に変換される。
【0021】オゾン処理するオゾン処理装置としては、
汚泥含有液中の汚泥にオゾンを接触させて酸化反応させ
るためのオゾン処理槽、およびオゾン処理液を曝気槽に
返送する手段を有している装置であればどのような構成
の装置でも使用することができる。オゾン処理槽内で汚
泥が沈降しやすい場合、または浮上する汚泥に比べて沈
降する汚泥が多い場合には、汚泥含有液とオゾン含有ガ
スとは並流で接触させるようにするのが好ましく、これ
により汚泥とオゾンとの接触効率がよくなる。一方、オ
ゾン処理槽内で汚泥が浮上しやすい場合、または沈降す
る汚泥に比べて浮上する汚泥が多い場合には、向流で接
触させるようにするのが好ましく、これにより接触効率
がよくなる。
【0022】オゾン処理槽にオゾン含有ガスを吹込んで
オゾン処理を行うと発泡が生じるが、この発泡によるト
ラブルを防止するために、オゾン処理槽内に消泡用の液
散布手段を設けることができる。液散布手段としては、
オゾン処理槽内の汚泥を含む槽内液を引抜いて、この引
抜液を消泡用水としてオゾン処理槽内の液面に散布する
ように構成された装置が好ましい。
【0023】またオゾン処理槽として、槽の下部に液相
の汚泥含有液にオゾン含有ガスを吹込んで気液接触させ
る液相接触域が形成され、その上部に発泡した泡沫とオ
ゾン含有ガスとを接触させる泡沫接触域が形成されるよ
うに構成されたオゾン処理槽を使用すると、オゾン処理
効率はさらに高くなる。液相接触域の高さは0.2〜3
m、好ましくは0.5〜1.5mとする。泡沫接触域の
高さは液相接触域の汚泥含有液の液面より1m以上の高
さであればよいが、好ましくは1〜10m、さらに好ま
しくは2〜5mの高さとする。
【0024】泡沫接触域には泡沫保持部材を充填するこ
とができ、これによりオゾン処理槽の内径が大きくて泡
が保持されにくい場合、または生物汚泥の濃度が低くて
汚泥含有液が発泡しにくい性状である場合などでも、泡
沫を効率よく保持することができ、オゾン処理効率を高
くすることができる。泡沫保持部材としては、泡沫を保
持できる構造のものであればよいが、ハニカム状、格子
状などの仕切板構造のものが好ましい。
【0025】オゾン処理槽内の泡沫接触域の上部に前記
液散布装置を設けて、工業用水、最終処理液、オゾン処
理槽からの引抜液、または引抜液と被処理液との混合液
などを泡沫層に向けて散布することができ、これにより
過剰な発泡を抑制して、泡沫接触域を所定の高さに維持
することができる。この場合、引抜液または引抜液と被
処理液との混合液を使用すると、槽内液の汚泥濃度が低
下せず、またノズル等の閉塞が発生しないので好まし
い。オゾン処理槽の泡沫接触域は泡沫で満たされるだけ
なので、槽内を被処理液で満たす装置に比べてオゾン処
理槽の強度は小さくてもよくなり、それだけ低コストの
オゾン処理装置となる。
【0026】オゾン処理槽では汚泥がオゾンと反応して
酸化分解され、BOD成分に変換される。このとき一部
難生物分解性成分が生成するため、これをそのまま多量
に曝気槽に返送して好気性生物処理を行うと汚泥の活性
が低下するが、本発明では曝気槽の汚泥返送部における
返送汚泥に対するオゾン処理汚泥の返送量を1/2以下
にするように返送することにより、汚泥の活性を維持す
る。このようにオゾン処理した汚泥を好気性生物処理工
程の曝気槽に導入して好気性生物処理を行うことによ
り、オゾン処理によってBOD化した易生物分解性成分
は容易に生物分解されて除去される。また難生物分解性
成分も、汚泥が活性を維持するため少しずつ分解されて
除去される。これにより高処理水質が得られるととも
に、系全体から排出される汚泥の量が低減する。
【0027】好気性処理工程では、オゾン処理に供給す
る汚泥の供給量および系外に排出する余剰汚泥の排出量
を制御して、曝気槽内の生物汚泥のVSS/SS比およ
びMLVSSを所定値に維持することにより、生物処理
性能を低下させることなく、余剰汚泥の減容化を行うと
ともに、曝気槽内の生物汚泥の沈降性および脱水性を改
善することもできる。これにより、固液分離装置におけ
る分離操作が容易となり、また生成する余剰汚泥の脱水
処理も容易になる。すなわち、曝気槽内の生物汚泥のV
