JP3585582B2 - 洗濯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯槽内に洗剤及び水を投入し、衣類等の洗濯物を洗濯する全自動洗濯機等の洗濯機に係り、特に節水対策を講じた新規な洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図18は従来技術としての一般的な全自動洗濯機の機械的構成を示している。この図において、1は洗濯物を収容する洗濯槽、2は洗濯槽1の底面に配設されたパルセータ、3は駆動源としてのモータ、4はモータ軸に直結されたモータプーリ、5は無端ベルト、6は軸プーリ、7はモータプーリ4、ベルト5及び軸プーリ6を介してモータ3と連動連結されたパルセータ回転軸、8は排水弁、9はクラッチ、10は洗濯槽1に取り付けられ、クラッチ9の切換動作によってモータ3の駆動力が伝達される洗濯槽回転軸、11は洗濯槽1の外周に配設された外水槽である。
【0003】
上記のような構成を備えた従来例の洗濯機は、まず、洗濯モードにおいては、モータ3の駆動を、モータプーリ4、ベルト5及び軸プーリ6を介してパルセータ回転軸7に伝達することによりパルセータ2を回転駆動し、これによって洗濯槽1内の水(以下、洗濯水と呼ぶ)に旋回流を与えている。このとき洗濯槽1内に投入された衣類等の洗濯物は、洗濯水に溶けている洗剤の洗浄力と旋回流によって生じる洗濯水と衣類繊維の摩擦力と、繊維表面での洗濯水の入替わりと、さらには衣類とパルセータ2及び洗濯槽1の側壁との間の相対速度差による機械的摩擦力の都合3つの洗浄作用の相乗効果によって洗浄される。
【0004】
次に、すすぎモードにおいては、前述の洗濯モードと同様のプロセスで、パルセータ2を回転駆動しながら、図示しない給水口から洗濯槽1内へ水道水を補給するとともに、連続補給された水道水を洗濯槽1からオーバーフローさせて、外水槽11、排水管路を経由し、排水弁8を開いて排水しながら、すすぎを行う。なお、一般的には、洗濯、すすぎモードでは、洗濯物の布の絡みを防止するために、予め設定された一定の時間間隔でモータ3の回転方向を切替え、パルセータ2を逆転させるようにしている。
【0005】
さらに、脱水モードにおいては、クラッチ9を動作させて、洗濯槽回転軸10とパルセータ回転軸7を機械的に結合して、洗濯槽1を高速で回転させ、そのときに発生する遠心力の作用によって洗濯物から絞り出された水分を洗濯槽1から外水槽11へ排出する。
【0006】
この場合、図示例では洗濯槽1の周壁が上方に向かって拡開するコーン状の無孔壁で構成されており、遠心力を受けた洗濯槽1内の水分は周壁内面を上方に向かって流れるようにして洗濯槽上端部に設けられた図示しない排水口から外水槽11へ排出される。なお、図示してはいないが、他の方式の洗濯機には、洗濯槽の周壁に複数の脱水孔が設けられており、これらの脱水孔から洗濯槽の回転駆動によって発生する遠心力により外水槽11に水分を排出するものが周知である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来構成の洗濯機においては、例えば洗濯モードにあっては、パルセータ2上に洗濯物が載っていることにより、パルセータ2から洗濯物に伝わる回転力によって、洗濯物が洗濯槽中を絶えず移動することになる。しかしながら、前述のようにパルセータ2は洗濯槽1の下部に設けられているため、パルセータ2に接触している最下部の洗濯物を介してその上に重なる洗濯物を移動させることとなる。このため、水を含んで重くなっている洗濯物は、移動中に洗濯槽1の最下部に回り込んだとき、パルセータ2に叩かれて傷み、布のほつれ等が生じるという問題点があった。
【0008】
また、上記従来構成の洗濯機では、洗濯モードにおいては開始時に洗濯槽1内が満水状態になるまで注水する必要がある。このため、例えば 6.5kgの洗濯物について洗濯、すすぎを行う場合、洗濯槽1に40リットル程度という多量の水を注水しなければならず、効果的な節水対策を講じることが極めて困難であるという問題点もあった。
【0009】
さらに、上記従来構成の洗濯機においては、モータ3の回転数が一定であるので、洗濯及びすすぎ時と脱水時とに応じて洗濯槽1の回転速度を可変とするためには、モータ3から洗濯槽回転軸10までの駆動力伝達経路上にクラッチ9を設けることが必須であり、構成が複雑になるという問題点もあった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、従来構成において必須要件であったパルセータを廃止することによって、パルセータと洗濯物の擦れ、引っ掛かりによる布傷みを軽減するとともに、洗濯槽駆動手段の構成を簡素化し、しかも、洗濯機の一連の運転時間を短縮するとともに、効果的に節水することが可能な新規な洗濯機を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機は、洗濯物投入口を備えた外箱と、該外箱の洗濯物投入口に対応する位置に開口部を備えた洗濯槽と、前記洗濯槽から排出された水を受ける外水槽と、前記外水槽の水を加圧するポンプと、該ポンプによって加圧された水洗濯槽内の洗濯物に向けて噴射する噴射手段とを備え、該水噴射手段は前記外箱の洗濯物投入口と前記洗濯槽の開口部との間に配設された上部ノズルと洗濯槽内底部の回転中心に設けられた下部ノズルとからなることを特徴とする。
【0013】
そうすると、洗濯運転時において、洗濯時、洗濯槽は洗濯槽駆動手段により回転駆動される。このとき同時にポンプによって加圧された洗剤液が洗濯槽に設けたノズルから洗濯物に向けて噴射される。この洗剤液は洗濯物の繊維及び網目等を通過する際に、繊維及び布の網目に付着した汚れを離脱せしめて洗浄する。これにより布のほつれが低減され、布がらみも少なくなって、洗濯物の傷みが極力緩和される。
【0014】
本発明の洗濯機は、略鉛直方向の洗濯槽回転軸を中心に前記洗濯槽を回転駆動させる洗濯槽駆動手段と、前記洗濯槽駆動手段の回転を停止させるブレーキ装置とを備え、洗濯モード又はすすぎモードにおいて、前記洗濯槽を前記洗濯槽駆動手段により停止状態から急に回転させて、前記洗濯槽の回転を前記ブレーキ装置により急に停止させることを繰り返し行うことを特徴とする
【0015】
洗濯槽駆動手段により洗濯槽を急に回転させ、この洗濯槽の回転をブレーキ装置により急に停止させることを繰り返し行うことにより、洗濯物に急な加速度が加えられ、洗濯物はその慣性によって急停止することなく回転方向へ移動することにより撹拌されることとなり、洗濯時の効率が向上する。
【0016】
前記洗濯機において、洗濯槽の内底部にクロス状の突起が設けられており、前記洗濯槽駆動手段によって前記洗濯槽とともに前記突起部を回転駆動させることにより前記洗濯槽内の水を撹拌することを特徴とする。
【0017】
