JPH08153587A - 薄膜el素子およびその製造方法 - Google Patents
薄膜el素子およびその製造方法Info
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- JPH08153587A JPH08153587A JP6315570A JP31557094A JPH08153587A JP H08153587 A JPH08153587 A JP H08153587A JP 6315570 A JP6315570 A JP 6315570A JP 31557094 A JP31557094 A JP 31557094A JP H08153587 A JPH08153587 A JP H08153587A
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Landscapes
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 駆動電圧を低くし、信頼性の高い発光特性を
得る。 【構成】 薄膜EL素子11は、透光性基板12上に透
明電極13、絶縁層14、EL発光層15、絶縁層16
および金属電極17をこの順に積層して形成される。絶
縁層14,16は、ともにSr2Ta2O7 膜で実現され
る第1絶縁層18,21と、EL発光層側に設けられ、
Sr2Ta2O7 :N膜で実現される第2絶縁層19,2
0とから成る。第2絶縁層19,20の膜厚は、30n
m以上100nm以下の範囲に選ばれる。第1絶縁層1
8,21および第2絶縁層19,20は、スパッタガス
を切換えることのみによって連続して作成される。第1
および第2絶縁層18,21;19,20によって絶縁
層14,16を構成することによって駆動電圧が低く、
累積駆動時間が長くなることによる発光輝度の低下の少
ない薄膜EL素子11が得られる。
得る。 【構成】 薄膜EL素子11は、透光性基板12上に透
明電極13、絶縁層14、EL発光層15、絶縁層16
および金属電極17をこの順に積層して形成される。絶
縁層14,16は、ともにSr2Ta2O7 膜で実現され
る第1絶縁層18,21と、EL発光層側に設けられ、
Sr2Ta2O7 :N膜で実現される第2絶縁層19,2
0とから成る。第2絶縁層19,20の膜厚は、30n
m以上100nm以下の範囲に選ばれる。第1絶縁層1
8,21および第2絶縁層19,20は、スパッタガス
を切換えることのみによって連続して作成される。第1
および第2絶縁層18,21;19,20によって絶縁
層14,16を構成することによって駆動電圧が低く、
累積駆動時間が長くなることによる発光輝度の低下の少
ない薄膜EL素子11が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、交流電界を印加するこ
とによって、エレクトロルミネセンス(電界発光)を呈
する薄膜EL素子およびその製造方法に関し、特に駆動
電圧が低く、発光特性の信頼性に優れる薄膜EL素子お
よび当該薄膜EL素子を容易に作成することができる製
造方法に関する。
とによって、エレクトロルミネセンス(電界発光)を呈
する薄膜EL素子およびその製造方法に関し、特に駆動
電圧が低く、発光特性の信頼性に優れる薄膜EL素子お
よび当該薄膜EL素子を容易に作成することができる製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜EL(エレクトロルミネセント)素
子は、全体を固体素子として構成することができ、自発
光型であり、また液晶表示素子などの表示手段と比較し
て、高いコントラスト比および優れた視認性が得られる
ことから、幅広く研究が行われている。たとえば、FA
(ファクトリオートメーション)用およびOA(オフィ
スオートメーション)用機器の表示手段として、白黒表
示タイプの薄膜EL素子およびカラー表示タイプの薄膜
EL素子が検討されている。
子は、全体を固体素子として構成することができ、自発
光型であり、また液晶表示素子などの表示手段と比較し
て、高いコントラスト比および優れた視認性が得られる
ことから、幅広く研究が行われている。たとえば、FA
(ファクトリオートメーション)用およびOA(オフィ
スオートメーション)用機器の表示手段として、白黒表
示タイプの薄膜EL素子およびカラー表示タイプの薄膜
EL素子が検討されている。
【0003】図4は、従来例である薄膜EL素子1の構
成を示す断面図である。薄膜EL素子1は、いわゆる二
重絶縁構造の薄膜EL素子であり、透光性基板2、透明
電極3、絶縁層4,6、EL発光層5および金属電極7
を含んで構成される。たとえば、ガラスで実現される透
光性基板2の一方表面上に、たとえばITO(インジウ
ム錫酸化物)で実現される透明電極3が形成され、さら
に透光性基板2の一方表面に透明電極3を覆って絶縁層
4が形成される。絶縁層4上には、母材と当該母材中に
添加される発光中心とを含むEL発光層5が形成され、
さらにEL発光層5上に絶縁層6が形成される。絶縁層
6を作成した後、EL発光層5の結晶性を改善し、かつ
発光中心を均一に分布させるために、熱処理(以下、こ
の熱処理を「アニール処理」という)が施される。これ
によって、発光輝度が向上する。アニール処理が終了し
た後、絶縁層6上には、たとえばAlで実現される金属
電極7が形成される。
成を示す断面図である。薄膜EL素子1は、いわゆる二
重絶縁構造の薄膜EL素子であり、透光性基板2、透明
電極3、絶縁層4,6、EL発光層5および金属電極7
を含んで構成される。たとえば、ガラスで実現される透
光性基板2の一方表面上に、たとえばITO(インジウ
ム錫酸化物)で実現される透明電極3が形成され、さら
に透光性基板2の一方表面に透明電極3を覆って絶縁層
4が形成される。絶縁層4上には、母材と当該母材中に
