JPH08155190A - 洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外水槽を無くすことによって、外水槽に必要
だった材料を低減するとともに、洗濯機の軽量化を図
る。 【構成】 上部に衣類投入口４ａを有する洗濯機におい
て、洗濯槽４の周壁内面を下方へ向かうほど大径となる
ような逆テーパ面状に形成し、パルセータ回転軸７を中
空とし、この回転軸に排水口８を設け、排水口８、中空
回転軸７を順次連結して排水経路を形成し、この排水経
路から排水できるようにすることで、従来の外水槽を省
いた洗濯機。 【効果】 外水槽に必要だった材料を低減することがで
き、且つ、洗濯機の軽量化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、脱水槽を兼用した洗濯
槽を備えた全自動洗濯機に代表される脱水機能付一槽式
洗濯機に係り、特に洗濯槽の構造の改良に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】例えば全自動洗濯機においては、通常、
外槽内に防振機構を介して吊り下げ支持された水槽を備
え、この水槽内に脱水槽を兼ねた洗濯槽が設けられた二
重構造となっており、一度、洗濯槽内に衣類等の洗濯物
を投入し、適宜、入力装置のキースイッチを操作すれ
ば、洗濯機に内蔵のマイクロコンピュータの制御によ
り、給水、洗い、すすぎ及び脱水の各工程をその順序で
自動的に実行するように構成されている。

【０００３】また、上記洗濯槽は、従来、側壁を貫通す
る複数の脱水孔を設けた円筒タイプのものと、側壁に脱
水孔を設けず、槽の内径を下方から上方に向かって拡大
させたテーパ状に形成したコーンタイプのものとの大別
して２種類のものが知られている。

【０００４】図９は従来の一槽式全自動洗濯機の機械的
構成の一例を示している。なお、この図においては、前
記コーンタイプの洗濯槽４を実線で示し、円筒タイプの
洗濯槽４’を想像線で示すことにより、２種類の洗濯槽
の動作説明の用に供するようにしている。

【０００５】図９に示す従来の洗濯機では、洗いモード
においては、駆動源であるモータ１５からモータプーリ
１８、ベルト２０、軸プーリ１９によってパルセータ回
転軸７を回転し、洗濯槽４、４’の内底部に設置したパ
ルセータ６を回転して洗濯槽４、４’内の水(以下洗濯
水と呼ぶ)に旋回流を与えている。衣類は洗濯水に溶け
ている洗剤の洗浄力と旋回流によって生じる洗濯水と衣
類繊維との摩擦によって生じる摩擦力と、繊維表面での
洗濯水の入れ替わりと、さらには衣類とパルセータ６及
び洗濯槽４、４’の側壁との間の相対速度差によって生
じる機械的摩擦力との相乗効果によって洗浄される。

【０００６】また、すすぎモードにおいても、洗いモー
ドと同様の方式で、パルセータ６を駆動させた状態で、
図示しない給水口から水道水を補給しながら、排水弁１
１から排水することにより、すすぎを行う。なお、上記
した洗いモード及びすすぎモードでは布の絡みを防止す
るために、ある一定間隔でモータ１５の回転方向を切り
替え、パルセータ６が一定周期で正転、逆転を繰り返す
ようにしている。

【０００７】洗いモード、すすぎモードに対し、脱水モ
ードではクラッチ１６により洗濯槽軸１３とパルセータ
回転軸７を機械的に結合し、洗濯槽４、４’を高速回転
させるようにしている。この場合、円筒タイプの洗濯槽
４では、側壁に設けた複数の脱水孔２９から該洗濯槽４
の回転によって生じる遠心力により外水槽３０に水分を
排出する。一方、コーンタイプの洗濯槽４’では、遠心
力を受けた水分が側壁を上部へ誘導され、該洗濯槽４’
のが上方に設けた図示しない排水口から外水槽３０へ排
出される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来構成においては次のような問題点があった。
すなわち、円筒タイプの洗濯槽４’の場合、側壁に脱水
孔２９が設けられているため、洗いモードやすすぎモー
ドにおいて、外水槽３０にも水を満たす必要があり、必
要最小限の洗濯水よりもかなり多量の水が必要となり、
節水対策を行ううえで不利であった。