SS/SS比を0.2〜0.7、好ましくは0.3〜
0.6、MLVSSを500〜10000mg/l、好
ましくは1000〜5000mg/lに維持するように
制御することにより、汚泥の沈降性および脱水性を改善
することができる。一般的傾向としてVSS/SS比が
小さくなるほど汚泥の比重が高くなり、沈降性、脱水性
がよくなる。
【0028】本発明における汚泥減容化の原理を図を用
いて説明する。図1は汚泥減容化の原理を説明するため
の模式図である。図において、1は好気性生物処理系、
2はオゾン処理系である。好気性生物処理系1は、活性
汚泥処理装置のように、有機性排液を生物汚泥と接触さ
せて好気的に分解する処理系であり、曝気槽と固液分離
装置とが別々に設けられるが、これらを含めた全体の処
理系として図示されている。オゾン処理系2は分離汚泥
から引抜かれる引抜汚泥にオゾン含有ガスを反応させ、
酸化分解してBODに変換するオゾン処理槽を有する。
【0029】図1の好気性生物処理系1には、好気性生
物処理を行うために一定量の生物汚泥3aが保持されて
いる。このような好気性生物処理系1に被処理液4を導
入して好気性生物処理を行うと、被処理液4に含まれる
BODは生物汚泥3aに同化され、その増殖により新た
に生成汚泥3bが生成する。一方、系内の生物汚泥3a
は自己分解により、自己分解分3cが消失する。従って
定常状態では、生成汚泥3bと自己分解分3cの差が増
殖汚泥3dとして増殖する。
【0030】増殖汚泥3dを余剰汚泥としてオゾン処理
系2で処理する場合を、図1に破線5で示しているが、
増殖汚泥3dをオゾン処理して好気性生物処理系1に戻
すと、オゾン処理により生成するBODが汚泥に転換し
て、別の生成汚泥3eが生成し、この分が実質的な汚泥
増殖分となり、余剰汚泥として排出されなければならな
い。これに対し、増殖汚泥3dよりも多い量の引抜汚泥
3fを好気性生物処理系1から引抜き、オゾン処理系2
でオゾン処理してBODに転換し、オゾン処理汚泥6を
好気性生物処理系1に戻すことにより、オゾン分解で生
成したBODから別の生成汚泥3gが生成する。この場
合、引抜汚泥3fと生成汚泥3gの差が無機化部分3h
となる。
【0031】ここで増殖汚泥3dよりも多い量の引抜汚
泥3fをオゾン処理してBODに転換することにより、
増殖汚泥3dのみをオゾン分解する場合よりも、無機化
部分が多くなり、汚泥減容化率は高くなる。増殖汚泥3
dと無機化部分hが等しくなるように、引抜汚泥3fの
量を決めると、余剰汚泥は実質的にゼロになる。増殖汚
泥3dが無機化部分3hより多い場合は、その差が実質
的な増加部分3iとなり、余剰汚泥7として系外に排出
される。8は好気性生物処理系1の処理液である。
【0032】上記好気性生物処理系1における曝気槽容
量をV、その生物汚泥濃度をX、汚泥収率をY、被処理
液流量(処理液流量)をQ、被処理液の有機物濃度をC
i、処理液の有機物濃度をCe、生物処理された有機物
濃度を(Ci−Ce)、汚泥自己分解定数をKd、余剰
汚泥排出量をq、オゾン処理槽への引抜量をQo、オゾ
ン処理された汚泥が生物汚泥に再変換された割合をkと
すると、物質収支は次の〔1〕式で表される。
【数1】 V dX/dt=Y Q (Ci−Ce) −V Kd X−q X−QoX+k QoX 〔1〕
【0033】〔1〕式において、V dX/dtは好気性生物
処理系1における生物汚泥3aの変化量、Y Q (Ci−Ce)
は生成汚泥3bの量、V Kd Xは自己分解分3cの量、q
Xは余剰汚泥7の排出量、QoXは引抜汚泥3fの量、k Q
oXは生成汚泥3gの量を示している。ここでQ (Ci−Ce)
/V=LV(槽負荷)、q/V=1/SRT(余剰汚泥滞留時間
比)、Qo/V=θ(オゾン処理系への生物汚泥の循環
比)、(1−k)=δ(無機化率)とおくと、定常状態
では、〔1〕式は次の〔2〕式のように簡略化される。
【数2】 Y LV/X=Kd+1/SRT+δθ 〔2〕
【0034】オゾン処理系2が存在しない通常の好気性
生物処理系では、〔2〕式の第3項(δθ)がないの
で、汚泥負荷を一定としたとき第2項で余剰汚泥(X/S
RT)が決定される。これに対してオゾン処理を組合せた