添加される発光中心とを含むEL発光層5が形成され、
さらにEL発光層5上に絶縁層6が形成される。絶縁層
6を作成した後、EL発光層5の結晶性を改善し、かつ
発光中心を均一に分布させるために、熱処理(以下、こ
の熱処理を「アニール処理」という)が施される。これ
によって、発光輝度が向上する。アニール処理が終了し
た後、絶縁層6上には、たとえばAlで実現される金属
電極7が形成される。
【0004】電極3,7に交流電圧を印加すると、EL
発光層5が発光し、表示状態となる。したがって、電極
3,7への印加電圧レベルを制御することによって、発
光/非発光状態による表示が可能となる。たとえば、電
極3,7を複数の帯状に形成し、互いに直交するように
配置することによって、ドットマトリクス表示が可能と
なる。
発光層5が発光し、表示状態となる。したがって、電極
3,7への印加電圧レベルを制御することによって、発
光/非発光状態による表示が可能となる。たとえば、電
極3,7を複数の帯状に形成し、互いに直交するように
配置することによって、ドットマトリクス表示が可能と
なる。
【0005】前記絶縁層4,6は、EL発光層5にEL
発光に必要な高電界を素子全体としての絶縁破壊を起こ
すことなく安定して印加するために設けられ、当該絶縁
層4,6の材料としては、 SiO2,Si3N4,Al2
O3,Ta2O5,PbTiO3およびBaTiO3などが
用いられる。絶縁層材料を選択することによる薄膜EL
素子の駆動電圧の低電圧化や、発光特性の信頼性の向上
に関する検討が、たとえば以下の公報において開示され
ている。特公昭59−47879号公報では、BaTi
O3を用いた例が、特公平4−6277号公報ではTa
とAlとの複合酸化膜を用いた例が、特開昭55−11
3295号公報ではPbTiO3を用いた例が、および
特開昭57−172692号公報ではTa2O5を用いた
例がそれぞれ開示されている。
発光に必要な高電界を素子全体としての絶縁破壊を起こ
すことなく安定して印加するために設けられ、当該絶縁
層4,6の材料としては、 SiO2,Si3N4,Al2
O3,Ta2O5,PbTiO3およびBaTiO3などが
用いられる。絶縁層材料を選択することによる薄膜EL
素子の駆動電圧の低電圧化や、発光特性の信頼性の向上
に関する検討が、たとえば以下の公報において開示され
ている。特公昭59−47879号公報では、BaTi
O3を用いた例が、特公平4−6277号公報ではTa
とAlとの複合酸化膜を用いた例が、特開昭55−11
3295号公報ではPbTiO3を用いた例が、および
特開昭57−172692号公報ではTa2O5を用いた
例がそれぞれ開示されている。
【0006】また、本件出願人は、絶縁層材料として、
Sr2Ta2O7 を用いた薄膜EL素子を特願平5−31
9901において提案している。この絶縁層材料の単結
晶やセラミックスとしての特性は、たとえばJ.Phys.So
c.Jpn Vol.38 No.3 pp817−824(1975)に
おいて報告されている。
Sr2Ta2O7 を用いた薄膜EL素子を特願平5−31
9901において提案している。この絶縁層材料の単結
晶やセラミックスとしての特性は、たとえばJ.Phys.So
c.Jpn Vol.38 No.3 pp817−824(1975)に
おいて報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したSiO2 ,S
i3N4,Al2O3,Ta2O5,PbTiO3 およびBa
TiO3 などの絶縁層材料は、スパッタリング法などに
よって成膜され、特に高誘電率な膜であるPbTiO3
およびBaTiO3 の成膜時には高い基板温度が必要と
なる。また、薄膜EL素子のEL発光層に有効に電圧を
配分するために誘電率が高く、かつ高電界を安定して印
加できる絶縁耐圧の高いものが得られない。一方、Sr
2Ta2O7を用いると、SiO2などを用いた場合よりも
誘電率が高く、かつ絶縁耐圧が高いものが得られ、薄膜
EL素子の低電圧での駆動が可能となる。しかしなが
ら、Sr2Ta2O7 を用いた薄膜EL素子は、発光特性
の信頼性が低いことが確認された。
i3N4,Al2O3,Ta2O5,PbTiO3 およびBa
TiO3 などの絶縁層材料は、スパッタリング法などに
よって成膜され、特に高誘電率な膜であるPbTiO3
およびBaTiO3 の成膜時には高い基板温度が必要と
なる。また、薄膜EL素子のEL発光層に有効に電圧を
配分するために誘電率が高く、かつ高電界を安定して印
加できる絶縁耐圧の高いものが得られない。一方、Sr
2Ta2O7を用いると、SiO2などを用いた場合よりも
誘電率が高く、かつ絶縁耐圧が高いものが得られ、薄膜
EL素子の低電圧での駆動が可能となる。しかしなが
ら、Sr2Ta2O7 を用いた薄膜EL素子は、発光特性
の信頼性が低いことが確認された。
【0008】図5は、絶縁層材料としてSr2Ta2O7
を用いた薄膜EL素子1の印加電圧と発光輝度との関係
を累積駆動時間ごとに示すグラフである。実線27は、
作成直後からの駆動時間を累積した累積駆動時間が10
時間のときを示し、破線28は累積駆動時間が600時
間のときを示している。
を用いた薄膜EL素子1の印加電圧と発光輝度との関係
を累積駆動時間ごとに示すグラフである。実線27は、
作成直後からの駆動時間を累積した累積駆動時間が10
時間のときを示し、破線28は累積駆動時間が600時
間のときを示している。
【0009】図5から、作成直後からの駆動時間を累積
した累積駆動時間が長くなるにつれ、発光輝度−印加電
圧特性における発光開始電圧Vth、すなわち1cd/
m2の発光輝度が得られる印加電圧Vthが低電圧側に
移動し、また飽和発光輝度L40、すなわち前記発光開始
電圧Vthに変調電圧Vm=40Vを加えた(Vth+
40V)を印加したときに得られる発光輝度L40が低下