上記構成により、パルセータが無くとも、洗濯槽内の水を断面放物線状の水流に形成することができ、洗濯効率の向上につながる。
【0018】
また、前記洗濯槽または前記水噴射手段の一方を他方に対して前記洗濯槽回転軸を中心に相対回転可能に構成したことを特徴とする。
【0019】
本発明の洗濯機は、洗濯槽が回転しているとき、前記下部ノズルが回転しないことを特徴とする。
【0020】
本発明の洗濯機は、前記上部ノズルが洗濯槽内の洗濯物に向けて水を噴射するために適正な位置に移動可能であることを特徴とする。
【0021】
したがって、洗濯槽へ洗濯物を投入するときの邪魔にならない位置へ上部ノズルを退避させることができ、また、洗濯槽回転手段の駆動時にはノズルを洗濯物に向けて適正な位置に移動さて調節することができ、洗浄性、使用性に一層優れたものとなる。
【0022】
本発明の洗濯機は、前記洗濯槽への給水及び前記外水槽からの排水の通水経路を有する配管系を備え、該配管系は前記外水槽内の水を前記ポンプに送給するための水送給配管と、前記ポンプから吐出された加圧水を前記水噴射手段に送給するための加圧水送給配管とを備えたことを特徴とする。
【0023】
したがって、洗濯運転時、水は外水槽→水送給配管→ポンプ→加圧水送給配管→水噴射手段→洗濯槽→外水槽の順に循環するため、洗濯運転及びすすぎ運転においては、洗濯槽に従来のような多量の水を入れる必要がなく、水噴射手段から噴射された少量の水で洗濯、すすぎを行うことができるので、節水を図りながら洗濯することが可能である。また、水の循環系において、常時脱水を行いながら洗濯を行うため、脱水時間、洗濯から脱水までの全工程にかかる時間が短縮される。
【0024】
本発明の洗濯機は、前記配管内に電磁弁を備え、給水時に前記ポンプを通して前記洗濯槽に給水するとともに、排水時に前記洗濯槽から排出された水前記ポンプを通して排水するように、前記電磁弁を用いて配管系を構成したことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、水の水圧だけで給水する場合に比べて給水量が増えるとともに、水槽内の水位と排水口のヘッド差だけで排水する場合に比べて排水量が増える。
【0026】
本発明の洗濯機は、排水時に前記洗濯槽から排出された水を前記ポンプを通して排水するように電磁弁を用いて配管系を構成し、且つ該配管系の中にゴミ取り用のフィルターを設け、前記水噴射手段が水を噴射している時と排水時とでは前記フィルターを通過する水の流れが逆になるように前記配管系を構成したことを特徴とする。
【0027】
上記構成により、洗濯物から出る糸屑等のゴミは水噴射手段が水を噴射している時にフィルターに付着して除去され、そのフィルターに付着したゴミは排水時に外部に自然に排出される。
【0028】
本発明の洗濯機は、前記フィルターが、前記水噴射手段が水を噴射している時に前記ポンプの上流側に位置し、且つ排水時に前記ポンプの下流側に位置するように前記配管系を構成したことを特徴とする。
【0029】
上記構成により、洗濯物から出たゴミは前記水噴射手段が水を噴射している時にポンプに吸引される前にフィルターに付着して除去され、そのフィルターに付着したゴミは排水時にポンプを通ることなく外部へ排出される。
【0030】
本発明の洗濯機は、排水時に前記洗濯槽から排出された水を前記ポンプを通して排水するように電磁弁を用いて配管系を構成し、且つ前記配管系の中にゴミ取り用のフィルターを反転可能に設けたことを特徴とする
【0031】
上記構成により、フィルターの配設箇所を通過する水の流れを水噴射手段が水を噴射している時と排水時とで変えなくても、洗濯物から出る糸屑等のゴミが洗濯槽の回転駆動時にフィルターに付着して除去され、そのフィルターに付着したゴミは排水時にフィルターを反転させると外部に排出される。しかも、フィルターの配設箇所を通過する水の流れが水噴射手段が水を噴射しているときと排水時とで逆になるようにする場合に比べて、配管系の構成が簡単になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は第1実施形態に係る全自動洗濯機の機械的構成を示している。なお、特に図示していないが、2槽式洗濯機にも本発明は適用できる。第1実施形態において前掲の図14に示した従来例と基本構成が共通する部分には共通の符号を付している。図1において、Aは洗濯機の外殻を構成する外箱であって、この外箱Aは蓋13によって開閉自在な洗濯物投入口14を上端に有するもので、その内部には外水槽11が都合4本の防振支持機構12によって吊り下げ支持されている。さらに外水槽11内には、衣類等の洗濯物を収容する洗濯槽1が配設されている。
【0040】
外水槽11の外底部には駆動源としての正転・逆転可能なモータ3が取り付けられており、その出力軸にはモータプーリ4が直結されている。モータ3は後に詳述するように、正転から逆転へ、あるいは逆転から正転へと回転方向を切り替える際に回転を急停止させる必要があり、そのためのブレーキ装置(図示せず)が付設されている。このブレーキ装置としては、例えばモータ3の出力軸または洗濯槽回転軸10にブレーキシュー、あるいはドラム式のブレーキ機構を付設してなるものが挙げられる。
【0041】
一方、洗濯槽1の外底部には洗濯槽回転軸10がほぼ垂直に取り付けられており、この回転軸10に軸プーリ6が装着されている。モータプーリ4と軸プーリ6間には無端ベルト5が架け渡されており、これによってモータ3の駆動力がモータプーリ4から無端ベルト5を介して軸プーリ6に伝達され、洗濯槽1がモータ3の回転方向に対応する方向に垂直な洗濯槽回転軸10回りに回転駆動されるようになっている。
【0042】
ところで、前記洗濯槽1は洗濯時及びすすぎ時には100rpm〜300rpm程度で回転駆動させ、脱水時では 洗濯槽1を1000rpm程度で回転駆動させる必要がある。このため第1実施形態では洗濯槽駆動用のモータ3としてインバータモータを使用している。このようにインバータモータを使用することにより、洗濯及びすすぎ時と脱水時とでモータ3の回転数を制御系でソフト的に切り換えることができ、従来必要としたクラッチ機構をなくすことができる。また、負荷容量や洗濯物の布質等に対応して出力を無段階に変化させることができるので、より効果的に電力消費を節減することが可能となる。
【0043】
洗濯槽1は後に詳述するように上方に向かって僅かに拡開するコーン状の無孔周壁を有する薄肉金属槽により構成され、洗濯物投入口14に臨む上端開口部にはバランサリング34が取り付けられている。なお、洗濯槽周壁の傾斜の度合は具体的には鉛直線に対する傾斜角αは約1°程度が好ましい。また、このバランサリング34の洗濯槽周壁内面とほぼ一致する周回部位には、外水槽11へつながる多数の通水孔21が所定間隔毎に設けられている。さらに、洗濯槽1の内底部及び上部には、それぞれ洗濯槽1の回転駆動時に洗剤液を洗濯槽1内の洗濯物に向けて噴射するノズル30,31が該洗濯槽1内に向かって配設されている。