【０００９】また、脱水孔２９を設ける必要をなくした
コーンタイプの洗濯槽４の場合、外水槽３０に水を満た
す必要はない点で有利であるが、脱水モード時に洗濯槽
４から排出される水分を受け止める用途を実現するため
だけの目的で、洗濯槽４の上部に達する高さの外水槽３
０が必要となる。したがって、このような大型の外水槽
３０の場合、構成材料として多量の素材を必要とするこ
とになるため、不経済であるだけでなく、洗濯機自体の
重量が嵩むという問題点があった。

【００１０】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、脱水槽を兼用する洗濯槽の形状を工夫し
て、大型の外水槽を不要とした構造を実現することによ
り、外水槽の構成材料を低減するとともに軽量化を図っ
た洗濯機を提供することを目的とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の技術的手段は、上端に衣類投入口が開口する
有底筒形状の洗濯槽を備え、この洗濯槽をその中心軸回
りに高速回転駆動することによって発生する遠心力で該
洗濯槽内の衣類の脱水を可能とした洗濯機において、前
記洗濯槽の周壁内面を下方へ向かうほど大径となるよう
な逆テーパ面状に形成し、さらにこの洗濯槽に槽内貯留
水圧に抗して閉じ且つ前記遠心力の発生によって開く排
水手段を設けたものとする。

【００１２】前記排水手段としては、洗濯槽の周壁下部
に排水孔を形成するとともに、この排水孔にバネ及び弁
体により構成された遠心排水弁を内装し、この遠心排水
弁により前記排水孔を前記洗濯槽内の貯留水圧に抗して
閉じ、且つ、前記遠心力の発生によって開くように構成
したものが挙げられる。また、より好ましくは各排水孔
のほぼ直上の洗濯槽周壁部位から回転方向下流側で隣り
合う次の排水孔の開口部間に亙る洗濯槽周壁上に、それ
ぞれ洗濯槽の径方向外方に凹入する排水誘導溝を形成す
る。

【００１３】あるいは前記排水手段の他の構成として
は、洗濯槽の下方に突出する前記パルセータの回転軸を
中空軸により形成し、該パルセータ回転軸の前記洗濯槽
内に臨む上端周壁部に排水口を設け、この排水口の前記
パルセータ回転軸の回転方向に沿う後縁部に該回転軸の
法線方向から回転方向に対して90°以内の角度を持つブ
レードを設けるとともに、前記パルセータ回転軸を洗濯
機の外部に開口する排水管と連通連結し、さらに前記排
水口、パルセータ回転軸及び排水管により構成される排
水経路中に排水弁を配設したものが挙げられる。

【００１４】

【作用】上記のように洗濯槽の周壁内面を下方へ向かう
ほど大径となるような逆テーパ面状に形成することによ
り、脱水モードにおいて、洗濯槽内の水分は洗濯槽の回
転時に発生する遠心力により該洗濯槽の周壁内面を下方
に向かって流下する。この下方に向かって流れる水分
は、洗濯槽の底部に設けた遠心排水弁が遠心力によって
開くことにより流出する。この場合、排水誘導溝を有す
るものでは、洗濯槽の周壁内面よりも中心からの半径が
増加するので、遠心力はこの半径増加分だけ溝において
大きくなり、排水が容易となる。

【００１５】また、パルセータ回転軸に設けた排水口の
回転軸の回転方向に沿う後縁部に回転軸の法線方向から
回転方向に対して90°以内の角度を持つブレードを設け
たものでは、このブレードによってパルセータ回転軸回
りの脱水した水を掻き取ることによって、排水経路に脱
水した水を送出し、この排水経路に設けた排水弁を開く
ことによって排水することができる。