することが確認された。累積駆動時間が長くなるにつれ
て発光開始電圧Vthが変化すると、作成直後の初期状
態において設定した書込電圧Vonおよび消去電圧Vo
ffでの駆動ができなくなり、上述のように低電圧側に
移動すると、たとえば消去電圧Voffを印加したとき
に発光が生じることとなる。前記変調電圧Vmとは、薄
膜EL素子の一般的な駆動法においてデータ側の電極に
印加される発光開始電圧Vthと書込時の電圧Vonと
の電圧の差である。なお、走査側の電極には前記発光開
始電圧Vthが印加される。薄膜EL素子の一般的な駆
動法は、たとえば産業図書株式会社発行の「エレクトロ
ルミネセントディスプレイ」に記載されている。
した累積駆動時間が長くなるにつれ、発光輝度−印加電
圧特性における発光開始電圧Vth、すなわち1cd/
m2の発光輝度が得られる印加電圧Vthが低電圧側に
移動し、また飽和発光輝度L40、すなわち前記発光開始
電圧Vthに変調電圧Vm=40Vを加えた(Vth+
40V)を印加したときに得られる発光輝度L40が低下
することが確認された。累積駆動時間が長くなるにつれ
て発光開始電圧Vthが変化すると、作成直後の初期状
態において設定した書込電圧Vonおよび消去電圧Vo
ffでの駆動ができなくなり、上述のように低電圧側に
移動すると、たとえば消去電圧Voffを印加したとき
に発光が生じることとなる。前記変調電圧Vmとは、薄
膜EL素子の一般的な駆動法においてデータ側の電極に
印加される発光開始電圧Vthと書込時の電圧Vonと
の電圧の差である。なお、走査側の電極には前記発光開
始電圧Vthが印加される。薄膜EL素子の一般的な駆
動法は、たとえば産業図書株式会社発行の「エレクトロ
ルミネセントディスプレイ」に記載されている。
【0010】前記発光開始電圧Vthの移動や、発光輝
度の低下の原因としては、累積駆動時間が長くなるにつ
れて、EL発光層5と絶縁層4,6との界面付近の高電
界領域でSr,TaおよびOなどの元素が相互に拡散
し、EL発光層5または絶縁層4,6を変質させるた
め、および発光特性に寄与する界面のエネルギ準位を低
下させるためであると考えられる。
度の低下の原因としては、累積駆動時間が長くなるにつ
れて、EL発光層5と絶縁層4,6との界面付近の高電
界領域でSr,TaおよびOなどの元素が相互に拡散
し、EL発光層5または絶縁層4,6を変質させるた
め、および発光特性に寄与する界面のエネルギ準位を低
下させるためであると考えられる。
【0011】上述した原因によるものと考えられる発光
特性の経時的変化を防止するためには、たとえば特開平
1−107495号公報に開示されているように、絶縁
層4,6をSiO2/高誘電率材料/SiO2という3層
構造にすることが好ましいと考えられる。ここで、EL
発光層5に近接するSiO2 膜は、前記Sr,Taおよ
びOなどの元素の拡散を防止する拡散防止膜として機能
する。しかしながら、このような構造の絶縁層は、全く
異なる材料を積層したものであることから、たとえばス
パッタリング法によって作成する場合、ターゲット材料
の変更やスパッタガスの変更が必要となる。したがっ
て、容易に作成することができず、製造工程数の増加に
伴う製造効率の著しい低下および製造コストの増加を引
起こす。
特性の経時的変化を防止するためには、たとえば特開平
1−107495号公報に開示されているように、絶縁
層4,6をSiO2/高誘電率材料/SiO2という3層
構造にすることが好ましいと考えられる。ここで、EL
発光層5に近接するSiO2 膜は、前記Sr,Taおよ
びOなどの元素の拡散を防止する拡散防止膜として機能
する。しかしながら、このような構造の絶縁層は、全く
異なる材料を積層したものであることから、たとえばス
パッタリング法によって作成する場合、ターゲット材料
の変更やスパッタガスの変更が必要となる。したがっ
て、容易に作成することができず、製造工程数の増加に
伴う製造効率の著しい低下および製造コストの増加を引
起こす。
【0012】本発明の目的は、駆動電圧が低く、かつ発
光特性の信頼性に優れ、さらに容易に作成することがで
きる薄膜EL素子およびその製造方法を提供することで
ある。
光特性の信頼性に優れ、さらに容易に作成することがで
きる薄膜EL素子およびその製造方法を提供することで
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともい
ずれか一方が透明な一対の電極間に母材と当該母材に添
加される発光中心とを含むEL発光層が介在され、当該
EL発光層と少なくともいずれか一方の電極との間に絶
縁層が挟持された薄膜EL素子において、少なくとも1
つの絶縁層は、Sr2Ta2O7 膜から成る第1絶縁層
と、EL発光層側に設けられ、窒素を含むSr2Ta2O
7 膜から成る第2絶縁層とから構成されることを特徴と
する薄膜EL素子である。また、本発明の前記第2絶縁
層の膜厚は、30nm以上100nm以下の範囲に選ば
れることを特徴とする。さらに本発明は、少なくともい
ずれか一方が透明な一対の電極間に母材と当該母材に添
加される発光中心とを含むEL発光層が介在され、当該
EL発光層と少なくともいずれか一方の電極との間に絶
縁層が挟持された薄膜EL素子の製造方法において、少
なくとも1つの絶縁層は、Sr2Ta2O7 をターゲット
とし、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気中にお
けるスパッタリング法によってSr2Ta2O7 膜を成膜
した後、Sr2Ta2O7 をターゲットとし、窒素ガス雰
囲気中におけるスパッタリング法によって窒素を含む
Sr2Ta2O7膜を成膜することによって作成されるこ
とを特徴とする薄膜EL素子の製造方法である。また、
本発明の前記窒素を含むSr2Ta2O7 膜は、前記窒素