【0044】
洗濯槽1上部に配設された上部ノズル31は、洗剤液をシャワー噴射するものであって、外水槽11の外側となる外箱A内の空間部にL字状に配置された加圧洗剤液送給配管としての上部ノズル用配管22の上部出口端に設けられており、その先端部は洗濯槽1の図1上左側部分のほぼ全域に亙って洗剤液を噴射できるように、洗濯槽1に向かって所定角度をもって傾斜させてある。また、下部ノズル用配管25の入口端もポンプ27の吐出口に連通している。
【0045】
一方、洗濯槽内底部に配設された下部ノズル30は、上部ノズル31の噴射領域を除く洗濯槽周壁に亙って洗剤液を噴射するものであって、截頭円錐形状に形成された本体部斜面に斜め上方に開口する多数のノズル口を、上部ノズル31の噴射領域を除く領域をカバーするように放射状に配列してなるもので、洗濯槽内底部の回転中心に位置しており、洗濯槽回転軸10の軸心部に形成された貫通孔を通る加圧洗剤液送給配管としての下部ノズル用配管25の出口端と連通連結されている。この下部ノズル用配管25は入口端がポンプ27の吐出口に連通しており、洗濯槽回転軸10の貫通孔とは直接接触しておらず、水漏れを防止する軸受29を介して該回転軸10に支持されている。
【0046】
外水槽11は洗濯槽1から排出された洗剤液を受けるもので、底部に排水口23aが形成されており、この排水口23aから洗剤液送給配管としての吸入配管23を通じてポンプ27の吸入口と連通している。前記ポンプ27はノズル30,31とともに洗剤液噴射手段を構成しており、外水槽11内の洗剤液を吸入配管23を介して吸引した後、図示しないポンプインペラー等によって加圧を行ったうえで、上下のノズル用配管22,25を介して上下各ノズル30,31へ送給するものである。
【0047】
したがって、外水槽11は、洗濯槽1から排出された洗剤液をポンプ27で加圧する前に一旦溜めるためのバッファ容器として働くことになる。これにより、ポンプ27には継続して洗剤液が供給されるので、ポンプ27の空転を防ぐことができる。また、確実にポンプ27の空転を防止するために、洗濯運転時及びすすぎ運転時に、水位センサー(図示せず)で検知される外水槽11内の水位が所定水位以下であればポンプ27を停止し、一方、所定水位を超えていればポンプ27を駆動するように制御して、外水槽11内に洗剤液が十分溜まっているときのみポンプ27を駆動するようにしている。
【0048】
26は上部ノズル用配管22及びポンプ27を介して外水槽11につながる電磁式の排水弁であって、この排水弁26の下流側管路は外箱Aの外部に開放している。33は下部ノズル用配管25の途中部に配設された電磁式の給水弁であって、洗濯モード及びすすぎモードそれぞれの当初にポンプ27を介して市水を供給する。なお、上記上下のノズル用配管22,25及び吸入配管23等の管路構成部材は塩化ビニル樹脂製パイプ等が好適に使用でき、その内径は25mm程度が適当である。
【0049】
このように第1実施形態では、洗濯槽1に給水する場合、ポンプ27を介して市水を供給するため、従来技術のように市水の水圧だけで給水するものに比べて給水流量が増える。すなわち、図14に示すように、配管抵抗に釣り合う動作点に対応する流量Qが、市水の水圧だけで給水する場合のQから、ポンプ27を市水に接続した場合にはQへと大きくなる。したがって、その分給水時間を減少させることができる。
【0050】
また、外水槽11に溜まった水を排出する場合にもポンプ27で加圧して排水するようにしているので、従来技術のように外水槽11内の水位と排水口とのヘッド差だけで排水するものに比べて、排水流量が増える。したがって、その分排水時間を短縮することができる。
【0051】
図2は制御系の構成を示している。この図において、35は制御の中心となるマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)である。このマイコン35の入力側には洗濯槽1内、外水槽11内の水位をそれぞれ検知するための水位センサー36,36’、水位センサー36,36’の検知データをマイコン35に入力するためにデジタルデータに変換するA/D変換器37,37’、及び洗濯、すすぎ、中間脱水、脱水の各種タイマー38が設定され、出力側には給水弁33、排水弁26、モータ3、上下ノズル30,31、ポンプ27、及びモータ3のブレーキ装置を駆動するための電子回路39が設定されている。
【0052】
図3〜図6はマイコン35の制御動作を示すフローチャートである。上記制御系において、マイコン35は洗濯モードから中間脱水モードを経てすすぎモードへ、さらに脱水モードへと各モードが完了する毎に次のモードへと運転モードを移行し、各運転モードにおいて、水位センサー36,36’、各種タイマー38からの入力データに基づいて、給水弁33、排水弁26、モータ3及びブレーキ装置、上下ノズル30,31、ポンプ27の動作を制御する。
【0053】
以下、図3〜図6のフローチャートを参照しながら、各運転モードにおける動作を説明し、併せて第1実施形態洗濯機の要部の作用について説明する。図3に示すように、まず、マイコン35はステップ#10で、使用者が予め設定しておいた、あるいはマイコン35が記憶している洗濯モード時の洗濯槽1内の水位Lsを入力し、ステップ#20で排水弁26が閉となったことを認識すると、ステップ#30で給水モードに入り、ステップ#40で給水弁33を開き、同時にステップ#50でポンプ27をONして給水を加速する。
【0054】
給水が開始されると、ステップ#60で水位センサー36から送られて来た洗濯槽1の水位検知データLrinをA/D変換器37を通して取り込み、ステップ#70で水位検知データLrinと設定水位Lsとを比較し、水位検知データLrinが設定水位Lsと等しいか、それを超過したと判定すると、ステップ#80で給水弁33を閉じ、同時にステップ#90でポンプ27をOFFして、ステップ#100で洗濯モードに入る。この洗濯モードでは、洗濯物の負荷容量に応じて洗濯時間Twと、モータ3の逆転時間Tgが設定される。
【0055】
次に、ステップ#110で洗濯槽1を回転駆動する。洗濯槽1を回転すると洗剤液が次第に外水槽11へ移ることにより外水槽11内の水位が上がってくる。このとき、ステップ#120で外水槽11の水位検知データLroutをA/D変換器37’を通して取り込み、ステップ#420でこの水位検知データLroutをポンプ27が空転しないための限界水位Llimと比較しながらポンプ27の運転を行う。すなわち、水位検知データLroutが限界水位Llim以下であると判定している間はポンプ27を駆動せず、一方、水位検知データLroutが限界水位Llimを超過したと判定するとステップ#150に進んでポンプ27を駆動する。