【００１６】以上、いずれの構成においても、外水槽を
省くことができ、例えば、外水槽に代えて排水を受ける
ドレン受板や洗濯槽の支持部材程度の比較的軽量で嵩張
らない部品を付加するだけで、洗濯機の機械的構成の主
要部を構成することが可能になる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。図１及び図２は本発明の第１実施例に係る全
自動洗濯機を示し、図１は全体構成を示す断面図、図２
は排水孔及びその周辺の拡大図である。図１において、
１は浅底に形成されたドレン受板であって、洗濯機の外
殻を構成する外槽２内に防振支持機構３によって吊り下
げ支持されている。４は洗濯槽であって、ドレン受板１
の上方で該ドレン受板１に底部を囲まれた形で配設され
ている。また、この洗濯槽４は上端にリング状のバラン
サ５が設けられた衣類投入口４ａが開口する有底筒形状
に形成されており、該洗濯槽４の内底部中央に臨んでパ
ルセータ６が配設されている。

【００１８】パルセータ６の回転軸７は中空軸体により
形成されており、その洗濯槽４内に臨む上端周壁部には
複数の排水口８が設けられている。また、このパルセー
タ回転軸７は洗濯槽４の下方に突出しており、その下端
部は回転カップラ９を介して洗濯機の外部に開口する排
水管１０と連通接続されている。なお、回転カップラ９
は周知のように排水管１０に対して中空回転軸７を回転
自在に接続した状態で両者１０、７間を水密シールする
機能を有している。この排水管１０はパルセータ回転軸
７とともに、前記排水口８から始まり外部に開放する排
水経路を構成するもので、パルセータ回転軸７からの流
路上に排水弁１１を配設してあるとともに、ドレン受板
１の底部から下方に延びるドレン排水管１２と合流して
いる。

【００１９】一方、洗濯槽４をその中心軸回りに回転さ
せるための洗濯槽軸１３は該洗濯槽４の外底部に直結さ
れており、スラスト軸受１４によって回転自在に支持さ
れている。１５は駆動源であるモータ、１６はクラッ
チ、１７はベルト−プーリ動力伝達機構であって、いず
れもドレン受板１の外底部側に配設されている。

【００２０】ベルト−プーリ動力伝達機構１７はモータ
１５の駆動軸に取り付けられたモータプーリ１８と、パ
ルセータ回転軸７に取り付けられた軸プーリ１９間にベ
ルト２０を架け渡してなるもので、モータ１５の回転を
パルセータ回転軸７に伝達する。また、クラッチ１６は
パルセータ回転軸７と洗濯槽軸１１との機械的結合及び
切離しを行う。なお、２１は外槽２の上端開口部を開閉
する蓋である。

【００２１】前記洗濯槽４は従来の一槽式洗濯機におけ
る洗濯槽のような多数の小さな排水孔を設けたものでは
なく、有底無孔筒体からなる周壁の内面を下方へ向かう
ほど大径となるような逆テーパ面状に形成したもので、
底部には槽内貯留水圧に抗して閉じ且つ遠心力の発生に
よって開く排水手段を設けている。

【００２２】この排水手段としては、例えば図２に示す
ようなものが考えられる。すなわち、洗濯槽４の周壁下
部に、下方側ほど外側へ向かうように傾斜する排水孔２
２を周方向に一定間隔をおいて複数設け、これらの排水
孔２２内にバネ２３及び弁体２４により構成された遠心
排水弁２５を内装し、該遠心排水弁２５により排水孔２
２を洗濯槽４内の貯留水圧に抗して閉じ、且つ、遠心力
の発生によって開くように構成する。

【００２３】上記構成を備えた洗濯機では、洗いモード
においては、従来と同様の形態の洗濯を行うことができ
る。すなわち、モータ１５の駆動力をモータプーリ１
８、ベルト２０、軸プーリ１９を経て中空のパルセータ
回転軸７に伝達し、洗濯槽４の底面に設置したパルセー
タ６を高速回転駆動して洗濯槽４内の洗濯水に旋回流を
与えている。洗濯槽４内に投入された衣類は洗濯水に溶
けている洗剤の洗浄力と、旋回流によって生じる洗濯水
と衣類繊維の摩擦力と、繊維表面での洗濯水の入れ替わ
りと、さらには衣類とパルセータ６及び洗濯槽４の周壁
内面との間の相対速度差による機械的摩擦力の相乗効果
によって洗浄される。