ガスに代えて、窒素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲
気中で成膜されることを特徴とする。
ずれか一方が透明な一対の電極間に母材と当該母材に添
加される発光中心とを含むEL発光層が介在され、当該
EL発光層と少なくともいずれか一方の電極との間に絶
縁層が挟持された薄膜EL素子において、少なくとも1
つの絶縁層は、Sr2Ta2O7 膜から成る第1絶縁層
と、EL発光層側に設けられ、窒素を含むSr2Ta2O
7 膜から成る第2絶縁層とから構成されることを特徴と
する薄膜EL素子である。また、本発明の前記第2絶縁
層の膜厚は、30nm以上100nm以下の範囲に選ば
れることを特徴とする。さらに本発明は、少なくともい
ずれか一方が透明な一対の電極間に母材と当該母材に添
加される発光中心とを含むEL発光層が介在され、当該
EL発光層と少なくともいずれか一方の電極との間に絶
縁層が挟持された薄膜EL素子の製造方法において、少
なくとも1つの絶縁層は、Sr2Ta2O7 をターゲット
とし、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気中にお
けるスパッタリング法によってSr2Ta2O7 膜を成膜
した後、Sr2Ta2O7 をターゲットとし、窒素ガス雰
囲気中におけるスパッタリング法によって窒素を含む
Sr2Ta2O7膜を成膜することによって作成されるこ
とを特徴とする薄膜EL素子の製造方法である。また、
本発明の前記窒素を含むSr2Ta2O7 膜は、前記窒素
ガスに代えて、窒素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲
気中で成膜されることを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明に従えば、薄膜EL素子は、少なくとも
いずれか一方が透明な一対の電極間に母材と当該母材に
添加される発光中心とを含むEL発光層が介在され、E
L発光層と少なくともいずれか一方の電極との間に絶縁
層が挟持されて構成され、少なくとも1つの絶縁層は、
Sr2Ta2O7 膜から成る第1絶縁層と、EL発光層側
に設けられ、窒素を含むSr2Ta2O7 膜から成る第2
絶縁層とから構成される。第2絶縁層によってEL発光
層と第1絶縁層との界面付近で生じていたSr,Taお
よびOなどの元素の拡散が防止され、膜の変質および発
光特性に寄与する界面のエネルギ準位の低下が抑制され
る。したがって、累積駆動時間が長くなっても、飽和発
光輝度の低下が防止され、発光輝度特性の信頼性が向上
する。また、第1絶縁層として、Sr2Ta2O7 を用い
ることによって、誘電率が高く、かつ絶縁耐圧が高くな
り、薄膜EL素子の駆動電圧の低電圧化が可能となる。
いずれか一方が透明な一対の電極間に母材と当該母材に
添加される発光中心とを含むEL発光層が介在され、E
L発光層と少なくともいずれか一方の電極との間に絶縁
層が挟持されて構成され、少なくとも1つの絶縁層は、
Sr2Ta2O7 膜から成る第1絶縁層と、EL発光層側
に設けられ、窒素を含むSr2Ta2O7 膜から成る第2
絶縁層とから構成される。第2絶縁層によってEL発光
層と第1絶縁層との界面付近で生じていたSr,Taお
よびOなどの元素の拡散が防止され、膜の変質および発
光特性に寄与する界面のエネルギ準位の低下が抑制され
る。したがって、累積駆動時間が長くなっても、飽和発
光輝度の低下が防止され、発光輝度特性の信頼性が向上
する。また、第1絶縁層として、Sr2Ta2O7 を用い
ることによって、誘電率が高く、かつ絶縁耐圧が高くな
り、薄膜EL素子の駆動電圧の低電圧化が可能となる。
【0015】また好ましくは、第2絶縁層の膜厚は、3
0nm以上100nm以下の範囲に選ばれる。30nm
以上とすることによって、累積駆動時間が長くなるにつ
れて生じる飽和発光輝度の低下が充分に小さくなり、ま
た100nm以下とすることによって、長時間駆動する
前の初期状態における発光開始電圧を低くできることが
確認された。
0nm以上100nm以下の範囲に選ばれる。30nm
以上とすることによって、累積駆動時間が長くなるにつ
れて生じる飽和発光輝度の低下が充分に小さくなり、ま
た100nm以下とすることによって、長時間駆動する
前の初期状態における発光開始電圧を低くできることが
確認された。
【0016】また本発明に従えば、前記第1絶縁層は、
Sr2Ta2O7 をターゲットとし、酸素ガスと不活性ガ
スとの混合ガス雰囲気中におけるスパッタリング法によ
って作成され、第2絶縁層は前記混合ガスを窒素ガスに
切換えることによって連続して作成される。このよう
に、スパッタガスを切換えることのみによって容易に作
成することができ、製造工程の大きな変更を伴わずに、
製造効率の大幅な低下や製造コストの大幅な増加を引起
こすことなく作成することができる。
Sr2Ta2O7 をターゲットとし、酸素ガスと不活性ガ
スとの混合ガス雰囲気中におけるスパッタリング法によ
って作成され、第2絶縁層は前記混合ガスを窒素ガスに
切換えることによって連続して作成される。このよう
に、スパッタガスを切換えることのみによって容易に作
成することができ、製造工程の大きな変更を伴わずに、
製造効率の大幅な低下や製造コストの大幅な増加を引起
こすことなく作成することができる。
【0017】また好ましくは、第2絶縁層は、前記窒素
ガスに代えて、窒素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲
気中で作成され、これによって成膜速度が速くなり、製
造効率が向上する。
ガスに代えて、窒素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲
気中で作成され、これによって成膜速度が速くなり、製