【0056】
そして、ステップ#150でポンプ27を駆動したときは、ステップ#160でマイコン35内にソフト的に構成されたカウンタにより洗濯時間Twrをカウントするとともに、ステップ#170でモータ3を逆転させるまでの時間Tgrをカウントする。そして、ステップ#180で逆転時間のカウント値Tgrが予め設定されたモータ3の逆転時間Tgと等しくなる度に、ステップ#190でモータ3を逆転させ、ステップ#110へ戻ってステップ#180までの動作を繰り返す。
【0057】
このループは、ステップ#200で洗濯時間のカウント値Twrが、予めタイマー38で設定された洗濯時間Twと等しくなるまで続けられる。したがって、それまでの間はモータ3の正転、逆転を繰り返す。そして、ステップ#200で洗濯時間のカウント値Twrがタイマー38で設定された洗濯時間Twと等しいか、それよりも長いと判定すると、図4に示すようにステップ#210でポンプ27をOFFし、洗濯モードを終了する。
【0058】
この洗濯モードにおいては、従来と同様に洗濯槽1に市水を導き、その市水を従来の1/2〜2/3(20リットル〜30リットル)程度注水している。このとき、洗剤は従来通り洗濯物の量で決められた洗剤量を投入するので、従来の1.5〜2倍程度の濃度の洗剤液で洗濯槽1を満たすこととなる。
【0059】
この場合、マイコン35の指令によりモータ3が回転し、その駆動力がモータプーリ4、ベルト5、軸プーリ6によって洗濯槽回転軸10に伝達され、該回転軸10及び洗濯槽1が100rpm〜300rpm程度で高速回転駆動する。このとき、下部ノズル用配管25は軸受29を介して該回転軸10に支持されているので、洗濯槽回転軸10が回転しても回転することはない。
【0060】
洗濯槽1が回転駆動し、しかも外水槽11の水位検知データLroutがポンプ27が空転しないための限界水位Llimを超過しているとき、同時にポンプ27が駆動され、このポンプ27の駆動により、洗濯槽外水槽11の中に溜まった洗剤液が、排水口を兼ねているポンプ吸入口23より吸引されるとともに加圧される。加圧された洗剤液は上部ノズル用配管22及び下部ノズル用配管25に分配され、洗濯槽1の内底部及び上部に設けた上下のノズル30,31から洗濯物20に噴出される。
【0061】
洗濯物20に高水圧でもって吹き付けられた洗剤液は、洗濯槽1が高速回転していることによって発生した遠心力の作用で、洗濯物20の繊維、網目を通過し、洗濯槽1の壁面に向かって流れて行く。この洗濯物20の繊維、網目を通過する際、繊維、網目に付着した汚れを洗剤液が分解し、汚れの剥離、離脱を生じ、効果的な洗濯を行うことができる。
【0062】
第1実施形態では、洗濯槽1内の全領域を上下のノズル30,31によってカバーするようにしているが、上部ノズル31または下部ノズル30のみ設け、単独のノズルから洗濯物20に洗剤液を吹き付けるようにしてもよい。また、上部ノズル31は外箱Aの洗濯物投入口14と洗濯槽1の開口部との間に介在するものであるため、洗濯槽1へ洗濯物20を投入するときの邪魔になる場合がある。このような場合、上部ノズル31の先端ノズル口を洗濯槽1内の洗濯物20に向かう適正位置へ移動可能に構成するとよい。
【0063】
具体的には例えば図7に示すように、上部ノズル用配管22の上端部に伸縮自在に構成された入子式の水平パイプ15を設け、このパイプ15の先端に上部ノズル31を上下に屈曲自在な管継手16を介して装着した構造とすれば、洗濯機の不使用時には水平パイプ15を短縮して上部ノズル31を洗濯物投入の邪魔にならない位置まで退避させることができる。また、使用時には水平パイプ15を伸長するとともに、その位置で上部ノズル31を適宜な傾斜角に調整すれば、上部ノズル31の先端ノズル口を洗濯槽1内の洗濯物20に対する適正位置に設定することができる。
【0064】
さらに、洗濯運転中に上部ノズル31のノズル口を上下方向に所定角度範囲内で繰り返し揺動させるように、ノズル揺動手段を管継手16部分に設けるようにしてもよい。あるいは図示してはいないが、上部ノズル31を洗濯槽1内へある程度の深さまで突入できるように構成してもよい。さらにまた、上下のノズル30,31は、1本ずつに限定されるものではなく、複数のノズルによって洗濯物20へ洗剤液を噴射するような構成としてもよい。
【0065】
洗濯槽1に至った洗剤液は第1実施形態のように無孔壁からなる洗濯槽の場合、洗濯槽1の回転駆動によって生じた遠心力の作用で洗濯槽1の周壁内面を伝わって洗濯槽直径の大きい方向、つまり上方へと移動し、断面放物線状の水流となる。この上方へ移動した洗剤液は洗濯槽上端の通水孔21から流出し、外水槽11に溜まる。このようにコーン状の無孔周壁を有する洗濯槽1では洗濯槽1内の洗剤液が洗濯槽1のほぼ上端まで逃げずに移動することになるため、洗剤液を洗濯のために有効活用できて最良であると言える。
【0066】
但し、本発明では、該洗濯槽1として、周壁を無孔壁により構成するもの以外に、図8に示すように周壁の全域に亙って外水槽11に開口する多数の小孔40が設けられたものであってもよく、その他、周壁内径が上下方向に亙って同一に形成された周知の筒形槽も適用できることは言うまでもない。
【0067】
また、図8に示すような周壁に多数の小孔40が設けられた洗濯槽1であれば、バランサリング34に通水孔21を設ける必要はなく、洗濯槽1の周壁内面に沿って上昇した洗剤液は小孔40から洗剤液が噴出し、外水槽11に溜まることになる。
【0068】
外水槽11に溜まった洗剤液は、排水口23aから吸入配管23を通じてポンプ27に吸引され、上記の工程を繰り返すことによって洗濯を行うこととなる。このとき、洗剤液の循環量は多ければ多いほど好ましいと言えるが、実用上は40l/min程度であれば最初の注水量30l(リットル)の水が10分間に13回も入れ替わることになるので、充分な洗浄効果を上げることができる。
【0069】
尚、洗濯物を十分撹拌するためには、洗濯槽1内に負荷容量に応じたある程度の水量が必要であり、それ以下になると著しく撹拌が抑制され洗浄効果が低下する。そのため、洗濯槽1内の水位が負荷容量に応じた所定の水位よりも低くなったときには、ポンプ27を駆動しながらモータ3の回転数を低下するように制御すれば、全体の水量を増やすことなく洗濯槽1内の水量を増やすことができ、節水しながら洗浄効果を良好に保つことができる。
【0070】
次に、洗濯物20の撹拌のための構成について述べると、基本的には上記のようにモータ3によって、洗濯槽1を回転駆動しながら、上下のノズル30,31から洗濯槽1内の洗濯物20に向けて洗剤液を噴射させるように、モータ3及びポンプ27の駆動をマイコン35によって制御することで洗濯を行うことができる。但し、より効率的に洗濯を行うためには、洗濯物20の撹拌によって洗濯物20どうしの布の擦れなどを増加させるための付加構成が重要となる。