【００２４】また、すすぎモードにおいては、洗いモー
ドと同様の方式でパルセータ６を駆動しながら図示しな
い給水口から水道水を補給しながらすすぎを行うことが
できる。この場合、パルセータ６の中空回転軸７に設け
た排水口８に始まる排水経路中の排水管１０に介装され
た排水弁１１を開くことによって、洗濯槽４内の水は排
水口８から中空回転軸７、回転カップラ９、排水弁１１
及び排水管１０を順次経由して、外部へ排出される。

【００２５】脱水モードでは、クラッチ１６により洗濯
槽軸１３をパルセータ回転軸７に機械的に結合し、モー
タ１５の駆動力により洗濯槽４を高速回転駆動する。こ
のとき、洗濯物Ｗに含まれていた水分は遠心力によって
矢印ａで示すように、洗濯槽４の周壁内面方向に向かっ
て流れる。洗濯槽４の周壁内面に到達した水分は矢印ｂ
で示すように、逆テーパ状の周壁内面に沿って洗濯槽４
の下部の方向に押し出される。洗濯槽４の下部に押し出
された水分は図１及び図２の矢印ｃで示すように、排水
孔２２へと向かい、さらに該排水孔２２から洗濯槽４の
下部に設けられているドレン受板１に至り、ドレン受板
１の底部に設けられたドレン排水管１２から洗濯機外部
へと排出される。

【００２６】図２において、洗い、すすぎ時など、洗濯
槽４が停止している場合には、遠心排水弁２５に遠心力
が働かないため、洗濯槽４内に溜められた洗濯水の背水
圧より強いバネ２３の圧縮力より遠心排水弁２５は図中
の破線で示すように、上方に押し付けられる。これに対
し脱水時には、遠心排水弁２５に洗濯槽４が高速回転す
ることによって生じる遠心力が働くため、この遠心力が
バネ２３の圧縮力より大きくなると、弁体２４によって
閉じられていた排水経路が開き、図中の実線で示すよう
に、弁体２４の周囲から脱水した水を排出することがで
きる。

【００２７】図３及び図４は本発明の第２実施例に係る
全自動洗濯機を示し、図３は全体構成を示す断面図、図
４は排水孔及びその周辺の拡大図である。なお、本実施
例において前記第１実施例と構成が共通する部分には共
通の符号を付すこととし、さらに作用が共通する部分は
重複を避けるためその説明を省略する。本実施例では、
洗濯槽４は有底無孔筒体からなる周壁の内面を下方へ向
かうほど大径となるような逆テーパ面状に形成してお
り、洗濯槽４の周壁内面の延長上に遠心排水弁２５が内
装された複数の排水孔２２を設けている。

【００２８】この排水孔２２は前記第１実施例のものと
同様の作動を行い、洗濯槽４の高速回転にって生じる遠
心力によって弁体２４を開放し、洗濯槽４内の水を排水
することができる。すなわち、図４にその詳細を示すよ
うに、脱水時において、洗濯物Ｗから脱水された水分は
洗濯槽４の周壁内面に沿って降下する。このとき、遠心
排水弁２５に遠心力が作用し、この遠心力がバネ２３の
圧縮力より大きくなれば閉じられていた排水経路が開
き、図中の実線で示すように、弁体２４と排水管路間に
生じた隙間から、脱水した水を排出することができる。

【００２９】このように洗濯槽４の周壁内面の延長上に
排水孔２２を設けることによって、該周壁内面に沿って
降下する水分は、自然に排水孔２２に導かれるので、排
水作用が前記第１実施例の場合よりも容易且つスムーズ
に行われる。また、排水孔２２を水平方向に配設するこ
とにより、洗濯槽４の高速回転によって生じた水平方向
の遠心力が、同方向に配置されている遠心排水弁２５に
容易に作用することとなり、排水がさらに行いやすくな
る。