造効率が向上する。
【0018】
【実施例】図1は、本発明の一実施例である薄膜EL素
子11の構成を示す断面図である。薄膜EL素子11
は、透光性基板12、透明電極13、絶縁層14,1
6、EL発光層15および金属電極17を含んで構成さ
れる。たとえば、ガラスで実現される透光性基板12の
一方表面上に、たとえばITO(インジウム錫酸化物)
で実現される透明電極13が形成され、さらに透光性基
板12の一方表面に透明電極13を覆って絶縁層14が
形成される。絶縁層14は、第1および第2絶縁層1
8,19から構成され、後述するようにして形成され
る。絶縁層14上には、母材と当該母材中に添加される
発光中心とを含むEL発光層15が形成され、さらにE
L発光層15上に絶縁層16が形成される。絶縁層16
は、第1および第2絶縁層21,20から構成され、後
述するようにして形成される。絶縁層16上には、たと
えばAlで実現される金属電極17が形成される。
子11の構成を示す断面図である。薄膜EL素子11
は、透光性基板12、透明電極13、絶縁層14,1
6、EL発光層15および金属電極17を含んで構成さ
れる。たとえば、ガラスで実現される透光性基板12の
一方表面上に、たとえばITO(インジウム錫酸化物)
で実現される透明電極13が形成され、さらに透光性基
板12の一方表面に透明電極13を覆って絶縁層14が
形成される。絶縁層14は、第1および第2絶縁層1
8,19から構成され、後述するようにして形成され
る。絶縁層14上には、母材と当該母材中に添加される
発光中心とを含むEL発光層15が形成され、さらにE
L発光層15上に絶縁層16が形成される。絶縁層16
は、第1および第2絶縁層21,20から構成され、後
述するようにして形成される。絶縁層16上には、たと
えばAlで実現される金属電極17が形成される。
【0019】電極13,17に交流電圧を印加すると、
EL発光層15が発光し、表示状態となる。したがっ
て、電極13,17への印加電圧レベルを制御すること
によって、発光/非発光状態による表示が可能となる。
たとえば、電極13,17を複数の帯状に形成し、互い
に直交するように配置することによって、ドットマトリ
クス表示が可能となる。
EL発光層15が発光し、表示状態となる。したがっ
て、電極13,17への印加電圧レベルを制御すること
によって、発光/非発光状態による表示が可能となる。
たとえば、電極13,17を複数の帯状に形成し、互い
に直交するように配置することによって、ドットマトリ
クス表示が可能となる。
【0020】前記絶縁層14,16は、第1絶縁層1
8,21および第2絶縁層19,20からそれぞれ構成
される。第1絶縁層18,21は、Sr2Ta2O7 膜で
実現され、第2絶縁層19,20は窒素を含むSr2T
a2O7(以下、「Sr2Ta2O7:N」と記す)膜で実
現され、当該第2絶縁層19,20は、EL発光層15
側に設けられる。
8,21および第2絶縁層19,20からそれぞれ構成
される。第1絶縁層18,21は、Sr2Ta2O7 膜で
実現され、第2絶縁層19,20は窒素を含むSr2T
a2O7(以下、「Sr2Ta2O7:N」と記す)膜で実
現され、当該第2絶縁層19,20は、EL発光層15
側に設けられる。
【0021】なお、Sr2Ta2O7膜で実現される第1
絶縁層と、Sr2Ta2O7:N膜で実現される第2絶縁
層とから構成される絶縁層は、少なくとも1層あればよ
く、前記絶縁層14,16のいずれか一方であってもよ
い。いずれか一方のみとした場合、他方の絶縁層は、た
とえばSiO2 膜とEL発光層側に設けられるSi3N4
膜との積層膜で実現される。また、EL発光層15を構
成する母材としては、たとえばZnSまたはSrSが用
いられ、発光中心としてはMnまたはCeが用いられ
る。
絶縁層と、Sr2Ta2O7:N膜で実現される第2絶縁
層とから構成される絶縁層は、少なくとも1層あればよ
く、前記絶縁層14,16のいずれか一方であってもよ
い。いずれか一方のみとした場合、他方の絶縁層は、た
とえばSiO2 膜とEL発光層側に設けられるSi3N4
膜との積層膜で実現される。また、EL発光層15を構
成する母材としては、たとえばZnSまたはSrSが用
いられ、発光中心としてはMnまたはCeが用いられ
る。
【0022】続いて、前記薄膜EL素子11の製造方法
について説明する。透明電極13は、透光性基板12上
にITO膜を、たとえば150nm〜300nmの厚さ
に形成することによって実現され、絶縁層14の第1絶
縁層18は、Sr2Ta2O7の焼結体をターゲットとし
て用いたスパッタリング法によって形成される。本実施
例では、第1絶縁層18を形成すべき基板の温度を30
0℃に設定し、ArとO2との混合ガス(Ar:O2 =
50:50(モル%))雰囲気中で、ガス圧を4Paと
して300nmの厚さにSr2Ta2O7膜を形成した。
について説明する。透明電極13は、透光性基板12上
にITO膜を、たとえば150nm〜300nmの厚さ
に形成することによって実現され、絶縁層14の第1絶
縁層18は、Sr2Ta2O7の焼結体をターゲットとし
て用いたスパッタリング法によって形成される。本実施
例では、第1絶縁層18を形成すべき基板の温度を30
0℃に設定し、ArとO2との混合ガス(Ar:O2 =
50:50(モル%))雰囲気中で、ガス圧を4Paと
して300nmの厚さにSr2Ta2O7膜を形成した。
【0023】第2絶縁層19は、第1絶縁層18を形成
する際のスパッタガスをN2 =100(モル%)に変更
するのみで、第1絶縁層18から連続して形成される。
その厚さは、後述する検討結果から、30nm以上10
0nm以下の範囲に選ばれる。このようにして、絶縁層
14が作成される。
する際のスパッタガスをN2 =100(モル%)に変更
するのみで、第1絶縁層18から連続して形成される。