【0071】
すなわち、第1実施形態では前述のように、洗濯槽1を内径が上部に至るほど大きくなるようなコーン状に構成していることから、洗濯槽1が高速回転することによって生じる遠心力の作用により、洗濯物20が洗濯槽1内の上部へと移動するため、十分な撹拌効果が得られない嫌いがある。そこで、図9に示すように、前記遠心力によって洗濯槽1の上部へと移動した洗濯物20を下部へ導くための洗濯物反転手段として、洗濯槽1の周壁内面に反り部材28を設けることが好ましい。
【0072】
図9に示す反り部材28は、洗濯槽1の半ば程度の高さの固定筒部28aの上縁から内側に向かって傾斜する反り片部28bを延出したもので、洗濯槽周壁内面に沿って配設するとともに、各部材28の固定筒部28aを該洗濯槽周壁内面に固着することにより、該洗濯槽1に取り付けている。また、この反り部材28の反り片部28bの基端部位には、図10及び図11に示すように、周方向適宜間隔毎に洗濯物20の通り抜けが不能で水分のみが通過可能な小孔32を複数形成している。
【0073】
このような構成の反り部材28を設けることにより、洗濯槽1の下部に位置していた洗濯物20が洗剤液と同様に洗濯槽1の直径が大きい上部へ遠心力の分力によって矢印x方向へ移動し、さらに矢印y方向に迫り上がって来るが、上限に至ると、反り部材28に沿って移動し、破線で示すように矢印z方向に反転しながら、洗濯槽1の下部へと落下する。また、洗濯物20の移動中、洗濯槽1内の水分は小孔32を通り抜けて洗濯槽1の上部から外水槽11へ流れ込む。この反り部材28を設けたことによる洗濯物20の反転移動は洗濯運転中、繰り返され、これによって洗濯物20どうしの布の擦れ作用が十分に行われ、優れた洗浄効果が発揮される。
【0074】
図12は洗濯物反転手段の別の態様を示している。この図に示すように、洗濯物反転手段としては、上記のように洗濯槽1とは別部材として構成される反り部材28ではなく、洗濯槽1自体に反り部41を一体に形成することができる。図12に示すものでは、洗濯槽1の高さ方向の中間部に上記反り部材28と同様の傾斜を有する環状屈曲部を形成し、その下半部を反り部41としている。
【0075】
さらに第1実施形態では、洗濯物20の撹拌機能の向上を図るために、洗濯運転中に、前述のインバータモータ3とブレーキ装置とにより洗濯槽1の正転、逆転、あるいは正転から急停止、逆転から急停止を繰り返し行うように構成している。このように洗濯槽1の停止状態から急に回転させ、回転中に急に停止させたり、逆転させるようにすることで、洗濯物20に急な加速度が加えられる。このときブレーキ装置の動作によって洗濯槽1は急停止されるが、槽内で水分を含んで重量が増している洗濯物20は慣性によって急停止することなく回転方向へ移動する。これによって洗濯物20は必然的に撹拌されるので、さらに効率の良い洗濯を行うことができる。
【0076】
さらにまた、第1実施形態では図13に示すように、洗濯槽1の回転駆動時に洗剤液を遠心方向へ押しやる手段として、洗濯槽1の周壁内面に複数の突条42aを所定間隔毎に形成して該周壁内面を波状に形成するとともに、内底部にもクロス状の突起42bを形成して、洗濯モード時の効率向上を図っている。
【0077】
すなわち、第1実施形態の洗濯機は、パルセータを無くして、洗濯槽1自体を回転駆動することにより洗濯運転を行うものであるため、上下ノズル30,31から噴射された洗剤液により、遠心力によって周壁側へ押しやられた洗濯物20をカバーする状態を形作るために、洗濯槽1内で断面放物線状の水流を形成しなければならない。このためには洗濯槽1の回転駆動時に該槽1内の洗剤液に対して遠心方向に押しやるための抵抗を生じさせる必要があり、その効果的な手段として、上記突条42a及び突起42bを形成している。
【0078】
洗濯槽1の周壁内面に形成された複数の突条42aは、その間に縦溝を形成するものであり、洗剤液はこれらの突条42a及び縦溝で生じる抵抗によって洗濯槽1の回転駆動時に断面放物線状の水流となり、周壁側に押しやられた洗濯物20をカバーする。また、洗濯槽1の内底面に形成された突起42bも同様に洗剤液水流を放物線状に形作る役割を果たす。なお、これらの突条42a及び突起42bは洗濯槽1の成型時に一体成形することができ、その突出高さは約1cm弱程度が好ましい。また、これらの突条42a及び突起42bのうちいずれか一方を省略しても、放物線状の水流を形成することができる。
【0079】
第1実施形態洗濯機は上記のように構成したことにより、洗濯モードにおいて、パルセータがないのでパルセータが洗濯物20の一部を叩くことがなく、布のほつれが低減でき、且つ、布がらみも少なくなるので、洗濯物20の傷みも少なくなる。
【0080】
図4に戻って、ステップ#210でポンプ27をOFFし、洗濯モードを終了すると、ステップ#220で洗濯槽1内の負荷の泡をある程度取り除くための中間脱水モードに入り、タイマー38にその時間Tdmが設定される。続いてステップ#230で排水弁26を開くとともに、ステップ#240でモータ3の回転数を増大して洗濯槽1を脱水運転する。また、ステップ#250で水位センサー36’から送られて来た外水槽11の水位検知データLroutを取り込み、ステップ#260で水位検知データLroutがポンプ27が空転しないための限界水位Llimを超えている間は、ステップ#264でポンプ27をONして排水を加速する。
【0081】
そしてポンプ27を駆動しながら排水を続け、ステップ#260で水位検知データLroutが限界水位Llim以下になったと判定すると、ステップ#268でポンプ27をOFFした後、ステップ#270で中間脱水時間Tdmrのカウントを開始し、ステップ#280で中間脱水時間Tdmrが設定時間Tdmに達するまで洗濯槽1を回転駆動して中間脱水運転を続行する。
【0082】
中間脱水運転が終了すると、ステップ#290でブレーキ装置を動作させ、ステップ#300ですすぎモードに入る。すすぎモードに入ると、予めタイマー38で設定されたすすぎ時間Ts及び洗濯槽1の逆転時間Tgを入力し、ステップ#310ですすぎ運転時の水位Lsを入力するとともに、ステップ#320で排水弁26を閉じ、ステップ#330で給水モードに入り、ステップ#340で給水弁33を開き、同時にステップ#350でポンプ27をONして給水を加速する。
【0083】
給水が開始されると、ステップ#360で水位センサー36から送られて来た洗濯槽1の水位検知データLrinを取り込み、ステップ#370でこの水位検知データLrinと設定水位Lsとを比較して、水位検知データLrinが設定水位Lsと等しいか、それを超過したと判定すると、図5に示すように、ステップ#380で給水弁33を閉じるとともに、ステップ#390でポンプ27をOFFした後、ステップ#400で洗濯槽1の回転駆動を開始する。