処理系では、〔2〕式から明らかなように、第3項の値
により余剰汚泥が減容化する。そして第3項の値が第2
項の値に匹敵するような条件下では、余剰汚泥を排出し
なくても(1/SRT=0)、汚泥負荷を通常の値に設定
することが可能である。
【0035】前記〔2〕式の第3項のパラメータは無機
化率δと循環比θであるが、このうちδは汚泥に対する
オゾン注入率が0.01g−O3/g−VSS以上で
は、0.5付近の定常値になるため、この領域では汚泥
の見かけの減容化率はθに比例して決定される。一方、
循環比θは、0.5day-1程度までは汚泥活性に影響
を与えない。このことは1日あたり、好気性生物処理系
1に保持された生物汚泥3aの1/2以下を引抜汚泥3
fとしてオゾン処理系2に循環しても、好気性生物処理
系1の汚泥活性が維持されることを意味している。
【0036】従って、循環比θの上限は0.5day-1
とされる。θがゼロの場合は完全酸化方式となるが、こ
の場合低汚泥負荷であるとともに、減容効果も小さい。
また引抜汚泥3fが増殖汚泥3dと同量の場合は、従来
法と同様な値の減容率となる。通常の好気性生物処理で
は、SRTは10日、汚泥引抜率は0.1day-1であ
る。本発明において、増殖汚泥3dより多い引抜汚泥3
fを循環すると、循環比θの下限は0.1day-1を超
える値とされるが、0.2day-1以上とするのが好ま
しく、特に0.3day-1とすると、余剰汚泥が発生し
ない100%減容化が可能となる。
【0037】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。図2
は実施例の好気性処理装置を示すフローシートである。
図2において、好気性処理系1は曝気槽11および固液
分離装置12から構成されている。曝気槽11には被処
理液路13、汚泥返送路14および処理液返送路15が
連絡し、また底部には散気装置16が設けられて、空気
供給路16aが連絡している。曝気槽11から固液分離
装置12に連絡路17が連絡している。固液分離装置1
2には、処理液路18および分離汚泥排出路19が連絡
し、分離汚泥排出路19から汚泥返送路14が分岐して
いる。20は必要により設けられる余剰汚泥排出路であ
る。
【0038】オゾン処理系2はオゾン処理槽21を有す
るオゾン処理装置から構成され、オゾン処理槽21に
は、汚泥引抜路23および排オゾン路24が上部に連絡
している。汚泥引抜路23には、無機酸供給路25が連
絡している。またオゾン処理槽21の下部にはオゾン供
給路26が連絡し、またオゾン処理汚泥路27が曝気槽
11に連絡している。
【0039】図2の処理装置による有機性排液の好気性
生物処理方法は、被処理液路13から有機性排液を曝気
槽11に導入し、汚泥返送路14から返送される返送汚
泥および曝気槽11内の活性汚泥と混合し、空気供給路
16aから供給される空気を散気装置16から散気して
好気性生物処理を行う。これにより排液中の有機物は生
物酸化反応によって分解される。曝気槽11内の混合液
(反応液)の一部は連絡路17を通して固液分離装置1
2に導入し、沈降分離により分離液と分離汚泥とに分離
する。分離液の一部は処理液として処理液路18から系
外に排出し、他の一部は処理液返送路15から曝気槽1
1の上流側に返送する。分離汚泥は分離汚泥排出路19
から取出し、その一部は返送汚泥として汚泥返送路14
から曝気槽11の上流側に返送し、場合によっては一部
は余剰汚泥として余剰汚泥排出路20から系外に排出す
る。
【0040】分離汚泥の一部を引抜汚泥として汚泥引抜
路23から引抜き、この引抜汚泥に無機酸供給路25か
ら無機酸を加えてpHを5以下に調整した後、オゾン処
理槽21に導入する。オゾン処理槽21では、汚泥にオ
ゾン供給路26から供給されるオゾンを接触させてオゾ
ン処理を行い、汚泥をBOD化する。この場合、オゾン
注入率は0.005〜0.02g−O3/g−VSS程
度でよい。オゾン排ガスは排オゾン路24から系外に排
出する。
【0041】オゾン処理液はオゾン処理汚泥路27から
曝気槽11に戻し、負荷として好気性生物処理する。こ