その厚さは、後述する検討結果から、30nm以上10
0nm以下の範囲に選ばれる。このようにして、絶縁層
14が作成される。
【0024】EL発光層15は、たとえばEB(エレク
トロンビーム)蒸着法によって500nmの厚さに形成
される。たとえば、ZnS:Mnで実現されるEL発光
層15のMn濃度は、0.3wt%に選ばれる。
トロンビーム)蒸着法によって500nmの厚さに形成
される。たとえば、ZnS:Mnで実現されるEL発光
層15のMn濃度は、0.3wt%に選ばれる。
【0025】絶縁層16の第2絶縁層20は、前記第2
絶縁層19と同様にして形成され、さらにスパッタガス
を切換えることによって、第1絶縁層21が前記第1絶
縁層18と同様にして形成される。このようにして、絶
縁層16が作成される。絶縁層16までが形成される
と、たとえば630℃の真空雰囲気中でアニール処理が
施され、その後、真空蒸着法によって金属電極17が形
成される。前記アニール処理は、真空雰囲気中で行うも
のに限らず、たとえば乾燥窒素ガス雰囲気中で行うこと
も可能である。
絶縁層19と同様にして形成され、さらにスパッタガス
を切換えることによって、第1絶縁層21が前記第1絶
縁層18と同様にして形成される。このようにして、絶
縁層16が作成される。絶縁層16までが形成される
と、たとえば630℃の真空雰囲気中でアニール処理が
施され、その後、真空蒸着法によって金属電極17が形
成される。前記アニール処理は、真空雰囲気中で行うも
のに限らず、たとえば乾燥窒素ガス雰囲気中で行うこと
も可能である。
【0026】次に、第1絶縁層18,21を実現するS
r2Ta2O7 膜を作成する際のArとO2 との混合比率
および基板温度、さらに第1絶縁層18,21に対する
アニール処理の影響を検討した結果について説明する。
なお、Sr2Ta2O7 膜の電気的特性(誘電損失、比誘
電率、絶縁耐圧)の測定は、ガラス基板上に形成したI
TO膜上に各成膜条件でSr2Ta2O7 膜を300nm
の厚さに作成し、さらにAl膜を真空蒸着法で作成した
評価サンプルを用いて行った。また、誘電損失の測定
は、LCR(L:コイル、C:コンデンサ、R:抵抗)
回路を用いて、周波数f=1kHzとして行った。
r2Ta2O7 膜を作成する際のArとO2 との混合比率
および基板温度、さらに第1絶縁層18,21に対する
アニール処理の影響を検討した結果について説明する。
なお、Sr2Ta2O7 膜の電気的特性(誘電損失、比誘
電率、絶縁耐圧)の測定は、ガラス基板上に形成したI
TO膜上に各成膜条件でSr2Ta2O7 膜を300nm
の厚さに作成し、さらにAl膜を真空蒸着法で作成した
評価サンプルを用いて行った。また、誘電損失の測定
は、LCR(L:コイル、C:コンデンサ、R:抵抗)
回路を用いて、周波数f=1kHzとして行った。
【0027】図2は、ArとO2 との混合比率と、誘電
損失との関係を示すグラフである。Ar:O2 =25:
75〜75:25(モル%)の間では、誘電損失が比較
的小さく、かつ変化が少ないのに対し、Ar=0(モル
%)またはAr=100(モル%)のときには、誘電損
失が大きくなっていることが判る。誘電損失は、小さい
方が好ましく、したがって、Ar:O2 を25:75〜
75:25(モル%)の範囲に選ぶのが好ましいと言え
る。
損失との関係を示すグラフである。Ar:O2 =25:
75〜75:25(モル%)の間では、誘電損失が比較
的小さく、かつ変化が少ないのに対し、Ar=0(モル
%)またはAr=100(モル%)のときには、誘電損
失が大きくなっていることが判る。誘電損失は、小さい
方が好ましく、したがって、Ar:O2 を25:75〜
75:25(モル%)の範囲に選ぶのが好ましいと言え
る。
【0028】表1は、基板温度と比誘電率および絶縁耐
圧との関係を示すものである。比誘電率εrは真空の誘
電率ε0に対する物質の誘電率εの比で表され、比誘電
率εrが高くなると誘電率εも高くなる。なお、絶縁耐
圧はAl膜を正極性とした場合および負極性とした場合
の2条件で測定した。基板温度を250℃、300℃、
350℃として作成したけれども、基板温度の違いによ
る各特性への影響はほとんどないことが判る。
圧との関係を示すものである。比誘電率εrは真空の誘
電率ε0に対する物質の誘電率εの比で表され、比誘電
率εrが高くなると誘電率εも高くなる。なお、絶縁耐
圧はAl膜を正極性とした場合および負極性とした場合
の2条件で測定した。基板温度を250℃、300℃、
350℃として作成したけれども、基板温度の違いによ
る各特性への影響はほとんどないことが判る。
【0029】
【表1】
【0030】表2は、アニール処理による影響を示すも
のであり、アニール温度と絶縁耐圧との関係を示してい
る。なお、これは、Sr2Ta2O7 膜の作成時における
基板温度を300℃としたときのものであり、各温度で
のアニール処理を真空雰囲気中において1時間保持する
ことによって行った。アニール処理を行うことによっ
て、Al膜を負極性とした場合において絶縁耐圧が向上
することが判る。なお、成膜時における基板温度は、3
00℃以外、たとえば250℃や350℃であっても同
様の結果が得られた。また、透光性基板12として用い
るガラス基板の耐熱性に応じてアニール温度を630℃
以上で行うことも可能である。
のであり、アニール温度と絶縁耐圧との関係を示してい
る。なお、これは、Sr2Ta2O7 膜の作成時における
基板温度を300℃としたときのものであり、各温度で
のアニール処理を真空雰囲気中において1時間保持する
ことによって行った。アニール処理を行うことによっ
て、Al膜を負極性とした場合において絶縁耐圧が向上
することが判る。なお、成膜時における基板温度は、3
00℃以外、たとえば250℃や350℃であっても同
様の結果が得られた。また、透光性基板12として用い