【0084】
洗濯槽1を回転すると洗濯槽1内の水が次第に外水槽11へ移ることにより外水槽11内の水位が上がってくる。このとき、ステップ#410で外水槽11の水位検知データLroutを取り込み、ステップ#420で水位検知データLroutをポンプ27が空転しないための限界水位Llimと比較しながらポンプ27の運転を行う。すなわち、水位検知データLroutが限界水位Llim以下であると判定している間はポンプ27を駆動せず、一方、水位検知データLroutが限界水位Llimを超過したと判定するとステップ#440に進んでポンプ27を駆動する。
【0085】
そして、ステップ#440でポンプ27を駆動したときは、ステップ#450でマイコン35内にソフト的に構成されたカウンタによりすすぎ時間Tsrをカウントするとともに、ステップ#460でモータ3を逆転させるまでの時間Tgrをカウントする。そして、ステップ#470で逆転時間のカウント値Tgrが予め設定されたモータ3の逆転時間Tgと等しくなる度に、ステップ#480でモータ3を逆転させ、ステップ#400へ戻ってステップ#470までの動作を繰り返す。
【0086】
このループは、ステップ#490ですすぎ時間のカウント値Tsrが、予めタイマー38で設定しておいたすすぎ時間Tsと等しくなるまで続けられる。したがって、それまでの間はモータ3の正転、逆転を繰り返す。そして、ステップ#490ですすぎ時間のカウント値Tsrがタイマー38で設定されたすすぎ時間Tsと等しいか、それよりも長いと判定すると、ステップ#500でポンプ27をOFFし、すすぎモードを終了する。
【0087】
このすすぎモードでも、前記洗濯モードと同様に、まず洗濯槽1に市水を注水し、20リットル〜30リットル満たした後に、洗濯槽1を回転駆動する。その後、洗濯槽1の回転駆動によって発生した遠心力の作用によって、外水槽11に滞った洗剤液をポンプ27によって加圧されたすすぎ水として洗濯物20に噴射しながら洗濯槽1を回転駆動することによってすすぎを行う。
【0088】
また、洗濯槽1の急停止、急回転により洗濯物20の撹拌を図ることが可能となり、反り部材28等で構成される洗濯物反転手段によって更に撹拌できるので、すすぎ動作も効率性に優れたものとなる。さらに、これら一連の動作を数回繰り返すことにより、より確実なすすぎ結果を得ることができる。
【0089】
図5のステップ#500ですすぎモードが完了すると、図6に示すように、ステップ#510で脱水モードに入り、タイマーにその時間Tdが設定される。ステップ#520で排水弁26を開くとともに、ステップ#530でモータ3の回転数を増大して洗濯槽1を脱水運転する。また、ステップ#540で水位センサー36’から送られて来た外水槽11の水位検知データLroutを取り込み、ステップ#550で水位検知データLroutがポンプ27が空転しないための限界水位Llimを超えている間は、ステップ#554でポンプ27をONして排水を加速する。
【0090】
そしてポンプ27を駆動しながら排水を続け、ステップ#550で水位検知データLroutが限界水位Llim以下になったと判定すると、ステップ#558でポンプ27をOFFした後、ステップ#560で脱水時間Tdrのカウントを開始し、ステップ#570で脱水時間Tdrが設定時間Tdに達するまで洗濯槽1を回転駆動して脱水運転を続行する。脱水運転が終了すると、ステップ#580でブレーキ装置を動作させ、全工程を終了する。
【0091】
この脱水モードにおいては、外水槽11につながる排水弁26を開放し、ポンプ27を停止し、洗濯槽1を回転駆動することによって洗濯物20の脱水を行う。洗濯物20から脱水され洗濯槽1から放出された水分は、外水槽11に溜まり、さらに排水口23aから吸入配管23、排水弁26を通じて外部へ排出される。
【0092】
なお、以上述べた一連の工程において洗濯槽1と外水槽11の水位を検知する必要があるため、第1実施形態では図2に示したように、水位センサーとA/D変換器をそれぞれ2組ずつ備えるようにしているが、供給された全体の水量を検知する流量計を設けるとともに、洗濯槽1あるいは外水槽11のいずれか一方の水位を検知する水位センサーとA/D変換器を1組備え、これらのデータより他方の水位を算出するように構成してもよい。
【0093】
次に第2実施形態を説明する。図15は、本実施形態に係る配管系の構成図である。なお、本実施形態に係る全自動洗濯機の機械的構成は、配管系の構成を除いて、図1に示した第1実施形態の場合と同じである。また、図2〜14も第1実施形態と共通に用いられるが、その説明は省略する。
【0094】
第2実施形態は、洗濯物から出る糸屑などのゴミを除去するためのフィルター48を配管系の中に設けたもので、洗濯及びすすぎ運転時と排水時とではフィルター48を通過する水の流れが逆になるようにし、しかも、フィルター48が洗濯及びすすぎ運転時にはポンプ27の上流側に位置するとともに、排水時にはポンプ27の下流側に位置するように、電磁弁41〜47を用いて配管系を構成している。
【0095】
先ず、洗濯モード及びすすぎモードそれぞれの当初の給水時には、電磁弁41,47を開くとともに、電磁弁42,43,44,45,46を閉じる。これにより、第1実施形態の場合と同様に、ポンプ27で加圧された市水が上下各ノズル30,31から洗濯槽1内に供給される。
【0096】
次に、ポンプ27により洗濯槽1内の水を循環する洗濯及びすすぎ運転時には、電磁弁44,46,47を開き、同時に電磁弁41,42,43,45を閉じる。そうすると、外水槽11に溜まった水は、電磁弁46→フィルター48→電磁弁44→ポンプ27→電磁弁47→上下各ノズル30,31を通り、洗濯槽1内に導かれて洗濯あるいはすすぎに用いられた後、外水槽11に戻ってくる。この循環により、洗濯物から出る糸屑等のゴミはポンプ27の上流側でフィルター48に付着して除去されるので、ポンプ27がゴミを吸引することにより発生するポンプ27の破損や流量の低下を防ぐことができる。
【0097】
そして、排水を行う中間脱水時及び脱水時には、電磁弁42,43,45を開くとともに、電磁弁41,44,46,47を閉じる。そうすると、外水槽11に溜まった水は、電磁弁45→ポンプ27→電磁弁43→フィルター48→電磁弁42を通って外部へ排出される。このとき、フィルター48はポンプ27の下流側に位置し、しかもフィルター48を通過する水の流れは先ほどの循環時とは逆になるので、循環時にフィルター48に付着したゴミは、排水時ごとにポンプ27に吸引されることなく外部へ排出されることになる。したがって、フィルター48の目詰まりによる流量低下を避けることができる。また、洗濯物から出るゴミを回収する手段を別途設ける必要もない。
【0098】