のようにオゾン処理汚泥を曝気槽11に戻して好気性生
物処理することにより、オゾン処理により変換されたB
OD成分が微生物に資化され、分解除去される。これに
より好気性処理系1から生じる余剰汚泥が減容化する。
【0042】本発明では汚泥引抜路23から引抜く引抜
汚泥(オゾン処理汚泥)の量を汚泥減容率に対応する一
定量Qoとし、この引抜汚泥Qoの2倍以上の汚泥返送量
Qrの汚泥を返送するために、処理液返送量Qwの処理液
を返送する。被処理液流入量および処理液排出量をQ、
曝気槽汚泥濃度(mg/l)をX、分離汚泥濃度(mg
/l)をXr、汚泥収率(g−VSS/g−BOD)を
Y、被処理液BOD濃度(mg/l)をCiとし、処理
液返送量Qwおよび余剰汚泥量qがゼロの場合、すなわ
ち減容率100%の場合のオゾン処理汚泥量Qoは次の
ようにして算出される。
【0043】
【数3】 QoXr=3CiQY 〔3〕 〔3〕式における係数3は、オゾン処理した汚泥の1/
3が減容化されるため、3倍量をオゾン処理する必要が
あることを示す。〔3〕式によりオゾン処理汚泥量(引
抜汚泥量)Qoは次の〔4〕式で表される。
【数4】 Qo=3CiQY/Xr 〔4〕
【0044】一方、固液分離槽における汚泥バランスは
次の〔5〕式で表される。
【数5】 Xr=X(Q+Qr+Qo)/(Qr+Qo) 〔5〕 上記〔4〕式および〔5〕式より、次の〔6〕式が得ら
れる。
【数6】 Qr=(X/(Xr−X)−3CiY/Xr)Q 〔6〕 またQr+Qo=Qr+oとおくと、〔5〕式より次の
〔7〕式が得られる。
【数7】 Qr+o=XQ/(Xr−X) 〔7〕 ここでY、X、Xr、Qが一定値とすると、QrおよびQ
oとCiとの関係は図3のようになる。
【0045】図3に示すように、Qr+o(返送汚泥量Qr
+オゾン処理汚泥量Qo)はCiにかかわらず一定値とな
り、QrはCiの増加に応じて減少し、QoはCiの増加に
応じて増大する。このため被処理液濃度Ciが高くなる
に従って、オゾン処理汚泥量(引抜汚泥量)が多くな
り、返送汚泥量を多くできないことがわかる。Coはオ
ゾン処理汚泥Qoが返送汚泥量Qrの1/2になる濃度を
示しており、被処理液BOD濃度Ciをこの濃度以下に
することにより、処理が可能なことを示している。
【0046】本発明ではこのために処理液返送量Qwを
返送するが、この場合処理液Qwの返送により被処理液
が希釈されてCo以下の濃度となるような返送量を選択
する。このQwは次のようにして導かれる。まずQoをQ
rの1/2とする条件は次の〔8〕式で表される。
【数8】 Qo/(Qr+Qo)=1/3 〔8〕 前記〔5〕式と〔8〕式からQwは次の
〔9〕式で表さ
れる。
【数9】 Qw=3Qo(Xr/X−1)−Q
〔9〕 前記〔4〕式と
〔9〕式から、被処理水によって決まる
X、Xr、Ciを決定すると、QwはQの関数として得ら
れる。
【0047】図4および図5はそれぞれ他の実施例を概
略的に示す系統図である。図4では曝気槽11を第1段
11a、第2段11b…に分割し、末端側から混合液返
送路28によりQmの混合液を上流側の第1段11aに
返送するように構成されている。ここでは第1段に返送
される返送混合液Qmおよび返送汚泥Qrに含まれる汚泥
の合計量に対するオゾン処理汚泥Qoが1/2以下にな
るように混合液を返送する。混合液は固液分離前のもの
であり、これを返送することは固液分離後の処理液と汚
泥を返送するのと同じことになるから、図2の場合と同
様の希釈効果が得られる。このため汚泥返送部しての第
1段11aにおける返送汚泥とオゾン処理汚泥のバラン
スが保たれ、汚泥活性が維持され、高処理水質が得られ
る。
【0048】図4の処理における汚泥返送量Qrは前記
〔6〕式で決定され、図2の場合と同様である。そして
汚泥返送部における返送汚泥と返送混合液に含まれる汚
泥に対するオゾン処理汚泥を1/2以下にする場合の混
合液返送量Qmは以下のようにして算出される。
【数10】 Qo Xr/〔(Qr+Qo)Xr+QmX〕=1/3 〔10〕
【数11】 Qm=Xr(2Qo−Qr)/X 〔11〕 従ってQo、Qrが決まれば〔11〕式からQmは決ま
る。
【0049】図5では汚泥返送部としての第1段11a