るガラス基板の耐熱性に応じてアニール温度を630℃
以上で行うことも可能である。
【0031】
【表2】
【0032】表3は、絶縁耐圧と比誘電率との積で表さ
れる性能指数を、他の材料と比較して示すものである。
なお、各評価サンプルは、同一の作成条件で作成したも
のである。Sr2Ta2O7 膜は、他の材料から成る膜と
比較して性能指数が大きいことが判る。
れる性能指数を、他の材料と比較して示すものである。
なお、各評価サンプルは、同一の作成条件で作成したも
のである。Sr2Ta2O7 膜は、他の材料から成る膜と
比較して性能指数が大きいことが判る。
【0033】
【表3】
【0034】続いて、第2絶縁層19,20の膜厚につ
いての検討結果を説明する。図3は、加速エージング時
間と飽和発光輝度との関係を第2絶縁層19,20の膜
厚毎に示すグラフである。第2絶縁層19,20の膜厚
は、ともに同じとし、実線22は第2絶縁層19,20
を設けなかった場合を示しており、破線23は一方の膜
厚が10nm、破線24は30nm、一点鎖線25は1
00nm、実線26は200nmとした場合をそれぞれ
示している。
いての検討結果を説明する。図3は、加速エージング時
間と飽和発光輝度との関係を第2絶縁層19,20の膜
厚毎に示すグラフである。第2絶縁層19,20の膜厚
は、ともに同じとし、実線22は第2絶縁層19,20
を設けなかった場合を示しており、破線23は一方の膜
厚が10nm、破線24は30nm、一点鎖線25は1
00nm、実線26は200nmとした場合をそれぞれ
示している。
【0035】また、加速エージング時間とは、薄膜EL
素子を作成した直後からの駆動時間を累積した累積駆動
時間による影響を時間で確認するために、通常の駆動条
件よりも周波数を高くした条件で駆動したときの累積駆
動時間のことであり、本実施例では50倍の加速条件に
よるものを示している。したがって、たとえば600時
間ということは実際には、30000時間に相当する。
さらに、飽和発光輝度は、加速エージング時間が10時
間のときに得られた発光輝度を100%として百分率で
表している。
素子を作成した直後からの駆動時間を累積した累積駆動
時間による影響を時間で確認するために、通常の駆動条
件よりも周波数を高くした条件で駆動したときの累積駆
動時間のことであり、本実施例では50倍の加速条件に
よるものを示している。したがって、たとえば600時
間ということは実際には、30000時間に相当する。
さらに、飽和発光輝度は、加速エージング時間が10時
間のときに得られた発光輝度を100%として百分率で
表している。
【0036】薄膜EL素子の発光特性としては、実駆動
時間30000時間(加速エージング時間では600時
間)において、飽和発光輝度の低下が10%以内である
ことが好ましく、図3から第2絶縁層19,20の膜厚
をそれぞれ30nm以上とするのが好ましいことが判
る。
時間30000時間(加速エージング時間では600時
間)において、飽和発光輝度の低下が10%以内である
ことが好ましく、図3から第2絶縁層19,20の膜厚
をそれぞれ30nm以上とするのが好ましいことが判
る。
【0037】表4は、第2絶縁層19,20の一方の膜
厚と、発光開始電圧との関係を示すものである。なお、
表4中の変化量Δvは、膜厚が0nmのときの発光開始
電圧と、各膜厚のときの発光開始電圧との差を示すもの
である。第2絶縁層19,20の膜厚が増すにつれて、
発光開始電圧が高くなっており、膜厚が100nmを越
えると、発光開始電圧が約1割以上高くなることが判
る。したがって、第2絶縁層19,20の膜厚をそれぞ
れ100nm以下とすることが好ましいと言える。
厚と、発光開始電圧との関係を示すものである。なお、
表4中の変化量Δvは、膜厚が0nmのときの発光開始
電圧と、各膜厚のときの発光開始電圧との差を示すもの
である。第2絶縁層19,20の膜厚が増すにつれて、
発光開始電圧が高くなっており、膜厚が100nmを越
えると、発光開始電圧が約1割以上高くなることが判
る。したがって、第2絶縁層19,20の膜厚をそれぞ
れ100nm以下とすることが好ましいと言える。
【0038】
【表4】
【0039】なお、本実施例では、第2絶縁層19,2
0を作成する際のスパッタガスとして、N2 =100
(モル%)を用いたけれども、N2 とArとの混合ガス
を用いることも可能であり、たとえば N2:Ar=5
0:50(モル%)の混合ガスを用いた場合、成膜速度
が2倍となってN2 =100(モル%)の場合と同様の
効果が得られることが確認された。
0を作成する際のスパッタガスとして、N2 =100
(モル%)を用いたけれども、N2 とArとの混合ガス
を用いることも可能であり、たとえば N2:Ar=5
0:50(モル%)の混合ガスを用いた場合、成膜速度
が2倍となってN2 =100(モル%)の場合と同様の
効果が得られることが確認された。
【0040】以上のように本実施例によれば、駆動電圧
が低く、累積駆動時間が長くなっても飽和発光輝度の変
化率の少ない信頼性の高い薄膜EL素子11を実現する
ことができる。また、薄膜EL素子11を製造工程の大
きな変更を伴わずに、製造効率の大幅な低下や製造コス
トの大幅な増加を引起こすことなく、容易に作成するこ
とができる。
が低く、累積駆動時間が長くなっても飽和発光輝度の変
化率の少ない信頼性の高い薄膜EL素子11を実現する
ことができる。また、薄膜EL素子11を製造工程の大
きな変更を伴わずに、製造効率の大幅な低下や製造コス
トの大幅な増加を引起こすことなく、容易に作成するこ
とができる。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、少なくと
も1つの絶縁層をSr2Ta2O7 膜から成る第1絶縁層
と、EL発光層側に設けられる窒素を含むSr2Ta2O
7 膜から成る第2絶縁層とによって構成することで、駆