【００３０】図５は遠心排水弁２５の変形例を示してい
る。前述の図２や図４に示した遠心排水弁２５の構造で
は、洗濯槽４からの背水圧が直接的に遠心排水弁２５に
加わるため、遠心排水弁２５の十分な止水、及び遠心力
による遠心排水弁２５の十分な開成を両立させるための
設計は、困難な条件が伴う。また、バネ２３が排水路中
に露出しているため、排水中に含まれる糸屑等が絡まっ
て作動不良を発生する虞れがある。

【００３１】これらの不都合を解消するために工夫した
ものが、図５に示す遠心排水弁２５の構造であって、背
水圧が遠心排水弁２５の横方向から作用するように、弁
室２６を流路と直交する方向に設け、この弁室２６から
弁体２４が流路を横切って突没するように配設するとと
もに、弁体２４を一端が開口する中空コーン形状に形成
し、該弁体２４及び弁室２６の奥端部間に圧縮バネ２３
を張設してなるものとしている。

【００３２】このような遠心排水弁２５の構成による
と、背水圧が遠心排水弁２５の横方向から作用するた
め、バネ２３の伸張方向の力は遠心排水弁２５を閉成す
るだけの力があればよく、脱水時にはバネ２３の圧縮に
要する力も弱いため、遠心排水弁２５の重量をそれほど
重くしなくてもよい。また、バネ２３は、弁体２４によ
って覆われ、排水孔２２を流れる排水中に露出すること
がないため、糸屑等が絡まって弁体２４の作動を妨げる
こともない。

【００３３】また、弁体２４にテーパを付けるととも
に、先端に丸みをもたせることにより、弁体２４の往復
動するときに壁面と摺接することを回避できるので、動
作が一層スムーズに行われる。この場合、弁体２４の構
成材料として、ジュラコン、ナイロン(商品名)、ポリプ
ロピレン、フッソ樹脂等の潤滑性に優れた材料を選択す
れば、さらに動作を円滑化することができる。

【００３４】図６は本発明の第３実施例に係る全自動洗
濯機における洗濯槽４を示している。なお、本実施例に
おいて前記第１実施例と構成が共通する部分には共通の
符号を付すこととする。本実施例では、洗濯槽４は有底
無孔筒体からなる周壁の内面を下方へ向かうほど大径と
なるような逆テーパ面状に形成しており、洗濯槽４の底
部周縁に第１実施例と同様の遠心排水弁２５が内装され
た複数の排水孔２２を設けている。

【００３５】また、各排水孔２２のほぼ直上の洗濯槽周
壁部位から回転方向下流側で隣り合う次の排水孔２２の
開口部間に亙る洗濯槽周壁上に、それぞれ洗濯槽の径方
向外方に凹入する排水誘導溝２７を形成している。この
排水誘導溝２７は洗濯槽４の周壁内面に臨んで設けられ
ていて、該洗濯槽４の周壁内面よりも洗濯槽中心軸ｇか
らの半径がδｒ分だけ増加するので、洗濯槽４を高速回
転させたときに生じる遠心力は、この半径増加分だけ排
水誘導溝２７において大きくなる。したがって、脱水時
においては、遠心力によって洗濯槽４の周壁内面に沿っ
て降下した水分は排水誘導溝２７に導かれる。

【００３６】一方、排水孔２２では遠心力によって脱水
された水分が排出されており、排水孔２２に臨んで開口
している排水誘導溝２７からも脱水された水分が排水孔
２２に導かれて排出される。したがって、排水誘導溝２
７に到達した水分は順次、排水孔２２から排出されるこ
ととなり、溝のない場合よりも排水が容易となる。ま
た、排水誘導溝２７の奥行を洗濯槽下部の排水孔２２の
上部から次の排水孔２２に至るまで、順次深くするよう
に設定してもよい。

【００３７】図７及び図８は本発明の第４実施例に係る
全自動洗濯機を示し、図７は全体構成を示す断面図、図
８はパルセータ回転軸７に設けられた排水口８及びその
周辺の拡大図である。なお、本実施例において前記第１
実施例と構成が共通する部分には共通の符号を付すこと
とし、さらに作用が共通する部分は重複を避けるためそ
の説明を省略する。本実施例では、洗濯槽４は有底無孔
筒体からなる周壁の内面を下方へ向かうほど大径となる
ような逆テーパ面状に形成している。