次に第3実施形態を説明する。図16は、本実施形態に係る配管系の構成図である。なお、本実施形態に係る全自動洗濯機の機械的構成は、配管系の構成を除いて、図1に示した第1実施形態の場合と同じである。また、図2〜14も第1実施形態と共通に用いられるが、その説明は省略する。
【0099】
第3実施形態は、第2実施形態と同じく、洗濯物から出る糸屑などのゴミを除去するためのフィルター55を配管系の中に設けるとともに、電磁弁51〜54を用いて配管系を構成したもので、フィルター55は配管内に反転可能に取り付けられている。図17は、フィルター55の配管への取り付け状態を示す図である。フィルター55は、フィルター駆動用モータ56に連結された回転軸56aに回転可能に軸支されており、洗濯運転及びすすぎ運転時と排水時との間に反転される。
【0100】
先ず、洗濯モード及びすすぎモードそれぞれの当初の給水時には、電磁弁51,54を開くとともに、電磁弁52,53を閉じる。これにより、第1、第2実施形態の場合と同様に、ポンプ27で加圧された市水が上下各ノズル30,31から洗濯槽1内に供給される。
【0101】
次に、ポンプ27により洗濯槽1内の水を循環する洗濯及びすすぎ運転時には、電磁弁51,52を開き、同時に電磁弁53,54を閉じる。そうすると、外水槽11に溜まった水は、電磁弁52→フィルター55→ポンプ27→電磁弁51→上下各ノズル30,31を通り、洗濯槽1内に導かれて洗濯あるいはすすぎに用いられた後、外水槽11に戻ってくる。この循環により、洗濯物から出る糸屑等のゴミはポンプ27の上流側でフィルター55に付着して除去されるので、ポンプ27がゴミを吸引することにより発生するポンプ27の破損や流量の低下を防ぐことができる。
【0102】
そして、排水を行う中間脱水時及び脱水時には、電磁弁52,53を開くとともに、電磁弁51,54を閉じる。そうすると、外水槽11に溜まった水は、電磁弁52→フィルター55→ポンプ27→電磁弁53を通って外部へ排出される。この排水開始前にフィルター55が反転されることにより、先程の循環時にフィルター55に付着したゴミは、排水時ごとに外部へ排出されることになる。
【0103】
したがって、フィルター48の目詰まりによる流量低下を避けることができる。また、洗濯物から出るゴミを回収する手段を別途設ける必要もない。しかも、第2実施形態の様に洗濯及びすすぎ運転時と脱水時とでフィルター配設箇所を通過する水の流れが逆になるようにした場合と比べて、電磁弁の数が少なくて済み、配管系の構成が簡単になる。
【0104】
なお、以上説明した第1〜第3実施形態では、洗濯槽1を回転駆動させながら洗濯等を行うものとしているが、本発明では、洗濯槽1を固定し、例えばノズルを洗濯槽1の軸心回りに回転可能に構成することにより、ノズルの回転中に洗濯槽1内の洗濯物20に洗剤液を噴射するものも含まれる。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、洗濯槽駆動手段による洗濯槽の回転駆動時に、噴射手段によりを洗濯槽内の洗濯物に向けて噴射するように構成しており、洗濯運転時において、噴射手段から噴射されたは洗濯物の繊維及び網目等を通過する際に、繊維及び布の網目に付着した汚れを離脱せしめて洗浄するものであるので、パルセータを回転駆動させて洗濯、すすぎを行う従来のものと異なり、パルセータが洗濯物の一部を叩くことがなく、布のほつれが低減でき、しかも、布がらみも少なくなるので、洗濯物の傷みも少なくて済む。
【0106】
またをポンプで加圧し、加圧された水噴射手段から洗濯槽内の洗濯物に向かって噴射するように構成しているので、洗濯物の繊維及び網目を通過するの噴出速度を高めて洗浄力を向上させることができ、また、ポンプの吐出量を調整することにより洗濯物の種類に適合した噴射速度を得ることが可能となる。
【0107】
また、外水槽→送給配管→ポンプ→加圧送給配管→水噴射手段→洗濯槽→外水槽の順に循環する循環系を設け、さらに洗濯槽駆動手段及びポンプの駆動により、洗濯運転から脱水運転まで実行できる。特に洗濯運転及びすすぎ運転においては、洗濯槽に従来のような多量の水を入れる必要がなく、水噴射手段から噴射された少量の水で洗濯、すすぎを行うことができるので、節水を図りながら洗濯することができる。
【0108】
また、の循環系において、常時脱水を行いながら洗濯を行っているので、洗濯、すすぎ時に洗濯物に含まれている水分が従来のパルセータ方式に比べて低減され、脱水にかける時間を低減することができるうえ、洗濯から脱水までの全工程にかかる時間を短縮することができる。
【0109】
また洗濯槽駆動手段により洗濯槽を急に回転させて、この洗濯槽の回転を急停止させることを繰り返し行うことができるので、洗濯物に急な加速度が加えられ、洗濯物はその慣性によって急停止することなく回転方向へ移動することにより撹拌されるため、効率の良い洗濯を行うことができる。
【0110】
また上部ノズルと下部ノズルとからなる水噴射手段により洗濯槽内の洗濯物に対して異なる角度からを噴射することができる。特に上下両方から洗濯物に対してを噴射することにより、洗濯の効率が高まり、より短時間での洗濯が可能となる。
【0114】
また、洗濯槽の内底部にクロス状の突起部を設けて、洗濯槽駆動手段により洗濯槽とともに前記突起部を回転駆動させることにより、パルセータが無くても、洗濯槽内の水を断面放物線状の水流に形成することができ、洗濯効率の向上につながる。
【0115】
また、洗濯槽または水噴射手段の一方を他方に対して洗濯槽回転軸を中心に相対回転可能に構成するとともに、水噴射手段を洗濯槽内の洗濯物に向かう適正位置及び適正方位のいずれか一方または両方共変位可能に構成したので、洗濯槽へ洗濯物を投入するときの邪魔にならないように上部ノズルを退避させることができ、また、使用時には適正位置まで上部ノズルを移動させて、ノズル口を適正方位に調整することができるなど、洗浄性、使用性に一層優れたものとなる。
【0119】
また、給水時に上記ポンプを通して上記洗濯槽に給水するとともに、排水時に前記洗濯槽から排出された水を前記ポンプを通して排水するように、電磁弁を用いて配管を構成しているので、市水の水圧だけで給水する場合に比べて給水流量が増えるとともに、洗濯槽内の水位と排水口のヘッド差だけで排水する場合に比べて排水流量が増える。したがって、給水時間、排水時間、さらには洗濯から脱水までの全工程にかかる時間を短縮することができる。
【0120】
また、排水時に洗濯槽から排出されたをポンプを通して排水するように電磁弁を用いて配管系を構成し、且つ該配管系の中にゴミ取り用のフィルターを設け、水噴射手段を噴射している時と排水時とではフィルターを通過するの流れが逆になるように配管系を構成しているので、洗濯物から出る糸屑などのゴミは水噴射手段を噴射している時にフィルターに付着して除去され、そのフィルターに付着したゴミは排水時に外部へ自然に排出される。したがって、洗濯物から出るゴミを回収する手段を別途設ける必要がない。