におけるオゾン処理量の返送量Qo1を返送汚泥Qrの1
/2にし、残部Qo2を第2段11b以下にステップ返送
する。これにより全体における返送汚泥に対する返送オ
ゾン処理汚泥の割合を低くして汚泥の活性を維持する。
この場合の汚泥返送量Qrは前記〔6〕式で決定され
る。オゾン処理汚泥の分離条件は以下のようにして決め
られる。
【数12】 Qo1/(Qr+Qo1)=1/3 〔12〕
【数13】 Qo1=Qr/2 〔13〕 従ってQo1はQrの1/2となるように第1段11aに
返送し、残部は後段に返送する。
【0050】以下、図2の方法による試験例について説
明する。 実施例1〜2、比較例1〜2 BOD2000mg/l、水量(Q)167liter/d
ayの医薬製造排水を、図2の方法で好気性処理を行っ
た。ここで図2の曝気槽11として500liter容の曝
気槽を用い、BOD槽負荷0.67kgBOD/m3
day、MLSS3000mg/l、曝気槽HRT3日
で好気性処理を行い、固液分離により10000mg/
lの分離汚泥を得、これを一定量(0.2Q)オゾン処
理し、残部を返送した。オゾン処理におけるオゾン注入
率は、0.05g−O3/g−VSSである。この処理
において処理液返送量を表1のように変えてオゾン処理
汚泥Qoと返送汚泥Qrの割合を変えた。結果を表1に示
す。
【0051】
【表1】
【0052】以上の結果より、汚泥返送量Qrに対する
オゾン処理汚泥量Qoを1/2以下とすることにより、
難分解性のCODが分解され、処理液CODが一定とな
ることがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、曝気槽の汚泥返送部に
おける返送汚泥に対するオゾン処理汚泥の返送量が1/
2以下となるように処理液、混合液またはオゾン処理汚
泥を返送するようにしたので、汚泥の減容化を行うこと
ができるとともに、オゾン処理汚泥による汚泥活性の阻
害を防止し、高い汚泥活性を維持して生物分解を行うこ
とができ、これにより処理水質の悪化を防止して高処理
水質を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】汚泥減容化の原理を説明するための模式図であ
る。
【図2】実施例の好気性処理装置を示す系統図である。
【図3】被処理液BOD濃度と返送汚泥量およびオゾン
処理汚泥量の関係を示すグラフである。
【図4】他の実施例の好気性処理方法を概略的に示す系
統図である。
【図5】さらに他の実施例の好気性処理方法を概略的に
示す系統図である。
【符号の説明】
1 好気性処理系 2 オゾン処理系 3a 活性汚泥 3b,3e,3g 生成汚泥 3c 自己分解分 3d 増殖汚泥 3f 引抜汚泥 3h 無機化部分 3i 増加部分 4 被処理液 6 オゾン処理汚泥 7 余剰汚泥 8 処理液 11 曝気槽 12 固液分離装置 13 被処理液路 14 汚泥返送路 15 処理液返送路 16 散気装置 16a 空気供給路 17 連絡路 18 処理液路 19 分離汚泥排出路 20 余剰汚泥排出路 21 オゾン処理槽 23 汚泥引抜路 24 排オゾン路 25 無機酸供給路 26 オゾン供給路 27 オゾン処理汚泥路 28 混合液返送路
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性排液を曝気槽に導入して、好気性
    微生物を含む生物汚泥の存在下に好気性生物処理する好
    気性生物処理工程と、 曝気槽の混合液を固液分離し、分離液を処理液として排
    出し、分離汚泥の少なくとも一部を曝気槽に返送する固
    液分離工程と、 分離汚泥の一部を引き抜いてオゾン処理するオゾン処理
    工程と、 オゾン処理汚泥を曝気槽に返送する返送工程とを含み、 曝気槽の汚泥返送部における返送汚泥に対するオゾン処
    理汚泥の返送量が1/2以下となるように、処理液、混
    合液またはオゾン処理汚泥を返送することを特徴とする
    有機性排液の好気性処理方法。
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