【００３８】また、洗濯槽４の底部には排水孔２２及び
ドレン受板１は設けられておらず、中空のパルセータ回
転軸７の洗濯槽４内に臨む上端部に複数の排水口８を設
け、これらの排水口８の回りにブレード２８を設けてい
る。このブレード２８は排水口８のパルセータ回転軸７
の回転方向に沿う後縁部に該回転軸７の法線方向から回
転方向に対して90°以内の角度を有する形で取り付けら
れている。

【００３９】上記構成を備えた洗濯機では、洗いモード
においては、第１実施例と同様の形で洗濯を行うことが
できる。すなわち、モータ１５の駆動力をモータプーリ
１８、ベルト２０、軸プーリ１９を経て中空のパルセー
タ回転軸７に伝達し、洗濯槽４の底面に設置したパルセ
ータ６を高速回転駆動して洗濯槽４内の洗濯水に旋回流
を与えている。洗濯槽４内に投入された衣類は洗濯水に
溶けている洗剤の洗浄力と、旋回流によって生じる洗濯
水と衣類繊維の摩擦力と、繊維表面での洗濯水の入れ替
わりと、さらには衣類とパルセータ６及び洗濯槽４の周
壁内面との間の相対速度差による機械的摩擦力の相乗効
果によって洗浄される。

【００４０】すすぎモードにおいても、第１実施例と同
様の方式でパルセータ６を駆動しながら図示しない給水
口から水道水を補給しながらすすぎを行うことができ
る。この場合、パルセータ６の中空回転軸７に設けた排
水口８に始まる排水経路中の排水管１０に介装された排
水弁１１を開くことによって、洗濯槽４内の水は排水口
８から中空回転軸７、回転カップラ９、排水弁１１及び
排水管１０を順次経由して、外部へ排出される。

【００４１】このとき、パルセータ６は回転しているの
で、中空回転軸７に設けられた排水口８の回転方向に沿
う後縁部に回転軸の法線方向から回転方向に対して90°
以内の角度をもって設けたブレード２８によって洗濯槽
４の底部に溜まった水を掻き集めながら排水を行うこと
ができる。なお、溜めすすぎの場合は、パルセータ回転
軸７の排水弁１１を閉じ、所定の量の水を洗濯槽４に溜
めたうえで、パルセータ６を回転駆動させるようにする
とよい。

【００４２】脱水モードにおいては、クラッチ１６によ
り洗濯槽軸１３をパルセータ回転軸７に機械的に結合
し、モータ１５の駆動力により洗濯槽４を高速回転駆動
する。このとき、洗濯物Ｗに含まれていた水分は遠心力
によって矢印ａで示すように、洗濯槽４の周壁内面方向
に向かって流れる。洗濯槽４の周壁内面に到達した水分
は矢印ｂで示すように、逆テーパ状の周壁内面に沿って
洗濯槽４の下部の方向に押し出される。洗濯槽４の下部
の方向 に押し出された水分は洗濯槽４の底部に溜ま
る。

【００４３】このときパルセータ６も中空回転軸７によ
って回転駆動し続けているため、洗濯槽４の底部に溜ま
った水は各排水口８の回りに設けられたブレード２８に
よって図中の矢印ｄに示すように中心部へと向かい掻き
集められる。掻き集められた水は排水口８に始まり、中
空回転軸７から排水管１０を経由する排水経路に至り、
排水弁１１を開くことによって排水される。このように
洗濯槽４の高速回転中でもブレード２８の近傍の水分は
掻き集められて排水される。

【００４４】また、ブレード２８の近傍ではなく、洗濯
槽４の高速回転によって生じた遠心力により洗濯槽周壁
内面の近傍に集まっている水分も脱水終了近くには、洗
濯槽４の回転数が次第に減少していくことにより、ブレ
ード２８の近傍に集められ、同様に排水される。このよ
うにブレード２８を設けることによって、ブレード２８
がない場合に比べ、容易に排水することが可能となる。