【0121】
また、フィルター水噴射手段を噴射している時にポンプの上流側に位置し、且つ排水時にポンプの下流側に位置するように配管系を構成しているため、洗濯物から出たゴミは水噴射手段を噴射している時にポンプに吸引される前にフィルターに付着して除去され、そのフィルターに付着したゴミは排水時にポンプを通ることなく外部へ排出される。したがって、ポンプがゴミを吸引することにより発生するポンプの破損や流量の低下を防ぐことができる。しかも、フィルターに付着したゴミは排水時ごとに排出されるので、フィルターの目詰まりによる流量低下を避けることができる。
【0122】
また、排水時に上記洗濯槽から排出されたを前記ポンプを通して排水するように電磁弁を用いて配管系を構成し、且つ前記配管系の中にゴミ取り用のフィルターを反転可能に設けているので、フィルターの配設箇所を通過するの流れを水噴射手段がを噴射している時と排水時とで変えなくても、洗濯物から出る糸屑等のゴミが洗濯槽の回転駆動時にフィルターに付着して除去され、そのフィルターに付着したゴミは排水時にフィルターを反転させると外部に排出される。しかも、フィルターの配設箇所を通過するの流れが水噴射手段を噴射している時と排水時とで逆になるようにする場合に比べて、配管系の構成が簡単で済むので、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における機械的構成を示す概略断面図。
【図2】制御系の構成を示すブロック図。
【図3】マイコンの制御動作を示すフローチャート。
【図4】図3のAから続くフローチャート。
【図5】図4のBから続くフローチャート。
【図6】図5のCから続くフローチャート。
【図7】上部ノズルの異なる態様を示す概略断面図。
【図8】洗濯槽の異なる態様を示す要部概略断面図。
【図9】反り部材の作用を説明するための概略断面図。
【図10】反り部材の構成を拡大して示す要部断面図。
【図11】図10の反り部材の要部拡大正面図。
【図12】洗濯物反転手段の異なる態様を示す断面図。
【図13】突条及び突起を示す半截斜視図。
【図14】市水、ポンプ、及びその両者を合成した場合の(圧力−流量)特性と、配管抵抗より流量を求めるための図。
【図15】第2実施形態に係る配管系の構成図。
【図16】第3実施形態に係る配管系の構成図。
【図17】第3実施形態に係るフィルターの配管への取り付け状態を示す図。
【図18】従来例における機械的構成を示す概略断面図。
【符号の説明】
1 洗濯槽
2 パルセータ
3 モータ
4 モータプーリ
5 ベルト
6 軸プーリ
7 パルセータ回転軸
8 排水弁
9 クラッチ
10 洗濯槽回転軸
11 外水槽
20 洗濯物
21 通水孔
22 上部ノズル用配管
23 吸入配管
25 下部ノズル用配管
26 排水弁
27 ポンプ
28 反り部材
29 軸受
30 下部ノズル
31 上部ノズル
32 小孔
33 給水弁
35 マイクロコンピュータ
36,36’ 水位センサー
41〜47 電磁弁
48 フィルター
51〜54 電磁弁
55 フィルター
56 フィルター駆動用モータ

Claims (11)

  1. 洗濯物投入口を備えた外箱と、
    該外箱の洗濯物投入口に対応する位置に開口部を備えた洗濯槽と、
    前記洗濯槽から排出された水を受ける外水槽と、
    前記外水槽の水を加圧するポンプと、
    該ポンプによって加圧された水洗濯槽内の洗濯物に向けて噴射する噴射手段とを備え、
    該水噴射手段は前記外箱の洗濯物投入口と前記洗濯槽の開口部との間に配設された上部ノズルと洗濯槽内底部の回転中心に設けられた下部ノズルとからなることを特徴とする洗濯機。
  2. 略鉛直方向の洗濯槽回転軸を中心に前記洗濯槽を回転駆動させる洗濯槽駆動手段と、
    前記洗濯槽駆動手段の回転を停止させるブレーキ装置とを備え、
    洗濯モード又はすすぎモードにおいて、
    前記洗濯槽を前記洗濯槽駆動手段により停止状態から急に回転させて、前記洗濯槽の回転を前記ブレーキ装置により急に停止させることを繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
  3. 洗濯槽の内底部にクロス状の突起が設けられており、
    前記洗濯槽駆動手段によって前記洗濯槽とともに前記突起部を回転駆動させることにより前記洗濯槽内の水を撹拌することを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
  4. 前記洗濯槽または前記水噴射手段の一方を他方に対して前記洗濯槽回転軸を中心に相対回転可能に構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の洗濯機。
  5. 洗濯槽が回転しているとき、
    前記下部ノズルは回転しないことを特徴とする請求項2又は3に記載の洗濯機。
  6. 前記上部ノズルが洗濯槽内の洗濯物に向けて水を噴射するために適正な位置に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の洗濯機。
  7. 前記洗濯槽への給水及び前記外水槽からの排水の通水経路を有する配管系を備え、
    該配管系は前記外水槽内のを前記ポンプに送給するための送給配管と、
    前記ポンプから吐出された加圧を前記水噴射手段に送給するための加圧送給配管とを備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の洗濯機。
  8. 前記配管系は電磁弁を備え、
    給水時に前記ポンプを通して前記洗濯槽に給水するとともに、排水時に前記洗濯槽から排出された水が前記ポンプを通して排水するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の洗濯機。
  9. 排水時に前記洗濯槽から排出されたを前記ポンプを通して排水するように電磁弁を用いて配管系を構成し、且つ該配管系の中にゴミ取り用のフィルターを設け、前記水噴射手段を噴射している時と排水時とでは前記フィルターを通過するの流れが逆になるように前記配管系を構成した請求項7に記載の洗濯機。
  10. 前記フィルターが、前記水噴射手段を噴射している時に前記ポンプの上流側に位置し、且つ排水時に前記ポンプの下流側に位置するように前記配管系を構成した請求項9に記載の洗濯機。
  11. 排水時に前記洗濯槽から排出されたを前記ポンプを通して排水するように電磁弁を用いて配管系を構成し、且つ前記配管系の中にゴミ取り用のフィルターを反転可能に設けた請求項9又は10に記載の洗濯機。
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