動電圧が低く、累積駆動時間が長くなっても飽和発光輝
度の低下の少ない信頼性の高い薄膜EL素子が得られ
る。
も1つの絶縁層をSr2Ta2O7 膜から成る第1絶縁層
と、EL発光層側に設けられる窒素を含むSr2Ta2O
7 膜から成る第2絶縁層とによって構成することで、駆
動電圧が低く、累積駆動時間が長くなっても飽和発光輝
度の低下の少ない信頼性の高い薄膜EL素子が得られ
る。
【0042】また、前記第2絶縁層の膜厚は、30nm
以上100nm以下の範囲に選ばれる。これによって飽
和発光輝度の低下が充分に少なくなり、また発光開始電
圧を低くすることができる。
以上100nm以下の範囲に選ばれる。これによって飽
和発光輝度の低下が充分に少なくなり、また発光開始電
圧を低くすることができる。
【0043】さらに、前記薄膜EL素子は、第1および
第2絶縁層をスパッタガスを切換えることのみによって
連続して容易に作成することができ、製造工程の大きな
変更を伴わずに、製造効率の大幅な低下や製造コストの
大幅な増加を引起こすことなく作成することができる。
第2絶縁層をスパッタガスを切換えることのみによって
連続して容易に作成することができ、製造工程の大きな
変更を伴わずに、製造効率の大幅な低下や製造コストの
大幅な増加を引起こすことなく作成することができる。
【0044】また、第2絶縁層を窒素ガスと不活性ガス
との混合ガス雰囲気中で作成することによって、成膜速
度が速くなり、製造効率が向上する。
との混合ガス雰囲気中で作成することによって、成膜速
度が速くなり、製造効率が向上する。
【図1】本発明の一実施例である薄膜EL素子11の構
成を示す断面図である。
成を示す断面図である。
【図2】ArとO2 との混合比率と、Sr2Ta2O7 膜
の誘電損失との関係を示すグラフである。
の誘電損失との関係を示すグラフである。
【図3】加速エージング時間と飽和発光輝度との関係
を、第2絶縁層19,20の膜厚毎に示すグラフであ
る。
を、第2絶縁層19,20の膜厚毎に示すグラフであ
る。
【図4】従来例である薄膜EL素子1の構成を示す断面
図である。
図である。
【図5】絶縁層材料としてSr2Ta2O7 を用いた薄膜
EL素子1の印加電圧と発光輝度との関係を累積駆動時
間ごとに示すグラフである。
EL素子1の印加電圧と発光輝度との関係を累積駆動時
間ごとに示すグラフである。
11 薄膜EL素子 12 透光性基板 13 透明電極 14,16 絶縁層 15 EL発光層 17 金属電極 18,21 第1絶縁層 19,20 第2絶縁層
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくともいずれか一方が透明な一対の
電極間に母材と当該母材に添加される発光中心とを含む
EL発光層が介在され、当該EL発光層と少なくともい
ずれか一方の電極との間に絶縁層が挟持された薄膜EL
素子において、少なくとも1つの絶縁層は、Sr2Ta2
O7 膜から成る第1絶縁層と、EL発光層側に設けら
れ、窒素を含むSr2Ta2O7 膜から成る第2絶縁層と
から構成されることを特徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項2】 前記第2絶縁層の膜厚は、30nm以上
100nm以下の範囲に選ばれることを特徴とする請求
項1記載の薄膜EL素子。 - 【請求項3】 少なくともいずれか一方が透明な一対の
電極間に母材と当該母材に添加される発光中心とを含む
EL発光層が介在され、当該EL発光層と少なくともい
ずれか一方の電極との間に絶縁層が挟持された薄膜EL
素子の製造方法において、 少なくとも1つの絶縁層は、Sr2Ta2O7 をターゲッ
トとし、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気中に
おけるスパッタリング法によってSr2Ta2O7膜を成
膜した後、Sr2Ta2O7をターゲットとし、窒素ガス
雰囲気中におけるスパッタリング法によって窒素を含む
Sr2Ta2O7膜を成膜することによって作成されるこ
とを特徴とする薄膜EL素子の製造方法。 - 【請求項4】 前記窒素を含むSr2Ta2O7 膜は、前
記窒素ガスに代えて、窒素ガスと不活性ガスとの混合ガ
ス雰囲気中で成膜されることを特徴とする請求項3記載
の薄膜EL素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6315570A JPH08153587A (ja) | 1994-11-25 | 1994-11-25 | 薄膜el素子およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6315570A JPH08153587A (ja) | 1994-11-25 | 1994-11-25 | 薄膜el素子およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08153587A true JPH08153587A (ja) | 1996-06-11 |
Family
ID=18066940
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6315570A Pending JPH08153587A (ja) | 1994-11-25 | 1994-11-25 | 薄膜el素子およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08153587A (ja) |
-
1994
- 1994-11-25 JP JP6315570A patent/JPH08153587A/ja active Pending
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