【００４５】この排水構造を図８を参照しながらより詳
しく述べると、パルセータ６の中空回転軸７は反時計回
りに回転しており、該回転軸７に固定したブレード２８
も同方向に回転する。このとき、パルセータ回転軸７の
回りに存在する水は、このブレード２８によって掻き集
められ、排水口８に強制的に誘導される。排水口８に至
った水は中空回転軸７を経て排水される。

【００４６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によるとき
は、洗濯槽の周壁内面を下方へ向かうほど大径となるよ
うな逆テーパ面状に形成することにより、脱水モードに
おいて、洗濯槽内の水分は洗濯槽の回転時に発生する遠
心力により該洗濯槽の周壁内面を下方に向かって流下す
るように構成し、さらにこの洗濯槽に槽内貯留水圧に抗
して閉じ且つ前記遠心力の発生によって開く排水手段を
設けたものとしたので、従来必要とした外水槽を省略す
ることができ、外水槽の作製のために要した材料を不要
または低減することができ、低コスト化を実現すること
ができる。また、外水槽がないので洗濯機の軽量化を図
ることが可能となるなど、従来に見られない優れた効果
を発揮する。

【００４７】また、請求項２によるときは、洗濯槽の周
壁下部に排水孔を形成するとともに、この排水孔にバネ
及び弁体により構成された遠心排水弁を内装し、この遠
心排水弁により前記排水孔を前記洗濯槽内の貯留水圧に
抗して閉じ、且つ、前記遠心力の発生によって開くよう
に構成した排水手段をもうけているので、洗い、すすぎ
時など、遠心力が発生しない洗濯槽の停止時には、遠心
排水弁により排水経路を確実に閉成することができ、洗
濯槽の高速回転によって遠心力が発生する脱水時には、
遠心排水弁がこの遠心力によって開成するので、閉じら
れていた排水経路を開いて、円滑な脱水作用を得ること
ができる。

【００４８】請求項３によるときは、請求項２の構成に
加えて、各排水孔のほぼ直上の洗濯槽周壁部位から回転
方向下流側で隣り合う次の排水孔の開口部間に亙る洗濯
槽周壁上に、それぞれ洗濯槽の径方向外方に凹入する排
水誘導溝を形成しているので、排水誘導溝に到達した水
分は順次、排水孔から排出されることとなり、溝のない
場合よりも排水が容易となる。

【００４９】請求項４によるときは、中空のパルセータ
回転軸の洗濯槽内に臨む上端周壁部に排水口を設け、こ
の排水口のパルセータ回転軸の回転方向に沿う後縁部に
該回転軸の法線方向から回転方向に対して90°以内の角
度を持つブレードを設けるとともに、前記パルセータ回
転軸を洗濯機の外部に開口する排水管と連通連結し、さ
らに前記排水口、パルセータ回転軸及び排水管により構
成される排水経路中に排水弁を配設しているので、ブレ
ードの回転駆動により洗濯槽内の水は中心部へと向かい
掻き集められスムーズに排水される。

【００５０】以上、いずれの構成においても、外水槽を
省くことができ、例えば、外水槽に代えて排水を受ける
ドレン受板や洗濯槽の支持部材程度の比較的軽量で嵩張
らない部品を付加するだけで、洗濯機の機械的構成の主
要部を構成することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１実施例を示す縦断面図。

【図２】 図１におけるＡ部拡大断面図。

【図３】 本発明の第２実施例を示す縦断面図。

【図４】 その遠心排水弁の一例を示す要部拡大断面
図。

【図５】 その遠心排水弁の他の例を示す要部拡大断面
図。

【図６】 本発明の第３実施例における洗濯槽を示す正
面図。

【図７】 本発明の第４実施例を示す縦断面図。

【図８】 そのブレード形成部分を示す平面図。

【図９】 従来例を示す縦断面図。

【符号の説明】

１ ドレン受板 ２ 外槽 ３ 防振支持機構 ４ 洗濯槽 ４ａ 衣類投入口 ５ バランサ ６ パルセータ ７ パルセータ回転軸 ８ パルセータ排水口 ９ 回転カップラ １０ 排水管 １１ 排水弁 １２ ドレン排水管 １３ 洗濯槽軸 １４ スラスト軸受 １５ モータ １６ クラッチ １８ モータプーリ １９ 軸プーリ ２０ ベルト ２２ 排水孔 ２３ バネ ２４ 弁体 ２５ 遠心排水弁 ２６ 弁室 ２７ 排水誘導溝溝 ２８ ブレード

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端に衣類投入口が開口する有底筒形状
   の洗濯槽を備え、この洗濯槽をその中心軸回りに高速回
   転駆動することによって発生する遠心力で該洗濯槽内の
   衣類の脱水を可能とした洗濯機において、前記洗濯槽の
   周壁内面を下方へ向かうほど大径となるような逆テーパ
   面状に形成し、さらにこの洗濯槽に槽内貯留水圧に抗し
   て閉じ且つ前記遠心力の発生によって開く排水手段を設
   けたことを特徴とする洗濯機。
2. 【請求項２】 上端に衣類投入口が開口する有底筒形状
   の洗濯槽を備え、この洗濯槽をその中心軸回りに高速回
   転駆動することによって発生する遠心力で該洗濯槽内の
   衣類の脱水を可能とした洗濯機において、前記洗濯槽の
   周壁内面を下方へ向かうほど大径となるような逆テーパ
   面状に形成し、さらに該洗濯槽の周壁下部に排水孔を形
   成するとともに、この排水孔にバネ及び弁体により構成
   された遠心排水弁を内装し、この遠心排水弁により前記
   排水孔を前記洗濯槽内の貯留水圧に抗して閉じ、且つ、
   前記遠心力の発生によって開くように構成したことを特
   徴とする洗濯機。
3. 【請求項３】 上端に衣類投入口が開口する有底円筒形
   状の洗濯槽を備え、この洗濯槽をその中心軸回りに高速
   回転駆動することによって発生する遠心力で該洗濯槽内
   の衣類の脱水を可能とした洗濯機において、前記洗濯槽
   の周壁内面を下方へ向かうほど大径となるような逆テー
   パ面状に形成し、さらに該洗濯槽の周壁下部に複数の排
   水孔を、それぞれ周方向に間隔を設けて形成するととも
   に、この排水孔にバネ及び弁体により構成された遠心排
   水弁を内装し、この遠心排水弁により前記排水孔を前記
   洗濯槽内の貯留水圧に抗して閉じ、且つ、前記遠心力の
   発生によって開くように構成する一方、各排水孔のほぼ
   直上の洗濯槽周壁部位から回転方向下流側で隣り合う次
   の排水孔の開口部間に亙る洗濯槽周壁上に、それぞれ洗
   濯槽の径方向外方に凹入する排水誘導溝を形成したこと
   を特徴とする洗濯機。
4. 【請求項４】 上端に衣類投入口が開口しているととも
   に内底部にパルセータが配設される有底筒形状の洗濯槽
   を備え、この洗濯槽をその中心軸回りに高速回転駆動す
   ることによって発生する遠心力で該洗濯槽内の衣類の脱
   水を可能とした洗濯機において、前記洗濯槽の周壁内面
   を下方へ向かうほど大径となるような逆テーパ面状に形
   成する一方、該洗濯槽の下方に突出する前記パルセータ
   の回転軸を中空軸により形成し、該パルセータ回転軸の
   前記洗濯槽内に臨む上端周壁部に排水口を設け、この排
   水口の前記パルセータ回転軸の回転方向に沿う後縁部に
   該回転軸の法線方向から回転方向に対して90°以内の角
   度を持つブレードを設けるとともに、前記パルセータ回
   転軸を洗濯機の外部に開口する排水管と連通連結し、さ
   らに前記排水口、パルセータ回転軸及び排水管により構
   成される排水経路中に排水弁を配設したことを特徴とす
   る洗濯機。